「スノーボーダーとして自分たちが恩恵を受けている自然に少しでも恩返しがしたい」この言葉がとても印象的だった。
自然をフィールドに活動しているスノーボーダーが自然の恩恵を受けると共に肌で感じたのは気候変動や自然環境の変化。そのような自然を自らの手で守りたいという思いから環境保全のため「自伐型林業」で持続可能な森づくりに取り組み、「表現者×自伐型林業」というライフスタイルで山を利活用し、自然と共生した多様な生き方を体現しているスノーボーダーや様々なジャンルの表現者により構成された団体がある。
今回は現役スノーボーダーでありながら林業をメインに活動しているDIVERSE LINES CLUBにて代表を務める天野紗智(あまの・さち)さんと同団体でフォレストマネジャーを務める高橋龍正(たかはし・りゅうせい)さんのお二人にインタビューを敢行。自身のスノーボーダーとしての活動、林業を始めたきっかけ、そして今後のDIVERSE LINES CLUBの展望などを聞いた。
スノーボードが見せ続けてくれる新しい世界
初めにお二方のスノーボードとの出会いを聞かせてください。
高橋龍正さん(以下:T):僕が生まれてすぐに父親がスノーボードを始めたため、家族の影響で3歳からスノーボードを始めました。本当に小さい頃から始めたので物心がつく頃には既に滑れていました。毎週のように家族みんなでスノーボードをするようになり、うまくなっていくうちに僕自身本格的に競技として取り組むようになりました。
天野紗智さん(以下:A):私は元々バスケットボールをしていてインターハイやインカレに出場していたアスリートでした。スノーボードは19歳の頃に始めたのですが、ずっとチームスポーツをやってきた私はスノーボードの勝ち負けだけではない、自分のスタイルを「表現する」楽しさを知ってどんどんのめり込んでいきました。
アスリートとしてはどんな経歴をお持ちでしょうか?
T:僕は幼少期から競技をしていたので大会にもたくさん参戦してきました。中学生の頃にプロ資格を取得して何度か全日本選手権優勝も経験しました。18歳の頃には日本代表としてワールドカップも転戦しましたが一年くらい大会を周ってみて、人と競うことはあまり自分には向いてないと感じたので、ビデオ撮影などの作品作りに転向し被写体のライダーとして活動するようになりました。
転向後もいくつかの大会には出場し、2016年に中国の北京であったBeijing summer rail jamが3位、2015年に東京の六本木であったBurton rail daysで日本人最高位の6位になりました。現在はメーカーの広告塔として撮影したり、自分の滑りを表現するために、色々なビデオクルーのメンバーと精力的に作品作りを行っています。
A:スノーボードの「表現」する部分に惹かれて始めたこともあり、うまくなればなるほど、大会で勝ちたいというよりも自分の滑りを映像で表現してみたいと思うようになっていきました。そこからライダーがたくさん出るような大会でリザルトを残したり、色々な人に滑りを見てもらえるようになって、ライダーになるチャンスが巡ってきたことで映像で表現できる機会が増えていきました。
大会での優勝経験が何度かあるくらいで目立った経歴というものは特にありませんが、ライダーとして自分のかっこいいと思うスタイルを表現し、スノーボードの魅力を発信し続けています。
アスリートとして活動してきたからこそ経験できたことはありますか?
T:小学生から20歳くらいまで大会転戦のため冬はほとんど海外にいるような生活をしていたので、世界中色々な国に行って現地でたくさんの友達ができた経験は自分の世界を広げてくれたのでスノーボードを通して得られた貴重な経験です。
また競技を辞めてからもスノーボードを続けていく中で、撮影ライダーとして自分にできることの幅が広がり、スキー場のような決められた場所だけではなく、自分が滑りたかったポテンシャルのある山にも行けるようになりました。競技をしていた頃には見られなかった新しい世界を体験できるようになったので、スノーボードを通じてそういった世界を渡り歩けていることはすごい経験で財産だと感じています。
A:私もスノーボードをしていたおかげで、スノーボードをするためにカナダにワーホリに行くという目的ができて、長期間海外に住むという経験ができました。スノーボードが私を突き動かして新しい世界を見せてくれたことで視野が広がったので、スノーボードをやって本当に良かったです。
また、海外で1年通して充実した生活を送ることができたことで、日本に帰ってきてから冬しかできないスノーボードと仕事をどう組み合わせて向き合っていくかなど、自分の将来について考えるきっかけにもなりました。
昨今のスノーボード業界では、ライダーたちは冬にスノーボードをするため夏場はがっつり働く形が主流なのでしょうか?
