横須賀の夏空の下で、絶対王者の名に磨きをかけた「マイナビ Japan Cup Yokosuka 2025」BMXフリースタイル・パーク種目

2025.07.22
Photo: マイナビJapanCupYokosuka / ©JFBF

BMXフリースタイル「マイナビ Japan Cup Yokosuka 2025」が横須賀市ヴェルニー公園 いこいの広場 (神奈川県横須賀市)にて、2025年7月18日(金)〜21日(月・祝)の4日間に渡り開催され、パーク種目にて男子エリートは中村輪夢選手が、女子エリートは小澤美晴選手が優勝し、昨年大会に続き大会2連覇を果たした。

神奈川県横須賀市の全面バックアップの下、2022年から開催されている本大会は今回で4回目。今回も主に世界を舞台に活躍する実力派日本人選手や次世代の注目選手が出場し、フリースタイル・パークではキッズ4アンダーから男女エリートまで計13カテゴリーの選手たちによって、ハイレベルな競技が繰り広げられた。

また本大会は一昨年から国際自転車競技連合(UCI)のClass1(通称C1)カテゴリーに当たる「国際大会」として開催されており、今回も大会結果が世界大会出場に直結するため、国内の有力選手はもちろんのこと、東京オリンピック出場経験を持つイレク・リザエフや、韓国人ライダーも多く出場し昨年大会に増してさらにレベルが上がった国際大会となった。 

パフォーマンスを観る観客 ©JFBF

そして会場となったのは、前回大会まで3年間大会が行われた「うみかぜ公園」から場所を移した「ヴェルニー公園 いこいの広場」。うみかぜ公園より横須賀市の中心地に近いこの場所は近くに観光名所や商業施設もあり、人目に付きやすくアクセスしやすいスポット。実際に会場には大勢の観客が詰め寄り、国内最高峰のパフォーマンスを目の前で観て声を上げたり拍手を送る人々も多く見られた。

以下は、暑さが厳しい今年の横須賀で、今大会注目のパーク種目エリートカテゴリー入賞者が魅せたライディングを紹介。

ここ最近の大会では負けなしの2人が強さを見せ付けた。男子は中村輪夢が、女子は小澤美晴が優勝。

中村輪夢のライディング ©JFBF

男子エリート

男子エリートクラスは、参加選手21名の中から予選を勝ち上がった12名が決勝に駒を進め優勝の座を争った。今回は優勝候補の中村輪夢小澤楓といった国内外で活躍する選手たちと国内で力を付けている10代の若手日本人選手に加え、東京オリンピック6位の成績を持つトップライダーであるイレク・リザエフ(ロシア)といったトップクラスの選手たちによるハイレベルな戦いが繰り広げた。なお決勝はラン2本のうちのベストランが最終スコアとして採用されるフォーマットとなった。

中村輪夢のライディング ©JFBF

そんな戦いの中、見事優勝を果たしたのは中村輪夢。現在全日本選手権では6連覇、パリオリンピックでは5位入賞、そして先日の「X Games Osaka 2025」では悲願の初金メダルを獲得し、ここ最近の大会では負けなしの日本のみならず世界を舞台に大活躍を見せる彼が今大会でも魅せた。

ラン1本目は「バックフリップ・バースピン・タックノーハンド to バースピン」や「バックフリップ・バースピンバーバック to バースピン」、「720キャンキャントランスファー」など高難度トリックの数々を危なげない余裕の走りでメイクすると88.80ptをマーク。

そのままスコアを守り切りウィニングランとして迎えた2本目では「バックフリップ・クアッドバースピン」や、スパインでの「トリプルテールウィップ」、「フレア・ダウンサイドテールウィップ」などをメイク。残り15秒でランを終え得点よりも観客に最高のショーケースを見せるようなライディングでまとめて昨年大会に引き続き大会3連覇を果たした。

イレク・リザエフのライディング ©JFBF

準優勝は今回大注目の海外選手となったイレク・リザエフ(ロシア)。東京オリンピック2020では6位入賞という成績もあり、どんなライディングを見せるかに注目が集まる中、彼はラン1本目にてクオーターの上から「フットジャム to 270」でドロップインするユニークな形でランを始めると、「バックフリップテールウィップ to タックノーハンド」、そして「360・ダウンサイドテールウィップ 」などあまり日本人ライダーがチョイスしない高難度トリックを次々にメイクし、82.40ptをマークして暫定2位に。

