はじめに
青森県にある弘前市(ひろさきし)をご存知だろうか。弘前の特徴として青森県南西部にあり日本で最初に市制を施行した都市の一つである。弘前藩の城下町として発展し、津軽地方の中心都市として弘前都市圏を形成し、青森県唯一の国立大学法人である弘前大学が設置されているほど青森を代表する中心地だ。
また、りんごの生産量は弘前市が全国一を誇り、弘前公園で開催される弘前さくらまつりや弘前城も全国的に知られており「お城とさくらとりんごのまち」のフレーズは古くから使われている。8月には、国の重要無形民俗文化財に指定されている「弘前ねぷたまつり」が開催され、例年100万人以上の人出があり、全国的に知名度のある夏祭りも開催されている情熱と伝統が色濃く残る地でもある。
その弘前で、近年急成長を遂げているイベントが今年も開催される。それが弘前城の城が由来の「SHIROFES.」だ。
「SHIROFES.」は、今年で10回目の開催を迎える。初期から内容を拡張し、現在は音楽、ダンス、そして様々なアートが融合した、まさに複合型の一大イベントへと成長を遂げている。観客の熱気、ダンサーのエネルギーとパワー、そして運営スタッフの情熱がエネルギーの塊となり、まさに「目覚めろ、個性。燃え上がれ、弘前。」というキャッチフレーズを体現するイベントとなっている。今回は、このSHIROFES.を支える弘前の櫻田市長と、イベントを牽引するオーガナイザーのNOBUOにその軌跡と現在のSHIROFES.がもたらす影響、そして街づくりについて話を訊いた。

– 本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、昨年のSHIROFES.をご覧になられた感想を教えていただけますか?
櫻田市長: 昨年のファイナルは、まさにエネルギーの塊を体で感じ、圧倒されました。ブレイクダンスなど各大会の決勝戦では、ダンサーの方々が相手をリスペクトしながらも最高のパフォーマンスを繰り広げ、会場が一体となっていました。若い人たちが市民会館を埋め尽くしている姿を見て「これが今の時代の新しい、全てを融合した一つの文化になっているのだな」というのが私の率直な感想です。SHIROFES.は単なるダンスイベントではなく、弘前が世界と繋がる象徴となっており、若者たちが自己表現できるかけがえのない舞台になっていると強く感じました。

– 昨年は予期せぬアクシデントがあったかと思いますが、無事に終えられた時の感想を教えてください。
NOBUO: そうですね、コロナ禍に入ってオンライン開催や無観客開催もありましたが、昨年ようやく市民会館がある弘前公園の方で実施することができました。そこに災害レベルの雨が降ってきたのですが、奇跡的に市民会館を使わせていただくことができ、屋内に急遽残りのプログラムを移動することができました。通常なら中止になっていただろう状況で、関わってくれるスタッフや日本を代表するダンサーの方々が裏で同じように動いてくれて、結果的に最高の盛り上がりを見せることができました。コロナ禍を経て、トラブルに見舞われながらも開催できたことが、自分としては非常に大きかったと感じています。オンラインからリアルな対面開催への移行、そしてトラブルを乗り越えたからこそ生まれた熱量が、ダンスイベントならではの得られた経験だったと感じています。

– 櫻田市長も現場にいらっしゃったと思いますが、当時の状況をみてどのように感じましたか?
櫻田市長: 私も2日間ほど会場で観覧をさせていただいていたのですが、豪雨になった時は大変な状況だと感じました。しかし、コロナ禍でも中止せずオンライン開催で世界と繋がるきっかけを作った彼らの「常に前を見続けて進む、止めることはしない」という強い思いが、様々な人たちの力を借りながらイベントとして成立しているのだと実感することができました。市民会館への急な変更にもかかわらず、まるで最初からそこで予定されていたかのような完成度の高いステージになっていました。これは市民が自ら作り上げてきたイベントの象徴であり、これからも市民、アーティスト、スタッフが交流しながら新しい文化を作っていくイベントになると感動しました。
SHIROFES.の成長と街づくりの影響
– SHIROFES.は全国的に見てもその規模や招集されるダンサーのレベル、そして幅広い世代が集まる点が他に類を見ないイベントだと感じます。この10年間の努力が積み重なってのことだと思いますが、特に成長する上で大きなきっかけになったことがあれば教えてください。
櫻田市長: 最初は弘前城の天守の石垣工事をきっかけにイベントが始まったのですが、私が思うに、急成長の大きなきっかけはコロナ禍でのオンライン開催だったと思います。あの時、「どうすれば自分たちの取り組みを止めることなく続けられるか」と真正面から向き合い、オンライン開催に踏み切ったことが、通常開催を重ねるよりもさらに飛躍的な成長を遂げたのではないかと感じています。困難があればあるほどそれを乗り越えていく力を持っているからこそ、実際に乗り越えていける。これが人としての成長、そして市民を巻き込んだイベントとしての成長に繋がっていると思います。

NOBUO: 弘前市の方々には本当に数え切れないほど多くの部分で協力していただいています。SHIROFES.が生まれて10年になりますが、その前から僕個人としては様々なイベントを開催していましたし、SHIROFES.の10年間も並行して様々なイベントや事業を行ってきました。そうしたなかで実感するのは、SHIROFES.以外の他のイベントに足を運んでくださる方が凄く増えたこと、そして初めて会うお店のスタッフさんから「SHIROFES.楽しみにしています!」と声をかけていただけることです。“楽しみにしてもらえる”という点で地元の方からも理解が得られていることが、協力してもらっていると凄く感じる部分ですね。僕がダンススタジオを始めた18年ほど前は、ダンスに対する理解度や認知度が低く、ダンサーや子供たちも今ほど市民権を得ていなかった中で、皆がそれぞれの立場でダンスシーンを盛り上げようとしてきた結果、今ではダンス関係者のみならず、地元の方からの応援も多く感じられるようになりました。SHIROFES.がそれをさらに繋げてくれたという手応えがとてもあります。
– 櫻田市長は、SHIROFES.が街に広まり、良い影響をもたらしていると実感されていますか?
櫻田市長: はい、そうですね。SHIROFES.は、若い人が集まるイメージでしたが、会場に行くとご高齢の方や私と同年代のご夫婦まで来られていました。地域の方々がSHIROFES.を認知し、若い人たちが集まる姿を見に来る、そうした「街づくり」に近いところまで来ていると思います。先日も、Shigekixさんをはじめとした世界レベルのダンサーの方々が十名ほど市役所を表敬訪問してくださいました。その際、私の目の前でパフォーマンスをしてくれたんです。こんな贅沢な市長はいないなと思いましたし、これは地域に対する大きな貢献であり、市民がどう受け止め、どう育てていくかが試されている、これこそが街づくりそのものであると感じました。

– 今年は近隣の宿泊施設がすでに満室になっているほど、盛り上がりをみせていると伺いました。まさに街づくりですね。NOBUOさん、昨年の反響が大きいのでしょうか?
NOBUO: そうですね、今年の大会はエントリー数がすでにものすごい速さで昨年の記録を超えていて、定員に達している大会もあります。15歳以下の子供たちの参加人数だけで400人を超えていて、そのご家族もいらっしゃると考えると400家族くらい。大会参加者(出演者)全体ですでに1,300人を超えている状態です。そして、全国だけでなく、昨年よりもさらに海外のダンサーのエントリーが増えているんです。
さらに驚いたのは、エントリーをせずにただ「見に行きます」と言ってイタリアから来られる方がいることです。直接DMをもらい、おすすめのホテルや食事、SHIROFES.の楽しみ方、弘前での5日間の移動手段などを尋ねられました。見に来るためだけにわざわざ海外から来られる方がいるというのは、僕の知る限りはこれまでなかったので、とても新鮮でしたし昨年の反響を感じますね。

海外から5日間も弘前に滞在してイベントを見に来てくれるというのは、ある意味本当に一線を越えた、僕らの中では「ダンスの聖地」になったという感覚があります。そして今年からは、オンライン開催時に繋がったベトナムのダンサーから要望を受けたSHIROFES.の予選大会をベトナムで開催することができました。
そこで優勝した大人と中学生の男の子が、初めてパスポートを取って弘前に来るんです。ベトナムの大会もすごい盛り上がりで、台湾の方々も見に来ていて「来年はぜひ台湾でもやってほしい」と言われました。弘前の地元企業の方々も、海外での観光PRや、弘前りんごジュースを参加者に配るといった形で協力してくださっています。アジア圏では弘前は認知度が皆無に等しいと思うのですが、「SHIROFES.に行きたい!」と言っている人がたくさんいて、弘前を訪れてくれる機会になればと思います。
弘前からもベトナムへ連れて行った子供たちがいるのですが、そこでベトナムの子供たちから「SHIROFES.はすごい!」と言われたり、見知らぬ土地でSHIROFES.を目標にダンスを頑張っているダンサーたちと触れ合うことができ、良い意味でカルチャーショックを受けていました。コロナ禍を経て海外の人たちと繋がったことで、日本から視る海外、弘前から視る海外といった視点で考えるようになり、文化交流や経済的なPR、おもてなしの部分で弘前らしさを出せるのではないかと考えるようになりました。

弘前のダンス文化を支える「練習場所」誕生秘話
– ダンスは言葉も道具もいらないツールとして、国際交流の文化として地域に根付き発展しているんですね。櫻田市長はストリートダンスに対してSHIROFES.以前から関心をお持ちでしたか?
櫻田市長: ええ、実は弘前市役所の隣にある市立観光館の建物で、もう20年以上前から夜になるとカセットデッキを持ってきて音楽をかけ、ダンスをする若者をたくさん見てきました。観光館の管理者はその様子を危険だと考えていましたが、私は当時弘前市長の秘書をしていたのですが、市長に対し「彼らは自分たちでペットボトルを持ってきて、ゴミも残さずきれいに片付けている。純粋にダンスをしている。この人たちにスポットライトを当てられないか」と相談したことがありました。

