悪天候にも負けない国内最高峰の戦い「マイナビ Japan Cup Yokosuka」BMXフリースタイル・パーク/フラットランド種目

2024.10.07
優勝した中村輪夢と小澤美晴
Photo: ©︎Naoki Gaman, Satoshi Saijo / JFBF

BMXフリースタイル「マイナビ Japan Cup Yokosuka」がうみかぜ公園 (神奈川県横須賀市)にて、2024年9月26日(木)、28日(土)、29(日)の3日間に渡り開催され、パーク種目にて男子は中村輪夢選手が、女子は小澤美晴選手が優勝。フラットランド種目では男子で片桐悠選手が、女子は吉村想花選手が優勝を果たした。

神奈川県横須賀市の全面バックアップの下、2022年から開催されている本大会は今回で3回目。今回も世界を舞台に活躍する実力派日本人選手や次世代の注目選手が出場し、フリースタイル・パークではキッズ4アンダーから男女エリートまで計13カテゴリー、フラットランドでは6アンダーから男女エリートまで計10カテゴリーの選手たちによって、ハイレベルな競技が繰り広げられた。

また昨年から国際自転車競技連合(UCI)のClass1(通称C1)カテゴリに当たる「国際大会」として開催されており、今回も大会結果が世界大会出場に直結するため、国内の有力選手だけでなく韓国人ライダーも出場した。 

そして会場となったうみかぜ公園はダートジャンプコースやスケートパークが併設された公園でありBMXライダーたちにはお馴染みのBMXシーンを牽引してきた聖地の一つ。近年ではストリートの大会としてBMXメディアのMOTOBUNKAが主催する「MOTO-CUP」も開催されるなど、さらに神奈川から国内外へBMXのカルチャーを発信する中心地としてもこの横須賀の「うみかぜ公園」は注目を集めている。

そんなBMXのカルチャーが根付くこの地に開催された今大会は、2022年から大会レガシーとして残されているセクションを中心に会場が設営された。なお今回は天候不良により27日(金)と29日(日)のプログラムは中止となり、エリートカテゴリーは女子フラットランドを除き、28日(土)に行われた予選の結果を最終順位として採用となった。

以下は、今大会注目のパーク種目エリートカテゴリー入賞者のライディングを紹介

BMXフリースタイルパーク種目にて、男子はパリ五輪5位入賞の中村輪夢が、女子はその強さ止まるところ知らない小澤美晴が優勝。

男子エリート

男子エリートクラスは、決勝が中止となったことから結果的に参加選手16名の中から予選の成績を元に今大会の優勝者を決めることになった。今回は優勝候補の中村輪夢溝垣丈司、小澤楓など国内外で活躍する日本人選手たちに韓国人選手のキム・ヨンホを加えたアジアトップクラスの選手たちによりハイレベルな戦いが繰り広げた。なお予選はラン2本のスコアのアベレージが最終スコアとして採用されるフォーマットだ。

中村輪夢のライディング©︎Naoki Gaman / JFBF

そんな戦いの中、圧倒的な得点差で優勝を果たしたのは中村輪夢。この夏世界中を感動の渦に巻き込んだパリオリンピックでは5位入賞、先日の「X Games Chiba 2024」では銀メダルを獲得し、今後の更なる活躍に期待が集まっている彼。

ラン1本目は「バックフリップ・バースピン to バーバック」や「フレア・ダブルバースピン」、「バースピン720」など高難度トリックの数々を余裕の走りでメイクすると、ラン2本目では1本目のトリックの精度を上げ、「バックフリップ・バースピン to バーバック to バースピン」や「タックノーハンド720」、「360インバート」などスタイルもしっかり取り入れたランで今大会最高得点をマークし昨年大会に引き続き2連覇を果たした。

小澤楓のライディング ©︎Naoki Gaman / JFBF

準優勝は前回の名古屋大会の覇者である小澤楓。ひとつひとつのトリックの精度の高さにい定評のある彼は、ラン1本目にてボックスジャンプでバックワーズの面ピタ「360」からランを始めると「バックフリップ ・ダブルバースピン」や「フレア」など高難度のトリックを次々にメイク。最後はスパイン to スパインのセクションで「ディップスリー」を2連続で決めて見せた。

