この物語を、この結果を、果たして誰が予想しただろうか――。大袈裟でも比喩でもなく、ダブルダッチの歴史の“転換点”だった。
2023年 7月30日(日)、横浜赤レンガ倉庫で開催された「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ’23」。
その中で開催されたダブルダッチの“個人戦”である「DOUBLE DUTCH ONE’S FINAL 2023」にて、イワネスインセイン(MEN’S SECTION)とElina Mizuno(WOMEN’S SECTION)が初優勝を果たした。
“ONE’S”とは
3人以上のプレイヤーを要する「ダブルダッチ」だが、縄を回す2名のプレイヤーを固定し、ジャンプするプレイヤー1名の技量のみを比較し競い合うのが、この“ONE’S”(ワンズ)スタイル。
男女別にセクションが分けられ、それぞれチャンピオンを決する。
今回は、
・国内の各回予選に出場し好成績を収めた選手:16名
・“TOP STUDENT”(学生最上位):2名
・“WILD CARD”(招待枠):1名 ※MEN’Sのみ
・当日予選 勝者:2名
・海外予選 勝者:3名
以上のラインナップでFINALIST(FINAL出場者)が構成。
特に国内予選は最終回まで誰がFINALISTに選出されるか分からない、ギリギリの戦い。予選の時点から熾烈なデッドヒートが繰り広げられていた。
WOMEN’S SECTION ——Elina Mizuno vs. 奏
絶対王者と目されたASUKIや、プロチーム「FLY DIGGERZ」の一員として優勝が期待されていたAYUKAがまさかの敗退。
その両者を下したのが、Elina Mizunoと奏。“優勝候補”をなぎ倒した両者が、決勝の舞台で相対することになった。
ダンスシーンからダブルダッチに本格的に挑戦し、FINALの舞台にまでのし上がってきたElinaと、センスと凄まじい努力で現役高校生ながらFINALISTとなった奏。

彼女たちへ送られる声援のボリュームに、両者が経た知られざるバックグラウンドの大きさを感じさせる。背負うものがある2人から放たれていたその気迫は、どちらが“Queen”になってもおかしくなかった。
1人で戦うDOUBLE DUTCH ONE’Sのステージ、そこは決して独りの戦いではないことを象徴していた。

運命の結果発表。WOMEN’Sシーンの歴史に残る大接戦を制したのは、Elina Mizuno!
優勝直後、涙ながらにダブルダッチへの真っ直ぐな思いと仲間への感謝を口にしたElina。「ダンサー」としてキャリアを積み重ねた彼女は、積み重ねた日々と努力で、「ダブルダッチャー」としての姿でステージに立っていた。

MEN’S SECTION ——イワネスインセイン vs. クボユウト
こちらも大波乱の展開となった。昨年優勝となったKO-YAをはじめ、優勝が囁かれていたプレイヤーが予想外の敗戦。
決勝まで勝ち進んできたのは、共に切磋琢磨し、シーンを切り開いてきた“華の94年組” 同期のイワネスインセインとクボユウト。
盟友である両者の一戦、このドラマティックな展開を、果たして誰が予想できたことだろうか。

共に長年ONE’Sに挑み続け、優勝に対する執念を強く抱いていた2人。このバトルは、そんな思いの強さをお互いに熟知しているからこそ生まれたものだった。

ハウスをベースとし、“表現”にこだわりを持ったイワネスインセインと、コミカルにブレイキン要素を取り入れたクボユウト。
オリジナルを確立させた両者のスタイルウォーズ、5時間弱にわたるFINALのステージで、どちらも文字通り体力と魂の尽きるまで戦い抜いた。
最後まで執念と誇りを捨てない彼らの姿に、思わずMCも嘆息してしまうほどであった。
激戦の結果…。軍配が上がったのは、イワネスインセイン。
優勝直後、10年にわたって挑み続けた日々を振り返り、清々しい表情で彼はこう語った。
「ONE’Sに出始めて10年、FINALには過去に7回出場していましたが、ほぼ毎回1回戦で負けていました。負けたこと以上にやりきれなかった自分がすごく嫌で、でもお前、やればできるじゃんって過去の自分に言ってやりたいっすね」

勝敗の分水嶺はどこなのか――。
FINALISTに選出される時点で、その実力は確かなものなはずだ。しかしその僅かな差が分かれ目なのか、音との相性なのか、心の持ちようなのか、はたまたその時々のコンディションなのか…
推論で語ることはできようとも、その全て、確かなことはおそらく誰にも分からない。
しかし、確かに言えることもあった。すべからく優勝するプレイヤーには、何か懸ける思いがあったということ。それは誰かと比べてという相対的な意味ではなく、絶対的なものとして。
そしてその思いは言語や論理を超越して、結果を手繰り寄せ、人に感動を与えるものなのだと。
あの場にいた全ての人たち、そして配信を通して国境をまたぎ、応援を送っていた全ての人たちが、それぞれのFINALISTの思いに共鳴し背中を押していた。
彼らと勝利を共に喜び、敗北の悔しさを共に分かち合ったことだろう。
こうして、歴史に残る一日は幕を下ろした。しかし、FINALISTたちの戦いはこれからも続いていく。そこに「思い」があり続ける限り。
Interview:Elina Mizuno

――まずは優勝、おめでとうございます! 今の率直なお気持ちを。
めっちゃくちゃ嬉しいです!
