かつてないほど注目を浴びるアクションスポーツシーン。その発展のために、FINEPLAYが送る多角的視点の新連載「FINEPLAY INSIGHT」がいよいよスタート。
東京五輪でのスケートボード、スポーツクライミング、BMX、サーフィンといった種目の実施が決まり、次回のパリ五輪では追加種目の有力候補としてブレイキン(ブレイクダンス)が最終選考に残るなど、世界的にアクションスポーツ(とひと括りにしてはいけないのですが、便宜的に)への注目が高まっています。
去る4月19日(金)〜21日(日)にも、フランス発の都市型スポーツの祭典「FISE」が広島市で大々的に行われ、日本代表のアスリートたちが数多くの種目で表彰台に上がり、国内でもその機運や注目度は高まる一方です。
こうした機運の高まりを受けて、このFINEPLAYコラムではシーンの発展のために有益と思う、さまざまな内容を連載していきたいと思います。自分自身、プレイヤーとしてはブレイキンがバックグラウンドなのですが、二足のわらじ的にマーケティングの世界で12年間、さまざまな企業とお仕事をしてきました。そうした自分の経験を、失敗も成功も含めてシーンの皆さんとシェアして、よりよいシーンの発展のお手伝いになれればと思います。
第一回目からちょっとカドが立つのですが、今回は僕も実によく相談を受ける「スポンサー」の捉え方についてです。
ビジネスにおける、ストリートのポテンシャル
まずスポンサー論の前に、アクションスポーツやストリートの世界のプレイヤーというのは、いまのビジネスの世界で求められるポテンシャルを多分に秘めているというコトに触れておきたいと思います。
例えばパッと思いつくだけで、以下のようなものがあります。
一つ目は、フリースタイルという概念が心身に染み付いていること。今、ビジネスの世界で言われている概念にアジャイルやOODA(この用語自体に実践的な意味は大してありませんが、気になれば調べてみてください)というものがあるのですが、これらは「とりあえずやってみよう」という、機動的なビジネスの行動概念です。これをストリートの皆さんというのは、フリースタイルという概念の中で、アドリブとかインプロヴァイズというモノが体に染みついているわけです。まさにJUST DO IT的な価値観ですね。これはビジネスパーソンとしては非常に今求められている資質なのです。
2つ目の大きなポテンシャルは、ストリート特有のユニバーサルなセンスです。僕は今でこそ競技レベルでは踊っていませんが、15年以上ブレイキンをずっとかじってきて、それこそ国内だろうが国外だろうが、性別、年齢、国籍、障害などなどが全く関係のない、本当にフラットな世界を身をもって知ることができました。シーンの中心にいない僕ですらそうなのです。世界の狭さを身をもって知っているストリート最前線のプレイヤーというのは、正直言ってそのへんの一流企業のサラリーマンよりもずっと国際コミュニケーション能力に長けている人が多いのです。ストリート界隈には、受験的な言語能力以前の本質的なユニバーサルコミュニケーション能力を培っている人が多い、と僕は思っています。
3つ目は、オリジナリティの概念です。ストリートというものは、どこかで源流に反骨精神が共通してあるもの。やはりどの領域でも、人と違った考えやスタイル、自分らしさ=オリジナリティをベースとしてアウトプットするという価値観が根強くありますね。これもまた、今のビジネスにおいて非常に求められる資質なのではないかと思います。どの企業もこれまでのやり方では手詰まりで、そこかしこにCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル:企業がベンチャー投資を行う部門のこと)や新規事業部が立ち上がって、新しいことを考えられる人材のニーズはますます増していきます。これに対して人と違うことをやってやろうという血が流れているストリート出身の人材というのは、相当なポテンシャルがあると思います。
「スポンサー」という、魔の思考停止ワード
僕の懸念は、こういったストリートやアクションスポーツ出身の人たちが持つポテンシャルをシーンの発展のために活かしきれていない、ということです。さらにその根本原因を指摘するとすれば、企業や行政側がそのポテンシャルを「見出していない」のではなく、シーン側にそれをビジネスの文脈に翻訳出来る人間が決定的に不足しているというコトになるでしょう。それがこのコラムを通じて多少なりとも改善していきたい課題です。
僕はブレイキンがバックグラウンドで、一応はそれなりにシーンにいましたので、僕のところにも最近実に多くの相談が寄せられてきます。中でも「将来(キャリア)」と「スポンサー」に関する相談は非常に多い(笑)。相談が寄せられるということはそれだけその2つがシーンにとってのイシュー=課題になっているということですね。今回はそのうち「スポンサー」について問題提起したいと思います。
