【独占インタビュー】プロフリークライマー安間佐千

2016.02.25
FINEPLAY編集部

オリンピックはひとつの大きなチャンス

安間佐千

日本人初となる5.15aグレード登攀。2012年、2013年と2年連続でワールドカップリード年間総合優勝。
2015年は活躍の場をコンペティションから岩場へと移し、「5.14dを 10本登る」という目標を掲げ海外で経験を積み、進化を続けるファイブテンサポートのプロフリークライマー“安間佐千”選手に「2016年の目標」や「オリンピック」について株式会社キャラバン協力のもとインタビューを行った。

—2015年のクライミング、特に海外での経験から学んだことを教えて下さい。

安間:2015年は、それまでずっとコンペを頑張ってきてた流れを岩にシフトしていく1年でした。そのシフトしていく過程で、自分には岩の経験がすごい欠けてるかなと思って、もっと先の大きな目標に向けて頑張っていくうえで、2015年は「経験を積む年」にしようということで「5.14dを 10本登る」という目標を立てました。
この目標の意味は、とにかく世界中の色んな所で色んなルートを完登して、とにかく量をこなしつつ、いろんな経験を積んだ一年でした。
この目標を達成していく過程で、世界中の色んな質感の岩だったりとか、色んな天候に出会うことができました。
キナバルでは激しい天候に揺さぶられたりしましたし、フランスでは予想外の苦戦を強いられたりしました。経験という意味では、本当に濃い一年でしたが、この「経験を積む」という部分では充分に積み重ねられたと思っています。

2015年のクライミング中でも一番忘れられないのは、やっぱりセユースのJungle Boogie(5.15a)かな。すごい苦労したという意味で心に残っています。ここから学んだことはたくさんありました。
ただ(ルートに)ぶつかっていって、ひたすらぶつかりつつけるだけでは突破口は 見つからないっていうことを学びました。結局僕はぶつかり続けて最後に登れたんですけどね。
完登までに惜しいトライは何度もあったんですけど、日程的にも最後の最後だという気持ちが、最終日の完登に繋いでくれたんだと思います。 これは不思議な例えですけど、目の前に幸せや成功があるけど、掴めない。
成功を先延ばしにしていたというか、その上手くいかない自分にハマり続けたいという深層心理があったのかもしれません。もちろん表面 的には完登したいという意志があるにもかかわらずですけど。

安間佐千

—2016年の目標、具体的なエリアやトライしたいルートがあれば教えてください。

安間:いま具体的になっているのは、2月のスペインツアーの「First Round First Minute (5.15b)」を登ることです。
このルートは現在までに第3登まで出ているので、完登することで大きなニュースになることはないと思うんですけど、このルートの短くてパワフルなスタイルは、僕が将来登りたいと思っている5.15cグレードに向けてこのルートに必要とされる能力はキーになってくると思いチョイスしました。あとは春には岡山のプロジェクトに挑戦して、完成させたいと思っています。

安間佐千

—2016年の目標を通して、世界に表現したいことをおしえてください。

安間:今年は、本当は5.15cに行きたいんですけど、まだ実力不足なのかなと 思っています。去年は5.15bを触る勇気さえもなかったんです。その時の苦労をまたすると思うと、ちょっと気が引けていました。
今年はメンタル的にもそこから回復もして、挑戦していく準備はできてると思います。また5.15bを何本か登って行きたいと思いますが、目標をどう立てて世の中に伝えていくかはまだ悩んでいるところです。
昨年立てた目標は、とてもハードで、義務感的なところで頑張っていた部分もあったので、今年の目標に関しては自分の中でゆとりをもちつつも、しっかりとしたアイデアに向かって頑張っていけたいいのかなと思います。
あ、Jumbo Love(カリフォルニア)とかやりたいですね!このルートは自分の中でしょっちゅうやりたいと思っているんです。あそこにはそれしかないから、チームを組むのが大変ですね。これはまた秋くらいかな。

安間佐千

—これからクライミングを始めようと思っている人たちに伝えたいことを教えて下さい。

安間:言葉で登る感覚を伝えるのは難しいので、まずはジムに行ってやってみて欲しいです。クライミングにはロッククライミングだけじゃなんくて、アイスクライミングやアルパインクライミングなど色んな種類があるけど、触って楽しんでいるうちに、自分の好みのクライミングに出会えるといいかなと思います。
とにかくジムに行って、ホールドを触りまくって蹴ったり引いたりして楽しんで見てください。
ホールドを触っているうちに「あ、コレ好き!」とか「面白い!」とか感じる人は感じると思うので、ぜひジムに足を運んで、楽しんでみてください!
その際は ぜひ、ベースキャンプに!