ラン2本目では1本目のアップデートを目指し「バックフリップ・テールウィップ」や、スパイン to スパインでの「トラックドライバー」と「360・テールウィップ 」など見事メイクしてフルメイクでランを終えたが、中村には一歩と届かず今大会は2位という結果となった。

松本翔海のライディング ©︎Naoki Gaman / JFBF

3位は15歳の最年少ライダーとして頭角を表している松本翔海。ラン1本目では「バックフリップ・テールウィップ 」や「ダブルトラックドライバー」、「720」をはじめとした高難度トリックを数々メイクしフルメイクで終えると、2本目では1本目のルーティンの中で「バックフリップ・テールウィップ」の完成度を上げて、スパインでの「バックフリップ」やクオーターでの「540・バースピン」などさらにトリックセレクションをアップデートしたライディングで高得点を叩き出し、今回表彰台の座を手にした。

女子エリート

一方、女子エリートクラスは東京オリンピック日本代表の大池水杜と現全日本チャンピオンの内藤寧々、そして国際大会で優勝を含む見事な好成績を残し鮮烈なエリートデビューを果たした小澤美晴を含む8名で争われた。ただコース上はかなり風に煽られる展開に各選手が苦戦する様子が見受けられた。

小澤美晴のライディング ©︎Naoki Gaman / JFBF

今回、見事優勝を収めたのはここ最近国際大会での活躍が顕著な小澤美晴。女子の中では世界最高峰と言われるほどのトリックセレクションを有する彼女は1本目からボックスジャンプでの「トラックドライバー」や「テールウィップ」を始め、スパイン to スパインでの「トボガン」や「キャンキャン」そして最後はクオーターでの「X-Up」まで見事なトリックアフタートリックを見せた。

ラン2本目では強い風が吹いている中にも関わらず見事な「バックフリップ」をボックスジャンプでメイクすると、クオーターでも完璧なペダルキャッチの「テールウィップ」やスパインでの「360」など女子では一筋縄では決め切れないトリックを余裕を持ってメイクする姿に強さを感じた。今大会の優勝により国内大会は名古屋大会に続き2連覇。来月の全日本選手権での活躍にも期待だ。

山本結花のライディング ©︎Naoki Gaman / JFBF

準優勝は小澤と同じく若手ライダーとして成長著しい山本結花。豪快なエアーの中にスタイル溢れるトリックを入れてくる彼女はラン1本目で、ボックスジャンプでの「360」やクオーターでの「テールウィップ」、そしてスパイン to スパインをトランジションに使用すると最後はクオーターで「540」を綺麗にメイクした。ラン2本目では1本目をアップデートはできなかったがクオーターでの「テールウィップ」や「アリウープ・X-Up」は彼女のスタイルを感じるものだった。1本目のランが高評価を受け平均点を伸ばし見事2位を勝ち取った。

内藤寧々のライディング ©︎Naoki Gaman / JFBF

3位は日本代表として国内の女子BMXフリースタイル界を牽引する内藤寧々。ラン1本目ではビッククオーターでのダイナミックな「ルックバック」を皮切りに、クオーターでの「テールウィップ」、そしてスパイン to スパインでの「X-Up」と「ターンダウン」の2連続をメイクしフルメイクでランを終えた。

ラン2本目では全体的にパークを使いながら各セクションでトリックを加えていくライディングに変更。中盤ではクオーターからスパイン to スパインでのトリックアフタートリックで「X-Up」、「ターンダウン」、「X-Up」と繋いでいくも風の影響もあってか、どこかトリックは温存しているような雰囲気だったが予選の結果が最終成績となったため今回は惜しくも3位で大会を終えた。

大会結果

BMXフリースタイル・パーク

©︎Naoki Gaman / JFBF

<男子エリート>
優勝: 中村 輪夢 (ナカムラ・リム) / 90.38pt
準優勝: 小澤 楓 (オザワ・カエデ) / 82.00pt
第3位: 松本 翔海 (マツモト・ショア) / 75.63pt

©︎Naoki Gaman / JFBF

<女子エリート>
優勝: 小澤 美晴 (オザワ・ミハル) / 76.75pt
準優勝: 山本 結花 (ヤマモト ユイカ) / 62.25pt
第3位: 内藤 寧々 (ナイトウ・ネネ) / 60.38pt