まず結論をぶっちゃけますと、「スポンサー」という言葉は禁句にしてみるといい。これは相談する人に必ず言っています。
理由は簡単で、「スポンサー」とは魔の思考停止ワードだからです。かくいう自分もその昔、しかも広告代理店をやめてからしばらくはこの「スポンサー」というマジックワードに捕らわれてしまっていました。ですから懺悔を持って僕は言えるわけです、「スポンサー」という発想は捨ててみよう、と。
なぜ「スポンサー」が思考停止ワードかというと、その言葉を使う限り多くの人は「自分がやりたいことのためにおカネを出して欲しい」という思考からどうしても逃れられないからです。夢や将来をアテにして、いつの間にかおカネを出してもらうことが目的化してしまう。そしてそれは多くの企業やブランドにとって、お願いされた夢を応援するために一度は出しても、相当な高確率で永続性の無いおカネの出し方になるのです。ようするに、続かないのです。
コラボレート発想が、ポテンシャルを活かす光明
ではどうしたらいいのか。これも結論から申し上げますと、僕は勝手に「コラボレート発想」を提唱しています。
これは東京大学で2017年に僕が主任講師を務めていた「ストリートと社会」と言う自主ゼミでもお話しした内容なんですが、スポンサーと言うのは慈善事業ではなく、多くの場合は投資としてのロジックが成立しているモノだと思っておいた方が良いのです。例外は多数あれど、企業は基本的に「リターンを求めておカネを払うのだ!」という大前提を肝に命じておくべきです。もちろん偉い人たちが決めてしまう場合も多々ありますが、それをアテにしていてはいつまでも博打を打つようなものですね。
さて、実際に「コラボレート発想」とは何かといいますと、やることは2つです。1)企業に対して返せるリターンを設計する、2)リターンをベースに、WIN-WINになるアイディアを生み出していく。この手順で、企業とのシナジーを考える際に、あなたの発想はかなり自由度と説得力が増してくるはずです。
ではまず1)のリターンについて。具体的には、リターンにはどのような種類があると思いますか?
たとえばリーチ(情報発信や情報伝達の総量)ですね。企業があなたのコンテンツと組むことで、普通の企業活動や通常の広告では達成出来ないリーチをリターンとして得られるのであれば、それは大きなメリットです。広告代理店やテレビ局などがスポンサーシップを売るときは、実はこのリーチの定量的な計算(メディアプランニングといいます)がものすごく大事になってきます。それを非常に明快に、おカネに換算したらいくら分の情報発信力がスポンサーパッケージについてきますよ、ということを説明するわけです。マーケティングではこのリーチの先に理解や想起、行動などの指標があるのですが、それはまた追々説明します。
他には、イベントのスポンサーシップでしたら集客が魅力的なリターンである場合もあり得るでしょう。ある会社が商品のトライアル(試用、試乗、試着など)を非常に重要視している場合は有効かもしれません。マーケティングの課題によって、このトライアルに重点を置いている会社は意外と少なくありません。あるいは、単純に顧客体験(CXとかUXとか言います)を重要視している企業でしたら、ここが大事かもしれませんね。ただし忘れてはいけないのは、そうしたトライアルの1人あたりに通常いくらかけていて、あなたのスポンサーになることによってその費用対効果をどれだけ高められるか、という、やはり定量化する視点です。
あるいは、人的な資産に魅力を感じてくれるかもしれません。アスリートやアーティストを用いた企業のイメージアップとか、そういう昔ながらの手法です。昨今はインターネットのおかげで映像作品や音楽作品などを簡単に世界中に発信出来ますので、ドキュメンタリー映像のようなコンテンツを売れるレベルのクオリティで生み出せば、企業イメージを改善してあげられるかもしれません(ただし、これは単純に広告を作るだけだとほとんど不可能でしょう)。その場合も、誰に対して、どれくらい改善してあげられるのかを考えて話すことが重要です。ただしこのアプローチは、今のストリートやアクションスポーツのアスリートにとってはもう少し先の話になるかもしれません。僕の見立てでは、メジャースポーツのトップアスリートに比べて、世の中に対する影響力がまだまだ小さすぎるのです。
では、コラボレート発想の手順2を考えてみましょう。上記のようなリターンをベースに、それぞれの良いところを引き出してWIN-WINとなるようなアイディアはどういうものがあるでしょうか?
