日本人選手のパリオリンピックへの切符の行方は。日本人最高位は中村輪夢の8位「オリンピック予選シリーズ ブダペスト大会」BMXフリースタイル・パーク種目

2024.06.27
中村輪夢のライディング Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC
Photo:Handout image supplied by OIS/IOC, ©︎Naoki Gaman : Japan Cycling Federation

パリオリンピック最終予選大会「オリンピック予選シリーズ(略称:OQS) の2戦目となるブダペスト大会がハンガリー・ブダペストにて2023年6月20日(木)~23日(日)にわたり開催され、競技3日目となる22日(土)にBMXフリースタイル・パーク種目の決勝が行われた。男子はフランスのアントニー・ジャンジャン、女子はアメリカのハンナ・ロバーツが優勝。なお日本人最高位は男子の中村輪夢選手の8位となった。

約2年間続いたオリンピック予選大会もいよいよ最後となった今大会。このOQSでは前回の上海大会と、今回のブダペスト大会の結果を合計したポイントランキングを元にトップ6の選手個人(ただし国別最大2枠まで)に割り当てられる形となる。

それ以外の代表枠については、2022年のUCIアーバンサイクリング世界選手権で男女各2枠、2023年のUCI自転車世界選手権で男女各3枠、そしてオリンピック開催国であるフランスが男女各1枠という形で各大会の成績に応じて全大陸に行き渡るように国に割り当てられ、男女ともに計12枠がパリオリンピック出場選手に与えられるという仕組みだ。

ただ実質上、過去の成績に関係なく全ての選手にパリオリンピック代表権獲得のチャンスがあるのはこのOQSの2大会だけなので、パリオリンピックへの切符が与えられるこの狭き6枠に残るべく、上海大会同様に壮絶な戦いが繰り広げられた。

本記事では入賞者3名のライディングと日本人選手たちのパフォーマンスに関してクローズアップする。

女子カテゴリーは東京オリンピック銀メダリストのハンナ・ロバーツが優勝。日本の内藤は大技に挑戦するもメイクできず19位で予選敗退。

女子カテゴリーには各国から選ばれた20人が参加し、決勝は予選を勝ち抜いた12人で行われた。日本からは全日本チャンピオンの内藤寧々が出場し、東京オリンピック銀メダリストのハンナ・ロバーツ (アメリカ合衆国)や同大会金メダリストのシャーロット・ワージントン (イギリス)、加えて日本の最大のライバルで強豪国である中国人選手など世界トップ選手たちが凌ぎを削る戦いを見せた。 

ハンナ・ロバーツのライディング
Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC

そんな並いる強豪選手を抑えて優勝し、パリオリンピックに向けて弾みを付けたのはハンナ・ロバーツ。ラン1本目では「360・タックノーハンダー」を皮切りに、難易度の上がるスパインでの「テールウィップ」 や「フレア」など様々なバラエティのトリックをメイクし93.48ptをマークし暫定1位に。

その後も最終出走者の彼女のスコアを上回る選手はいなかったためウイニングランとして迎えた2本目では、スタイルのある「360」でランを始め、コース上を流しながらライディングし途中でランを終えるとチームのところへ駆け寄りパリオリンピック代表権獲得を喜びあった。

ペリス・ベネガスのライディング
Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC

準優勝はライダーたちが選ぶNORA CUPにて2023年の「ウーマンライダーオブザイヤー」に選ばれた、実力と人気を兼ね備えているベテランライダーのペリス・ベネガス。昨年に前十字靭帯の大怪我を経験した彼女が今大会で完全復活した姿を示した。

ペリスは1本目で「スイサイド・ノーハンダー」や「タイヤグラブ to X-Up」などスタイル溢れるトリックをメイクしていき84.90ptをマーク。2本目ではさらなるスコアアップを目指し、1本目のランを完成度を上げていく。各ジャンプでハイエアーと共にトリックを繰り出す中で、中盤ではクオーターでの大きなトランスファーの中に「X-up」を入れ込んだり、スパインへのステップアップトランスファーで「タックノーハンド」をメイクするなど難しいセクションでのトリックメイクが光るランで、得点を91.92ptと大きくジャンプアップさせ準優勝を収めた。

