こんにちは、Yohです。
今回は縁あってBOX LLCの共同創業者である阿部の連載「FINEPLAY INSIGHT」に寄稿させて頂くことになりました。
僕はBOX LLCの経営を通じてマーケティングやブランディングに関するコンサルティング活動を行う傍ら、自ら2018年に立ち上げたスタートアップでストリートプレイヤー向けの動画管理アプリ-PAARK-および映像作品販売マーケット-PAARK Market-を運営しています。
その中で、音楽著作権がカルチャーシーンに与えるインパクトについて考える機会が非常に多く、皆さんにもこの場を借りてお伝え出来ればと思い、今回のテーマを設定しました。少し難しい話も多くなるかもしれませんが、是非最後までお付き合い頂けると幸いです。
音楽著作権とは?
そもそも「音楽に関する著作権」とは何か、非常に曖昧な理解をしている方々も多いのかなと思います。音楽に関する著作権とは簡単にいうと、作曲家、作詞家、演奏家、歌手などの楽曲を制作するにあたって関与した人々に「これを作ったのは君たちだから、この楽曲を独占的に利用して良いよ」という権利のことです。だからこの楽曲を作った人たち(以下「著作者」といいます)以外の人が「この楽曲を使って踊ったり何かしたい!」という場合には、基本的には著作者に利用料を支払う必要があります。
しかし、楽曲を利用したい人がその都度著作者全員の許可を得るなり利用料を支払うことというのは、双方の手間を考えると現実的には不可能です。そのために存在する団体が、JASRACやその他の著作権管理団体です。「著作権プラットフォーム」というとわかりやすいでしょうか。JASRACを例にとると、音楽を利用したい人はJASRACにお金を支払うことで使いたい音楽を利用することが出来、著作者にはJASRACを通じてお金が支払われるという仕組みになっています。この仕組みのおかげで、しっかりと利用者から著作者に著作権料としてお金が流れる原理になっています。
ややこしいのが、著作隣接権
この著作権だけでも既に難しい話になってきていますが、それよりもさらにややこしいのが「著作隣接権」です。著作隣接権とは、音楽を作った著作者本人ではなく、例えば音楽をCDに録音して複製する機能を持つ音楽レーベルなど、音楽を世の中に伝えていくのに必要な役割を果たした人や会社に発生する権利です。音楽レーベルに所属しているアーティストが新曲をリリースする場合を例に考えると、アーティストの新曲を録音してマスターテープを制作し、それをディストリビュートする役割を担っている音楽レーベルには代表的な著作隣接権の一つである「原盤権」という権利が発生します。簡単にいうと「マスターテープを制作する」という業務を担った音楽レーベルに付与される権利なので、「その録音された音源」を利用しようとする楽曲利用者は、この原盤権を持つ音楽レーベルの許諾を取る必要があります。
この原盤権がストリートシーンにとっては実は非常にやっかいなんです。なぜなら、原盤権に関しては前述のJASRACのような管理団体が広くは存在しないからです。一部、NexToneなどの団体が音楽レーベルとの契約のもと原盤権を管理している例もありますが、基本的には音楽レーベルが原盤権を保有していることがほとんどです。すなわち、基本的にはいかにJASRACにお金を支払って著作権侵害をクリア出来ても、音楽レーベルの許諾を取らないと原盤権を侵害してしまうことになるので、楽曲を利用したいストリートシーン側からしてみると、その楽曲を使って踊ったり大会を催したりすることが出来ないのです。
ちなみに著作権および著作隣接権ともに、私的利用に関しては許諾が不要となっています。みなさんが自宅でCDを聞いたりしても怒られないのはそのためです。一方で、お客さんからお金をもらったうえでその音楽を演奏したり、歌ったり、その音楽で踊ったりする場合には全て著作権もしくは著作隣接権に関する許諾を得る必要があります。許諾を得ないでやってしまった場合には、権利侵害として権利保有者である著作権者もしくは音楽レーベルに訴えられる可能性が出てきてしまいます。
YouTubeで「歌ってみてみた」動画が投稿出来るのはなぜ?
