2024年7月、神奈川県川崎市にて開催された『アジアジャンプロープ選手権』そして『DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD』。
今回、そのジャンプロープの異なるジャンルの2大会のステージに日本代表選手として立った REG☆STYLE・KAI を独占取材。
なぜ苦しみながらもKAIは“両方に出る”ことを選択したのか。破竹の勢いを見せ、“ダブルダッチシーンの主人公だった”と多くの人々に言わしめた彼が、その栄光の裏にあった試練の道のりと、そこで見た景色についてを赤裸々に語ってくれたロングインタビューを、ぜひご覧いただきたい。
■KAI
所属:REG☆STYLE / CAPLIORE / HEARTS / FOR
日本から世界のシーンを牽引するプロチーム『REG☆STYLE』のメンバーとして、2017〜2019年には世界3連覇。メディアへも多数出演するほか、近年は神奈川県川崎市のダブルダッチスクール『JUMPS KAWASAKI』において次世代育成も担う。
2024年夏、アジアジャンプロープ選手権には『FOR』として、DOUBLE DUTCH CONTESTには『HEARTS』として異なるチームに所属し大会へ出場。どちらもアジア一・世界一のタイトルを獲得し、選手という立場からシーン内外に多大なる影響を与えた。

【参考】今回2つのチームを兼任したKAIが、それぞれ挑んだ国内予選・決勝大会までの道のり

#1 挑戦のはじまり
“両立”を決意した瞬間
ジャンプロープ、そしてストリートカルチャーの聖地である神奈川県川崎市で、2024年にジャンプロープの『アジアジャンプロープ選手権』が、2025年には世界選手権が開催されることが決定。日本初開催となる大規模なスポーツ種目のコンペティションに加え、フュージョン種目の世界大会である『DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD』も同時開催が決定した。
それは世界のシーンや行政から、日本が“ジャンプロープ大国”としての認知が形となった瞬間。そこにシーンを牽引する日本初のダブルダッチチームであるREG☆STYLEのKAIも、思いを馳せていた。
・・・
KAI
このまたとない機会に、いちダブルダッチプレイヤーとして何をすべきか?ということをすごく考えました。「ダブルダッチ」というものを見てもらい、それが市や企業の方々をはじめ“世の中”を繋ぐパイプにもなれるし、学生たちにとっては興味の薄いジャンルにも関心を持ってもらえる機会にもなる。子供たちの夢にもなるかもしれない。
裏方や指導側に回ろうかなどと色んな選択を考えましたが、結局今の自分にできることはいち選手として出ることだな、そして2つともいこう、ってなりました。

Photo by YAMADAI
──そうなんですね。それはどちらもチームメイトを見つける前に。
そうだね。どちらも全員は決まっていなかったかなと。
日本だと僕らが元々やっていたフュージョン(音楽と動きを合わせるパフォーマンス)形式と、純粋に回数や技の難易度を競い合う形式のスポーツジャンルのダブルダッチは、その壁をあまりまたがないというか。同じジャンプロープ、同じダブルダッチなのに別物かというくらい、カルチャー的にも壁がある。
『FOR』では、スポーツジャンルのダブルダッチも更に浸透させて“文化”にしたいと考えて、自分と近い年齢層で固まるのではなく、年齢・性別をバラバラにして、色んな世代や層に刺さるチームでありたいという思いがあったんです。だからメンバーへの声の掛け方は特殊かもしれない。
一方の『HEARTS』は、最終的に2022年に『アメリカズ・ゴット・タレント』に出場したメンバーが軸になりましたね。AGTが終わって、このメンバーでまた何か出たいよね、じゃあやっぱり大会じゃないですかーと。あと互いに信頼を置けていたのでやりやすかったですし。

中央のKAIを含む4人が『HEARTS』としてチームを再結成する
ただ仕事の関係でAGTメンバー全員は揃わず、最終的に残った4人に誰を加えたらヤバいショーを作れるかなって考えたとき、クボユウトとKO-SEIを加えるという結論に至ったんです。
特にKO-SEIは大学4年生(声をかけた当時は3年生)で、彼が次のシーンを引っ張っていく存在になってほしいなという思いもあって。
──そうなんですね。『FOR』でも似たような話題が挙がってましたけど、KAIさんの根底にその思いはありそうですね。業界のためにとか、次世代をとか。
そうだね(笑)。まあでも若い頃は自分がそうしてもらっていた側だったから。繋いでいって何倍にもしていく作業というのは、心の中で常に考えていることなのかもしれない。
──ちなみに、どちらもREG☆STYLEとして大会には出ていないと思うのですが、そこには何か理由があるんでしょうか。
今REG☆STYLEって、真ん中に“☆”が入ってるじゃん。この5つの角はメンバー5人を表しているんです。
角度を変えて誰を真ん中にしてもチームが成立するのがREGで、1人1人がそれぞれの方向性を模索し育てて大きくしてくのがREG。
僕らは世界大会の3連覇を経て、メンバーは今それぞれ指導者だったりプレイヤーだったり、メディア露出だったり裏方だったり、このダブルダッチというものを本気で広げていくために各々が考えて、別の大会や、全く別の軸のことでも選手並みに活動している。
で、その“各々”を強くするからREGとして結集したときもパワーアップするという考えのもと、自分の中では大会に出場して、自分の方向性にある先のものを大きくしていこう、というのがミッションだったと結論付けました。

直球で戦いたかった
そうして『DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN』に向けHEARTSが、『ALL JAPAN』に向けFORが始動する。それぞれのチームは、2024年3月に控える国内予選大会に向け練習に励んでいった。

後列左から Elina Mizuno / TAISUKE / TATSUYA
クボユウト / KAI / KO-SEI
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KAI
『HEARTS』のメンバー自体は2023年12月には固まって、正直そっちは国内予選までは特別難しいことはなかった。5人とも素晴らしいチームメンバーだから。
驚いたのは、最初の曲候補が挙がってきたから自分が軽く曲編集をしてグループLINEに送ったら、全員から「じゃあこれは?」と再編集された音源が送られてきて(笑)。1投げたら10返ってくるような、メンバーからの熱意を強く感じたんです。びっくりしました。
──KAIさんのみならず、メンバー全員が強い思いで臨んでいたと。
そうそう。自分がコンテスト出場を決めたときの思いに立ち返ったとき、HEARTSは「圧倒的に勝つ」こと、そしてキラキラしているスターチームになっていてほしかった。
先輩も中堅も若手も頑張っている、それが色んな人に刺さっていてほしい。
だから、中途半端なものを出すことは許されないなという意識はありましたし、奇をてらい過ぎることより、直球で、ストレートで戦いたかったという感じ。
あと、あくまで自分は─という話ですが、HEARTSは世界大会優勝を見据えていたから日本予選は少し引き算で臨んだと思っています。むしろリラックスして臨めていたんじゃないかな。メンバーによって色々捉え方の違いはあったかもしれないけど。

──そうなんですね。KAIさんは“緊張しない”という話をよく聞きますが、そういう部分が如実に露わになったエピソードですね(笑)。
でも普通チャレンジする側って必死だし、まずは“目の前の勝負を勝とう!”って思うじゃないですか。そこを世界大会まで見据えて臨めていたというのは、やっぱりビジョンがあったから。
そうだね。それもあるし、あとこの活動って「自分が勝ちたい」という思いより、シーンにいる仲間や後輩たち・川崎の方々・世の中とか、色んなものに対して影響を与えたいというのが原点だったから。そこが原動力でしたね。
──国内予選に立ち向かって、HEARTSは3位で世界大会への切符を掴むことになります。その時の心境はいかがでしたか。
予想通りっていう感じでしたね。正直なところ、1位通過したい!とはそこまで思っていなくて(笑)。3位くらいで通過できた方が気楽に臨めるかなとすら思っていたから、よしよし、まずは1つクリア、みたいな感じでした。
フュージョンとスポーツは「全っ然違う!」

──少し時間軸を遡ります。HEARTSと並行して、FORとしての日々もあったと思うのですが、そちらはいかがでしたか。
KAI
さっき「同じダブルダッチなのに…」とは言ったけど、本当に全っ然違う(笑)。
フュージョン種目は簡単そうなことでも難しく見せたり、あるいは別の角度から新鮮な見せ方をすることが評価につながるけど、今回はまず技の難易度が高くないとお話にならない。だから普段のパフォーマンスでは良いとされていることが、こっちだと全く評価されないこともあるのさ。
「同じダブルダッチ」ではあるんだけど、例えるなら同じ球技なのに野球とサッカーくらい違う。「俺ってこんな下手くそなんだ」ってことをもう一度思い知らされたんだよね。
──分かりやすい(笑)。でも確かに、スポーツジャンルの方はレギュレーションが本当に細かく設定されていて、ルールブックの文量も膨大ですよね。一方“曖昧性”を許容するフュージョンはそれに比べると、はるかにその文量は少ない気がします。
右も左も分からないし、よく経験者のERIや、FORをコーチングしてくれたDAIKIに「そこ違います」って否定されて、自分はそう思わないんだけどな…とたまに反抗してみるものの、やればやるほど彼らの言ってることが正しいんですよ(笑)。
そっか、凄いなって思いながら、一つ一つ未知を潰していった感じですね。楽しかったけどね。

スポーツジャンルに精通し、FORを“コーチ的存在”として支えた (本人提供)
あとALL JAPANでは、ダブルダッチは4種目やらないといけないんですよ。フリースタイルシングル / ペア、スピード / スピードリレーと4種目やらないといけなくて、しかも自分とERIはその4つ全てに出る選手。その全ての技術を日本代表レベルにまで持っていく必要があったから、とても苦労しました。身体も心もボロボロになって。
──そうですよね。HEARTSの時とは対照的に、上手くビジョンを描けなかったと。
そうだね。通ったことのなかった道だったから。“模索”って言葉が一番しっくりくるかな。
でも、とはいえ自分に全くダブルダッチの経験がないわけではなかったから、ゴールから逆算するように点を打っていたのが『HEARTS』だったとしたら、『FOR』では今見えている少し先に向けて点を打つように向き合っている感覚だった。

──なるほど。じゃあもうフュージョンの臨み方と、スポーツのそれとは全く異なるし、慣れているか否かということも大きく影響していたのですね。
そして大会当日を迎えたわけですが、振り返っていかがでしたか。
予選当日はフリースタイルが特にボコボコで(笑)、かなりミスがあったけどギリギリ持ち堪えて2位通過。あと、全ての種目に出場したチームが「総合」というカテゴリで入賞することがあるんだけど、そこで僕らはなんとか総合2位通過。
この予選の日、僕らはやっと勝負の土俵に立つことができたんだなと思いました。“アスリート”としての自分がやっと確立されたし、上には上がいることも改めて痛感しました。

・・・
こうして『HEARTS』そして『FOR』で、どちらも決勝大会への進出を決めたKAI。慣れないスポーツジャンルのダブルダッチと格闘しながら、一方で自分の“主戦場”としていたフュージョンジャンルのダブルダッチでも世界一を目指し、戦いは続いていく。
着々と壁を越え、その走り出しは順風満帆にも見えたが、ここからが正念場だったことを当時の彼らは知る由もなかった。
#2 決勝大会に向けて
6人の“心”
KAI
『HEARTS』では難なくショーも完成して、ここから決勝トーナメントのチームバトル* の準備に取り掛かろうと練習をしていたんだけど…
*編集部注:DOUBLE DUTCH CONTEST WORLDではショーケース披露後、その得点の上位4チームが、DJの流す音楽に即興で合わせ相手チームと1対1で戦う「チームバトル」に進出。バトルトーナメント優勝チームが“世界一”となる
KAI
その途中である日、5月ごろだったかな─ Elinaが負傷してしまった。最初は捻挫くらいだと思っていたんだけど、病院で診断されたら骨折していた。まあ一言で言うなら大怪我。
残りのメンバーはElinaの復活を信じて練習を重ねていた。でも、Elinaは正直出場できるかどうか分からない状態で練習をすること自体が迷惑になってしまうと感じて、「私以外の5人で出てほしい」と。そういう思いを各々が抱えていたんだけど、ある時にそれをぶつける、本気の話し合いがあったんですよ。
でもそこで最終的に、改めて一人一人が「Elinaが出ないなら出ない」という選択をしたんです。それは変にElinaにプレッシャーを与えたいという意図ではなくて、Elinaを含め6人で『HEARTS』だから、それが今年難しいなら、6人揃ったときにまた改めて出ようよ!って。
ユートとかカッコよかった。「1週間前とか3日前まで待ちます」って。「それでダメだったらダメで良いっすよ、だから大船に乗ったつもりで、なんでも無理そうなことでも言ってください」って。
素晴らしいなこのチームは、って思った。