その後、私の職員時代のことですが、弘前の駅前にある複合施設「HIRORO」のフリースペースに若者が集まってダンスをしているという話を聞き、鏡を設置することを提案しました。市役所の食堂の建て替えで残っていた昭和40年代の鏡を貼り、足りない分は市役所の方で整備をして全体で3、4枚貼ったところ、若者がただ集まるだけでなく、そこでダンスをすることで治安が良くなったんです。ダンスをしていた人たちをサポートできた経験があったので、SHIROFES.が始まったときも「あの時、あの場所で踊っていた人たちが、弘前で成長をし、いろいろと挑戦をしているんだな」と思い、職員として応援し、市長になってからもその想いは継続しています。
HIROROの練習広場 親子共に安心して自由に練習ができ交流場にも
NOBUO: まさにその観光館でカセットデッキを持って練習していた第一世代が僕らなんですよ。櫻田市長がおっしゃる20数年前というのはまさに僕らの時代です。当時から、弘前には「中下(ナカシタ)」というダンサーの聖地と呼ばれる練習場所があったのですが、上手い人達が沢山いて僕は大学に入ってからダンスを始めたので、そこに行くのが怖くて(笑)。大学から自転車で行ける距離にあった観光館がとても良い場所だったので、ダンスを始めた頃は夜になると毎日行っていました。ライトアップされると光の加減で鏡のように映る場所があってちょうど良かったんですよね。
HIROROの鏡の設置についてですが、この動きに関してはおそらく日本で一番最初の試みだったと思います。弘前ではデパートのフロアに鏡を設置して無料で練習できる場所を提供していて、今ではその経緯を知らない子供たちや、僕自身の子供でさえ、学校終わりにスクールからHIROROまで行って練習しています。複合施設のフリースペースで、親としても安全な場所なので、今では完全に子供たちにとってのダンスの聖地になっています。冬でも練習できるこうした場所はなかなかありません。
多くの自治体の方がSHIROFES.を見に来る際にイベントだけでなく、そうした普段の練習環境や流れを追って視察されます。この鏡の経緯を聞かれると10年以上前の話なので、ダンスがオリンピック競技になるという話もない時代にすでに自然とできていたことに驚かれます。こうした環境が整っていたことが、若い子たちが伸びている要因だと強く感じています。SHIROFES.に限らず、この街には恵まれたダンスの環境がかなり早い段階からあったのだなと改めて思いました。

– 櫻田市長が当時、危険視されがちな若者の集まりを純粋にダンスに打ち込む姿として捉え応援しようと思われたのは、行政管理視点としては真逆のように感じたのですが何かきっかけがあったのでしょうか?
櫻田市長: 当時、私の仕事が忙しく夜中に残業して帰る時も、彼らはひたすらカセットデッキで音楽をかけて踊っていました。冬の寒い中でも毎日見ていたので「この人たちにコーヒーでも差し入れしようかな」と思うほどでした。ある時「大丈夫?寒くない?」と、声をかけたら「大丈夫です。ダンスの練習がしたいんです!」と元気いっぱいに答えてくれたことがすごく印象に残っています。その時に、見方を変えることによって「この若い人たちは何をしたいのか」が分かったんです。
若い自分も何か挑戦したかった想いと重なり、少しでもサポートできないかと考えるようになりました。怪しいことをやっているという見方ではなく、何をしたいのかが分かると、自分たちがやりたいことを実現するためにはルールを守るといった、人としての当然のところが活きてくるんです。してはいけないとだけ言うのではなく、「一緒にこの地域で成長していこう」と感じたので、その当時からダンスが好きで踊っている人たちに何かしらサポートできないかと思っていました。それが鏡の設置となり、今に繋がっています。

SHIROFES.が持つ魅力と未来への展望
– ストリートダンスやSHIROFES.の魅力について、改めてお伺いできますか?
櫻田市長: ダンスを通して自分の想いを表現していく。これはリズム感、身体的な筋力、柔軟さなど様々なものが関わってきます。自分の持つ能力の強い面、良い面を伸ばし、それが世界で戦う場に繋がっていることが素晴らしいと思います。ダンスを通して様々な人が関わり、自分は踊れなくても見ることで楽しめます。昨年は台湾の小さな子供が応援するためにSHIROFES.を訪れたという話も聞きました。
このようにダンスを通して交流人口や関係人口が増えています。私は職員時代に観光を担当していましたが、現在のSHIROFES.はまさに観光誘致の世界であり、宿泊施設が満室になっている状況です。これは弘前では“さくらまつり”や“ねぷたまつり”くらいしかありません。観光誘致のみならず、文化の交流によって新しい経済活動が生まれていると感じており、これからの地域活性化に繋がると確信しています。
– ストリートダンスはジャンルが様々で、SHIROFES.はバトルコンテンツが多いと思います。特にダンスバトルは分かりにくい側面もあると思いますが、櫻田市長は率直に「楽しめるもの」だと感じますか?
櫻田市長: そうですね。率直にお答えすると・・「よく分かりません」。
一同(笑)

櫻田市長: よく分からないんですけど「何かがすごいんだな」ということは周りの観客の方々の反応で感じます。私自身、どこがすごいのかはよく分かっていないかもしれませんが、昨年の会場の一体感やダンサーの方々がお互いをリスペクトし頂上を目指しハイレベルな戦いをしていることはわかりましたし、心が震える場面も多くありました。なので、私のような方がいらしても大丈夫です。わかっていなくても一緒になってこの空気感を楽しむということをすれば、新しい楽しみ方ができるかと思います。
NOBUO: 僕としては、大会としてダンスバトルを行っているのですが、一方でダンスバトルだけじゃないダンスの楽しみ方を知ってもらいたいというのも正直あります。ダンスは音楽が軸であり、ヒップホップなどの洋楽だけでなく様々な音楽があり、地元の伝統芸能が入ると、他の地域から訪れたダンサーも「津軽三味線を生で初めて見た」と新しい発見をしてくれます。
ダンスバトルは一つの「フック」だと思っていて、バトルを軸に弘前に来ようと思ってもらえる大会にしていくのが僕らの役目だと考えています。昨年のイベントが終わった際には、多くの地元の方々から「SHIROFES.のステージに立つのが夢なんです」と言っていただき、今年は地元市民のパフォーマンス時間を増やしました。ダンスを軸に始まったイベントかもしれませんが、ダンスバトルがきっかけで市外から人が訪れ、地元で様々な音楽や伝統芸能をやっている人たちもSHIROFES.の同じステージに立ちたいと思ってくれる。
ダンスバトルも大事にしつつ、様々な音楽、ダンス、アート、伝統芸能が複合的に混ざることで生まれる地元密着型の空気感を大事にしていきたいと思っています。

– 弘前市を代表する祭りと言っても過言ではない程に成長したSHIROFES.を、市としてはどのように捉えていますか?
櫻田市長: そうですね、SHIROFES.10年、あっという間でした。市民の皆さんがこのイベントを認知し、さらに楽しみにしてきている、市民の成長が大きな効果を与えてくれていると思います。ダンス、音楽、アート、地元の伝統芸能を含め、これらが総合的に地域と繋がり、弘前とSHIROFES.が成長を遂げてきています。これは若い人たちが弘前から世界へ羽ばたく大きなきっかけになっていると思います。
夢を描き、自らの能力に挑戦し、世界で戦うんだという自信を市民の皆さんに与えてくれているのはこのSHIROFES.です。弘前は桜とりんごの街ですが、ダンスの街として大きく打ち出していける集客力がある。国外から人々が訪れ、世界で予選会を開きたいという声も出てきている。その中心が弘前だということは、ダンスの世界では弘前が「聖地」になりうるのではないかと感じています。これを市もしっかりと支え、様々な意味で協調していくことがこれからの地域づくりに繋がっていくと思っています。

– 今後に向けて、どのような展望をお持ちですか?
NOBUO: 一つひとつのコンテンツはこれからもレベルが上がっていくだろうと思います。僕自身は考える側ですが、実際に作るのは現場に立つアーティストやダンサーになってきているので、そこはどんどん伸びていくだろうと。その中で、僕らが弘前でやっていることが、他の地域でも同じようにできるのかという問いには、他の地域のオーガナイザーや海外のダンサーともっと繋がっていきたいという想いがあります。
自分がやっているイベントが一番良い、と言いたいわけではなく、もっと他の地域との交流、そして弘前でダンスをやっている子供たちが地元にいながら外の地域の人たちと交流できる環境作りをしていきたいです。それがベトナム開催のきっかけにもなっていますし、海外で予選大会をやって、そこに地元の子供たちも連れて行ってパフォーマンスする機会を作るなど、もっとできることがたくさんあると感じています。

日本では「決勝大会と言えば東京」といった主要都市にメインコンテンツが集中しがちですが、東南アジアなど他の地域にも広げることで、地方にいる子供たちが経験の格差を感じずに済むようにしたい。弘前だけで頑張るのではなく、全国の地方で頑張っているオーガナイザーと繋がって新しいムーブメントを作っていきたい。
ベトナムをはじめ、今後はインドでの開催も考えています。僕自身はSHIROFES.を誰かに継いでほしいとは正直全く思っていません。若い世代の子たちが刺激を受け「弘前でイベントを作りたい!」と自主的に思うような環境を作りたいです。今あるものを育てるというよりは、新しいことができるようにするために、新しい文化や他の文化を持つ人たちとの交流をどんどんやっていかないと、結局何も感じないまま高校を卒業し、地元を出ていってしまうという地方の課題を解決したいです。ダンスシーンがどうこうという次元の話ではなく、僕らが僕らの立場で何を後世に残せるか、どういうことができるかが、下の子供たちやこれからの街に大きく影響すると感じています。

おわりに
– 最後に、今年のSHIROFES.に来場される方や読者の皆様にメッセージをお願いします。
櫻田市長: このSHIROFES.は、ストリートダンスが単なるパフォーマンスではなく、その人の生き方そのもの、自分を表現する自由な手段であるということをダンスで表現していると思います。地元の子供たちも超一流の方々のダンスを見て大きな刺激を受けている、そのようなイベントに成長してきました。
初開催から10年が経ちますが、市民の皆さんと一緒に作り上げてきたこのSHIROFES.というイベント、国内外から多くの皆さんにレベルの高いパフォーマンスダンスをぜひ見ていただき、そして文化としての祭典だと認識してもらいたいと思います。若者や地域の方々、さらには世界に挑戦する方々が一体となって作り上げるイベントですので、ぜひ多くの方々にお越しいただければと思います。

