大原洋人が3位に輝く!熱気あふれたLexus US Open of Surfing

2025.08.07
©️WSL
text by 水野 亜彩子 / Asako Mizuno, 写真提供: ©️WSL

7月26日から8月3日まで、アメリカ・カリフォルニア州ハンティントンビーチにて、World Surf Leagueのチャレンジャーシリーズおよびロングボードツアーの「Lexus US Open of Surfing」が開催された。
今大会は、7月26日~28日がロングボード、29日以降はショートボードと、競技種目ごとに期間を分けて実施された。
開幕を迎えた会場では、直前までコンスタントにあった波が嘘のように消え、「US Open史上最も波が小さいのでは」と言われるほどのコンディションでスタートした。29日は、朝のファーストコール後に再三の再コールが入り、最終的にデイオフ(試合中止)に。翌30日は朝からヒートが開始され、前日よりわずかにサイズアップしたものの、潮の満ち引きの影響で波が途切れ、ヒート中に波がほとんど来ない場面も度々見られたが日を追うごとに波のサイズは上がり、ファイナルデーはハンティントンらしい波が押し寄せた。
日本人選手は、男子ではカノア五十嵐、大原洋人、西慶司郎、伊東李安琉、加藤翔平、安室丈、岩見天獅、田中大貴の8名が出場。
女子では、都筑有夢路、都築虹帆、松岡亜音、中塩佳那、池田美来の5名が出場した。

Men’s Round of 80に挑んだ日本勢

岩見天獅 ©️WSL / Kenny-Morris

日本人選手のトップバッターは、Round of 80 Heat 4に登場した安室丈
試合終盤には追いかける展開となり、逆転を狙って波に乗るも、うまく乗りこなすことができず惜しくも敗退となった。
続くHeat 6には、日本人の加藤翔平田中大貴が出場。
対戦相手はブラジルのIgor Moraesと、ニュージーランドのBilly Stairmandという顔ぶれで、4名によるヒートとなった。
加藤翔平は、3本目に6.50ポイント、6本目には5.53ポイントをマークし、見事1位でラウンドアップを果たす。一方、田中大貴は1本目で4.00ポイントをスコアするも、2本目を揃えることができず、惜しくもここで敗退となった。
Heat 8では、岩見天獅が出場。
波数の少ない厳しいコンディションの中、序盤に競り合いながらも見事に1本目の波をキャッチし、6.33ポイントを獲得。さらに2本目でも4.23ポイントをスコアし、幸先の良いスタートを切った。この6.33ポイントはヒートのハイエストスコアとなり、岩見天獅はそのまま1位でラウンドアップを決めた。

安室丈 ©️WSL

日本勢が次々登場 Round of 64

西慶司郎 ©️WSL / Emma-Sharon

続くRound of 64は、トップシード選手が登場するラウンド。
Heat 4では、日本人の五十嵐カノア西慶司郎が同じヒートに出場。対戦相手は、ハワイのIan Gentil、ブラジルのPeterson Crisantoという顔ぶれで、4名による戦いとなった。序盤に良い波をキャッチし、しっかりと技を決めた西慶司郎は、エクセレントスコアの8.00ポイントをスコア。さらに6.77ポイントも加え、2本をまとめる見事な試合運びを見せた。
カノアもスロースタートながら、8.50ポイント7.77ポイントをスコアして一気にトップに浮上。
終盤にはIan Gentilも8.17ポイントで追い上げたが、タイムアップ。
日本人の五十嵐カノアと西慶司郎の2人が揃ってラウンドアップを果たした。
Heat 10では大原洋人が登場。
1本目に6.50ポイント、2本目に5.63ポイントを揃え、落ち着いた試合運びで2位通過を決めた。
Heat 11には、前ラウンドを勝ち上がった加藤翔平が出場。
対戦相手は、アメリカのKade Matson、Jett Schilling、ハワイのJackson Bunchというメンバー。
開始10分を目前にリスタートとなるかと思われたその瞬間、入ってきた1本の波を加藤翔平が掴み、5.50ポイントをマーク。
その後も波は止まり、厳しい展開が続いたが、3.67ポイントでバックアップを伸ばし、見事1位でラウンドアップを決めた。
Heat 12には伊東李安琉が出場。
対戦相手は、ブラジルのIgor Moraes、オーストラリアのRyan Callinan、そしてチャレンジャーシリーズ第2戦 Ballito Proで優勝した南アフリカ出身のLuke Thompsonという強豪揃いのヒートとなった。
伊東李安琉は良い波を掴むも、エンドセクションでミスが出てしまう。
後半には6.90ポイントをスコアするも、あと1本を揃えることができず、ここで惜しくも敗退となった。
日本人最後の登場は、Heat 15にクレジットされた岩見天獅
対戦相手は、ブラジルのEdgard Groggia、アルゼンチンのFranco Radziunas、そしてオーストラリアのCallum Robson
岩見天獅はアクティブに動きながら波を探すも、リズムが噛み合わず、狙っていた波を掴むことができないまま試合終了。惜しくもここで敗退となった。