例えばアスリートの影響力が少ないのなら、それを逆手に取ってアスリートをその企業の社員として採用してもらう枠を設けて、それ自体を情報発信してみてはどうでしょう。そうすることで、企業は若く新しい才能を持った社員を生活ごとバックアップしている事実を作り出すことができます。事実はマーケティング活動において最も重要な要素です。そして何より、すでに述べたようなストリートならではのポテンシャルを持ったユニークな人材を獲得することが出来ます。ちなみに僕は実業団ストリートチーム構想を勝手に提唱しているのですが、それは次回の連載で取り上げます。
他にも、コミュニティセンターを一緒に作って企業の情報発信基地にしていくとか、ストリートの古着を集めて途上国に送るプロジェクトとか、企業が単純におカネを出す以外の「事実をつくりだす」コラボレート発想というのは、たくさんの視点があると思っています。大切なのは、世の中をよく観察することです。世の中の価値観とマッチした魅力的な事実は、たくさん報道してもらえたり、たくさん注目してもらえたりする可能性を秘めています。
ストリートと違って、ビジネスでは「思い」だけでは限界がある
冒頭に述べたように、ストリートやアクションスポーツの出身者には、今の世の中でとても必要とされている資質が備わっています。その資質を活かすには、世の中をよく観察して、世の中で起きていることを言語化出来るようになることが大切です。「なんかカッコイイじゃないですか」とか「夢があるんです!」といった「思い」だけだと、ストリートでは皆が付いてきますが、全くロジックの異なる企業相手のビジネスでは限界があります。
重要なのは、表面化している事象のまだ表面化していない深層を言語化して、「世の中では今これが起きていますが、その深層とはこういうことで、そこにまだ気づいていないこういうチャンスがあります」というように、企業もまだ気づけていないチャンスを言語化して説明出来るか、ということです。
具体的に考えてみましょう。冒頭申し上げたようなストリートやアクションスポーツの盛り上がりは、今表面上では五輪種目への採用という形であらわれています。その深層とは、何でしょうか。
例えば、世界の人口動態を考えてみましょう。日本はこの先しばらく人口減少と高齢化が進むばかりですが、海外は途上国を中心にどんどん若者が増え、人口も増えてきます。そうすると、IOCとして五輪をビジネスにしていくにはこうした世界の国々において五輪への注目や人気を維持することが至上命題になります。すなわちあと2大会もすれば、五輪のメインストリームは今のメジャースポーツではなく、ストリートやアクションスポーツに代わっている可能性は十分にありますよね。世界で同時中継される競技が入れ替わるかもしれません。企業と話す時に、アクションスポーツが注目されている事象の根本をこのあたりから議論出来ると、いっそう魅力が増すかもしれません。マーケティングは博打ではないですが、成功確率を高めるための投資です。このように、他の企業より少し先の視点を一緒に見ることは非常に重要です。
もう一つの視点として、ユニフォームを考えてみましょう。上記のようなメガトレンド(世の中を動かす大きな流れ)があるときに、スポーツのユニフォームはこれまでのような「バッジ文化」であり続けるでしょうか?もしかしたら2030年代の五輪で世界中に中継される人気種目では、アスリートの格好はパーカーやTシャツ、スニーカーが殆どかもしれませんね。そうすると今までスポーツメーカーだけにメリットがあったユニフォーム文化が大きく転換していく可能性があります。もはやバッジではなく、デザインとしてロゴやグラフィックが取り入れられることは、大いに考えられるでしょう。五輪はルールが厳しいですが、競技団体が主催する世界選手権やプロリーグはもっとチャンスが広がりそうです。そういった目線でアパレル会社やスポーツブランドと話してみることも魅力的に映るかもしれません。
まだまだたくさんのWIN-WINの考え方はあると思いますので、ぜひそれぞれのリターンやWIN-WINとなるコラボレート発想を磨いてみてください。
ユニークネスを発揮するために
と、偉そうに書いていますが、冒頭申し上げたとおり、僕もかつてはスポンサーというものを深く考えず、広告代理店ノリで今思えば恥ずかしいお願いをたくさんしてきました。当時取り合っていただいた企業の方々からは色々な気づきを与えていただき、大変感謝しています。しかし上記の様なことにはたと気づいて、こちらからスポンサーという関係をお断りすることも何度かありました。