NOBUO: そうですね、まず僕は弘前市で地元行政と連携を取りつつ10年間このイベントを開催してこれたことに関して、“恵まれているな”ととても思います。それを感じているのは僕自身だけでなく、「ダンスでここまでのものができるの?」という全国の関係者からのお声も多くいただきます。夢を与えてくれる街なのかなとすごく思いますね。
だからこそ「どうやってやってるの?」と皆が思うところで、それは単純に「恵まれている」の一言に尽きるのかなと思います。どの地域でもできることかもしれませんが、やっぱりこれだけのことは弘前じゃないとできないよな、と自分自身すごく感じています。弘前だからこそこういうことができている、こういう相談もできる、という理解も少しずつ広がってきていると感じます。なので、SHIROFES.に遊びに来る人たちには、イベント自体を作っている人たちの熱量や、街全体の魅力も、ぜひ来ていただいた時に感じてもらえたら嬉しいです。
– 弘前はグルメも魅力的ですよね。ぜひ読者の方へおすすめグルメを教えてください。
NOBUO: 弘前の名物と言えばアップルパイですね!
櫻田市長: そうですね。また、弘前はイタリアンもフレンチも美味しいです。実はお寿司もびっくりするくらい新鮮なものが食べられるのでとっても美味しいですよ。
– 食も和洋折衷で楽しめるんですね!歴史も深く、食も文化も幅広く楽しめる弘前は観光としても非常に魅力的な地域ですね。本日は大変貴重なお話をありがとうございました。
プロフィール
青森県・弘前市長 櫻田 宏
弘前大学人文学部経済学科卒業
略歴
昭和58年4月 弘前市役所(福祉事務所保護課)採用
昭和62年4月 総務部人事課 主事
平成6年4月 市長公室企画課 主事
平成8年4月 市長公室企画課 企画担当主査
平成10年4月 企画部企画課男女共同参画室 男女共同参画担当主査
平成11年4月 企画部秘書課秘書係 係長
平成16年4月 企画部秘書課 課長補佐
平成18年8月 商工観光部観光物産課 課長補佐
平成23年4月 商工観光部観光局観光物産課 参事
平成24年4月 商工観光部観光局観光物産課 課長
平成25年4月 市民文化スポーツ部市民協働政策課 課長
平成26年4月 経営戦略部 理事
平成27年4月 観光振興部 部長
平成30年4月16日 弘前市長に就任
NOBUO
岩手県出身。弘前大学ストリートダンスサークルA.C.T.に所属し、ダンスを始める。大学院修了後、2008年にダンススタジオ「FUNKY STADIUM」をオープン。2012年、弘前市で芸術舞踊に関する活動を発展させるため、「ひろさき芸術舞踊実行委員会」を設立。2016年、弘前城本丸にて大規模野外フェスティバルSHIROFES.を開催。2021年、国が主催する「スポーツ文化ツーリズムアワード2021」で SHIROFES.が国内最高賞「スポーツ文化ツーリズム賞」を受賞。自身もダンサーとして活動し続け、更には育成などにも力を注いでいる。ダンススタジオ事業・イベント事業、レッドブルジャパン(株)のダンスコンテンツプロジェクトディレクターも務める。2023年10月より弘前大学大学院博士課程に進学。「カルチャーに対する熱量が及ぼす影響について」をテーマに研究も行っている。
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FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
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skate“アーバンスポーツの聖地”福岡県北九州市で、世界最高峰のスケートボードの大会「ワールドスケートボードストリート2025 北九州」がこの秋開催!2025.08.05今年、2025年11月23日(日)〜11月30日(日)の7日間にわたり、福岡県北九州市にて開催される世界最高峰のスケートボード・ストリート種目の大会「ワールドスケートボードストリート2025 北九州」の開催発表会見が、2025年8月5日(火)に北九州市・小倉で開かれ、北九州市長の武内和久氏、大会事務局長の河野眞二氏、そして今大会出場予定選手である2023年度世界チャンピオンの白井空良選手とパリオリンピック金メダリストの吉沢恋選手の4名が登壇した。 今大会が含まれる「ワールドスケートボードツアー」はオリンピック選考大会として認められている唯一のワールドツアー。そのため今大会で良い成績を残しランキング上位にランクインしてシード権を獲得していくことが、3年後のロサンゼルスオリンピックに向けた今後の選考大会に関しても重要となってくる。このことから世界中のトップコンペティターたちが今年重要視しているのがこの北九州大会なのだ。そのような大会ということもあり、世界中45の国と地域から計約200名が出場予定である。 そして今大会の舞台となる福岡県北九州市は過去にブレイキンやパルクールの世界大会を開催しており"アーバンスポーツの聖地"として近年認知を広げている街。大会を各方面から街ぐるみで盛り上げ、アーバンスポーツを「街の日常」として浸透させて、スポーツやカルチャーと融合し「街で未来を作る」ことを目標としている。この秋、そんな"アーバンスポーツの聖地"でロサンゼルスオリンピック選考へ向けたキックオフとなる大会が開催される。是非スケートボードファンの皆さんは会場でその熱い戦いの様子を現地で観戦して欲しい。なおチケット情報に関しては 8月下旬に詳細発表予定だ。 下記は今回の記者会見で語られた各登壇者のコメントをまとめたものである。 北九州市が世界最高峰のスケートボード大会を誘致し目指すのは、アーバンスポーツが日常にある環境 今大会開催における思いを話す武内市長 ©︎WST Japan 北九州市長 武内和久氏のコメント スケートボードをはじめとするアーバンスポーツは、競技の枠を超え、自己表現や創造性、挑戦する心、そして仲間とのつながりを大切にするカルチャーです。これらの価値観はまさにこれからの都市が大切にすべきものであると考えています。 北九州市ではこれまで「日本一、若者を応援する街」を掲げ、ブレイキンの国際大会やパルクールの世界選手権の開催など、若者に人気のあるアーバンスポーツの推進を通じて、まちの魅力と活力を高める取り組みを続けてきました。さらに私たちはアーバンスポーツを限られた施設内だけでなく街の日常に根付かせていくための挑戦も行っています。 そのコンセプトが「パークからストリートへ」で、北九州市が今まさに目指している方向性です。アーバンスポーツを専用施設だけでなく、街中でも楽しめるような環境を整えることで、多くのアーバンスポーツが街中に自然とあふれ、動きのある風景が日常の一部となる。そんな若者や幅広い世代にとっても魅力ある街をつくっていきたいと考えています。 この度、北九州市で開催されるこの大会は、単なる国際大会ではありません。世界最高峰の大会であると同時に、「都市」と「スポーツ」や「カルチャー」とが融合し「まち」で未来を創る。そうした“都市型スポーツイベント”の新たなモデルとなる大会にしたいと考えています。 選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、会場や環境の整備には市をあげて取り組んでいきます。そして、観客の皆さまにもこれまでにない体験を提供し、心を込めた「おもてなし」でお迎えいたします。 スケートボードは都市の風景とカルチャーが混ざり合う中で発展してきたスポーツです。そのスケートボードと個性ある北九州市の街並みを融合させて、世界に一つだけの大会観戦体験を創出いたします。 白井空良・吉沢恋の両名が語る、世界最高峰の戦いが日本で開催される意味と今大会への意気込み 開催発表会見に参加した白井(左)と吉沢(右)©︎WST Japan 白井空良選手のコメント 白井空良のライディングワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京©︎WST Japan ワールドスケートの大会は本当に自分たちが一番大事にしている大会というか、やっぱりオリンピックはみんなの夢で、でもオリンピックに出るためには、この「ワールドスケート」が開催している大会で勝つしか方法がないんです。だからこそ自分たちにとってすごく大事にしている大会です。 そしてその大会が、日本の北九州で開催されるというのは本当に嬉しいことで、「どこで優勝するか」と言われたら、自分はやっぱりここで優勝したいって思っています。 また東京オリンピック・パリオリンピックを経て、スケートボードの存在を知ってくれた人は増えましたが、一方で「どう始めればいいかわからない」とか、「実際の競技を見たことがない」という人もまだ多いと思うので、この大会でスケートボードを始めるきっかけになったり、競技に興味を持ってもらえる機会になってくれたら嬉しいです。 吉沢恋選手のコメント 吉沢恋のライディングワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京©︎WST Japan 私にとってもこのワールドスケートの大会は、オリンピック2連覇を目指す上ですごく大事な大会だと思います。それがこの秋に北九州で開催されるというのはとても特別なことですし、それに加えて海外の大会と比べても、日本国内でスケートボードをまだあまり知らない方々にとっても注目してもらえる大会になると思います。そういった意味でも、自分の名前をもっと多くの人に知ってもらう良い機会になると思っています。 一方でたくさんの方が観てくれる大会だと思うので、少し緊張している部分もありますが、何よりも楽しんでオリンピック出場に向けて良い結果が出せるように、自分の持てる力をすべて出し切って頑張りたいと思います。 またスケートボードの良さとして、一人一人がライバルでありながらも、みんなすごい仲が良くて、本番の滑走中でも笑い合ったり、お互いに励まし合ったりするところはスケートボードならでは良いところだと思います。今大会ではそういうところも含めて、スケートボードの良さを知ってもらえたら嬉しいなと思っています。 大会情報 【大会名称】 英 語:World Skateboarding Tour Street 2025 KITAKYUSHU 日本語:ワールドスケートボードストリート 2025 北九州 【開催概要】開催期間:2025 年 11 月 23 日(日)~11 月 30 日(日)観戦可能日程は、28日(金)準々決勝、29日(土)準決勝、30日(日)決勝の3日間を予定会場:西日本総合展示場新館(北九州市小倉北区浅野 3-8-1) 【競技概要】 出場国 : 45の国と地域 参加数 : 約200名 競技フォーマット ・予選 45秒のランを2本実施し、ベストラン(最高得点)のみを採用。 ・準々決勝(シード選手含む40名) 45秒のランを2本実施し、ベストラン(最高得点)のみを採用。 ・準決勝(16名) 45秒のランを2本とベストトリックを3本実施。 ベストラン1本とベストトリック1本の合計スコアで競います。 ・決勝(8名) 45秒のランを3本とベストトリックを3本実施。 ベストラン1本とベストトリック1本の合計スコアで競います。 【チケット販売】 8月下旬に詳細発表。