ラン2本目では1本目のアップデートを目指し「360・トリプルテールウィップ」や「バックフリップテールウィップ to タックノーハンド」、クオーターでの「3ダブルテールウィップトランスファー」などをメイクしたが、ラストの「トリプルテールウィップトランスファー」でスリップダウンし、フルメイクとはならず2位入賞という結果となった。

松本翔海のライディング ©JFBF

3位は現在15歳でエリートカテゴリー最年少ライダーでありながら、国内ではこのクラスで表彰台獲得数を伸ばしている松本翔海。ラン1本目では「バックフリップ・トリプルテールウィップ 」や「トランスファー720」、「バースピンフレア」をはじめとした数々の高難度トリックをフルメイクで終えると、2本目では1本目のルーティンの完成度をさらに引き上げるライディングで75.60ptを叩き出し暫定3位に。そのまま3位のスコアを守り切ると昨年大会と同様に今回も3位表彰台の座を手にした。

女子エリート

一方、女子エリートクラスは東京オリンピック日本代表の大池水杜や、ワールドカップでの表彰台獲得など国際大会で優勝を含む見事な好成績を残し鮮烈なエリートデビューを果たした小澤美晴を含む7名が出場。決勝は予選を勝ち上がった4名で争われた。

小澤美晴のライディング ©JFBF

今回、優勝を収めたのはここ最近の国際大会では表彰台を多く獲得しており、現全日本チャンピオンの小澤美晴。女子の中では世界最高レベルのトリックセレクションを有する彼女は1本目からボックスジャンプでの「バックフリップ・バースピン」や「360・テールウィップ」、クオーターでの「ダブルバースピン」やボックスジャンプでの「バックフリップ」を見せた。惜しくもラストトリックのクオーターでの「テールウィップ」は回りすぎて転倒したが、それでも64.00ptをマークした。

そしてスコアを守り切りウィニングランとして迎えた2本目では、さらなるレベルアップを見せるべくボックスジャンプで「720」にトライするも惜しくも転倒。このトリックも決めれば女子では日本では初、世界でも数名のトリックメイクライダーとなる。彼女の今後のさらなる飛躍にも期待したい。

山本結花のライディング ©JFBF

準優勝は豪快なエアーの中にスタイル溢れるトリックを入れ込むライディングが特徴的な山本結花。彼女はラン1本目でスパインでの「360」やクオーターでの「540」、そして逆跳びのバックワーズとトランスファーを上手く使い「ダブル X-Up」を綺麗にメイクし56.80ptをマークした。

ラン2本目では1本目をアップデートし、クオーターでの「540・バースピン」やボックスジャンプでのスタイリッシュな「キャンキャン・タイヤグラブ」を披露。中盤ではクオーターでの「テールウィップ」に失敗し転倒するも、その後もランを続けたが1本目のランを上回ることができず昨年大会同様に2位となった。しかし今回メイクした「540・バースピン」は女子では世界でも数名しかできないビックトリックなので今後の活躍を期待したいライダーの1人だ。

大池水杜のライディング ©JFBF

3位は東京オリンピック2020に日本代表として出場し過去には国際大会と全日本選手権の数々で優勝し、日本の女子フリースタイルパークシーンを支え続けている大池水杜。ラン1本目ではトランスファーでの「ユーロテーブルトップ to キャンキキャン」というスタイル溢れたトリックを皮切りに、ボックスジャンプでの「タックノーハンド」や「ターンダウン」など全体的に綺麗でスタイリッシュなフローでまとめフルメイクでランを終えた。

ラン2本目では笑顔で会場を盛り上げていくライディングを魅せた。ボックスジャンプでの「バックフリップ」やクオーターでの「アリーウープ・ターンダウン」、ボックスジャンプでの「テールタップ」とスタイル溢れるランでまとめ、52.40ptとスコアを少し伸ばして3位で大会を終えた。

大会結果

BMXフリースタイル・パーク

左からリザエフ、中村、松本の順 ©JFBF

<男子エリート>
優勝: 中村 輪夢 (ナカムラ・リム) / 88.80pt
準優勝: イレク・リザエフ (ロシア) / 82.40pt
第3位: 松本 翔海 (マツモト・ショア) / 75.60pt

左から山本、小澤、大池の順 ©JFBF

<女子エリート>
優勝: 小澤 美晴 (オザワ・ミハル) / 64.00pt
準優勝: 山本 結花 (ヤマモト・ユイカ) / 56.80pt
第3位: 大池 水杜 (オオイケ・ミナト) / 52.60pt

