神奈川県藤沢市を拠点とするマウンテンバイクライダーで、現在BMXシーンの啓蒙を進めている、KOASTAL(コースタル)代表の宮本祐太郎。彼の口から語られた「自転車という遊びは人生に必ず役に立つ」という言葉。それはまさに自転車と苦楽を共にしてきた彼だからこそ伝えられる、これからの若い世代に向けた熱い想いと、このBMXシーンを変えたいという決意の表れだった。
日本のシーンの遅れを身をもって痛感した選手時代
-マウンテンバイクを始めたのはいつですか?
小学5年生の頃、プロマウンテンバイクライダーとして現在活躍している永田隼也と小学校が一緒で同じクラスになった時に、既に隼也がマウンテンバイクを始めていて、それを見て面白そうって思って始めたのがきっかけでした。

-本格的に選手として活動し始めたきっかけを聞かせてもらえますか?
元々は、公園でウィリーとかジャックナイフをして、ただ遊んで楽しむような感じだったんですけど、ある時、隼也に「レースにも出てみたら?」って誘われて、試しに出てみたら楽しかったんですよ。
最初はクロスカントリーという種目の大会に出たんですけど、たまたまそのレース会場が富士見パノラマという施設でダウンヒルのコースがあったので、ダウンヒルも乗ってみたら楽しくて、それから行く先々でダウンヒルのコースがあったり、パークがあったりという感じで、いろんな種目に出会っては、始めていって自然に競技にのめり込んでいった感じですね。

-主にフリースタイルマウンテンバイクライダーとして活動されてきたと思うんですが、現役選手の頃で、特に思い出に残っていることはありますか?
今までマウンテンバイクではダウンヒル、クロスカントリー、ダートジャンプ、パーク、 4X、トライアル、ストリートとほぼ全種目やってきて、その練習としてBMXもレース、パーク、ダートジャンプとやってきた中で、特に一番面白いなって思って、現役最後の方やっていたのがマウンテンバイクのフリースタイル競技でした。

当時、海外遠征もしていたんですが、そこで痛感したのが、海外に比べると日本のシーンがかなり遅れていたことです。
それに危機感を感じて、僕自身、実際に日本人が今までやったことがなかった技をメイクしたり、そういう技の映像をYoutubeで配信して、どうにか日本と海外とのシーンの距離を縮めて、日本のシーンを盛り上げたいと思って必死に活動してきたんですけど、そこで気づかされたのが、上手くても、体を張っても、いくら新しいことにチャレンジしても、食べていけるわけではないっていうことで、選手として食べていくことの難しさをすごい感じましたね。
実際に今の現役選手も日本国内では賞金だけでは食べていけないし、スポンサー等からの契約金をもらえる選手もまだ一握り。ほとんどの選手がバイトや仕事をしたりして生計を立てて競技をやっているような状態ですね。

真剣に取り組んできたこの自転車を通して、このシーンに何かを残したい。

-その経験からこのKOASTALというチームを立ち上げたんですね?
はい、そうです。「選手として食べていくのが難しいという現状は理解できました。じゃあ選手引退後は普通に就職します」ということだと、小学生の頃からこの自転車を自分なりに真剣に取り組んできたのは、なんのためだったんだろうかと思うようになって、何か形に残せないかな?と思って、最初は「じゃあTシャツ作ろう」っていうところから始まったんです。
ただ、KOASTALを立ち上げる前の現役の時から、動画を作ったりとか、ホームページやブログで情報発信したりとか、子どもたちや友達に自転車の乗り方やトリックを教えたりとか、あとはトレイル(ダートコースのこと)のコースビルドもしたし、今の事業活動の原点になることは、気づいたらずーっとしてきていて、それをお金にできるようになった形が今のKOASTALでもあります。
実はKOASTALを始めた時も、特に何かをこうしたいっていう大義名分みたいなものがあった訳ではなくて、この現状をどうにかしたいっていう一心で、思いつきでとにかくやってみるという形で色々行動してきました。
-その活動の中で、同じフリースタイル競技でもマウンテンバイクではなく、どうしてBMXシーンに着目したんですか?
個人的にはBMXとマウンテンバイクに垣根はないと思っています。パークやトレイルへ乗りに行くと、自然にマウンテンバイクライダーもいれば、BMXライダーもいるし、同じひとつのフリースタイルシーンとして、現状マウンテンバイクよりBMXのライダーが多かったっていう、ただそれだけですね。
まあもちろんマウンテンバイク出身なので、もっとマウンテンバイクライダーも増えて欲しいというのが本音ですけどね(笑)

-なるほど、確かに最近は特にキッズのBMXライダーが増えてきましたよね。改めてKOASTALでされていることを簡単に聞いてもいいですか?
KOASTALではマウンテンバイクやBMXという自転車を通して、子どもたちが目標とか夢を実現できる環境づくりをテーマにして活動しています。
今ではスクール、イベント(大会など)、バイクパークの運営、映像制作・配信、ライダーのマネジメントやコーチング、ECでのグッズ販売などと多方面に展開しています。
-確か、溝垣丈司くんとか松浦葵央くんとか、今の若手トップBMXライダーもチームメンバーですよね?