A:日本代表やトップクラスの選手は別ですが、ほとんどのライダーは夏場に活動費用を稼いで冬に一所懸命スノーボードをするというサイクルで毎年活動しています。もちろんそのサイクルが一年間通して自分の満足できるライフスタイルとして送れている方は問題ないと思います。でも私に関してはやりたい仕事ができていた訳ではなかったので「どうしたら山の近くでスノーボードも遊びも仕事も境界線無く生活できるのかな?」とずっと考えていました。
スノーボードも仕事も両立できる生活がしたい
スノーボーダーとして活動しながら林業に関わろうと思ったきっかけを聞かせてください。
A:まず山に近い生活がしたいと思い立って、長野県に引っ越して雪山と東京の二拠点生活を始めました。長野県を選んだ理由も東京からそこまで遠くないことから、都内で仕事があっても行き来しやすいだろうという軽い気持ちからでした。
こっちで暮らし始めてからしばらく経った時に知り合いの方から「林業だったらスノーボードをする自由な時間を作りながら暮らせるんじゃない?」というアドバイスをもらったので、まず林業の研修を受けたことが林業に興味を持ち始めたきっかけです。
T:(天野さんと)一緒に会社を立ち上げたので林業に興味を持ち始めたきっかけはほぼ同じですが、僕自身は東京から長野に22-23歳の頃に引っ越してきました。それからここ長野で歳を重ねていくうちにスノーボードを続けながら他のこともやりたいと思うようになりました。現実的にスノーボードだけで食べていくこともずっとできるわけではないと分かっていたので、じゃあ何をしようと考えた時に林業が選択肢にありました。
林業が良いと思った理由は、僕の勝手な想像ではあったのですが、季節に左右されない自由が利く業種なんじゃないかと思っていたからです。そのような自由な部分がスノーボードとマッチしていて、冬はスノーボードしながら時間がある時に林業できるのではと思って始めることにしました。実際に林業をやってみるとすべてが思い通りになるわけではありませんが、自分の時間を自分で作ることができるので、冬はスノーボードに向き合うことができています。根本的に山が好きなので自分に向いている仕事だと思っています。
注目したのは自伐型林業。スノーボードとの共通点は「表現」すること
DIVERSE LINES CLUBを立ち上げて、最初はどのように林業に携わり始めたのでしょうか?
A:2018年に団体を立ち上げたのですが、自分たちで山を持っているわけでは無いのでどうやって始めるかは凄く悩みました。立ち上げ当初は地元の農家さんを手伝ったり、色々なバイトを掛け持ちしたりしながら活動していました。その中で「これから林業で地域の森を守る活動をやっていきたい」という思いを色んな人に話していたら、地域の農家の方が「うちで持っている山があるからそこでやってみないか?」と言ってもらい林業をスタートすることができました。
林業のやりがいを聞かせてください。
A:森を管理していく中で森をどう活用したら面白いのか、また伐採した木を地域の方やおもしろいアイデアを持つ方にどういう風に使ってもらえるかを考えていくとすごく夢が広がります。木をただ売るだけではなく「表現」するために活用できる。そういったことを自分たちで発信できることが楽しいです。
また、何より自然が大好きなので一年を通して森や自然に囲まれて活動することで、仕事と暮らしと遊びの境界線が少ない環境で生活できていることが心地良いです。
T:僕は基本的に現場に出て活動する立場なので、四季を通して寒い日も気持ちいい日も肌で感じながら山の成長を見られることが楽しいです。林業の専門的な話になりますが、林業にも施業方法がいくつかあって一般的に知られている林業は50年くらいのスパンで木を全部切って新しい木を植え直す「皆伐林業」というスタイルになります。
でも僕たちがやっているのは「自伐型林業」という山の中の不必要な木を「間伐」という方法で取り除き、良い木だけを山に残してあげる作業を定期的に繰り返していくスタイルです。一つの山を長い年月ましてや一生かけて面倒見ていくような林業なので、少しずつ山をより良くしていくことにとてもやりがいを感じます。
A:私たちはスノーボードというスポーツで山や自然の恩恵を常に受けているので、自分たちの仕事を通して少しでも自然に恩返ししたいという思いもあります。そういう意味では自分たちが管理する山の状態が長い年月をかけて良くなっていく様子を見られることはとてもこの仕事のやりがいを感じる瞬間です。
やりがいが多い仕事である一方で林業業界の現実的な課題はありますか?
T:実は日本は戦前にしっかり山に木が植えられたこともあって、今では木が大きくてすごく良い山がたくさんあります。でも産業が発展していく中で林業が衰退した様々な歴史的背景もあり、日本の山はたくさんポテンシャルがあるのに活かしきれていないのが現状です。
A:私たちは山主さんの代わりに管理が行き届いていない山の手入れをする活動をしていますが、そのような山が増えている一方で林業者はどんどん減っている現状がある中、山の手入れをすることの大切さをみんなが認知しているわけではないので、なかなか管理を任せてもらえないという課題はあります。私たちとしてはもっとたくさんの山を手入れして良い森を増やしていきたいですが、この思いをみんなに知ってもらうことが難しくてもどかしい部分です。
T:僕たちがやっている自伐型林業に関しても、まだ認知が広がっておらず必要性を感じられている方が少ないので、団体として林業者を増やすための研修会を開いたり、地域の方に自伐型林業のことや山の管理の大切さを知ってもらうために、地域のイベントで「木こり体験」としてノコギリで丸太を切って創作するワークショップも開催しています。このような活動を通してもっとたくさんの人に森を管理する大切さを知ってもらいたいと思っています。
A:また林業者を増やす活動をしている理由は、今地域に私たちのような活動をしている人がほとんどいない現状に加えて、移住者や移住希望者、アスリートでありながら自由に活動したい人たちから「自然と共に暮らしながら仕事をしたい」という声が上がっているからです。
ただ彼らが私たちのように林業を始めるきっかけがほとんど無いので、自ら研修会を開催して仲間を増やしていければ、持続可能な森が増え、自治体や地域の方にも声が届きやすくなるのではと思って精力的に普及活動をしています。
アスリートとしての経験が林業という新たなチャレンジを支えた
今までスノーボーダーとして活動してきた中で「林業」という新たなキャリアへ踏み出すことへのチャレンジはありましたか?
