国内最高峰の戦い、佐々木元が3連覇、中川きららが初タイトル「第5回全日本BMXフリースタイル選手権」フラットランド種目

2021.09.30
全日本選手権3連覇を成し遂げた佐々木元
text by 畠山大樹/photograph by Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

「第5回全日本BMXフリースタイル選手権」フラットランド種目が岡山県岡山市の特設会場(イオンモール岡山 1F 未来スクエア)にて、2021年9月25日(土)~26日(日)の2日間に渡り開催された。

今年の日本一を決める大会である今大会には、全国からキッズからベテランまで多くの国内トップライダーが集まり各カテゴリーにて熾烈な戦いが繰り広げられた。

今回会場となった大型商業施設「イオンモール岡山」内の「未来スクエア」は当施設内の広場スペースであるため、ソーシャルディスタンスに配慮した観客席を用意。たくさんの一般のお客さんも足を止め観戦し、選手たちの魅せるパフォーマンスに大盛り上がりの大会となった。

なお、今大会は新型コロナウィルスの感染拡大防止対策として、全参加者(関係者・運営スタッフ含む)に対する72時間以内のPCR検査実施などといった徹底した管理の下で開催された。また大会の模様はJFBF公式YouTubeチャンネルにてリアルタイムで視聴可能なライブ放送でも配信された。

以下は、今大会男女エリートクラス決勝の大会レポート。

世界最高レベルとも称される日本のフラットランド種目。男子エリートは佐々木元が3連覇達成。女子エリートは中川きららが初タイトル獲得。

予選で佐々木と同率1位となるも、決勝では惜しくも3位となった森崎弘也
photograph by Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

男子エリートクラス決勝は、参加選手19名の中から予選を勝ち上がった上位8名にて争われた。予選では全日本選手権連覇中の佐々木元と、レジェンド選手で今もなおフラットランドシーンを牽引する森崎弘也が同率1位で通過。
一方、7月のJapan Cupで優勝した早川起生が予選5位で出遅れるといった展開から決勝では壮絶な優勝争いになると期待された。 

大注目の男子エリート決勝を制したのは、前年覇者の佐々木元。序盤から持ち前のフロントトリックで高難度の技を連発。ペダルとハンドルに片足ずつ乗せながらフロントホイールでスピンするオリジナルの技や、また自身の名前が付くオリジナル技の「元スピン」からのクリフハンガーなど高難度の合わせ技をメイク。今年6月の世界選手権では2位にも輝いている日本代表の佐々木が唯一の90点台91.50ptをマーク。見事全日本選手権3連覇を果たした。 

準優勝は世界大会「ネバー・オフ・ザ・バトル」でも優勝し世界チャンピオンとなった早川起生。自身の得意とするスピン系のリアトリックから派生させたオリジナルの技を連発。予選のミスを挽回するかのように見事なライディングを披露し、優勝にはわずか届かなかったものの88.25ptという高得点を残した。

3位は今まで幾度と世界タイトルを取っており”KING”の愛称で呼ばれる森崎弘也。フロントからリアなど上下前後へのスイッチでポジションを変える高難度スキルのトランスファーを多用し、ドリルスピンを加えたオリジナルトリックも交えながら終始高難度なトリックをメイクするも中盤のミスが足をひっぱり、残念ながら優勝には届かなかった。

初タイトルを獲得した中川きらら
photograph by Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

一方、女子エリートクラスでは大会2連覇中の石﨑光紗季は今回不参加。新たな顔ぶれの3名で争われた。

そんな決勝を制したのは7月に行われたJapan Cupでも優勝を収めている中川きらら。回転系やスピン系などバリエーションが多く、かつ長いルーティンで組み立てたライディングの中で前回大会で見せたファンキーチキンからフロントヤードにノーハンドを加えた新技を見事にメイクし、自身初の日本チャンピオンのタイトルを獲得した。 

準優勝は技数の多いライディングを魅せた伊藤聖真。フレームを回転するトリックを中心にライディングを組み立てる中で、中盤では高難度のジャンプ技であるディケイドをメイクし回転技のメガスピンに繋げるが、終盤はスチームローラーに苦戦しなかなかトリックをメイクできなかったことから得点を伸ばせず中川の72.00ptには及ばない66.25ptで惜しくも優勝を逃すこととなった。