今回は僕の懺悔も含めた「スポンサー」の捉え方を簡単に紹介してきましたが、とにかく大切なことは、起きていることだけでおカネを無心するのではなく、コラボレート発想をベースに企業がまだ気づけていない可能性を提示し、かつそれをなるべく定量的にも説明出来るようにしておくことです。そうすることで、なぜあなたの提案がほかよりも優れているかを説明出来るようになりますし、ストリートやアクションスポーツで培ったあなたのユニークネスが何倍も魅力的に発揮できるでしょう。さまざまなシーンがリンクしてこれからの環境を進化させていくには、こういったことが必要な考え方だと信じています。
ここまで読んでくださって、大変感謝です。次回は、今回も少し触れた「実業団ストリートチーム構想」についてお話ししたいと思います。
次回:<提言>アクションスポーツに実業団チームを | FINEPLAY INSIGT 第二回
AUTHOR:阿部将顕/Masaaki Abe(@abe2funk)
大学時代からブレイキンを始め、国内外でプレイヤーとして活動しつつも2008年に株式会社博報堂入社。2011年退社後、海外放浪やNPO法人設立を経て独立。現在に至るまで、自動車、テクノロジー、スポーツ、音楽、ファッション、メディア、飲料、アルコール等の企業やブランドに対して、事業戦略やマーケティング戦略の策定と実施を行う。
現在、戦略ブティックBOX LLC代表、NPO法人Street Culture Rights共同代表、(公財)日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス部広報委員長。建築学修士および経営管理学修士。
SPECIAL EDITION

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。
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dance日本最高峰のブレイキンバトル「THE JAM FINAL by SEIKO」大混戦のBBOY OVER15を制したのはBBOY Steezyskee!2023.02.062023年2月5日(日)、兵庫県西宮市立塩瀬体育館にて「THE JAM FINAL by SEIKO」が開催された。昨年開催された「THE JAM」の成績上位者と前日予選を勝ち抜いたBBOY・BGIRLが集結し、BBOY OVER15部門は16名、BGIRL部門は8名、UNDER15は8名、そして、3ON3部門は8チームで頂点を争った。 「THE JAM」は2018年にBBOY TAISUKEが「THE JAMから世界へ」という理念の元、この舞台で輝き、そして世界へと飛び出していく場となってほしいという思い込めて設立した大会で、今回の「THE JAM FINAL by SEIKO」でも、まさにその理念にふさわしいBBOY・BGIRLが頂点へと駆け上がった。 BBOY OVER15を制したのはBBOY Steezyskee! 左:Hiro10 右:Steezyskee / THE JAM FINAL (c)harugraphics 注目はBBOY OVER15。 昨年のディフェンディングチャンピオンでありJDSF強化選手でもあるBBOY TOA(24)、昨年のRed Bull BC One World FinalでTOP4となったBBOY ISSIN(17)、さらにはD.League・KOSÉ 8 ROCKSでも活躍するBBOY Kaku(37)、BBOY Taichi(21)、その他にもベテランから若手まで錚々たる顔ぶれが揃った中、混戦を制したのはSteezyskee(20・北海道)だ。 Steezyskeeのブレイキンは、まさに今の自分をレペゼンするスタイル。 本人が「優勝は1mmも思ってなかった。自分のやってることに自信はあるけどそれを受け入れてもらえるかどうか」と優勝後に語ったように、ブレイキンだけではなく様々な遊びの要素を取り入れ、独自のスタイルで勝負を制した。トーナメントが進むにつれて、Steezyskeeのスタイルに観客も呼応し、彼の醸し出すフレーバーが会場を包んだ。 「今までは大会前はめちゃくちゃ練習して意気込んで大会に臨んでいたが、今回は大会のための練習をせず、今の自分のダンスで魅せる実験をしました」と新たなアプローチを貫いてこの日の頂点を掴んだ。 2週間後、2月18日、19日に開催される全日本ブレイキン選手権にも出場するSteezyskeeはどんなカラーに会場を染め上げるのか、今から楽しみだ。 