Surf Voice Vol.8「海外サーフトリップの醍醐味」

2021.02.17

「サーフトリップこそ、サーファーのアイディンティティーすべて」。そう言い切ることもできるほどに、サーフィンをするものにとって「サーフトリップ」は大きな意味を持つ。

私は鎌倉からサーフバディーの住む茨城のポイントに行くだけでも、前の晩からワクワクしている。
「波、風の様子はどうだろうか」「水温は?」「 混雑していないだろうか」「持って行くボードはどれにしようか」「何時に出発しようか」等、さまざまな思いが浮かんでは消えてゆき、セッティングが終わってもなかなか寝付けない。良い歳になってもまだ、子供の頃の遠足前夜の気分なのである。

はじめての海外サーフトリップ

今では大会プログラムや参加賞のマグカップを出してくれるサーフィンイベントは皆無。 アナログ感満載のアイテムに、デジタルにない温もりを感じる。
今では大会プログラムや参加賞のマグカップを出してくれるサーフィンイベントは皆無。 アナログ感満載のアイテムに、デジタルにない温もりを感じる。 / photo by Surf Voice

わたしのはじめての海外サーフトリップはハワイ、1969年のことだ。この時の興奮は未だに忘れていない。為替が1ドル360円で、クレジットカードなるものはなく、翻訳ソフトや地図の搭載されたスマホなどもなかった。
小切手帳を持ち歩く緊張が続く、そんな原始時代のサーフトリップで、100%サーフィンに没頭するには、ロコの知り合いも必要だった。

Team Degawa Internationalでスティーマーレーンへ

カルフォルニア中からサーファーが集まる、年一回のお祭りにTDIとして参加した。
カルフォルニア中からサーファーが集まる、年一回のお祭りにTDIとして参加した。 / photo by Surf Voice

90年代のはじめ、サンタクルーズのサーフコミュニティーが各地(西海岸)のサーフクラブを招待し、年に一度ロングボードのクラブ対抗戦を開催していた。
毎年5月、サンタクルーズのスティーマーレーンを貸し切りにした贅沢なイベントに、Team Degawa International (TDI)を結成して鎌倉ローカル達で参加した。思う存分サーフィンが出来たのも、こうした地元ロコとのつながりがなければ出来なかったことだろう。

写真右はこのクラブコンテストに参加のラインを引いてくれた友人、花上次郎。テクニカルライターで、サンノゼが日本で有名になる前から、当時の最先端技術の橋渡しをしていた。 そこで従事している地元サーファーとの交流から、TDIとして参加するようになる。 今でも波があればラインアップで顔をあわせる、長い付き合いのサーファーだ。
写真右はこのクラブコンテストに参加のラインを引いてくれた友人・花上次郎。 今でも波があればラインアップで顔をあわせる長い付き合いのサーファーだ。 / photo by Surf Voice

海外サーフトリップはいつもワクワクするが、このイベントへの参加は特別だった。
そこでは毎晩、趣向を変えたパーティーがあった。参加者をよりタイトにして価値観を共有する事で、海の中でのパフォーマンスセッションがさらに盛り上がる。最終日の表彰式は盛り上がりも頂点に達した。

写真はレーン特有のブレイク、崖ギリギリを攻めるレジェンド・Mick Munoz。Greg Nollとともに、ワイメアベイを最初に滑ったサーファーとして、未だ語られるサーファー。 / photo by Surf Voice

地元サーファーの家族によるボランティア運営、そして地元サーフクラブがホストとなり、外からきたサーファーを精一杯もてなした。(大会なので波の取り合いはもちろんあるが)
60年代終わり頃までは日本のどこにでもあった、クラブ単位のサーフィンコミュニティーの古き良き時代を思い起こさせてくれるイベントだった。

5月といえども水温は冷たいが、日中は陽があればTシャツでも大丈夫。ドライな空気感がたまらなく心地よい。 / photo by Surf Voice

サーフィンがスポーツマーケティングされた今となってもその魅力を失わないのは、単なるスポーツとしてくくることができない、カルチャー・コミュニティー文化だからではないか。

文・写真提供:出川三千男

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