A:林業であれば自由な時間が作れてスノーボードと両立できるのではないかと思って始めましたが、本当に林業で生活していけるのかや事業資金面での不安がすごくありました。でも実際にやってみたら地域の人の理解や応援してくれる人たちの存在があったり、国の助成事業に採択してもらえたりと大きなチャレンジでしたがやってみることで道が拓けていきました。
T:林業はやはり最初の設備投資が個人レベルでできるものではないので、ゼロから始めた僕たちには参入障壁が高く難しかったのですが、管理する山が一つ決まってからはなんとか事業計画や予算をまとめて実際に形にすることができて僕にとってもすごいチャレンジングな経験でした。
また林業は毎日同じ作業のようで全く違うので、日々トライアンドエラーを繰り返しながら前進しています。自然相手の仕事なので怪我などの危険と常に隣り合わせですが、最悪な状況にならないようにセーブしながら作業することもチャレンジングです。現状幸い無事故で活動できているので今後も気を付けてやっていきたいと思います。
スノーボーダーとしての経験が林業に活かされている点もありますか?
A:はい。スノーボーダーとしての活動の中で自分を表現してアピールすることはずっとやってきたことなので、林業でも同じようにやっているだけです。例えば、私は「こんな滑りで魅せます」というのと同じで、林業でも「こんないい森にします」ということをアピールして、活動を広げていくことはスノーボードも林業も一緒だと思います。
また、ただ林業をするというわけでは無く、「アスリートのセカンドキャリア問題の解決を目指す」という活動にも共感して応援してもらったり、スポンサーのような形でサポートしてもらえています。
「林業はかっこいい」を伝えたい
お二方の林業への思いを聞かせてください。
T:自伐型林業の間伐する木を見極めて選木し、良い山を作り上げていくことには美学が詰まっていて、そういったこだわりはスノーボードと通じるものがあると感じています。そのような点からも林業はかっこいいものだと僕は思っているのですが、業界は高齢化が進み、まだアナログな体制でやっているところがほとんどなのでその魅力が伝わっていないんです。
そこで表現者として活動している自分たちが「林業はかっこいい」ということを発信していくことで色々な人が林業に興味を持ち、自分たちのようなライフスタイルをしてみたいと思ってもらえるようにしたいです。
A:スノーボードを含めストリートのスポーツって大体最初はかっこいいからという理由で始めると思うんです。それと一緒で自分たちの活動を通して林業がかっこいいと思ってもらえて、憧れの仕事やライフスタイルになれば嬉しいです。ディバースラインではスノーボードと林業の活動、そしてライフスタイルを合わせた映像も発信しているので、今後も続けていきたいと思っています。
今後どのような活動を考えられているのか聞かせてください。
T:ディバースラインはまだこれからの団体なのでまずは林業の活動の幅を広げ、たくさんの山を管理していきたいと思っています。でも自分たちだけでは限界があるのでもっと周りを巻き込んで仲間も増やしていきたいです。近くの地域に僕たちのような団体が増えていくことで自治体や行政にも声が届きやすくなると思うので、そのためにも今後も積極的に講習会や研修会は開催していきます。
あと僕はやっぱりスノーボーダーなので、個人的には雪山に山小屋を作って泊まれるようにして、次の日の山を滑る生活もしてみたいですね。現実的な山の利活用案としてはマウンテンバイクコースやトレイルランコース、キャンプ場を作るようなことは今後やっていきたいと考えています。
A:私もそのような山の利活用をしたいと思ったのはスノーボードがきっかけでした。特に私がワーホリで訪れたカナダのウィスラーで経験したスノーボードをしながら仕事をして暮らすというライフスタイルは、私の好奇心や探求心を満たしてくれて、日本に帰っても同じような環境作りがしたいという思いにさせてくれました。どこまでできるかは分かりませんがスノーボードと仕事と遊びに境界線がない生活ができたら最高です。
そして林業を通して貢献したいことは、環境保全やセカンドキャリア・デュアルキャリア構築、地域活性化などたくさんありますが、林業と山の利活用をしながら、原点である自然と共に生活したり仕事したりすることの楽しさや豊かさを伝えるということをし続けていきたいです。
セカンドキャリアを考えるアスリートたちに伝えたいこと
自身の経験から現役のアスリートたちへのアドバイスや伝えたいことはありますか?
A:スノーボードでライダーを目指し始めたときから、自分なりに精一杯頑張ったことで、撮影の機会を作ることができたり、海外で滑りたいという次の目標が見えてきました。いつも目の前のことに一生懸命チャレンジしてきたからレベルアップができて今があると思っています。
そのような経験から私が言えることは、目の前の目標に対して全力でチャレンジしてほしいということです。そして目の前のことをやり切った先にある次のステージでも全力でチャレンジする。このようなチャレンジを繰り返していくことで自分が本当にしたいことや目指したいところが見えてくると思います。
T:素直に自分と向き合ってシンプルに好きだと思った環境に飛び込めば良いのかなと思います。仕事にしてもスポーツにしても自分に合うものをやることが一番良いと思っているので、自分としっかり向き合って自分の好きなものを見つけてあげると自ずと自分の行きたい道へ段階を踏んで導いてくれると思います。
セカンドキャリアないしデュアルキャリアを歩む先輩として今後どんなアスリートたちが増えて欲しいですか?