ここで少し話が脱線しますが、YouTubeでシンガーや歌うまさんによって投稿された「歌ってみた」動画が削除されずにYouTube上で閲覧可能な状態で残っているのはなぜでしょうか。
それは、YouTubeがJASRACなどの著作権管理団体にお金を払っており、かつ、音楽レーベルとの提携を通じて構築した「Content ID」という楽曲データ管理システムで原盤権に関する管理を行なっているからです。すなわち基本的にはYouTubeでは著作権および原盤権の双方に関して、ユーザーが動画をあげても権利侵害が起きないような仕組みを作ってくれている、ということになります。
まず著作権に関して、YouTubeはJASRACやその他の著作権管理団体と著作権に関する包括契約を締結しており、ユーザーがJASRACの管理楽曲を使った動画をアップロードする場合は「YouTube側がお金を払ってくれることになってるので、ユーザーの動画アップロードは自由にやってもいいよ」ということになっています。そのためユーザーは自由にJASRACやその他管理団体の管理楽曲を利用した動画をアップロードすることが出来ます。
また原盤権に関しては、前述したYouTube独自のContent IDという楽曲データ管理システムに、主要な音楽レーベルが原盤権を保有する楽曲の多くが登録されており、原盤を使用した動画がYouTube上で何回再生されたかなどの情報もすべて管理されています。そのためYouTubeは原盤権を保有する音楽レーベルに対して、楽曲の再生回数や予め定められた契約条件に基づいて音楽レーベルに原盤権使用料を支払うことでユーザーが原盤権侵害を侵してしまうことがないようにしています。また原盤権保有者の中には、金銭を原盤権使用料としてもらうのではなく、YouTubeの動画を再生すると流れてくる広告の中から一部の広告料を受け取るという形で楽曲利用を許容しているケースも多々存在します。
著作権が起点でいまのダンスシーンにおきていること
さて、ここからいよいよストリートシーン、特にダンスの話に入っていきます。ここ1〜2年はコロナウイルスの影響もあり、ダンスバトルがオンラインで配信されることも多くなってきました。ブレイキンで言えばRed Bull BC Oneなど、大きな大会になればなるほど今やオンライン配信は当たり前と言えるのではないでしょうか。
オンライン配信は無料のものもありますが、会場で観客を入れて開催していたりスポンサー企業からの収入があったり、基本的にはビジネス目的(=大会運営を通じて金銭の実入りがある)で開催されているものがほとんどです。従って、前述の著作権および著作隣接権の問題が発生します。お金をもらって大会を開催している以上、音楽の私的利用には該当せず、しっかり著作権料や原盤権料を支払う必要があります。
そのため、音楽レーベルが原盤権を保有している楽曲は、基本的には権利者の許諾をとってお金を支払わないとダンスバトルで流すことが出来ません。つまり、ダンスバトルで「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」のような有名楽曲をDJが流すためには、事前に著作権および原盤権の権利者に楽曲の利用許諾を取っておく必要がある、ということになります。
しかし、それは現在のダンスバトルの運営チームとしてはかなりハードルが高いことです。そもそも主要音楽レーベルのようなグローバル企業から小さな企業もしくは団体、場合によっては個人が許諾を得ること自体がかなり手間ですし、現実的にはほとんど不可能です。結果として、オンライン配信をしていたり集客をしている大きなダンスバトルであればあるほど「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」をバトルの中で流すことが出来なくなっています。
そのため、ここ数年は「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」ではなく、「トラックメーカーが(主催者に)提供してくれた楽曲」をダンスバトルで使うケースが増えています。トラックメーカーの中にはJASRACに著作権管理を委託していなかったり、音楽レーベルに所属していない方も多くいらっしゃいます。このような場合にはトラックメーカー自身が著作権および原盤権も保有している権利者ということになるので、トラックメーカー本人からの許諾さえ得られれば、権利侵害をすることなくダンスバトルで楽曲を利用できることになります。このこと自体はとても素晴らしいことで、トラックメーカーの楽曲が世界への配信でフックアップされる効果もあり、ストリートシーン全体にとってはとても良いことだと思います。
このように実務的な手続きの複雑さも考えると、「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」は現実的に採用がほとんど不可能で、「トラックメーカーが提供してくれた楽曲」の利用がダンスバトルで増えざるを得ない状況を、みなさんもご理解いただけるのではないでしょうか。
ダンスバトルで流れる曲がダンスシーンに影響を与えている
では「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」と「トラックメーカーが提供してくれた楽曲」をダンスバトルで使うことの違いは、どこにあるのでしょうか。これは捉え方は人によってそれぞれかと思いますが、個人的には「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」は有名曲を中心に歌モノが多かったり、有名なラップバースが入っていたり、曲自体に色んなストーリーや文脈がある楽曲が多い一方、「トラックメーカーが提供してくれた楽曲」はインストやドラム中心のブレイクビーツが多く、演奏家やシンガーが参加したバンドサウンドやメロディアスな楽曲は少ない印象があります。
そのため、著作権や原盤権侵害を防ぐ必要がある大きなダンスバトルと、地元で仲間と突発的に沸き起こる権利侵害を意識する必要性がない(=私的、もしくは私的に限りなく近い)バトルで流れる曲は大きく方向性が異なり、結果として両者で「勝つ」ために必要なダンスが違ってきているのではないか、という仮説を個人的には持っています。
大きなダンスバトル:よりアスリート志向に
すでに述べたとおり、Red Bull BC Oneのような大きなダンスバトルでは、著作権や原盤権を考慮して一般的に知られた有名楽曲ではなく、トラックメーカーが制作した楽曲が中心に流れることになります。その結果、ストーリーやメロディアスな要素が多い楽曲を使用したバトルよりも、パフォーマンス要素の強い踊りでいかにミスなくムーブをかますか、というウェイトがジャッジの評価で高まるのかと思います。
そう考えると、大きなダンスバトルになればなるほど、ダンサー側の意識は大技の成功やミスしないことが重要になってくる一方、音楽に対する表現性が占めるウェイトは相対的に下がっていくように感じます。よりアスリート的なダンススタイルが求められていることは、著作権の観点からは必然だと思います。
小さなダンスバトル:よりカルチャー志向に
