「スケートボードってカッコいい!」を体感する。スケーターのためのストリートイベント「Red Bull Mind the Gap」in Shonan

2022.06.30
text by 畠山大樹 / photograph by Jason Halayko / Red Bull Content Pool, Kazuki Murata

「1番クールにギャップを飛び越えることができたライダー」を決めるイベント「Red Bull Mind the Gap」in Shonan が2022年6月21日(火)に神奈川県藤沢市の鵠沼海浜公園スケートパークにて開催された。

「Red Bull Mind the Gap」は世界中で開催されているストリートスケートボードイベント。日本には昨年の2021年に初上陸し今年で2年目となる。この大会フォーマットはジャムセッション方式でルールは極めてシンプル

「カッコよくギャップを飛び越える」。それだけ

photograph by Kazuki Murata

シンプルだからこそ、ライダーたちのメイクスキルとクリエイティブな魅せ方が試されるこのイベント。制限時間内に3人のジャッジがプロの目線でその日ー番クールなトリックとスタイルを披露したベストライダーを優勝者としてピックアップする。

なおこの大会には16歳以上ならアマチュア・プロまで関係なく自由に参加可能。また今までの成績や能力は全く考慮されないフラットな条件の下でとにかく「カッコいいライディング」を魅せたライダーが勝者となるストリートスケートボードの醍醐味がふんだんに盛り込まれたイベントだ。

以下が当日の大会の様子である。

大会の様子

photograph by Jason Halayko / Red Bull Content Pool

時折、雨が降る中で行われた今回の「Red Bull Mind the Gap」in Shonan。会場に用意されたセクションはミニバンクとレールだけ。

「その日一番クールなトリックとスタイルを魅せること」がコンセプトのイベントのため、プラクティスから本戦の全てのライディングを通して「しっかりアピールして大会を盛り上げたもん勝ち」という評価基準がジャッジたちから伝えられた。

ライダーに向けてアナウンスするジャッジの米坂さん photograph by Kazuki Murata

なお今回のジャッジは神奈川県のローカルスケーターなら名を知らない人はいないストリートスケートボード界のレジェンドスケーターの”Chattypong”こと田内 努、米坂淳之介、”DEMI-DOPE”の3名。まさに一番クールなライダーを選ぶのにぴったりなクールなジャッジ陣が揃った。

ライダーのバイブスを上げるDJブース photograph by Kazuki Murata

大会ではDJによる心地よい音楽のフローの中、各ライダーは失敗もかえりみず、時には雨で滑る路面をも活かしたクリエイティブな動きで自分たちの持つ一番クールで高難度のトリックに挑戦。

見事トリックをメイクした時にはライダー同士がハイタッチなどで称えあう一方でジャッジから観客まで全員が一体となり、声を上げて盛り上がる姿も見られた。

ハイレベルなジャムセッションの中、今回Winnerの座を勝ち取ったのは末松蓮

今回優勝した末松蓮 photograph by Kazuki Murata

今回の参加者は総勢31名。開催地の湘南のローカルライダーたちをはじめ、関東エリアや遠方は大阪や愛知からライダーたちが鵠沼海浜公園スケートパークに集まった。

photograph by Jason Halayko / Red Bull Content Pool

予選は3グループに分かれての10分間のジャムセッション。参加ライダー紹介時には挨拶代わりの1トリックを見せる時間も用意され、各ライダーが身体ならしにトリックを披露した。
決勝にはジャッジが様々な角度からこの日イケてると思った10名をピックアップ。その10人による10分間のジャムセッションを通して優勝者とスタイル特別賞が決められる形となった。