あと、これは過ぎたことだから好きに言えてしまうかもしれないけど…。最初に病院で診断を受けたあと、Elinaから連絡をもらってすぐに電話したとき、声を聴いて「こいつは絶対に帰ってくる」って確信があったんです。その電話の時に、もう完全にHEARTSは勝ったわって確信が。
──凄まじいエピソードでした。きっとKAIさんの意図されてることとは違うのかもしれませんが… ただただ、信じる力って凄まじいなと感じました。
Elinaからも並々ならぬ思いとパワーを感じたけど、それ以外のメンバーからも強い思いを感じた瞬間でした。
そこからはもう、駆け上がるだけ。怪我というすごくマイナスなことはあったけど、それを機にHEARTSはより団結して、よりパワーが生まれた。本当、随所に“人間力”を見ましたね。人間力の塊(笑)。
例えば練習が13時スタートだったとして、自分がFORの練習で先にスタジオに行ったら、11時とかにはみんなも揃い始めて時間になるまで自主練していて。
あとElinaも、自分が跳べない時の練習にもいるんです。ストレッチしながら自分はどう立ち回るのかを考えながら練習に参加している。俺らもプロパフォーマーとして活動しているけど、彼女からはまた別の“プロフェッショナル”を教えてもらったような感じだった。
──名は体を表すとは言ったもので、まさしく“HEARTS”というチーム名の通り、各々の気持ちがぐっと固まって、試練を乗り越えていこうとしていたんですね。
あとはそこから、俺の奥さんであるMaykaが衣装を徹夜で作ってくれたり、ゴット・タレントへ一緒に出場したメンバーで、残念ながら今回は出場できなかったDAICHIさんに練習に来てもらったり、あとは同期で今も最前線で切磋琢磨してるt.taishiとか、REG☆STYLEのKO-YAやKEITAが来てくれたり。
周囲の色々な人たちに助けられて直前期に突入していきました。

生まれた“ポジティブ休暇”
KAI
でも、FORも同じ。相変わらずそっちも大変で、みんなで団結してやっていくことには変わりなかったね。
3月の国内予選でやっと右左くらいは分かるようになってきた感覚があって、自分がどこへ向かい、何を目指すべきなのかがハッキリしてきたから、それを元に練習を進めていきました。ただ、何より大事なのはフィジカルとメンタル。
──そうですよね、本当に。
練習はもちろん、それ以外の時間にめっちゃくちゃ走り込んだりシャドー(ロープ無しで駆け足跳びの練習)をやったりしていた。
そして模索する日々を送りつつも、6月のイベントでゲストとしてフリースタイルを披露させてもらった機会があって、そこでやっと手応えを掴めた感じがしました。
──FORとしても“峠”を越えて、やっとの思いで向かっていこうとしていると。
いや、でもやっぱり色々あった。unnoとMAHOROは『ブリテンズ・ゴット・タレント』があったでしょ。MIREIも別のチームで学生大会が控えていた。で、ERIはさっきも言ったけど会社員で、そうやって各々がハードな生活を送るなか、わずかな時間も惜しんで練習時間を作って進めていた。なんだけど… ERIがアジア選手権の1週間前くらいに救急搬送されちゃって。
確かにその日の練習、顔面蒼白だったんだよね。気をつけて帰りなよーなんて言ったら夜に点滴の写真が送られてきて(笑)。
──ええっ。
でも、それでまたFORの一人ひとりと電話して「このERIの件をどうポジティブに考えるかが大事だよね」って話をしたんです。元々みんなタイトなスケジュールだったから、これはじゃあ“ポジティブ休暇”ってことにしよう!と。
みんなで「ERIのおかげでちょっと休めるわ!」って考え方にしてしまって、練習から戻ってきた時にはもちろんERIの体調に気遣いながら、時折それをいじったりもして(笑)。逆にすごい明るい方向に持っていくことができたのが結果として良かったなと思ったんです。

──なるほど。今お話を伺っていて、KAIさん流のチームメイクとして、“ポジティブに捉えよう”というところが大きいなと思いました。
そうだね。Elinaの件もERIの件も、変な意味じゃなくむしろ「こういうことがあって良かった」って思えて臨めたのは大きかった。
やっぱり気持ちを上げていかないと意味がないし、どんな出来事も衝突も、チームとして一丸となって戦うなら、結果それが右肩上がりになっていかないと意味がないと思っている。常にポジティブに捉えようという意識はしているね。
──逆境のさなかだからこそ、逆転の発想を持とうという考えは非常に学びになりました。でも、結局チームメイトがそういう状況になるというのは、自分の力だけでは乗り越えられるものではないじゃないですか。どうしてそこまでポジティブに居られるのかなと。
人が好きなのかな(笑)。でもだからこそ、一緒にやる人って大事ですよね。チームメイトは大切な存在。中途半端にはしちゃいけないし、1人じゃないからこそ何でもできるということは、自分の体験談として学んできたことです。
良いも悪いも、自分自身の向き合い方次第
──少し各チームの話題から脱線しますが、KAIさんと話すといつもポジティブな視点を持てるなと思っていて、私は勝手に歩くパワースポットだなって思うんですよ(笑)。
そうやってKAIさんが人をポジティブにしているのは想像に難くないのですが、そう思うに至った原体験に迫りたいなというか。KAIさんがポジティブにさせられたな、ってことはありましたか?
KAI
ありますね。やっぱりREG☆STYLEの存在なんじゃないかな。
学生時代からダブルダッチをやってきて、その後2014年に『シルク・ドゥ・ソレイユ』で活動していた『CAPLIORE』というプロチームに入れてもらったんです。ここまでは割と順調に、とんとん拍子で進んで行きました。

ただそのあと、2016年くらいかな。ショーの期間が終わって自分は日本に帰る選択をして、日本で活動していたREG☆STYLEに入ったんだけど、正直その時期はめちゃくちゃ天狗だったし、当時のREGはお世辞にも“プロ”とは言える状態ではないと思っていた。かたや自分はCAPLIOREとして先輩たちとステージを踏んできたから、自分が引っ張らなきゃ!と思っていたんだけど、今思えばどの目線で言っとんじゃって言葉ばかりだった。
REGの一員としての言葉がなかなか出なくてどこかずっと他人事… そうこうしているうちに、アキレス腱を断裂してしまったんだよね。確か2018年くらいのことだったかな。
──確か2度目の世界大会出場後、3連覇に向けて動いていた矢先の出来事だったと記憶しています。
自分がカマさないとと思っていた矢先に怪我で動けなくなって、本当に根暗になった瞬間だった。でもその時期に一緒になって引き上げてくれたのが、REG☆STYLEだったんだよね。
──じゃあKAIさんにとって、この大怪我は人生観を変える大きな出来事だったと。
そうだね。相当大きかったし、結果相当ハッピーを呼んでくれた事件だった(笑)。むしろ怪我してなかったらどうなっていたんだろう…とすら思う。自分を正しい方向に変えてくれたきっかけだった。
本当、リハビリとか地獄のように痛いの。リハビリの後は筋トレもしないといけなくて、いつ完治するかもハッキリしないまま、心の中ではシーンやREG☆STYLE、事務所のみんなに迷惑をかけてしまっているなとモヤモヤしていて。でも表に立つ身として、明るく振る舞わないといけないじゃん。
夜も寝付けない、むしろ目覚めてしまったらまた辛いルーティンが待っている。そこで地の底まで落ちた経験と、周囲で支えてくれた人の存在が、今の自分を作っているなと思います。

──だからこそ、同じような境遇にいるElinaさんのような仲間や出来事に対しても、ポジティブに向き合うことができたのかもしれませんね。
そうかもしれないね。怪我やリハビリの辛さとか、そこからどうしたら這い上がれるか…ということも何となく分かるし、「こいつは戻ってくるな」ってElinaに感じたのも、似た経験があったからなのかもしれない。
──軽い言葉でまとめるのも憚られますけど、やっぱり傷ついた経験というのは人を大きく変えますよね。本当に経験だな、というか。
良いも悪いも自分自身の向き合いようでプラスに変えられるんだなと改めて感じました。
・・・
降りかかる幾多の試練をなんとか乗り越え、なんと両チームとも無事にフルメンバーで大会のステージに立てることが決まった。奇跡か必然だったのか─それは神のみぞ知る話であるが、いずれにしても、彼らの血の滲むような努力が呼び起こした成果だったに違いない。
そうして2024年7月、アジア各国の選手が川崎に集結し、戦いの火蓋が切って落とされる。
日本選手団として迎える決戦の日々。しかし安堵するのも束の間、まだまだそこには壁が立ち塞がっていた。

#3 迎えた決戦の日々
笑顔で「頑張ろうぜ!」

──私もアジア選手権大会というのは初めての経験、1週間という長期の大会も初経験で、これは選手は相当大変だったんじゃないかな… と思っていたんです。出場されていた立場から当時を振り返って、いかがでしたか。
KAI
オモロ3:キツい7だったね(笑)。
今まではその一日に全身全霊をかけて臨めば良かったけど、そうはいかないから大変だった。FORとしては4種目あるし、そこにHEARTSとして最終日に世界大会があるから、出場しない日にも練習はあったし、詰め詰めのスケジュールの中でなんとかやっていました。
しかも本戦がある種目もあって、ありがたいことに予選を突破したら一度で終わらないものもあったり、アンチ・ドーピングの観点から自宅には帰れず、日本選手団も近くのホテルに泊まらないといけなくて、心も休まりきらない日々。
最終日のコンテストは正直、今まで出た大会で一番ぼっとしてしまってたなと思う。
──大会やってまた次の大会って、今までからすると考えられない話です。
でも、だからこそ他のスポーツジャンルの選手たちって凄いなって改めて思いました。
それこそ僕らはダブルダッチ種目だけだったけど、選手によってはシングルロープ(単縄のこと。一般的な“なわとび”)種目と掛け持ちして出ている人もいて、1種目終わったら脚を引きずりながらまた別の競技へ向かっている人とか、裏でぶっ倒れてる人たちをたくさん見た。
そういう人たちをたくさん目の当たりにして、俺らは少なくとも、笑顔で戦わなきゃいけないよねって。色んな国の選手たちに笑顔で「頑張ろうぜ!」って声をかけていました。

多くのアスリートたちがしのぎを削った (本人提供)
それで最後、TEAM SHOWという種目で各国の選手がパフォーマンスを披露する種目があるんですけど、見ているともう涙が止まらなくなるんです。一人一人怪我していく姿とか見て、その選手から命懸けで向き合っている姿から溢れるパワーというか、パッションというか… 強く刺激を受けました。
あとは、運営陣やスタッフなどの裏方の人たちも選手と同様に、あの日々がハードだったのを目の当たりにしていました。みんながいてあの空間、あの日々があったから、俺はへこたれちゃいけないなって。色んなことを考えたとき、確かに苦しかったけど、それでも笑って過ごそうと思っていました。
──ここでもなお、KAIさんは“ポジティブ”だったと。
FORの方は思っていたより成績が良くて、正直まさかあんなにメダルを獲れると思ってもいませんでした。表彰台の一番上から『君が代』を聴いたときは涙が出たな。チームメイトとハグして喜んだ瞬間とか、たまんないよね。

──苦しい日々を乗り越えてきたからこそ、得られた喜びとか、そこで見て感じるものも大きくなりますよね。素敵な経験です。
このステージに“選手”として立つ意味
KAI
それで、その期間の最終日に、HEARTSとしてコンテストワールド(世界大会)があった。
たださっきも言ったけど本当にぼーっとしてしまっていたし、目覚めたら脚も上がらない、肩も上がらない。身体のコンディションは相当悪かったけど、とりあえず風呂に入って「笑顔で会場に入ろう」と決めて向かったことは覚えている。
それこそ裏方の人たちもアジア選手権から地続き、ほぼ同じメンバーで運営していたのもあったし、大会にはアジア選手権で出会った選手たちも大勢いたから、いつも以上にこのステージで“選手”としている意味を考えながら全力で戦おうと思ったんだけど、改めてショーの映像を見ると軽くフラついてるんだよね。
どうなっちゃってもおかしくなかったと思うけど、最後まで動かしてくれたのは色んな人たちの支えだったなって思います。色んな人の顔が浮かんだショーだったな。