T:最近思うことですが、今の時代一つのことだけに固執する必要はないのではと感じています。もちろん一つのことを続けて極めていくことにも大きな価値があると思っています。でも別にそれ一つだけではなくもう一つやもう二つ付随するものを生活に取り入れることは自分の選択肢を広げてくれると思っているので僕はオススメしたいです。
A:私は自分のやっていることにこだわりを持って欲しいと思っています。どうしてもアスリートは勝ち負けで判断されてしまいますが、自分にしかないスタイルにこだわりを持ち続けていれば、そのかっこよさを認めてもらえたり、そこから別の何かが生まれてくる可能性もあり次のステージでも活かせると思います。自分の信じた道を進み、たくさん新しい世界を見て欲しいです。
一般社団法人ディバースライン(DIVERSE LINES CLUB)について
2018年12月設立。DIVERSE LINES CLUBは表現フィールドである自然を自らの手で守りたいという思いから環境保全に繋がる具体的な方法として「自伐型林業」による長伐期多間伐施業で持続可能な森づくりに取り組んでいる。「表現者×自伐型林業」というライフスタイルで自然を守りながら多様な生き方を体現している。
スローガンは「OUR LINES CREATE A CULTURE」。自分たちが描くラインが新たなカルチャーを作り上げていくことを願ってDIVERSE LINES CLUBと名付けられた。
天野紗智プロフィール
秋田県出身のスノーボーダー。3歳からスキーを始め、19歳でスノーボードに転向。スノーボードを始めて間もなくカナダ・ウィスラーを訪れ壮大なビッグマウンテンで繰り広げられる世界レベルのスノーボードに心動かされ、自分自身も人の心を動かすライダーを目指すようになる。法人立ち上げ翌年の2019年にはスノーボード、自然に対する考え方、森林の活用などをさらに深く知るために再度カナダへ渡る。そして、2020年帰国後ディバースラインの代表として本格的に始動。活動フィールドである自然を守る取り組みとアスリート活動を並行し「環境・人・社会」を豊かにするライフスタイルを目指している。
高橋龍正プロフィール
新潟県出身のスノーボーダー。親の影響で3歳からスノーボードを始める。中学・高校と世界を目指しスロープスタイル日本代表としてワールドカップを転戦。その後Burton rail days 6位、Beijing summer rail jam 3位など国内外の大会で活躍。近年はBurtonライダーとしてビデオ撮影を精力的に行い、ストリートからバックカントリーまで独自性の強いライディングでオールラウンドにこなし国内外のビデオクルーと共に数々の作品に出演している。そしてディバースラインでは取り組みの1つである自伐型林業のリーダーを担い、持続可能な森林を作ることで自分たちの活動フィールドを守り「環境・人・社会」を豊かにするライフスタイルの構築を目指している。
また現在はVECFOOTというスノーボードクルーと映像プロジェクトに取り組んでいる。
VECFOOTとは
浅間の麓で「スノーボード」「クライミング」「マウンテンニアリング」「アート」など、 様々なカルチャーに小さい頃から触れてきた僕らは、気づけば大人になっても深みを探求していた。 自然の中で培った経験と技術と知識を持ち寄り、探求し、記録し、表現していく。
Starring:
Ikumi Imai, Ryusei Takahashi, Kurumi Imai, Isagi Funayama
Film:
Yasuaki Yamagata, Kosuke Kobayashi
Edit:
Kosuke Kobayashi
Design:
Arata Funayama
Support:
BURTON, QUIKSILVER, DRAGON, NIDECKER, FW, ANON, YONEX, HERENESS
SPECIAL EDITION
FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。
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CLASSには若手からベテランまで国内のトップライダー18名が参加。なお今回の決勝の競技フォーマットは、本来「60秒間のソロラン2本」+「35秒間でのベストトリック5本」の合計7本のうち、上位スコア3本の合計得点により順位を決める形となる予定だったが、雨天になる可能性を鑑み、16分~20分間のジャムセッションの中で最大35秒間のベストトリックをメイクして時間内に成功した最高スコアの「ベストトリック2本を採用する最高20点満点」でジャッジされた。 今大会の戦いの焦点は高難度トリックを着実に時間内に決めること。ランがなくベストトリックだけであるため、ライディング中の転倒や足をつく動作、時間内にルーティンを終えられないと0点になってしまいスコアが付かない。とはいえ守りのトリックをすればスコアは伸びないという昨今の各大会とは大きく異なる難しさがライダーたちを悩ませた。 実際、ライダーたちは攻めのライディングを余儀なくされた中でのプレッシャーもありミスを連発。最後の最後まで誰が優勝するのか分からない試合展開に選手と観客ともに目が離せない状態が続いた。一方では普段ではなかなか見られない超高難度トリックも飛び出すなど日本のBMXフラットランドのレベルを大きく引き上げる一戦となった。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF そんな緊張感のある戦いを見事制したのは片桐悠。ベストトリックでは1本目から彼のオリジナルでもある「フルバイクフリップ」からの「バイクジャグリング」を決めてまず1本収めてくる。2本目ではバイクをお腹側にしてペダル軸での加速からバイクを半回転させてバイクを切り返していくルーティンをメイク。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 既に2本を決めている彼は3本目では同じく彼のオリジナルでもある「舞空術」の回転数を増やして逆サイドにスイッチするルーティンにトライするもミス。その後4本目、5本目最後でミスが続くも見事6本目でメイクした。その後はずっとミスが続きラスト1本までバックワーズからバイクを縦に跨ぐルーティンは失敗となった。しかしここまでに決め切った3本から2本が選ばれその高難度トリックの数々が評価を受けて合計18.1ptとし見事優勝を収めて2連覇を達成した。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝はARK LEAGUEのオーガナイザーでもある内野洋平。長年大会を支える一方で、このFLATARKを含め数えきれないほど様々な大会で優勝経験を持つ現役プロライダー。BMXフラットランド界を新たなステージに引き上げ続ける彼は、今大会でも最高難度のトリックにトライ。1本目、2本目ではミスがあった「バックワーズマニュアル to バイクフリップ」からのもう一度バイクフリップで締める彼のオリジナルルーティンをしっかりメイク。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF その流れのままバイクを背中向きに背負って進む「バックワーズツーフット」からのバイクの切り返しをメイクして2本目のスコアをまとめる。その後は1本失敗するも 「アップサイドのマニュアル to バイクフリップ」を加えたルーティンをメイクした。