【北京五輪2022スノーボード】血液がんを克服し金メダル。スロープスタイル種目男子はマックス・パロットが優勝

2022.02.08
text by 畠山大樹 Photo by Clive Rose/Getty Images

2022年2月5日~2月7日にかけて、北京五輪のスノーボード競技・スロープスタイルがゲンティン・スノーボードパーク(雲頂滑雪度假村)で行われ、男子はカナダ代表のマックス・パロット(27)、女子はニュージーランド代表のゾイ・サドウスキー=シノット(20)が金メダルを獲得した。

また決勝では日本代表選手から、女子では岩渕麗楽(20)が5位、村瀬心椛(17)が10位男子は濵田海人(22)が8位大塚健(20)が10位という結果となった。

以下、決勝ランについての大会リポート。

大会リポート

日本代表選手として女子は鬼塚雅、村瀬心椛、岩渕麗楽の3名。男子は大塚健、國武大晃、濵田海人、飛田流輝の4名が今大会に出場。予選上位12位までが決勝進出となるフォーマットの中、女子は村瀬が2位、岩渕が11位で予選通過。一方、男子は大塚健が6位、濵田海人が12位で決勝へ駒を進めた。

なお決勝では「ラン」3本のうちの1本のベストスコアによって順位が競われる形であるため、常に暫定順位が目まぐるしく入れ替わり最終ランが終わるまで結果が分からない熾烈な試合展開となった。

男子決勝では、マックス・パロット(カナダ)が90.96点で優勝蘇翊鳴(中国)が88.70点で準優勝マーク・マクモリス(カナダ)が88.53点で3位。日本の濵田が59.36点で8位、大塚が52.80点で10位となった。

今回、男子で唯一90点台を叩き出し優勝したマックス・パロットは前回の平昌五輪後の同年2018年の12月にホジキンリンパ腫という血液がんを患い、半年間ほどの療養期間を余儀なくされるも無事回復し2019年から競技復帰。復帰後は各主要大会でも結果を残し、今回この北京五輪という大舞台で悲願の金メダルを獲得した。

濵田はラン1・2本目ではスキューと呼ばれる曲がったキッカーでのトリックの着地で転倒し、得点を伸ばせずにいたがラン3本目では見事完走。前半ジブセクションでのアイテムを多く使う独創性の高いライディングに合わせて、後半のキッカーでは回転数を上げたトリックを連発。最後のキッカーで4回転半の「スイッチバックサイド1620」をメイクし得点を伸ばすも手をつくなど小さなミスが響き59.36点で全体では8位の結果となった。

大塚は全てのランを通して、メダル獲得を狙った滑りで「トリプルコーク1440」を始め高難度トリックをメイクし攻めのライディングを魅せるも最後のキッカーでの「キャブトリプルコーク1620」を決め切れず転倒し得点を伸ばせず惜しくも10位という結果となった。

女子決勝では、ゾイ・サドウスキー=シノット(ニュージーランド)が92.88点で優勝、ジュリア・マリーノ(アメリカ)が87.68点で準優勝、テス・コーディ(オーストラリア)が84.15点で3位。日本の岩渕が80.03点で5位、村瀬が49.05点で10位という結果で終えた。

ゾイ・サドウスキー=シノットは今回の成績によりニュージーランド史上初となる冬季金メダル獲得という快挙を成し遂げた。その成績にふさわしい女子唯一の90点台をマークし自身の快挙に華を添える形となった。

岩渕は最初のラン2本を通して「ダブルアンダーフリップ 900」、「キャブ900」、「1080」を見事にメイクするなど調子を上げ、決勝3本目を残し暫定4位。メダル獲得をかけて臨んだ最後のランは、各セクションで高難度のトリックや独創性の高いライディングでまとめていくも最後のキッカーでトライした「バックサイドダブルコーク1080」はスピードが足らず惜しくも転倒。ラン2本目の80.03点をベストスコアとし決勝5位という結果となった。

予選2位通過でメダル獲得が期待された村瀬はラン3本ともにメダル獲得圏内のライディングを目指し、今大会他選手が誰も挑戦していない「バックサイド1260」にトライするも着地で転倒するなどとランをまとめきれず、攻めのライディングを魅せるものの得点を伸ばせずベストスコアを49.05点とし今大会を終えた。

本スロープスタイル種目に出場したほとんどの日本人選手は2月14日・15日で開催されるビックエア種目に出場が決まっている、そちらでの彼らの活躍にも注目だ。

大会結果

<男⼦>
優勝  マックス・パロット(カナダ)/90.96pt
準優勝 蘇 翊鳴(中国)/88.70pt
3位 マーク・マクモリス(カナダ)/88.53pt 
4位 レドモンド・ジェラルド(アメリカ)/83.25pt 
5位 エミリアノ・ ラウツィ(イタリア)/80.01pt 
6位 クリス・コーニング(アメリカ)/65.11pt 
7位 モンス・ローランド(ノルウェー)/63.33pt 
8位 濵田 海人(ハマダ・カイト)/59.36pt 
9位 セバスチャン・トゥータン(カナダ)/54.00p
10位 大塚 健(オオツカ・タケル)/52.80pt
11位 ストーレ・サンドベック(ノルウェー)/39.66pt
12位 ショーン・フィッツサイモンズ(アメリカ)/29.61pt

<⼥⼦>
優勝  ゾイ・サドウスキー=シノット(ニュージーランド)/92.88pt
準優勝 ジュリア・マリーノ(アメリカ)/87.68pt
3位 テス・コーディ(オーストラリア)/84.15pt
4位 ローリー・ブルーイン(カナダ)/81.41pt
5位 岩渕 麗楽(イワブチ・レイラ)/80.03pt
6位 アンナ・ガッサー(オーストリア)/75.33pt
7位 エンニ・ルカヤルビ(フィンランド)/71.45pt
8位 アニカ・モルガン(ドイツ)/64.13pt 
9位 ジェイミー・アンダーソン(アメリカ)/60.78pt
10位 村瀬 心椛(ムラセ・ココモ)/49.05pt
11位 ヘイリー・ラングランド(アメリカ)/48.35pt
12位 アリアネ・ブーリ(スイス)/24.01pt

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