一方でローカルの小さなバトルなど、お金を取らずにやっているものもたくさんある現状を踏まえると、音楽著作権の侵害を(実務的に)意識する必要性が相対的に低くなります。結果として、流れる楽曲がいわゆる「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」とか「ブレイキンといえばこの曲」みたいなものに寄っていきます。
このようなローカルやアンダーグラウンドのバトルでは、音楽性が占めるウェイトが相対的に上がってきます。楽曲が持っている時代的・人物的なバックグラウンド、過去にその楽曲を使って繰り広げられたバトルのストーリーなどに加えて、自分がどのような表現を乗せていくのか、というダンサー一人一人の生き方や価値観を踏まえた踊り方がとても重要になってくると個人的には思います。このようなシーンではアスリート的なダンススタイルだけでは物足りず、もっと幅広い一人一人の価値観や生き方、カルチャーに根ざしたスタイルがより価値を出してくると思います。
批評や対立ではなく、求められるのは相互理解
これは良し悪しの議論ではなく、現在のダンスシーンを音楽著作権の切り口から客観的にみた時に、二つの方向性が生まれてきているということだと思います。
大きなダンスバトルで「勝つ」ことを目的に据えると、そのための戦い方というものが見えてきます。これは2024年のパリ五輪を控えているブレイキンにとっても非常に重要なポイントだと思います。体操や柔道などの五輪競技と同じく、勝つための基本的な方程式があり、それを誰よりも高いレベルで実践するアスリートとして五輪の頂点を目指す。その中にも個人ごとに得意不得意があり個性があり、その個性を最大限活かしながら決められたルールの中で勝ちを目指す。日本のブレイキンシーンが現時点で五輪のメダルを狙える状況にあること自体が本当に素晴らしいですし、その背後にはJDSFを中心に尽力してきた方々の血の滲む努力と想いがあり、そこへのリスペクトをシーンに関わる誰もが持つべきだと思います。
一方で、小さな地元のバトルによって成り立っているシーンのことも同じ水準で大事にするべきです。元々音楽著作権や原盤権などは(実質的に)関係のない、ローカルのフリースタイルサイファーで成り立ってきた視点からいえば、ダンスと音楽は切り離すことが出来ないものです。その音楽自体が持っている歴史や、その音楽に乗せて繰り広げられてきたレジェンドたちによるダンスの歴史の上に、自分のアイデンティティを乗せていく。そうすることでダンスシーンを発展させていくという考え方もまた、絶対になくしてはならないものだと思います。
そもそも文化は画一的な成長の仕方をするのではなく、その時々の政治の思惑やシーンの向いている方向によって都度方向性を変えながら歴史を紡いできました。すなわち、その文化の最先端においては常に相対する考え方やスタイルがあるのが文化の宿命であり、それぞれをお互いにリスペクトして共存しているという状態こそが発展を支えているのではないか、と最近感じています。
繰り返しになりますが、僕はどちらが良くてどちらが悪いとは思いません。むしろ、その真逆です。当たり前のこととして色んなスタイルのダンサーがいて良いということと、その中でも音楽著作権がダンスシーンのバトルのあり方に影響を与えているという事実を皆で認識することで、異なる方向性であってもお互いをわかりあえる、より良いシーンに発展していくのではないか、と思っています。
BTSの事例から考えられる今後の音楽著作権の方向性
また少し話が脱線しますが、現在世界の音楽シーンを席巻しているBTS(防弾少年団)の所属事務所HYBE(ハイブ)は、ファンの音楽二次利用に関して比較的寛容な姿勢を取ることが多いことで知られています。特に韓国の音楽シーンで言えることなのですが、ファンがアーティストの楽曲を使って「踊ってみた」動画等を配信することが音楽サブスクリプションサービス上での再生回数やCDの売上枚数にプラスの影響をもたらすという考え方が主流になってきています。最近ではTikTokも音楽レーベル各社と提携契約を結びファンのTikTok上での音楽利用を正式に開放する動きが進んでいます。
僕個人としても、今後はこの流れが加速していくと考えています。そもそも音楽著作権は著作者の努力に報いることで文化の発展を促すことを目的としている権利なので、YouTubeやTikTokで消費者がUGC(User Generated Content)をアップロードして楽しむことが主流になっている昨今では、よりユーザーフレンドリーな立場で音楽著作権を捉える権利保有者が増えていくのではないかと思っています。
今後のシーンに対して思うこと
HYBEのような流れも踏まえると、今後はイベントの主催者が音楽著作権に関するスタンスを明確に打ち出すことが重要になってくると思います。例えば、ダンスバトルの主催者が音楽レーベルと包括的な業務提携を行うことによって「ダンサーのみんなが練習で使っているあの曲」をダンスバトルで利用出来るようにし、ストーリーやアンダーグラウンドのカルチャーに根ざしたスタイルのダンサーも、より大きなバトルで活躍出来るようになる方向性を打ち出すやり方も考えられると思います。
また、そうでなくとも、アスリート志向の強いダンスバトルからカルチャー志向の強いダンスバトルまで、イベントのコンセプトに幅広いグラデーションがある中で、イベントの主催者がバトルのコンセプトや目的、それに紐づいて流す音楽の方向性を明確に打ち出すことが大事だと思います。それによってダンサーが「勝つ」ための戦略を考えることも面白みですし、「色んな大会があって、色んな曲があって、色んなダンサーがいて、色んな勝ち方があって、それぞれ違うけどみんないいよね」という共存思考がシーン全体で高まるのではと思います。
今回は長々と、音楽著作権がストリートシーン、特にストリートダンスシーンに与えるインパクトについて個人的な考察を交えて述べさせていただきました。もちろん僕の考え方だけが正しいとは思っていませんし、シーン全体でも色んな意見があると思います。だからこそ、僕は色んな人と引き続きこのようなストリートシーンに関する建設的な議論を交わしていきたいと思っています。重要なことは、お互いがお互いの意見を理解し尊重したその先にカルチャーの発展があるということをみんなで理解しておくことだと思います。シーンに関わる全員がそれぞれの立場から考え、ストリートシーンの発展のためにかましていけたら本望です。
AUTHOR: 井本陽/ Yoh Imoto
幼少期をニューヨークで過ごしたことがきっかけで小学校時代からHIPHOPにのめり込む。中学時代からダンスを始め、その後DJ、ダブルダッチ、スケートボード、ビートメイキングと活動の幅を広げる。大学卒業後は会計事務所、証券会社を経て2013年戦略コンサルティングファーム ボストン・コンサルティング・グループに入社。2018年退社後ストリートカルチャー領域でストリートプレイヤー向けの動画管理アプリ-PAARK-および映像作品販売ウェブサービス-PAARK Market-を提供するスタートアップOne Dollar Bill Inc.を創業する傍ら、戦略ブティックBOX LLCを共同創業。