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[PR] skate世界最高峰の舞台「X Games」で奇跡の一瞬を切り取る。アクションスポーツフィルマー多治見規人の“覚悟”と“絶対的信頼”2025.07.30世界最大のアクションスポーツの祭典「X Games」。アクションスポーツを生業にするアスリートなら誰もが一度は参加したいと思うほどの歴史のある大会が、先日大阪初上陸にて開催され、また新たな歴史の1ページが刻まれた。今回はその「X Games Osaka 2025」で素晴らしいパフォーマンスを見せるライダーたちの活躍を迫力満点な映像を通して世界中へ発信する陰の立役者、大会オフィシャルフィルマーチームにフォーカス。FINEPLAY編集部は同チームディレクターである多治見規人さんにインタビューを敢行。今回の「X Games Osaka 2025」での撮影業務とここでしか聞けない撮影の裏話、また日々のアクションスポーツ撮影の中でのこだわりや使用機材、そしてフィルマーとしてライダーと向き合う覚悟と、彼が絶対の信頼を置くアイテムについて語ってもらった。下記では、世界男子最年少X Gamesメダリストとなったスケートボーダー河上恵蒔選手とのセッションの写真および映像と共に多治見さんとのインタビューをお届けする。 多治見規人(以下:T) アクションスポーツフィルマーに求められるのは、アスリートの本気を引き出す「信頼関係」とアート要素を映像に入れ込む「真剣勝負」 ― アクションスポーツを撮影する上で意識されていることはありますか?T: 一番大事なのはアスリートとの信頼関係だと思っていて、アクションスポーツのかっこよさを引き出すためには、ライダーたちからも「カッコいいものを撮るだろうな」って思ってもらえないと彼らも良いパフォーマンスを出してくれないのはとても感じています。そのためには現場に通って顔を覚えてもらうことが一番最初に必要なことで、僕のバックグラウンドであるフリースタイルモトクロス(以下:FMX)を撮り始めた時はそのように信頼を得てから良い画が撮れるようになってきたと思います。そういう意味では「こいつ誰やねん」という人だとなかなか良い画は撮れなかったりするので、意識しているのはアスリートとの距離感やコミュニケーションです。あと競技ごとで撮影中に求められる暗黙のルールがあるのも難しい点で常に意識するところですね。例えばスノーボードは飛び出しから着地まで全てを撮らないといけないとか、スケートボードだったら技によってこっち側にボードが回るからこっち方向から撮ってくれみたいなこともあります。なので競技ごとの撮影のルールはちゃんと頭の中に置きながら撮影していますね。 ― 被写体となるアスリートとのコミュニケーションや間合いの取り方について聞かせてください。T:実際に撮ったものをその場でライダーに見せることですかね。「俺が撮った今のシーンめっちゃ良かったからちょっと見て!」という感じで実際に自分が撮った画角も含めて映像をまず見てもらって、ライダーにも「めっちゃ良いやん」って思ってもらい信頼を得てから、その上でライダーとのコミュニケーションをブラッシュアップしていってお互いが求める映像の中間を探るという感じです。 アクションスポーツは他のスポーツに比べて「撮られるスポーツ」だと僕は思っていて、映像を通して表現するスポーツでもあると思うので、カメラマンの自分が思うかっこいい「これや!」という映像とライダーが求めている映像の中間の探り合いというか、真剣勝負だと勝手に思ってます。そういうコミュニケーションを通してアスリートとの距離を近づけていく感じです。 ― それはアスリート側の意見に寄ってしまうと良い画にならないということでしょうか?T: その点の例であげると、スケートボートビデオとかに代表されるのが「フィッシュオンリー(広角の魚眼レンズだけ)」っていう撮影のカルチャーで、スケーターはフィッシュアイレンズだけで頭からつま先まで全身を迫力よく見せたいという感じなんですけど、一般的に見ている側からすると1つの画角だけなので飽きちゃうんですよね。僕はスケーター出身ではないフィルマーなので、フィッシュアイレンズのような広角な画があるなら、一方ですごく寄った画があって細部ではこんなにすごいことをしているという部分を見せる表現の仕方もあると思っています。だからこそのアスリート側との中間の探り合いですかね。 ― それは多治見さんがアスリート出身ではないからこそ、アスリートたちの持つ固定概念を崩すような映像を見せたいという思いもあるのでしょうか?T: アスリートの人たちは技がしっかり決まっていれば、良い作品になると思いがちだったりするので、そこに我々クリエイティブ側がアート要素を加えてあげることを意識しています。例えば背景にこういうものがあるからライダーがより引き立つとか、手前にちょっとこういうボケがあるからその一瞬を切り抜いているような見せ方ができるなど、アート要素を加えてあげて作品としてもカッコよく見えるように意識しています。 ― 競技ごとの暗黙のルールの中で、クリエイティブ的なアート要素を加える感覚は現場の数をこなしていないと難しそうですね。T:そうですね。競技ごとに違う要素を求められますし、例えばFMXもそうなんですけど、撮影できるチャンスはライディング全体で数秒の内の0コンマ何秒の一瞬しかなかったりするんです。特にスチールはジャンプ中の身体が一番伸び切ってる瞬間を撮る必要があるのでそういったニュアンスは理解しておくべきだと思います。アクションスポーツはそういう点が結構難しいですね。パッと来てパッと撮れるスポーツではないので。 X Games Osaka 2025で求められたのは、世界最高峰のパフォーマンスを撮りこぼさないチームワークと迅速な作業 ― 「X Games Osaka 2025」のオフィシャルフィルマーの具体的な仕事内容についてお聞かせください。T:オフィシャルフィルマーは大会期間中、毎日ハイライトを即日納品しないといけないので、撮影した素材を速攻SSDやパソコンに取り込んで編集し、その日中にSNSに投稿して次の日の集客促進に繋げたり、「今大阪でこういうやばい祭典があるよ」という認知を広げることが主な役割でした。大会後は全体のリキャップを作りつつ、CM等に充てて来年の集客を伸ばすための映像素材作りをしています。 とにかく映像を通して、お客さんが盛り上がっている様子や、アクションスポーツファンに会場へ行ってみたいと思ってもらえるような画作りをすることが我々オフィシャルフィルマーの役割になります。 ― ちなみに大会期間中の即日納品業務のスピード感はどのような感じでしたか?T:スピード感でいうと映像もなまもので遅れれば遅れるほど腐っていくので、目標は日が変わるまでに大会公式SNSへ公開することでした。映像を取り込むタイミングもその日のスケジュールにもよりますが、隙間があれば他のカメラマンからデータを受け取り、SSD内で3カメ分を見ながら直接編集をかけながら業務を進めていました。編集担当は僕一人だったので、撮影中もある程度頭の中で編集のことを考えながら素材を撮るためにカメラを回していましたね。 ― 過去の国内のX Gamesも担当されていましたが、今回「X Games Osaka 2025」を撮影してみた所感を聞かせてください。T:会場がドームなので天候に左右されないですし、会場自体もコンパクトになっていて見やすいので、僕らも移動はすごく楽でしたし、大阪という土地も相まってお客さんの盛り上がりやノリも良いなという印象を受けましたね。ただ世界大会ということで世界の名だたるアスリートたちが来るので、こちらにも緊張感はとてもありますし、アクションスポーツの大会は基本的に一発勝負で撮り直しできないので、緊張感を常に持って「最高の一瞬を絶対に逃さない」って思いながら撮影していました。 ― その撮りこぼしを無くすように意識している撮影方法もありますか?T:今回は3カメで回していたので、会場内に自分を含めて3人のフィルマーがいたのですが、それぞれがリアルタイムで会話できるようにインカムをつけていて、今何が起こっているかと自分がどの場所から撮っているかを常に共有しながら同じ画角が発生しないように心がけて撮影していました。そのため、僕がこっち側にいる時には、反対側に違うカメラマンがいて、それを俯瞰で撮るカメラマンがいるような、そういった役割分担をリアルタイムで指示しながら、「あれ絶対撮ってね」とか「今このライダーの技決まりそうだから逆狙って、こっちで俺が技絶対撮るから」というようなコミュニケーションを取っていました。一緒に撮影に入ったメンバーも各々が別々の分野に精通しているフィルマーたちなので最高のチームワークで撮影できたと思います。 「一瞬を逃さないため」に必要とされるのは機動力重視の機材 ― 現在はどんな機材を使っていますか?またその機材を選んだ決め手を聞かせてください。T:「SONY FX3」という一眼レフから派生しているムービーに特化したカメラで、レンズも同じくムービーに特化した「SONY FE 24-70」というものを使っていて、基本的にイベントや大会ではこのズームレンズを24mmから70mmの間でパンパンと画角を変えながら撮影しています。またカメラの機能としては4Kと120FPSのスローが撮れることが最低限ですが、とにかく機動力重視で扱ってます。アクションスポーツは本当に一瞬一瞬、いつ技が決まるか分からない競技なので、その一瞬を逃さない機材を選んでいます。 ― アクションスポーツでも競技によって撮影環境やスタイルが異なると思いますが、どのように機材を扱っていますか?T:競技ごとに変わってくるのはやっぱりレンズですね。先ほど話したスケートボードだとフィッシュアイというレンズで、近くなればなるほど全身が入ったすごい迫力が出る映像になると思いますし、FMXも空中10mとかなので200mmぐらいの長いレンズを使わないといけないです。今回のX Gamesは全競技インドアで行われていますが、バイクのモトクロスであれば屋外のドロドロのコース上で撮らないといけない場面もあるので最低限「防塵・防滴」対応のものを使っています。基本的にはレンズを中心にその環境に応じて合ったものをその場で付け替えて撮影しています。 ― ちなみに実際にそのようなハードな撮影の中で経験したアクシデントはありますか?T:アクシデントでいうと良い画を欲張り近寄りすぎてライダーがレンズに当たってしまったことですかね。例えばモトクロスで土がぶわっとこっちにかかるような迫力があるシーンが欲しくて、近寄りすぎて本当に土が当たってしまってフィルターが割れたことがありました。まあレンズに土がパッと当たる画は迫力がありますし、リスクを取って撮れた素材なので使っちゃいましたけど、その後は怒られましたね。。(笑)GoProも今まで同じように何個潰したことか。(笑) 過酷な現場を支える「絶対的信頼」。超高速ワークフローを叶えるのはSandiskのストレージ ― 先ほどから話に出てくる「SSD」ですが、バッグの中はSandiskのSSDしか入っていないですよね?T:もう気づいた時にはSandisk製品を普通に使っていましたね。カメラの話でも言ったようにこのブランドの持つ「防塵・防滴」仕様は大きな決め手のひとつですし、この「SanDisk Extreme ポータブルSSD」は落下耐性もあるのでありがたいです。特にモトクロス会場とかは砂埃りもすごいですし、このような大会の現場は撮影したものをすぐ取り込む必要があったり、ガチャガチャした環境の中で使用しないといけないので物理的なハードさは必要でSandisk製品は信頼できるので自然と選んでいます。あとどこでも手に入る手軽さも大きいですね。ストレージが足りなくてやばいとなっても近くの家電量販店に行けば製品が手に入るというのは安心です。周りのカメラマンもみんな使っていますし。 ― 今回はメモリーカードもSandiskのCFexpressカードを使われたんですよね?T:はい。今回初めて「SanDisk PRO-CINEMA CFexpress(tm) Type A」を使わせてもらったのですが、良かった点は速度的な部分で、4K120fbsの1番ビットレートが高い設定が使えるところですね。アクションスポーツは本当に一瞬が大事なスポーツなので、決定的なシーンをスローモーションで見せたりもします。スロー再生しても画質が粗くならないように4K120fbs等で撮影を回しているためデータが重くなりがちなので、書き込み速度が遅いメディアでは到底記録が追いつきません。また、メディアには容量も重要で普段使っているものでは120GBのメモリーカードがあるんですけど、4K120で撮っていると容量的に「そろそろ残りあと何分だ」とかを気にしないといけないのですが、今回使ったCFexpressは容量が480GBもあるので、大事な瞬間を撮り逃さないためにも心置きなく撮影を回せて録画を続けられるところが最高でした。 ― ストレージにデータを入れるタイミングやSSDやHDDの使い分けなど、Sandiskの製品の使い方についても教えてください。