はい。KOASTALを立ち上げたきっかけのひとつとして、周りから憧れられるかっこいいチームを作りたかったというのも背景にあって、BMXを始めた当初からずっと見てきたジョージ(溝垣丈司)や、鵠沼スケートパークのオープン以来一緒に乗って来たダニエル(米田大輔)とか身近なスター性のあるライダーを誘ってチームにしました。
-そうだったんですね。ちなみに湘南を拠点としたチームだと思いますが、KOASTALの名前の由来って何なんですか?
KOASTAL(コースタル)の語源は、英語で沿岸などを意味するCOASTALの「C」を、僕の地元である鵠沼(Kugenuma)の頭文字である「K」とし「KOASTAL」コースタルと読ませているんですが、まさに鵠沼を含んだ湘南発信であることを、チームとしてもブランドとしても表しているんです。
-現在はバイクパークの運営もされているとのことですが、このインタビューの場である、コースタルバイクパークについても詳しく聞かせてもらえますか?

このコースタルバイクパークを造成した背景としては、今まで僕が子どもたちにパークで技や乗り方をずっと教えてきた中で、なんか上手くいかない子や辞めちゃう子がいたり、トップ選手に追い付けない子とかもっと伸びるなって思う子をよく見た時に、共通点があって、それをスムーズに教えられるのがダートだなって思ったので、こういった環境を作ることにしました。

-ダートの方がパークより教えやすかったんですね。
最近は小学生とかでもプロの選手がやるような大技を成功させたり、凄い子も多いですが、みんな華やかな技ばかりに目がいってしまい、単純に自転車を上手く乗るっていう事を忘れてしまっていたんですよね。
それは子どもだけではなくて、親が正しい知識無く「あれやれ、これやれ」みたいに言ってしまっているところもあって、結果、怪我をして乗れなくなってしまう子や、辛くて嫌になってしまう子も沢山見てきました。
自転車を自由に操れるようになれば、もっと技も無理なくできるようになってくることだったりもするんですが、このことを一人一人に毎回伝えるのも難しいので、それを学べる環境を用意した方が早いなって思ったんです。
もう一つの理由は、始めたての子どもたちにとって、パークが敷居の高いものになってしまっていて、いきなり上手な人がバンバン飛んでいる所を見ると「カッコいい!」って思う子だけじゃなくて、逆に「怖い!」って思っちゃう子も多いんですよね。
それに、パークってジャンプやトリックをしてなんぼのところもあって、それが原因でパークに馴染めなくて辞めちゃった子も結構いたので、
まずは楽しく乗ることを知ってもらって、好きになったBMXとかマウンテンバイクを楽しく続けて、上手くなれる環境を作りたかったんです。

-とにかくまずは自転車を楽しんでもらえることが大事ということですね。そんな宮本さんが思うフリースタイル競技の魅力を教えてもらえますか?
国籍とか年齢とか関係なく、一緒に楽しめるのが1番の魅力だと思っていて、例えばサッカーとかだと最初、子どもの頃は同じ年齢とずっとやったりすると思うんですけど、自転車はコースに入ったらすぐ隣にプロライダーがいたりとか、自分も小学生の頃トレイルへ行った時に、康一くん(猪俣康一)とかクニオくん(柳瀬晋男)といったプロライダーがいて、一緒に乗ってくれたので、プロとアマチュアとか、大人と子どもが関係ないこの距離の近さが魅力ですね。
あとはレベルが全然違っても相手をリスペクトし合う文化があることですね。どんな技であろうが、その人が頑張ってメイクしたり、自分の壁を超えた時にお互い称え合う。これも大きなの魅力のひとつだなと思います。
まあ個人的にはジャンプしている時がとても気持ちいいのでそれも魅力です!