現在、One Dollar Bill Inc. 代表およびBOX LLC Co-founderを兼任。東京大学経済学部卒。
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skate小学4年生の天才スケーター河上恵蒔が、3つのギネス世界記録™を樹立!2024.11.21小学4年生ながらスケートボード界で驚異的な実績を積み上げている河上恵蒔(10歳)が、3つのギネス世界記録を達成し、その名を世界に轟かせた。11月21日に発売された『ギネス世界記録2025』(角川アスキー総合研究所)で、若干10歳にして栄光を掴んだその記録が公開され、スケートボード業界のみならず各界から熱い視線が注がれている。 提供:ギネスワールドレコーズ 河上の種目はハーフパイプで技を競う「バーチカル」。今年1月に「JSFバーチカルシリーズ2023」で最年少ながら総合1位タイに輝き、大きな話題を呼んだ。6月15日にはアメリカ・ユタ州ソルトレークシティで行われた「トニー・ホーク・バート・アラート」では、「900(2回転半)」を連続で3回成功させ、世界に衝撃を与えた。同月28日にはカリフォルニア州ベンチュラで開催された「X Games Ventura(エックス ゲームズ ベンチュラ) 」にも最年少で出場し、さらなる快挙を成し遂げた。 提供:ギネスワールドレコーズ 1つ目のギネス世界記録のタイトルは、「Most backside 540 skateboard tricks in one minute(1分間にスケートボードでバックサイド540を行った最多数)」。1分間に13回のバックサイド540(1回転半)を成功させ、驚異的なスピードと精度でギネス世界記録に認定された。 2つ目は、「Most consecutive skateboard '900' in competition (male) / 大会においてスケートボード「900」を連続で行った最多回数(男性)」。伝説的スケーターであるトニー・ホークが1999年に初めて成功させた「900(2回転半)」。その技を6月15日に行われた「Tony Hawk Vert Alert」で3回連続で決めたことで「神の正統後継者」と称され、2つ目のギネス世界記録を樹立した。 3つ目は、「Youngest X Games athlete (male) / エックスゲームズ最年少出場選手(男子)」。6月28日、河上は9歳294日という若さで「X Games Ventura」に最年少で出場し、見事3つ目のギネス世界記録を打ち立てた。 提供:ギネスワールドレコーズ 今回の快挙について河上は「ギネス世界記録は学校の図書室にもあって、それに自分が出ると思うととても嬉しいし、友達に見てもらいたい」と歓びを語り、今年を振り返って「アメリカに行くことと、X GAMESに出場するという夢が叶って最高でした。それに、イタリアやカナダにも行けたし、有名なスケーターと滑れた事も最高でした」と充実感をにじませた。来年の抱負を尋ねられると「来年も海外に行けるように頑張りたいし、とにかくスケボーが上手くなりたいです」と、10歳とは思えない堂々とした姿を見せた。 急速に人気が高まるスケートボード業界で、わずか10歳にして未来を担う存在となった河上恵蒔。彼の次なる挑戦から目が離せない。 【河上恵蒔『ギネス世界記録』タイトル名】 提供:ギネスワールドレコーズ ・Most backside 540 skateboard tricks in one minute1分間にスケートボードでバックサイド540を行った最多数 2024年5月22日 13回 ・Most consecutive skateboard '900' in competition (male)大会においてスケートボードの「900」を連続で行った最多回数(男子)2024年6月15日 3回 ・Youngest X Games athlete(male)エックスゲームズ最年少出場選手(男子)2024年6月28日 9歳 294日 【書籍『ギネス世界記録』について】 世界中の一番を審査・収集しているギネスワールドレコーズは、毎年その記録を一冊にまとめて出版しています。1955年に初めて刊行された書籍『ギネス世界記録』は累計発行数1億5,300万部となり、今まで40の言語に翻訳され、世界100カ国以上で発売されてきました。 【書籍概要】 『ギネス世界記録2025』クレイグ・グレンディ編 ©2024 Guinness World Records Ltd. タイトル:『ギネス世界記録2025』発売日:2024年11月21日定 価:3,960円(本体3,600円+税)発 行:株式会社角川アスキー総合研究所発 売:株式会社KADOKAWA判 型: A4変形判 オールカラー ページ数:264ページ
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/YUSF 準優勝はARK LEAGUEのオーガナイザーでもある内野洋平。長年大会を支える一方で、このFLATARKを含め数えきれないほど様々な大会で優勝経験を持つ現役プロライダー。BMXフラットランド界を新たなステージに引き上げ続ける彼は、今大会でも最高難度のトリックにトライ。1本目、2本目ではミスがあった「バックワーズマニュアル to バイクフリップ」からのもう一度バイクフリップで締める彼のオリジナルルーティンをしっかりメイク。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF その流れのままバイクを背中向きに背負って進む「バックワーズツーフット」からのバイクの切り返しをメイクして2本目のスコアをまとめる。その後は1本失敗するも 「アップサイドのマニュアル to バイクフリップ」を加えたルーティンをメイクした。終盤戦はどのライダーもトリックをメイクできない時間が続く中、残り3分あたりで「バックスピン」からの難しいバイクの切り返すルーティンをメイク。最後は自身の代名詞トリック「ウッチースピン」も加えた長いスピントリックのルーティンにトライするも最後の最後で足をつくミス。しかし結果としてはそこまでの高難度かつオリジナリティのあるベストトリックの数々が評価されて合計17.8ptで2位となった。 田圓尚人のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位は2022年の「FLATARK」in YUSFで王者に輝いた田圓尚人。前半ではなかなか決めきることができず苦戦を強いられたが、残り時間5分の時点でリアトリックの体勢から「バイクフリップ to バックスピン to バイクフリップ」のコンボをメイクしていき気合いの1本目を決めきる。その後、2本目をメイクするのに苦戦を強いられるも残り2分のところではバイクをアップサイドに捉えながら片足をペダル軸に置きバックワーズからの自身のオリジナルトリックであるハンドルを握りながらバイクを足元で回す「気円斬」をメイク。意地の2本目を決めると最終的にこの2本が高評価を受けて合計点を17.0ptとして3位入賞を決めた。 WOMEN’S CLASSはネクストレベルのライディングが披露される接戦に。