終盤戦はどのライダーもトリックをメイクできない時間が続く中、残り3分あたりで「バックスピン」からの難しいバイクの切り返すルーティンをメイク。最後は自身の代名詞トリック「ウッチースピン」も加えた長いスピントリックのルーティンにトライするも最後の最後で足をつくミス。しかし結果としてはそこまでの高難度かつオリジナリティのあるベストトリックの数々が評価されて合計17.8ptで2位となった。 田圓尚人のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位は2022年の「FLATARK」in YUSFで王者に輝いた田圓尚人。前半ではなかなか決めきることができず苦戦を強いられたが、残り時間5分の時点でリアトリックの体勢から「バイクフリップ to バックスピン to バイクフリップ」のコンボをメイクしていき気合いの1本目を決めきる。その後、2本目をメイクするのに苦戦を強いられるも残り2分のところではバイクをアップサイドに捉えながら片足をペダル軸に置きバックワーズからの自身のオリジナルトリックであるハンドルを握りながらバイクを足元で回す「気円斬」をメイク。意地の2本目を決めると最終的にこの2本が高評価を受けて合計点を17.0ptとして3位入賞を決めた。 WOMEN’S CLASSはネクストレベルのライディングが披露される接戦に。わずか0.2pt差の厳しい戦いを制したのは昨年大会王者の鈴木仁菜 一方で、唯一の女子カテゴリーとなったWOMEN’S CLASSにも国内外を股にかけて大活躍する女子のトップライダー10名が参加し、決勝1本勝負にて優勝争いが行われた。 なお今回のWOMEN'S CLASS決勝の競技フォーマットは、120秒間のソロラン1本にて最高30点満点でジャッジされた。「FLAT ARK」としては前回の甲子園大会から30秒延長となるこのフォーマットが導入されたのだが、今までに比べるとライディング時間が長くなるため自分の見せたいトリックを多く入れ込むことができる一方で体力勝負にもなることが予想された。 その中でも特に接戦となったのは鈴木仁菜と本村果鈴の戦い。昨年のYUSF’23で優勝した鈴木と前回の甲子園大会の優勝者の本村、どっちが勝つのか気になる今回を制したのは鈴木仁菜。 鈴木仁菜のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 今年のワールドカップでは負けなしの世界的にもその実力が評価されている鈴木は、所々でミスは見られたもののリアトリックの姿勢から、スカッフなしで「ツーフット」に移り「バックスピン」に切り替えたり、手足のポジションを入れ替えたり、難しい姿勢からバイクを回転させて切り返したりと目まぐるしく難しいバランスをとりながら行うトリックルーティンに盛り込んだライディングを見せて24.6ptと最高得点をマークし優勝を収めて2連覇を達成した。 本村果鈴のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝は鈴木にわずか0.2ptという僅差に迫った本村果鈴。スピン系のトリックを得意とする彼女は、リアトリックからフロントトリックに上手くスイッチしながら手足のポジション入れ替えたりとバリエーションの多いライディングを見せる。その後もルーティンの中にフロントトリックを軸にする中でスピンしながら「ウィップラッシュ」を入れたりハンドルを回したりとスムーズかつハイレベルなトリックを披露していく。終盤では左足をペダルに置いて片足での「ノーズマニュアル」から「ウィップラッシュ」に繋ぎ「バックスピン」という流れでルーティンを続けようとするも最後までメイクできずにランを終えると合計得点を24.4ptとして、惜しくも鈴木には届かず2位となった。 高橋七衣のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位はBMXフラットランド強豪である佐賀出身の弱冠13歳の高橋七衣。フロントタイヤを軸にしたトリックを中心にランを展開。1本目、2本目と上手くバランスを取りながらでのフロントトリックの 「ツーフット」からの「トランスファー」など丁寧にトリックを決めていくと、ラスト1本では途中から決められず苦戦していた「サイドヤード」の姿勢からリアへの「トランスファーからのバックスピン」をしっかり決めきった。このルーティンが高評価を受けたか合計点を23.5ptとして3位入賞を収めた。 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <OPEN CLASS >優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 18.1pt準優勝: 内野 洋平 (ウチノ・ヨウヘイ) / 17.8pt第3位: 田圓 尚人 (タマル・ナオト) / 17.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <WOMEN’S CLASS>優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 24.6pt準優勝: 本村 果鈴 (ホンムラ・カリン) / 24.4pt第3位: 高橋 七衣 (タカハシ・ナナエ) / 23.5pt ©︎Jason Halayko /YUSF <EXPERT CLASS>優勝: カナモト コタロウ準優勝: フジイ トハ第3位: イケダ コウタ ©︎Jason Halayko /YUSF <NOVICE CLASS>優勝: サトウ ライ準優勝: カネコ ジロウ第3位: コタベ コウイチ 大会概要 ⼤会名称 : 【FLATARK produced by ARK LEAGUE】イベント名称 : YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 (略称 YUSF ʼ24)会場:横 浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)日程・時間: 2024年11月9 日(土)・11月10日(日) 【YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24】主催: YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 実行委員会 (株式会社横浜赤レンガ / 明治商工株式会社 / 株式会社ローソンエンタテインメント / 株式会社ゼータ) 共催: 横浜市にぎわいスポーツ文化局(予定) / 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 協賛: 三菱商事都市開発株式会社 / 富士フイルム株式会社 / GoPro合同会社 / 第一生命保険株式会社 / 本田技研工業株式会社 / サミー株式会社 / カシオ計算機株式会社 / プレミアムウォーター株式会社 / 日本たばこ産業株式会社 / レッドブル・ジャパン株式会社 / 学校法人岩崎学園協力: 一般社団法人ARK LEAGUE / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ / 公益財団法人日本バレーボール協会 / 株式会社HANDOFFメディア協力:スカイ A / FINEPLAY