ですが、正直毎ムーブ3:2(※JUDGE 5名の審査のこと)の戦いで、JUDGEの誰か一人でも相手方に旗をあげていたら負けていた。まだまだ自分に足りないことがあるのも感じました。
――初のFINALのステージに挑んで、いかがでしたか。
私は今まで20年以上、プロダンサーとしてキャリアを積み、その中で俳優やアーティストとしての活動もさせていただいてきたのですが、その過去の経験の全てを活かして臨みました。
ただめちゃくちゃ緊張しました(笑)。心拍数もかなり上がっていたし、今朝も手の震えが止まらず。
ですが、過去の予選のときもそれで失敗してしまっていたので、そこは乗り越えていかなければならないと腹を括って挑みました。結果、ピースがかちっとハマった感じがあって、バトルが進むにつれ手応えを感じられるようになりました。
人生で数少ない“ゾーン”に入った感覚がありましたね。

――Elinaさんはダンスシーンでも活躍されているわけですが、そもそもどのような経緯でダブルダッチを始められたのでしょうか。
ダンサーや俳優などで活動しているなかで、ダブルダッチシーンの友達が増えたことがきっかけです。最初は「やってみればいいじゃん」という軽い誘いから入ったんですが、それがめちゃくちゃ楽しかったんです(笑)。
ロープの外側でやる「ダンス」であれば簡単にできることが、「ダブルダッチ」だとギリギリだったり、全くできなかったり。
でもそれを見たダブルダッチの先輩方が「すげえじゃん!」って褒めてくれて、居心地の良さも感じたんですよね。それが4年ほど前でしょうか。
それから時が経って、1年前くらいですかね。
練習に誘ってもらい「行きたい!」と向かうのですが、とにかく失敗の連続で落ち込んで帰る日々が続いていました。それでも諦めず練習を続けると、ある日の境に「楽しい」と感じられるようになりました。
――なるほど。そこからONE’Sに出ようと思ったキッカケはなんだったのでしょうか。
あるとき周りから「何のために練習してるの?」って聞かれたんです。確かに、と思って。
楽しいと感じたことがキッカケでのめり込んだけど、特にゴールは考えていなかったなと。
そういえば2年ほど前、ONE’Sの予選の回を観に行ったのですが、そこで会った先輩たちに「見るなら出なよ」って言われて、勢いで70人近くいるサイファー予選にチャレンジしたことがあったんです。
そしたら予選を通過して、自分でも驚いたけど嬉しくて。
それで、続くトーナメントに挑んだらボロ負けして(笑)。
楽しいけど悔しくて、いつか絶対勝ちたいなと思ったことをふと思い出して、じゃあONE’Sにチャレンジしてみようと。
――Elinaさんが思う「ダブルダッチの魅力」とは何でしょうか。
「究極のリズムキープの中で踊ること」でしょうか。
ダンサーは床に付いていられるので当然いろんなリズムを出せるのですが、ダブルダッチはジャンプによってそれが制限されてしまいます。
でも、その制限が逆に面白い。ロープの中でリズムキープができると、ダンスを習っていなくてもカッコよく動けるんですよね。
ダンス出身の人間にとってはそれが新鮮で興味深くて、その秘訣を知りたいと思いました。
あとはダブルダッチを経験することで、他のことに対してのモチベーションやスキルも上がりました。
例えば、ロープの外でカッコよくアイソレーションを出来なければ、制限のあるロープの中では出来るわけがないように、ダンスやその他の活動にも活きているなと感じています。
…まあでも、結局カッコイイことを言わないでまとめると、単純に楽しかったからですね(笑)。
――優勝直後のコメントでも「まだまだ満足はしていない」と語っていましたが、そんなElinaさんの次なるゴールは何でしょうか。
そうですね、そこでもお話しましたし、このインタビューの冒頭でも言いましたが、出来ていないスキルがたくさんあるので、早く練習したいです(笑)。
3:2だった理由も自覚していて、反省点も多いです。
ONE’Sに直接関係はありませんが、ターニング(ロープを回すこと)もそのうちの1つです。
練習の時などでもロープを持つのですが、回すのって本当に難しい。
まだ始めて数年というレベルで上手くなることはないと重々承知の上ですが、それでも先輩方から「ロープを上手く回せるとジャンプも上手くなるよ」と言われたことがあるので、努力したいですね。
今日もターナーのお二人が素晴らしくて、気持ちよく跳ばせていただきましたし。
ジャンプの面だと、女性でハリー(高速のステップ)を跳ぶプレイヤーが少ないので興味がありますね。あとは、より“ダブルダッチ”らしいジャンプも追求したい。
正直、私が過去に負けて悔しいと思ってきたのだから、敗れてしまったメンバーも悔しいはずです。
準決勝で戦ったASUKIはこれまで3戦2敗。やっと手にした今回の1勝の後に「Elinaさん、絶対勝ってください」って言われて、FINALISTたちがそれぞれ持っている思いの強さを感じました。
次シーズン、みんなより強くなってステージに戻ってくると思うので、私も成長します。
器用な人間ではない私のとりえは努力なので、これからも努力し続けます!
――ますます進化するであろう、これからのElinaさんがとても楽しみです。今日は本当におめでとうございました!
Interview:イワネスインセイン

――まずは優勝、おめでとうございます! 今の率直なお気持ちを教えてください。
もう、めっっっちゃくちゃ嬉しいです。トロフィーを抱きしめて寝たいくらい本当に嬉しいです(笑)。
――イワネスさんも長いことダブルダッチをやられていると思いますが、これまでONE’Sにどれくらい挑んできたのでしょうか。
大学1年生の時に初めてONE’Sの予選に出場したのですが、それが確か2013年10月くらいですから、10年くらいが経つことになります。
FINALは2015年からほぼ毎度出場しているのですが、それでも7年経ちます。
――優勝直後のコメントでも「過去に1回戦負けが続いていた」と言及されていました。不安な思いもあったことと思いますが、今回のFINALにあたって、どのような思いで準備をされてきたのでしょうか。
なるべく不安な要素を無くしました。
実はこの前日、ダンスの大会に、自分の「Dye you in my hue」というダブルダッチのチームで出場してきたんです。
その時は勝ち負けや練習をひたすらしてっていうものでもなく、ただ気心の知れた仲間とショーをやって、同じ時間を共有して、その日の晩は泊まれるメンツだけで旅館に泊まったりとか。
振り返ると昨年、優勝したKO-YAさんや準優勝のKEITAさんは、応援しに来る人が多かったなと思った印象があったんです。
だから今回は自分のことを応援してくれる仲間をより大切にして、FINALにもたくさん来てもらって。
僕は彼らのためにやれば自ずと結果が付いてくるなと思ったんですよね。
あと、名古屋にあるDDFAMというスクールの子どもが、僕のことをすごく応援してくれていたんです。
そういうのが本当に嬉しくて、他にもいろんな人から声をかけてもらって、「自分だけじゃないぞ」と言い聞かせて臨んでいましたね。
――個人戦だけど、イワネスさんの話を伺うと“チーム戦”でもあったわけですね。そこからFINALのバトルに臨んで、途中で「いけるかも」という手応えなどはありましたか?
全然なかったです(笑)。
というか、まずなるべく先のことは考えないようにしていました。過去の経験上「これを勝ったら●●さんと戦える」とか「これを勝ったら決勝だ」みたいなことを思うと、足元を掬われそうになってしまうんです。
だから基本、目の前の一戦のことしか考えなかった。
戦ったKohtaもSTRさんも、TMYさんもクボユウトもめちゃくちゃ上手くて、少しでも油断をしたら僕が負ける可能性は全然ありましたし、振り返るとどのバトルも危なかった。だから、技も出し惜しせず出しました。
2回戦のSTRさんの時点で必殺技は全部出しきってしまって(笑)。もうやるしかねえって気持ちで今を生きていましたね。

――それは意外でした。逆に、早々に必殺技を出し切ったなかでも勝てた理由は何だと思われますか。
なんでしょうか…。まあ、練習は結構真面目にしていました。
“技リスト”みたいなものも、人生でほぼ初めて作りました。
決勝の相手のクボは僕の同期で、これまで一緒に練習もして切磋琢磨してきた間柄です。
あいつが僕以上に練習していることも知っていましたし、リストを作ったりしてたことも知っていて、感化されて自分もやったりしていましたね。
あとは、以前からクボが勝ちたがっていることは知っていて、でもあいつが優勝するのは癪(しゃく)だなって気持ちもあって(笑)。それはやっぱり悔しいじゃないですか。
クボのおかげで、自分の火がついたことも大きかったです。
――そうなのですね。「10年かかった」という話がありましたが、逆に言えば10年かけてやっと見出せたことが、今回の優勝という結果を手繰り寄せたのかもしれませんね。それでは最後に、イワネスさんのこれからの目標を教えてください。
実は、コンペティションはもうあまり出たくなくて(笑)。やっぱり自分も消耗しちゃうから。
今の率直な考えをお話しすると、僕は自分の世界を、作りたいものを自由に作りたいです。
次のシーズン、ONE’Sに出るかどうかとかも今はあまり考えられていないですね。とにかく今回、それだけ“今”に集中していました。
あと、これはちゃんと初めてチームメイト以外に話すんですが… 僕のチームで公演みたいなことをやりたいんです。ずっと密かに思っていて。
LAST ONE CYPHER(当日予選)でDJをやっていた廉太郎もチームメイトの1人で、彼にそれを話したとき、
「集客が大変そうですよね… だからそのためにも、絶対優勝してくださいよ! ネームバリユーあったらいけるじゃないですか!」
「まあまあ…」
みたいな会話をしていたんです(笑)。
まだ具体的に何かが決まっているわけでもないですが、これを良いきっかけとして挑戦してみたいなと思います。
この会話が丸ごと現実になったら嬉しいですね。
――ありがとうございます。長年の夢を叶えたイワネスさんなので、きっとその公演もいつか形になることを信じています。本当におめでとうございました!
