「ROAD TO GLORY」Double Dutch Delight Japan 2020 優勝【camellia】#1

2021.10.02

去る10月10日に開催された『Double Dutch Delight Japan 2020』

昨年の同大会は大型台風の上陸によって中止となり、また新型コロナウイルスの影響など、“災難続き”の中で未だかつてない展開を迎えたシーズンとなった今年。大会の完走も危ぶまれるなか、それでも挫けず、たくましく学生No.1の座を掴み取ったのは「camellia (カメリア)」

新しい歴史を創り出した彼らに大会終了後、インタビューを行いました。

【 camellia 】(カメリア)
日本大学ダブルダッチサークル「D.S.P.」所属の3回生チーム。
高校時代からの経験者であるウンノ(中央)・リン(右)と、大学からダブルダッチを始めたミホ(左)の3人構成。

「最後までやり遂げたい」

――この度は優勝おめでとうございます! まずは、今の率直なお気持ちを教えてください。

ウンノ:嬉しいです!

ミホ:正直本当に、信じられないです…(笑)。

リン:私もどちらかと言えば信じられないですね(笑)。いまいち実感が湧いていないです。

ウンノ:実はcamelliaの目標は「East 2位通過 → Japan 2位通過 → NDDL」だったんです。NDDLにはどうしても行きたいけど、自分たちのスタイルは他のチームとは違うので、正直優勝は狙いにくいと思っていました。あとは「優勝」に固執すると力んでしまうので(笑)。自分たちの世界観でお客さんを引き込むことを考えると、のびのびやるには優勝を目標に据えるより、と考えていました。

そしてDelight Eastではミスも多かった分、Japanでは「しっかり魅せ切りたい!」という思いもあったので、ノーミスを出せたこと、そしてそれが結果としてついてきたことに喜びを感じています。まだ夢心地ではありますが…(笑)。

――なるほどね。というと「勝ちたい」という思いはあったけど、それよりショーとしての完成度を追求していた、ということ?

リン:いや、完成度はもちろんですけど、勝ちたい気持ちはバリバリありました(笑)。でも強いて言えば、やっぱりNDDLに上がりたいっていう気持ちが一番強かったと思います。

――ミホはどうですか? ミホは3人チームで唯一、大学からダブルダッチを始めたと伺いました。

ミホ:えっと……………

リン:…泣かないでよ!(笑)

ミホ:全員が必ずロープかジャンプのどちらかには関与するから、とにかく誤魔化しが効かないんです。“3人チームは勝ちづらい”という話もあるくらいです。だから、「Japanに行きたい」「NDDLに行きたい」という2人の夢を聞いたときに、自分のせいで2人の夢を壊してしまわないかと不安で、自暴自棄になったこともありました。

………だけど、一度始めたことは最後までやり遂げたいと思って、そう思わせてくれた2人と、最後までやり切りました!

「最後までやり遂げたいと思って、最後までやり切りました!」

――素敵なコメント、ありがとうございます。camelliaの優勝そのものももちろん快挙だけど、「D.S.P.」というサークルにとっても大きな快挙ですよね。2005年、Delight Japan初代優勝の「kurui」から続き、その後「t.u.d」「GM7」と優勝が続いていたけど、それ以降は他サークルに優勝トロフィーを奪われ続けてきました。今回、13年ぶりにそれが戻ってきたことになります。

ウンノ:2つ上の先輩たちである「King DAT」が5年ぶりにJapan大会への切符を掴み取って、それに続いて翌年には1つ上の「MISTY」も進出した。そんな先輩たちのためにも、D.S.P. というサークルを繋いでくれたOB・OGの方々のためにも、そしてその思いを次に繋ぐためにも「俺たちも(Japan大会に)上がらなきゃ」という気持ちは強かったです。

結果として、こうした憧れの先輩たちの結果を超えることが出来たのは本当に嬉しかったですね。恩返しができたかなと。

「『俺たちも上がらなきゃ』という気持ちは強かったです」

”挫折”を乗り越えて

リン:今年はまず量を積み重ねることを優先しました。勝因があるとすればそれなのかなと。3人チームって本当に予定が合わせやすい(笑)。
2年生のDelightの時、本当に練習しなかったんですよ。

ウンノ:あれはヤバかったね。

リン:今思うと、あの時期は堕落していました。
とはいっても、当時自分たちの中では効率よく短時間で練習していたつもりで。ただ結果が出ずに悔しい思いをして、確かに効率は効率で大事でも、練習量も大事なのだということを思い知らされました。

――なるほど。やっぱり何事も“量”は大事ですね。ところで、その2年生の“堕落していた時期”というのは、camelliaの3人のDelightに対する熱が下がっていた、ということ?