──限界の状態で迎えていたんですね。正直、見ていてそうは思えないくらいパワーがありました。
そしてショーケースを終え、HEARTSは1位で続く決勝トーナメントのチームバトルへ駒を進めることになります。
ショーケースが終わってやっと本調子になった感じでした。身体の感覚も戻ってきて、頭も冴えてきて、もう大丈夫だなって。
初戦の相手は同じ事務所で、お互いプロチームとして切磋琢磨してきた『NEWTRAD』。彼らも色んな葛藤のもとここまで戦ってきたのを知っているから、全力で迎え撃ちました。REG☆STYLEとしての経験もあるから、あそこまで登り詰めるのは並大抵のことじゃないのも知っている。お前ら凄えな、ありがとう、って気持ちで戦いました。

無事に突破し残すところは決勝戦のみだったんだけど、その後、同時に開催されていたソロバトルの大会『DOUBLE DUTCH ONE’S』で、ユートが決勝戦で負けてしまったんだよね。ユートも二足の草鞋を履いて、そっちにも全力で取り組んでいるのを知っていたから。
控室から出てこれないくらい気持ちが沈みきってるユートを支えようと向き合うHEARTSの姿と、一緒にもう一度戦うぞっていうユートのパワーに心を打たれて、決勝のSAMURAI DRIVEとのバトルに向かっていきました。
──あの決勝戦は凄まじかったですね。文句なしにチームバトルの最高峰の勝負だったと思いますし、“スタイルウォーズ”の極致だったと思います。
これまた相手はRYO-TAやMochasとか、付き合いの深いメンバーたちで。目の前で完璧なムーブをカマされて、お前らやるな、凄えなって。
ワクワクと負けないぜってたぎる気持ちがどんどん湧いてきて、めちゃくちゃ白熱したバトルだったかなと思う。REG☆STYLEのときとはまた違う感情になったな。
でも万全の練習を重ねてきたと思うんだけど、やっぱり本番だと見たことないミスが出てくるんだよね。
──個人的に、SAMURAI DRIVEはミスを抑えて手堅く戦っていたのに対し、HEARTSはオリジナリティという点では優れていたように思います。ただどちらも本当に甲乙つけ難い、ハイレベルな名勝負でした。見ている側も、最後どちらに軍配が上がるか分からなかったです。
SAMURAI DRIVEの圧倒的な火力に対して、HEARTSは“NEW”をぶつけてきた。この戦い方の違いも面白かったし、全員がここに懸けてきた情熱も感じた。
ただ終わった瞬間の正直な気持ちとしては、ミスも目立ったからダメだったかな…と思っていました。
──そうなんですね。優勝はできなかったかな、と。
だから結果発表でHEARTSの側に腕が上がって、驚きもした。もちろん凄く嬉しかったんだけどね。でもやっぱり、全体的にフワっと時間が過ぎていった感覚はどうしてもあったな。

KAIが思う“勝利までの道のり”

──ここまで凄まじいお話を聞かせていただきましたが、いくつか気になったことを伺わせてください。
まず大会期間中、ベストなコンディションで臨めていなかったというお話もありましたが、(長期の大会でなくても)そもそも大会当日をベストな状態で臨めないことも少なくないと聞きます。
振り返って今回、そういった状況でもどうして勝利を手繰り寄せられたのかと思われますか?
KAI
準備だけは完璧にこなせたなと自信を持って言える状態まで持っていくことができたからかな、と思っています。徹底的に練習もしたし、大会期間中や直前期にしんどくなったり、過密なスケジュールになることも想定していたから、「それでも100を出せる自分」を事前にチームとして創り上げていけたことが理由かなと。
──それが絶対的な答えですね(笑)。
そうそう。準備が全て。当日はやっぱり手元が狂うこともあるから。
──その「準備」というのはどういったことをされていたんでしょうか?
フュージョン(HEARTS)に関しては、ありとあらゆるミスを想定して潰していきました。冒頭にもお話しましたが、経験もあったからゴールは見えていて、そこから逆算することもできたので、自分以外のミスも含め「今これがこうだったから、ミスの原因はここだね」っていうのをトライ&エラーでやり続けていきました。
どういう感情のときにどういうミスが出るとか、この縄のときにこういうミスが起こるとか、それを理解すること、解決しようと試みることを当たり前にし続けることが大事。
例えば順番が繰り上がっちゃったりとか、音が小さくて聴こえづらいこととか、照明が暗くて見えづらいこととか、当日右手が満足に上がらなくなるとか、色んなシチュエーションをイメージして向き合っていたから、何の心配もなかった。
ただ、チームバトルは心配要素もあった。DJがどんな音楽を流すか分からないし、ムーブ自体は準備できてもあとは即興で対応するしかない。でも対応力の部分は鍛えておくことはできると、来てくれたtaishiやKO-YA・KEITAとバトルしたり、DAICHIさんや奥さんのMaykaに真正面に立ってもらったりとか(笑)。
それでも本番ミスは出てしまったんだけどね。

──でも「ベストを出せるような準備をする」という根底の部分は共通していますね。かつこれまでの豊富な経験から、シミュレーションを重ねられていたような印象を受けました。
ただ一方で、FORとしては初のスポーツジャンルの大会への挑戦ということで、そのシミュレーションもフュージョンほど効かなかったのではないかなと思うのですが、いかがでしたか。
フュージョンでミスの要因の120%くらいを理解できているとしたら、スポーツジャンルに関しては70%くらいだったかな。なぜミスして、なぜ上手くいっているのかがハッキリ分かっていない状態で本番を迎えざるを得なかったというのはあります。
根本的に、例えばショーだと1エイトの間に注意点が2箇所くらいあるとしたら、こっちは1カウントに16個くらいあるパートもあるんです。それを同時に捌かないといけないんだけど、どれだけシミュレーションしても処理速度が追いつかない。だからそれを考えなくても上手くいくくらい、とにかく身体に染み込ませて練習を重ねるしかなかったです。
本番当日までミスの全容は掴みきれなかったけど、成功率はちゃんと上がっていく。不安はあるけど、これくらい出来るようになったから、あとはもう本番は覇気だし、なるようになる。このメンバーで頑張ってきたから、俺らなら大丈夫と。そういう意味で、そう思えるくらい練習してきました。

#4 激動の日々を振り返り、思うこと
こうして幕を下ろした激動の日々。本気で戦い抜いたKAIが感じたのは、思わぬ感情だった。
・・・
──最後に伺いたいのですが、あの激動の日々を振り返っていかがでしたか。終えてみて思ったことや得たものってありましたか?
KAI
“燃え尽き症候群”みたいなものは無いなと思ってたんだけど、とりあえず次の日はベッドから起き上がれなかったね。川崎のホテルに泊まっていたけど、身体中が軋んで動けない。あっ、でも最終日の次の日にはワークショップがあったから、満身創痍だったけどそれを見に行った。
でも終わった直後も世界を獲ったんだとかって実感は湧かなくて、とりあえず「この日々を終えた」ってことだけ感じた。なんか燃え尽きたかもなー、って。
でも一回、不安にはなった。今回の俺の挑戦は誰かのためになったのだろうか、みたいなことを考えた。自分のやったことは合っていたのか、他にやるべきことは無かったのか…。今でもちょっと考えるときがある。
──そうなんですか。正直意外でした。
あんまり不安に思うことはないけど、誰かにいつか聞いてみたいなって思った。「俺、これで良いんすかね」って先輩とかに。

──それは手応えがなかったから、ということですか?
いや、手応えがないというか、手応えがあっても思うんだろうなと。
でもこうして“誰かの、何かのために”という思いで整えながらやっていかないと自己満で終わってしまうだろうし、色んな人の意見に耳を傾けながら、自分がどうあるべきかを決めていきたい。
でも何だか良い不安を持てたなって思うし、その上で今進もうと思えているから大丈夫だと思う。
──最後はやっぱりポジティブですね。
あと、どうやら「自分のために頑張れない」人らしいんだよね(笑)。誰かのために、誰かと一緒にやりたい。思い返すと、REG☆STYLEに加入したごろの時期は自分中心の日々だった。自分を守る行動や言い訳が多かったけど、怪我をきっかけに、誰かのためにというマインドになった。
これからもダブルダッチ、そしてジャンプロープを広げるために命を燃やして、最期は1抜けしながら死ねたら本望だなとか思ってる(笑)。
あとは先人たちが紡いできてくれたものへの感謝も伝えたいなとか、自分としてはコンテストを4回優勝したから、キリよくいつか5回目も達成したい。
でも大それたことを言うつもりもなくて、誰かが次の日、「明日俺も頑張ろうかな」って思ってくれさえすればそれでオッケーだなとも思う。
どれも簡単なことじゃないと思うけど、これからも心が燃え続ける限り跳び続けていたいなって。そう思います。
・・・
彼のもとに、全く不安が訪れないということではないのだろう。しかし、逆境に立ち向かうKAIはいつも“ポジティブ”だった。
不安や痛みを感じないことではなく、それを全身に受け止めながらも前を向くことが真の「強さ」なのだと教えてくれた。そしてその強さは、ジャンプロープというカルチャーと、その周囲にいる人々の存在があったからだと口にする。
これからもKAIは、誰かのために跳び続ける。その心が、力が、命が、彼の中で燃え続ける限り。