なお、この日の激闘はライブ配信のアーカイブで確認することができる。YouTubeチャンネル「DOUBLE DUTCH TV」にて、ぜひ全バトルを観戦してほしい。
SPECIAL EDITION

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doubledutch青春をかけた熱闘―― ダブルダッチ甲子園“ITADAKI 2023” 優勝は「Eifer」!!2023.10.012023年 9月30日(土)、 ダブルダッチ業界初となる高校生の大会『ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2023』が開催された。 2021年からスタートした同大会は、アンバサダーにDA PUMPのKIMI、そしてシーンのトップランカーであるREG☆STYLEを起用。 REG☆STYLEと共にGUEST SHOWを披露するツネ©AYATO. / ITADAKI 2023 更にはコメディアンのツネや、ハウスジャンルのダンサー・KAZANE、フリースタイルバスケットボーラーのZiNEZ a.k.a KAMIKAZEなど、「高校生が主役」として輝けるステージを、シーン内外の様々なキャストがサポート。 3つの種目から構成され、それぞれで白熱した戦いを繰り広げた大会の様子を振り返る。 SPEED RELAY 団体ごとに競われるこの種目は、駆け足跳びである「スピード」を、3名の跳び手がリレー形式で行うもの。1人目が10秒、2人目 20秒、3人目 30秒とジャンプ時間も変動し、誰がどの順番で跳び、回すのかという戦略性も求められる。 今年から予選と決勝が設けられ、全出場団体から2チームが決勝に進出する。その決勝に勝ち進んだのは「cont.」(コンティニュー)と「Be Color」。 ©AYATO. / ITADAKI 2023 そんな接戦を勝ち抜いたのは「cont.」!驚くべきことに、リレー形式でありながらダブルダッチの最小人数である3人でタスキをつないだ彼ら。合計 207回という記録で優勝に輝いた。 1 on 1 BATTLE 個人戦である 1 on 1 バトルは、イベントの主役である高校生に加え、未来のITADAKI世代を担う中学生の2部門が用意。 中学生部門は、関東のSHU BOY (J☆MP STEADY FAM) と、関西のSEISHIRO (MIYAKO JUMP ROPE CLUB) の一騎打ち。昨年のITADAKIでも決勝戦で相対したこの2人は、その後も様々なイベントで戦ってきた“因縁”の2人。 ©MIZUKI / ITADAKI 2023 激戦を制したのは、SHU BOY!ブレイキンを基調とした技のバリエーションの豊富さと身軽な動きで、ITADAKIとしては初のタイトルを獲得した。 高校生部門では、昨年覇者のTAIYO (MIYAKO JUMP ROPE CLUB) と、中学時代から目覚ましい活躍を見せ、ついに今年からITADAKIのステージに立ったSUZU (D.D.S.)が対決。 ©AYATO. / ITADAKI 2023 優勝に輝いたのは、TAIYO。流れるように技を繰り出し、安定感のあるムーブを次々披露。不動の強さを見せ、高校生NO.1プレイヤーの称号を掴み取った。 SHOWCASE 大会最注目となるショーケース部門は、全22チームによる戦いに。昨年から出場数は倍近く増加した今回、高校生離れしたスキルの応酬と各ショーの個性で会場を大いに賑わせた。 ■ STEP UP 部門今大会から新設された「STEP UP 部門」は、メンバーの過半数がダブルダッチ歴1年未満であることが条件。高校生たちのフレッシュなショーケースの数々が会場を賑わせた。 ©AYATO. / ITADAKI 2023 1位になったのは「不可死狂」(松本深志JOKER)。歌詞に合わせた振り付けと、コメディなストーリー性のある“学生の青春”感あふれる彼らのショーケースで、部門優勝に輝いた。 ■ OPEN 部門次いでOPEN 部門は、まさに激戦。他大会で優秀な成績を収めたチームも多数登場するなど、まったく結果の予想がつかない展開に。 ©AYATO. / ITADAKI 2023 3位は「No Logic」(D.D.S.)。数々の大会を勝ち上がってきた“猛者”たちだが、ここでもしっかりと入賞を獲得。安定感のあるプロ顔負けの堂々たるショーケースで存在感を示した。 ©AYATO. / ITADAKI 2023 2位は「星叶愛」(セノア / 狛江ダブルダッチクラブ)。昨年優勝チーム「狛夢病愛」のメンバーも在籍しているこのチームは、同じくアイドルテイストのパフォーマンスで参戦。雰囲気をジャックし、ライブのごとく会場を盛り上げた。 そして今年度、優勝に輝き優勝旗を高らかに掲げたのは「Eifer」(アイファー / 島本ダブルダッチクラブ)! ©AYATO. / ITADAKI 2023 “ただ技を出す”だけでも、“ただ難易度の高いことをする”だけでもなく、メンバーそれぞれの個性が掛け合わされ、またそれぞれの技と技の間にもスムーズな流れを持たせた、細やかな工夫が施されたショーケースだった。 この他にも、ご紹介したい選手は数々存在するが、その全ては後日公式から公開されるライブ配信のアーカイブをご覧頂きたい。 “山頂”を目指し繰り広げられた戦い。夢を掴んだ選手も居れば、夢破れた選手もいたことだろう。しかしこの戦いを通して得たものは、次なる別の山への挑戦にも繋がっていくに違いない。感動を与えてくれた高校生たちに、心からの感謝を届けたい。 優勝チーム「Eifer」にインタビュー!! ©MIZUKI / ITADAKI 2023 ――まずは優勝おめでとうございます! まずはみんなの今のお気持ちを。 ソーマ「気持ちいいです!」 ミサキ「最高でした!」 ――どのような経緯でEiferは結成されたんでしょうか。 ソーマ「みんなで高みを目指したい、優勝を狙いたいという思いで結成しました。クラブの中にも同世代の子はいるのですが、その中でも一際思いの強いメンバーが集まった気がしています」 ――この夏、9月上旬に開催された「Double Dutch Delight」という別の大会にも出場していたと思うんだけど、一連の期間の練習を振り返ってどうでしたか。 サナ「Delightは2位で、あと1歩及ばず悔しい思いをしました。それらをITADAKIにぶつけたいという一心でここまで練習してきました」 ヒーナ「夏を振り返ると、とても大変でした(笑)。1ヶ月にオフは数日で、それ以外はずっと練習。本当にダブルダッチ漬けで、しかも意見のぶつかり合いもあって。ですが、喧嘩になるくらい意見を思いきり言っても、不思議なことに翌日の練習にはまた楽しくやっているんですよね(笑)」 ――みんな“勝ちたい”とか、“良くしたい”という思いを持っているからこその衝突、ということだったんだね。ずばり、今回のショーケースのこだわった部分がどこだったか教えてほしいです。 ミサキ「曲と構成です。実は初めて自分で考えたんですよね。もちろんヨウ先生(クラブのコーチ)やコーキくん(同クラブ OB)など、色んな方に相談やアドバイスもいただいて作ったんですが、でも大体は自分でやろうと。曲選びも“選び方”の段階からはじまって、一から色んな人に話を聞いてもらって進めていきました。