わずか0.2pt差の厳しい戦いを制したのは昨年大会王者の鈴木仁菜 一方で、唯一の女子カテゴリーとなったWOMEN’S CLASSにも国内外を股にかけて大活躍する女子のトップライダー10名が参加し、決勝1本勝負にて優勝争いが行われた。 なお今回のWOMEN'S CLASS決勝の競技フォーマットは、120秒間のソロラン1本にて最高30点満点でジャッジされた。「FLAT ARK」としては前回の甲子園大会から30秒延長となるこのフォーマットが導入されたのだが、今までに比べるとライディング時間が長くなるため自分の見せたいトリックを多く入れ込むことができる一方で体力勝負にもなることが予想された。 その中でも特に接戦となったのは鈴木仁菜と本村果鈴の戦い。昨年のYUSF’23で優勝した鈴木と前回の甲子園大会の優勝者の本村、どっちが勝つのか気になる今回を制したのは鈴木仁菜。 鈴木仁菜のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 今年のワールドカップでは負けなしの世界的にもその実力が評価されている鈴木は、所々でミスは見られたもののリアトリックの姿勢から、スカッフなしで「ツーフット」に移り「バックスピン」に切り替えたり、手足のポジションを入れ替えたり、難しい姿勢からバイクを回転させて切り返したりと目まぐるしく難しいバランスをとりながら行うトリックルーティンに盛り込んだライディングを見せて24.6ptと最高得点をマークし優勝を収めて2連覇を達成した。 本村果鈴のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝は鈴木にわずか0.2ptという僅差に迫った本村果鈴。スピン系のトリックを得意とする彼女は、リアトリックからフロントトリックに上手くスイッチしながら手足のポジション入れ替えたりとバリエーションの多いライディングを見せる。その後もルーティンの中にフロントトリックを軸にする中でスピンしながら「ウィップラッシュ」を入れたりハンドルを回したりとスムーズかつハイレベルなトリックを披露していく。終盤では左足をペダルに置いて片足での「ノーズマニュアル」から「ウィップラッシュ」に繋ぎ「バックスピン」という流れでルーティンを続けようとするも最後までメイクできずにランを終えると合計得点を24.4ptとして、惜しくも鈴木には届かず2位となった。 高橋七衣のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位はBMXフラットランド強豪である佐賀出身の弱冠13歳の高橋七衣。フロントタイヤを軸にしたトリックを中心にランを展開。1本目、2本目と上手くバランスを取りながらでのフロントトリックの 「ツーフット」からの「トランスファー」など丁寧にトリックを決めていくと、ラスト1本では途中から決められず苦戦していた「サイドヤード」の姿勢からリアへの「トランスファーからのバックスピン」をしっかり決めきった。このルーティンが高評価を受けたか合計点を23.5ptとして3位入賞を収めた。 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <OPEN CLASS >優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 18.1pt準優勝: 内野 洋平 (ウチノ・ヨウヘイ) / 17.8pt第3位: 田圓 尚人 (タマル・ナオト) / 17.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <WOMEN’S CLASS>優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 24.6pt準優勝: 本村 果鈴 (ホンムラ・カリン) / 24.4pt第3位: 高橋 七衣 (タカハシ・ナナエ) / 23.5pt ©︎Jason Halayko /YUSF <EXPERT CLASS>優勝: カナモト コタロウ準優勝: フジイ トハ第3位: イケダ コウタ ©︎Jason Halayko /YUSF <NOVICE CLASS>優勝: サトウ ライ準優勝: カネコ ジロウ第3位: コタベ コウイチ 大会概要 ⼤会名称 : 【FLATARK produced by ARK LEAGUE】イベント名称 : YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 (略称 YUSF ʼ24)会場:横 浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)日程・時間: 2024年11月9 日(土)・11月10日(日) 【YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24】主催: YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 実行委員会 (株式会社横浜赤レンガ / 明治商工株式会社 / 株式会社ローソンエンタテインメント / 株式会社ゼータ) 共催: 横浜市にぎわいスポーツ文化局(予定) / 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 協賛: 三菱商事都市開発株式会社 / 富士フイルム株式会社 / GoPro合同会社 / 第一生命保険株式会社 / 本田技研工業株式会社 / サミー株式会社 / カシオ計算機株式会社 / プレミアムウォーター株式会社 / 日本たばこ産業株式会社 / レッドブル・ジャパン株式会社 / 学校法人岩崎学園協力: 一般社団法人ARK LEAGUE / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ / 公益財団法人日本バレーボール協会 / 株式会社HANDOFFメディア協力:スカイ A / FINEPLAY
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skate世界最高峰レベルの異次元のコンボトリックの数々が披露された熾烈な一戦【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】in YUSF’242024.11.14「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL'24」が横浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)にて2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間に渡り開催され、本イベント内でスケート・ボード種目の大会として開催された【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】にてWomen’sクラスでは吉沢恋選手が、Men’s Hiクラスで早川竣乃祐選手が優勝した。 