リン:いや、これがお恥ずかしい話で、当時も勝つ気マンマンだったんです(笑)。「やることやれば出来るでしょ」と思っていたんですが、その設定していた“やること”のレベルが低かったんだなと振り返って思います。

――じゃあパフォーマンスを終えた後、多少は手ごたえもあったと。

ウンノ:多少どころか、とてもありましたね(笑)。だから正直、敗者復活にも呼ばれないことへの動揺は大きかったです。
だから今年も不安でした。今回、デモは大体East大会の1カ月以上前に完成していたのですが「本当にこれで大丈夫かな…」と、ずっと疑心暗鬼になっていました。

リン:私も同様にやっぱり昨年のことが引っかかって、どうしても自信が湧かない時もありました。確かに今年のデモは今までで一番の仕上がりであるとは思うけど、ただ昨年も同じように信じていて、結果に繋がらなかったから…。

――なるほど。ちなみにその”自信”は復活した?

リン:はい、しました。
「オンラインコーチング」のオンライン発表会が大きかったです。撮影したデモを送って見て頂く企画なんですが、その見て頂いた関西のOBの方々から、とても良い評価を頂きまして。

ミホ:ちょっと想定外だったよね(笑)。

リン:「ホントに?」みたいな感じにはなりました(笑)。
ただ、元々自分たちが作ったパフォーマンスには愛着もありましたし、かつこれまでで一番よいものを作れたという自負はあったので、そこにそういった評価を頂けたことで、かなり強気にはなれた気がします。

――やっぱり人に見せること、場数を重ねることは大事だね。その「オンラインコーチング」を使っていたということは、誰かにデモについて指導を受けていたということでしょうか。

ウンノ:はい。ヨシヒロさん(YUTTY KINGDOM.)ですね。
作ったデモや技を見て頂いて、それに対するプラス面とマイナス面の両方をアドバイスしてもらっていました。

――良い意味での”あら探し”をしてもらっていたのか。

リン:そうですね。特に私たちの性格上、褒めてもらっても伸びないので(笑)。それにこのチームは放っておくとダラけちゃうんですよ(笑)。

ウンノ:まさに去年みたいにね(笑)。

リン:例えばウンノが油断して「これでいけるでしょ」と呟いていた時には、「本当にそれ(ヨシヒロさんに)見せれる?」と口酸っぱく言っていました(笑)。
私たちにとってコーチとしてのヨシヒロさんは鞭(ムチ)のような存在で、ちょっとでもサボったり、練習動画の提出が遅くなると怒られるんじゃないか… と思っていました(笑)。

ミホ:Delightの練習が始まる前のオンラインMTGで「私たちダラけちゃうので、練習1日につきネタの動画を3本送ります」と宣言したんですよ。それが結構大変で、もう必死に練習しました(笑)。
なんか… 警備員みたいな感じ。

リン:そう。見張られてるみたいな… って、言い方悪いですね(笑)。

――いやいや、分かるよ(笑)。愛情の裏返しってことですね。

コーチのヨシヒロと / 本人提供

リン:それにやるべきことはやったので、結果的に怒られることはなかったです(笑)。
そういったかたちで、パフォーマンスの部分は私たちの意向を最大限尊重してくださいました。私たちはヨシヒロさんのダブルダッチに対するマインドを吸収してステージに立った、という感じです。

ウンノ:今年は特に、コロナの影響でサークルの練習日自体が1/3に減ってしまったこともあり、モチベーションも上がりづらい中で、ヨシヒロさんが喝を入れてくださったことにとても感謝しています。
あとは単純に、応援してくれる人の存在が身近に感じられたことは良かったですね。

「ヨシヒロさんが喝を入れてくださったことにとても感謝しています」

コンセプト:『下高井戸シネマ』

――さて話を少し戻すのですが、昨年のDelightの失敗から反省をして、このチームで最初にはじめたことって何だったんでしょうか。

ウンノ:パフォーマンスの話になりますが、最初はムーブ作りから始めました。構成のことも何となくは頭にありましたが、まず質より量でネタをたくさん作ってから、そこから繋いでいく流れにしました。
ネタにはなんとなくのランクを付けて、曲の抑揚に合わせてはめて、一旦パフォーマンスを完成させたらもう一度ネタ出しをして… という感じです。

――そうなんだ。「ランク」というのは?

リン:ランクと言ってもそれはレベル分けをしたわけではなく、どこで誰に焦点が当たって、どうお客さんを沸かせるか、みたいな感じですね。
それと同時にコンセプトも決めました。よく「カッコイイ」「オシャレ」という形容詞がつくことはありますが、それだと少し抽象的なので「どこでやるのが、どの場所の背景が似合うのか」というものをコンセプトに決めました。

「『どこでやるのが、どの場所の背景が似合うのか』というものをコンセプトに決めました」

――ほうほう、詳しく教えてください。

リン:コンセプトは「ジャズの流れる下高井戸シネマ」なんですよ。サークルの練習場所の近くに『下高井戸シネマ』という映画館があって。

――なにそれ! めちゃくちゃ面白い。

ミホ:ちなみに私たち一度も行ったことないです(笑)。

ウンノ:映画館なので多分ジャズも流れません(笑)。

リン:あくまでイメージです(笑)。でも、ちゃんと下高井戸シネマは実在しますよ。

実際の『下高井戸シネマ』/ 本人提供

▼#2 に続く 

取材:MEGURHYTHM / YAMADAI
撮影・編集:YAMADAI

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