ショーの構成の部分も、このメンバーは個性が濃いはずなのに負け続けてしまっていたから、この個性を活かしてどのようにまとめたら勝てるか、考えていました」 優勝発表後、チームメイトや応援に来た保護者らと抱き合うEifer©MIZUKI / ITADAKI 2023 ――最後に、みんなから感謝を伝えたい人たちへメッセージなどがあればお願いします。 ヨーヘー「正直、めっちゃしんどい時期はありました。チームメイトや教えてくれる人にもたくさん迷惑をかけてしまったこともあります。でもみんなで切磋琢磨できて、努力して、やっと優勝できました。本当に嬉しいです。ありがとうございました!」 サナ「今回のパフォーマンスは『自分たちでやりたいことをやる』のを目標にしていました。やらされてる感覚があるのはやっぱり良くないので。やりたいことをとことんやり切った手応えがあって、それが結果に繋がってよかったです。チームとしての活動はこれで区切りになると思うのですが、これからもそれぞれ、楽しんでダブルダッチをやっていて欲しいなと思います」 ヒナ「部活や勉強などは大変でしたが、それを支えてくれた保護者やコーチ、チームメイトに感謝しています」 ヒーナ「練習場所から家までが結構遠くて、親にも迷惑をたくさんかけてしまったと思います。それでも支えてくれたことにありがとうの思いでいっぱいです。あと練習に行けずチームメイトにも迷惑をかけてしまいましたが、みんなに支えてもらえることも多くて、このチームで優勝できて本当に良かったと思っています。私をチームメイトに選んでくれてありがとう」 ミサキ「今回のショー作りでは初めてのことがたくさんありました。不安もいっぱいあって、その度にコーチや先輩に支えてもらったのですが、それが結果にならず、悔しくて申し訳なくて。チームメイトにも勝たせてあげられなくて、本当に申し訳ない思いもたくさんしてきました。だから今回、ITADAKIで優勝できて本当に良かったです。支えてくださった方々、そしてチームメイトのみんな、ありがとうございました」 ソーマ「一言で言います。みんなを愛しています!」 開催概要 「ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2023」日時 : 2023年 9月30日(土)会場 : 川崎ルフロン主催 : ITADAKI 実行委員会共催 : 川崎市 / ISF実行委員会主管 : 有限会社 OVER THUMPZ協賛 : ポカリスエット / ヘインズブランズ ジャパン株式会社協力 : スキルハック / 川崎ルフロン協力メディア : FINEPLAY
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surf歴史あるガールズサーファーのコンテスト“第19回 TAHARA おいでん GIRL’S CUP”が愛知県赤羽根海岸で3年ぶりの開催2023.09.272023年9月24日(日)に愛知県田原市赤羽根海岸ロコポイントにて『第19回 TAHARA おいでん GIRL’S CUP』が開催された。ここロコポイントは遠州灘に面し、広いビーチや広場が併設された珍しい立地で、大会やイベントなどが度々開催されている。浜辺から向かって右奥にある沖へと伸びた長い堤防に沿って砂がつきやすく、ウネリが入ればAフレームのブレイクが現れ、初心者からエキスパートまで楽しめる遠浅で綺麗な砂のビーチである。 『 TAHARA おいでん GIRL’S CUP 』とは2003年に伊良湖を代表するウィメンズプロサーファーの大沢裕子氏・三浦麻美氏・バッカー麻里衣氏の有志3名により、コンペ思考だけでなく、誰でも楽しめるフェスのような大会を目指し立ち上げられた。 長くサーフィンを続けていく上で、女性のライフスタイルの変化と共に進学・就職・結婚・出産それぞれの年代のサーファーが、それぞれのライフスタイルの中でサーフィンを続けていくことを応援することも目的としている。 この歴史ある大会は、現在プロとして世界で活躍をしている選手たちも過去に出場実績がある。ガールズサーファーの登竜門的立ち位置となるこの大会は、東海地方のみならず全国から多くの選手達がエントリーしており、10代から60代と選手層にも幅があることが特徴だ。 今大会は総勢125名の選手がエントリーし、当日はAM6時より開会式とルール説明が始まった。海に向かって西側がAポイント・東側がBポイントと2バンクで1ヒート12分、日本サーフィン連盟(NSA)のジャッジレギュレーションに則り、各クラスの演技レベルにあった採点方法で進行された。 スペシャルクラスを制したのはツインズガールズサーファーの姉、清水ひなた選手 優勝した清水ひなた選手、セミファイナルでのライディング 大会当日の朝は前週までの蒸し暑い夏の日差しとは打って変わり、秋の涼しい風に包まれたが、昼にかけて徐々に気温が上がり東風が強く吹き始めた。昼前まではオフショアで海面もクリーンな状態を保っていたが、各クラスのファイナルが始まる頃には東風のサイドオンショアとなり、沖の強風からの東うねりで波のサイズは上がり1.5m程に。時には2m近い波も見られた。 スペシャルクラスのファイナルリストは、馬場心選手、ハナ・バッカー選手、清水ひなた選手、石井有沙選手の4名が出揃い、風波な上にインサイドのカレント、ワイドでクセのある難しい波に各選手は苦戦するも、清水ひなた選手がクリーンな波をつかみファーストターンで大きく板を返し6.33pt、難しいセクションへ2ターンと安定したライディングで5.50ptとトータル11.83ptで優勝を決めた。 石井有沙選手。ファーストターンで大きくスプレーを飛ばし7.50ptを出すもバックアップが伸ばせず惜しくも2位。 3位の馬場心選手。難しい風波にバックハンドで大きくマニューバーを描く。 ハナ・バッカー選手はフロントサイドで際どいターンで攻め込む。 エキシビジョンはCS・QS・IBCと世界を転戦中のプロサーファーが参加し会場を盛り上げた 左から山下海果、相田桃、都築虹帆、川瀬心那 エキシビジョンに参加した、日本を代表する選手たち。ショートボードからは都築虹帆選手・川瀬心那選手、ボディーボードは相田桃選手・山下海果選手、そしてロングボードは榊原寄子選手、の5名が参加。風波のハードコンディションの中、素晴らしい技で会場を沸かせた。中でも、都築虹帆選手・川瀬心那選手・山下海果選手の3名は世界大会で結果を残すほどのトップコンペティターで認知度も高く、多くの観客から注目を集めた。 CS:Challenger SeriesQS:Qualify SeriesIBC:International Bodyboarding Corporation サーフィン体験会や地元小学生が参加する和太鼓の演奏、子供向けワークショップなども盛り沢山! 地元の子供達や、選手・スタッフもみんなでビーチクリーンタイム 障がい児童を中心としたサーフィン体験の様子 素晴らしい和太鼓演奏を披露してくれた地元和太鼓団体と小学生和太鼓チームの皆さん 子供向けワークショップ 新実行委員長となった、プロボディーボーダー片山綾子氏のコメント 片山綾子氏 今大会より、実行委員長はプロサーファーの金子藍氏からプロボディーボーダーの片山綾子氏へと引き継がれ、閉会式の挨拶では「選手やスタッフの皆さま、今日は遅くまで本当にありがとうございました。