T:今回のX Gamesもそうなのですが、競技間は本当に時間がないですし、SSDにバックアップを取ったものをその場で編集しないといけないので、このような即日納品系は転送速度が速ければ速いほど良いです。そのため現場では基本的に速度の速いSSDを使用しています。それから3人分の4K撮影データを受け取って、スピード勝負で編集しなければならないため、PCにデータを移すのではなく、基本的にはポータブルSSDを常に差しながら編集作業をしています。 ― それでは最近はSSDを主に使うことが多いのでしょうか? T:そうですね。SSDはサイズがHDDに比べて1/4ぐらいのサイズになるので移動中に持ち歩いて編集もできます。なのでSSDは3〜4つくらい常備していますし、常に何かの案件を抱えながら撮影現場を移動しています。 ― 今までSandiskの製品はどのくらい使っていますか?T:知らないうちに使っている感じで、気づけばもう10年くらいになると思います。カメラマンとしてこの業界に入ったのが約10年目になりますが、カメラマンを始めた頃からSDカードを含めて常にSandiskの製品は身の回りにありましたね。 ― ちなみに普段使っているSSDと比べて、今回使ってみた「SanDisk Extreme PRO with USB4」の違いや感想を聞かせてください。T:書き込みや読み出し速度が「SanDisk Extreme ポータブルSSD」に比べて倍くらいの速度だと思うんですが、それが関係しているのか編集の速度も上がった気がします。今まで以上に素材を確認する時間も短縮できたので編集も早く進められた感じがしますね。いままでのSSDも十分速いと思うんですけど、現場はバタバタして忙しない中で、今回のSSDがいつもよりわずか数分でも早くデータを書き込んでくれるだけで本当に助かりましたし、このSSDの圧倒的な転送速度を感じましたね。 ― そのような現場では今回X Gamesも含めて、SSD内のデータから直接編集するということですが、そこでの編集速度が早くなったのでしょうか?T:そうですね。僕はAdobe Premiere Proという編集ソフトを使っているのですが、そこへSSDから映像素材を全部入れ込んで、プレビューしながらカットを見て編集しています。普段は素材のサムネイルが編集ソフト上に表示されるのに少し待ちがあってパッパッと表示されるのが遅いのですが、今回は一瞬で表示された印象でした。そのため、各素材の確認時間もいつもより早く進められた感覚がありました。きっと秒数レベルの実際の時間としてはそこまで大きな変化はないかと思いますが、今まで少し待ちがあった素材をすぐ見れたのはストレスフリーで作業効率も上がりました。 ― 詳しくお聞きしたいのですが、今回は過去のX Gamesに比べて、SanDisk Extreme PRO with USB4を活用したことでどのくらい作業効率が上がりましたか?T:昨年の幕張メッセで開催された「X Games Chiba 2024」とは、制作物含め作業内容が少し違ったので比べにくいのですが、幕張の時は地獄でしたね。競技が終わり次第、撮った映像を編集して出すというサイクルをずっと続けていたのでほぼ現場で撮影ができませんでした。本当に自分の好きな競技だけなんとか撮影に行かせてもらって、それ以外は他の3人のフィルマーに撮影を頼んで、自分はひたすら競技ごとのハイライトを編集して出すということを大会期間中ずっとしていました。 ― その時もSandiskのSSDを使われていましたが、前回に比べると今回のSanDisk Extreme PRO with USB4は書き込み速度だけではなく読み出し速度も速くなったと思われたのでしょうか?T:はい。読み出し速度も段違いでしたね。前回は「SanDisk Extreme ポータブルSSD」を使って即出しをやっていた中で、今回の取り込みの速さと編集効率の良さは前回と全然違ったので「SanDisk Extreme PRO with USB4」の凄さを体感できました。そのおかげで初日のデイリーハイライトは早く仕上げることができたので、普通に業務を終わらせてから飲みに行く時間もありました(笑)こんなこと、前回大会では考えられなかったです。 アクションスポーツの「競技性」と「カルチャー」の真髄を映したい。フィルマー多治見規人が映像で追求するのは両方のカッコよさ ― 今後自分がどういう風にアクションスポーツに関わっていきたいか、その展望を聞かせてください。T:X Gamesのようなシーンの最前線を撮ることは既にやらせてもらっていますし、アクションスポーツはとてもかっこいいシーンだと常に肌で感じていますが、まだまだマイナーな部分もあるのでもっと世に広まるようにしたいですね。BMXやスケートボードもオリンピックの正式種目になったことで世間にかなり広まっていますが、競技として注目されるようになったことで、本来の音楽やファッションにも通ずるカルチャーの部分が失われているような感覚も正直あります。僕はカルチャーも含めた本当にかっこいいと思うものを映像作品として表現したいです。ただ一方でテレビCMや企業のプロモーションのようなマスメディアにアクションスポーツを落とし込む作業も好きなので、ニッチなこのスポーツがもっと一般の人の目に触れる機会を増やそうと日々企画を考えたりとか作品も作っていきたいと思っています。 ― 最後に、一人のフィルマーとして期待している今後のアクションスポーツシーンの姿について聞かせてください。T: オリンピックの影響だと思いますが、全国でスケートパークがたくさん増えたりとか、子どもたちが始めやすい環境がもうできてきていますし、日本という国が競技としてすごく強くなってきているので既に良い方向には向いていると感じています。その中で本当のルーツや、ファッションや音楽に繋がるカルチャーの部分を「競技」として始めた若いライダーたちにも知ってもらえれば、もっとかっこいいライダーが増えていくと思います。最近はスタイル重視のライダーもいれば競技重視のライダーもいる中で、個人的にはその中間のハイブリットがもうちょっと増えて欲しいなと思っているのですが、もちろんどっちのスタイルも大好きです。アクションスポーツで長年フィルマーとして活動している身としては、両方のカッコいい部分を自分の映像で今後ももっと表現し続けていきたいと思っています。 「Sandisk & X Games Osaka 2025」スペシャルムービー / 河上恵蒔 x 多治見規人 Sandisk「この瞬間を残したい」 ①「SanDisk PRO-CINEMA CFexpress(tm) Type Aカード」◼プロフェッショナルが求めるパフォーマンスPCIe Gen4 対応。最大1,800MB/秒の読み出し速度、最大1,650MB/秒の書き込み速度で4K, 6K,8K映像や写真の撮影が可能◼ 長時間撮影480GBおよび960GB◼ VPG200認定Compact Flash Association VPG200認定カード。高解像度、高フレームレートの動画やRAWファイルをキャプチャ可能◼ 優れた耐久性最大7.5メートルからの落下耐性、最大150ニュートンでの曲げ耐性、IP57の防塵・防滴性能 ②「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」◼USB4®︎ Gen3x2対応(40Gbps)◼最大読み出し速度 3,800MB/秒、最大書き込み速度 3,700MB/秒◼2TBおよび4TBの大容量◼鍛造アルミ筐体とシリコンシェルで優れた堅牢性◼屋外への持ち運びに安心なIP65防塵・防滴性能◼信頼の5年間製品保証◼負荷の重い編集作業に最適な高速ストレージ◼ホスト機器との互換性(Windows®10以降/macOS14以降) 多治見規人プロフィール フュールメディア株式会社 演出部 / X Games Japan オフィシャルフィルマーチームディレクター異色のキャリアをもつ映像ディレクター。芸人で培った表現力と、バイク整備士として磨いた技術や細部へのこだわりを活かし、心を動かす映像を生み出す。企画から編集まで一貫して手がける柔軟性と、現場対応力・熱量ある演出を得意とする。主な代表作品:Honda/HRC「MotoGP™ JapanGP2024 Teaser」FUJIFILM 「X-H2S Promotional Video」New Era 「New Era® Outdoor 【Angler Collection】 | Spring & Summer 2023 | ”CHILD - MIND"
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skate待望の6年ぶりの開催。湘南の夏をさらに暑くした2日間「MURASAKI SHONAN OPEN 2025」イベントレポート2025.07.27日本のストリートカルチャーの中心として知られる神奈川県は湘南の地で、6年ぶりの復活となる「MURASAKI SHONAN OPEN 2025」が2025年7月20日(日)~21日(月・祝)に開催された。本イベントは2012年にスタートし、2019年を最後に一時休止していたが、記念すべき10回目を迎える今回、2024年6月にリニューアルオープンした「鵠沼海浜公園HUG-RIDE PARK」で過去最大級のスケールとなり復活開催となった。 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 イベント当日は2日間とも天気に恵まれ、太陽の日差しが降り注ぐまさに夏といった天候の中、計23,410人の観客が訪れては湘南で6年ぶりに復活したこのイベントの開催を祝い、様々な競技観戦や飲食そして音楽LIVEコンテンツを終日楽しんだ。その中でメインコンテンツとなった各競技コンテンツは通常のコンテストとは一風変わっており、各シーンの最前線を走るトップライダーたちがプロデュースするオリジナルルールの下で執り行われた。その中で、国内から招待されたトップライダーたちによる普段のコンテストでは見られないようなリアルなセッションが繰り広げられ会場を大いに沸かせた。 下記はそんな競技コンテンツを含め、本イベントを彩った各コンテンツのハイライトである。 サーフィン・ショートボードコンテスト「Top of Top」 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 湘南出身のプロサーファーであり、YouTubeチャンネル『KumeBro's』でも人気を集める粂浩平がプロデュースする、完全招待制のスペシャルサーフバトル「TOP of TOP」。TOP of TOPという名の通り、“最高の中の最高”を決める戦いとして定められた今大会オリジナルコンテンツ。 18名の招待選手たち ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 その名に相応しい、それぞれの舞台で輝くトップサーファーたちが出場。東京オリンピック日本代表の大原洋人や村上舜や、地元湘南をレペゼンし世界でも活動している大橋海人、佐藤魁、中村拓久未、小林直海などといった、国内で各サーフシーンで大活躍する18名が選抜され招待選手として登場し、会場は多くの観客でごった返すほど熱い戦いが繰り広げられた。 村上舜のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 大会当日は波のコンディションもベストではない中でそれぞれが持つ最高峰の技術、スタイル、精神力、すべてをかけて挑んだ。各ヒートで熾烈な戦いが行われた中、決勝に進出したのは東京オリンピック日本代表経験を持つ村上舜と地元湘南のトップサーファー平原颯馬。ただ今回軍配が上がったのは平原を相手にエクセレントスコア2本をまとめた村上。東京オリンピック後から自身のチーム「MOBB」の活動としてウェーブハントを中心に行いコンテストから離れていた彼だったが、そんな彼が圧倒的な強さを見せて優勝したことに会場は大盛り上がりだった。 