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skate涙の女子決勝と讃えあう男子決勝「ワールドスケートボードストリート2025北九州 – グランドファイナル – 」大会レポート2025.12.06福岡県北九州市小倉の北九州メッセにて2025年11月26〜30日に開催された「ワールドスケートボード ストリート 2025 北九州」。本記事では最終日に行われた女子決勝と男子決勝についてレポートしていきたい。 女子決勝レポート 準決勝から勝ち上がった日本勢は赤間凛音、松本雪聖、織田夢海、大西七海。 中国からツゥイ・チェンシーとジュー・ユアンリン。韓国からはシン・ジユル。 オーストラリアのクロエ・コベルの8名。 今大会で目を引くのはアジア圏の圧倒的強さである。中国には現在、成都という街がスケートパークやイベントに力を入れ、韓国でもストリート文化の急速な発展、オーストラリアのゴールドコーストにはクロエ・コベルのためを思って作られたPizzey Park Skateparkがあるという国それぞれの背景を持つのも興味深い。 表彰台に上がった3名と筆者が気になったスケーターの計4名について紹介していく。 松本雪聖 ©︎Kenji Haruta / World Skate 8名の入場時、会場からの声援が一番大きかった彼女。 ベストトリックでは唯一バンクからの飛び出しセクションにて「キックフリップフロントサイドノーズグラインド」をラストにメイクし地元九州での逆転優勝を飾った。 地元九州での開催に多くの友人が駆けつけた今大会。プレッシャーを感じていたか優勝が決まった瞬間には涙するシーンに会場からは温かい声援に包まれた。 得意とするキックフリップと超越する跳躍力はロサンゼルスの地でも羽ばたくに間違いない。来年の彼女の滑りにさらに注目したいと思わせる今大会であった。 織田夢海 ©︎Kenji Haruta / World Skate 1本目のランを完遂した彼女はラン2本目でラストトリックを「キックフリップ50-50グラインド」に変えてさらなる高得点を獲得。ラン中には女子ではあまり見られないレールでの「バックサイドノーズグラインド」もメイクした。 ベストトリックでは彼女の代名詞「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をメイクし松本との優勝争いを繰り広げた。 逆転優勝を狙うためにトライした「キックフリップバックサイドスミスグラインド」は惜しくも決まらなかったがチャレンジしにいく姿、挑戦という過程において次回以降の大会での披露に期待したいと思わせてくれる一場面であった。 クロエ・コベル ©︎Kenji Haruta / World Skate 優勝した松本と対照的な涙を流していたのはクロエ・コベル。自身のラン3本のうち最初2本では思いもよらぬ場面でのミスの悔しさからか他のスケーターのランでの待機の間に涙している姿があった。しかし3本目のランで立て直し、ベストトリックでは「フロントサイドブラントスライドビックスピンアウト」をメイクし表彰台の3位へと登った。リカバリー能力はまさに多くの大会実績を残してきた彼女の特徴とも言える。 早くから北九州の地で調整を行ってきた彼女は今週末に行われるブラジル・サンパウロの「SLS SUPER CROWN 2025」でも表彰台へと期待がかかる。 大西七海 ©︎Kenji Haruta / World Skate ベストトリック練習時にひたすらレールに「50-50グラインド」をかけていたのが彼女。50-50グラインドはスケートボードトリックでは基本的なトリックなのだが彼女が行っていたのは丸いレールにグラインドを掛け、さらにはしっかりオーリーをしてレールアウトを行っていたのだ。丸い不安定なレールから安定した形でテールを弾き距離を出してのオーリーアウト。 本番では「50-50グラインドキックフリップアウト」をメイクした。練習で手の内を明かさず本番で度肝を抜くトリックの披露にまさにマジシャンのように見えたのであった。 女子決勝まとめ 事前練習やベストトリック前の練習を見る限り、誰がどんなトリックを繰り出そうとしているのかスケーター間でも分からないようにする心理戦も含まれているのではと思わせる戦いであった。初出場や初の決勝進出のスケーターと世界ランキングに関係なく、その日の調子やコンディション。ランでミスがあれば早めに手を上げて切り上げて体力温存するなどトリック以外の部分でも戦いに大きく関わってくるのがこのワールドスケートの大会の醍醐味であると感じた。 男子決勝レポート 日本からは白井空良、根附海龍、青木勇貴斗が決勝へと進出。韓国からはジュニ・カン。南米のブラジルからジオバンニ・ヴィアナとワラス・ガブリエウ。アルゼンチンのマティアス・デルオリオ。ペルーのデイビット・トゥエスタの8名にて決勝が行われた。 表彰台に登った3名のスケーターと筆者が気になったスケーターの計4名のトリックに注目して紹介していく。 白井空良 ©︎Jason Halayko / World Skate 誰も真似できない「バックサイド180スイッチノーズグラインド」 ベストトリック2回目にて、このトリックをアプローチしたのだがトラック部分を乗り上げてしまい腰から地面に強打したのだが、ラストにて完璧なメイクを決めたのであった。スケートボードのトリックは流行りや誰かからインスパイアを受けて新しいトリックへとアップデートされる形が多いのだが白井のこのトリックは、ここ数年を見ても誰もが真似できないほどの難しいトリックだ。近年ではNike SB | Yuto Horigome in Tokyo(2023)のラストトリックを今回の決勝進出した韓国のジュニ・カンがTampa Am 2024のウイニングランのラストトリックに取り入れたりしたのが印象にはあるが、白井のこのトリックを誰かが取り入れた前例は未だかつてない。 個人の名前がつく「ソラグラインド」他のスケーターがメイクする日はまだまだ先の未来であるかのように感じたのだった。 根附海龍 ©︎Kenji Haruta / World Skate ラン中に見せた「レイトショービットインフロントサイドボードスライド」 スケートボードは主に滞空時間の間に板を回すのだがレイトトリックとは一度空中に飛んだ状態から板を操る動きを指す。代表的なレイトトリックからのスライドとグラインドはYuto Horigome’s “April” Part(2023)のラストトリック「ノーリーレイトフリップノーズスライド」やPaul Rodriguez “Me, Myself & I “(2010)のラストトリック「ノーリーレイトフリップバックサイドクルックドグラインド」といったエンダーを飾るトリックなのだ。ビデオパートとは違いコンテストのラン45秒に他のトリックを繰り出し体力を消耗している中での1発メイク。 本人も満足のいくランに驚きを隠せない様子であった。レイトトリックの可能性を引き出す、そんなランを見せつけたのであった。 青木勇貴斗 ©︎Kenji Haruta / World Skate スラムからの気合いで乗った「ノーリービックスピンヒールフリップバックサイドリップスライド」 ベストトリック1回目に同じトリックでエントリーするもレールにデッキがうまく掛からず少しダメージがあるような転け方に見えたがベストトリック2回目で完璧なメイクを見せた。ランでも見せたクルックドグラインドバリアルヒールフリップアウトとともにビックスピンヒールフリップ回転も得意とするのが際立った今大会の青木。初のワールドスケート表彰台へと登った勢いは次回以降の大会の表彰台にも多いに期待したい。 ジュニ・カン ©︎Kenji Haruta / World Skate オリジナルへと導けるか「ノーリーバックサイド270ノーズスライド」 スケートボードではNBD(Never Been Done)と言われる誰もやってないトリックに賞賛が集まる。先述したように誰かのオリジナルトリックには個人の名前が付くのもその1つだ。ジュニが見せたこのトリックでは堀米雄斗を思い浮かべる人が多いと思われる。 スイッチフロントサイドの回転を得意とする彼が今後NBDと言われるトリックを見つけ、メイクを量産していくとなれば常に表彰台へと登る姿が想像できる。 ジュニのまだ見ぬとトリックに期待と彼のポテンシャルではなし得ることができるように感じたのだった。 男子決勝まとめ 前回のローマ大会同様コンテスト形式が変わり世界ランキングの上位のスケーターが決勝へと確実に上がるとは限らなくなってきている傾向がある。ベストトリックが3回しかないのは特典の積み重ねができるかできないか大きく鍵を握るポイントだ。そんな中、自国開催で表彰台を独占したのは誇らしい結果となった。 最後に 初めての北九州で行われた4日間の「ワールドスケートボード ストリート2025」。最終日の決勝には約2500名もの観客が訪れた。会場を一歩外に出てもスケートボードに乗って移動ができ、滑走エリアでは朝早くから滑る子供達の姿が印象的であった。会場外では日々場所を変えてのイベントが開催されるなどスケートボードの地となった北九州。多くの参加スケーターがインタビュー時には「この街が好きになった」「もつ鍋や料理が美味しく、また北九州に来たい」と語っていた。ぜひ来年もこの北九州で世界大会が行われることを期待するとともに世界の第一線で活躍するスケーターを編集部から読者へ伝えていきたい。Text by Aoi Tsuzuki
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surf想いをつないで未来へ──SURF & MIND SESSION Vol.12025.12.012025年11月29日(土)、神奈川県藤沢市・鵠沼海岸にて、「自分を信じる力」を育てる新しい価値 SURF & MIND SESSION Vol.1 が開催された。第1回となる今回は、中学生の女子ショートボーダーを対象に実施。北は宮城県・仙台から、南は宮崎県まで、全国からサーファーが参加した。 SURF & MIND SESSION が生まれた背景 Photo by shujiizumo SURF & MIND SESSIONは、世界を舞台に戦う都筑有夢路と都築虹帆、そして元競技者であり解説者として活動する水野亜彩子。この3人の視点と願いが重なって立ち上がったプロジェクト。海外のコンテストを転戦する中で、都筑有夢路と都築虹帆は遠征先でよく将来の話をしていたという。「自分たちが世界で経験してきたことを“形”にして次の世代に残したい」 「より良い環境で、サーフィンを楽しみながら続けられる子が増えてほしい」そんな思いを共有しながらも、現役選手として日々世界中のツアーを飛び回る2人には、実際に企画を動かすだけの時間や余裕がなかった。一方、元競技者として長くシーンを見てきた水野亜彩子は、若手選手のセカンドキャリアや社会との接点づくりの重要性を強く感じていた。 「現役選手が輝く姿を発信し続けることが次の世代の憧れを生み、その憧れが選手の価値を高め、やがては引退後のキャリアにもつながっていく。」そう信じながら“いつかそういう場をつくりたい”という思いを抱えていたタイミングで、2人の話を耳にすることになる。都筑有夢路と都築虹帆の「今、現役だからこそ伝えられるリアルを次の世代に届けたい」という願いと、水野亜彩子の「選手の未来を支える仕組みをつくりたい」という思い。そのベクトルがぴたりと重なった瞬間、止まっていた“夢の会話”が一気に動き出した。SURF & MIND SESSION が目指しているのは、技術指導だけではない。テクニックに加えて、メンタルの整え方、自己肯定感の育み方、壁にぶつかったときの向き合い方まで「心とサーフィンの両方に光を当てる学びの場」である。挑戦に向き合う背中をそっと支え、その心を丁寧に育てていける場所を、これからも育てていきたいと考えている。 挑戦が生まれる午前の海へ Photo by shujiizumo 午前中は集合後にビーチクリーンを行い、その後、2人から普段行っているアップ方法を教わってサーフセッションがスタートした。参加者は4人ずつのグループに分かれて海へ入り、地元の皆さまのご協力で設けられた専用エリアのおかげもあり、みんなが次々と良いライディングを披露していた。30分ほどサーフィンをした後はいったん海から上がり、2人からアドバイスと修正点を受け取る。そして再び海へ向かい、教わったことを実践していく。都筑有夢路と 都築虹帆は、参加者一人ひとりのライディングを細かく見てはノートにメモを取り、しっかりと共有しながら指導を進めていた。印象的だったのは、2人が必ず「褒める」ことから始めていたこと。たとえワイプアウトしてしまっても、プロの2人はそれが“攻めた結果”であれば、その挑戦する気持ちを認めて言葉にして伝える。そのうえで、必要なポイントだけを丁寧にアドバイスする——その流れを徹底していた。 Photo by shujiizumo Photo by shujiizumo Photo by shujiizumo Photo by shujiizumo Photo by shujiizumo 映像で深める“気づき”の時間 Photo by shujiizumo 昼食後は、ライディング分析会からスタート。午前中のライディングを映像で振り返りながら、一人ひとりの動きを細かく確認していく。映像を止めたり、スローモーションで再生したりしながら、2人が丁寧にアドバイスを伝えていく。自分自身のライディングだけでなく、他の参加者の良い点や工夫にも触れられるのが、この分析会の大きな魅力。さらに、午前中の感覚がまだ残っているタイミングで映像を確認するため、修正ポイントが理解しやすく、次の海での実践につながりやすい。技術を“感覚”と“視覚”の両方から捉えることができる、非常に有意義な時間となった。 都筑有夢路が伝える、世界の舞台で磨かれた“心の整え方” Photo by shujiizumo そのあとは、都筑有夢路が担当するメンタルトレーニング講座へ。講座は、都筑有夢路がこれまで世界を転戦する中で試行錯誤を重ねて作り上げた「マインドチェックシート」を使いながら進められた。このチェックシートには、準備・モチベーション・自信・セルフトーク・緊張の扱い方・感情の扱い方など、メンタル、技術に関わる10項目が設定されており、それぞれを “10%刻み” で自己評価していく形式。すべてを合計すると100%になり、当日のメンタルコンディションが可視化される仕組みとなっている。このシートを使うことで参加者は、自分の感情や状態を一度立ち止まって見つめ直し、「どうしてこう感じたんだろう?」と考えるきっかけを得ることができる。