新たなダンススタイルにチャレンジする「dip BATTLES」ディレクターSHUHO独占インタビュー

2021.10.29
text by Shin AKiyama・Jyudai Hashida/photograph by HAMASHOW

SHUHO率いるプロダンスチーム「dip BATTLES」が 第一生命 D.LEAGUE 21-22 へ参戦

昨年からスタートした日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」 。これまでストリートを中心に展開されてきた日本のダンスシーンに新たな切り口でアプローチし、分かりやすくエンターテイメントとしての「ダンス」を一般層へも広げるきっかけとなっている。

24年パリ五輪の新種目としてブレイキン(ブレイクダンス)が採用されるなど、ダンスを絡めたムーブメントはここ最近顕著であり、これからより世の中の注目が「ダンス」に集まっていくだろう。

2021年11月14日に開幕が予定されているD.LEAGUE 21-22。2シーズン目となる今シーズン、新たに参戦するチームが「dip BATTLES」だ。今回はチームのディレクターを務めるSHUHOにチーム結成の背景や、 D.LEAGUE というこれまでにないフォーマットのショーケースで、彼が表現しようとしているダンスについて話を聞いた。

9月に新メンバーが発表された 「dip BATTLES」をディレクターSHUHOが語る

『dip BATTLES』について教えて下さい。どんなスタイルのチームですか?

チームとしては非常にメンバーが若いチームです。メンバーのジャンルも幅広く、オールジャンルのダンサーを揃えてやっていくかたちになります。

あえてチームをジャンルとして説明するなら、僕らのコンセプトは「オールジャンル」ではなく、「FUSION」というスタイルをベースに考えています。単なるジャンルの羅列ではなくて、色んなジャンルを掛け合わせたスタイルです。

実際にダンスを見て「dip BATTLESのジャンルって何だろう?」って興味を持ってもらえたら嬉しいです。

チームのテーマについても教えてください。

dipという会社がdream、idea、passion っていう頭文字からできてるんですけど、それが凄く D.LEAGUE やダンスシーンにも共通する部分があって。

もちろん『dip BATTLES』とも重なると思っていて、dipが掲げるdream、idea、passionの要素を世の中に浸透させるためのダンスチームになりたいと思っています。

dipとの取り組みについて「ダンサーがもっとプロフェッショナルな職業として認知されてくれたら嬉しい」

dipとのコラボレーションで実現したいことはありますか?

dipは「バイトル」や「はたらこねっと」という求人媒体を運営しているのですが、若い人のユーザーも多く、dipの社員さんも年齢層が若い印象があります。なので、 dip BATTLES も勢いのある若年層にマーケティングが出来るかなって思っていて。

dip BATTLES のオーディションも、「バイトルPRO」の求人媒体で募集したりTVCMとコラボするなど、若年層ユーザーに届くような取り組みをしています。
TVCMでダンスチームのメンバー募集をするというのは、おそらく初めてのことだと思います。(笑)

これは dip BATTLES に限りませんが、そもそも企業がプロダンサーをサポートするということ自体、本当に新しいかたちで、そのシステムが面白いなって思っています。今回の取り組みを通じて、ダンサーがもっとプロフェッショナルな職業として認知されると嬉しいです。

あと、これまでの歴史でいうと企業がサポートするようなスポーツって野球やサッカー、バスケなど有名なスポーツが多かったと思うんですけど、そこにダンスが入るというのがすごく画期的なことで、まだまだ未知数な部分もありますが、その分可能性もあると思っています。

ダンス人口はかなり多いので一般層へも認知が拡大して、プロダンサーという職業が確立して、認めて貰えて、それを目指す人が増えるようなシーンが出来てくるんじゃないかなと思います。

まさに「ダンサーのキャリアを支援する」という文脈では一番フィットする企業とのコラボレーションですね。

そうですね。例えばですが、現状ダンサーを目指すっていったら本当みんな野良犬みたいな感じで(笑)、個人事業主で野良犬みたいにやっていかなくてはいけないんで(笑)
それが、企業に所属して年俸をもらって戦うことになる。そして、企業にも還元できるようにパフォーマンスしていくという活動が画期的で、ダンサーの地位が上がっていくことにも繋がると思っています。

企業の協力を得て、ダンサーが相乗効果でいかに良い活動にしていけるか?が今後の目標でもあり課題かなと思います。

ディレクター就任までの経緯「 ここできたか!という感じでした(笑)」

オファーの連絡があったとき、どんな印象や気持ちでしたか?