スン・ジアキのライディング
Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC

3位になったのは中国を代表するトップ選手のスン・ジアキ。前回の上海大会で準優勝した彼女は、1本目では「バースピン・X-Up」をはじめ、「360」やクオーターでの豪快な「テールウィップ」など完成度の高い堅実なライディングで86.00ptをマークした。更にスコアアップを目指すべく、2本目ではファーストトリックとしてスパインでの「バックフリップ」をメイクすると「360・キャンキャン」や、得意とする豪快な「テールウィップ」を完璧にメイクしてランをフルメイクで終えるとスコアを91.30ptに引き上げて3位入賞を果たした。

内藤寧々のライディング
©︎Naoki Gaman : Japan Cycling Federation

一方で、内藤は予選1本目でスタイルのある「ターンダウン」や「ルックバック」をメイクしていくも、中盤のクオーターでの「テールウィップ」ではスリップダウンもありスコアを伸ばせず47.60ptとする。
今大会の予選は2本のランの平均点が最終スコアとして扱われるフォーマットであるため、表彰台獲得レベルの得点を残さないと決勝進出が難しい展開に。2本目では1本目のランをブラッシュアップした上で、2度の「フレア」にトライするも失敗してスコアを34.60ptとし、最終スコアは41.10ptとすると19位で決勝進出の上位12位の座を逃した。

今大会で見られたのはトリックの難易度が全てではなく、コース内の様々なセクションを活用しながらその中でもいかに難しい角度から飛び出したり、難しいセクションの使い方の中でトリックをメイクできるかという部分が評価されていたように感じた。それが顕著に見られたのが準優勝したベネガスのランだろう。

今大会は近年では珍しい、ボックスジャンプのないコースレイアウトが採用されていたこともあるが、パリオリンピックにおいて高難度トリックだけではなく、セクションの使い方にも注目が集まりそうだ。

男子カテゴリーはフランスのアンソニー・ジャンジャンが2大会連続優勝。日本人最高位は中村の9位。溝垣は14位で惜しくも予選敗退。

男子カテゴリーでは、参加選手24人の中から前日の予選を勝ち上がった上位12人によって争われた。今大会に日本からは中村輪夢溝垣丈司が出場し、中村が予選7位で決勝進出を果たした。一方で東京オリンピック金メダリストのローガン・マーティン (オーストラリア)が度重なる失敗でまさかの予選敗退となるなど波乱の展開もある中で、世界のトップ選手たちが6枠のパリオリンピック出場権をかけて争う熾烈な戦いとなった。

アントニー・ジャンジャンのライディング
Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC

そんな戦いで見事優勝を収めたのは前回の上海大会の優勝者のアントニー・ジャンジャン。自信に満ち溢れた表情で決勝ランを迎えた彼は、1本目からスパインでの「720・バースピン」「360・ダブルテールウィップ 」「900」など超高難度のトリックを詰め込み、ラストトリックには「フレア・ダウンサイドテールウィップ」を決めてフルメイクするランを見せ、93.30ptをマークすると暫定1位に躍り出た。ラン2本目ではさらにリードを伸ばすため、1本目の同じトリックの完成度上げるライディングを見せて93.40ptをマーク。1本目を上回ることはできなかったがその後も93.40ptを超える選手はいなかったため優勝を勝ち取った。

マーカス・クリストファーのライディング
Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC

優勝したジャンジャンに続き準優勝したのはマーカス・クリストファー。上海大会では転倒もあり悔しい思いをした彼は今回屈辱を晴らすように予選を1位で通過。
そんな中で迎えた決勝ラン1本目では「バックフリップ・バースピン to テールウィップ」を皮切りに「フレア・トランスファー」や「フレア・テールウィップ」など超高難度トリックをメイクしていき、最後は「900」を決めて強さを見せるライディングで92.98ptをマーク。

2本目ではなんとか1位にジャンプアップするべく、1本目のトリックの完成度を上げながらクオーターで「トリプルテールウィップ」をメイクするも、その後の「フレア・トランスファー」でボトム落ちをしてしまい、次のトリックには続けられずランを中断。惜しくも優勝には手が届かなかったがパリオリンピックに繋げる好成績を残した。

キーラン・ライリーのライディング
Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC

そして上海大会に続き、連続で3位入賞を果たしたのは現世界チャンピオンのキーラン・ライリー。ラン1本目はダイナミックな「フロントフリップ」で始めると「トリプルテールウィップ」、「フレア・テールウィップ」など高難度トリックを綺麗にメイクし87.23ptをマーク。