感情を整理し、言葉にするプロセスを体験する貴重な時間となった。さらに都筑有夢路は、先日行われた ISA World Surfing Games 2025 や WSL CS Ericeira Pro で自身がどのようなメンタル状態にあったのか、実際のチェックシートを示しながら具体的に共有した。世界の舞台で戦う選手が、スタート前にどこに不安を感じ、どこに自信を持ち、どうセルフトークをしていたのか——そのリアルな心の動きを、参加者にわかりやすく伝えていった。 夢と向き合う、都築虹帆のリアルなメッセージ Photo by shujiizumo そして最後を締めくくったのは、都築虹帆による「夢の見つけ方・夢の叶え方」をテーマにしたトークセッション。都築虹帆は、自身がサーフィンを始めた幼い頃の話から、夢を見つけ、プロとして歩み始め、そして今、世界の舞台で戦うようになるまでの道のりを、ひとつひとつ丁寧に語ってくれた。「夢は、最初から明確に見えるものばかりじゃない。とにかく挑戦してみることで、自分の“好き”や“やりたい”が見えてくる」 「目の前のことを全力で続けていくこと。諦めないで向き合い続けること。それが結果的に夢へつながっていく」 都築虹帆が言ったその言葉は、世界で挑戦を続ける本人だからこそ説得力があり、参加者にまっすぐ届いていた。また、自分が普段つけている日記についても触れた。そこには、良いことだけが書かれているわけではない。悔しかった日、不安だった日、思うように前を向けなかった日。「私も毎日いろんな感情と向き合っているし、落ち込むこともたくさんある」と、飾らない言葉で語ってくれた。華やかな舞台に立つトップ選手でも、同じように悩み、揺れ、時に立ち止まりながら進んでいる。その等身大の姿と正直なメッセージは、参加者にとって“大きな安心”と“背中を押してくれる力”になる時間となった。 イベントを締めくくる贈り物とメッセージ Photo by shujiizumo その後は質疑応答の時間が設けられ、本イベントに協賛いただいたスポンサー各社から、参加者全員へ数多くの記念品が贈られた。さらに最後には、都筑有夢路と都築虹帆からのメッセージが添えられた 「Certificate of Completion(終了証書)」 が一人ひとりに手渡され、記念撮影をもってイベントはすべて終了した。都筑有夢路も都築虹帆も、このイベントではみんなに良い部分だけでなく、自分たちがこれまで経験してきた悔しさや迷いも率直に語っていた。そのうえで「だから大丈夫。みんなにもできるよ」と、参加者の心に寄り添う言葉を何度も投げかけていた。 セッションを通して生まれた気づきと成長 Photo by shujiizumo 参加者たちからは、初開催とは思えないほど濃い学びと気づきがあったという声が多く寄せられた。「1回のセッションなのに、コーチからのアドバイスで自分でも変わったことを実感できて嬉しかったです!」 「今まで言われたことのないアドバイスをもらって、自分でも変化を実感できた!」 と、技術面で手応えを感じる声が目立った。また、世界を転戦するトップ選手である都筑有夢路・都築虹帆の話が直接聞けたことは、参加者にとって大きな刺激となったようだ。「世界で戦う2人の考え方や経験を聞けて、もっと挑戦したいと思えた」 「夢の叶え方や挑戦に向かう気持ち、マインドチェックシートでの心の整え方がわかりやすく、自分も実践してみたいと思った」技術と心の両側面がリンクした学びが生まれたことで、 「また参加したい」「次も挑戦したい」という声が多く聞かれたのも印象的だった。今回のセッションが、参加者それぞれの“次の一歩”につながったことがうかがえる。 続いていく学び、広がっていくつながり SURF & MIND SESSION vol.1 が終了すると、すぐに「Vol.2はどうしていくか」という話が始まった。また、今回のイベントをきっかけに、大会の開催や上映会など、さまざまな可能性が見えてきた。今後も、SURF & MIND SESSIONを定期的に開催し、技術とメンタルの両面から挑戦を支える環境を育てていきたい。参加者同士が学び合い、つながり合う場を広げながら、スポーツ・教育・ウェルネスなど多分野とも連携し、次の挑戦へ向かう人々を支えていく。挑戦の先にある成長を未来へつなげる——そんな活動へと、このプロジェクトを育てていく予定だ。 イベントスケジュール 9:00~9:30 受付 / ビーチクリーン9:30~11:30 サーフィン (撮影あり)11:30~12:15 昼食 + 休憩12:15~13:15 ライディング分析会13:15~13:45 メンタルトレーニング講座 / 講師:都筑有夢路13:45~15:15 座学 トークセッション / 講師:都築虹帆15:15~15:45 質問・交流会15:45~16:00 記念撮影・解散 講師紹介 都筑 有夢路 【主な戦績】2019年:女子QS10000「ABANCA Galicia Classic Surf Pro」優勝(日本人女子初)2019年:女子ジュニア世界選手権「WSL World Junior Championship」優勝(アジア人女性初)2020年:女子CT(チャンピオンツアー)クオリファイ(日本人女子初)2021年:東京オリンピック(女子サーフィン)で銅メダル獲得神奈川県出身のプロサーファーとして、世界の海を舞台に挑戦しています。海の上にいる時間が本当に好きで、どんな時でも挑戦をする事を忘れず、自分らしく乗ることを大切にしています。「やるしかない」という言葉を胸に、世界の舞台で挑戦し続けています。試合に出始めた頃は勝ちたいのに緊張してしまう、なぜ緊張するのかわからず試合をしていました。試合で勝てるようになった今でも、緊張はいつも隣にいます。でも挑戦を繰り返していくうちに緊張しているのは、本気で夢を叶えたいから。その瞬間から「緊張」は味方になりました。技術だけでなく、夢を追うための心の強さを一緒に育てたいと思っています。 都築 虹帆 【主な戦績】WSL Challenger Series 転戦中(2023〜現在)2025年: ISA世界選手権 日本代表 世界6位2025年: QS Korea Open 優勝2024年:/2025 WSL QS アジアチャンピオン2024年: QS Miyazaki Pro 優勝2024年: QS Hyuga Pro 優勝2022/2023年: WSL QS アジアチャンピオン2022年: QS Taiwan Open 優勝2019年: ISA 世界ジュニア選手権 U16日本代表 団体3位夢は必ず叶うと信じています!世界に挑む楽しさと、壁を超えたときに得られる強さ、そして支えてくれる方々への感謝の気持ちを大切にしています。これからも自分を信じて、夢に向かって挑戦し続けます!これから夢へ挑むみんなさん。世界は想像よりもずっと広くて、強くなれるチャンスがたくさんあります。夢を叶えるのは、他の誰でもなく「自分」です。一緒に挑もう! 協賛企業紹介 株式会社Abema TV 株式会社AbemaTVは、「新しい未来のテレビ」をコンセプトに、多彩な番組を24時間配信する日本最大級のインターネットテレビ局です。スマートフォンからテレビまで幅広いデバイスで視聴でき、誰もが自由に楽しめる新しい視聴体験を提供しています。スポーツ分野では、挑戦するアスリートを応援し、熱量あるスポーツ文化の創出に取り組んでいます。 株式会社STOKEcompany 湘南で20年間、シープスキンブーツの輸入販売を続けてきました。 流行に流されず、快適さ・持続可能性・耐久性を大切にしたものづくりを追求しています。 “足に心地よく、環境にも優しい” ― そんな自分らしい快適さを届けます。 The USA Surf The USA Surfは、湘南・鵠沼海岸に根づいたプロフェッショナルなサーフショップです。 レンタルや販売、スクールをはじめ、レンタルボード用ロッカー、温水シャワー、駐車場まで完備し、サーファーの毎日をトータルにサポートしています。 BELL'S GYM BELL'S GYM 様は、骨格矯正・運動解析・メンタルサポートを組み合わせたパーソナルトレーニングを提供しています。 パフォーマンス向上はもちろん、怪我をしにくい身体づくりを大切にし、一人ひとりに合わせた最適なトレーニングを追求しています。 リーヴァレディースクリニック リーヴァレディースクリニック様は、悩みや不安を抱えて来院される患者さまに寄り添い、心が少しでも軽くなる時間を提供できるよう、丁寧なサポートと最良の治療を大切にしているクリニックです。
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others日本最大級“入場無料”のアーバンスポーツの祭典 YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ’25 アーバンスポーツに染まる秋の2日間に約7万⼈が来場2025.11.27アーバンスポーツとアメリカンフードで横浜赤レンガ倉庫が沸いたハイライト映像を公開︕︕ 2025年11⽉15⽇(⼟)・16⽇(⽇)の2⽇間、『YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ25』が、横浜⾚レンガ倉庫にて開催された。開催4回⽬となった本イベントでは、ブレイキンの大会にパリオリンピック⽇本代表のShigekix選手をはじめ、世界最高峰の舞台で活躍する選手たちがアーバンスポーツの各大会に登場。その他にも、例年よりも体験できる種⽬を増やした各種アーバンスポーツ体験会は、多くの参加者で盛況となった。 今年はストリートアイテムの物販などで賑わうマーケットや、BOAT RACEやBEYBLADE Xの体験コンテンツのほか、全24店舗が集まり同時開催された、横浜⾚レンガ倉庫初のアメリカンフードフェス『ALL AMERICAN FOOD FESTIVAL ʼ25(AAFF ʼ25)』など、朝から夜まで多くの⽅に昨年以上の「観る・体験する・食べる・飲む・遊ぶ」楽しみをご提供。2⽇間で約70,000⼈が来場し、会場は大いに盛り上がり4度⽬の開催を終えた。 https://www.youtube.com/watch?v=4wXrLtZz1Gg 開催概要 開催名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ’25(略称 YUSF ʼ25)会場:横浜⾚レンガ倉庫イベント広場・⾚レンガパーク(神奈川県横浜市中区新港1-1)日時:2025年11⽉15⽇(⼟)・16⽇(⽇)11:00~20:00入場料:無料※飲食や物販代金は別途必要。一部、有料の体験コンテンツあり。主催:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ25 実行委員会(株式会社横浜⾚レンガ/ 明治商工株式会社/ 株式会社ローソンエンタテインメント/ 株式会社ゼータ)共催:横浜市にぎわいスポーツ文化局協力:一般社団法⼈ARK LEAGUE / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ/ 株式会社HANDOFF / ⽇本フリースタイルフットボール連盟/ 一般社団法⼈パルクール鬼ごっこ協会/ レッドブル・ジャパン株式会社メディア協力:スカイA / FINEPLAY協賛:三菱商事都市開発株式会社/ 本田技研工業株式会社/ サミー株式会社/ BOAT RACE振興会/ THYM株式会社/ 株式会社竹中工務店/ MEMORY株式会社/ 学校法⼈岩崎学園 同時開催 ALL AMERICAN FOOD FESTIVAL ’25 開催名称:ALL AMERICAN FOOD FESTIVAL ʼ25(略称AAFF ʼ25)会期:2025 年11 ⽉15⽇(⼟)・16⽇(⽇)営業時間:11:00 ~20:00(ラストオーダー19:30)入場料:無料会場:横浜⾚レンガ倉庫イベント広場(神奈川県横浜市中区新港1-1)主催:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ25 実行委員会 RESULTS [アーバンスポーツリザルト] スケートボード - SKATE ARK MENS HI 部門1位 Kairi Netsuke / 2位 Toa Sasaki / 3位 Keyaki Ike MENS LOW 部門1位 YuichiroEndo/ 2位 YoshikuniDohji/ 3位 ItsukiMatsuzawa WOMENS 部門1位 NanakaFujisawa / 2位 kotoneEnami/ 3位 Nikki Akiyama G-SHOCK presents ULTIMATE TOUGHNESS 部門 WINNER Keyaki Ike ブレイキン - KING OF COLLEGE 2025 ~秋の陣~ 優勝 東洋大学 / スノーダンサー(speedysharp/ HAL / sota / Shunpei / Molt / Nina / hiroki / tera) ブレイキン - SUPER BREAK “Special Edition 5on5 Crew Battle” 優勝XII After Ours(Shigekix / TSUKKI / RAM / RA1ON / Y-HI) BMXフラットランド - FLAT ARK MENS OPEN部門 1位 Naoto Tamaru / 2位 Ren Oshima / 3位 TakatoMoriya WOMENS OPEN部門1位 Carin Honmura/ 2位 Nanae Takahashi/ 3位 Nina Suzuki MENS EXPERT部門1位 SotaWatanabe/ 2位 GinseiKawauchi/ 3位 RyuyaKanamoto MENS NOVICE部門1位 Jiro Kaneko/ 2位 JojiHarafuji/ 3位 HiromuIde ダブルダッチ-DOUBLE DUTCH ONE'S Student edition 1位 TAIYO ダブルダッチ-DOUBLE DUTCH ONEʼS 1位 SHU-BOY / 2位 daichi / 3位 イワネスインセイン パルクール - ONE FLOW BATTLE 2025 PRO 部門 1位 Yurai PRO 部門 BEST BATTLE賞 Tomoya/ Takahiro WOMENS 部門 1位 Momo WOMENS 部門 BEST BATTLE賞 Momo/ Chiyo OPEN 部門1位 Nichiru OPEN 部門BEST BATTLE賞 THEO(テオ)/ 斎藤颯斗 パルオニ - パルオニJAPAN CUP 2025 U-12部門 1位 Souki Imahama U-12部門BEST BATTLE賞 Haruki Ogata / Akito Ogata U-9部門 1位 Shun Takahashi U-9部門BEST BATTLE賞 Ren Moriya / Kotaro Kasuga 3x3 - IMPACT - 3x3 TOURNAMENT 1位 SHONAN SEASIDE フリースタイルフットボール/フリースタイルバスケットボール - DRIVE OUT powered by WUU! 2on2 部門1位 Yu-ri & Yoh 2on2 部門2位 2One(Yo & Shion) ベストトリック賞 Uzura/ RIKU / NESS フリースタイルフットボール - JFFC 10th Final MENS 部門 1位 Shohei MENS 部門 2位 Hiro-K MENS 部門 3位 AKI WOMENS 部門 1位 Moe-K WOMENS 部門 2位 Mai WOMENS 部門 3位 Miharu その他のコンテンツ バイクトライアル - BIKE TRIAL DEMO レーザータグ アーバンスポーツ体験会(一部抜粋) DJイベント「GROOVING HARBOR NIGHT」 LIVE PAINTING -アーティスト︓秋山雅貴 イベント出店ブース その他会場の様子 ALL AMERICAN FOOD FESTIVAL ʼ25