BGIRLを制した新星は地元西宮育ちのBGIRL YASMIN YASMIN / THE JAM FINAL (c)harugraphics そして、BGIRLは、地元西宮からのワイルドカードで出場したBGIRL YASMINが優勝した。実に自身が個人で出場するバトルは1年半ぶりだったいうYASMIN。 「今のフィーリングと今までやってきたことを自分らしく出すことを考えた」というように入場から観客の気持ちを掴む表情や相手のムーヴ中も音楽と同調してリズムを取りながらYASMINの空気感を作っていった。そこに持ち前の幅広いミュージカリティやステップワークを加えながら会場を魅了。JDSF強化選手であるBGIRL AYANE、BGIRL AYUや、昨年のRed Bull BC One Cypher Japanを制したBGIRL YURIEなど、強者揃いのトーナメントを制した。 「ワイルドカードで大会の招待を受けた時、出るかどうか迷ったが、この大会にフォーカスして自分に集中していい準備ができたので結果に繋がって良かった。地元・西宮で勝ててやっと誇れるなと思います」と笑顔が絶えなかった。 UNDER15はJDSF強化選手BBOY RA1ON RA1ON / THE JAM FINAL (c)harugraphics U15は地元兵庫県の尼崎出身BBOY RA1ON(14)が他を圧倒して優勝を果たした。 BBOY RA1ONのこだわりはシルエットのカッコ良さ。トップロック、フットワーク、パワームーヴ、フリーズのすべてにおいて理想のシルエットを日々追及している。この1年ですべての動きにスピード、キレ、力強さが加わったと本人が語るようにもはやU15の領域にはいない。 しかし、優勝後のインタビューでは「決勝では足がつりそうになった。決勝のムーヴは自分で納得がいっていない。目標は、すべての年代の中で1番になることなので今のままでは通用しない」と自分自身で課題も語った。2週間後に出場する全日本ブレイキン選手権ではユースの枠を超え、オープン部門で出場するRA1ON。高みを目指す14歳が日本ブレイキン界に風穴を開けるかもしれない。 解説付き大会アーカイブはこちら! https://youtu.be/0BHSGdyRY7Y 2023年2月5日(日) /「THE JAM FINAL by SEIKO」 BBOY OVER15優勝:Steezyskee準優勝:Hiro10 BGIRL部門優勝:YASMIN準優勝:AYU BBOY UNDER15優勝:RA1ON準優勝:NAKKURU 3ON3優勝:WASEDA BREAKERS 準優勝:GSBシューゲイザ ー
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dance「全日本ブレイキン選手権」開催間近!今後が楽しみなティーン世代のBBOY・BGIRLをピックアップ来る 2月18日(土)・19日(日)ブレイキン日本一を決める頂上決戦、「第4回全日本ブレイキン選手権(以下:全日本)」が、国立代々木競技場 第二体育館にて開催される。 昨今は特に、ジュニア世代も含めた10代のBBOY / BGIRLが着々と実力をつけてきている。そこでFINEPLAYでは今大会に出場する選手の中から気になる注目のティーン世代BBOY / BGIRLをピックアップ。 入れ替わりの激しいシーンの中でさらなる頭角を現すであろう彼らを、今後の活躍も見据えてチェックしていきたい。 HIRO10 HIRO10 / Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 まず注目したいのは、石川県出身のHIRO10 (GunSmokeBreakers) だ。現役高校生でありながら、グローバルに世界各地のバトルでも活躍している実力派BBOY。昨年からは全日本へのポイント獲得大会にも精力的に参戦し、昨年末に開催された「SETTSU BREAKIN’ JAM」では優勝も果たしている。 ハイレベルなパワームーブを武器に早くも世界の舞台で結果を残し、実力も知名度も折り紙付きである。オリンピックに向けてのポイント争いも激化してくる中で、今年からはこの争いにHIRO10が新たに加わってくるであろう。まずは全日本への出場ポイントランキング堂々の1位で決勝大会進出を決めたHIRO10が、今大会で頂点へ近づくことが出来るのか、非常に楽しみである。 Lil′Bom Lil′Bom / Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 Lil’Bom(Bioneer Crew)は昨年の関東甲信越ブロック選手権での優勝をキッカケに、さらに勢いを増したBBOYだ。