2017年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARK LEAGUE」の1つであるスケートボード種目の大会がこの「SKATE ARK」。「ライダーが創るライダーの為の大会」を信念に掲げて毎年アップデートされていることから、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。 パークやバーチカルなど様々なスタイルがあるスケートボード競技だが、そのうち日本人選手が世界のトップレベルで活躍している、街中にあるような階段やレールなど障害物のあるコースで競う「ストリート種目」をSKATE ARKでは実施。2022年と2023年に続き、今回も世界で活躍する国内トップスケーターが出場し終始大盛り上がりの大会となった。 ©︎Jason Halayko /YUSF なお、今回の「SKATE ARK」のセクションは本イベントの会場である赤レンガパークの中でも一番手前の大通り寄りに設置され、来場者ではない一般の通行客からもよく見える最高のロケーションの中で、2日間に渡って終始たくさんの観客に見守れながら大会は進行していった。 以下は、今大会最注目となったWomen’sクラスとMen’s Hiクラス決勝戦の大会リポート。 実力者と若手が入り乱れたMen’s Hiクラスは若手に軍配。実力者たちを抑えた早川竣乃祐が優勝を勝ち取った 今大会の男子カテゴリー最上級クラスとなるMen’s Hiクラスには日本国内から幅広い年齢層のトップライダー19名が参加。前日に行われた予選から熾烈な戦いが行われ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。 そして今回の競技フォーマットはコースレイアウトの関係上、前大会とは異なりソロラン無しのベストトリック合戦となった。予選では7分間のジャムセッション、決勝ではベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める形で1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジされた。 今大会にはパリ五輪日本代表の白井空良をはじめ、「2023 UPRISING TOKYO Supported by Rakuten BEST TRICK WINNER」の濱村大征などベストトリックのレベルの高さが世界的にも評価されている選手が多く出場した。ただ今回は白井が惜しくも先日怪我をした膝の調子が奮わず予選敗退となる一方で、決勝は若手も勝ち上がり名を連ねて実力者と対峙する展開に。決勝は5本中2本のスコアが採用されるフォーマットであることから、最後の最後まで各ライダーが自分たちの持つベストトリックにトライする攻めのライディングを終始見せる観客にとっても見応えのある手に汗握る展開になった。 ベストトリック1本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 5本のチャンスがあるものの、2本目以降でより攻めのトリックにトライするためにもしっかり決めておきたい1本目はほとんどのライダーがスコアをマーク。その中でも8点台のスコアを残して弾みを付けたのは実力者の浦野晴と大場蓮。浦野は「スイッチフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をメイクすると8.2ptをマーク、大場は「ポップショービットフロントサイドフィーブルグラインド180アウト」をメイクし8.3ptをマークして強さを見せる。 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 2人に続く形で7点台をマークして2本目に繋げたのは早川竣乃祐、濱村大征、浦野健隼の3名だ。早川は「ノーリフリップバックサイドボードスライド」を決めると7.7pt、濱村は「ハードフリップバックサイドリップスライド」で7.6pt、浦野晴の兄でトリックマスターとして知られる浦野健隼はハバレッジでの「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」で7.3ptをマークし、早くも熾烈なベストトリック合戦の始まりを予感する1本目となった。 ベストトリック2本目 2本目では早速各ライダーがギアを上げてきたのか、なかなかトリックをメイクできない展開に。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは高石颯来と濱村大征の2名。高石は「キックフリップバックサイトテールスライドフェイキー」をメイクし7.6ptをマーク。彼自身も着地が少しスケッチーだったことからトリックメイクに驚いている様子も見せた。濱村は1本目で浦野健隼がハバレッジでメイクした「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」をレールで決めると7.0ptをマークした。今回のスコア採用は2本だけのためまだこの段階ではまだまだ勝負の行方は分からない状態。 ベストトリック3本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF ほとんどのライダーが1本以上スコアをマークしていることから、まだ残りのチャンスに余裕がある一方で勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目。ただやはりスコアアップするためのトリックメイクには難易度とプレッシャーがあるからか、ここ3本目でも2名を除きほとんどのライダーがミス。一方でしっかり決めて見せたのが、3本連続で着実にメイクしている高石颯来と個性的な渋いトリックをチョイスする大場蓮。高石は「キックフリップバックサイドスミスグラインド」をメイクすると7.4ptをマーク。2本目のスコアを上回ることはできずベストスコアにはならなかったが、1本目の6.4ptを上回りスコアアップには成功。大場は2本目で失敗した「ビックスピンフロントサイドハリケーングラインド」を見事メイクし8.5ptをマーク。自身のスコアを8点台で揃えて暫定1位に躍り出た。 ベストトリック4本目 三星怜生のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 残りトライできる本数が少なくなってきたこの4本目。ここでは実力者も含め多くのライダーが相変わらずトリックメイクに苦戦を強いられている中で、8点台をマークして表彰台の座を大きく引き寄せたのは若手の三星怜生と早川竣乃祐の2名。三星は「フロントサイド360テールスライド」をレールで決めて決勝最高得点の8.9pt、早川は「ノーリーキックフリップバックサイドテールスライド」をハバレッジで決めて8.6ptをマークすると、三星は暫定3位、早川は暫定2位となり残すは自身も含めて各ライダーが5本目でどんなトリックをメイクするのかに委ねられた。 ベストトリック5本目 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF そして迎えたラスト1本。