正直「うわ、きたか!」って感じでしたね。(笑)
何だろうなぁと思って、連絡を取ってみたら「実はこれこれこういう理由でディレクターをお願いしたいんだけど」という感じで。
そこからはすぐにdipのオーナーや関係者とミーティングを組んでいただいて、凄い速さでいろいろと決まり、数日後にはdipの冨田社長といきなり面接っていう…。
最初に、大枠のコンセプトの説明もしていただいて、それを理解した上で「そういうことであれば自分も参加してみようかな!」と思いました。

すごくスピーディーにいろいろ決まっていったのですが、 D.LEAGUE そのものはシーズン1を見ていたり、運営の方もよく知っている方だったりしましたし、もちろん応援もしていましたので、突然でしたけど情報はいろいろとあって意外とすんなり入れました。ただ「なるほど、ここできたか!」っていう感じでしたね(笑)

アシスタントディレクターのメンバーはどのように決まっていったのでしょうか?

これまで D.LEAGUE のチームは、基本的にディレクターが一人で後はプレイヤーというかたちだったのですが、今回は今までにないかたちでアシスタントディレクターを設けました。
野球と一緒で、監督の他にそれぞれ打撃コーチや投手コーチがいるようなイメージで、ダンサーを幅広く集めるためにも、それを受ける側も幅広く対応出来るようにしたいと考えました。加えて、アイデアもお互いの発想を共有しながら創れるかなって思っています。

「FUSION」というコンセプトに合った、多様なスタイルのアシスタントディレクター陣ですね

そうですね!
ただ、それでいうと WAPPERFRESH SEIJI はチームで活動していたことはあるんですが、作品をつくるのは初めてなので、作品をつくるためのすり合わせを今やっています。新しいチャレンジなので、やってみないと分からないこともありますが、これまで一緒に踊ったこともメンバーとはある程度の共通認識もあるし、話が早い部分はあります。
12ラウンドある中で、最低12の作品をつくる必要があるので、今は各作品のテーマなどを話したりしています。

提供: dip BATTLES

D.LEAGUE 参戦について「シーズン1で勝ち上がっているチームの印象は…」

ここから D.LEAGUE について聞いていきたいです。D.LEAGUE についてはどんな印象がありますか?

まず、D.LEAGUEの構想やルールは聞いていましたが、やっぱり「過酷だな」っていうのが第一印象ですかね。もちろんプレイヤー側としては大変なんですが、観る側からすると2週間に1度というペースは割といいタイミングなのかなって思います。ただ、やはりそれが1試合ではなくて、シーズンって考えるとやっぱり過酷ですよね。(笑)
実際にシーズン1に出ているダンサーからも感想聞きましたが、やっぱりタフな戦いを強いられるというか、出ている本人たちからの声も聞くと実感しますね。

過去経験した作品と比べてどうですか?

ショーケース一発勝負での緊張感や怖さっていうのはもちろんあると思います。加えて、やっぱり1ラウンド毎のスパンが短いことですね。普段は1つの作品に対して何ヶ月もかけて作り込んだりしますが、D.LEAGUEでは2週間毎に新しい作品を出していくことになるので、これまで経験しているものとは全然違います。

また、音源もオリジナルでないといけなかったり、ジャッジもダンサーだけでなくオーディエンスや他のシーンのエンターテイナージャッジがいたり、そういう部分は全く違うので、何が通用するのか?やってみないと分からない事も多いです。

D.LEAGUE シーズン1の感想はありますか?

思ったのは、よいダンサーや実力のあるダンサーを集めたからといって勝てるわけではないと感じましたね。個人的には、勝ち上がっているチームはコンセプトがはっきりしていて、チーム感があった印象ですね。
このチームはこういうキャラクターやテーマだよね!っていうのが分かりやすいチームが勝っていた感じがします。

シーンに与える影響「D.LEAGUE はダンス界のスターではなく、国民のスターを生む為のもの」

D.LEAGUE を通じてどんな影響を与えていきたいですか?