波がハードな中で、初めての大会だった方や、スペシャリストの方などレベルは様々でしたが、皆さんに楽しんで頂けたんじゃないかなと思います。運営面でたくさん反省点はありましたが、皆さんの頑張っている姿がとても印象的でした。私自身コンテストが好きなように皆さんもコンテストを楽しんで、これからも波乗りを楽しんでいってくれたら嬉しいです。今回の経験を活かして来年はもっと良い大会にできるように成長してここに帰ってきますので、皆さんもロコのいい波を堪能できるようにもっと腕を磨いて、楽しんで波乗りをしてください。」と、涙と共に感謝の気持ちを伝えた。 今回は “TAHARA おいでん GIRL’S CUP” 20周年ということで、閉会式には愛知のガールズサーフィン文化を牽引してきた大沢裕子氏・三浦麻美氏・バッカー麻里衣氏に実行委員からサプライズでお祝いが贈られた。 行政との連携や、地元の小学校和太鼓チームや飲食店など地域の協力のもと、伊良湖のプロ・アマガールズサーファーらが中心となり運営されている ”TAHARA おいでん GIRL’S CUP” 。来年の記念すべき第20回大会もとても楽しみである。 大会結果 ショートボード・スペシャルクラス優 勝:清水 ひなた準優勝:石井 有沙第3位:馬場 心第4位:ハナ バッカー ショートボード・オープンクラス優 勝:川瀬 煌渚準優勝:田中 亜矢第3位:前田 はるき第4位:木村 咲葵 ショートボード・ビギナークラス優 勝:福嶋 悠紀準優勝:山中 真穂第3位:天野 にこ第4位:野口 絹子 ショートボード・ママさん&シニアクラス優 勝:中原 由未準優勝:杉浦 知江第3位:神谷 真理子第4位:松浦 優 ロングボード・スペシャルクラス優 勝:川崎 智子準優勝:市川 恵里香第3位:松原 純恵第4位:大塚 海音 ロングボード・オープンクラス優 勝:磯部 有紀準優勝:村松 優第3位:阿隅 香奈第4位:あさ ゆうこ ロングボード・ビギナークラス優 勝:井山 志津恵準優勝:川原 美奈子第3位:川合 真紀第4位:村上 仁美 ボディーボード・スペシャルクラス優 勝:井島 真紀準優勝:瀬田 七海第3位:源馬 鮎海第4位:野村 美也子 ボディーボード・オープンクラス優 勝:山本 孝江準優勝:藤岡 みり第3位:上村 有加第4位:岸川 恵理子 ボディーボード・ビギナークラス優 勝:阿部 みゅう準優勝:松原 磨優美第3位:佐久間 早希子第4位:宮本 麻紀 大会概要 タイトル :第19回TAHARAおいでんGIRLSʼCUP 開催日 :2023年 9月24日(日) 予備日 なし 開催場所 :愛知県田原市赤羽根(ロコポイントまたはロングビーチ) 主催 :おいでんガールズカップ実行委員会 賞典 :各クラス入賞者に景品 後援 :田原市 田原市教育委員会・渥美半島観光ビューロー NSA日本サーフィン連盟愛知支部・ティーズ・ヤシの実FM CBC未来つなぐPROJECT x ダイドー株式会社協力 :一般社団法人スマイルビーチプロジェクト CBC未来つなぐproject・田原市商工会内容 :ウイメンズのみのサーフィンコンテスト 障がいを持つ子供たちのサーフィン体験教室 (一般社団法人スマイルビーチプロジェクト主催コラボイベント) 参加資格 :アマチュアレディース お問合せ先 :〒441-3424 愛知県田原市南神戸町仲北81-1 シーク内 おいでんカップ実行委員会事務局 TEL 0531-27-1334(10:00〜18:00) mail@seeksurfshop.com
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others宇部市が街をアーバンスポーツの舞台に変えた。「UBE URBAN SPORTS FES 2023」イベントレポート2023年9月23日(土)24日(日)に山口県宇部市の国道190号特設会場にて「UBE URBAN SPORTS FES 2023」と「第4回パルクール日本選手権」が同時開催された。 「UBE URBAN SPORTS FES 2023」は都市の風景を舞台に、自分の身体や技術を自由に表現するアーバンスポーツの魅力を身近に感じて楽しむことができるイベントとして、BMX SHOWCASEやBMX体験会、3人制バスケットボール市民大会「3x3 ENJOY II」などが実施された。またパルクール日本一が決まる「第4回パルクール日本選手権」も同時開催され、通行止めとなった国道190号線には多くの観客が来場した。※第4回パルクール日本選手権記事はこちら 本記事では「UBE URBAN SPORTS FES 2023」当日のレポートをお届けする。 BMX SHOWCASE 地元のライダーである中務 泰法 © Jason Halayko 会場内に設置された特設のセクションに6名の国内トップライダーと、MCの米田大輔が集結。ライダーには日本が誇るBMX界のエース 中村 輪夢選手をはじめ、地元・山口県のローカルヒーロー 中務 泰法選手、ジュニア部門の世界チャンピオンである松本 翔海選手、福岡出身でアメリカでも活動の幅を広げる上田 崇人選手、名古屋を拠点に活躍するBMX兄弟 伊藤 大空・伊藤 蒼空 が名を連ね、本イベント限定のスペシャルショーケースを披露した。 多くのスマートフォンやカメラが向けられ大注目のコンテンツとなったBMX SHOWCASE。それぞれのライダーが自身のトリックを惜しげもなく披露し、空中でのアクロバティックな動きに対してはどよめきも起こるほどであった。 宇部市長、山口県知事のはるか上を飛び越える中村 輪夢 © Jason Halayko SHOWCASE 時には宇部市長の篠﨑 圭二氏、山口県知事の村岡 嗣政氏も来場。途中にはMCの米田大輔が、「市長と県知事の上をBMXで飛び越える」という台本なしの“フリースタイル”なパフォーマンスを提案。会場は大盛り上がりの中で見事パフォーマンスは成功し、前代未聞のコラボレーションは大きなインパクトを残した。 ハイタッチの様子 © Jason Halayko 最後にはライダーと観客とのハイタッチ、そして写真撮影やサイン会も行われ、大盛況のうちに幕を閉じた。23日の実施のみとなった本コンテンツだが、BMXの魅力を余すことなく伝えてくれた6名のライダーとMCの米田大輔には観客から惜しみない拍手が送られた。 3x3 ENJOY II エキシビジョンマッチの様子 © Jason Halayko また同日には、3人制バスケットボール市民大会「3x3 ENJOY II」が行われた。イベントのゲストには 3人制バスケットボールのプロチームである、スリストム広島(広島)、SOLVIENTO KAMAKURA ZUSHI.EXE(神奈川)の2チームが参加し、クリニックやエキシビジョンマッチを実施した。 注目の市民大会ではU12部門や女子部門が行われる中、一般部門では地元のチームである「仁」が優勝。イベントの最後には優勝した仁と、プロチームであるスリストム広島・SOLVIENTO KAMAKURA ZUSHI.EXEの連合チームによる10分間のエキシビジョンマッチが行われた。序盤から確実にシュートを決めていく仁に対して、プロ連合チームはスピードやフィジカルで上回ったがボールがリングに嫌われてリードを許していた。 