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[PR] dance【SSDW2025 アンバサダー特別インタビュー】EXILE/FANTASTICS 世界とヒップホップダンサーYASSが語る、現場だからこそ感じられるストリートダンスカルチャーの本当の“空気感”2025.11.17はじめに ストリートカルチャーの聖地、渋谷・代々木公園で毎年開催されている「Shibuya StreetDance Week (通称:SSDW)」をご存じだろうか。本イベントはストリートダンスを文化として育み、渋谷の街とともに進化を続ける地域密着型の屋外ダンスフェスティバル。ストリートをルーツに持つ表現者たちが一堂に会し、世代・ジャンルを超えてつながり合うこのイベントは、ダンスを通じて“人と街が交わる場所”を生み出しており、渋谷のカルチャーを象徴する存在として毎年注目を集めている。 そして、このSSDWは昨年10年という節目を経て、今年11年目を迎える。次の10年ないしその後何十年にわたりストリートダンスシーンを発展させ続けるべく、新たなスタートを切る本イベントは、大盛況な既存プログラムに加えて今年は新たな試みも取り入れ、大きくバージョンアップして開催される。 そんな11年目のSSDWをナビゲートする今年のアンバサダーとして、ダンス以外の分野でも幅広い活動を見せるEXILE/FANTASTICSの世界、国内外にてシーンを牽引するトップフィメールダンサーのUNO、日本のヒップホップを世界に示し続けるトップヒップホップダンサーのYASS、そしてA-POPとストリートの両方のシーンで大活躍する若手ダンサーであるREAL AKIBA BOYZの龍といった、ストリートダンスにルーツを持ち、そのバックボーンと経験を生かしたスタイルでジャンルの垣根を越えて活躍する4人のメンバーが集結。 EXILE/FANTASTICS 世界UNOYASS龍(REAL AKIBA BOYZ) 今回はその中でも同世代で長年交流があり、「FTHEB」というクルーとしても共に活動していた世界とYASSの二人にインタビューを敢行。20年以上ストリートダンスシーンに関わってきた二人のパーソナルな部分と今回のSSDWの見どころ、そしてSSDWを通して今後のストリートダンスシーンに期待することについて話を訊いた。今回のインタビュー企画だからこそ叶った二人のクロストークをチェックして、当日は是非二人にも会いにSSDWへ足を運んでもらえたら幸いだ。 同世代トップダンサー二人がたどったダンスルーツと、15年来の友達になった二人の出会い ― 最初にお二人のダンスを始めたルーツをお聞かせいただきたいです。世界さんは神奈川県出身で、劇団四季にもいらっしゃったと思うのですがストリートダンスに出会ったきっかけを教えていただけますか? 世界: 僕のストリートダンスとの出会いは生まれ育った街がきっかけです。神奈川県の横須賀というアメリカ海軍の基地がある街で育ち、音楽や人々のノリに自然と惹かれていきました。そういう環境が、自分の感性をアメリカナイズしていったと思います。ダンス自体は親の影響で2歳から始めて、バレエやジャズもやっていましたし、すごく恵まれた環境でもあったので、その点は両親に感謝しています。でもアメリカナイズされた街で育ったこともあり、普段からヒップホップの音楽もよく聴いていて、その上で1番最初にダンスの楽しさやキツさを教えてくれたのがヒップホップダンスで、そこからストリートダンスにどっぷりハマっていった感じです。 ― 一方でYASSさんは秋田県出身だと思いますが、ストリートダンスにハマったきっかけは何でしたか? YASS: 俺は本当に「むかしむかしあるところに」という昔話レベルの田舎で生まれ育ったんですが、幼少から音楽やスポーツに色々触れてきた中で、その一つとして近くに小さいダンススタジオがあったこともあり母の影響で試しに行ってみたんです。そこは普段女性しかいないスタジオだったんですけど、その時たまたまいつもストリートで踊っているお兄ちゃんみたいなダンサーが特別レッスンで来ていて「いつどこで踊ってるんですか?」って聞いたところ、国道沿いの道の駅の入り口の前みたいなところに案内されました。それが15歳の頃だったのですが、そこでストリートダンスやヒップホップに初めて触れてから「うわー楽しい!!」となってそのままずっと続けている感じです。 View this post on Instagram A post shared by YASS (@yass8889_) ― ちなみに同世代でダンサーとしてのご経歴も長いお二人ですが、初めて出会った時のエピソードを是非お伺いしたいです。 YASS: 記憶が正しければ世界との最初の出会いは渋谷の「eggman」っていうクラブで、俺が行った時に世界がショーをやっていて、同世代ということで、それこそ今回のSSDWアンバサダーの一人でもあるUNOちゃんに紹介してもらって、一緒に話したのが始まりだった気がしますね。当時は自分が「Overflow」っていうクルーで主に活動していた時期なので、確か15年くらい前だったと思います。出会った当時は世界も結構人見知りで、俺も田舎育ちで秋田から東京に出てきたばかりだったからすごく緊張していて、ファーストコンタクトは2人ともぎこちなかった気がするんだけど、でもそれから一緒に踊ったり、ショーで一緒になったりして仲良くなっていったと思います。 世界: 確かにもう15年来くらいになりますね。当時からOverflowは有名なクルーだったのでYASSの存在は知っていました。年齢はYASSの方が2個上なんですけど、僕自身は、当時バトルはたまに出るくらいで、コンテストもチームでがっつりやっていなかったのでコンテストの現場でYASSと被ることはほとんど無かったです。でも先輩から色々話を聞いていたので、大先輩の「ELECTRIC TROUBLE」というチームのDOMINIQUEさんたちのグループみたいなイメージがありました。でもその中でもYASSとは初めて会った時から一番話が合いそうだなという感覚はありましたね。 YASS: 世界の印象は大先輩たちの中にいる俺たちの同世代っていう感じで、初めて紹介してもらう前からずっと「何なんだあいつは?」みたいな気になる立ち位置の存在だったかな。世界: そうだね。僕は属しているグループとかがそんなになかったので結構謎の存在だったかもしれないです(笑) お互いがリスペクトしているのは「自分にはできないところ」 ― そんな長い付き合いのある二人ですが、ダンサーそして人としてリスペクトしている部分があればお聞かせいただきたいです。 世界: YASSの昔からカルチャーをすごい大事にしているところをリスペクトしています。またその彼のカルチャーへの思いが年々大きくなっているのを感じますし、話をしている中でカルチャーに対して勉強したりディグるのがめちゃくちゃ好きなところも伝わるので、ダンスのテクニックやスキルだけじゃなくて音楽なども含めてヒップホップカルチャーが大好きで、その思いがダンスに直結しながらカルチャーを育てているところもリスペクトしています。あとYASSは後輩の面倒見がすごく良くてキッズや若手からも慕われている先輩という印象が昔からあって、そのカルチャーを大切にしながら好きなことにのめり込んでいく姿勢がダンスにも繋がっていると思います。 YASS: 世界の人としての部分で言うと、彼と出会ってからある程度の期間ずっと一緒にダンスをやってきた後に、EXILEに入って今はメジャーシーンですごく頑張っているダンサーでありながらも、変わらずヒップホップとかそういうカルチャー的な側面だったり、自分の好きなもの対してずっと掘り続けているところは自分とも似ているので、リスペクトしています。また同じダンスという表現であっても、自分と全然違うメジャーシーンというステージでパフォーマンスし続けることの難しさや、そこで必要となるエネルギーを想像すると世界がやっていることが本当にすごいことなんだなと分かるので、「自分ができないことをやっている人」にリスペクトを持つというのは世界にはもちろんのこと、俺は誰に対してもありますね。あとダンサーとして、いつも変わらず「世界」というか、いつどんなところでダンスを見ても「これが世界だな」っていうフォームやシルエットとかダンスのつなげ方も含めて世界だけのスタイルがあるのがリスペクトできるところですね。 カルチャーへの共通する想いを持ちながらも、お互いが現在異なるシーンで力を入れていること ― 合わせてお二人のパーソナルなところもお伺いしたいのですが、最近特に力を入れて取り組んでいることがあればダンス以外でも良いので教えてもらえますか? 世界: 僕はEXILEに入った時もそうですが、色々なカルチャーや異なる職業の架け橋になることが多いです。また僕はダンスと同じくらいアニメや漫画で育ってきた人間なので、声優さんやアニメーターさん、あとはイラストレーターさんたちと仕事をすることが最近は増えてきました。またそういうアニメ業界の人たちと話していると、職業にしていくやり方や今の現状も含めてストリートカルチャーに近いところも感じるので一緒に面白いことをしたいなって思います。それこそ同じSSDWアンバサダーのREAL AKIBA BOYZの龍もそうですが、アニメとストリートの両方が好きなダンサーも多いので、上手く交わってミックスカルチャーなイベントができたら面白いなと思っています。 YASS: 俺はずっと変わらないですけど、自分が新しいことを体験すること、そしてその経験を次世代に伝えていく作業はずっと今でもやっています。なぜなら自分自身ヒップホップに生きる人間として、常に身をもって体験することだけが今の自分の表現や自分らしさに通じていると思っていますし、ダンスも含めて自分が経験したことしか次世代にシェアすることができないので、とにかく毎日刺激になるところに行くことには力を入れていますね。最近は音楽家やDJの方だったり、とにかく音楽やヒップホップといった自分の好きなことにまつわるダンス以外の人たちとどんどん繋がっています。直近でいうと「MNC(メナス)」っていうカルチャー誌があって、色々なカルチャーの人たちが特集されている中にダンスのコンテンツの一つとして自分もアサインしてもらったりと、ダンサーとして全然違うけど接点があるカルチャーの人たちと繋がっていくことは力を入れています。 ― お二人がダンスカルチャーをもっと発展させていくために、自身の好きなことや得意な分野を通してシーンをフックアップしていく姿を伺うことができました。ありがとうございます! 渋谷・代々木公園で開催されるSSDWというダンスフェスティバルについて ― SSDWが開催される代々木公園はダンサーの聖地の一つだと思いますが、代々木公園というワードを聞いて思い出す話やこの場所の印象をお聞かせください。 世界: 代々木公園は、eggmanでのショー前に練習していた場所という印象ですね。昼間は、芸人さんがネタ合わせしていたり、ランニングしている人、後輩がライブイベントを開催したりと、色々なカルチャーをお互いに受け入れている場所だと思います。 YASS: そうですね。代々木公園は “ほぼ森”っていうぐらいデカいなというのがまず最初に足を踏み入れた時の第一印象でした。あとは世界も言ったようにeggmanとかのショーに出る前のフリ合わせやリハでよく使わせてもらいましたね。またこの公園でよくサイファーをしているダンサーもいるので誘いがあれば行ったりしていました。代々木公園ってBMXやフリースタイルバスケットボール、スケートボードをはじめ全てのストリートジャンルの人たちが活動できるぐらいの規模の公園で、本当に何でもできるくらい広いので、イベントがなくても、そこに行って何かをしている人たちが集結している場所ですね。ここ最近は僕が行くたびにダンサーの数も増えている印象なのでそういう意味ではダンサーの聖地的な場所になっていっている感じもあります。 ― そんな代々木公園で開催される、今回のSSDWに関してどういうイベントなのかご紹介いただけますか? YASS: 会場が代々木公園内の大きな野外ステージを中心とした開けた場所で、そこに色々なセクションが設けられてダンスバトルやワークショップやショーケースが一緒に行われる感じです。複数のダンスジャンルで子どもから大人までが参加できる屋外イベントって、関東ではなかなか無いと思いますし、とにかく一番は屋外で青空の下なので、そこで踊れることが普通に気持ちいいっすね。 ― キッズから大人の方まで一堂に会して参加しているイベントなんですね。過去に参加した時に感じた一般のお客さんからの雰囲気は覚えていますか? YASS: 歩きながら通りかかった人たちは立ち止まって見てくれていた印象があります。でも確かにワンちゃんを散歩しながら、いつもの散歩コースの横で音をかけてダンサーたちが踊っていたら「あ、なんかやってる!」って誰でも絶対見ちゃいますよね。今回もダンサーではない色々な人たちにも気軽に遊びに来てもらいたいです。 ― オープンな場所でトップダンサーの踊りを観られたり、ワークショップも無料で参加できるのはカジュアルに訪れた一般の方にとっても魅力的な部分ですよね。 