<キッズ4アンダー>
優勝: ナカジマ・ソウシ / 61.00pt
準優勝: イワサキ・ウタ / 53.00pt

<キッズ5-6>
優勝: サカキバラ・カナタ / 67.27pt
準優勝: ウチヤマ・ナル / 66.90pt
第3位: ハットリ・アオイ / 63.67pt

<ガールズ7-9>
優勝: ハシモト・コトハ / 74.75pt
準優勝: ウメバヤシ・ユマ / 73.63pt
第3位: ニワ・ココロ / 68.75pt

<ボーイズ7-8>
優勝: マスイ・チアキ / 80.50pt
準優勝: コジマ・ルカ / 61.13pt
第3位: コバヤシ・アラタ / 55.20pt

<ガールズ10-12>
優勝: ホソカワ・イロハ / 79.00pt
準優勝: イノウエ・アオイ / 72.50pt
第3位: ハマダ・ルル / 63.38pt

<ボーイズ9-10>
優勝: タカハシ・ヒサシ / 74.38pt
準優勝: サイキ・タスク / 74.13pt
第3位: ミズノ・コウメイ / 72.00pt

<ボーイズ11-12>
優勝: タニモト・リョウガ / 79.13pt
準優勝: ニワ・コウキ / 73.88pt
第3位: イラブ・ルナ/ 73.25pt

<女子13-15>
優勝: オクザキ・トモカ / 67.50pt
準優勝: シライ・レエナ / 66.50pt
第3位: ヨシダ・ミオ / 64.38pt

<男子13-15>
優勝: ハヤシ・ショウゴ / 86.00pt
準優勝: シミズ・ハル / 84.33pt
第3位: ニシシタ・シオン/ 80.00pt

<エキスパート>
優勝: エンドウ・リクト / 60.67pt
準優勝: ナカガワ・ミズキ / 58.83pt
第3位: オカモト・リュウキ / 50.67pt

<30オーバー>
優勝: イシイ・コウスケ / 65.00pt
準優勝: シモノ・マサシ / 64.67pt
第3位: ハマダ・タカシ / 56.30pt

BMXフラットランド

©︎Satoshi Saijo / JFBF

<男子エリート>
優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 89.75pt
準優勝: 佐々木 元 (ササキ・モト) / 88.25pt
第3位: 伊藤 真人 (イトウ・マサト) / 85.00pt

©︎Satoshi Saijo / JFBF

<女子エリート>
優勝: 吉村 想花 (ヨシムラ・ソナ) / 79.50pt
準優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 79.25pt
第3位: 清宗 ゆい (キヨムネ・ユイ) / 70.25pt

<キッズ6アンダー>
優勝: サエキ・ミア / 49.33pt
準優勝: ハラフジ・ミナル / 44.33pt

<ガールズロー>
優勝: マスブチ・シズク / 52.33pt
準優勝: ヤマザキ・キッカ / 49.67pt
第3位: オカザキ サラ / 48.00pt

<ボーイズ7-9>
優勝: クラウチ・レオ / 56.33pt
準優勝: ハラフジ・ジョウジ / 54.00pt
第3位: ヤマモト・ショウキ / 49.00pt

<ガールズハイ>
優勝: ホンムラ・カリン / 77.00pt
準優勝: タグチ・シホ / 69.00pt
第3位: カドイ・ヒマリ / 66.67pt

<エキスパート>
優勝: ハヤシ・セオン / 78.00pt
準優勝: アカシ・キョウヤ / 77.67pt
第3位: ワタナベ・ソウタ/ 77.33pt

<30オーバー>
優勝: フジイ・セイジ / 73.00pt
準優勝: ハマダ・タカシ / 72.33pt
第3位: ヤマシタ・ノブオ / 69.00pt

大会概要

⼤会名称 : 「マイナビ Japan Cup Yokosuka」
開催期間 : 2024年9月26日(木)、28日(土)、29(日) – 3日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場::神奈川県横須賀市 うみかぜ公園(神奈川県横須賀市平成町3-23)
主催: 一般社団法人 全日本フリースタイルBMX連盟(JFBF)
共催:横須賀市
後援:一般社団法人 日本アーバンスポーツ支援協議会
特別協賛:株式会社 マイナビ
協賛:鎌ケ谷巧業株式会社、横須賀ビール 
企業版ふるさと納税:一般社団法人防災・防犯自販機協会、株式会社地域みらいコンサルティング 
エントリー数::パーク132人(うち海外選手1名)、フラットランド82名 

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