「フェイクは嫌い 本物でいたい」プロサーファー仲村拓久未が斬新なサーフクリップをリリース

2020.12.26
「フェイクは嫌い 本物でいたい」プロサーファー仲村拓久未が斬新なサーフクリップをリリース

既存の枠に囚われず、独自のスタイルを貫くプロサーファー仲村拓久未。オリンピック出場レベルの選手が肩を並べる、“ゴールドエイジ”と呼ばれる世代の一人だ。その中において、パーティー好きな彼の奔放さは、ややもすれば「スポーツマンらしくない」と受け取られがち。しかしその言動の裏には、全て一貫した信念があることを忘れてはならない。リリースを記念しFINEPLAYでは、仲村にショートインタビューを実施。ニュークリップを通して表現したことを、自由に語ってもらった。

Film by Kawana Kenta

「色を出した」自由奔放なサーフクリップ

グッドスウェル、パーティー、トリップ  etc・・・。仲村拓久未のニュークリップには、人間の「欲望」をそのまま凝縮したような、そんなコンテンツが間断なく映し出される。いい波が来れば思うまま乗り、パーティーがあれば夜通し愉しむ。「スポーツマンらしい爽やかさ? 何それ」とでも言いたげな顔に、かえって清々しさすら感じるほどだ。

しかし、彼は作品のためにキャラ作りをしているわけではない。むしろこの作品は、仲村拓久未の “ありのまま” を色濃く反映している。自由奔放な姿をさらけ出すことに、引け目は感じないのだろうか。

「ぜんぜん。そんなことより、飾らない自分を見てほしいですね。俺は酒の席が好きですし、パーティーするときは誰よりもその場を楽しんでます。でも、真剣にやらなあかんところでは、きっちり決めてる。そう意味で今回のクリップは、俺らしさが前面に出てると思ってます。『酒飲んでるし、はっちゃけてるけど、こいつサーフィンかましてるやん』ってみんなに感じてもらえたら」

フェイクか、それともリアルか

Photo by Taku Ogawa
Photo by Taku Ogawa

逆に、サーフィンが世間から着目されるようになってからというもの、シーンに「フェイク」が増えた気がすると語る。

「いいカッコしたい人が多くなったと思ってます。それはそれでええねんけど、あまりリアルじゃないなと。インスタグラムでバチっと格好つけてても、現実(海)で決められなければ、それってフェイクじゃないですか。俺、そういうんは好きやないですね。俺は本物でいたいから。サーフィンで格好良さを見せるのが俺たちの仕事やと思ってます」

そう答えながら仲村は、頭をかいて、少し恐縮したように言った。

「ただ、その点で言うと俺もまだまだリアルになれてないところがあって。ビッグウェイブをメイクして、サーフシーンを盛り上げるビッグウェイバーのことは本当に尊敬してます。来年からは俺も大波にチャージして、自他ともに認めるサーファーになっていきたいです」

自らと向き合った2019年

2015年、19歳でJPSAグランドチャンピオンを経験した仲村拓久未。しかしそれ以降、目立った大会成績を残せず、苦心する日々が続いた。

「大会で勝てんくなってから、とにかくたくさんフリーサーフィンしてました。今まではコンペティションに出場しっぱなしだったから、いったん自分と向き合おうと思ったんです」

そんな仲村のボルテージが最高潮に達したのは、23歳を迎えた昨年のこと。

「フリーサーフィンのフッテージ(映像素材)を撮りためていくうちに、『映像作品を作りたい』っていう気持ちが急に湧いてきて。信頼しているフィルマーに編集してもらって、サーフクリップを作り上げました。この作品は、昨年の俺の集大成。大会とはまた一味ちがった俺が観られると思います」

『FINEPLAY』読者へメッセージ

Photo by Kimoto Naoya
Photo by Kimoto Naoya

2020年も年末に差しかかったタイミングで、満を辞してドロップした最新クリップ。最後に、仲村から読者に向けてメッセージをもらった。

「コロナ禍で上手いことサーフィンできなくなった時期もあったけど、サーフィンスクールなんかを通して、新しいつながりができました。俺のことを応援してくれるみんなにクリップを観てもらって、喜んでもらいたいです。あと、今のサーファーはみんな真面目すぎるから、もっと遊びを知ったらええと思いますね。真面目すぎても、つまんないでしょ。俺のスタイルを見て、そういうところも感じてほしい」

仲村拓久未プロフィール

Photo by Yasushi Murata
Photo by Yasushi Murata

三重県出身のプロサーファー。16歳でJPSA 日本サーフィン連盟からプロデビューし、19歳でショートボード男子部門で日本チャンピオンとなる。現在は拠点を湘南・鵠沼に移し、プロサーファーとしての活動の傍ら、サーフィンスクール事業を展開するなど幅広く活動している。スポンサーはYU、BILLABONG、TOOLS、Fuwax、STAYSEA SURF CLUB、PEACE WAVE

text by 佐藤稜馬 

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