試合終盤ではプロ連合チームもギアを上げて点差を縮めたが、アウトサイドから攻めるプロ連合チームに対して確実にディフェンスリバウンドを押さえ、シュートを決め切った仁が逃げ切って勝利。まさかのプロ連合チームに勝利するというジャイアントキリングを巻き起こした。 エキシビジョンゲームで何本ものシュートを沈めた「仁」の森本選手© Jason Halayko 仁の代表である斎坂 稜選手は優勝コメントにて「普段なかなか外でプレーする機会が少ない中で、初めて組んだチームでしたが凄くフィットして良いゲームになったと思います。まさかエキシビジョンでプロチームに勝てるとは思いませんでしたが、チームメイトの森本選手がたくさんシュートを決めてくれたし、追い付かれても諦めずにチーム一丸となって頑張ったことが勝利に繋がったと思います!」と語ってくれた。 © Jason Halayko イベントを通して © Jason Halayko 初開催となった「UBE URBAN SPORTS FES 2023」は来場者数もさることながら、想像以上の話題性と熱狂を生みだした。BMX SHOWCASEや3x3のほかにもスケートボード体験会や、宇部市のグルメ品が揃ったフードエリアなど、全年齢が楽しめるフェスとしてのコンテンツも充実していた。イベントには子ども連れの家族、学生たちも多く見られ、イベント開催の本来の目的でもある「中心市街の活性化」「若者世代の獲得」に向けて大きな足掛かりとなったことは間違いないだろう。 様々な課題を抱える地方都市が「アーバンスポーツ」の力で活性化を図る―。来年以降も本イベントが開催されること、そして今後の宇部市の更なる発展に期待していきたい。 イベント概要 名称:UBE URBAN SPORTS FES 2023会場:宇部市役所前から松山町一丁目交差点までの国道190号特設会場約600m日程:2023年9月23日(土祝)24日(日)入場料:無料主催:宇部市後援:(一社)日本アーバンスポーツ支援協議会協力:(公財)日本体操協会メディア協力:FINEPLAY主管:UBE URBAN SPORTS FES 2023実行委員会問い合わせ先:宇部市観光スポーツ文化部スポーツ振興課Email:info@ubeusfes.jp
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parkour山口県・宇部市で「第4回パルクール日本選手権」が開催!女子は絶対王者が連覇2023.09.262023年9月23日・24日に山口県 宇部市の国道190号の特設会場にて、パルクールの日本一決定戦である「第4回パルクール日本選手権」が開催された。本大会は宇部市主催の「UBE URBAN SPORTS FES 2023」と同時開催となり、会場には多くの観客が詰めかけた。 23日(土)に実施された「スピード女子」では泉 ひかり(TOKIOインカラミ)が優勝。24日(日)に実施された「スピード男子」は本居 一輝、「フリースタイル女子」では永井 音寧(TOKIOインカラミ)、「フリースタイル男子」では関 雅仁(TOKIOインカラミ)が優勝に輝いた。また、女子の泉ひかりはスピード種目で大会3連覇、永井音寧はフリースタイル種目で大会4連覇を飾った。 第4回パルクール日本選手権 開会式© Jason Halayko 【スピード】女子・泉 ひかりが大会3連覇! 泉 ひかり © Jason Halayko 23日に実施された「スピード女子」では泉 ひかりが優勝に輝き、大会3連覇を飾った。今大会の出場者は泉ひかり・山本 華歩の2名のみであったが、ワールドカップでの優勝経験もある泉 ひかりは38.645秒のタイムで見事、優勝を勝ち取った。 本居 一輝 © Jason Halayko 24日に実施されたスピード男子では20歳の本居 一輝が初優勝となった。タンクトップにバンダナなどウェッサイスタイルで登場した本居 一輝は、予選を5位で通過。決勝には昨年の世界選手権に日本代表として出場した大西 隼人や勝乗 志音が名を連ねる中、本居は予選からタイムを2秒近く縮めてフィニッシュ。大きな歓声と共に大会初優勝を飾った。 【フリースタイル】永井音寧・怪我を押して勝ち取った大会4連覇 永井 音寧 © Jason Halayko 女子フリースタイルでは絶対王者である永井 音寧が圧巻のランで大会4連覇を飾った。優勝後のインタビューでは「両足首を怪我していて心配だった」と語っていたが、怪我を全く感じさせないほどのスピード感とトリックの完成度で、まさに「国内敵なし」といった強さを見せつけた。直近では国際大会での活躍も多く、今後も彼女が世界の舞台で活躍していく姿に目が離せない。 関 雅仁 © Jason Halayko 大会のトリを飾った「フリースタイル男子」では関 雅仁が優勝に輝いた。決勝では大貫海斗や宮崎裕来、前回大会チャンピオンの朝倉 聖などの強豪が決勝に顔を揃える中、得意の鉄棒を使ったトリックなどパワフル且つハードな演技で会場を沸かせた関 雅仁。30点満点中28点という高得点で堂々の初優勝となった。 男子フリースタイル決勝進出者 © Jason Halayko 宇部市で開催された本大会は、未来のメダリストを一目見ようと宇部市内外からも多くの観客や来賓の関係者も詰め掛け、大盛況で幕を閉じた。2024年 パリ五輪の正式種目としては不採用だったパルクールだが、今後のオリンピック種目の候補として大きく注目されている。 オリンピック競技採用に向けて、より「競技」としての見方も強くなるパルクールだが、今回のような公道(国道190号線)で大会が実施されることで「ストリートカルチャー」の面もクローズアップされた形となった。特にスピード男子で優勝した本居 一輝や、フリースタイル男子で決勝に進出した松本 蛍など、競技のスキルだけでなくファッションや普段の活動スタイルからストリート色を感じる、華のあるプレイヤーが活躍していたのも印象的であった。今後も引き続きパルクールのカルチャー面、そして競技としての発展に期待して注目していきたい。 優勝者コメント © Jason Halayko スピード女子 優勝:泉 ひかり(※大会3連覇) 「まずは走り切れてホッとしています。でもプランしていた通りの走りが出来なかったので悔しいです。そして今回もたくさんの方に大会を見に来ていただき、本当にありがとうございました。パルクールは一見難しそうに見えますが、どなたでも何歳でも始められるので、興味を持った方は是非パルクールを体験してみてください!」 © Jason Halayko スピード男子 優勝:本居 一輝「シンプルに優勝できて嬉しいです!僕は競技とストリートの2つの面でパルクールをやっています。街中でのパルクールもとても魅力的でめちゃめちゃ楽しいので、競技だけでなくストリートの面も見てもらえたら嬉しいです!」 © Jason Halayko フリースタイル女子 優勝:永井 音寧(※大会4連覇)「今回は両足首を怪我していて心配だったんですけど、まずは全部やり切れたことに安心しています。パルクールって一つのセットでもみんな使い方が全然違うし、その人オリジナルの技もあるので、そういったところをどんどん注目していただきたいです!」 © Jason Halayko フリースタイル男子 優勝:関 雅仁「自分は12年くらいパルクールをやっていて、日本にパルクールの大会がなかった時からやっていました。