サーフィン・ロングボードコンテスト「LONGBOARD STYLE JAM」 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 今年もMURASAKI SHONAN OPENのスペシャルコンテンツとして開催されたロングボードの招待制コンテスト。今回プロデュースを務めたのは、湘南を代表する元日本チャンピオン宮内謙至と千葉を代表するスタイリッシュサーファー尾頭信弘。日本のロングボードシーンを牽引してきた二人が手がける、スタイル重視の「シングルフィン限定コンテスト」がここに実現した。 出場するのは、国内トップクラスのロングボードライダーたちに加え、独自のスタイルで支持を集める個性派ライダーたち。そのすべてが「選ばれた者のみ」で構成される完全招待制の“魅せるサーフィン”に特化した特別なコンテストとなった。 なお今大会では本戦とレジェンドクラスの2カテゴリーが用意され、それぞれで優勝者が決められた。まずレジェンドクラスである「SPECIAL HEAT」で決勝へ勝ち上がったのは瀬筒雄太と中村清太郎の2名。お互いのライディングを称え合うように進んでいった決勝はまるで2人のセッション。エクセレントスコアを2本残した瀬筒が優勝した。 浜瀬海のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 一方でSTYLE JAM本戦で並いる強豪を抑えて決勝に進出したのは、ISAやWLTで日本代表選手として世界と戦い、日本では5回のグランドチャンプを獲得した地元湘南のプロロングボーダー浜瀬海と、スタイリッシュなライディングが目を奪う小熊海ノ介。熾烈な戦いが繰り広げられたが、世界で戦うスキルとスタイルが光った浜瀬が見事なノーズライドやボードコントロールを見せて見事優勝した。 スケートボード・パークコンテスト「ONE SHOT KING supported by 第一生命」 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 東京五輪スケートボード女子パーク金メダリストの四十住さくら(第一生命所属)がプロデュースする「ONE SHOT KING supported by 第一生命」は、文字通りONE SHOT、つまり1トリックで得点を争う完全オリジナルのコンテストだ。X GamesやSLSのストリート種目で採用されるベストトリック方式をパーク種目に取り入れ、決められたエリアで各選手3回ずつのトライを3カ所で繰り返し、各エリアのベストスコアの合計で順位を競う。 四十住の所属先である第一生命が冠スポンサーとなり、日本を代表するトップアスリートと企業のコラボレーションが体現された本コンテスト。プロデューサーの四十住から「今までパーク種目になかった形をずっと実現したいと思っていた」とコンテストへの想いが語られ、オーディエンスからの盛大な拍手とともに決勝が始まった。 WOMEN’s 佐竹晃のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 予選を勝ち抜き決勝に駒を進めたのは、岡本碧優・菅原琉衣・佐竹晃・能勢想の4名だ。それぞれがインパクトあるトリックを狙う中、スピード感と安定感のあるライディングでコーピングトリック・エアートリックをメイクしてきた佐竹は、弧を描くコーピングでの「バックサイドブラントスライド180アウト」を簡単にメイクすると、プールボウル最大のディープエンドで「バックサイドボディーバリアル540」をメイクし、本人も思わずガッツポーズを見せた。ラストトリックではウォールでの「バックサイドノーズブラント180アウト」を少しよろつきながらもメイクし、ONE SHOT KING WOMEN’sの初代王者に輝いた。 余談にはなるが、佐竹とコンテスト主催の四十住は小さい頃から共に練習してきた師弟関係にある。それも相まってか表彰台ではお互いが満面の笑みで肩を組む姿が印象的であった。 佐竹晃と四十住さくら ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 MEN’s ONE SHOT KING MEN’sでは、永原悠路・溝手唱太・櫻井壱世・天野太陽が決勝に進出し、この4名でチャンプの座を争うこととなった。エアートリック・アールトリックどれをとってもフリップやグラブが入るハイレベルで迫力のある滑りが繰り広げられる中、スタイリッシュかつメイク率の高いライディングで会場を沸かせたのは天野だ。 天野太陽のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 決勝のファーストランを担った天野は、弧を描くRで「キックフリップフロントサイドボードスライドロックンロール」をメイクし、いきなり繰り出された大技にオーディエンスからの歓声が飛び交った。次にプール最大のクォーターで高さのある「バックサイド540テールグラブ」を当たり前のように決め、最後にはウォールへトランスファーしながらの「アーリーウープボディーバリアルインディグラブ」をメイクし、ONE SHOT KING MEN’sの初代王者は天野が勝ち取った。 スケートボード・ストリートコンテスト「CHATTY CHATTY REAL ONE」 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 完全招待制のコンテストとは打って変わり、会場に足を運んだスケーターなら誰でも当日参加可能なオープンコンテスト「CHATTY CHATTY REAL ONE」。ただし、参加者に与えられるチャンスはたったの1回きりであり、次はない。ファーストトライでメイクできる技術と勝負強さが求められる、一発勝負のリアルバトルである。 午後2時という最も暑い時間での開催となり気温は30度に達するコンディションだったが、50名を超えるスケーターがプラットフォームに集結した。キッズからベテランまで幅広い面々の中には、日本を代表するスケーターの1人である白井空良や池田大暉も参加しており、年齢やレベルという垣根を超えたコンテストとなり、普段のコンテストとはまた違った独特の緊張感が漂っていた。 優勝した小林空 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 各ライダーたちが各々の得意トリックを順番にトライしていくが、プレッシャーからかなかなかメイクが出ない時間が続く。そんな流れを一蹴したのは、山梨からエントリーの小林空だ。少し距離のあるステアでの「スイッチフロントサイドビッグスピンヒールフリップ」という高難易度の技をメイクし、暫定1位の座に腰を掛けた。その後も、名だたるプロライダーたちがトライするが一向にメイクが出ず、いよいよ最後1人となる白井がダウンレッジで「フェイキーハードフリップテールスライド」を試みるもミス。その瞬間に「CHATTY CHATTY REAL ONE」の勝者が小林に決定した。 スケートボード・ストリートコンテスト「Rock Away」 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 「Rock Away」は湘南を代表するスケートクルー「CHATTY CHATTY」がフルプロデュースを手がける完全招待制のコンテストであり、予選決勝ともに10分間のジャムセッション形式で行われる。緊張感のあるコンペティションというよりも、自由な発想や唯一無二なスタイルでオーディエンスを沸かせ審査員の心を掴んだライダーが勝利を手にする、リアルなストリートスケートに限りなく近いコンテストと言えるだろう。審査員はCHATTY CHATTYのクルーから、WOMEN'sでは戸枝義明・JUNYAFIRE・北詰隆平、Men’sではRYUJIN・三枝博貴・ZIZOWが務めた。 WOMEN’s 8年前にはなかったWOMEN’sヒートができたことは、ウィメンズスケートシーンが大きく成長した何よりもの証拠だ。招待選手にはパリ五輪金メダリストの吉沢恋、世界選手権2023金メダリスト織田夢海など、世界レベルのスケーターらが名を連ね、ハイレベルなジャムセッションが繰り広げられた。 松本雪聖のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 そんな中で力の抜けたクールな構えからハイレベルなトリックを連発した弱冠13歳の松本雪聖は、ダウンレッジでスピード感のある「バックサイドクルックドグラインド」を軽々とメイクすると、得意とするキックフリップを入れてレッジやレールにアプローチを試みるが、簡単にはメイクできない。時間が僅かとなりMCからラストトリックと告げられると、松本はレールで「キックフリップバックサイドリップスライド」を見事にメイク。力強いガッツポーズと同時に会場は割れんばかりの歓声に包まれ、栄えあるRock Away WOMEN’s の初代王者に輝いた。 MEN’s SHONAN OPENの目玉と言っても過言ではないRock Away Men’s決勝に進出したのは、服部響輝・保坂太透・坂本倭京・本橋瞭・池田大暉・安部来夢・白井空良・米坂淳之介・戸枝義明の9名となり、見る人が見ればわかる世界で活躍するライダーから地元湘南のヤングガン、レジェンドまで、豪華な顔ぶれでのジャムセッションが開幕した。 池田大暉のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 各選手それぞれのスタイルを存分に発揮し、ステア・レール・レッジで巧みなトリックを魅せるなか、ひと際会場を沸かせたのは池田だ。スピードのあるアプローチからレッジでの「バックサイドノーズブラントスライド」をメイクし会場の注目を集め、止まることを知らない池田はその勢いで審査員席真下のバンクから「ノーリーバックサイドキックフリップイン」を一発メイク。さらにラストトリックでは再びレッジでの「ハーフキャブノーズスライドtoバックテールスライド」を決め切り、審査員の心をがっちり掴んだ池田が今年のRock Away Men’s を制することとなった。 池田大暉 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 BMXストリートコンテスト「Make on the Spot powered by ARK LEAGUE」 中村輪夢のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 6年ぶりにSHONAN OPENの舞台に帰ってきた「Make on the Spot powered by ARK LEAGUE」。スケートボードやBMXのイベントを数多くプロデュースしてきた「ARK LEAGUE」が手がける本コンテンツは、今年ストリート競技として完全招待制で実施。選ばれし精鋭たちだけの出場を許された特別な舞台で、観客の目の前でハイレベルなトリックの数々を披露した。なお今回の選手のキャスティング等にはX Games Osaka 2025 BMXパーク種目の金メダリストである中村輪夢も携わり世界最高峰のライダーも認める実力とスタイルともに世界の舞台での活躍が期待されるトップライダーたちが招待された。なおそのメンバーには中村輪夢を筆頭に溝垣丈司、比嘉勝太、宮地凌汰、寺林昌輝、上田崇人などハイレベルなコンペティターが揃った。 溝垣丈司のライディング ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 今回のバトルフォーマットはランとベストトリックを掛け合わせたベストスコア制。そんな中で見事優勝を勝ち取ったのは溝垣丈司。トランスファーでの「ダブルバースピン」やアップレールでの「テールウィップ」、クオーターでの「540」などを組み込んだランと、ベストトリックではハバレッジからの「540」アウトなどを決め切り会場を沸かせた。国内ではあまりメジャーではストリートの大会だが、今回このようなSHONAN OPENという様々なシーンの人々が集まるイベントで開催できたことはストリートシーンの発展に寄与することだろう。 