【SOCIAL INNOVATION WEEK 2023】ストリートスポーツの次世代が活躍できるまちづくり 〜渋谷公園通りエリアの未来〜

2023.11.13
登壇者の面々 後列 左から小澤 広倫氏、田丸 尚稔氏、Miyu、Shigekix、早川 聡彦氏、長田 新子氏  前列 左からISAKI、KONA、ikkyon、ASUKI、KENTO
text by 橋田 樹台

2023年11月6日から12日まで、多様で多視点なアイデアに出会い、新たなアクションにつなげるソーシャルイノベーションの祭典「SOCIAL INNOVATION WEEK 2023」が、一般社団法人渋谷未来デザインと渋谷区の共催で開催された。11月9日(水)には、「ストリートスポーツの次世代が活躍できるまちづくり 〜渋谷公園通りエリアの未来〜」のトークセッションが行われ、渋谷未来デザイン 理事・事務局長の長田 新子氏、BBOYのShigekix、ハウスダンサーのMiyu、渋谷ユナイテッドの田丸 尚稔氏、渋谷公園通り協議会 事務局長の早川 聡彦氏、東急不動産株式会社 都市事業ユニット 渋谷開発本部 プロジェクト推進部 統括部長の小澤 広倫氏、の計6名が登壇した。

 

セッションの冒頭では、若手を代表するブレイキン・ダブルダッチのプレイヤーたちがパフォーマンスを披露。KEITA NAKAMURA(REG☆STYLE)のMCとともに、ダブルダッチからは若手トップレベルのスキルでシーンの前線を走るMillenium Collection(ikkyon, ASUKI, KENTO)、ブレイキンからはTHE FLOORRIORZのBBOY ISAKI、ROCK IT DOWN CREWのBGIRL KONAが登場し、会場を盛り上げた。

Millennium Collection
(ikkyon・ASUKI・KENTO)
BGIRL KONA
BBOY ISAKI

トークセッションでは「渋谷公園通りエリアの未来」について様々な視点から意見やアイディアが飛び交った。

日本人BBOYとして初めてパリ五輪 ブレイキン種目の出場権を獲得したShigekixは、「僕たちの世代にとって渋谷は、ファッションやカルチャーなど流行の中心だと思います。渋谷に住んではいませんが、練習場所も渋谷区にあるし、渋谷はライフスタイルの一部になっています。」と、渋谷という街が多くの若者のライフスタイルに結びついている点を挙げる。

Shigekix

代々木公園をはじめとする渋谷の公園は、昔からストリートカルチャーが根付き、多くのプレイヤー達も活動の場としていた。しかし、現在はレンタル制のダンススタジオも数多く普及し、「ローカルのスタジオなどで人と繋がることが少なくなっている」とMiyuも語る。

渋谷ユナイテッドで部活動の地域課を図る、田丸 尚稔氏は「子供たちの運動する場所は校庭だったりとコミュニティが限られている。多様性がありオープンな場所に身を置くことで様々な学びも生まれるストリートスポーツの価値は年齢を問わず自由なので、一人で考えたりみんなで考えたりと、教育的な価値が高い」と、オープンなコミュニティで生まれる交流の必要性、そしてストリートスポーツの教育的価値を説いた。

続けて、渋谷公園通り協議会 事務局長の早川 聡彦氏も「渋谷公園通りでは音楽やファッションの店もたくさんあります。そういったカルチャーと密接な関係にあるストリートのプレイヤーが受け入れられる土壌は、十分にあるのではないかと思います」と、渋谷という土地が持つポテンシャルの高さを改めて伝える。

小澤 広倫氏

対して小澤 広倫氏は事業者としての視点から以下のように語った。
例えば、スケボーパークを作ると言うと『迷惑行為』といった言葉が出てくる。『ストリートカルチャー/スポーツは不良』といったイメージは昔からよくあるが、決して迷惑行為ではない。お互いがWin-Winの関係を築き、共通理解を生むことが大事なのだが、現状は地方によって『迷惑行為』という印象が強い傾向もある」と、ストリートカルチャー/スポーツが抱える問題点も提起した。

そこで長田新子氏は「パリ五輪のブレイキン種目は街中で開催される」といったトピックを展開。

長田 新子氏

日本代表として出場が決定しているShigekixは「新たにスタジアムを作るのではなく、仮設の会場でパリの歴史的な風景の中で競技が開催されます。ブレイキンはコンコルド広場にて開催され、その他にもスケートボードなど様々な競技を見ることが出来ます。」と説明。

オリンピックにおいて「街中の特設会場」という点においては、その国の街並みを全世界に向けて発信できるとともに、ストリートスポーツが持つカルチャー的な側面もアピールできるだろう。そして、オリンピック後には会場の解体ができるため、スタジアム等の建設費用も大幅に削減できるといった利点もある。まさにプレイヤーも行政も、Win-Winの構図が出来上がっている。

Miyu

続けてMiyuもパリの行政がカルチャーを支援する実例を以下のように説明。
パリでは、行政がカルチャーを支援し、無料の練習場所を開いてダンスやスケートボード、ジャグリングなど様々なカルチャーがクロスオーバーしている事例がある。年齢、性別など関係なくコミュニティが生まれている。
セッション終盤では、「ストリートスポーツは生で見てもらってやっと理解してもらえると思います。様々な公共の場でシェアして、多くの人に見てもらえる場所があることでコミュニケーションができたら嬉しいです!」と展望を語り、セッションを締めくくった。

渋谷の街が生み出すカルチャー、更にそこから生まれるコミュニティに多くの若者が集い、
多様性のある、新たな魅力を持った「渋谷」が造られていくことに今後も期待していきたい。

ストリートスポーツの次世代が活躍できるまちづくり 〜渋谷公園通りエリアの未来〜
日付:11.9 (木)
時間:11:00 – 11:40
場所:渋谷ヒカリエホール9F
配信:アーカイブ公開あり

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