日本のBMXフリースタイルの未来を感じさせた一戦。次世代が国際大会で大活躍「Vendée Freestyle Session」

2024.03.30
優勝を果たした小澤美晴
photograph by Japan Cycling Federation

BMXフリースタイル種目の国際大会でClass-1(下記C1)に該当する「Vendée Freestyle Session」が、2024年3月22日(金)~24日(日)にわたりフランスにて開催された。今回日本のBMXフリースタイル界の次世代を担う2名が参戦し、女子エリートカテゴリーにて小澤美晴(岐阜県/14歳)が優勝。男子エリートカテゴリーでは松本翔海(福岡県/14歳) が5位入賞し、共に今季ワールドカップシリーズへ出場するためのUCIポイントを獲得した。

今年はオリンピックイヤーとなる2024年。BMXフリースタイル種目は5月と6月にオリンピック予選大会が開催されるなど、夏の本戦に向けた代表枠争いもいよいよ大詰めとなる中で、当大会にも派遣予定である中村輪夢溝垣丈司内藤寧々の3名をはじめとしたパリオリンピック代表候補選手たちに注目が集まっているのは言うまでもない。
しかしその一方で、次回の2028年ロサンゼルスオリンピックでの活躍が特に期待されているのが、今回のC1国際大会で大活躍した小澤美晴松本翔海の2名だ。

photograph by Japan Cycling Federation

今大会はC1というカテゴリーに分類され、他国際大会に比べると獲得できるUCIポイントは比較的少ない大会ではあったがそれでもワールドカップで活躍する強豪選手も多く出場したこともあり、今回の2人の成績はさらに上の舞台での活躍が期待できることを証明するもので、出場資格を得た今季のワールドカップシリーズでの彼らの走りに注目せざるおえない。

本記事では、そんな次世代として注目されている2人の今大会のライディングにフォーカスを当てて紹介する。

大会リポート

女子フリースタイルパーク:小澤美晴(オザワ・ミハル)

鮮烈なエリートカテゴリデビューを果たした小澤美晴
photograph by Japan Cycling Federation

現在、国内では負けなしの日本女子BMXフリースタイルパーク界の次世代期待の星がいよいよエリートカテゴリーに出場。ワールドカップ参戦中の小澤楓を兄に持つ彼女は、今大会で得意とするバースピンを中心とした「バースピン・360」や「バースピン・X-up」、そして男子顔負けの「トランスファーテールウィップ」などコンボトリックを各セクションで見事にメイクすると今大会女子唯一の90ptを叩き出し、鮮烈なエリートカテゴリーデビューを果たした。

大会後に小澤は「予選トップ通過で決勝に進み、優勝することが目標でした。初めてのエリートクラスでしたが落ち着いて練習から参加することができ、決勝では 「トランスファーテールウィップ」を決めて目標通り優勝できたので嬉しかったです。UCIポイントを獲得できたので、次戦ワールドカップ・モンペリエ大会は必ず挑戦します。やりたい技をしっかりと大会でも出せるように練習し、モンペリエの大会でいい成績を残したいです。」と次大会への期待を感じさせる力強い言葉を残した。

小澤は昨年JFBFシリーズ戦にて年齢別で軒並み優勝を果たしており、2022年にはUCIワールドカップゴールドコースト大会にてJr.ガールズクラスで優勝、またCHIMERA A-SIDE THE FINALでも優勝と国際大会で結果を残している。コースの外ではアパレルブランド「Gap」のプロモーションビデオにてモデル起用されるなど活動を幅を広げている彼女の今後の活躍に目が離せない。

男子フリースタイルパーク:松本翔海(マツモト・ショア)

5位入賞でエリートカテゴリー初戦を終えた松本翔海
photograph by Japan Cycling Federation

そして現在、日本の男子BMXフリースタイルパーク界を牽引している中村輪夢、ワールドカップシリーズで戦う溝垣丈司小澤楓のメンバーに食い込む好成績を残した松本。幼少期から折り紙付きの高いスキルを持っていた彼だがここ数年の活躍は特に顕著だ。

今大会にてエリートカテゴリーは初出場となったが、それまでも国内の年齢別では大半の大会で優勝を果たすと昨年もJFBFシリーズでは年間王者に輝き、国際大会では2022年のUCIワールドカップ・モンペリエ大会とゴールドコースト大会にてジュニアメンカテゴリーで優勝、昨年のUCIワールドカップ中国大会ではアマチュアクラスで4位と着実に力を付けている。

そんな彼は今大会で「トリプルバースピン・360」や「フレアバースピン」など高難度なトリックを安定して決めるだけではなく、各セクションにトリックを入れ込みながら会場を大きく使うバリエーションの多さも披露するライディングで、現在UCI個人ランキング3位のアンソニー・ジャンジャンなどの強豪選手たちも参加する中で76ptを残し5位入賞となった。

大会後に、松本は「エリートクラスはレベルが高く今まで以上に緊張しましたが、予選・決勝に進んでいくうちに楽しむことができました。決めていた技を全て完璧にはこなせなかったですが、決勝ではハイエアーの「フレアバースピン」をメイクできました。次戦ワールドカップ・モンペリエ大会にも出場予定なので、 今回の反省点を踏まえてまずは決勝進出を目指して少しでも良い結果を残せるように努力します!」と今季のワールドカップシリーズへの意気込みを語った。

男女ともに将来有望選手を次世代に多く有している日本のBMXフリースタイルパーク界。次世代の若い力がこれからもこのようにどんどん世界へ挑戦し、活躍していくことで今後オリンピックなどの世界最高峰の舞台で輝く選手たちが生まれていくのだろう。

また若い選手が活躍することで競技としてだけではなく、遊びとしてのスポーツの魅力も相乗効果で広まっていくと考えられるため、今後もこのムーブメントを途切らせずサポートし続けながら、BMX業界がさらに発展していくことを期待したい。

今後の次世代選手たちの活躍にも要注目だ!

大会結果 

photograph by Japan Cycling Federation

<女子エリート>
優勝: 小澤 美晴 (オザワ・ミハル) / 日本 90.00pt
準優勝: インディ・クレマー / オランダ 83.00pt
第3位: ローリー・ペレス/ フランス 80.00pt

<男子エリート>
優勝: アンソニー・ジャンジャン / フランス 90.00pt
準優勝: ウェイ・リーフ/ イギリス 85.00pt
第3位: ケビン・ファブレーグ / フランス 84.00pt
5位: 松本 翔海 (マツモト・ショア) / 日本 76.00pt

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