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skate世界最高峰レベルの異次元のコンボトリックの数々が披露された熾烈な一戦【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】in YUSF’242024.11.14「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL'24」が横浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)にて2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間に渡り開催され、本イベント内でスケート・ボード種目の大会として開催された【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】にてWomen’sクラスでは吉沢恋選手が、Men’s Hiクラスで早川竣乃祐選手が優勝した。 2017年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARK LEAGUE」の1つであるスケートボード種目の大会がこの「SKATE ARK」。「ライダーが創るライダーの為の大会」を信念に掲げて毎年アップデートされていることから、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。 パークやバーチカルなど様々なスタイルがあるスケートボード競技だが、そのうち日本人選手が世界のトップレベルで活躍している、街中にあるような階段やレールなど障害物のあるコースで競う「ストリート種目」をSKATE ARKでは実施。2022年と2023年に続き、今回も世界で活躍する国内トップスケーターが出場し終始大盛り上がりの大会となった。 ©︎Jason Halayko /YUSF なお、今回の「SKATE ARK」のセクションは本イベントの会場である赤レンガパークの中でも一番手前の大通り寄りに設置され、来場者ではない一般の通行客からもよく見える最高のロケーションの中で、2日間に渡って終始たくさんの観客に見守れながら大会は進行していった。 以下は、今大会最注目となったWomen’sクラスとMen’s Hiクラス決勝戦の大会リポート。 実力者と若手が入り乱れたMen’s Hiクラスは若手に軍配。実力者たちを抑えた早川竣乃祐が優勝を勝ち取った 今大会の男子カテゴリー最上級クラスとなるMen’s Hiクラスには日本国内から幅広い年齢層のトップライダー19名が参加。前日に行われた予選から熾烈な戦いが行われ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。 そして今回の競技フォーマットはコースレイアウトの関係上、前大会とは異なりソロラン無しのベストトリック合戦となった。予選では7分間のジャムセッション、決勝ではベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める形で1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジされた。 今大会にはパリ五輪日本代表の白井空良をはじめ、「2023 UPRISING TOKYO Supported by Rakuten BEST TRICK WINNER」の濱村大征などベストトリックのレベルの高さが世界的にも評価されている選手が多く出場した。ただ今回は白井が惜しくも先日怪我をした膝の調子が奮わず予選敗退となる一方で、決勝は若手も勝ち上がり名を連ねて実力者と対峙する展開に。決勝は5本中2本のスコアが採用されるフォーマットであることから、最後の最後まで各ライダーが自分たちの持つベストトリックにトライする攻めのライディングを終始見せる観客にとっても見応えのある手に汗握る展開になった。 ベストトリック1本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 5本のチャンスがあるものの、2本目以降でより攻めのトリックにトライするためにもしっかり決めておきたい1本目はほとんどのライダーがスコアをマーク。その中でも8点台のスコアを残して弾みを付けたのは実力者の浦野晴と大場蓮。浦野は「スイッチフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をメイクすると8.2ptをマーク、大場は「ポップショービットフロントサイドフィーブルグラインド180アウト」をメイクし8.3ptをマークして強さを見せる。 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 2人に続く形で7点台をマークして2本目に繋げたのは早川竣乃祐、濱村大征、浦野健隼の3名だ。早川は「ノーリフリップバックサイドボードスライド」を決めると7.7pt、濱村は「ハードフリップバックサイドリップスライド」で7.6pt、浦野晴の兄でトリックマスターとして知られる浦野健隼はハバレッジでの「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」で7.3ptをマークし、早くも熾烈なベストトリック合戦の始まりを予感する1本目となった。 ベストトリック2本目 2本目では早速各ライダーがギアを上げてきたのか、なかなかトリックをメイクできない展開に。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは高石颯来と濱村大征の2名。高石は「キックフリップバックサイトテールスライドフェイキー」をメイクし7.6ptをマーク。彼自身も着地が少しスケッチーだったことからトリックメイクに驚いている様子も見せた。濱村は1本目で浦野健隼がハバレッジでメイクした「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」をレールで決めると7.0ptをマークした。今回のスコア採用は2本だけのためまだこの段階ではまだまだ勝負の行方は分からない状態。 ベストトリック3本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF ほとんどのライダーが1本以上スコアをマークしていることから、まだ残りのチャンスに余裕がある一方で勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目。ただやはりスコアアップするためのトリックメイクには難易度とプレッシャーがあるからか、ここ3本目でも2名を除きほとんどのライダーがミス。一方でしっかり決めて見せたのが、3本連続で着実にメイクしている高石颯来と個性的な渋いトリックをチョイスする大場蓮。高石は「キックフリップバックサイドスミスグラインド」をメイクすると7.4ptをマーク。2本目のスコアを上回ることはできずベストスコアにはならなかったが、1本目の6.4ptを上回りスコアアップには成功。大場は2本目で失敗した「ビックスピンフロントサイドハリケーングラインド」を見事メイクし8.5ptをマーク。自身のスコアを8点台で揃えて暫定1位に躍り出た。 ベストトリック4本目 三星怜生のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 残りトライできる本数が少なくなってきたこの4本目。ここでは実力者も含め多くのライダーが相変わらずトリックメイクに苦戦を強いられている中で、8点台をマークして表彰台の座を大きく引き寄せたのは若手の三星怜生と早川竣乃祐の2名。