大会初広島県での開催。日本最高峰の戦いを制したのは「マイナビ JapanCup HIROSHIMA 2025」

2025.04.27
photograph by ©JFBF

「マイナビ JapanCup HIROSHIMA 2025」が広島県広島市の広島ゲートパークにて2025年4月17日(木)~20日(日)の4日間に渡り開催され、パーク種目では男子エリートでは中村輪夢選手が、女子エリートでは小澤美晴選手が優勝し、一方フラットランド種目では男子エリートにて片桐悠選手が、女子エリートでは本村果鈴選手が優勝を果たした。

マイナビJapan Cupとしては今シーズン初戦となった本大会は、広島での開催は今回が初となり、またアーバンスポーツの複合型イベント 「URBAN FUTURES HIROSHIMA」内で実施された。

本大会期間中、最終日の20日(日)は生憎の雨に見舞われたが、男女エリートの決勝の時間には雨も止み、前日と変わらぬ熱い戦いを繰り広げた。会場となる「ひろしまゲートパーク」には、広島市のこども達や若者を中心にたくさんの方が来場し、大会観戦やイベントブースなどを楽しんだ。会場にはイベント期間中に約51,040人が来場し広島市がアーバンスポーツで盛り上がった4日間となった。

そして本大会には世界を舞台に活躍する実力派日本人選手や、国を超えて参加した外国人選手の活躍、次世代の注目選手たちによってハイレベルな競技が繰り広げられた。本記事では、入賞した選手たちにフォーカスして今大会を振り返る。

大会レポート

男子フリースタイルパーク:圧倒的なスキルで優勝した中村輪夢。

男子エリート決勝は、前日19日(土)に行われた予選を勝ち抜いた12名で行われた。韓国人選手勢も決勝に勝ち上がるなど、本格的な国際大会という環境の中でも圧倒的なスキルを見せつけたのは中村輪夢。世界最高峰レベルのトリックを決めきり、見事エリート部門優勝を飾った。

優勝者:中村輪夢

中村輪夢のライディング ©JFBF

日本のBMXコンテストシーンを牽引し、世界チャンピオンの経験を持つ世界のトップライダーの1人として知られている中村。他の選手にはできない高難度トリックコンボが特徴的な彼は、今大会でも大技を次々にメイク。その中でも「720テールウィップ」、「トランスファー720バースピン」や「バックフリップバースピンtoバーバック」など世界トップクラスの難易度を誇るトリックを軽々と決めて見せ、一方で「ルックバック」や「ワンフットインバート」などスタイルのあるトリックも見せると唯一の90点台を見事マークして今回優勝を収めた。

第2位:小澤 楓

小澤楓のライディング ©JFBF

中村輪夢に続き世界で活躍するトップライダーの一人で、ワールドカップでのファイナリスト経験を持つ小澤は今大会でも安定したライディングを見せる。「バックフリップダブルテールウィップ」を皮切りに「トラックドライバーダウンサイドテールウィップ 」「360ダブルバースピン to X-up」など様々なフリップ系とスピン系を織り混ぜたミスの無いパフォーマンスを披露した。今回は2本目でスコアアップできなかったがそれでも1本目のスコアで2位を収めた。

第3位:松本 翔海

松本翔海のライディング ©JFBF

ハイエアーとスピード感のあるライディングを元に多くのバリエーショントリックを見せた若手の注目株である松本。今回特徴的だったのは「バックフリップトリプルバースピン」や「ダブルバースピン720」、スパインでの「720」などで大技かつスタリッシュなライディングを見せた。今回はこれらのトリックがしっかり評価され3位となった。

女子フリースタイルパーク:現全日本チャンピオンの小澤美晴が強さを見せてシーズン初戦で優勝!