スタイル特別賞を獲得した隆男のトリック photograph by Kazuki Murata

今回、スタイル特別賞を獲得したのが隆男。他のライダーが雨で滑る路面に苦戦する中、トレフリップやキックフリップなどを高い確率でメイクし会場を沸かせた。

今回優勝した末松蓮のトリック photograph by Kazuki Murata

そしてこの日「一番クールなライディングをしたライダー」として選ばれ優勝したのが末松蓮。雨にも関わらず普通のコンディションであってもメイクの難しいトリックにチャレンジし見事メイク。
特に決勝最後の一本に雨で濡れたミニバングの傾斜を利用しメイクしたバックサイドノーズスライドはこの日一番の盛り上がりになった。なお今回の優勝により末松は次回大阪で行われる「Red Bull Mind the Gap」にも招待される。

スケートボードコミュニティの真の姿がそこにはあった。

photograph by Kazuki Murata

今回の「Red Bull Mind the Gap」を通して、取材を敢行した我々FINEPLAY編集部として感じたことが大きく2つあった。それは「ローカルの献身的な協力」があってこそ成り立っていて、かつ枠にハマらない「純粋なスケートボードのカッコよさ」を発信しているイベントということだ。

現在、スケートボードはオリンピック種目になり日本人選手たちの活躍も相まって人気が急上昇しているが、元々はカルチャーから生まれたスポーツでもある。

そんな今日のスケートボード業界に成長するまでにスケートボードのカルチャーを守り、発信し続けてきた各地方のローカルスケーターたちの力があるということを忘れたくない。

photograph by Kazuki Murata

今回のイベントの開催地となった鵠沼スケートパークのある湘南エリアも同様だ。海外ではスケートボードで路上を滑ることがカルチャーとして定着しているが、まだまだ湘南エリアを含め国内では周りから冷たい目で見られることも多い。

彼らはそんな環境の中でこのカルチャーを守り続けながらスケートボードシーンを次のレベルに引き上げている。その活動の一つとしてローカルのジャッジ、MC、DJ、スケーターたちのサポートがあり実現したのがこの「Red Bull Mind the Gap」in Shonanなのだ。

スケートボードの魅力が詰まったイベント

photograph by Jason Halayko / Red Bull Content Pool

そしてこのイベントでは「スケートボードのカッコよさと本質的な魅力」を発信している。もちろん、コンペティションとしてのスケートボードもカッコいいのだが、スケートボードのカッコよさというものはそこだけに留まらないということを改めて感じさせてもらった。

今回参加したライダーたちも個性豊かな面々が揃った。中にはコンペティションで結果を残している選手から、ストリートで映像を撮りスケートボードの魅力を発信しているライダーなど人それぞれ。

それゆえもちろんライディングスタイルも異なり、ハイレベルのトリックを複数持つライダー、一方でワントリックを突き詰めているライダーなど多種多様である。

photograph by Jason Halayko / Red Bull Content Pool

ただ、彼らに共通していることは自分たちの個性を活かして「カッコいいスケートボード」を体現し魅せることだ。そんな熱い思いを持つメンバーが揃い、自分たちのベストパフォーマンスを見せ合ったのがこの「Red Bull Mind the Gap」。

そのカッコいいライディングを魅せるために怪我もいとわず何度転倒しても挑戦しメイクする姿。こういった彼らの熱い思いがなければ雨という悪コンディションの中のイベント続行は叶わなかっただろう。そんな空気感だからこそ、雨の中でも世界レベルのトリックがメイクできたりするのだ。

これが本質的な「スケートボードのカッコよさであり魅力」なのではと我々は思う。

最後に

photograph by Kazuki Murata

世間的には近年コンペティションとして注目されるスケートボードだが、その土壌をつくりカルチャーを紡いできたのはこのストリートシーン以外の何でもないと思う。そんなシーンを支えているローカルのスケートボードコミュニティにリスペクトを表し、また次回の「Red Bull Mind the Gap」の開催を楽しみにしたい。

イベント概要

イベント名: Red Bull Mind the Gap Shonan
会場:鵠沼海浜公園スケートパーク
日程: 2022年6月21日(火)

執筆者について
FINEPLAY編集部
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