三星は「フロントサイド360テールスライド」をレールで決めて決勝最高得点の8.9pt、早川は「ノーリーキックフリップバックサイドテールスライド」をハバレッジで決めて8.6ptをマークすると、三星は暫定3位、早川は暫定2位となり残すは自身も含めて各ライダーが5本目でどんなトリックをメイクするのかに委ねられた。 ベストトリック5本目 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF そして迎えたラスト1本。各ライダーがチャレンジし続けてきたベストトリックを決め切る必要があるラストチャンスだったが、惜しくも番狂わせを起こす展開にはならなかった。その中でも終始トリックメイクできず苦しい時間を過ごしていた梅村敏秀が最後に「トレフリップフロントサイド5-0グラインド」をハバレッジでメイク。やっと決め切れたトリックに天を見上げる様子も見せた。 一方で流れを掴んでラストトリックも決めきって見せたのは4本目をメイクした三星と早川。三星は「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」で7.3ptをマークしてスコアアップし暫定3位となった。そして暫定1位の大場を追う展開となった暫定2位の早川はラストトリックとして「ノーリーキックフリップバックサイドリップスライドショービットアウト」を綺麗にレールで決めて8.4ptをマークすると暫定1位に躍り出た。その後の出走となった大場も濱村もトリックを決められなかったことから、最終結果としては早川が優勝。2位に大場、3位に三星となった。その中でも特に早川と三星は若手でこれからが楽しみなライダー。今後彼らがどう日本のトップ勢に食い込んでくるのかが楽しみだ。 将来有望な若手ライダーたち ©︎Yoshio Yoshida /YUSF Women’sクラス決勝に名を連ねたのは世界で活躍するトップスケーターたち。そんなハイレベルな戦いを制したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋 今大会のWomen’sクラスには日本国内のトップライダー12名が参加。前日の予選から熾烈な戦いが繰り広げられ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。競技フォーマットはMen’s Hiクラス同様に決勝はベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジとなった。 そして今大会の決勝には世界大会で活躍するライダーたちが勢揃い。その面々は上村葵、大西七海、石丸葵、丹野莉愛、藤澤虹々可、吉沢恋、織田夢海、松本雪聖といった世界王者経験者から最近急成長の若手まで全日本選手権の決勝ないし世界大会の決勝でも見劣りしないメンバーがここ横浜赤レンガ倉庫の会場で優勝の座を争った。 ベストトリック1本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 男子同様に女子も2本目以降でより攻めのトリックにトライするため、まずしっかり堅実にスコアを残すことを優先するかと思われた1本目だったが、最初から攻める空気感を作り出したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋だった。吉沢は1本目からパリ五輪で金メダルを勝ち取ったハンマートリックの「ビックスピンフリップフロントサイドボードスライド」をメイクすると8.8ptをマークし後続にプレッシャーをかけていく。 織田夢海のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF しかしその流れをしっかり捉えて吉沢のトリックを上回って見せたのは織田夢海。織田は彼女の代名詞的ハンマートリック「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をメイク。今大会唯一の9点台である9.0ptをマークして強さを見せた。 ベストトリック2本目 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 1本目から吉沢と織田が攻めのライディングを見せる中、2本目ではトリックメイクに苦戦するライダーと着実に好スコアを残すライダーが二極化。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは丹野莉愛、織田夢海、松本雪聖の3名。織田は1本目で松本が決めた「キックフリップフロントサイドボードスライド」をメイクし7.3ptをマーク。続く松本は「キックフリップバックサイドリップスライド」を決めると7.9ptをマークしスコアアップししっかり2本ともスコアを残した。 一方で2本のスコアメイクと共に8点台のハイスコアをマークしたのは丹野莉愛。丹野は「270フロントサイドボードスライド」をメイクしガッズポーズを見せた。しっかりスコアも評価され8.8ptをマークすると暫定2位に食い込んできた。 ベストトリック3本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 現在トップは織田、丹野、松本という順番で迎えた中盤戦。終盤に向けて勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目でプレッシャーをも感じさせずに唯一トリックを決めて見せたのがやはりこのライダー吉沢恋。8.7ptをマークするライディングでセカンドハイエストを更新して一気にスコアアップし、暫定2位の織田に1点以上の差をつけて暫定トップにジャンプアップした。 ベストトリック4本目 ライディング後にボードが折れるアクシデントがあった藤澤虹々可 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 3本目で吉沢にリードを許す一方でしっかりトリックを決めてここで追い上げておきたいと思う4本目。しかしここでも相変わらず多くのライダーがトリックメイクに苦戦を強いられた。一方でこの4本目でなんとかトリックをメイクして見せたのは藤澤虹々可。ずっと失敗していた「ポップショービットフロントサイド50-50グラインド」をメイクして8.6ptという好スコアをマーク。あと一本決め切れば表彰台の座も見えてくる中で藤澤にトラブル。トリックの着地でデッキのテール側が折れてしまうアクシデント。スペアのボードもなく誰かのボードを借りることを余儀なくされた。そんなことも起きた展開の中で、最後5本目を残して現在トップは吉沢、織田、丹野の順に。このままで大会を終えるのか、もしくは最後に番狂わせがあるのか。そんな期待も渦巻く中でラストトリックへ。 ベストトリック5本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF もう後が無いラストトリックとなった5本目。多くのライダーが決め切れず辛酸を舐めたこのラストチャンスだったが、暫定3位の丹野が最後に表彰台の座を盤石にするため滑走するもメイクした「フロントサイドフィーブルグラインド」ではスコアアップできずに少し不安が残る展開に。 一方で最後も高得点で締め括ったのがやはり吉沢。ラストトリックでは「ノーズグラインドビックスピンアウト」でメイクして8.3ptをマークした。