伊東李安琉 ©️WSL / Pat Nolan

いよいよRound of 32へ

加藤翔平 ©️WSL / Pat Nolan

Round of 32に進出した日本人選手は、大原洋人、西慶司郎、五十嵐カノア、加藤翔平の4名。
トップバッターとしてHeat 3に登場したのは西慶司郎
序盤は波とのリズムが合わずミスも見られたが、中盤には修正しスコアを重ね、追い上げを見せた。
逆転に必要なスコアは6.81ポイントだったが、その波が来ることなく、無念のまま試合終了となった。
続くHeat 4には、五十嵐カノアが登場。
1本目に8.00ポイント、5本目には7.73ポイントと2本のスコアをしっかりまとめ、1位でラウンドアップを果たした。
Heat 6では、日本人の大原洋人加藤翔平が同じヒートに出場。
対戦相手は、南アフリカのLuke Thompson、メキシコのAlam Clelandの4名での戦いとなった。大原洋人は、1本目に6.67ポイント、5本目には7.27ポイントをスコアし、1位の座をキープ。一方の加藤翔平は、序盤から追いかける展開となり、必要なスコアは8.43ポイント。ラストには、高さのある波でエアリアル、エアアーウープーを試みたが、惜しくもインコンプリートとなり敗退となった。
このヒートでは大原洋人が1位でラウンドアップを決め、日本勢として勝ち残った。

4人での戦いとなったRound of 16

カノア五十嵐 ©️WSL / Kenny-Morris

Round of 16は、本来であれば1対1のマンオンマン形式で行われるが、29日がコンディション不良によるデイオフとなった影響で、今大会では引き続き4人ヒートでの実施となった。このラウンドに日本人で残ったのは、五十嵐カノア大原洋人の2名。
Heat 2に登場した五十嵐カノアは、安定感のあるライディングで着実にスコアを重ね、1位でラウンドアップ。
Heat 3に出場した大原洋人も、6.00ポイント台を3本揃える安定したパフォーマンスで1位通過を果たした。

残しところ日本人2人となったクウォーターファイナル

大原洋人 ©️WSL / Pat Nolan

いよいよクォーターファイナル。
五十嵐カノアは、ブラジルのMichael Rodriguesと対戦。
後半までリードを保っていた五十嵐カノアに対し、Michael Rodriguesはサーフボードとの相性が合わず、試合中にボードを変更する場面も。誰もが五十嵐カノアの勝利を確信したその時、Michael Rodriguesが終盤に6.93ポイントをスコアし逆転に成功。五十嵐カノアはここで敗退となった。
なお、五十嵐カノアは8月7日〜16日にタヒチで開催されるチャンピオンシップツアー「Lexus Tahiti Pro」にも出場予定。
今後の活躍にも注目が集まる。
Heat 3には大原洋人が出場。対戦相手は、日本にもルーツを持つアメリカのタロウ・ワタナベ
風の影響による流れが入り、試合中に状況が目まぐるしく変わる難しいコンディションの中、両者ともにスローな展開に。
その中でも大原洋人は、6.33ポイント5.87ポイントをスコアし、見事セミファイナル進出を決めた。

残すところ決勝まで後一つ

大原洋人 ©️WSL / Pat Nolan

日本勢で唯一残ったのは、2015年にUSオープンで日本人初優勝を成し遂げた大原洋人
セミファイナルの対戦相手は、エアリアルを得意とするアメリカのLevi Slawson。先に動いたのは大原洋人。1本目に5.43ポイント、続いて2本目には6.50ポイントをスコアし、試合をリードする展開に。しかし、Levi Slawsonがレフト方向の良い波をキャッチし7.33ポイントをマーク。さらに6.10ポイントもスコアし、2本を揃えて逆転。大原洋人が必要とするスコアは6.94ポイント。
プライオリティを保持しながら波を待つも、後半は波が止まり、そのままタイムアップ。惜しくもここで敗退となった。
あと一歩届かずも今回の大会で3位という好成績を収めた大原洋人は、チャレンジャーシリーズのランキングを17位上げて11位に浮上。
今後の更なる活躍が期待される。