2本目では優勝争いに食い込むため1本目のランをアップデートするライディングを見せる。ファーストトリックを「フロントフリップ・タックノーハンダー」に変更すると、その後は「720・テールウィップ」や「360・トリプルバースピン」などをメイクしていきラストトリックには「ダブルフレア」をメイク。このビックトリックのメイクには本人も吠えて喜びを示し、満足そうな表情を見せた。スコアを92.05ptとすると見事自身の順位を押し上げて3位表彰台の座を獲得した。

中村輪夢のライディング
©︎Naoki Gaman : Japan Cycling Federation

今回良い成績を残してパリオリンピック代表枠を獲得しておきたい中村輪夢は前日の予選を7位で通過し、決勝には1組目6番目で登場。1本目のランではまず「720・バースピン to ルックバック」から、3メートルのクオーターから大きく飛び出す高さのあるダイナミックな「インバート」やクオーターでの「フレア・ルックダウン」を決めるなど高難度トリックにスタイルが光るライディングで、89.00ptをマーク。

表彰台争いに食い込むために90点台が欲しい中で迎えた2本目はファーストトリックを「720・タックノーハンダー」に変更し、「バックフリップ・バースピン」などもメイクしたが、全体的に高得点は繋がるようなトリックを入れ込めずランを終えると1本目の得点が採用されて8位で大会を終えた。

溝垣丈司のライディング
©︎Naoki Gaman : Japan Cycling Federation

溝垣は予選ラン1本目にて初めからスタイルのあるライディングで会場を沸かせる。「360・トリプルバースピン」や、距離のある大きなトランスファー、そして何度も「540」や「バースピン」を混ぜ込むトリックアフタートリックなど良い流れで進めていくと、最後には「バースピン・90 to フェイキー」をヒップセクションで決めて75.22ptというスコアをマークした。

ラン2本目では1本目のランをブラッシュアップしながら、ウォールライドからの「バースピン」や独特なセクションを使ったスタイルのライディングを見せ、そして最後には1本目より長い距離を後ろ向きに進む「バースピン・90 to フェイキー」を決め切ったが、スコアは1本目をわずかに伸ばすも75.43ptにとどまった。2本のランの平均点となる75.32ptを最終スコアにして全体14位となり、内藤同様に惜しくも予選敗退となった。

今回はパリオリンピック代表枠をかけた本当の意味で最後の戦いとなったが、オリンピック予選シリーズ(OQS)の独特な競技フォーマットであるラン2本の平均点採用に予選から溝垣と内藤は大苦戦を強いられ辛酸を舐める結果となった。

一方で今大会で良い結果を残してパリオリンピック代表権を獲得したかった中村は惜しくも8位で大会を終えたことで代表枠が獲得できるトップ6に残れず、本シリーズでの出場枠を確保することはできなかったが、まだ彼の2022年世界選手権での優勝という成績が出場権の行方を握っているため、引き続き続報を待ちたい。

大会結果

Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC

<男子>
優勝: アントニー・ジャンジャン (フランス) / 93.40pt
準優勝: マーカス・クリストファー (アメリカ合衆国) / 92.98pt
第3位: キーラン・ライリー (イギリス) / 92.05pt
8位: 中村 輪夢 (ナカムラ・リム) / 89.00pt
14位: 溝垣 丈司 (ミゾガキ・ジョージ) ※予選順位 

Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC

<女子>
優勝: ハンナ・ロバーツ (アメリカ合衆国) / 93.48pt
準優勝: ペリス・ベネガス (アメリカ合衆国)/ 91.92pt
第3位: スン・ジアキ (中国) / 91.30pt
19位: 内藤 寧々 (ナイトウ・ネネ) ※予選順位

パリオリンピック代表内定選手一覧 (OQS後、6月23日時点)

Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC

<男子>
1. アントニー・ジャンジャン (フランス)
2. キーラン・ライリー (イギリス)
3. マーカス・クリストファー (アメリカ合衆国)
4. グスタボ・オリベイラ (ブラジル)
5. ジャスティン・ドーウェル (アメリカ合衆国)
6. マリン・ランテス (クロアチア)

Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC

<女子>
1. ハンナ・ロバーツ (アメリカ合衆国)
2. スン・ジアキ (中国)
3. ペリス・ベネガス (アメリカ合衆国)
4. デン・ヤーウェン (中国)
5. ニキータ・デュカロス (アメリカ合衆国)
6. ナタリア・ディーム (オーストラリア)

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