JAPAN ACTION SPORTS AWARDS NEXT GENERATION 2025 前身である『JAPAN ACTION SPORTS AWARDS』は2014年から2019年まで開催され、五十嵐カノア、平野歩夢、西村碧莉ら世界的スターが受賞してきた。その後、東京2020や北京2022での日本人選手の活躍を受け、アクションスポーツのさらなる発展と、次世代スターの存在を広く伝えることを目的に、2022年より『JAPAN ACTION SPORTS AWARDS NEXT GENERATION』として新たにスタート。 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 サーフィン、スケートボード、スノーボードなど、アクションスポーツ界の未来を担う若手選手にスポットライトを当てるアワードで、今回も近年国内外を舞台に大活躍する選手たちが各ジャンルから計6名が表彰された。サーフィンから岡野漣と佐藤李、スケートボードから濱村大征と上村葵、そしてスノーボードからは宮村結斗と清水さらが選ばれた。 フードトラックと協賛ブース ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 そして会場内では競技観戦やライブ鑑賞はもちろんこと、観客が五感で楽しめる様々なコンテンツが充実。協賛ブースエリアではBMXやスケートボードの体験コーナーやフリースローエリア、また人気アイテムが当たるプレゼントキャンペーンや湘南オープン特別価格での提供などアクションスポーツでは人気の有名ブランドや大手ブランドが多く出店し、大勢の観客が足を運んだ。 ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 また暑い夏の日のイベントで必須なのは冷たいドリンクと美味しいフード。会場真横に設けられたフードエリアには多くのフードトラックが出店。本イベントに来た観客はもちろんのこと海水浴に来た一般のお客さんも訪れ、美味しい湘南グルメを思う存分楽しんだ。 MUSIC LIVE & ACTION SPORTS SHOWCASE ブレイキンショーケース ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 初日に開催されたショーケースと最終日に行われた豪華ミュージックライブも会場を大いに盛り上げた。1日目には国内外でも輝かしい実績を誇る日本を代表するブレイキンクルー「FOUND NATION」と2024年の世界選手権を制した若き日本代表「BBOY ISSIN」スペシャルコラボブレイキンショーケース。 BMXフラットランドショーケース ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 そして2008年の世界タイトル獲得から通算12度の王者、BMX FLATLAND界のレジェンド内野洋平と、ドイツ発の名門ブランドWE THE PEOPLEに所属し圧倒的スキルで注目の田圓尚人の2人によるフラットランドショー。世界最高峰のショーケースの数々に観客が目を奪われた。 平井大の音楽ライブ ©︎MURASAKI SHONAN OPEN 2025 最終日に本イベントを締め括ったのは平井大による豪華音楽ライブ。彼の印象的な耳に残る優しい歌声と歌詞、キャッチーなメロディーラインが聴く人の気持ちを癒し、湘南の夏を彩った。なおこのライブは無料で行われたことから会場中は大勢の観客が詰め寄り、まさにアクションスポーツと音楽がひとつになる真夏のスペシャルステージとなり2日間を締め括った。 MURASAKI SHONAN OPEN 2025 開催概要 開催日程:2025年7月20日(日)~7月21日(月・祝/海の日)開催場所:神奈川県藤沢市鵠沼海岸及び藤沢市立鵠沼海浜公園 HUG-RIDE PARK ※最寄り駅 小田急江ノ島線「鵠沼海岸駅」徒歩10分主催:湘南オープン実行委員会後援:藤沢市/株式会社湘南なぎさパーク/株式会社小田急SCディベロップメント特別協賛:株式会社ムラサキスポーツ協賛:BRISA MARINA、アクエリアス、BILLABONG、第一生命保険株式会社、一般財団法人 uni 三菱鉛筆 表現革新振興財団、日産神奈川販売株式会社日産車体株式会社、株式会社 明治、VANS JAPAN、BEYBLADE X、Carhartt WIP、株式会社ディー・エヌ・エー、カシオ計算機株式会社、株式会社ハーレージャパン、Insta360、ニューエラジャパン合同会社、OBEY、California General Store、CARIUMA、クロックス・ジャパン合同会社、DC、アウトドアスパイス ほりにし、Hydro Flask、LEUS、ocean pacific、プーマ、QUIKSILVER、レッドブル・ジャパン株式会社、Rivvia PROJECTS、ROXY、RVCA、VOLCOM、日本たばこ産業株式会社後援:藤沢市、株式会社小田急SCディベロップメント特別協力:株式会社湘南なぎさパーク協力:公益財団法人日本サーフィン連盟 湘南藤沢支部、NSA湘南大会実行委員会、一般社団法人日本アクションスポーツ連盟、藤沢市スケートボード協会、一般社団法人ARK LEAGUE
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dance今年もBBOY Shigekixが全国の小中学校へやってくる!!「MIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS WorkShop Tour 2025」2025.07.15昨年大好評だった、公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(以下:JDSF)が行っているブレイキンの魅力とそのスポーツとしての価値を広めるための国内の小中学校向けのブレイキンワークショップツアー「MIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour」が今年も開催決定。現在8月1日(金)23:59まで開催希望校を募集している。 このワークショップは、近年国際的に注目され2024年パリオリンピックでは正式種目となったブレイクダンスの日本国内での普及と発展を一層推進し、子どもたちにブレイクダンスを通じて身体を動かす楽しさと創造性を体験してもらい、トップアスリートとの交流を通じて子どもたちが夢や目標に向かって努力することの大切さを学ぶ機会も提供することを目的に行われ、昨年の2024年度では計6校で開催し、大好評だったたことを受けて引き続き今年も開催となった。 なお本ワークショップツアーは、今年も特別協賛として「ともに挑む。ともに実る。」をパーパスに掲げている株式会社みずほフィナンシャルグループと開催。同社はブレイキンの常に挑戦を続ける精神や、お互いの個性を認め合いながら新しい自分を探求し自己表現をする姿に共感してJDSFにも協賛している。 また同社のサポートアスリートで本ワークショップツアーの講師であるBBOY Shigekix(半井重幸)も、「ブレイキンを通じて子どもたちが夢や目標に向かって挑戦する姿勢を応援したい」という想いを伝えていきながら、子どもたちがブレイキンを体験するだけでなく、トップアスリートとの交流によって大きな夢を抱き、その実現に向けて努力する大切さを学ぶことができることに期待する取り組みである。 「MIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour 2025」のプログラム 本ワークショップツアーでは大きく2つのプログラムに分けられ、「トークセッション」と「ブレイキン体験会」が開催される。 トークセッション BBOY Shigekixが世界で活躍するまでに経験してきたエピソードや、「夢へ挑戦することの大切さ」について話す。話のあとは、子どもたちからの質疑応答タイム。素朴な疑問や悩みなど様々な質問や相談に対して、Shigekixが向き合う。 ブレイキン体験会 まずは簡単なステップから、Shigekixやサポート講師と一緒にブレイキンに挑戦。「できるできないより、楽しむことから」を重視して、お互いの個性を尊重しながら自己表現をする、ブレイキンの醍醐味を実際に体感。日本代表選手たちによる、スペシャルなパフォーマンスも披露。昨年度は子どもたちとShigekixたちが一緒にサイファーをしたりと大人気なプログラムである。 特別講師 BBOY Shigekix(半井 重幸)について 7歳の時にブレイキンを始める。11歳で世界大会への挑戦をスタートした。2020年には、Red Bull BC One World Finalにて世界最年少で優勝。2021年からJDSF全日本ブレイキン選手権を3連覇。そして2023年アジア競技会にて金メダルを獲得し、2024年パリオリンピック出場を果たす。このパリオリンピックでは開会式、閉会式ともに旗手を務めた。これまでに出場した国際大会での優勝経験は50回以上を誇る。名実共に日本を代表するブレイクダンサーである。 主な戦績・2023年JDSF 第4回全日本ブレイキン選手権 優勝(3連覇)WDSF World Series in 北九州 銅メダルWDSF World Series in ブラジル 銅メダルWDSF World Series in ポルトガル 金メダルWDSF 世界選手権 銅メダルアジア競技会 金メダル・2024年パリオリンピック 4位入賞WDSF 世界選手権2024 準優勝・2025年JDSF 第6回全日本ブレイキン選手権優勝 「ブレイキン」とは? ブレイキンは、1970 年代のアメリカ、特にニューヨーク市のブロンクス地区で発祥したストリートダンスの一種。ヒップホップ文化の一部として発展し、リズムに合わせて身体のあらゆるところを使って回転したり、ジャンプしたりダイナミックな動きを取り入れたダンスが特徴。2024年にはパリ五輪の正式種目として採用され 、ヒップホップ文化からダンススポーツとしても注目。そして日本のブレイクダンサーは世界トップクラスの実力を持ち、多くの国際大会で優秀な成績を収めており、日本だけでなく世界的にも日本のブレイキンは注目されている。 開催概要 名称:MIZUHO BLUE DREAM BREAKING LIMITS Workshop Tour 2025開催期間:2025年9月~2026年1月の期間で計6校主催:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス本部(JDSF)特別協賛:株式会社みずほフィナンシャルグループ応募期間:2025年7月3日(木)~8月1日(金)23:59まで費用:無料(学校様の費用負担はありません)対象:全国の小学校・中学校応募方法:応募フォームより必要事項をご入力の上、送信してください。授業内容:合計2コマ分の授業時間を使って実施します。・1コマ目:トークセッション(人数制限なし) Shigekix選手のキャリア、夢への挑戦についてのトーク、生徒の皆さまからの質疑応答・2コマ目:ブレイキン体験会(体育館の規模によっては参加可能人数の制限あり)実際に日本代表選手のパフォーマンスを見て、ブレイキンを体験。応募条件:・全国の小学校または中学校(支援学校などを含む)が対象であり、学校長が了承していること・「トークセッション」「ブレイキン体験会」共に、体育館での実施が可能であること。・体育館にマイク、プロジェクター及びスクリーンなどの設備があり、校内の諸室・設備も使用可能であること。・特別協賛社のロゴ露出(看板やバナー)等が可能であること・メディア等の取材を了承いただけること(参加者の肖像使用についてのご承諾含む)。 *その他注意事項や必要事項は公式HPをご確認ください。