その後大きな怪我をし、ブランクの期間に日本にも大会ができてきました。なかなか大会に出れない時期が続きましたが、ちょうどカムバックした2年前の「第2回パルクール日本選手権」では3位、昨年の大会では準優勝、そしてこの4回目の今大会で優勝ができたのでとても嬉しいです!」 大会結果 © Jason Halayko スピード女子1位:泉 ひかり(TOKIO インカラミ) 38.645秒2位:山本 華歩 41.682秒 © Jason Halayko スピード男子1位:本居 一輝 23.636秒2位:勝乗 志音 (MISSION HIROSHIMA) 23.799秒3位:永田 悠真 24.029秒 © Jason Halayko フリースタイル女子1位:永井音寧 (TOKIO インカラミ) 25点2位:山本華歩 24点3位:近藤凪紗 23点 © Jason Halayko フリースタイル男子1位:関 雅仁 (TOKIO インカラミ) 28点2位:大貫 海斗 (TOKIO インカラミ) 27.5点3位:勝乗 志音 (MISSION HIROSHIMA) 26点 大会概要 タイトル :『第4回パルクール日本選手権』会期 : 2023年9月23日(土祝) ~24日(日)会場 : 山口県 宇部市 国道190号 特設会場主催 : (公財)日本体操協会後援 : (一社)日本アーバンスポーツ支援協議会協力 : 宇部市競技種目 : スピード(男子・女子)、フリースタイル(男子・女子)観戦 : 無料参加体験 : パルクール一般参加体験コーナー同時開催 : 「UBE URBAN SPORTS FES 2023」(BMX, 3X3, スケートボード など)
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skateSkateboarding Unveiled vol.6 ~ムラサキパーク東京の軌跡を辿る~「想い出が詰まった場所です」「青春時代を共に過ごしました」「私たちの憩いの場所でした」 無くなってみて、初めて当たり前にあった場所の大切さに気付く人も多い。 “伝説のスケートパーク”と捉えている人もいるだろう。『ムラサキパーク東京』のことだ。 前回のコラムでは2009年にムラサキスポーツに経営権が移り、Map’s Tokyoからムラサキパーク東京へ名称変更、2014年に全天候型の屋内パークが完成したところまでをお届けしたが、今回は今年5月7日の営業終了までに行われたコンテストやイベントの写真から、一時代を築いたスケートパークの軌跡を辿っていきたいと思う。 未来の金メダリストの一日 ムラサキパーク東京をホームとしていた当時16歳の堀米雄斗 といったところで、いきなり変化球から入らせてもらうのだが、まずは「The Days Inn」という、トップスケーターの1日を追う企画から紹介していきたい。 これはかつて自分が在籍していた専門誌、「TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN」の人気コーナーで、2015年2月に撮影したもの。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いで国内シーンのトップに上り詰めていった堀米雄斗に密着させてもらったのだが、後のオリンピック金メダリストを育てたという事実は、ムラサキパーク東京がどれだけシーンに貢献をしてきたのかがわかる重要な証拠となるだろう。 メジャーブランドも次々にコンテストを開催 MAKE IT COUNT 2015で優勝した田中陽 次は同年5月に開催されたElementによる「MAKE IT COUNT」。 もともとElementは、この前年に富山の「NIXSスポーツアカデミー」で同イベントを開催するなど、国内で話題性あるパークがオープンしたら真っ先にコンテストを行ったり、映像作品をリリースしてきた。この年の会場にムラサキパーク東京を選んだのも自然な流れだろう。 当時は並いる若手有望株を抑え田中陽が優勝。瀬尻稜や松尾裕幸といった、同社が抱える様々なブランドに所属する豪華ライダー陣によるデモも行われ、盛大な盛り上がりを見せた。 デモンストレーションで圧倒的な存在感を見せつけた瀬尻稜 そして7月にはVOLCOMが「WILD IN THE PARKS」を開催。これはアメリカ各州や世界各地で行うコンテストの日本ラウンドにあたり、“OPEN”と“14 and UNDER”の2クラスの優勝者にはThe Berricsで行われるチャンピオンシップスへの出場権が与えられ、現地までの航空券と宿泊が用意された。 優勝は堀米雄斗と池田大亮で、彼らが世界へと足を踏み出す最初の一歩となったのだが、この時は10歳以下のLIL’ MONKEYクラスも行われ、見事池田大暉が制覇している。 彼らの今の活躍を見れば、誰もが納得する結果と言えるのではないだろうか。 またこちらは余談になるのだが、このイベントからパーク中央部のセクションがリニューアルされており、以後この三角形型のセクションがパークの定番となっていった。 優勝した堀米雄斗(左)のライディングと、池田大亮(右)。このコンテストは両者の世界進出の足がかりとなった。 LIL’ MONKEYクラスで優勝した池田大暉(右端) 当然海外のプロスケーターも来日 左からユーン・サル、エリック・コストン、ショーン・マルト。彼らからの声掛けでリラックスしたポートレートが撮影できた 続いては海外から来たライダーのデモとスクールイベントを。これは同年12月にSkull Candyクルーとして来日したエリック・コストンとショーン・マルト、さらにフォトグラファーのユーン・サルという面々。 最近ではRed Bullチームの来日が記憶に新しいが、それでもブランド単位のジャパンツアーは以前と比べれば少なくなったように思う。 以前は毎月のように様々なブランドの来日ツアーが行われていた時代もあったし、筆者もその情報に心を躍らせていたひとりだ。 だがそれ以上に、今はX GamesやSLSといった国際大会が日本で開催されるようになり、あらゆるトッププロを一挙に見れるようになったのだから、時代の進歩は凄まじい。 デモでライディングを披露するエリック・コストンとショーン・マルト。写真からも彼らのスタイルが伝わる JSFによるストリートのコンテスト 2016年に入ると、今度はJSF (Japan Skateboarding Federation)がストリートのコンテストを開催している。 今はストリートがAJSA、パークスタイルがJSFというイメージを持つ人が多いと思うので、もしかしたらこの事実には驚きを持つ人もいるかもしれない。 だが優勝は池田大亮、2位に堀米雄斗という顔触れは当時の他のコンテストと変わらない。 彼らがいかに突出していた存在だったかがわかる一枚だ。 優勝した池田大亮(中)のライディングと、2位の堀米雄斗(左)、3位の根岸空。集まっているメンツも今を代表する豪華スケーターばかり。 オリンピック追加種目発表記者会見の場にも選出 そしてこの年で忘れてはいけないのが、オリンピック種目への採用が正式に決定したことだろう。 実はその記者会見場に選ばれたのもムラサキパーク東京だったのだ。これはおそらくではあるが、当時はスケートボードの社会的認知度がまだまだ低かったため、世間一般にどんなものなのかを見てもらおうと。