安間佐千

—今まさに限界をプッシュしているクライマーたちに伝えたいことを教えて下さい。

安間:いやぁ~正直、今のクライミング業界、特にボルダリングのレベルが上がってきてると思うんですけど、それを押し上げている人って実は若者だと思っています。彼らはそれまでのクライミング業界を見てきてないひとたちだから、彼らの中から動きが創りだされているんですよね。
逆に僕らは色んなものを見てるから、ちょっと動きが固いんですけど。そういうものを見ながら、すごい成長させてもらってるなと、すごく思っています。
実はちょっと前まではそういう若手の子たちに「負けてられない」とか 「自分の強さを示したい」って意識があったんですけど、今はもう彼らって凄いんだなって受け入れて、今では僕が彼らから吸収しているところです。
「限界をプッシュする」っていうのは、ただ頑張るっていう風に聞こえ るかもしれませんけど、それだけじゃないんだろうな、突破口は。もちろん自分の努力もあるとは思うんですけど、ちょっと肩の力を抜いて、 周りの環境に順応するときは順応して、周りの流れも巻き込みながら、 成長していくのもいいんじゃないかなと思います。これは、僕が若い子たちに感謝していることでもあります。
僕が持ってるものがあって、彼らが持ってるものがあって、それを見て、ああ、なるほどって思って。 彼らは僕とは別の環境で育っているから、そこから見て学べることはまだまだ多いです。
クライミングを始めたばかりの若い頃の僕は、別に何かに迷ってた訳は ないんですが、あえてその頃の自分に何かを伝えるとすると、「君はちゃんと正しい方向に進んでいるから、そのままがんばれよ~っ!」て言ってあげたいですかね。

—オリンピックについてひとことお願いします。

安間:僕がクライミングを始めた頃は、本当にクライミングがメジャーじゃなくて……。ジムに行っては自分で電気をつけて、ストーブを付けて、ひたすら一人登り始めるといった環境でした。その時の自分はクライミングに魅了されてて、そのスポーツが今ではこんな盛り上がりになってすごいなぁって。
この業界は本当に賑わうようになって、多くの人がクライミングで生活していけるようになって、さらにオリンピック競技になることによって、よりこのスポーツの面白さに感じる機会ができてうれしいです。
自分がオリンピックに出るかどうかはまだわからないし、はっきり言えないのでもっと様子を見たいですね。今はすごいポテンシャルのあるユースの子たちも増えてきてるので、自分にとって岩場が活躍できる場だと思えばそこに集中するだろうと思います。
本当このまま行けば、このクライミングブームとともに多くの環境が 整って、ひたすらレベルが上がり続けると思うんですよね。日本中のジムで新しい動きや新しい力が生まれています。そういう意味で、オリンピックはひとつの大きなチャンスになると思います。


取材協力:株式会社キャラバン

■BaseCamp

世界チャンピオン平山ユージがプロデュース。日本でもトップレベルのクオリティ、広さを誇るクライミング施設。ボルダリングエリア・ルートエリア(ロープ)など、高いレベルで設備が充実。クライミングが初めての方から上級者まで、全ての方が楽しめます。
また、Base Campの2号店となる、ボルダリング専用施設 が都内(小竹向原駅徒歩2分)にオープン。
ボルダリングが初めての方への、初回インストラクションも随時行っています。

■株式会社キャラバン

株式会社キャラバンは、ファイブテンシューズ、CAMP/CASSIN、Nograd、Charkoなどのクライミング用品の輸入代理店です。用品の輸入だけでなく、若手からベテランまでのクライマーのサポートもしています。
ロッククライミングの専門「Rockmaster」のFacebookとInstagramにて、クライマーたちの最新情報を配信中。

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