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culture約7万2000人とダンスと音楽で一緒に10周年を祝った3日間。弘前から世界へ。夢を与え続けるフェス「SHIROFES.2025」2025.07.05今年で10周年を迎え、今では日本のダンスシーンにはなくてはならない、年に一度の一大ダンスイベントとなった国内最大級のストリートダンスとパフォーマンスの祭典「SHIROFES.」。今回も青森県弘前市の弘前公園にて2025年6月27日(金)~6月29日(日) にわたり「SHIROFES.2025」が開催され、過去最大数を更新するのべ約7万2000人の来場者と共に楽しんだ夏の熱い3日間が大盛況の中で惜しまれながらも幕を閉じた。 SHIROFES.のメインコンテンツであるダンスバトルやワークショップ、ショーケースなどのストリートダンス系のコンテンツをはじめ、地元アーティストによる音楽ライブは過去最大のカテゴリー数と出演者数により開催され、3日間を通して止まることなく来場者を全身で楽しませた。またご当地グルメを含めた多種多様なフードエリア、そして昨年から子ども連れに大人気のエアー遊具のSHIROFES.とASOVIVAがコラボした「ふわふわ遊具」などのコンテンツも老若男女問わず大勢の来場者を迎えては、最高潮の熱量で包まれる会場を後押しし、このフェス3日間を朝から晩まで非日常的な空間にしていた。 ©︎SHIROFES.2025 / Jason Halayko そんな今年のSHIROFES.も弘前市の全面バックアップにより開催。過去10年間にわたりイベント側と行政が地域密着型の二人三脚で歩んできたからこそ、地元の企業によるイベント協賛をはじめ、地元の飲食店が会場に出店し軒を連ねるなど、毎年過去最大規模を更新し続ける一大イベントへ作り上げている。またその様子がうかがえるように来場者はダンサーやファンだけではなく、一般の家族連れやお年寄りなどダンスシーン外の幅広い年代の人々も訪れていたことから、ストリートダンスカルチャーがこの青森県弘前市に深く浸透し根付いていて、地元から愛され続けているフェスであることも肌で感じられた。なおこのようなフェスになるまでに今までSHIROFES.と弘前市が共に進めてきた取り組みや経緯に関してはこちらの記事を是非一読してみて欲しい。 下記は本イベントを彩った各コンテンツのハイライトである。 過去最大の全11種のカテゴリーでチャンピオンの座を競い合ったダンスバトル ©︎SHIROFES.2025 / harugraphics SHIROFES.のメインコンテンツでもあるダンスバトルだが、2日目から3日目にわたり全11種のカテゴリーが開催され、なんと過去最多の計1,182名のダンサーたちが国内外からここ弘前に集まり各バトルに出場。昨年に引き続き今年も予選は誰でも参加OKのオープンスタイルで開催された各バトルにて、予選を勝ち抜いたダンサーとゲストバトラーが入り混じり、ノックアウト方式の決勝トーナメントで優勝の座を争った。 そして今年も全てのカテゴリーにおいて、予選から決勝まで目が離せない今まで以上にハイレベルで白熱した戦いが繰り広げられ、SHIROFES.の10周年記念にふさわしいダンサーたちのドラマが各バトルで見られる大会となった。是非そのドラマはこちらの全バトルの優勝者コメントから感じ取って欲しい! トップパフォーマーから地元のキッズダンサーまで、年齢やジャンルの垣根を超えて会場一体で時間を共有したショーケース BUG!? ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show 3日間を通じて、野外パフォーマンスステージであるフォレストステージでは各ジャンルで活躍するトップダンサーたちやアーバンスポーツのプロパフォーマーたちによるショーケースが披露された。その中には日々の練習の成果を披露する地元弘前で活動しているキッズダンサーたちや学生ダンスクルーによるパフォーマンスはもちろんのこと、伝統芸能を継承する学生グループによるライブパフォーマンスも披露され、ここ弘前がダンスと伝統芸能が共存する稀有で魅力的な街であることが伝わるショーケースとなった。 弘前大学書道部のパフォーマンス ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show 弘前大学ストリートダンスサークルA.C.T ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show また、2日目と3日目には一日の締め括りとして、日本が世界に誇るゲストダンサーやトップパフォーマーたちによる豪華ショーケースが次々に披露された。各ジャンルにて日本のダンスシーンを牽引するダンサーたちや、ダブルダッチやフリースタイルバスケットボールのプロパフォーマーたちが大集合し、SHIROFES.の記念すべき10周年を観客と共に全員で祝った。 Novel Nextus ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show その中でも特に盛り上がったのが最終日のクライマックスに用意されたダンスショーケース。今回は「JUNNA」「MiMz&Yasmin」「Boo&SHOW-GO」「YOSHIE&THE D Soraki」「GRAYSOURCE」「Novel Nextus」「Dance Of Artistic Movers」などといった様々なフィールドで各ジャンルを代表し、日本のダンスカルチャーを世界に発信し続けているトップダンサーたちが見事なパフォーマンスを披露し最終日の夜のボルテージを引き上げた。 Co-thkoo ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show そして今年も大トリを飾ったのは、このSHIROFES.を立ち上げから支えている「Co-thkoo」のふたり。パフォーマンスの終盤には昨年同様に今回のバトルでジャッジを担当した各ジャンルのレジェンドダンサー陣をステージに呼び込み、SHIROFES.でしか見られない豪華なセッションを披露して最終日の夜を締め括った。 過去最多の参加者数となったSHIROFES.人気コンテンツであるダンスワークショップ HANA&Yasminのワークショップの様子©︎SHIROFES.2025 / Jason Halayko また、SHIROFES.のもう一つの醍醐味はショーケースでもパフォーマンスを披露する国内外のトップダンサーたちによるダンスワークショップに参加できること。誰でも参加可能でダンスをとにかく楽しむことを一番の目的として開催された各ジャンルのワークショップは、年齢や性別、ダンスキャリアも様々ながらも過去最多の合計327名のダンスを愛する参加者が集まり一緒にセッションを楽しんだ。 このワークショップではトップダンサーから現在成長株の若手ダンサー、そして次世代に輝くキッズたちと言った幅広い世代が近い距離感で同じ時間を共有。お互いをリスペクトし合いながらプログラムを進めていくところにダンスカルチャーの素晴らしさを感じると共に、まさにここ弘前でダンスシーンが広がっていく様子を肌で感じるコンテンツとなった。 SHIROFES.2025を音楽で盛り上げた地元アーティストたちによる音楽ライブと豪華DJ陣 りんご娘 ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show 今回は青森県出身の人気アイドルグループのりんご娘や、元りんご娘のジョナゴールドなどの青森を代表するアイドルはもちろんのこと、地元青森で活躍するバンドやラッパー、そして弘前に根付く伝統的な囃子方を披露する弘大囃子組や、津軽三味線を演奏する山田流 和三絃會などの伝統芸能のパフォーマンスも含めてSHIROFES.ならではの新旧の音楽が入り混じる構成で老若男女様々な音楽嗜好を持つ観客たちを盛り上げ楽しませた。 津軽三味線を演奏する山田流 和三絃會 ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show 3日間にわたり終始フェスを盛り上げる音楽ライブとショーケースが行われたフォレストステージの一方で、ミュージックヴィレッジで開催されたDJタイムではトップDJたちが代わる代わる入れ替わり、3日間ノンストップで心地よい音を届け、ダンサーをはじめとした多くの来場者が分け隔てなく体を揺らせるチルな時間を提供した。ワイワイ盛り上がれる音楽ライブとは異なり、ゆるい雰囲気の中でダンサーや観客が音楽を楽しみながら時間を過ごせる憩いの場があるのもSHIROFES.の魅力だろう。 アーティスト Olive Oil ©︎SHIROFES.2025 / Hama Show 会場で盛り上がったら欲しくなる美味しいグルメとドリンク。充実のフードエリアが来場者のお腹を満たし喉を潤した! ©︎SHIROFES.2025 / Jason Halayko 会場敷地内に登場したのは地元の人気飲食店からダンサーが手掛ける飲食店まで多種多様なグルメの数々を提供するフードエリア。ご当地グルメはもちろん、普段は東京や他の地方を拠点に展開しているダンサー界隈で大人気のグルメを含めた計21店舗がこの弘前公園に集合し、会場内で身体を動かして盛り上がった来場者の喉を潤しお腹を満たした。 ©︎SHIROFES.2025 / YUSUKE OISHI 会場内ではフードやドリンクを片手に音楽ライブやショーケースを楽しんでいる親子連れやカップル、そしてダンサーたちも多く見られ、より一層SHIROFES.のフェス感を演出していた。 子どもたちが飽きずに終日楽しめる!親子に嬉しいエアー遊具 ©︎SHIROFES.2025 / YUSUKE OISHI 小さい子どもたちでも一日中飽きることなく楽しめたのは、SHIROFES.がASOVIVAとコラボしたエアー遊具のおかげでもあるだろう。会場内に2カ所設置されたのは大型遊具の「ふわふわ遊具」。お城や動物の形を模した登ったり降りたりできるこの遊具に子どもたちは大興奮。時には親子でも楽しむ様子を見られるなど、子ども連れの家族の休日を充実させるのに一役買っていた。 SHIROFES.2025は記念すべき10周年ということもあり、オシャレなオフィシャルグッズも大人気! ©︎SHIROFES.2025 / Jason Halayko 今年は記念すべき10周年ということもあり、一際人気だったのがこの「SHIROFES.2025」の思い出を一緒に家へ持ち帰らせてくれるオフィシャルグッズの数々。その中でも今回、BBOY兼デザイナー/クリエイターとして活躍するTENPACHIがデザインした10周年を記念した限定デザインのTシャツとトートバッグは大人気。2日目の途中には売れ切れてしまうほどの人気っぷりで、いかに来場者の皆さんもこの10周年記念の思い出を胸にしまっておきたいかが感じられる一コマであった。 最後に ©︎SHIROFES.2025 / harugraphics 今年で10年目となり、イベント期間中は天候にも恵まれて、プログラムの最後には会場から惜しまれる声も上がるほど大盛況のうちに終えた国内最大級のストリートダンスとパフォーマンスの祭典「SHIROFES.2025」。今となっては「SHIROFES.」は日本のダンスシーンになくてはならないイベントであり、青森県弘前市もストリートダンスの聖地の一つになっている。しかし10年前の当時はブレイキンがオリンピック種目になったわけでもなければ、今ほど世間的に浸透していなかったこのストリートダンスカルチャーを背負ってゼロから作り上げ、コロナ禍という厳しい期間も乗り越えて毎年開催し続けたオーガナイザーやレジェンドダンサーたちと弘前市の関係各所の努力は計り知れない。 ©︎SHIROFES.2025 / Jason Halayko ただその努力の賜物のひとつとして、今回「SHIROFES.2025」のバトルを通じて各ジャンルのスターが生まれると共に、会場内ではこのイベントに夢をもらった小さな若き才能が芽吹いたような瞬間も垣間見れた。この10年という時を超えて、さらに新たなフェーズに突入していくこのSHIROFES.とこれからのストリートダンスシーンの発展に期待しながら来年の開催も楽しみに待ちたい。なおそんな来年の「SHIROFES.2026」は2026年9月4日〜6日の3日間で開催予定!今から来年のスケジュールも是非押さえておこう! 「SHIROFES.2025」の様子は、リキャップ映像をチェック!!