ダンサーってプロのライセンスとかも無いので、どこからがプロなのか?とても曖昧だと思います。でもD.LEAGUEが普及していけば、正真正銘のプロダンサーって胸を張って言えるようになると思っています。
プロダンサーとして「こういう企業に所属して、こういうチームでやっています!」と説明出来るようになると、世の中の印象としてもポジティブになると思いますし。

もちろん、これまでのダンスシーンやストリートのカルチャーは大事にしたいので、そこは残しつつも、これからの若い世代が目指す一つの選択肢になると良いと思います。

提供: dip BATTLES

ストリートダンスシーンでも活動をしているSHUHOさんが、D.LEAGUE で意識していることがあればお聞きしたいです。

僕も芸能活動も含めて本当に色んな所でやっていますが、ダンサーってダンス界で有名でも、一般的な知名度で言うとそこまで広くないんですよね。やっぱりスポーツ選手とか勿論芸能人の方が知名度はあって。広く一般層も含めた認知度でいうとまだまだだと思っています。

ただ、D.LEAGUEはダンサーが有名になる一つの突破口になるんじゃないかと考えています。「Dリーグってダンス界のスターを生むんじゃなくて国民のスターを生む為のもの」だと思ってるんですよ。ダンス界から一歩出た時に一般的な人にも影響力があるような子を輩出したいと思っているし、自分の活動の目的にもなっています。

一般層からの注目も集めやすい環境だからこそ出来ることもありそうですね。

やっぱりどの業界でもそうだと思うんですけど、世の中的に有名になるには一人スターが出てこないと認知度はなかなか上がらないと思うんですよね。D.LEAGUEからスターが輩出されたら、世間からの見方も変わると思います。
特に夏の東京五輪でも、今年から採用されたスポーツで日本人がメダルを獲ることによって影響力が増したと思っていて、スケートボードに対しても世間の見方が変わったと思います。

ダンスも同じように、一人分かりやすいスターが出てくると、ダンスに対する見方も、D.LEAGUEに対する注目も変わると思うんですよね。出来れば僕のチームからスターを輩出したいです。(笑)

dipが発表している「ダンサーの最高年俸1,000万円」というファクトも、スターを輩出するには分かりやすい要素だと思っています。

これからの活動について「これまでのダンスシーンではあり得なかったことを仕掛けていきたい」

D.LEAGUE でチャンレンジしたいことはありますか?

ダンサーとしては現役のプレイヤーでもありながら指導者でもあるんですけど、ディレクターという立場は振付師とも違うし、全く初めての経験です。
チームをプロディースするというのは結構特殊なことですし、そういう意味では新しいチャンレンジになるし、自分にとってすごく良い経験になると思っています。

また企業とコラボレーションするという経験も今までに多くないので楽しみです。ダンサーあるあるだと思うんですけど、構想やアイデアはあっても制作費がかかり過ぎちゃったりで実現出来なかった作品も、今回はダイナミックにチャレンジ出来たりするのも大きいかなと思っています。

―最後にdipBATTLESのここに注目して欲しい、ここを見て欲しい!というポイントを教えて下さい。

まず、チームのみんなルックスが良いです(笑)
本当にビジュアルがよい子が多くて、ダンスチームとは思えないようなチームだと思うのでそこは楽しみに注目して欲しいですね(笑)

あとは若い子が多いので、各ジャンルでこれからの成長株的な子が多いんですよね。なのでこれから皆どんどん活躍していくと思うし、そこも注目して欲しいですね。更に僕ら一流のディレクター陣が育てていくので、D.LEAGUEでも間違いなく成長していくと思います。

また、dipとdip BATTLESとのマーケティング戦略も注目してもらえたらいいかなと思います。今まで他のチームがやってこなかったような事をどんどん積極的にやっていこうかなと思っています。D.LEAGUEのシーズン中に限らず、いろいろ活動していきたいですし、ダンス界ではあり得なかったことをどんどん仕掛けていきたいという考えがあるので、そういった部分に注目して貰えると良いかなと思います!

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