SSDW2025の注目コンテンツの紹介 ― 今回4名のアンバサダーがいると思いますが、皆さんが一緒にパフォーマンスされるスペシャルコンテンツ「DANCE WITH music」はどのようなものですか? YASS: 今までは1つのテーマソングに沿って、その歌手の方とダンサーで見せるショーケースをやっていたんですけど、今回はアンバサダーとインストゥルメンタルバンドのDA-Dee-MiXさんとの合同パフォーマンスで、いわゆる“盆踊り”的な感じで、会場が一体となって一緒に踊るコンテンツを行います。そのため、例年は5分のところを今回は20分設けていて、各コンテンツのジャッジやゲストダンサーたちにも参加してもらって、ジャムセッションしながら盆踊り的な感じで楽しめる時間にできたらなと思っています。 ― 11年目にして初の試みということですね。 YASS: そうっすね。アンバサダー陣でちゃんとナビゲートしながらも、ダンサーと一般の方々が楽しめる余白を残しつつ、その上で本番当日みんなとどんな空気ができるんだろうっていうのは楽しみなところです。 ― あとYASSさんは「Ready to Rock」というブレイクダンサーの方が所属されるクルーにも入れられていて、ブレイキンのカルチャーに触れることも多いですよね。この11年目で新設されたブレイキンコンテンツに関してどう思いますか。 YASS: 今回のSSDWでは1997年から2017年まで代々木公園で開催されていた「B BOY PARK」のエッセンスを受け継ぐ形でブレイキンエリアが新設された中で、俺自身も「Ready to Rock」というクルーに所属し、ヒップホップカルチャーの一つとして常に触れさせてもらっているのがブレイキンなので今回開催されることは嬉しいですね。 ― また今回、各々の役回りとしては世界さんがダンスバトルのジャッジ、YASSさんがワークショップを務められると思いますが、まず世界さんからダンスバトルを初めて観る人へ注目ポイントがあれば教えてほしいです。 世界: 僕は今回、「BATTLE PARK」のジャッジを務めます。普段自分がジャッジをする時の一つの基準として、どんなダンサーであっても「初めてその人のダンスを見る」というスタンスでいるようにしています。また今回、何より楽しみなのは、決勝のバトルの音楽がDA-Dee-MiXさんの生バンドパフォーマンスという滅多にない試みである点です。あとダンスバトルというと、まず音楽が分からない方も多いと思うんですが、今回はシンプルに生バンドの迫力を含めて1つの音楽ライブを観る感覚で楽しんでもらえたらいいかなと思いますし、ジャッジとかも気にせず「このダンサーは負けちゃったけどこの人のダンス好きかも」っていうぐらい簡単な気持ちで見てもらえたらと思います。 ― ありがとうございます!生バンドを楽しみながらダンスバトルが見られるところは注目ポイントですね。次はYASSさんが講師を務める「HIPHOP WORKSHOP」に関して、どういう時間にしたいと思われているのか教えてほしいです。 YASS: 「今日から始めてみたい!」という人から「バトルでバンバン勝ちまくってます!」という人までどんな人でも参加できるワークショップにしたいと思っています。ただ1時間揺れるだけなので。今回は、開放された場所で踊れる貴重な機会なので真面目にレッスンするわけでなく、みんなで開放的なダンスをしてお互いの踊りをシェアする時間にしたいです。 ― 誰でも参加可能っていうことは、この時間に世界さんが空いてたら飛び入り参加もありうるということですか? 世界: え、全然、YASSが良ければ。YASS: いや、もちろん。一同(笑) ― ということは憧れのダンサーもイベント内を歩いてたらすれ違うくらいの距離感で、みんな同じ場所でセッションしながら楽しむみたいな感じのイメージですかね? YASS: そうですね。そもそも会場内がセクションで区切られて外から見えないような場所ではないので、僕のワークショップは出入り自由ですし、別にエリア外で音だけ楽しむ人がいたり、その音楽で勝手にサイファーしてもいいくらいの空気感で気楽に楽しくできたらいいなって思っています。 東京のど真ん中で10年以上続く、地域密着型の屋外ダンスフェスの存在とは ― SSDWが今年11年目という中で、ダンスイベントを10年続けることは簡単ではないと思いますが、地域密着型の屋外ダンスフェスが10年以上続いてきたことに対してお二人の率直な感想を聞かせてもらえますか? 世界: 10年続くイベントは、周りを見てもあまり無いのでシンプルにすごいなと思います。またダンサーからするとこのような場所があるだけでも、自分たちの活動において一つの支えにもなります。この規模で10年以上続いているということは、色々なダンサーや音楽などに携わる人もいて現場も楽しい雰囲気で、かつサポートがしっかり整っているからなのだなと感じます。 YASS: 僕もイベントをオーガナイズすることがあるので、この規模のイベントを10年間続けることがすごくタフだということは分かります。それでいて、この代々木公園という場所で10年間イベントを続けることは簡単ではないと思うので、一人のダンサーとしても「本当にありがとう」と思います。そういう意味でも11年目に突入してるっていうのは本当にただただ大きな尊敬しかないです。 アンバサダー二人がこれからのSSDWの発展において期待していること ― それでは次の10年を含めて、これからダンスカルチャーをもっと盛り上げていく上で今後のSSDWに期待することを聞かせていただけますか? 世界: 今後もこのような取り組みが進んでいくことで渋谷に住んでいる方もそうでない方も、ダンサーであってもそうでなくても、色々な立場の違いを1秒でも忘れられる瞬間がこのSSDWで作れるといいなっていうのは思いますね。 ― このような一般の人やダンサーが垣根を越えてダンスを共有して楽しめるリアルな場作りが大切ということですよね。 世界: そうですね。10年後も本当に続いて欲しいし、10年後はこのSSDWというダンスフェスがもっと大きくなっている気もします。 ― YASSさんは今後10年どういう風にこのイベントが発展していって欲しいですか? YASS: そうですね。今回11年目ということで、今年10歳のダンサーたちが参加したら、その10年後は彼らが20歳になるわけなので、その人たちが20歳までこのイベントのバトルで切磋琢磨したというような思い出がみんなの中にあるような場所になって欲しいですし、今後もそうあり続けたら良いんじゃないかなって思いますね。それこそ自然に文化として発展していくと思いますし。新しい世代もどんどん入ってくることでSSDWが世代を超えて愛されるイベントに発展していく姿を一番見たいと思っています。 ― 最後にSSDWを楽しみにしてるファンの皆様や若手のダンサーたちに向けて、今回のイベントについて何かメッセージがあったらいただきたいです。 世界: ダンスはもちろんですが、ダンス以外でも音楽だったり、現場に来たからこそ楽しめる空間がここにあると思います。ただダンスを見るだけでもいいですし、YASSのワークショップに参加して揺れるも良しなので、とにかく足を運んでもらって現場の空気感を是非体感して欲しいです。 YASS: そうっすね。今、世界が言ったことももちろんその通りなので、ダンスを通じて一緒に時間を共有できたらいいなと思っています。皆さん是非揺れに来てください。SSDWで会えることを楽しみにしています。 終わりに 今回、世界さんとYASSさんのお二人とのインタビューを通して感じ取れたのが、ストリートダンスの本質は現場でしか感じられない「空気感」の中にあるということ。会場での音の鳴り方、ダンサーの身体の動き、観客の反応など、その一瞬一瞬に紡がれたリアルな体験こそが、本当の意味でのダンスカルチャーを文化として生かし続ける力になるという風に感じられた。そんなストリートダンスカルチャーを今後の次世代へ伝えていく上で間違いない「場所」と「環境」と「人」が揃っているのがこのSSDW。4人のアンバサダーをはじめストリートダンスに熱いメンバーが集まりその思いを体現する場所、この渋谷という街でリアルな熱量に触れ未来へと続くストリートダンスカルチャーの息づかいを是非感じてほしい。 Shibuya StreetDance Week(SSDW)について Shibuya StreetDance Weekは、幅広い層に支持される新しい芸術文化としてのストリートダンスの確立とストリートダンサーの聖地である渋谷から世界へ良質なエンタテインメントを発信し、渋谷をより活力に溢れた街にすることを目的に2015年からスタートした国内最大規模のストリートダンスの祭典です。 SSDW2025 アンバサダープロフィール 世界EXILE/FANTASTICSのパフォーマー。2014年「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」で新パフォーマーに選出され、2018年に佐藤大樹とともに率いるFANTASTICSがメジャーデビュー。現在はEXILEと兼任で活動している。アニメやゲームにも造詣が深く、声優として「劇場版シティーハンター 天使の涙」、「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」などに出演。俳優として映画「仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者」にも出演。また、2026年1月には3都市で開催される、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Division Jam Tour》vol.2 に出演が決まっている。 YASS15歳でストリートカルチャーと出会い、ストリートダンスにのめり込む。「Juste Debout Tokyo」、「JAPAN DANCE DELIGHT Vol.18」、「マイナビDANCEALIVE 2025」優勝など、数々の実績を誇る。ダンサーとして常に“新たな表現”を追求し、世界各国でのワークショップを通じて次世代の育成にも貢献。また、バトルやコンテストの審査員も数多く務めるなど、ストリートで培った感覚と経験を独自のフィルターで再構築し、ジャンルや国境を越えて発信し続けている。 UNO抜群のスキルとイマジネーションで見る者を魅了し続けるフィメールダンサー。安室奈美恵、湘南乃風、7ORDERをはじめ多くの有名アーティストのライブにダンサー、振付師、演出家として携わる。さまざまなカラーのプロジェクトのクリエイティブディレクターとして多岐にわたって活躍するオールラウンダー。現在は、日本とアメリカに活動拠点を持ち幅広く活動中。 龍(REAL AKIBA BOYZ)3歳でバレエとジャズダンスを始め、6歳でストリートダンスに出会う。バトルを中心に活動しているユニット龍と勇太や、A-POP CREWサンセットレーベンズとしても好成績を残し続けている。「マイナビDANCEALIVE 2023 CHARISMAX Ⅰ」HIPHOP部門にて優勝するなど確かなダンススキルを持ち、ジャンルにとらわれない独自のスタイルを貫くダンサー。2022年、高校1年生にして加入したREAL AKIBA BOYZとして、2024年には初の日本武道館公演を、さらに2025年には初のソロダンスワンマンライブを満員の観客と共に成功させた。 Shibuya StreetDance Week 2025 開催概要 開催日時:2025(令和7)年11月22日(土)10:00~16:00会場:代々木公園主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、Shibuya StreetDance Week 実行委員会(渋谷区商店会連合会、渋谷道玄坂商店街振興組合、 一般社団法人渋谷未来デザイン、東急株式会社、株式会社パルコ)共催:渋谷区助成・協力:東京都後援:公益財団法人東京都公園協会、渋谷区教育委員会、一般財団法人渋谷区観光協会、東京商工会議所渋谷支部、渋谷公園通商店街振興組合、商店街振興組合原宿表参道欅会協賛:JBL、WEGO協力:DANCE WORKS企画・制作・運営:株式会社パルコ、ファイブメディット株式会社企画・制作協力:株式会社LAST TRAIN GETTER広報:株式会社アネックス
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danceISSIN & Rikoが優勝!歴史的な一夜となった「Red Bull BC One World Final Tokyo 2025」2025.11.12世界最大の1on1ブレイキンバトル「Red Bull BC One World Final Tokyo 2025」が、2025年11月9日(日)に東京・両国国技館にて開催された。22回目を迎えるこの伝統ある大会は、日本では2016年の名古屋大会以来9年ぶり、東京での開催は2010年以来となり、伝統ある相撲の聖地で歴史的なイベントとなった。 世界各地の予選、そして7日に行われたLast Chance Cypherを勝ち上がったB-Boy、B-Girlが集結。世界一をかけた「負けられない戦い」が幕を開けた。 Little Shao / Red Bull Content Pool 日本文化の聖地、両国国技館が7,222人の観客で熱狂 アメリカ・ニューヨークから広がったストリートカルチャーが、日本文化の象徴である東京の両国国技館と交わったステージは、伝統との融合が見事に表現されていた。さらに日本が誇るゲーム「ストリートファイター6」とのコラボレーションも実現。ゲーム画面をサンプリングした演出など、様々な場面でEsportsとの融合も見られた。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool また、トーナメントの間に行われたゲストショーケースにはアバンギャルディが登場。米国の人気オーディション番組に出演するなど、活躍の幅を広げている。一糸乱れぬパフォーマンスを披露し、会場を盛り上げた。 B-Boyトーナメント 世界最高峰の戦いにふさわしい、豪華なメンツが出揃ったトーナメント。どのマッチアップにもストーリーがあり、ベストバウトにふさわしいバトルばかりであった。 Little Shao / Red Bull Content Pool 特に1回戦で大きな盛り上がりを見せたのはISSIN vs Amir。ISSINは去年のパリ五輪の最終予選にて、あと1勝でオリンピック出場というところで敗れた相手である。 その悔しさを糧に、ISSINは初戦から自身のシグネチャームーブを惜しみなく繰り出していく。本人は、「このタイミングで倒すしかないと思い、自分の持っている一番強い持ちネタを全部ぶつけました。」と語った。 