各ライダーがチャレンジし続けてきたベストトリックを決め切る必要があるラストチャンスだったが、惜しくも番狂わせを起こす展開にはならなかった。その中でも終始トリックメイクできず苦しい時間を過ごしていた梅村敏秀が最後に「トレフリップフロントサイド5-0グラインド」をハバレッジでメイク。やっと決め切れたトリックに天を見上げる様子も見せた。 一方で流れを掴んでラストトリックも決めきって見せたのは4本目をメイクした三星と早川。三星は「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」で7.3ptをマークしてスコアアップし暫定3位となった。そして暫定1位の大場を追う展開となった暫定2位の早川はラストトリックとして「ノーリーキックフリップバックサイドリップスライドショービットアウト」を綺麗にレールで決めて8.4ptをマークすると暫定1位に躍り出た。その後の出走となった大場も濱村もトリックを決められなかったことから、最終結果としては早川が優勝。2位に大場、3位に三星となった。その中でも特に早川と三星は若手でこれからが楽しみなライダー。今後彼らがどう日本のトップ勢に食い込んでくるのかが楽しみだ。 将来有望な若手ライダーたち ©︎Yoshio Yoshida /YUSF Women’sクラス決勝に名を連ねたのは世界で活躍するトップスケーターたち。そんなハイレベルな戦いを制したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋 今大会のWomen’sクラスには日本国内のトップライダー12名が参加。前日の予選から熾烈な戦いが繰り広げられ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。競技フォーマットはMen’s Hiクラス同様に決勝はベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジとなった。 そして今大会の決勝には世界大会で活躍するライダーたちが勢揃い。その面々は上村葵、大西七海、石丸葵、丹野莉愛、藤澤虹々可、吉沢恋、織田夢海、松本雪聖といった世界王者経験者から最近急成長の若手まで全日本選手権の決勝ないし世界大会の決勝でも見劣りしないメンバーがここ横浜赤レンガ倉庫の会場で優勝の座を争った。 ベストトリック1本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 男子同様に女子も2本目以降でより攻めのトリックにトライするため、まずしっかり堅実にスコアを残すことを優先するかと思われた1本目だったが、最初から攻める空気感を作り出したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋だった。吉沢は1本目からパリ五輪で金メダルを勝ち取ったハンマートリックの「ビックスピンフリップフロントサイドボードスライド」をメイクすると8.8ptをマークし後続にプレッシャーをかけていく。 織田夢海のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF しかしその流れをしっかり捉えて吉沢のトリックを上回って見せたのは織田夢海。織田は彼女の代名詞的ハンマートリック「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をメイク。今大会唯一の9点台である9.0ptをマークして強さを見せた。 ベストトリック2本目 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 1本目から吉沢と織田が攻めのライディングを見せる中、2本目ではトリックメイクに苦戦するライダーと着実に好スコアを残すライダーが二極化。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは丹野莉愛、織田夢海、松本雪聖の3名。織田は1本目で松本が決めた「キックフリップフロントサイドボードスライド」をメイクし7.3ptをマーク。続く松本は「キックフリップバックサイドリップスライド」を決めると7.9ptをマークしスコアアップししっかり2本ともスコアを残した。 一方で2本のスコアメイクと共に8点台のハイスコアをマークしたのは丹野莉愛。丹野は「270フロントサイドボードスライド」をメイクしガッズポーズを見せた。しっかりスコアも評価され8.8ptをマークすると暫定2位に食い込んできた。 ベストトリック3本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 現在トップは織田、丹野、松本という順番で迎えた中盤戦。終盤に向けて勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目でプレッシャーをも感じさせずに唯一トリックを決めて見せたのがやはりこのライダー吉沢恋。8.7ptをマークするライディングでセカンドハイエストを更新して一気にスコアアップし、暫定2位の織田に1点以上の差をつけて暫定トップにジャンプアップした。 ベストトリック4本目 ライディング後にボードが折れるアクシデントがあった藤澤虹々可 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 3本目で吉沢にリードを許す一方でしっかりトリックを決めてここで追い上げておきたいと思う4本目。しかしここでも相変わらず多くのライダーがトリックメイクに苦戦を強いられた。一方でこの4本目でなんとかトリックをメイクして見せたのは藤澤虹々可。ずっと失敗していた「ポップショービットフロントサイド50-50グラインド」をメイクして8.6ptという好スコアをマーク。あと一本決め切れば表彰台の座も見えてくる中で藤澤にトラブル。トリックの着地でデッキのテール側が折れてしまうアクシデント。スペアのボードもなく誰かのボードを借りることを余儀なくされた。そんなことも起きた展開の中で、最後5本目を残して現在トップは吉沢、織田、丹野の順に。このままで大会を終えるのか、もしくは最後に番狂わせがあるのか。そんな期待も渦巻く中でラストトリックへ。 ベストトリック5本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF もう後が無いラストトリックとなった5本目。多くのライダーが決め切れず辛酸を舐めたこのラストチャンスだったが、暫定3位の丹野が最後に表彰台の座を盤石にするため滑走するもメイクした「フロントサイドフィーブルグラインド」ではスコアアップできずに少し不安が残る展開に。 一方で最後も高得点で締め括ったのがやはり吉沢。ラストトリックでは「ノーズグラインドビックスピンアウト」でメイクして8.3ptをマークした。そして暫定3位の丹野を追う展開となった暫定4位の松本はラストトリックに「キックフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をレールで決めて7.6ptをマークすると0.2pt差で3位にジャンプアップ。最終結果としては吉沢が優勝。2位に織田、3位に松本となった。 