-今後このシーンをどう発展させていきたいと思っていますか?
僕としてやりたいことはたくさんあるんですけど、直近としては今やっているスクールを発展させて、まず自転車を習い事にしたいと思っています。
僕が中学生の時に、サッカーとか野球は部活動があったのに、自転車部はなかったんですよね。先生に自転車部作らせてくださいって言ったこともあって、実現はしなかったんですけど、でも習い事としてあってもいいんじゃないかなって、当時小さいながらに思っていました。
なので、現在単発で行っているスクールをサッカークラブやスイミングスクールみたいに長期間で段階的にしっかり教えていける仕組み作りを本当に直近でやりたいです。

長期的には自転車に関わる仕事で食べていける道を作っていきたいと思っています。
僕も最初は、トップ選手の華やかな世界に憧れていましたが、実際にその立場になったらこんなにも厳しい世界なのかって思い知らされました。
今の若い選手や、これから始める子供たちには僕と同じ思いを絶対にして欲しくないです。
だから、今のうちに道を作っておく必要があるんです。ただこういう仕組みを一からひとりで作り上げるのは本当に大変な事だから、僕が先に道を作って、今後彼らの選択肢が広がるようにしておきたいなって思っています。
それが長期的な目標ですかね。長期じゃダメなんですけどね(笑) 早めにやりたいんだけど。
自転車という遊びが人生に役に立つものになることを知って欲しい。

-以前SNSでもつぶやかれていましたが、自身の経験から、今の若手BMXライダーたちに伝えたいことはありますか?
声を大にして伝えたいのは、自分のフィールド(活動の場)は自分で守るということ。今ある環境を当たり前だと思わないで欲しいんです。
コースタルバイクパークの前身として、同じところに13~4年前にFBXというトレイルがあったんですけど、すっごい大変な思いをして作ってきたのに、無くなるのは一瞬でした。

BMXやマウンテンバイクはまだまだマイナースポーツで、ただ乗ってるだけでも何してるんだコイツらっていう目で見られるのが現実です。
しかも、このスポーツのカルチャーのひとつとして、僕らみたいにタトゥーを入れていたり、奇抜なファッションや髪型の人もいます。まだ日本では世間的に良いイメージがないので、余計に変なことしてると思われても仕方ないと思うんです。。
そういうイメージの人達が騒いでいたり、フィールドの扱いが悪ければ、周りから苦情が来て当たり前だし、そんな事が続けば、その場で乗れなくなってしまう事だって全然あり得ます。
だから、当たり前のことなんですけど自分のゴミは持ち帰る。出来れば周りに落ちているゴミがあれば一緒に拾う。「来た時よりもキレイにして帰る」といったそういう小さな取り組みでも積み重ねていくことで、イメージも良くなって、自分たちのフィールドを守っていけると思うんです。
今はオリンピックの影響もあって乗れる場所は増えてきていますが、その後は自分たちで守っていかないとあっという間に消えてしまうかもしれません。
-最後に伝えたいことがあれば
BMXとかマウンテンバイクって結局は「自転車」という遊びだと思いますが、ただこの遊びでも真剣に取り組んでいくことで、人生に役に立つものになるっていうことを知ってもらえるように今後も伝えていきたいです。
実際に今まで僕が取り組んできたこともほとんどが仕事にも繋がっていますし、例えれば、ある技に挑戦して成功させるまでの過程っていうのは、僕が今やっている事業を成功させるための過程と同じことだと思うんですよね。
もちろん仕事が全てではないので、みんながこの遊びを通してそれぞれが今取り組んでいる事に当てはめて、活かしてもらえたら面白いなと思います。
きっと、人生のより良くするためのヒントになるはずです。


宮本祐太郎”MIYA-G(ミヤジ)”プロフィール

1988年12月9日生まれの32歳。神奈川県藤沢市出身のフリースタイルマウンテンバイクライダー。KOASTAL代表、藤沢市自転車協会理事長。これまでのマウンテンバイク・BMXにて多種目に渡って活躍してきた幅広い競技経験を活かし、BMXとマウンテンバイクのスクール「KOASTALスキルアップスクール 」の講師としても活動中。KOASTAL BIKE PARKのコースビルド、ライダーのマネジメント、ウェブサイト・ECサイト運営、YouTube、撮影・映像製作などマルチに活動している。
interview & text by 畠山大樹
SPECIAL EDITION