Little Shao / Red Bull Content Pool その言葉通り、気持ちの乗った迫力のあるダンスでAmirを圧倒し、見事勝利を掴んだ。 また、ワイルドカード枠で出場のHIRO10とLast Chance Cypherを勝ち上がったharutoの同郷対決も1回戦で要注目のカードであった。高難易度のパワームーブを連発するHIRO10と、クリエイティビティが光るブレイキンが魅力のharutoというスタイルウォーズ。 個性がぶつかり合う名バトルとなったが、Last Chance Cypherの勢いそのままにharutoが勝負を制した。 日本代表としてもう一人、シード枠でトーナメントに参加していたのがShigekixだ。TOP16では国際大会にてインパクトを残し続けているDjibril、TOP8では同じくRed Bullダンサーでありオリンピックにもオランダ代表として出場したLeeという、タフなバトルを勝ち抜きTOP4へと進出。 既に様々な名勝負が生まれたWorld Finalも残り3バトルとなった。TOP4に名を連ねたのはShigekix、ISSIN、Mighty Jake、harutoの4名。 Shigekix vs ISSINも、全日本選手権や国際大会でも顔を合わせている因縁の対決。日本のトップを走る2人がWorld Finalという大舞台でも実現することとなった。 ISSINは、2023年のパリ大会でも繰り出した伸身しながらエアートラックスを連発するアタックムーブを先攻で披露。さらに最終ラウンドでは大技の空中で一度体を捻るエアートラックスで隙の無い攻めを見せる。会場の空気を味方につけ、勢いを切らさないまま3ラウンドを踊り切った。 Little Shao / Red Bull Content Pool 対するShigekixも難易度の高いパワームーブのつなぎを駆使し、内容を詰め込んだ踊りで応戦。音に合わせたフリーズコンボも難なくこなしていく。Shigekixの代名詞ともいえる肩フリーズを音に合わせて崩していく技なども繰り出し、互いにすべてをぶつけた頂上決戦となった。 結果は5-0でISSINの勝利。一足先に決勝進出を決めた。 そしてもう一方はMighty Jake vs haruto。Mighty Jakeは逆立ち系のムーブを得意とし、その身体能力を生かしたパワームーブとミュージカリティでトーナメントを勝ち上がってきたB-Boy。またしてもスタイルウォーズとなった今回のマッチアップでも、ムーブの多彩さとオリジナリティ、そして終盤でも質の高いフローを見せたharutoが勝利。決勝は日本人同士の対決となった。 同じクルー「Body Carnival」に所属する仲間でもある2人による決勝戦。World Finalに向けたバトル練習もともに行っていたという。最終ラウンドでISSINが見せた技をharutoが同じタイミングでかぶせるなど、お互いのムーブは知り尽くした中でのバトルとなった。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool Dean Treml / Red Bull Content Pool 最後までスキルと気持ちがぶつかりあい、観客の熱量も最高潮に。ジャッジの票は最後まで割れ、結果3-2の1票差でISSINが優勝を収めた。 B-Girlトーナメント B-Girlトーナメントでも好カードが続いた。TOP16では、日本代表のAYUが躍動。パリ五輪で金メダルを獲得したAMIの姉でもある。 フットワークを武器として戦うスタイルで、その洗練されたスムーズな動きが特徴的。惜しくも1票差で敗れてしまうも、その磨き上げられたダンススタイルで確実に存在感を残していた。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool そして快進撃を見せていたのが同じく日本代表としてワイルドカードで選出されていたRikoだ。彼女は2023年のパリ大会でもTOP8入りを果たしている実力者。キレのあるムーブで初戦から会場を沸かせる。 TOP4で当たったのはLast Chance Cypherを勝ち上がってきたSyssy。オリンピックにも出場した強豪。体格や体の柔軟さを活かしたムーブを武器とし、B-Boy顔負けのパワームーブも披露する。オリジナリティ、ディフィカルティ、ミュージカリティどの点を取っても隙のないB-Girlだ。 Little Shao / Red Bull Content Pool 対するRikoは先攻で自身の持ち味を存分に発揮。チェアーロールの連発や音に合わせた多彩なアプローチで観客の心を掴む。Syssyも負けじとシグネイチャーのアタックムーブやクリエイティブなフリーズを決めてくる。非常にレベルの高い戦いとなったが、勝負を制したのはRiko。決勝の舞台へと駒を進めた。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool 決勝の相手となったのはNicka。Red Bullダンサーでもあり、数々の世界大会で優勝を収める相手だ。Rikoがこれまで勝てたことがなかった相手でもある。決勝で大きな壁が立ちはだかった。 B-Girlは決勝のみ3ラウンド制となることもあり、フィジカル面、精神面でも強さを問われる。ここで先攻にでたのはNicka。決勝という場面でもフレッシュなムーブをハイクオリティで繰り出す。対するRikoも十八番のムーブや難易度の高いパワームーブを披露し、互いに一歩も譲らない接戦となった。 Dean Treml / Red Bull Content Pool 最終ラウンドでもその勢いを切らすことなく、DJが即興で作る音に合わせたヘッドスピンやパワフルなフリーズで会場をロック。初のBC One優勝を勝ち取った。 日本人がダブル優勝するという快挙を成し遂げた本大会。日本人の男女が揃って世界一となるのは「Red Bull BC One」史上初の快挙となり、歴史的な大会となった。優勝したISSIN、Riko以外にもLast Chance Cypherを含め多くの日本人が活躍し、ブレイキン大国としての層の厚さを世界に向け発信することができたのではないか。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool 会場以外にもパブリックビューイングなどが全国各地で開催されており、ブレイキンが持つパワーが日本中に広がっている証拠だ。今後もこの熱を冷ますことなく、ブレイキンを筆頭にストリートカルチャー全体が発展し、盛りあがっていくことを願う。 Rikoコメント Little Shao / Red Bull Content Pool 優勝した今のお気持ちを聞かせてくださいまだ信じられないですけど、すごい嬉しい気持ちでいっぱいだし、日本開催のこの今回の機会で優勝できたことはすごい嬉しいです。ありがとうございます。 今回対戦したNickaに対してはどういった感情だったのですか?Nickaとは何回もバトルしてるんですけど1回も勝てたことがなくて。今回こそ倒したいと思って臨んだバトルでした。バトル中はNickaもすごく内容を詰めてきてたけど、自分ができることはもう勢いで押し込むしかないって思って3ラウンド踊り切ったので、それが価値につながったんじゃないかなと思っています。 世界トップレベルのコンペティションでここまで進むことがどれだけ大変だったか、また、若いB-Boy/B-Girlに対して必要なことや辛い経験について語れることがあれば教えていただきたいです 去年1年間、本当に悔しい思いをたくさんしてきました。だから今回は、「自分のすべてをぶつけて絶対に優勝したい」という気持ちで挑みました。でも途中で気づいたのは、結果にこだわりすぎると本当の自分のダンスができなくなるということでした。そのことにBC Oneまでの道のりの中で気づいてから、マインドを切り替えられました。結果のために踊るんじゃなくて、もう一度「自分はなぜブレイクを始めたのか」という原点に戻って、初心を大切に練習してきました。だから今は、次の世代の子たちにも新しい目標に向かって頑張るときは、結果だけを追うんじゃなくて、心を大事にして、ブレイクを楽しんでほしい。そういう気持ちを持って続けていってほしいなと思います。 Little Shao / Red Bull Content Pool Rikoさんにとってブレイキンとは何ですか?自分を表現するものであり、感情や思いを表現するのが苦手な自分の性格だからこそ、ブレイキンで表現していることが、ブレイキンを続けている理由であり、ブレイキンだと思っています。 未来のB-Boy/B-Girlに向けて一言よろしくお願いします これからのブレイキンシーンをもっとみんなで盛り上げていきたいと思いますし、何よりブレイキンっていうすごい素晴らしいものを みんなで楽しんでいきましょう。 ISSINコメント Little Shao / Red Bull Content Pool 優勝した今のお気持ちを聞かせてください日本開催の決勝で自分の仲間(haruto)と当たって、最後を最高のバトルで締めくくれたのでもうめちゃ嬉しいと楽しかった気持ちでいっぱいです。 同じクルーの仲間であるharutoさんと決勝戦で戦う中で、弱点を握られてしまうのではないかという心配はありましたか?正直、決勝戦の前によくharutoと一緒に練習していて、そのときも最後のラウンドの通し練習(通し連)は、決勝戦でやるやつを一緒にやっていたんです。 2人で、きついけど最後まで一緒に頑張ろうって言いながらやってたので、もう本番ではやるだけだなって気持ちで挑みました。でも最後に(技を)返された瞬間、自分が前に飛びながらharutoが後ろに飛んでいくのを見て、「うわ、そうだ、haruto知ってるわ」って思って、ちょっと「やられたな」っていう感覚はありましたね。ただ、もうお互い長年やってきて全部分かってる仲なので、そこを考え出したらキリがないんですよ。だから特に意識はしてなかったですけど、返された瞬間は「ちくしょう!」って思いながら前に飛んでました(笑)。 世界トップレベルのコンペティションでここまで進むことがどれだけ大変だったか、また、若いB-Boy/B-Girlに対して必要なことや辛い経験について語れることがあれば教えていただきたいです本当に僕も去年はめちゃくちゃ悔しい思いをしたんです。だから今年は、唯一この悔しさを埋められるのは、BC Oneしかないなとずっと思ってました。オリンピックには出られなかったけど、それも本気で挑んだからこそ届かなかった結果で。その悲しい気持ちを乗り越えるためにも、来年のBC Oneは、どこであっても絶対に優勝するしかないって思ってました。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool その過程の中で、自分の練習への向き合い方や、体づくりについてもいろいろ学びました。去年のオリンピックシーズンを通して、体力のつけ方とか、最後のひと押しを入れられるガッツの部分も、すごく鍛えられたと思います。でもやっぱり、ブレイキン(ブレイクダンス)がスポーツとしての競技と少し違うなと感じたのは、練習している時でした。練習が完璧でも、睡眠が完璧でも、食事が完璧でも、それだけで優勝できるわけじゃない。いろんなバトルを通して、改めてそう感じました。結局、その日のステージで「自分が一番かっこいい」と思って踊れる人が、一番魅力的に見えるし、勝っていくんだと思うんです。だから、自分も「練習をやってきたから大丈夫」ではなくて、「じゃあ当日、自分の踊りをどう見せるか」というメンタルの部分を大事にしようと考えました。途中までは、練習が足りてないと不安になることもあったけど、2週間前くらいに「もうやることは全部やった」と割り切れて。そこからは、「自分が一番かっこいいと思うブレイクを、見てくれる人やジャッジの心に突き刺す」ことだけに集中できたんです。その気持ちでステージに立てたおかげで、今日は本当に羽を伸ばすように、納得のいくダンスができたんじゃないかなって思います。 未来のB-Boy/B-Girlに向けて一言よろしくお願いします ブレイクダンスを楽しんで自分の 1 番かっこいいと思ってるものを突き詰めて、自分だけのスタイルっていうものをどんどん作って、ブレイクダンスがもっと面白くなるようにしましょう。 開催概要 名称:Red Bull BC One World Final Tokyo 2025 日時:2025年11月9日(日)開場15:00 / 開演17:00 / 終演21:00 会場:両国国技館(東京都墨田区横網1丁目3-28) 出場者: <B-Boy>Shigekix (日本)ISSIN (日本)Icey Ives (アメリカ)Hiro10 (日本)Mighty Jake (ベネズエラ)Lee (オランダ)Djibril (ベルギー)Amir (カザフスタン)Fe (韓国)Fléau (カナダ)Griimsen (デンマーク)Jet Leg (イタリア) Alvin (ベネズエラ) *Red Bull Last Chance Cypher Winner haruto (日本) *Red Bull Last Chance Cypher WinnerLorenzo (オランダ) *Red Bull Last Chance Cypher WinnerPesto (イタリア) *Red Bull Last Chance Cypher Winner <B-Girl>AYU (日本)Riko (日本)Nicka (リトアニア)Sayora (カザフスタン)Swami (メキシコ)Leona (アクアドル)Carla (ルーマニア)Starry (韓国)Firebird (ブルガリア)Kimie (フランス)Julianna (ポーランド)Stefani (イギリス)Syssy (フランス) *Red Bull Last Chance Cypher WinnerFreshBella (韓国) *Red Bull Last Chance Cypher WinnerJazzy (トルコ) *Red Bull Last Chance Cypher WinnerLogistx (アメリカ) *Red Bull Last Chance Cypher Winner <JUDGE>RONNIE RUEN, CLOUD, KILL, LUMA, ATA <HOST>AMJAD, KENSAKU <DJ> KHANFU 主 催:レッドブル・ジャパン株式会社 パートナー: Reebok / PHILIPS / VISA / Jeep / G-SHOCK / BEYBLADE X / イープラス / Japan Wireless