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 今回表彰台に上がった3名はベストトリックのレベルの高さに定評があるのはもちろんのことだが、どんな状況でもしっかりスコアを残すことができる実力を持ち合わせているからこそ、世界の大舞台でも結果を残せているということが分かった。また4位となった丹野も松本とはたった0.2pt差。吉沢と織田に比べると若くさらにこれからの成長が楽しみなのがこの丹野と松本だ。日に日に目に見える成長著しいこの女子ストリート種目。今後はトップ勢はもちろんのこと若手にも注目だ。 今後の成長が期待される松本雪聖と丹野莉愛 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Women's Class /ウィメンズクラス>優勝: 吉沢 恋 (ヨシザワ・ココ) / 17.5pt準優勝: 織田 夢海 (オダ・ユメカ) / 16.3pt第3位: 松本 雪聖 (マツモト・イブキ) / 15.5pt4位: 丹野 莉愛 (タンノ・リア) / 15.3pt5位: 藤澤 虹々可 (フジサワ・ナナカ) / 8.6pt6位: 大西 七海 (オオニシ・ナナミ) / 6.2pt7位: 石丸 葵 (イシマル・アオイ) / 3.8pt8位: 上村 葵 (ウエムラ・アオイ) / 0.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Hi Class /メンズハイクラス>優勝: 早川 竣乃祐 (シュンノスケ・ハヤカワ) / 17.0pt準優勝: 大場 蓮 (オオバ・レン) / 16.8pt第3位: 三星 怜生 (ミツボシ・リオ) / 16.2pt4位: 高石 颯来 (タカイシ・ソラ) / 15.0pt5位: 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 14.6pt6位: 梅村 敏秀 (ウメムラ・トシヒデ) / 8.6pt7位: 浦野 晴 (ウラノ・ハル) / 8.2pt8位: 浦野 健隼 (ウラノ・ケント) / 7.3pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Low Class /メンズロークラス>優勝: カミタニ・ユウセイ準優勝: ナトリ・ヤマト第3位: リョウジ・ワカバヤシ 大会概要 ⼤会名称 : 【SKATEARK produced by ARK LEAGUE】 イベント名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL '24 (略称:YUSF’24)開催期間 : 2024年11月9日(土)~10日(日)- 2日間 -※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:横浜赤レンガ倉庫 イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区新港1-1)主催:一般社団法人 ARK LEAGUE協賛: 第一生命グループ / GoPro / 三菱商事都市開発/ Red Bull / G-SHOCK / ムラサキスポーツ
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dance“AIRHEADZ”が世界への挑戦権を獲得!「Freestyle Session JAPAN 2024」2024.11.1320年以上の歴史があるブレイキンシーンを象徴する大会 都市型スポーツとストリートカルチャーの祭典「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2024(以下、YUSF)」が11月9日、10日に横浜赤レンガ倉庫で初開催された。本イベント内のBREAKINGコンテンツとして【Freestyle Session JAPAN 2024】が行われ、AIRHEADZが優勝を飾った。Freestyle Session は、1997年アメリカで始まった世界一のCREWを決める伝説のブレイキンバトルで、20年以上の歴史を誇り、今でもブレイキンシーンを象徴するイベントの一つである。国内では、Bboy Toshio a.k.a. Machanが2002年に日本にFreestyle Sessionを持ち込んだことで日本大会がスタート。今回と同じ横浜赤レンガ倉庫で開催された2022年のYUSFでは、Freestyle Session JAPANの20周年が祝われ表彰などが行われた。近年のYUSF内で行われたFreestyle Session JAPANには、今年パリオリンピックで活躍した日本代表勢も出場。2022年大会では、パリオリンピックで金メダルを獲得したAMIがGOOD FOOTで出場し優勝。昨年の2023年大会では、オリンピック第4位のShigekixがXII After oursで出場して同じく優勝を成し遂げている。現在、世界の第一線で活躍するBBOY・BGIRLも憧れる舞台に今年も多くの挑戦者たちが集まった。 ©AYATO. /YUSF ヤングガンズが台頭した今年の日本大会 過去の大会と比べると、今回はニューフェイスが多く登場し若手世代の活躍が目立った。決勝まで駒を進めたgunbarawはThe Floorriorzのメンバーで小学生のWatoを中心とするチーム。惜しくも決勝で敗れてしまったが、大人顔負けのパワームーブを展開し会場を沸かせていた。優勝したAIRHEADZも10代と20代で構成されるクルーであり、今大会では大躍進を遂げた。予選を勝ち抜きTOP16のトーナメントに進出したクルーの中には、YELLOW SUNSやFOUND NATIONなど、国内の様々なバトルを制し、名を轟かせるBBOY・BGIRLもいたが、そのような実績のあるクルーを破りAIRHEADZが見事、頂点に輝いた。優勝したAIRHEADZには、11月16日からアメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルTOP16の出場枠が与えられる。 ©AYATO. /YUSF AIRHEADZ 優勝コメント 今日1日を振り返ってみてどうでしたか? DoubleNew(以下D):この人数でバトルに出るのも初めてだったし、セッション(Freestyle Session)は狙いにいきたいと思って準備していました。トーナメントの組み合わせ的にも、毎バトル全力を出すしかない状況だったので、いい動きが出来たし、それがこの結果に繋がったと思います。すごく嬉しいです! AIRHEADZらしさは出せましたか? D:僕たちは本当にチーム愛を大事にしているクルーだし、いつも一緒に過ごしている仲間たちです。そこがバトルにも出ていたと思います。 アメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルに向けての意気込みを教えてください D:Freestyle Sessionのワールドファイナルは、夢に見ていた舞台なので、全力を尽くして勝ちにいきたいです。 ©AYATO. /YUSF