3位井上真利亜。縦横無尽に会場を使うスタイルが特徴的な選手。キャリアはわずか2年5ヶ月ながらもハイドランドや逆回しのテールスピンを安定的にメイク。しかしスチームローラーのメイクに苦戦。終盤で無事メイクするもトライに時間を費やしてしまい得点は思うように伸びず、54.25ptで3位という結果で今大会を終えた。

昨今、参加者の少なかった女子エリートクラスだが久々に表彰台を埋め尽くす形となりガールズクラスの急成⻑も含め、新たな女子シーンを感じさせる大会となった。

優勝者コメント

優勝した佐々木元と中川きらら
photograph by Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

佐々木 元 選手(男子エリートクラス)
「世界大会よりレベルの高いこの大会で優勝できて安心しています。そのくらい日本で勝つことはプレッシャーであり大事なことなので今回の結果には満足しています。前回大会(Japan Cup)では早川選手の圧倒的なライディングを見て、直前でプランを変更し僅差で負けてしまったので今回は予め自分のライディングを貫こうと決めていました。
今年は自分のスキルアップのために時間を割いてきました。来年はさらに成⻑できると思うので世界一を狙います。 」

中川 きらら 選手(女子エリートクラス)
「1位になれて嬉しいですが、最後に一番やりたかった技が決められなくて悔しいです。次の大会でメイクできるように練習を頑張りたいと思います。前回は戦う相手がいなかったので今回はみんなと戦えたことがとても嬉しかったです。 」

大会結果

<男子エリート>
優勝: 佐々木 元 (ササキ・モト) / 所属: 鎌ケ谷巧業 91.50pt
準優勝: 早川 起生 (ハヤカワ・キオ) / 所属: fourthirty 88.25pt
第3位: 森崎 弘也 (モリザキ・ヒロヤ) / 所属: トゥインクルコーポレーション 86.50pt

photograph by Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

<女子エリート>
優勝: 中川 きらら (ナカガワ・キララ) / 所属: 佐賀東高等学校 72.00pt 
準優勝: 伊藤 聖真 (イトウ・セイマ) / 所属: 関西大倉高等学校 66.25pt
第3位: 井上 真利亜 (イノウエ・マリア) 54.25pt

photograph by Naoki Gaman / Japan Cycling Federation

<ガールズロー>
優勝: 鴨志田 初茜 (カモシダ・ハツネ) 52.00pt
準優勝: 古賀 心愛 (コガ・ココア) 48.00pt
第3位: 鴨志田 奈々明 (カモシダ・ナナミ) 43.00pt

<ボーイズ9アンダー>
優勝: 中安 良仁 (ナカヤス・ヨシヒト) 57.00pt
準優勝: 梶原 蓮也 (カジワラ・レンヤ) 56.50pt
第3位: 戸高 大翔 (トダカ・ヤマト) 50.00pt

<ボーイズ10-12>
優勝: 早川 結生 (ハヤカワ・ユオ) 67.25pt
準優勝: 菱川 高虎 (ヒシカワ・タカトラ) 63.50pt
第3位: 井上 湊心 (イノウエ・ミナト) 62.50pt

<ガールズハイ>
優勝: 清宗 ゆい (キヨムネ・ユイ) 73.75pt
準優勝: 戸高 杏彩 (トダカ・アズサ) 72.75pt
第3位: 梶原 沙璃耶 (カジワラ・サリヤ) 69.75pt

<男子13-15>
優勝: 河内 銀成 (カワウチ・ギンセイ) 72.75pt
準優勝: 岡山 優心 (オカヤマ・ユウゴ) 67.75pt
第3位: 佐瀬 晴樹 (サセ・ハルキ) 66.50pt

<男子16オーバー>
優勝: 中安 良昭 (ナカヤス・ヨシアキ) 71.50pt
準優勝: 上原 洋 (ウエハラ・ヒロシ) 65.00pt
第3位: 篠原 寿典 (シノハラ・ヒサノリ) 49.50pt

大会概要

⼤会名称 : 第5回 全日本BMXフリースタイル選手権 フラットランド種目 
開催期間 : 2021年9月25日(土)~26日(日)- 2日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:イオンモール岡山 1F 未来スクエア(岡山県岡山市北区丸の内1-2) 
主催:公益財団法人 日本自転車競技連盟 (JCF) 
主管:一般社団法人 全日本フリースタイル BMX 連盟(JFBF)
後援:一般社団法人 日本アーバンスポーツ支援協議会(JUSC) 
出場選⼿:男⼦エリート 19 名・⼥⼦エリート 3 名

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