1年前までは高校生であり、昨年の春から地元の大学である群馬大学に進学した現役の大学1年生である。JDSF強化選手であり、前回の全日本では3位まで登り詰めている。 スピード感とキレを兼ね備えたパワームーブを武器とし、その完成度は正に国内トップレベルである。大学生になり、より経験値を積むことで今後の更なる飛躍が楽しみなBBOYだ。今年は昨年の全日本より順位を上げ、決勝戦に進むことが出来るか注目していきたい。 Lil Kong Lil Kong / Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 Lil Kongは弱冠11歳の小学5年生のBBOY。THE FLOORRIORZ ACADEMYの生徒として日々スキルを磨き、昨年開催された「Breakdance Dream Cup」では優勝に輝いている。ジュニアカテゴリーでは出場ポイントランキング1位で、見事決勝大会への進出を決めた。 高い身体能力から繰り出されるパワームーブや、キレのあるフットワークもさることながら、雰囲気のあるトップロックやバトル運びの上手さが、彼独自のスタイルを感じさせる。全てにおいてポテンシャルが高く、今後が楽しみなBBOYの一人である。 ジュニアカテゴリ―は正に群雄割拠であり、数多くの実績を誇るBBOYが数多くいる中でLil Kongが一歩リードすることが出来るのか。今大会も期待しながら見ていきたい。 7G 7G / Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 BGIRL 7Gは、昨年開催された「マイナビ JDSF ブレイキン ジャパン オープン 2022」や「Breakdance Dream Cup 2022」で連続優勝を飾り、着実に実績を積み重ねている小学6年生のBGIRLだ。7Gは体の柔軟性を活かしたフットワークやトリッキーなフリーズが武器であり、そのフレッシュなスタイルでジュニアBGIRL世代の先頭を走っている。 昨年は全日本には出場していないため、今年が決勝へ初参戦となる7G。ジュニアカテゴリーでの出場となるが、今勢いに乗るBGIRLが今大会でも旋風を巻き起こすのか、注目していきたい。 Mirei Mirei / Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 Mireiは岡山県出身のBGIRLであり、JDSF強化選手にも選出されている。ハイレベルなパワームーブも特徴的だが様々なジャンルのダンスを経験していることから、高いミュージカリティで魅せるスタイルもMireiの強みである。 同じジュニアBGIRL世代の中でも、高いダンス力を誇るMireiは間違いなく今後目立ってくる存在になるであろう。国内の大会では多くの実績を残しつつあるMireiが、今回の全日本で有終の美を飾ることができるかも期待していきたい。 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 ブレイキンにおいて10代のティーン世代が国内外で大きな活躍を見せていることは言うまでもないが、その中でも今後が楽しみなBBOY / BGIRLをピックアップした。今回紹介した選手以外でも国内のブレイキンの平均レベルは年々高くなっており、今後も新たなスターが生まれてくるであろう。 特に今回の全日本では、昨年まで出場していなかった面々が全日本に出場を決め、昨年以上に盛り上がることは間違いない。今後さらなる成長を遂げたティーン世代が世界の舞台に進出し、活躍する事を楽しみにしている。 尚、当日の観戦チケットはe+(イープラス)にて絶賛発売中。ご購入は下記関連リンクよりお買い求めください。
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climb有観客・声出し応援解禁で熱気を帯びた「ボルダージャパンカップ 2023」大会リポート2023年2月5日(日)に、駒沢オリンピック公園 総合運動場屋内球技場にてスポーツクライミング・ボルダージャパンカップ 2023(BJC 2023)男女準決勝・決勝が有観客(マスク着用での声出し応援有り)にて開催された。また今年はパリ2024のプレシーズンとなり、今大会は第6期JMSCAパリオリンピック強化選手の選考も兼ねている。 結果は、女子:伊藤ふたば、男子:楢崎明智が優勝し日本一に輝いた。 伊藤ふたばが全課題を一撃で3年ぶり優勝 photo by Kazuki Murata 準決勝を4位で通過した伊藤ふたばは、第1課題から絶好調のパフォーマンスを見せつける。