Women’s Round of 48

都筑有夢路 ©️WSL / Pat Nolan

Women’s Round of 48では都筑有夢路、都築虹帆、松岡亜音、中塩佳那、池田美来の5名が出場した。
Heat 4には、日本人選手の都筑有夢路、松岡亜音、中塩佳那の3名と、南アフリカ出身のLouise Leprontの4名が出場。
最初に波をキャッチしたのは中塩佳那とLouise Lepront。左右に分かれてライディングを行い、中塩佳那はこの波で5.17ポイントをスコア。松岡亜音も1本目に4.67ポイント、都筑有夢路も4.17ポイントと、それぞれスコアを重ねていく。都筑有夢路は2本目にバックサイドで5.67ポイント、さらに3本目ではワンマニューバーで6.5ポイントをマークし、トータル12.17ポイントでリードを広げた。
2位争いが激しくなる中、松岡亜音が後半にハイスコアを4.97ポイントに更新してポジションをキープ。中塩佳那は必要スコア4.47ポイントを待ち続けたが、最後まで波に乗ることができず試合終了。
都筑有夢路と松岡亜音がラウンドアップを果たした。
Heat 6には都築虹帆が出場。
対戦相手はハワイのKeala Tomoda-BannertVaihitimahana Inso、オーストラリアのOceanna Rogers
潮が止まり始めた時間帯と重なり、前半にKealaTomoda-BannertとVaihitimahana Insoが波に乗った後、15分以上波が止まる厳しいコンディションに。都築虹帆はチャンスを待ち続けたが、最後まで波は現れず、無念の試合終了となった。
今シーズンからチャレンジャーシリーズ初参戦の池田美来がHeat 7に出場。
前ヒートから波の乏しい状況が続く中、序盤から「スコアできる波がない」と判断し、途中でピア近くの岸寄りポジションへと移動。その動きに他の選手も追随し、ようやく各選手が波に乗り始める。池田美来は7本目に4.27ポイント、10本目に4.73ポイントをスコアし、見事1位でラウンドアップを果たした。

トップシード選手が出場するRound of 32

池田美来 ©️WSL / Pat Nolan

Women’s Round of 32からはトップシード選手が登場。
スケジュールの都合で、Heat 1~4は7月31日の夕方に開催され、Heat 5以降は8月1日の朝に行われた。
Heat 3に登場したのは松岡亜音
対戦相手は、アメリカのKirra Pinkerton、フランスのVahine Fierro、ハワイのEweleiula Wong。Kirra PinkertonとVahineFierroが序盤から高得点を揃える中、松岡亜音も6.33ポイントをスコアし、追い上げを図る。ラストライドでは7.23ポイントをスコアするも、惜しくも逆転には至らず、ここで敗退となった。
続くHeat 4には都筑有夢路が登場。
アメリカのSawyer Lindblad、オーストラリアのSophie McCulloch、ペルーのArena Rodriguezとの対戦。
Heat序盤、Sawyer Lindbladが乗った1本を最後に10分以上波が来ない状態に。
ようやくピア付近のライトブレイクを掴んだ都筑有夢路は、5.40ポイントをスコア。
だが、その後は再び波が止まり、逆転のチャンスは訪れず敗退となった。
Heat 7に出場した池田美来のヒートは、8月1日の朝に行われた。
この日はサイズも上がり、前日よりも波数の多いコンディションとなった。
対戦相手は、アメリカのAlyssa SpencerTalia SwindalBella Kenworthyの3名。
Alyssa Spencerが1本目でエクセレントスコアの8.17ポイントを出し試合をリード。Talia Swindalも1ターンながらソリッドな演技で得点を重ねる。池田美来は5.03ポイントをスコアし、さらにラストライドでは6.60ポイントと健闘。しかしTalia Swindalがその直前にスコアを伸ばしたことで、わずかに及ばず敗退となった。

松岡亜音 ©️WSL / Emma-Sharon

Women’s Finalは実力派と新星の激突

Sawyer Lindblad ©️WSL / Kenny-Morris

ファイナルはアメリカのSawyer Lindbladとフランスの若干14歳のTya Zebrowskiの対戦。
両者ともに2本目で6点台のスコアをマークし、2本目以降にどれだけスコアを重ねられるかが勝負の鍵となった。Sawyer Lindbladは5本目に6.67ポイントをスコア。Tya Zebrowskiに求められる逆転のためのスコアは6.51ポイントだったが、チャンスとなる波をつかむことができず、試合終了。
Sawyer Lindbladが、2023年以来2度目となるUSオープン優勝を果たした。

Sawyer Lindblad ©️WSL / Pat Nolan

Men’s Final はLevi Slawsonが接戦を制す

Levi Slawson ©️WSL / Pat Nolan

ファイナルはブラジルのMateus HerdyとアメリカのLevi Slawsonの対戦に。
Levi Slawsonは1本目に7.33ポイント、2本目に6.17ポイントをマークし、序盤からリードを広げる。Mateus Herdyは逆転を狙い、得意のエアーで果敢に攻めるも苦戦。しかし、試合終了間際にビッグエアーをメイクし、スコアの発表を待つ展開に。逆転に必要なスコアは7.93ポイント。最終ライディングは7.70ポイントとコールされ、惜しくも逆転には届かず。Levi Slawsonが見事、優勝を果たした。

Levi Slawson ©️WSL / Pat Nolan

Mateus Herdy ©️WSL / Pat Nolan

「Lexus US Open of Surfing」で見せた団結と熱気

大原洋人 ©️WSL / Kenny-Morris

白熱した戦いとなった「Lexus US Open of Surfing」。
今回は日本人選手だけでなく、コーチやサポートスタッフの姿、そしてファンも多く見られ、ビーチでは日の丸を掲げて応援する姿がWSLのライブ中継でも大きく取り上げられた。
次戦のチャレンジャーシリーズは、9月29日から10月5日までポルトガル・エリセイラで開催される「Ericeira Pro」。
ランキング争いはさらに激しさを増しており、選手にとっては一戦一戦が正念場となる。
海外の舞台で挑戦を続ける日本人選手たちの姿から、今後も目が離せない。

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