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dance日本最高峰のブレイキンバトル「THE JAM FINAL by SEIKO」大混戦のBBOY OVER15を制したのはBBOY Steezyskee!2023.02.062023年2月5日(日)、兵庫県西宮市立塩瀬体育館にて「THE JAM FINAL by SEIKO」が開催された。昨年開催された「THE JAM」の成績上位者と前日予選を勝ち抜いたBBOY・BGIRLが集結し、BBOY OVER15部門は16名、BGIRL部門は8名、UNDER15は8名、そして、3ON3部門は8チームで頂点を争った。 「THE JAM」は2018年にBBOY TAISUKEが「THE JAMから世界へ」という理念の元、この舞台で輝き、そして世界へと飛び出していく場となってほしいという思い込めて設立した大会で、今回の「THE JAM FINAL by SEIKO」でも、まさにその理念にふさわしいBBOY・BGIRLが頂点へと駆け上がった。 BBOY OVER15を制したのはBBOY Steezyskee! 左:Hiro10 右:Steezyskee / THE JAM FINAL (c)harugraphics 注目はBBOY OVER15。 昨年のディフェンディングチャンピオンでありJDSF強化選手でもあるBBOY TOA(24)、昨年のRed Bull BC One World FinalでTOP4となったBBOY ISSIN(17)、さらにはD.League・KOSÉ 8 ROCKSでも活躍するBBOY Kaku(37)、BBOY Taichi(21)、その他にもベテランから若手まで錚々たる顔ぶれが揃った中、混戦を制したのはSteezyskee(20・北海道)だ。 Steezyskeeのブレイキンは、まさに今の自分をレペゼンするスタイル。 本人が「優勝は1mmも思ってなかった。自分のやってることに自信はあるけどそれを受け入れてもらえるかどうか」と優勝後に語ったように、ブレイキンだけではなく様々な遊びの要素を取り入れ、独自のスタイルで勝負を制した。トーナメントが進むにつれて、Steezyskeeのスタイルに観客も呼応し、彼の醸し出すフレーバーが会場を包んだ。 「今までは大会前はめちゃくちゃ練習して意気込んで大会に臨んでいたが、今回は大会のための練習をせず、今の自分のダンスで魅せる実験をしました」と新たなアプローチを貫いてこの日の頂点を掴んだ。 2週間後、2月18日、19日に開催される全日本ブレイキン選手権にも出場するSteezyskeeはどんなカラーに会場を染め上げるのか、今から楽しみだ。 BGIRLを制した新星は地元西宮育ちのBGIRL YASMIN YASMIN / THE JAM FINAL (c)harugraphics そして、BGIRLは、地元西宮からのワイルドカードで出場したBGIRL YASMINが優勝した。実に自身が個人で出場するバトルは1年半ぶりだったいうYASMIN。 「今のフィーリングと今までやってきたことを自分らしく出すことを考えた」というように入場から観客の気持ちを掴む表情や相手のムーヴ中も音楽と同調してリズムを取りながらYASMINの空気感を作っていった。そこに持ち前の幅広いミュージカリティやステップワークを加えながら会場を魅了。JDSF強化選手であるBGIRL AYANE、BGIRL AYUや、昨年のRed Bull BC One Cypher Japanを制したBGIRL YURIEなど、強者揃いのトーナメントを制した。 「ワイルドカードで大会の招待を受けた時、出るかどうか迷ったが、この大会にフォーカスして自分に集中していい準備ができたので結果に繋がって良かった。地元・西宮で勝ててやっと誇れるなと思います」と笑顔が絶えなかった。 UNDER15はJDSF強化選手BBOY RA1ON RA1ON / THE JAM FINAL (c)harugraphics U15は地元兵庫県の尼崎出身BBOY RA1ON(14)が他を圧倒して優勝を果たした。 BBOY RA1ONのこだわりはシルエットのカッコ良さ。トップロック、フットワーク、パワームーヴ、フリーズのすべてにおいて理想のシルエットを日々追及している。この1年ですべての動きにスピード、キレ、力強さが加わったと本人が語るようにもはやU15の領域にはいない。 しかし、優勝後のインタビューでは「決勝では足がつりそうになった。決勝のムーヴは自分で納得がいっていない。目標は、すべての年代の中で1番になることなので今のままでは通用しない」と自分自身で課題も語った。2週間後に出場する全日本ブレイキン選手権ではユースの枠を超え、オープン部門で出場するRA1ON。高みを目指す14歳が日本ブレイキン界に風穴を開けるかもしれない。 解説付き大会アーカイブはこちら! https://youtu.be/0BHSGdyRY7Y 2023年2月5日(日) /「THE JAM FINAL by SEIKO」 BBOY OVER15優勝:Steezyskee準優勝:Hiro10 BGIRL部門優勝:YASMIN準優勝:AYU BBOY UNDER15優勝:RA1ON準優勝:NAKKURU 3ON3優勝:WASEDA BREAKERS 準優勝:GSBシューゲイザ ー
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