『ストリートから挑むシルク・ドゥ・ソレイユの舞台 』 BMXアーティスト吉田尚生

2018.08.20

今年3月、幼少期の夢でもあったシルク・ドゥ・ソレイユの舞台に立ったBMXアーティスト吉田尚生。

双子の兄、幸生と共に15歳からBMX Flatlandを始め、19 歳の時に単身でフランス へ渡り、国際大会での 優勝を飾る。その後、ヨーロッパ、アメリカと各地を転戦し、世界を舞台に活躍するライダーとなる。

一度会社員となるも夢を諦められずにBMXの世界で舞い戻り、世界最高峰のエンターテイメントの舞台であるシルク・ドゥ・ソレイユ新作ワールドツアーショー「VOLTA」に出演を果たす。

情熱を持って自分のやりたいこと、幸せを追求し、夢を実現させた「BMXアーティスト吉田尚生」に迫った。

吉田尚生:挫折の方が当たり前のように多くて、そんなところを皆が見てくれていたのだなと思うと、頑張っていきたいと思って。

吉田常夫: 学校帰ってから、ご飯を食べて出て行くんです。競技用の自転車のままで行きますから、電気が付いていない訳ですよ。一回パトカーに捕まり電話がかかってきたことがあります(笑)。

僕自体最初の頃、シルク・ドゥ・ソレイユがフジテレビ系でやると言っていた時、お手伝いをさせて頂いていて。その時、僕が急に顔を出さなければならないとき、 ナオを連れて一緒に行った事もあって、そういう意味で、空気を味わっていたかもしれないです。        .

佐久間陽介:当時日本の中でたぶん、BMXでシルク・ドゥ・ソレイユに受かったのは自分が初めてのことで、最初の頃気づかなかったのですが、BMXのプロになって何をしたかったのかずっとモヤモヤしていて、プロになったら、絶対に飯を食っていける世界があると思っていたが、実際になってみたら全然違っていて“どうなっているの”となった。

何かのイベントでダンサーと知り合い、“シルク・ドゥ・ソレイユを知っているか”と言われ、それから家に帰りYouTubeで調べて、もう電気が走り“これだ”と思いました。

“なお”は、色々なカルチャーを知っていて、音楽だったり、スケボーだったり、アートだったり。BMXってBMXだけの人が多い。それは昔からそうで、それがすごくもったいない、でも“なお”はそれが出来ている人間だから絶対にいい方向を見せてくれると思う。

黒田学:その営業の人がまず面接をして、僕は2次面接だったのですが、どうしてもそいつが欲しいと。彼の場合はとても話しぶりとか、よく出来た人なので、それと必死さがとてもあった。

“社会人として、教えてください”的な非常に真面目な性格だった。エピソードとしては、僕は最初に歓迎会をやってあげた。隣におじさんたちが二人いたのですが、何か自転車の話を始めたら、彼がピクっと動いて僕らの話はそっちのけに、営業をし始めたんです。“おいちょっと待て、と みんな一緒に飲んでいる時、席を離れるとは何事じゃ”と怒ったことがあります。

それくらい一生懸命なのだと思いました。やはり彼の良いとこはチャンスを逃したくない、ならば逃すなと、少し僕らも夢を乗せている感じがありますね、彼にね。せっかくならやってやれと。

吉田幸生:彼の方が一週間早いぐらいです。15年位前になります。もともと、僕とナオで始めて、後は同級生の友達2人の4人で遊んで、家の前とかで練習をしていた。たまたま地元でローカルがあると雑誌で知り、そこから行くようになりました。

常に、比べられる時もあるので勿論、意識はしますし、常に相談されていたので、彼が、もしかしたらシルク・ドゥ・ソレイユに行くかもという話で“やばいじゃん”て。

嬉しい反面、実際に長期で2年に行くとなったとき、とても複雑な気持はありました。これだけ長い時間離れるという事が今までなかったので。今まで2人でやってきた分を、僕一人で色々やっていかなきゃいけなかったりとか。やはりどちらかと言うと、頑張って欲しいなという事の方が強かったです。

吉田尚生:僕は絵を描く方がすごく小さい頃から好きで、すごく内向的なタイプだった。それを変えてくれたのがBMXであって、僕の中ではすごく大切な2つのツールになっています。

でも大人というのは仕事をしたら“仕事を優先で頑張りなさい”“BMXはちょっと諦めて”と言われたり、絵を描いているときでも“お前、大学を受かりたいだろう”“美大受かりたいだろう”だったらBMXを諦めろと。それでも結局諦め切れなくて。その結果、BMXというものを一つのアートの世界に持ち上げられたという自分の軸があったからこそ、本当にやりたい事、自分も好きな事とリンクしたところだと感じます。

僕は正直、プロBMXライダーとしてずっとやれていたのではなく、社会人も普通にやり、色々な業種の人たちや、地元の友だちを含め多くの業種、本当に沢山の人がいるのですが、当たり前ながら、喜んでくれることの方が圧倒的に多く、“頑張ってきて良かったね”と言ってくれるその言葉が毎回すごく刺さりました。

皆同じ言葉を言ってくれて。自分の言葉であったりとか、パーフォーマンスが少し支えになったりとか、一つ背を押すきっかけになってくれたら、僕は自分がプロだなと思える瞬間だと思うし。そこは1つ目標がクリアに出来たところであり、ようやく自分が自信を持ってプロだと言えるような形となってきたところだと思っています。

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