【ALL STYLE JUMPERS vol.6】クラブチームからNYへ。新しい道を切り開いたA’deviceリーダーRikako

2020.02.18
FINEPLAY編集部

2019年のDouble Dutch Delightは前代未聞のことが2つ起きた。1つは、ダブルダッチスクールから高校生を含めたチーム「A’device」が国内予選を1位通過してHoliday Classicへの切符を手にしたことと、もう1つは初めて東北地方から Holoday Classicで優勝するチーム「刹那」が生まれことだ。

ALL STYLE JUMPERSでは、2回に渡って昨年のDouble Dutch Delightについて特集する。1回目は前者、A’deviceのRikakoだ。10年以上ダブルダッチを見続けてきた彼女が伝えたいこととは。彼女たちの出身である島本ダブルダッチクラブのイベントで見せたラストパフォーマンスとともに、軌跡を振り返る。

A’deviceリーダーのRikako(Photo by NOBE)

いつも、ひとつ届かなかった。

 小学4年生のときに、友達に誘われてダブルダッチを始めました。最初は競技系のダブルダッチがメインでしたが、途中で先生が交代したこともあり、パフォーマンス系のダブルダッチにシフトしました。途中で交代した先生が、これまでずっと指導してくれていたヨウ先生です。

中学1年のときに大会に出始めたんですが、全然思うように結果が出ませんでした。中学2年生のときは2位。なかなかあと一歩、優勝の舞台が見えませんでした。気づいたら一緒にダブルダッチを始めた子たちはみんな辞めていて(笑)。でも、私はなぜか辞めなかったんですよね。ダブルダッチが好きで。結果が全てではないことは十分に分かっていて、ただダブルダッチが好きだから続けていました。でもやっぱり、優勝したい、結果を出したい…という想いは底にありました。

Photo by NOBE

 「島本から勝てるチームを作りたい!」と思って、最初は4人でA’deviceを組みました。1個下の昔から一緒にダブルダッチをしていたたくや、アクロがうまいこうき。当初ダブルダッチを始めたてだけどダンスがうまいので絶対この子は輝く…!と思って引き入れたはるちゃんとです。

その後、勝つためにはもう少しメンバーが必要だなと考え、Waackの武器を持つみいなと、マックスが跳べて自分の妹でもある、あゆこを入れました。あゆこを入れるかどうかは、当時思春期ということもあり仲が悪かったので、すごく悩みましたが(笑)でも勝ちたかったので、入れました。自分たちなりにがむしゃらにやっていましたが、2018年の夏まで思ったように結果が出ませんでした。

Photo by NOBE

 A’deviceは全員年が違うので誰かが受験だと動けないことがあり、途中で島本の女の子だけで『Gummy』っていうチームを組みました。このとき、初めて大人の部でパフォーマンスをして評価されて、嬉しかったです。やりたいように思いっきりやるには、個々の良さをどう引き出したらいいか…と考え抜いたパフォーマンスでした。ただ、このときに大学生より評価が高くついたことに苛立ちや悲しさがありました。

大学生に負けたくない

 私は中学生〜高校生にかけて、大学生のパフォーマンスにとても憧れていました。M.A.Dとか、戎とか、Mythorogyのパフォーマンスを見て、心が動かされて感動していました。大学生はダブルダッチにがむしゃらに日々を捧げているんだと思っていました。でも、大きくなってみたら、そんな大学生がいなくなっていました。『なんとなくダブルダッチしている』大学生ばっかり。昔見たような、本気のパフォーマンスが無い。私たちは全力で戦いに来ているのに、負けてもいいやって思えるようなパフォーマンスばかり。ギャップがすごかったですね。そんな大学生に負けてたまるか…って思いました。

Photo by NOBE

 そんな気持ちを持ちながら、2018年に初めてDouble Dutch Deloght Westのオープン部門の舞台に立ちました。でも、またあと一歩、届かず。敗者復活枠でした。大会が終わったあと、目標のNYに届くようにするには、チームを引っ張る私自身が根本から変わらなければいけないと感じていました。そんな時今は自分の師匠とする人に出会って、徹底的に自分と向き合うことを始めました。A’deviceは、2019年をタイムリミットにしていたので、ここで変わらなければ…と腹をくくりました。

Photo by NOBE

「とにかく、変わらなければ」とがむしゃらな日々

  A’deviceとして次に出るのはDelightって決めていました。それまでの約1年、それぞれ高めあう時間として、チーム練習は絶やさずに個々で練習したり、大会に出たりしていました。私は自分のソロ力を付けるために、Double Dutch One’sに出場したり、別のメンバーとDouble Dutch Contestに挑戦したりしました。どちらもが狙った結果が出て、少しずつ自分の自信につながってきました。そんな形で冬はそれぞれが力を付け、最後の春を迎えました。

改めてデモ練習が始動して感じたんですが、私たちのチームは一人ひとり持っているものがすごく高いはずなのに、みんな100%発揮できていない。年齢もバラバラで、もともとキッズの世界で戦っていたので、油断したら『キッズっぽさ』が出てしまう。でも、全員の良さが思いっきり出たら、大学生たちに勝てるはず。『この人の良さをだすには』ということを、何度も作っては壊すことを繰り返しました。

Photo by NOBE

 夏の大会には、一個も出ませんでした。ずっとずっと、練習していて、1週間前にデモも人間関係もボロボロになりました。「なんでダブルダッチやっているんだろう」「何を目指しているんだろう」と全てを放棄したくなりました。そんなときに、ヨウ先生がこんなことを言ってくれました。「やり切った後にしか見えないこともある。それは達成したときに見える」と。

チームメイトを信じて、前へ進んだ

 この言葉を信じて、みんなでチームを立て直して、Delight Westに望みました。最後の最後に、自分たちの納得のいく観客に届けたいストーリーをデモの中に描くことができました。初のデモ見せに「どんな反応が来るかな」と緊張しましたが、パフォーマンスをノーミスで終えることができました。ステージから降りてきた時、たくさんの人が待っていてくれて。自分たちは大学のサークルではないけれど、多くの人が勝ちを信じて待っていてくれたことに、感動しました。

Photo by NOBE

 関西予選を1位通過したものの、その後のDelight Japanは台風のため、まさかの映像審査になってしまいました(笑)なので、平面で見た時に美しく見えるように映像審査の対策をしました。国内予選を1位通過して、NY用にデモを変えました。実は、出るたびに毎回変えているんです。A’deviceを見るたびに新しいものを見てもらいたくて。NYでは、優勝できませんでしたが、悔いはありません。やれるだけ、やりきりました。最後に届けたい人たちにパフォーマンスをして、これにて解散です。

Photo by NOBE

   A’deviceは全然仲良しこよしではないけど、常にダブルダッチを優先させてきました。勝つためにやらなあかんことを大事にしてきました。文句は言っても、『勝ちたい』という目標が一緒なので、分かりあえました。誰も、向き合わなければいけないことから逃げなかったんです。ダブルダッチを長くやってきたから勝てたのではなく、ただそれだけなんだと思います。

Photo by NOBE

  私は大学でダブルダッチサークルに入らず、島本からでも勝てることを証明するために、頑張りました。どこに所属するとか、全く関係ないと思います。私が憧れていたアツい関西に、また戻って欲しいです。A’deviceを見て、そういうことを感じて欲しいと思います。本気のパフォーマンスは、本気でやればできるんです。いつも一歩届かなかった私だからこそ、言える言葉だと思います。

A’device(Photo by NOBE)

取材・文:小田切萌
写真:NOBE

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