一方、今回女子エリート決勝は19日(土)に行われた予選を勝ち抜いた4名で行われた。注目は昨年エリートカテゴリーに上がりワールドカップでの入賞経験を持つ日本人で世界の頂点に一番近い若手ライダーの小澤美晴。前回大会同様に高難易度トリックを次々に決めて堂々の優勝を飾った。

優勝者:小澤 美晴

小澤美晴のライディング ©JFBF

まだ弱冠15歳にも関わらず、現全日本チャンピオンでありワールドカップで表彰台に上がった経験も持つ小澤。1本目ではトリックの着地で足をついてしまうミスがあったが、2本目では今大会でも各セクションで男子顔負けの高難度トリックの数々を決めきる。「バックフリップバースピン」、「バックフリップテールウィップ」、「360テールウィップ」など女子では世界最高難度のトリックを綺麗に決めて、最後はスパインでの「バックフリップ」も見せると85.00ptと大きくスコアを伸ばして今回堂々の優勝を収めた。

第2位:吉田 実央

吉田実央のライディング ©JFBF

今シーズンがエリートカテゴリーデビューとなったルーキーの吉田は、今大会では世界的にも今まで他の女子選手がおそらく決めたことのない「360ルックバック to バースピン」をはじめ、「スーパーマンインディーシートグラブ」や、スパインでの「360」を含め様々な豪快なトリックをライディング内に盛り込み、自身ができる最高難度のランで彼女自身満足した表情を見せた。そして期待通り高いスコアをマークし2位とデビュー戦を好成績で終えた。

第3位:山本 結花

山本結花のライディング ©JFBF

様々なバラエティのトリックを豪快にメイクすることが特徴的な山本。トランスファーを駆使したクオーターでの「540」や「テールウィップ」など精度が高く、高難度なトリックを決めるランを1本目で見せた。2本目では惜しくも転倒しスコアを上げることができなかったが日本女子エリートカテゴリーで盤石な力を付け始めている彼女に今後も注目だ。

男子フラットランド:今年の大舞台に向けて好調なスタートを見せたのは片桐悠

男女ともにエリート部門で次世代の注目選手と実力者たちが熱戦を繰り広げ、男子エリート決勝は19日(土)に行われた予選を勝ち抜いた8名で行われ、1人3分間のランの中大接戦を制した片桐悠が優勝を果たした。

優勝者:片桐 悠

片桐悠のライディング ©JFBF

現在BMXフラットランド界最強とも呼ばれる世界最先端を突き進むトップライダーである片桐。今大会では序盤ではなかなか自分の思うようなルーティンができず頭をかしげる様子もあったが、彼の代名詞である「舞空術」を取り入れたルーティンを決めると、勢いを取り戻して難しいペダル軸のリアトリックから「バイクフリップ」で締めるルーティン、最後は彼のもう一つのシグネチャートリックである「フルバイクフリップ」を入れ込むルーティンで締め括った。今年は改めてフラットランド種目が復活する「X Games Osaka 2025」への出場も決まっている彼は今年最初の公式大会で新たな優勝を収め、今シーズン幸先良いスタートを切った。

第2位:荘司 ゆう 

荘司ゆうのライディング ©JFBF

2023年のUCI世界選手権では自身初の世界王者のタイトルを獲得した実力者である荘司。フロントトリックとリアトリックの両方組み合わせた「トランスファー」を元にした高難度トリックのコンボを今回も披露。中盤では足をつくミスもあったが、残り1分ではトランスファーからのダブルブーメランを盛り込んだルーティンを決め切り、最後はそのミスを取り返すかのような攻めのライディングでやり切った様子でランを終えると見事2位という結果になった。

第3位:磯谷 匠

磯谷匠のライディング ©JFBF

フロントトリックから放たれるハイスピードスピンを中心に構成されるバリエーションの多いトリックが注目の磯谷。今回もその止まることのないスピンの中から、ノーハンドやクロスフットを交えた様々なトリックのコンボを披露。ひとつひとつをロングルーティンで構成するためミスが命取りとなる彼のランだが、今回は攻めのライディングを見事ノーミスで終えて3位入賞を獲得した。

女子フラットランド:エリートカテゴリーデビュー戦で優勝を飾ったのは本村果鈴

女子エリート決勝は19日(土)に行われた予選を勝ち抜いた4名で争われ、1人3分間のランの中、ハイレベルなトリック合戦が繰り広げられ本村果鈴が優勝を果たした。

優勝者:本村 果鈴

本村果鈴のライディング ©JFBF

国内外で好成績を残しており、世界トップクラスと言われている日本の女子BMXフラットランド界を牽引するライダーの一人である彼女。マイナビJapan Cupのエリートクラスにおいてはデビュー戦となった今大会では、高身長を活かした豪快なトリックを活かし決勝では強さを見せた。フロントトリックとリアトリックを見事に使い分けてハイレベルなルーティンを終始披露し、エリートクラスデビュー戦を優勝という最高な形で終えた。