<キッズ4アンダー>
優勝: 田村 梛 (タムラ・ナギ) / 49.00pt
準優勝: 西 紡未 (ニシ・ホウミ)  / 39.67pt

<キッズ5-6>
優勝: 平塚 史恩 (ヒラツカ・シオン) / 65.33pt
準優勝: 服部 蒼生 (ハットリ・アオイ) / 57.00pt
第3位: 深町 煌人 (フカマチ・コウト) / 54.00pt

<ガールズ7-9>
優勝: 橋本 ことは (ハシモト・コトハ) / 73.33pt
準優勝: 丹羽 こころ (ニワ・ココロ) / 55.67pt
第3位: 深町 心菜 (フカマチ・ココナ) / 50.67pt

<ボーイズ7-8>
優勝: 中嶋 輝星 (ナカジマ・キセキ) / 63.67pt
準優勝: 西原 碧惟 (ニシハラ・アオイ) / 59.67pt
第3位: 内山 蒔幾 (ウチヤマ・シキ) / 55.00pt

<ガールズ10-12>
優勝: 細川 彩葉 (ホソカワ・イロハ ) / 76.00pt
準優勝: 濱田 琉瑠 (ハマダ・ルル) / 65.33pt
第3位: 橋本 いろは (ハシモト・イロハ) / 60.00pt

<ボーイズ9-10>
優勝: 増井 智秋 (マスイ・チアキ) / 81.00pt
準優勝: 高橋 寿 (タカハシ・ヒサシ) / 74.67pt
第3位: 榊原 岳留 (サカキバラ・タケル) / 63.67pt

<ボーイズ11-12>
優勝: 丹羽 煌貴 (ニワ・コウキ) / 81.33pt
準優勝: 齋木 佑 (サイキ・タスク) / 75.33pt
第3位: 尾後家 優斗 (オゴケ・ユウト) / 64.00pt

<女子13-15>
優勝: 白井 玲恵奈 (シライ・レエナ) / 75.33pt
準優勝: 井上 葵 (イノウエ・アオイ) / 58.67pt
第3位: 野々上 怜那 (ノノウエ・レナ) / 50.33pt

<男子13-15>
優勝: 清水 悠琉 (シミズ・ハル) / 77.67pt
準優勝: 谷本 怜雅 (タニモト・リョウガ) / 59.00pt
第3位: 赤塚 ヒロキグスティ (アカツカ・ヒロキグスティ) / 54.33pt

<エキスパート>
優勝: 間瀬 虎太郎 (マセ・コタロウ) / 67.00pt
準優勝: 北見 栄富 (キタミ・エイト) / 61.67pt
第3位: 岡本 琉樹 (オカモト・リュウキ) / 34.00pt

<30オーバー>
優勝: 腰山 雅大 (コシヤマ・マサヒロ) / 68.33pt
準優勝: 下野 雅司 (シモノ・マサシ) / 66.67pt
第3位: 石井 孝佑 (イシイ・コウスケ) / 64.00pt

大会概要

⼤会名称 : 「マイナビ Japan Cup Yokosuka 2025」
開催期間 : 2025年7月18日(金)-21日(月) – 4日間 –
7月18日(金) パーク 男女エリートオフィシャルプラクティス 他
7月19日(土) パーク 男女エリート予選/フラットランド オフィシャルプラクティス 他
7月20日(日) パーク 男女エリート決勝/フラットランド 男女エリート予選 他
7月21日(月・祝) パーク チャレンジクラスオフィシャルプラクティス/決勝・ベストトリック フラットランド 男女エリート決勝 チャレンジクラス決勝

※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:横須賀市ヴェルニー公園 いこいの広場(神奈川県横須賀市汐入町1丁目1)
主催: 一般社団法人 全日本フリースタイルBMX連盟(JFBF)
共催:横須賀市
後援:神奈川県
特別協賛:株式会社 マイナビ
協賛:鎌ケ谷巧業株式会社、一般財団法人シティサポートよこすか、横須賀ビール 
協力 :いちご よこすかポートマーケット、京浜急行電鉄株式会社、有限会社 TSUNAMI、株式会社トライアングル、法塔ベーカリー、株式会社ヤチヨ、よこすかseaside パートナーズ、YOKOSUKA SHELL、一般社団法人横須賀市観光協会、横須賀商工会議所青年部、横須賀BMX協会

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