そして暫定3位の丹野を追う展開となった暫定4位の松本はラストトリックに「キックフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をレールで決めて7.6ptをマークすると0.2pt差で3位にジャンプアップ。最終結果としては吉沢が優勝。2位に織田、3位に松本となった。 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 今回表彰台に上がった3名はベストトリックのレベルの高さに定評があるのはもちろんのことだが、どんな状況でもしっかりスコアを残すことができる実力を持ち合わせているからこそ、世界の大舞台でも結果を残せているということが分かった。また4位となった丹野も松本とはたった0.2pt差。吉沢と織田に比べると若くさらにこれからの成長が楽しみなのがこの丹野と松本だ。日に日に目に見える成長著しいこの女子ストリート種目。今後はトップ勢はもちろんのこと若手にも注目だ。 今後の成長が期待される松本雪聖と丹野莉愛 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Women's Class /ウィメンズクラス>優勝: 吉沢 恋 (ヨシザワ・ココ) / 17.5pt準優勝: 織田 夢海 (オダ・ユメカ) / 16.3pt第3位: 松本 雪聖 (マツモト・イブキ) / 15.5pt4位: 丹野 莉愛 (タンノ・リア) / 15.3pt5位: 藤澤 虹々可 (フジサワ・ナナカ) / 8.6pt6位: 大西 七海 (オオニシ・ナナミ) / 6.2pt7位: 石丸 葵 (イシマル・アオイ) / 3.8pt8位: 上村 葵 (ウエムラ・アオイ) / 0.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Hi Class /メンズハイクラス>優勝: 早川 竣乃祐 (シュンノスケ・ハヤカワ) / 17.0pt準優勝: 大場 蓮 (オオバ・レン) / 16.8pt第3位: 三星 怜生 (ミツボシ・リオ) / 16.2pt4位: 高石 颯来 (タカイシ・ソラ) / 15.0pt5位: 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 14.6pt6位: 梅村 敏秀 (ウメムラ・トシヒデ) / 8.6pt7位: 浦野 晴 (ウラノ・ハル) / 8.2pt8位: 浦野 健隼 (ウラノ・ケント) / 7.3pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Low Class /メンズロークラス>優勝: カミタニ・ユウセイ準優勝: ナトリ・ヤマト第3位: リョウジ・ワカバヤシ 大会概要 ⼤会名称 : 【SKATEARK produced by ARK LEAGUE】 イベント名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL '24 (略称:YUSF’24)開催期間 : 2024年11月9日(土)~10日(日)- 2日間 -※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:横浜赤レンガ倉庫 イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区新港1-1)主催:一般社団法人 ARK LEAGUE協賛: 第一生命グループ / GoPro / 三菱商事都市開発/ Red Bull / G-SHOCK / ムラサキスポーツ
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dance“AIRHEADZ”が世界への挑戦権を獲得!「Freestyle Session JAPAN 2024」2024.11.1320年以上の歴史があるブレイキンシーンを象徴する大会 都市型スポーツとストリートカルチャーの祭典「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2024(以下、YUSF)」が11月9日、10日に横浜赤レンガ倉庫で初開催された。本イベント内のBREAKINGコンテンツとして【Freestyle Session JAPAN 2024】が行われ、AIRHEADZが優勝を飾った。Freestyle Session は、1997年アメリカで始まった世界一のCREWを決める伝説のブレイキンバトルで、20年以上の歴史を誇り、今でもブレイキンシーンを象徴するイベントの一つである。国内では、Bboy Toshio a.k.a. Machanが2002年に日本にFreestyle Sessionを持ち込んだことで日本大会がスタート。今回と同じ横浜赤レンガ倉庫で開催された2022年のYUSFでは、Freestyle Session JAPANの20周年が祝われ表彰などが行われた。近年のYUSF内で行われたFreestyle Session JAPANには、今年パリオリンピックで活躍した日本代表勢も出場。2022年大会では、パリオリンピックで金メダルを獲得したAMIがGOOD FOOTで出場し優勝。昨年の2023年大会では、オリンピック第4位のShigekixがXII After oursで出場して同じく優勝を成し遂げている。現在、世界の第一線で活躍するBBOY・BGIRLも憧れる舞台に今年も多くの挑戦者たちが集まった。 ©AYATO. /YUSF ヤングガンズが台頭した今年の日本大会 過去の大会と比べると、今回はニューフェイスが多く登場し若手世代の活躍が目立った。決勝まで駒を進めたgunbarawはThe Floorriorzのメンバーで小学生のWatoを中心とするチーム。惜しくも決勝で敗れてしまったが、大人顔負けのパワームーブを展開し会場を沸かせていた。優勝したAIRHEADZも10代と20代で構成されるクルーであり、今大会では大躍進を遂げた。予選を勝ち抜きTOP16のトーナメントに進出したクルーの中には、YELLOW SUNSやFOUND NATIONなど、国内の様々なバトルを制し、名を轟かせるBBOY・BGIRLもいたが、そのような実績のあるクルーを破りAIRHEADZが見事、頂点に輝いた。優勝したAIRHEADZには、11月16日からアメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルTOP16の出場枠が与えられる。 ©AYATO. /YUSF AIRHEADZ 優勝コメント 今日1日を振り返ってみてどうでしたか? DoubleNew(以下D):この人数でバトルに出るのも初めてだったし、セッション(Freestyle Session)は狙いにいきたいと思って準備していました。トーナメントの組み合わせ的にも、毎バトル全力を出すしかない状況だったので、いい動きが出来たし、それがこの結果に繋がったと思います。すごく嬉しいです! AIRHEADZらしさは出せましたか? D:僕たちは本当にチーム愛を大事にしているクルーだし、いつも一緒に過ごしている仲間たちです。そこがバトルにも出ていたと思います。 アメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルに向けての意気込みを教えてください D:Freestyle Sessionのワールドファイナルは、夢に見ていた舞台なので、全力を尽くして勝ちにいきたいです。 ©AYATO. /YUSF