第2位:吉村 想花

吉村想花のライディング ©JFBF

昨年の全日本チャンピオンであるを獲得した吉村だが、素早い動きの中に完成度の高いトリックをたくさん組み込んだライディングでその強さを見せた。フロントトリックでクロスフットからのバリエーションを皮切りにランを始めると、続いてリアトリックのルーティンにスイッチ。その後も交互にフロントとリアを使い分けるルーティンを見せ、途中にはミスも見られるも最後は「ハーフディケイド」も組み込んだルーティンを決め切って2位となった。

第3位:清宗 ゆい

清宗ゆいのライディング ©JFBF

最近メキメキ力を付けて頭角を表している彼女が今回3位入賞。フロントトリックでのスピンやポジションをスイッチするレベルの高さに定評のある清宗は、バックスピンからツーフットのグライドへスイッチするルーティンは今回惜しくも決め切ることはできなかったが全体的にレベルの高いルーティン構成で今年も幸先良いスタートを切った。

優勝者コメント

フリースタイル・パーク 男子エリート 中村輪夢選手
「雨で大会が実施できるかどうかという状況でしたが、多くの皆さんに観に来ていただいたので、“魅せたい”と思いが強かったです。 今後もっと進化した姿を見せたいので、少しでも興味を持ってもらえたなら今後も応援してほしいです。応援ありがとうございました!」

フリースタイル・パーク 女子エリート 小澤美晴選手
「雨の中大変でしたが、自分のベストを尽くせるよう走りました。これからの毎日の練習で新技などを練習していきたいです。今日は応援ありがとうございました。」

フラットランド 男子エリート 片桐悠選手
「自分自身はじめて大会で広島に来てとても良い街で、優勝できて嬉しいです。5月から6月にも大会があるのでそこでも優勝できるよう頑張ります。」

フラットランド 女子エリート 本村果鈴選手
「1位を取れて嬉しいです。エリートは技の難易度も高く、いろいろな挑戦ができてとても良い経験になりました。ありがとうございました。」

大会結果 

BMXフリースタイルパーク男子

©JFBF

優勝:中村 輪夢 / 90.80pt
2位:小澤 楓 / 78.00pt
3位:松本 翔海 / 73.19pt

4位:上村 竜生 / 68.40pt
5位:胡本 城 / 59.20pt
6位:神保 虎之介 / 58.00pt
7位:イ・ジホ (韓国) / 55.50pt
8位:伊藤 蒼空 / 55.40pt
9位:高木 聖雄 / 53.00pt
10位:キム・ヨンホー (韓国) / 52.80pt
11位:伊藤 大空 / 52.20pt
12位:オ・シオン (韓国) / 50.40pt

BMXフリースタイルパーク女子

©JFBF

優勝:小澤 美晴 / 85.00pt
2位:吉田 実央 / 74.00pt
3位:山本 結花 / 54.20pt

4位:大池 水杜 / 25.60pt

BMXフラットランド 男子

©JFBF

優勝:片桐 悠 / 88.63pt
2位:荘司 ゆう / 86.38pt
3位:磯谷 匠 / 83.25pt

4位:佐々木 元 / 81.75pt
5位:伊藤 真人 / 80.88pt
6位:志賀 勇也 / 72.25pt
7位:新出 佳弘 / 70.00pt
8位:表原 次元 / 68.75pt

BMXフラットランド 女子

©JFBF

優勝:本村 果鈴 / 83.25pt
2位:吉村 想花 / 82.00pt
3位:清宗 ゆい / 77.50pt

4位:宮嶋 歩菜 / 61.75pt

マイナビ JapanCup HIROSHIMA 2025 概要

大会名:マイナビ JapanCup HIROSHIMA 2025
種目:BMX フリースタイル・パーク、BMX フラットランド
日程:
4月17日(木)パーク 男子エリート公式練習 他
4月18日(金)パーク 女子エリート公式練習、フラットランド 男女エリート公式練習 他 
4月19日(土)パーク/フラットランド 男女エリート予選他 
4月20日(日)パーク/フラットランド 男女エリート決勝他
場所:ひろしまゲートパーク(広島県広島市中区基町 5-25)
主催:一般社団法人 全日本フリースタイル BMX 連盟(JFBF)
特別協賛:株式会社マイナビ

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