多くの選手が苦しんだスラブの第2課題も勢いはそのまま、一撃で登り切り他の選手を大きく突き放す。第3課題もなかなか完登者が出ないなか一撃で仕留める。最後の第4課題においても圧巻の登りを見せて一撃。満面の笑顔と共に3年ぶり3度目の優勝をつかみ取った。 2位には東京オリンピック2020 銀メダリストの野中 生萌。惜しくも第2課題は完登できなかったが、持ち前のパワフルかつ正確なクライミングで3完登(第3・第4課題は一撃)を記録した。そして弱冠15歳の中学生、関川 愛音(めろでぃ)が、ポテンシャルを感じさせる力強い登りで3位に入賞した。 伊藤ふたばは決勝後のコメントで、「決勝では全課題を一撃して優勝することが出来たので率直に嬉しいです。オブザベーションの段階で自分が得意な課題だと思っていて、集中してトライするようにしました。」と自身を振り返った。 楢崎明智が初優勝で兄・智亜と表彰台へ photo by Kazuki Murata 男子優勝に輝いたのは3完登を記録した楢崎 明智。大会前には 「国内の選考大会があまり得意ではなく、プレッシャーであまりいい動きが出来たことがない。今年は楽しんで自分の存在感やスタイルを見せられたらいいなと思います。」と語っていたが、第1課題から持ち前の身長、手足の長さを活かして完登でスタート。 続く第2課題、第3課題もダイナミックな登りで完登を続けて首位をキープした。優勝が大きく近づいた第4課題では、疲れも見え始め完登とはならなかったが、ゾーンを獲得し自身初の優勝を決めた。 尚、2位には2完登の佐野 大輝。3位には楢崎 明智の兄である楢崎 智亜が食い込み、兄弟で表彰台を飾った。 楢崎明智は決勝後に、「オブザベーションした段階で僕にとって得意な課題なのが見て分かったし、智くん(兄・智亜)とも『これはいけそう!』と話していました。まさか本当に優勝するとは思ってなかったですけど(笑)」と驚きを半分に優勝コメントを残した。 開催概要 photo by Kazuki Murata 名称:ボルダージャパンカップ2023(BJC2023) 主催:公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)後援:スポーツ庁、公益財団法人日本スポーツ協会、公益財団法人日本オリンピック委員会、世田谷区主管:公益社団法人東京都山岳連盟(TMF) 企画・運営:BJC2023実行委員会 協賛:KDDI株式会社、三井不動産株式会社、住友商事株式会社、オリエンタルバイオ株式会社、牛乳石鹼共進社株式会社、日新火災海上保険株式会社、東商アソシエート株式会社、西尾レントオール株式会社、サントリー食品インターナショナル株式会社オフィシャルマーケティングパートナー:株式会社博報堂DYメディアパートナーズ 会場:駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
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climb楢崎明智が初優勝!「ボルダージャパンカップ 2023」2023.02.052023年2月5日(日)に、駒沢オリンピック公園 総合運動場屋内球技場にてスポーツクライミング・ボルダージャパンカップ 2023(BJC 2023)が行われ、男子決勝は楢崎明智が優勝に輝いた。 準決勝を勝ち抜いた上位6名によって争われた決勝では、楢崎智亜や、藤井快など国際大会で多くの実績を誇る選手が揃った。 しかし優勝した楢崎明智は、長身からなる長い手足や身体能力を活かし、決勝トップとなる4課題中3完登を記録。堂々の優勝を飾った。 2位には佐野大輝、3位には楢崎智亜が入った。 今年はパリ2024のプレシーズンとなり、今大会は第6期JMSCAパリオリンピック強化選手の選考も兼ねている。
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climb伊藤ふたばが3大会ぶり3回目の優勝!「ボルダージャパンカップ 2023」2023年2月5日(日)に、駒沢オリンピック公園 総合運動場屋内球技場にて、スポーツクライミング・ボルダージャパンカップ 2023(BJC 2023)が行われ、女子決勝で伊藤ふたばが優勝に輝いた。 決勝は同日開催された準決勝を勝ち上がった上位6名にて争われ、優勝した伊藤ふたばは、全4課題を全て一撃で仕留め圧倒的な成績で頂点に立った。 2位は野中生萌、3位には関川愛音が入った。 今年はパリ2024のプレシーズンとなり、今大会は第6期JMSCAパリオリンピック強化選手の選考も兼ねている。