デモンストレーションも兼ねた記者会見となったのでないかと思う。 ただ日本のスケートボードの歴史においては、ものすごく重要な一瞬であったことは間違いのない事実だ。 おそらくこの時がメディアも含め、世間がスケートボードを目にした最初のタイミングではないだろうか。それもあってか、当時はマスメディアも摩訶不思議そうなに見つめていた記憶がある。 東京五輪に向けた国内大会も多数開催 優勝した池 慧野巨と参加選手たちの面々。よく見るとあんな人やこんな人も発見できる その後はオリンピックに向けて、徐々にスケートボードシーン全体が社会からの注目を浴びるようになってくる。これは2018年5月に開催された第2回全日本選手権の写真になるなのだが、第1回と第2回の開催場所に選ばれたのもムラサキパーク東京だったのだ。 ただその後はムラサキパーク笠間や、村上市スケートパークといった、新たにオープンしたコンクリートのスケートパークへ徐々に移行していったので、ビッグコンテストの開催は減っていくのだが、東京五輪に向けた戦いの初期を支えていたのは間違いなくココだった。 当時の優勝は池 慧野巨(左)と伊佐風椰(右)。この優勝をきっかけにちょうど現在開催中のアジア大会への出場権を獲得した。 それでも2019年はまだまだ国内のコンテストシーンのど真ん中に居座っていたことがわかる。 なぜなら2月にはWORLD SKATE JAPANの全身であるJRSF(Japan Roller Sports Federation)によるJAPAN OPENが初開催されているからだ。 この年はオリンピックを翌年(その後コロナ禍により一年の延期となったのは皆さんが周知の事実)に控え、いよいよ本格的なライダー選考の始まったタイミングであり、強化選手選出を兼ねたコンテストだった。そこでAJSA(日本スケートボード協会)との共催で行われ、5月の村上での第3回日本スケートボード選手権大会と合わせて絞り込まれていった。 2019年の優勝は池田大亮(左)と、藤澤虹々可(右)。 時代には左右されないAJSAのムラサキカップ 2018年のムラサキカップは優勝が池田大亮で2位が白井空良なのだが、実はこの数ヶ月後に行われたJRSF JAPAN OPENも同じ並び。堀米雄斗がアメリカに拠点を移してからは、この2名が国内の覇権を争っていたことがわかる。 ここまでの話を聞くと、ムラサキパーク東京は見事に時代の波に乗り、次々にコンテストを開催、そして成功させていった場所だと思うかもしれない。 だがその一方で、昔から変わらないものもある。AJSAのムラサキカップだ。 これはオリンピック競技の採用が決まる前から開催されているもので、当然2018年も2019年も、もちろん今(今年はムラサキパーク立川立飛のこけら落としイベントの一環で行われた)も開催され続けている。多くの皆さんもご存知だと思うが、AJSAは日本一の、しかもぶっちぎりで長い歴史を持つ団体だ。そこには世の中の流行り廃りに左右されず、しっかりとした基盤とピラミッド型の育成システムを創り上げ、コンテストを通して業界の底上げを図っていくという意思表示の表れでもあると思っている。そんなAJSAを、自分は可能な限りずっと協力していきたいと思っている。 2019年は青木勇貴斗、山下京之助、白井空良による三つ巴の戦い。本当に僅差であったため、まさかの優勝に青木勇貴斗は驚きの表情を見せていた 近年広がりを見せるフォトセッション 撮った写真を即座に編集して当日中に本人へ渡す。撮影後は画面を食い入るように見つめていた参加者たち その後世界がコロナ禍に見舞われたことで、しばらくイベントの開催はなくなり、自分が足を運ぶことも減っていったのだが、久しぶりに訪れたのが、2021年3月に行われたJASA (ジャパン・アクション・スポーツ・アソシエーション)によるフォトセッションになる。 これは現在徐々に広がりを見せている形式のイベントで、撮影した写真データを当日中に編集し、その場でもらえるという試みだ。 というのもプロスケーターにでもならない限り、普段の生活では大判印刷できるようなカメラで、しかもプロカメラマンにライティングまでして撮ってもらう経験は、そうそうあるものではないと思う。現にこの時も多くの人が、「僕も(私も)撮ってくれ! 」声をかけてくれたし、実は今も現在進行形でこういったイベントの企画は進めているので、開催した際はぜひ皆さんにもご参加いただけたら幸いだ。お子さんの成長の記録としてもピッタリではないかと思う。 そしてこの年の7月にあったビッグイベントといえば、まだまだ記憶に新しい東京オリンピックだろう。 本番会場は有明アーバンスポーツパークだったが、これはその直前にボードライダーズ社の主催で、メディア向けの公開練習が行われた時のものだ。 同社に所属する西矢椛、中山楓奈、岡本碧優、青木勇貴斗が華麗なライディングを披露し、マスコミからの質問に答えていたのだが、中には岡本碧優が滑っているのを疑問に思う人もいるだろう。なぜなら彼女は女子パークの選手であり、ムラサキパーク東京はストリートのパークだからだ。 だが、そこにも当然理由はあって、この日は本来ならムラサキパーク笠間で行われる予定だったのだが、降雨により急遽屋内施設であるムラサキパーク東京に会場が変更されたのだ。 だからこそではあるが、ストリートのパークで滑る岡本碧優というレアな一枚を撮影することができた。 クォーターではあるが、岡本碧優(左)がストリートのパークを滑るというレアな一幕。そして西矢椛(右)はご存知の通り、この数週間後に日本史上最年少の金メダリストとなった。 継続は力なり 藤澤虹々可とPOD CorporationによるPOD Games そして次がムラサキパーク東京の営業終了前に、自分が撮影した最後のイベントになる。 POD Coporationと藤澤虹々可によるPOD Gamesだ。 ただ彼女はこのコラムにも載せた2019年のJRSF JAPAN OPENの覇者で、まだまだ現役バリバリのトップガールズスケーターだ。 しかも自分は彼女の10歳にも満たない頃の写真も撮影しているので、まさかこんなに早く彼女と裏方の立場で一緒に仕事することになるとは思っていなかった。 でも今思うと、そんな出来事もお互いスケートボードが好きで続けてきたから実現したのだと思う。 今やその数も増えたガールズイベント。今後もきっと増加の一途を辿っていくことだろう ここまでの流れを辿れば、やはり世の中は「諸行無常」であると思わざるを得ない。だがそれと同時に「継続は力なり」という言葉の意味も、時を重ねることで感じ取れるようになってきた。 残念ながら今はもう「ムラサキパーク東京」は存在しないが、そのレガシーは「ムラサキパーク立川立飛」に立派に受け継げれている。これからも『ムラサキパーク』の名はそのままに、時代の最先端をひた走っていくのだろう。 一個人が撮影した写真だけで、これほどのストーリーが出来上がってしまうのだから。 吉田佳央 / Yoshio Yoshida(@yoshio_y_)1982年生まれ。静岡県焼津市出身。高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本の監修や講座講師等も務める。ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている