新たなチャンピオン、そして新たな時代へ。『マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL』リポート

2023.04.17
text by 橋田 樹台 / ©マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL

2023年4月16日(日)、両国国技館にて世界最大規模のストリートダンスイベント『マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL』が開催された。

今大会は観客の歓声有り(マスク着用)、SEEDダンサーとして海外勢の参戦、そして株式会社アノマリー代表取締役CEOであるカリスマカンタロー氏のDANCEALIVEのプロデューサー卒業が発表されるなど、例年以上に大きな盛り上がりが見られた。

本記事では大会当日のレポートをお届けする。

RIZE 優勝「立教大学 / St.Paul’s Spirit」

立教大学「St.Paul’s Spirit」/ ©マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL

毎年、大きな盛り上がりを見せる大学生対抗のCREWバトル「RIZE」。決勝戦は群馬大学「B-STYLE」vs 立教大学「St.Paul’s Spirit」の組み合わせとなった。群馬大学はLil′BombやSHIONの2人のBBOYを中心とし、二人のコンビネーションやインパクトのあるルーティーンが光った。対する立教大学は、Ringo Winbee(Funky Bee)、Riku(ARIYA)、ATO(CyberAgent Legit)といったタレント揃いのメンバーで個々の能力や個性、そして3人が組み合わさったルーティーンが印象的であった。

決勝は両チームによる熱い3ターンの攻防が繰り広げられ、結果は立教大学が勝利をつかみ取った。群馬大学もLil′Bombのハイレベルなパワームーブでインパクトを残したが、立教大学3人の総合力は出場したチーム全体を見ても頭一つ抜けている印象があった。

また昨年までの「RIZE」は 5on5のフォーマットであったが、今年度からは従来の 3on3のフォーマットに戻ったことにより、ルーティーンの複雑化よりも各個人のスキルがよりクローズアップされるようになっていたと感じた。
大学生が熱狂を生み、毎年多くのドラマが生まれるRIZEに今後も注目していきたい。

KIDS 優勝「You-ki」

You-ki / ©マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL

KIDS部門では昨年2連覇を達成したTSUKKIが卒業し、新たにチャンピオンを狙う16名の日本トップKIDSダンサーがFINALに集結した。

そんな中で決勝まで進んだのは、Waack / Lockの You-ki (Naked Mojo)とKRUMPの Lil Krow a.k.a Baby Konkrete a.k.a Lil Oneshot (Krow Fam / Konkrete Fam / Oneshot Fam) だ。

1ラウンド目からBUCK TRACKが流れ、Lil Krow a.k.a Baby Konkreteの土俵になるかと思われたが、You-kiが対応力の高さを見せて重いビートも自分のダンスへと昇華させていく。2ラウンド目もYou-kiはエンジン全開で心地の良いグルーブを決勝の舞台でも発揮した。Lil Krow a.k.a Baby Konkrete も完璧なミュージカリティやダンス能力の高さを見せたが、You-kiのナチュラルかつ音楽にフィットした質感のダンスが光り、You-kiが優勝を勝ち取った。

BREAKING 優勝「Kouske」

Kouske / ©マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL

BREAKINGではKouske (Keshiki) vs SHOSEI(GOODFOOT)の対決となり、ベテラン対若手の図式となった。44歳のKouskeはSEEDダンサーとして出場し、Taichi(KOSÉ 8ROCKS)やTOA(Body Carnival)といった勢いのある若手を制して決勝まで進んでいる。 対するSHOSEIは前日予選でFINAL出場権をつかみ取り、SEEDダンサーのBboy Bowzee(Monster Energy Breakers)やTETSU(KOSÉ 8ROCKS)といった強豪を破って決勝に進出した。

決勝はKouskeのフレッシュなムーブと、SHOSEIのパワームーブのぶつかり合いであった。同じBBOYであるが全くスタイルの異なる両者のバトルは、互いのオリジナリティを提示し合った至高のバトルであった。結果はKouskeが勝利し優勝。ベテランとしての貫録、そして長年積み上げたKouskeにしかできないBboyingを会場に見せつけてくれた。

TAISUKE、ISSEI、Shigekixといったスターが席巻してきたこのBREAKING部門。Kouskeは優勝コメントで「バトルは出たい時にまた出る」とコメントを残していたが、ダンスファンならば、この大舞台でKouskeの洗練されたBREAKINGを再び見たいと思うのは間違いないだろう。

HOUSE 優勝「Frankie J」

Frankie J / ©マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL

HOUSEの決勝戦はKAZUKIYO (BOUNSTEP) vs Frankie J (イギリス / InDaHouse UK)のSEEDダンサー同士の決勝戦となった。 両者ともに独自の音楽性とスタイルで会場の雰囲気を掴み、決勝まで勝ち上がってきた。

KAZUKIYOは、その華麗なステップワークはもちろん、体全体を使った表現でリズムを奏でる。1ラウンド目、後攻のFrankie J のターンでは音響トラブルで音楽が止まるハプニングがあったが、そこから二人のセッションが展開され会場は大盛り上がり。バトルでありながらも、自らの音楽性とライフスタイルをダンスに落とし込んだ領域の2人だからこそできる、素敵な雰囲気の決勝戦となった。見事、Frankie J が勝利を収めたがそれ以上の感動と満足感が両国国技館には広がっていた。

HIPHOP 優勝「BATALLA CL」

BATALLA CL / ©マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL

HIPHOP部門では、レジェンドヒップホッパーからスキルフルな若手、更にはスペインのRuth (STREETPERS CREW)、コロンビアのBATALLA CL (Cipher Dojo) といった海外勢がFINALに顔を揃える極上のトーナメントとなった。

決勝戦は、兵庫のAtsuki (LOCA) と SEEDとして参戦したBATALLA CL の戦いとなった。Atsukiの黒く重たいフローとクリアな動きは終始会場を惹き付けていたが、対するBATALLA CLも淡々としたフローの中に詰め込まれたハイレベルなスキルで観客の雰囲気をしっかり掴んでいた。

もはやスキル云々の問題ではない、互いのスタイルと表現がぶつかり合った高次元な戦いであった。結果はBATALLA CLに軍配が上がったが、ジャッジはわずか一票差の大接戦。BATALLA CLの幅広い表現やミュージカリティが光ったが、Atsukiも黒く重たいHIPHOPをDANCEALIVEの舞台で見せつけてくれた。

ALL STYLES 優勝「Hozin」

Hozin / ©マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL

今大会のラストバトルとなったALL STYLES 決勝戦では、GUCCHON(Co-thkoo)vs Hozin (WORLD FAME US)のポッピン対決が行われた。MCのIMAGINE氏も言っていたが、正に「日韓ポッピン頂上決戦」となった。

GUCCHONはDANCEALIVE 通算4度の優勝を誇る、言わずと知れたトップダンサーである。ポッピンのスキルに加えて彼の独自の表現力には多くの人が魅了されており、今大会は前日予選を勝ち抜いてFINALに出場した。FINAL 一回戦からバファリン (IB6side) との激闘を繰り広げ、準決勝では日本のストリートダンス界のレジェンド、PEET (Be Bop Crew)とのバトルを制して決勝まで進んだ。

対するHozinはSEEDダンサーとして韓国から参戦し、韓国のみならず世界で活躍するポッパーである。特に準決勝のYUYA / 優弥 (FORCE ELEMENTS)とのバトルで流れたデスティニーズ・チャイルドの「Say My Name」では完璧な音ハメで、その日一番の歓声を巻き起こしていた。

決勝では1ラウンド目から、クリスティーナ・ミリアンの「AM To PM」が流れ、会場のボルテージは最高潮に。先攻のHozinはイントロから音に合わせてヒットを入れ込み、会場の歓声がどんどん増していく。後攻のGUCCHONもスタイル全開で自身のポッピンを展開していき、会場を広く使ったパフォーマンスや細かいインナーのアイソレーションなどで幅広い表現を見せていく。
特にこの両者は、流れた音楽をダンスに変換して再現する能力が飛びぬけており、世界トップレベルのポッピンのぶつかり合いに両国国技館は熱気に包まれた。

結果はHozinが勝利。DANCEALIVE 初参戦で初優勝となり、今大会のラストバトルを締めくくった。

マイナビDANCEALIVEとは

「マイナビDANCEALIVE」は、2005年に「DANCE@LIVE(ダンスアライブ)」として日本で誕生した、1on1形式の世界最大規模のストリートダンスバトル。カテゴリーは6つのダンススタイルごとに分かれており、HOUSE・BREAKING・HIPHOP・ALL STYLESの計4スタイルが一般部門として開催される。また、「BREAKING」部門はブレイキン日本代表へとつながる全日本ブレイキン選手権(主催:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部)のパートナー大会でもあり、ランキングポイントが付与されるシステムが取り入れられている。

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