2023年7月、アメリカ・コロラド州にて開催されたダブルダッチの世界大会「DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD 2023」。
コロナ禍によって4年ぶりとなった、プレイヤーたちが待ち焦がれた実地での開催。
見事世界一のタイトルを掴み取ったのはガールズチーム「Mrs.DOUBLE DUTCH」(ミセス ダブルダッチ)。
チーム結成は8年前。彼女たちがどのような道のりを辿って“世界一”となったのか。
これまでの歩みと今大会へ懸けた思い、そしてこれからについて訊いた。
ABOUT “Mrs.DOUBLE DUTCH”
10名の女性ダブルダッチプレイヤーで結成されたチーム。各メンバーがプレイヤーのみならず、メディア・モデル活動や、大会でのゲスト・審査員など、多方面で活躍している女性ダブルダッチチームのパイオニア。
今回の世界大会にはこのうち7名が出場。

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
※以下、記事中ではチーム愛称「ミセス」と表記。
“女性プレイヤーの希望になりたい”
ミセスが結成されたのは2016年。
当時のダブルダッチシーンについてと結成に至った思いについて、リーダーのMISAはこう壊述する。
MISA
「多くのプレイヤーは大学のサークルでダブルダッチに出会うので、卒業というのが一つの分岐点なんですよね。プレイヤーとして続けるか否かという。ですが、当時は女性でプレイヤーとして続けている人が少なかったんです」
「どうにかして女の子たちがプレイヤーとして活躍し続けることができないか。そんな声に触れるたびに考えるようになり、女の子のチームを作ってみることにしました」
そこでMISAを中心に、現メンバー MAYU・MOEMI・HARUNA・SUMIREを含めた7名でMrs.DOUBLE DUTCHが結成された。

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
MISA
「チームを作ったことに対する責任感はありましたが、私の中ではあくまで実験的な試みでもあったんです。
前例のないチャレンジだったからその先どうなるかも予想できなかったし、当時はプロ以外で同じチームを長く続けている人も多くなかったので。
でも女性のダブルダッチプレイヤーの希望でありたい、可能性を切り拓きたいという思いはありました。そこで『Mrs.DOUBLE DUTCH』と名付けたんです」
確固たる思いを持って走り出したミセス。
結成直後に、彼女たちは国内最大級の大会「DOUBLE DUTCH CONTEST 2016」の国内予選に出場することを決める。
しかし、その結果は17位。本戦出場となる“10位以内”には届かなかった。

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
MAYU
「“女子だけ”の難しさを感じた部分もありました。今思えば妥当な結果だと思いますが、今にいたるミセスの活動の源流だったというか、そこで私たちに火がついたというか」
HARUNA
「当時、私とSUMIREは大学4年生の卒業間近で忙しい時期だったこともあり、MISAさんがほとんど全ての曲や衣装を準備してくれていたんです」
MISA
「でもミセスを“長く続けていこう”とだけは決めていて、そのためには1人が作った作品でチームを続けていくのは無理だと思ったんです。
チームメイトと関係性を築いて『ここは自分のアイデアなんだ』『この瞬間自分は輝いているんだ』ってことを自覚しながらやらないと長く続けられない」
その後、メンバーそれぞれの活動を経て、2017年の「Double Dutch Delight」では一般部門で優勝を果たすほか、「DOUBLE DUTCH CONTEST」の上海大会に2年連続で出場し、2019年には優勝。
このほか、個々がミュージックビデオの出演やゲストショーケース、アパレル活動や審査員など、多岐にわたって活躍。
“ガールズチーム”としての存在感を確立させていく。
2019年、オリジナルメンバーの一部がプレイヤーとしての活動を終えたこともあり、ミセスとしての活動を継続するべく、AYUKA・KYOKA・REINA・NATSUMI・HARUKAが加入し現体制となる。

(前列) 左から1番目 HARUKA
(写真提供: Mrs.DOUBLE DUTCH)
国内予選に向けて――「ミセス式」のパフォーマンスメソッド
それからしばらく経ち、2023年。
最大級の大会である「DOUBLE DUTCH CONTEST」に再び出場することを決意する。
世界一のためにまず国内予選を制する必要がある。同部門への参加は約120チーム。その中で、まず上位5チームに残らなければならない。

MISA
「今年は久しぶりとなる実地での開催。しかもフルメンバーで大会に出るチャンスは今回を逃すとしばらくないかもしれないと思い、出ることを提案しました。ただ各々の都合もあるし無理はさせたくないから、イエスかノーで答えて、と」
そうして集まったのが今回のメンバーである7名だ。
MISA
「ただ各々仕事や家庭もあって、社会人チームは予定を合わせるのにも一苦労です。だから最初に集まりやすいメンバーでネタ(動きや技)を作って、そこから音を合わせていきました。
MAYUが音のストックを色々持っているので、MAYUが提案して、それを曲編集をやってくれるRisA(※)に伝えて進んでいきました」
(※)RisA
ミセスのパフォーマンス音源を作成していた人物。これまでのミセスメンバーが出場していた別チームの音源も作成するなど、数多くを手がける名曲編者。

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
同じチームを継続し続けていくメリットも多いが、その反面、期待値がインフレし高いハードルにもなりうる。そんな彼女たちのパフォーマンス作りは、どのように進められていったのか。
MISA
「『みんなが見たいミセス』『メンバーがやりたいミセス』というのはそれぞれ違うと思ったんです。
だから今回、私が『こうしたい』とは極力言わないようにしていました」
SUMIRE
「逆にMISAさんが委ねてくれたからこそ、話し合いは積極的にありました。新メンバーが入ってできることが増えたのもあって、『こういうネタもできる』『これよりこっちの方が良さそう』という感じで」
MAYU
「“ミセスをどんなカラーにするか”ということを踏まえ、1つ1つ細かいことでもみんなで話し合ったからこそ、みんながやりたいものにまとまっていったんです」
KYOKA
「『これは違うんじゃない?』と言うときも、それを言うからにはしっかり代案がありますし、試す価値があるから試す。逆に『ここは⚫️⚫️が跳んだ方が良さそうだね』ということも話しました」
HARUNA
「各々が自分の出来ることをしっかり自覚しているんだけど、その上でミセスって“他薦”が多いんです。チームメイトのこともよく理解していて、その人の技やスタイルに合いそうなことを判断できる。
だから『自分たちがやりたいミセス』と『みんなが見たいミセス』を両立させることができたと思うんですよね。自分たちでワイワイ盛り上がっているように見えるかも知れませんが、客観視もしています。
パフォーマンスの多くは最後にスピード(駆け足飛び)やアクロバットなど、ダイナミックな大技で締めくくるケースが多いのですが、そのやり方だと他には勝てないなと思ったんです。
勝つための他にない部分、そこがいわゆる『ミセスらしさ』ということなのかなと。
ミセスならではの要素、ミセスならではのパフォーマンス構成に同意してくれることで、それが自信に繋がっていきました」
それぞれが意見を出し合い、自分の理想と他者像を重ね合わせながら進めるのが“ミセス式”のパフォーマンス作りだ。
どうしてもその手法だとなかなか意見がまとまらなかったり、メンバー同士で衝突することも考えられるが、彼女たちにそういったことはなかったようだ。
MAYU
「意見がまとまらない状態で置いておくことはほぼありません。『そこいいね』『そこ微妙だね』を繰り返します。だから喧嘩もないです。当然時間はかかってしまいますけどね。
あと良いものが出来たら自分たちでも盛り上がってしまいますし、自分やお互いをめっちゃ褒めます(笑)」
MISA
「険悪な空気になることもありません。もちろん議論が白熱したり、出来ないことによって落ち込んだりはしますが、それはどのチームにもあるレベルのことで、取り立てて激しいようなものではありません。
メンバーを見ていると、みんな作品を作ることに対する意識が高いんです」
KYOKA
「ミセスは最年長と最年少のメンバーで9つも離れていて、見てきたダブルダッチや影響を受けてきたものなども全然違います。だからこそ色々な意見が出るし、それらを互いにリスペクトできるんです」
MISA
「色々と意見が飛び交うので、“お蔵入り”になった技や音はたくさんあります。ボツのものだけでショーケースが1本できるくらいには(笑)。
当然自分たちが頭を絞って作ったものなので、それらを捨てることに未練が無いと言えば嘘になります。けれど客観視していくなかで、勇気を持ってボツにすることも必要。
『これはKYOKAっぽくないよね』とか『これはミセスらしさじゃないと思う』とか。皆さんが見たいと感じてくれたミセスになっているのだとしたら、そこが理由だと思いますね」
MAYU
「例えば手の開き方1つとっても、指の開き方の間隔から角度まで細かい一つ一つを擦り合わせていきます」
筆者がミセスのパフォーマンスに“女性らしさ”を感じるのは、まさにこうした部分が所以だろう。女性のきめ細やかな感性と丁寧さが、今回の勝利を手繰り寄せていることを感じる。
そうして迎えた、国内予選の当日。
KYOKA
「結果、パフォーマンスはミスが1つ。今回の大会は審査基準的に、ノーミスとミス1つで6点差がついてしまう仕組みなんです。この1つのミスが順位を大きく左右しかねないと思っていたので、終わった直後に『確実に世界大会へ上がれる』という自信はありませんでした。
本来だったら、ノーミスでパフォーマンスを終えて衣装で会場を練り歩いて、『ミセスすげえ』ってチヤホヤされて、これから出番の学生たちに「頑張ってね」なんて声をかけて… とかってこと細かくイメージして臨むんですが(笑)」

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
そうして迎えた結果発表――。5位、4位とチーム名が呼ばれていくが、ミセスの名前はまだ呼ばれていない。
HARUNA
「会場を沸かせていた他のチーム、ノーミスを出していたチームも色々と見ていて、もうダメかも…と。最初はチームメイトの手を握りながら結果を聞いていたのですが、みんなすーっとその手を離してしまって」
一瞬の静寂を経て、MCが次の結果を読み上げる。
「3位は……… Mrs.DOUBLE DUTCHーー!!」
KYOKA
「結果が出たとき、何より『ミセス』をまだ続けられることが嬉しかったんです。またミセスで練習できる。またこの人らと会える。またこの人らと一緒に帰れる。『コロラド(世界大会の開催地)に行ったらさ』ってことをたくさん話してたから、それもできるなって」
拓かれた世界への道
そうして手にした世界への切符。舞台をアメリカ・コロラド州へと移し、次なる戦いが始まる。
世界大会ではパフォーマンスに加え「フリースタイルバトル」という種目がある。DJが掛ける音楽に合わせムーブを披露し、チーム同士が1vs1で優劣を競うというものだ。
MISA
「国内予選が3月、世界大会が7月なんですが、まず国内予選のパフォーマンスをリメイクするかどうかという話になりました」
REINA
「予選と本戦ではパフォーマンスを少し作り替えるチームが多く、当然私たちもまず作り替えるかどうか、というところから話がスタートしました。ですが結果としてはそのまま持っていきました」
MAYU
「私たちは1つ1つの技や音に対してかなりの時間を費やし議論をしています。ボツになったものは私たちの中の“予選”を通過しなかったからそうなった。また同時に、あのパフォーマンスが国内予選を通過したのにも理由がある。だから変えずにいこうと」
HARUKA
「RisAに音源の編集を頼むときも、パフォーマンスの内容を変えると歌詞を途中でぶった斬ることになって、気持ちが乗っかっていかないんですよね。歌詞で振り付けを決めている部分もありましたから。
でも『こうできる?』と訊いたらすぐ対応してくれて、しかも逆に提案までしてくれて、丁寧で。こうした支えなくしてミセスは無いなと感じますね」
HARUNA
「そうなんです。本当にいろんな人に支えられているんです。世界大会の渡航にはかなりの資金が必要になるので、イベントを開いたりクラウドファンディングなどをやったんです。でもそういったツールを設けたことで、皆さんから応援の声がたくさん届くようになったんです」
SUMIRE
「練習終わりに、皆さんからクラファンに寄せていただいたメッセージを全員で読んだのですが、もうみんなボロ泣きで(笑)」
HARUNA
「ダブルダッチの仲間に限らず、それぞれ自分たちの人生で出会ってきたたくさんの人が支えてくれていることを実感して『世界大会がミセスとしての最終地点ではいけない』とも思いました。
この感謝を体現するため、大会の後まで活動し続けなければならない。だからこそ、世界大会では優勝しなければならないと」
周りの応援を力に決意を新たにしたという彼女たち。いよいよ渡米し、大会直前を迎える。
MAYU
「問題はフリースタイルバトルです。
私たちは他のチームのやり方を真似していては勝てない。決勝まで進むと5ムーブ披露することになるのですが、どのタイミングでどのムーブをぶつけるかによって勝敗が大きく左右される」
HARUKA
「実はコロラドに渡ってから、大会前日の練習で結構議論したんです。初めてくらいですかね?あれだけ熱くなったのは。
バトルムーブをどう組み替えるか、どう構成するべきかということは国内の練習で決めていたんです。でもやっぱり不安になってしまって…。
普通だと大会前日は身体を休ませたり、練習しても控えめに進めることが多いんですが、前日とは思えないくらい練習もかなりやったんです。議論もたくさんして」
応援は間違いなく彼女たちの力になっていた。しかし一方で「勝たなければならない」という思いが、じりじりと焦りを引き起こしていく。
国内予選の比にならないほどのプレッシャーだったと振り返る彼女たちだったが、議論の末になんとか方針もまとまり、練習を終えて会場に足を踏み入れたときのことだった−−。
MISA
「世界大会は何日にもわたって開催されていて、私たちの大会の前日にも競技の種目の大会があったんです。
それで、他国の選手の表彰を見ていたときです。ぼんやりと、私たちもあの表彰台の一番上で表彰されて、君が代が流れて… なんてことを考えていたら、思わず涙が溢れてしまったんです。
これまでの日々が実を結んだイメージが、勝手に湧いてくるようにして出てきて。
でも一番驚いたのは… ふと横を見たらメンバー全員が同じように泣いていたんです(笑)」
HARUNA
「私たちもMISAさんと同じように、優勝した自分たちのイメージを関係のない選手の表彰に重ねて号泣してしまっていたんです」
HARUKA
「この一件を私たちは『ブルートゥース』と呼んでいます(笑)。
でもかなりの衝撃だったと共に、大きな自信にもなりました。それぞれが目指していた先にあるものって、ここまで同じものだったんだなだと」
迎えた本番当日。メンバーのKYOKAが一時期アメリカを拠点にダブルダッチ活動を行っていたことなどもあり、ミセスに対する会場の注目度は最高潮に。
そうして彼女たちは遂に、夢にまで見た世界大会のステージに立つ。
KYOKA
「ステージに出てきただけで本当に盛り上がってくれていたんです。出てきて大盛り上がりした時『あっ、イメージ通りだ』なんて思ったりして(笑)。
でも照明が付いて音源が掛かると、余計なことは一切考えないようになって、パフォーマンスに没頭していたというか… いわゆるこれが『ゾーン』ってやつなんですかね。
疲れすらも感じなくて、結果的にノーミスで終えることができたのですが、終わってはける時までそれにすら気付かなかったんです」
MAYU
「変な例えかも知れませんが、“ショーの中に閉じ込められた”ような感じでした。終わってからしばらくして誰かが『ノーミスじゃない?』って言って初めて気付いたくらいです」

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
その結果、パフォーマンスでは見事1位に。
しかし彼女たちの戦いはこれで終わらない。世界一を決める最後の種目であり、“鬼門”であるフリースタイルバトルが始まる。
MISA
「どのチームと当たっても一筋縄ではいかないでしょうから、とにかくひるまないようにしようと話していました。でもいざ戦っているときは、それよりも『楽しい』という気持ちが勝っていました。
パフォーマンスで勝ち上がったとき、その結果以上に『まだミセスとしてできる!』という方が嬉しくて。
だから決勝まで進んでムーブがどんどん終わっていくと、不思議なことに寂しさも感じました。
私たちが必死になって考え続けたものが徐々に世に放たれていって、何とも言えない気持ちになって…
『この瞬間をしっかり覚えていたい』『目に焼き付けていたい』と強く感じたんです」
KYOKA
「私も勝ちたい思いは強かったのですが、それ以上に楽しくて、なんなら勝ちにいこうとし過ぎると勝てないでしょうから、楽しんで『ミセスらしく』やりたいと思っていました。
私たちが私たちらしく、ミセスがミセスらしくあることを、会場中の人たち、中継を見てくれていた人たち、そして応援してくれた全ての人たちに見ていてほしくて」

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
最後のムーブを終え、いよいよ結果発表。審査員が両チームの手を握り、勝利したチームの選手の腕を挙げることになっている。
カウントダウンが始まる。
一瞬の静寂。空気が張り詰める。ほどなくして、審査員が片腕を高らかに掲げる。
その腕は… MISAを掴んでいた。
女性のみのチームとして世界を征するのは、10年の歴史の中で初のことだった。

(写真提供:Mrs.DOUBLE DUTCH)
KYOKA
「もちろん嬉しかった。喜びました。ここまでの道のりで心細くなったことはあっても、前日に同じ涙を流してからは、世界一になることを信じて疑わなかった。神様がこっちを向いてくれたように感じました。
大会が終わって会場を後にしようとしたとき、虹が掛かっていたんです。『あ、天気まで私たちの味方してくれてるじゃん』なんて話しながら(笑)」
MISA
「体調を崩してしまうことも多いメンバーが、異国の地でも最終的に誰も体調を崩すことなく、万全の状態で迎えられたんです。
たくさんイメージを重ねてここまでやってきましたが、現実は“ブルートゥース”を上回る光景が待っていました」
「ここでは幸せであること」
偉業を成し遂げはや1ヶ月。最後に、世界一になった彼女たちの“これから”について訊いた。
MISA
「結成当初、8年もチームを続けていることなど想像してもいませんでしたし、こんな幸せな未来も考えられていませんでした。だから正直この先も明確な目標などがあるわけではありません。
けれど1つ、ずっと変わらないビジョンがあります。
それは『ここでは幸せであること』。
私たちはパートナーや家族、友人や職場の方々のご理解など、置かれている環境のおかげでダブルダッチに向き合うことができています。それをすっ飛ばして考えることは違うなと感じていて。
その上で続けることは難しいんです。ぼーっとただ続けることは簡単かも知れないけれど。
私はミセスのメンバーが幸せであり続けてほしい。今回大会に出ていないメンバーも、ダブルダッチから離れてしまったメンバーも。そしてそういう場である『Mrs.DOUBLE DUTCH』がこれからも続いてほしい。
そしてチーム結成当時、出たくても出られなかった子たちに道を作りたい、少しでも希望になれたらという思いがあったけど、こうした私たちの努力が、後ろに道を作れていたら嬉しいと思っています。
先のことは分からないけど、いつかまた新たなメンバーが加わったりして、私たちが『初代』なんて言われちゃったりして(笑)」
MAYU
「そうだね。いつか『もうミセス10代目? 挨拶きてないんだけど』とかって言っていたりしてね(笑)」
初のガールズチームでの世界一を成し遂げた彼女たち。
しかしそのタイトル以上に、8年という長い歳月を重ねてきた中で、彼女たちが創ってきたものの大きさは測り知れない。
そのバイタリティと原動力の源にあったのは、仲間への愛情とダブルダッチへの思い。そして、弾むような彼女たちの楽しげな会話だった。
“突飛な妄想”から夢を描き叶え続けてきたミセス。
次に何を目指し、どこへ向かっていくのだろうか。
ダブルダッチに夢を見る全ての女子たちの思いを乗せて、旅は続いていく。
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●今日 ○イベント開催日
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danceFULLCAST RAISERZ|D.LEAGUE 24-25シーズン最下位転落と上昇の決意2025.08.18D.LEAGUE(※)のチームであるFULLCAST RAISERZ(フルキャストレイザーズ)は、これまでD.LEAGUEのチャンピオンシップ出場の常連チームと言われていた。なかでも2021-22シーズンではレギュラーシーズンで総合首位となり、チャンピオンシップでは準優勝を獲得するなど、初期から強豪チームとして存在感を示していた。しかし、D.LEAGUE 24-25シーズンはチームの歯車が狂い最下位に転落するという前代未聞の結果となった。シーズンを終えて率直な感想と今後の決意についてディレクターのKTRに話を訊いた。 過去最低順位を記録した24-25シーズン - 24-25シーズンもお疲れ様でした。初めて成績が振るわないシーズンを迎えたことになりましたが、率直な感想をお聞かせください。 KTR:一言で言えば「悔しい」シーズンでした。過去最低の14位という結果で、今までチャンピオンシップ常連だったレイザーズとしては、勝利した試合が1勝のみという結果は本当に悔しかったです。シーズン中は練習の雰囲気も苦しい時期があり、「なぜ勝てないんだろう」という迷いもありました。新ルールへの対応がうまくできなかったことがひとつの要因にありますが、その他のことについても、今振り返るともっと改善できたことがあったと感じています。その一方で、この悔しさや苦しさがあったからこそ、支えてくれる人たちの存在の大きさにより気付けたシーズンでもありました。ファンミーティングやイベントでファンの方々と会う機会が多く、彼らが常に「レイザーズが勝っているよ!」と信じ、声をかけ続けてくれたことは、決して当たり前ではないと改めて感じました。スポンサー様やスタッフの方々の支えも含め、「経験は宝」という言葉を強く実感したシーズンになりました。 D.LEAGUE 24-25 最終ラウンド ディレクターとしての2年間と覚醒 - ディレクターに就任されて2年が経ちました。以前、前ディレクターのJUNさん以上の成績を残したいとおっしゃっていましたが、ディレクターとしての葛藤はどのようなものがありましたか? KTR:正直なところ、就任当初の1年目はプレッシャーを感じる余裕すらなかったです。何がディレクターの仕事なのかも分からず、とにかく目の前のことを日々乗り越えることに精一杯でした。2年目でようやく仕事の内容や役割が分かり始めましたが、今振り返ると、当時の僕の意識は未熟だったと感じます。今の方がはるかに責任感を強く感じています。この責任感が生まれ始めたのは、24-25シーズンの後半戦でした。チームの雰囲気が悪く、メンバー間で衝突があった時、「この環境を作っているのは自分だ」と強く感じたんです。メンバーの衝突すらディレクターの責任だと。その時、「俺は何をやっているんだろう」と自問自答し、メンバーに心を開いて自分の想いを伝えました。「優しく接することが、もしかしたら皆にとっては甘えになって、仕事ではなく仲間内の感覚になっていたかもしれない。本来のDリーガーとしての練習の質や環境はこれで良いのか?」と。その辺りから練習内容を細かく変え、メンバーもより一層前向きに取り組んでくれるようになりました。その時に初めて、ディレクターの重要性を痛感しましたね。 JUNさんが築き上げてきたレイザーズの凄さを、より深く理解できるようにもなりました。JUNさんのチーム作りや、先頭に立ってチームを引っ張る強い意思は、今の自分に足りないものだと感じました。レイザーズのブランディングにおいても、JUNさんのやり方は間違っていなかった。JUNさんのやり方やチームブランディングを、僕なりにシフトしていこうと考えましたが、今は自分の軸はブレずに、改めてJUNさんが築き上げてきたスタイルの強みを活かし超えていく事が重要と考えています。ディレクターの仕事は、チームプロデュースも担当します。メンバーを頼る部分もあれば、スタッフとの話を全てメンバーに伝えるわけでもない。メンバーの意見を聞きすぎると迷いが生じることもあり、一人で抱え込むことが多かったです。プレイヤーとしても活動しているので、思考が追いつかない時もあり、正直投げ出したくなることも多々ありました。ただ、そんな中でディレクターとしてどう進むべきか、新たな気づきを得られたことは間違いありません。 課題と改善点|次シーズンへのコミット ― D.LEAGUE25-26シーズンに向けて具体的な課題感や改善点についてはいかがでしょうか? KTR:一番の課題は、チーム全員が「一つのことに意思を向ける」ということです。これはディレクターが背中で示していかなければならない部分であり、勝利だけでなく、D.LEAGUE全体を盛り上げるという意識も重要です。24-25シーズンは勝てなかった理由としてルール変更に僕たちが最後まで対応できなかったと感じていますが、最も大きな理由はD.LEAGUEにコミットしきれていなかったことだと考えます。KRUMPという自分たちの表現したいものを追求しすぎて、D.LEAGUEのルールや駆け引きに対応しきれていなかったと感じました。例えば、KRUMPの比率を80%ではなく60%に抑え、新たな要素を取り入れてバランスを取るべきでした。試合ごとの作品テーマや戦略も、今思えばもっと工夫できたはずです。 僕たちが表現したいものはステージ上でお見せできたと思いますが、それが“勝つため”に120%活かされていたかと言われると、そうではありませんでした。「自分たちがKRUMPを通じて認められたい」という意地やプライド、迷いがあったように感じています。メンバーのマインドについては、勝ちへの貪欲さは皆持っていたと思いますが、D.LEAGUEにかける熱量のバランスが異なっていたメンバーもいたと感じています。全員が最高の熱量を持っていれば相乗効果が生まれ、「あいつが頑張っているから俺も負けてられない」という意識が生まれます。チーム結成から5年が経ち、その意識がなあなあになってしまっていた部分もあったと感じています。ただその原因は、ディレクターである僕がしっかり示せていなかったことにあると猛省しています。例えば、レイザーズのYouTubeチャンネルでは現在新メンバーオーディションの様子を配信しているのですが、元メンバーであり、オーディションに参加しているTAICHI(Tiny Twiggz)から「正直生ぬるいメンバーもいるように思う。俺は全員本気のメンバーとやりたい。」という言葉を言われて自分の中でも深く考えたんですよね。練習の質や時間の使い方にも問題があったし、今後の具体的な改善点は明確にわかっています。 オーディションの様子 Dリーガーとしての5年間|困難を乗り越える原動力 ― ご自身はDリーガー以外にもアーティスト活動など様々な領域で活動をされ、ダンサーとしてのライフワークバランスも難しいと感じますがDリーガーを続けていられる理由は何だと思いますか? KTR:難しい質問ですね‥。なぜ続けられるかというと、シンプルに「ダンスが好きだから」だと思います。もちろん辛いと思うことはありますが、本当に辞めたいと思ったことは一度もありません。正直、休みたいと思うことはあっても“この環境が当たり前ではない”と常に感じているから、Dリーガーを辞めるという選択肢はこの5年間僕の中では生まれませんでした。とはいえ、自分の人生の5年間をD.LEAGUEに捧げ、24時間をコミットするというのは、簡単なことではありません。それでも僕が続けてこれたのは、まず「TWIGGZ FAM」という昔からの仲間がいる母体があり、KRUMPというジャンルに根ざしているからだと思います。JUNさんに誘われてD.LEAGUEに入ってからも、ずっと一緒に切磋琢磨してきたメンバーがいるからこそ、環境的に居心地が良いというのはあります。 D.LEAGUE開幕当初は勢いしかなかったように感じます。「何だか凄いことが始まった」「このまま D.LEAGUEは盛り上がる」と、シーンのことや自分がダンスで表現することに必死で、スポンサー様からの支援の重要性をあまり考えて来れなかったように思います。しかし、5年が経ち、その「当たり前ではない」という感覚は常に僕の頭にあります。僕自身も活動を通じて、影響が広がっていることを実感することもあります。昨日も僕の地元の愛媛で「KTRさん!」と声をかけてくれる子どもたちがいました。「Dリーガーになりたい」という声を聞くと、それが大きな原動力になります。だからこそ、メンバーの年俸も上げたいし、僕たちが輝いている姿を見せたい。子どもたちがDリーガーになりたいと言ってくれることが、僕の1番のモチベーションです。今は自分たちの意地やプライドを捨てて、“D.LEAGUEで勝つ”ということを最大の優先度にしコミットする決意があります。 初単独パフォーマンスイベント「REAWAKE」に込められた想い ― レイザーズとして初単独パフォーマンスライブが8/27に控えていると思いますが、開催目的について教えていただけますか? KTR:今回のイベントのテーマが「REAWAKE」なのですが、これは「目覚める」「再生する」「覚醒する」という意味合いが込められています。この苦しいシーズンを経て、僕たちが新たな形で目覚めるという思いもありますし、正直「14位は夢だった」という気持ちも乗っています。「俺らがそんなはずないだろう」という良い意味での強気な面も表現していきたいと思っています。 ― 今回のワンマンライブは、次のシーズンに向けて覚醒していくレイザーズの姿を見ることができるということですね。 KTR:そうですね。また、D.LEAGUEのステージではお見せ出来ないパフォーマンスも多く出していきたいと考えています。これまでレイザーズはD.LEAGUEのステージのみでパフォーマンスをし世界観を表現してきました。ファンミーティングを実施したことはありますが、それはどちらかと言うとダンスよりもトークがメインのファンとのコミュニケーションの場でした。今月に開催する初開催のワンマンイベントでは、D.LEAGUEのルール内では表現できなかったレイザーズの魅力を全力で出せる場所を作りたいし、それをファンの方を中心に届けたいという想いから企画した背景があります。また、これまでD.LEAGUEの会場には来たことがないけど、ダンスカルチャーが好きな方にも気軽に遊びに来れる場所も作りたかったです。僕たちは主にKRUMPにリスペクトをしているチームなのですが、その本来のKRUMPカルチャーの魅力も伝えられるイベントにもしたいと思っています。 ― 今回のイベントではD.LEAGUEで披露されたネタがベースになるとのことですが、具体的にどのような見どころがありますか? KTR:新たなKRUMPの魅せ方にもチャレンジしたショーケースを準備しています。これは僕たちにとってとても意義深い挑戦なのですが、それも全て僕たちの表現の幅を広げて、より多くの方々に届いて欲しいという想いから生まれました。それに加えて、僕たちがD.LEAGUEで闘い抜いてきたパフォーマンスを身近で体感いただけることや、レイザーズにゆかりのあるゲストパフォーマーの方々の出演も予定しています。あとは、普段見ることのできないメンバーそれぞれのソロパフォーマンスやコラボレーションや、現在行われている新メンバーオーディションの最終結果発表もイベントの中で行われます。レイザーズのファンの方はもちろん、そうではない方もきっと楽しんでいただけると思います。 -「KRUMP」と聞くと攻撃的な激しいイメージが先行しますが、今回のライブではまた違った側面のKRUMPを見ることができるのでしょうか? KTR:はい、そうですね。レイザーズは、KRUMPをいかに現代に消化するかを常に追求しています。本来KRUMPはバトル文化でありショーケースという文化はあまり浸透していませんでした。それをいかに一般の方にも伝えるかを積み重ねて、今の群舞でのD.LEAGUEのショーになっていると思います。僕たちは、KRUMPというものを現代の方々にどれだけ伝えられるかを深く考えています。KRUMPの可能性を今まで示してきたからこそ、今のショーの質が上がっていると思うんです。そういった一作品一作品が見られるところが見どころだと思いますし、レイザーズの魅力はそこにあります。自分たちが信じてきたKRUMPというものを消化し続け、ひとつ一つ最高の作品を作っているという自信があります。 ― 確かにそうですね。KRUMPで10人以上の群舞かつシンクロを交えたショーが見られるのはかなり珍しいのではないでしょうか? KTR:そうですね。レイザーズのような規模とスキルでパフォーマンスできるチームは、世界初なのではないかと思います。海外でも同じようなパフォーマンスはありますが、ショーの質が違うと思います。KRUMPのショーは日本が最強だと自負しています。そもそも日本人は群舞でのショーケースが強いことで知られていますよね。それはスキルも当然ですが、日本人としての繊細で真面目かつ協調性のある気質が大きく影響していると思います。そう言った意味でも僕たちならではのオリジナリティのあるショーケースをぜひ観にきて欲しいですね。 ― 最後に、読者の方やファンの皆様へメッセージをお願いします。 KTR:24-25シーズンは、レイザーズにとって過去最低の順位となり、悔しい結果に終わりました。ただ、この苦しい経験があったからこそ、僕たちは多くのことに気がつき、成長することができました。特に、ファンの皆様、スポンサーの皆様、そしてスタッフの皆様の支えがどれほど大きいものか、改めて痛感したシーズンでもあります。こんなに負けが続いても、僕たち以上に熱心な言葉をかけ続けてくれました。皆様の応援が、決して当たり前ではないことを胸に刻んでいます。初の単独イベント「REAWAKE」は、このライブを通じて、僕たちがこの苦しいシーズンを乗り越え、D.LEAGUEで「こんなもんじゃないぞ!」という姿を見せるための覚醒の瞬間を、ぜひ観にきていただきたいです。D.LEAGUEの舞台ではもちろん、レイザーズの単独イベントでも、KRUMPの新たな可能性を追求し、最高のパフォーマンスをお届けできるよう、チーム一丸となってこれからも邁進していきます。今後も、子どもたちがDリーガーになりたいと夢を抱いてくれるような、輝く存在であり続けるために、僕たちはD.LEAGUEに全力でコミットしていきます。レイザーズの挑戦はまだまだ続きますので、ここから更にギアを入れて加速する僕たちに期待をして欲しいです。それと、新たな挑戦でもあるワンマンで、気軽に声をかけていただけると嬉しいですね。レイザーズ全員で心よりお待ちしています! ※1)D.LEAGUE(ディーリーグ)株式会社Dリーグが運営する、日本発・世界初のプロダンスリーグ。2020年に設立され翌2021年に第1シーズンを開幕。ダンスをスポーツ競技とエンターテインメントとして融合させ、有名企業がスポンサーとなるチームが全12ラウンドのレギュラーシーズンを戦い、上位6チームがチャンピオンシップ(決勝トーナメント)へ進出して日本一を決定する。ファンによる投票も勝敗に影響する、新しい観戦体験を持ち味としている。 ◼︎KTRプロフィール日本の伝説的KRUMP CREWを継承すべく再始動した新生「RAG POUND」に所属し、Dリーガーとアーティスト活動を兼任する。また、世界最大級のKRUMP FAMILY「Twiggz Fam」の一員でもあり、日本KRUMP界を牽引する次世代の先駆者として、KRUMP界だけではなく多方面から支持を集めている。細やかでクリアな動きとキレのあるスキルフルなパフォーマンスを武器に、様々なコンテストやバトルに出場しては好成績を残し、国内に留まらず海外からの評価も高い。止めどなく繰り広げられる正確で丁寧なコンボやマテリアルに加え、抜群なリズミカリティーと無駄のない動きは圧巻で、見る者を釘づけにする世界レベルのパフォーマンスから、日本No.1 KRUMPERとの呼び声も高い。また、ダンスのみならず、その引き締まった体格とビジュアルを活かし、モデルや舞台役者としても活躍中で、東方神起などを筆頭にアーティストの振付なども担当する。FULLCAST RAISERZのディレクターとして、チームを勝利へ導く。 ◼︎1ST PERFORMANCE LIVE 開催概要開催日時:2025.08.27.Wed OPEN 18:00 / START 19:00会場:WWW X (東京都渋谷区宇田川町13−17 シネマライズビル B1F)チケット情報:*ページ下部の関連リンクよりご確認ください
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danceHarutoとCocoaが初優勝「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」日本開催のWorld Final出場を懸けた戦いへ2025.08.17世界への切符を懸けた、日本最高峰の1on1ブレイキンバトル 2025年8月16日(土)、横浜・大さん橋ホールで、日本一を決める1on1ブレイキンバトル「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」が開催された。 優勝したB-Boy、B-Girl各1名は、11月7日(金)に東京・両国国技館で行われる「Red Bull BC One Last Chance Cypher 2025」に出場。ここで勝ち上がった者だけが、世界中から選ばれたわずか16人の舞台「Red Bull BC One World Final Tokyo 2025」への切符を手にすることができる。 「Red Bull BC One」は、今年で22回目を迎える世界最高峰の1on1ブレイキンバトル。20年以上の歴史と伝統を誇り、世界30カ国以上で予選やプログラムが行われ、数多くの才能あるダンサーを輩出してきた。毎年、何千人もの挑戦者の中から、選ばれしB-Boy・B-Girl各16名のみがWorld Finalのステージに立つことを許される。 今年はその世界決戦の地が日本。今回の日本最終予選も、例年以上に国内外から注目が集まり、史上最高レベルの戦いとなった。 Takayoshi Shimoda / Red Bull Content Pool 歴代王者と若手精鋭が集結、豪華すぎるラインナップ 3月から行われた地方予選・学生予選には約990名がエントリー。勝ち抜いたB-Boy7名、B-Girl7名に加え、日本と世界のブレイキンシーンを代表する招待ダンサーが集結した。 B-Boy Taisukeは、世界的クルー「Red Bull BC One All Stars」の初代メンバーとして長年世界の最前線を牽引してきた存在。B-Boy TSUKKIは、国内外の大会で活躍する次世代のホープとして注目を集める。B-Boy NORIは、「Red Bull BC One Cypher Japan」で通算6回の優勝を誇るベテランであり、その実力は折り紙付きだ。 B-Girl YASMINは、2023年日本予選を制し、昨年のWorld Finalでは日本勢トップのベスト8入りを果たした。B-Boy NICOLASも同じく2023年日本予選優勝者、B-Boy Harutoは昨年準優勝の実力者だ。さらに、B-Boy AisatsuとB-Boy Steezyskeeは、独自のスタイルで観客を魅了する若手ダンサーとして存在感を放つ。 ジャッジには、韓国のレジェンドB-Boy Hong10、米国のB-Girl BETA、タイのB-Boy CHENOといった世界的ダンサーが名を連ねる。さらにゲストライブには、日本を代表するヒップホップグループRHYMESTERが登場し、会場の熱気を最高潮に引き上げた。 B-Boy Hong10のジャッジムーブ Jason Halayko / Red Bull Content Pool 新時代の幕開け。王者を倒し、ニューフェイスが切符を掴む 今回のB-Boyサイドは、ただ勝敗を決めるだけでなく、世代や関係性が交錯するストーリー性に満ちたバトルが続いた。 レジェンド・Taisukeは、自身のレッスンにも通った経験を持つ教え子のGEN ROCと対戦。約9年ぶりにCypher Japanへ復活を遂げた偉大な存在に対し、GEN ROCは完璧なムーブを披露し、3-0の完全勝利。敗れたTaisukeにも、会場からは割れんばかりの拍手と声援が送られた。 同じ九州をレペゼンする若手、SO-TAとAisatsuはTOP8で激突。近年、日本ブレイキンシーンで存在感を増している九州勢同士の注目カードは、Aisatsuが制し、次世代の台頭を印象づけた。 決勝カードは、奇しくも昨年と同じ顔合わせ。日本最終予選で通算6回の優勝を誇るNORIと、昨年決勝で敗れ涙を呑んだHarutoのリマッチとなった。世代が交差する対決は、1ムーブ目からNORIが会場を大きく沸かせ、空気を掌握したかに見えた。しかしHarutoは最後まで揺るがぬパフォーマンスを続け、最年長ながら一切衰えを見せないNORIを撃破。幾度となく挑み続けてきた舞台で、ついに悲願の初優勝を飾った。 FinalでのHaruto Jason Halayko / Red Bull Content Pool 一方のB-Girlサイドは、まさに世代交代を象徴するようなトーナメントとなった。YuikaがベテランのERi FeNeSiSを初戦で破り、さらにSHIE-CHANも2回戦でHIYOに敗れるなど、長らくシーンをけん引してきた実力者たちが次々と姿を消した。フレッシュな勢いがトーナメントを席巻した。 決勝は、Cypher Japan優勝やWorld Final出場経験を持つ実績十分のYASMINと、この数年で日本選手権やアジア選手権を経て頭角を現したCocoaが対戦。貫禄あるYASMINに真っ向から挑んだCocoaが勝ち切り、初優勝を果たした。 B-Boy、B-Girlともに、過去に優勝や世界挑戦を経験した実力者が次々と敗れ、新たな挑戦者が切符を手にした今年のCypher Japan。Red Bull BC One Japanの歴史に、新たなページが刻まれた瞬間だった。世界を相手に挑むニューフェイスたちが、どんな戦いを見せるのか。期待は高まるばかりだ。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool Harutoコメント「思い入れのある相手とのバトルが多かったです」 Jason Halayko / Red Bull Content Pool 今日の感想を教えてください決勝の相手が去年と同じNORIさんで、去年は負けて本当に悔しくて、そこからめちゃくちゃ練習してきました。ただ今日の決勝では、正直自分を出し切りきれなかった部分もあって、最後の詰めの甘さが課題だと気づけたのは良かったです。 勝てた要因はなんだと思いますか?今日は僕にとって思い入れのある相手とのバトルが多かったです。NICOLASさんは初めてBC Oneに出た時に負けた相手で、TSUKKIは昔からライバルとして戦ってきた存在。思い入れのある相手が多かったからこそ感情が入って、それがうまくダンスにつながったのが勝因だと思います。 ラストチャンスサイファーの意気込みは?個人的な弱点で、決勝になると出し切れなかったり、尻下がりになってしまうことが多いので、ムーブの追い込み練習をして、最後まで諦めずに詰め切れるようにしたいです。ワールドファイナルは、ダンスを始めてからずっと目指してきた「夢の舞台」。師匠のKAZUKIさん、同じチームメイトのISSIN、同じ地元のHIRO10などが先に経験していて、自分もいつか立ちたいと思っていた場所です。今回挑戦するチャンスが巡ってきたので、日本代表として胸を張って戦い抜けるように、さらに準備を重ねていきます。 Cocoaコメント「日本代表として胸を張って、精一杯戦いたい」 Jason Halayko / Red Bull Content Pool 今日の感想を教えてください今日までサポートしてくださった方々のおかげで、最後までベストコンディションで踊ることができました。嬉しい気持ちもありますが、それ以上に感謝の気持ちが強いです。 勝てた要因はなんだと思いますか?日本最終予選という大きな舞台で、正直かなり緊張しました。ですが、落ち着いてこれまでのことや応援してくれた人たちの言葉を思い出し、目の前のバトルに集中できたことが勝因だと思います。 ラストチャンスサイファーの意気込みは?これまで先輩方が築いてきた「日本は強い」という評判を崩さないよう、日本を背負う気持ちで挑戦したいです。ワールドファイナルは、ブレイキンを始めた頃は夢のまた夢でしたが、今日その舞台に挑戦するチャンスを得られました。日本代表として胸を張って、自分をもっと表現し、精一杯戦いたいです。 両国国技館へ、世界の舞台への挑戦 国内予選を勝ち抜いた代表は、11月7日のLast Chance Cypher(世界最終予選)に挑む。ここを突破すれば、同9日、両国国技館でのWorld Finalで世界16人の舞台に立つことになる。今年のWorld Finalには、B-Girl AYUのほか、Red BullダンサーのShigekixとIssinが招待ダンサーとして出場を決めており、日本勢の活躍に期待が高まっている。Cypher Japanで生まれた新たな挑戦者たちが、磨き上げたスタイルで世界にどう挑むのか。その瞬間は、まもなく訪れる。 The Moments Of「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」 Takayoshi Shimoda / Red Bull Content Pool Takayoshi Shimoda / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool
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danceRed Bull BC Oneとともに歩んだダンサー人生。初代王者 B-Boy Taisuke が九州を背負い、9年ぶりに挑む舞台。2025.08.142025年、日本のブレイキンシーンにとって特別な夏がやってくる。世界最高峰の1on1ブレイキンバトル「Red Bull BC One World Final」が、11月9日(日)に東京・両国国技館で開催される。その舞台の最終予選「Red Bull BC One Last Chance Cypher」への挑戦権を懸け、日本代表を決定する「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」が、8月16日(土)、横浜・大さん橋ホールで行われる。3月から行われた地方予選・学生予選には約990名がエントリー。勝ち抜いたB-Boy 7名/B-Girl 7名に加え、招待選手たちが日本代表の座を懸けて激突する。ジャッジには韓国のレジェンドB-Boy Hong10、米国のB-Girl BETA、タイのB-Boy CHENOが名を連ね、ゲストライブにはRHYMESTERが登場し、会場の熱気を一層高める。その舞台に、2007年の初代ジャパンサイファー王者であり、日本ブレイキンシーンのパイオニアのひとり、B-Boy Taisukeが約9年ぶりに立つ。彼にとってBC Oneとは何なのか。なぜ今、このタイミングで挑戦するのか。そして、拠点を九州に移した彼が見据える未来とは。 「九州をレペゼンしてもう一度。自分が動くことで道を拓きたい」 Little Shao / Red Bull Content Pool 最近の活動について教えてください。 Taisuke(以下 T):活動自体は大きく変わっていません。地方や海外でのイベントオーガナイズやワークショップを続けています。ただ、国内のワークショップは減らしました。若い子たちがしっかりやってくれているので、自分は別の役割を果たすべきだと感じています。 その“別の役割”とは? T:九州のダンスシーンを再構築することです。九州は、その土地に根ざしていないと本当の意味でシーンを動かせない場所。これまでシーンを支えてきたレジェンドたちが少しずつ表舞台から離れていく中、「Taisuke、九州をもう一度盛り上げてくれ」という声も届いていました。だからこそ、かつての勢いを取り戻すために戻ってきたんです。以前は、多くの才能が地元を離れて東京や大阪へ向かっていましたが、最近は「九州にいながら世界を目指す」という意識を持つ若手も増えてきた。そんな彼らを支え、後押しする存在になりたいと思っています。 九州のダンスシーンの特徴は? T:「踊れるB-Boy」文化ですね。簡単に言えば、オールドスクール全般、どのジャンルでも踊れなければならないという考え方。ブレイキンだけでなく、ロックやハウス、ソウルなどもできて当たり前という価値観が根付いています。自分も若い頃にロックをやっていましたし、先輩たちからも「技だけじゃなく踊れなければ意味がない」と言われてきました。曲がかかれば、そのジャンルに合わせて自然に踊る。それが当たり前の環境で育まれたのが、九州ならではのスタイルです。 なぜそこまで九州にこだわるのですか? T:昔の九州は、完全に“殴り込み”文化でした。東京や大阪に乗り込むと、向こうも構えて迎え撃ってくる。九州の名前を背負って遠征し、勝てばその名を刻んで帰ってくる。そんな熱気と誇りがありました。九州から来るB-Boyは強い、と誰もが思っていた時代です。ところが今は、多くの実力者が地元を離れ、東京や大阪に拠点を移してしまった。だからこそ、もう一度「九州にいても戦える」環境を整えたい。そして、外に出た人も戻って来られる場所を作りたいんです。 注目しているクルーやダンサーは? T:nine states b-boyz です。地元・長崎の後輩もいて、ブレイキンも踊りもできる若手が揃っています。昔の九州らしさを持っているチームです。 Red Bull BC One Kick off Jam Tokyo 2025 Little Shao / Red Bull Content Pool 「BC Oneは、俺自身」―Red Bull BC One All Stars初期メンバーが見てきた“技の時代”から“アイデアの時代”への変化 TaisukeさんにとってBC Oneとは? T:自分自身です。2007年に東京へ拠点を移し、まさに“第二の人生”がスタートしました。その年に初めて開催されたBC One Cypher Japanで初代王者となり、そこからワールドファイナルにも出場。南アフリカや翌年のフランス大会で準優勝を経験し、その後もBC Oneとともに世界を回るようになりました。海外で戦うようになった今の自分を形づくったのは、間違いなくBC Oneの存在です。 Red Bull BC One 2014 World Final - Paris, France Nika Kramer / Red Bull Content Pool BC Oneはどう変わったと思いますか? T:昔はブレイキンを知らない人には届かないイベントでした。でも今は違います。著作権フリー音源の採用、メディアデー(メディア向けの取材日)の導入、ライブ配信の強化などで、ブレイキンを知らない層にも届く大会になりました。世の中の人がBC Oneを知り、ダンサーの背景まで触れられるようになった。ダンサー選考も大きく変わりました。昔は「予選では勝てないけど、この人が出たら面白い」というキャラクター枠もあった。でも今は“勝てるやつしか出られない”厳しい基準になっていると思います。全員が優勝候補であり、特に若い世代を積極的に出す流れが強まっている傾向があります。 Red Bull BC One All Starsの立ち位置は? T:初期メンバーは今年で15周年。それぞれ自分の立場でできることを続けてますね。今は正直、レジェンドが本気で戦う場って減ってきてるんですけど、2024年にやった「Red Bull Lords Of The Floor」は本当に大事な場だったと思います。普段はジャッジとして動いてる世代が、現役のときみたいにフロアに立ってバトルする。その姿って、やっぱりすごく価値があると思うんですよ。レジェンドが勝ち上がるのはもちろんすごいけど、逆に若手がそこで倒して「次の世代は俺たちだ」って証明するのもめちゃくちゃ意味がある。同じフロアでそういう世代が交差するのは、俺的にはすごく面白いし、いいなあって思いましたね。 Red Bull BC One All Stars 2010 Salzburg, Austria Martin Nink / Red Bull Content Pool 求められるスキルも変わりましたか? T:2000年代後半〜2010年代初頭は、基礎能力とオリジナリティが評価される時代でした。その後、構成力・発想力・体力を総合的に備えた者が勝つ時代へ。今は「オリジナリティの時代」から「アイデアの時代」に移ったと感じます。昔は一つ一つの技のクオリティまで厳しく見られていましたが、今はある程度長い構成(ロングムーブ)を踊り切ることが必須。その中で体力、パワー、発想力が問われます。典型的なアスリート型の強さに、芸術家的な(アーティストのような)表現力が加わった者、その両方を兼ね備えていないと勝てない時代です。もはや“一発の大技”だけで勝負できる時代ではありません。 そうなった背景は? T:2010年代までに、ほぼすべての技が出尽くしたからだと思います。オンリーワンだった動きが、今では世界中で何十人もできる。だからこそ、今は発想力で差をつけるしかない。オリジナリティの時代からアイデアの時代への転換ですね。 これからのBC Oneはどうなっていくと思いますか? T:どうなるんでしょうね。将来どうなるかは分からないけれど、自分としてはクオリティはやはり不可欠だと思っています。もっと見せ方のバリエーションが増え、個性と完成度の両方を持つダンサーが評価される流れがまた来てほしいですね。 Red Bull BC One Camp India 2019 Little Shao / Red Bull Content Pool 「Cypher Japanで勝った者こそ、本当の日本代表」 今回の出場の経緯は? T:2月か3月頃にワイルドカード(招待枠)で出てほしいと声をかけられました。九州を変えたいと言っている以上、自分が結果を残さないと説得力がない。だから九州を背負って戦おうと決めました。最初は、いきなりワールドファイナル(の招待枠)を狙うつもりでしたが、年齢的にも無理だよなあと思っていて(笑)、まずはジャパンファイナルからとなりました。今年はワールドファイナルが日本開催という特別な年でもあり、「出るべきタイミングだ」と背中を押された部分もあります。このタイミングでBC Oneにプレイヤーとして戻ることで、また何か“置いてこれるもの”があると思っています。 今回の日本予選の難易度は? T:正直、ワールドファイナルやラストチャンスサイファーよりも、サイファージャパンを勝ち抜く方が難しいと思っています。B-BoyもB-Girlも全員が強く、誰が勝ってもおかしくない。ワイルドカードで選ばれるよりも、この舞台を制する方がはるかに厳しい。本当の意味での日本代表は、このサイファージャパンを勝ち抜いた人間だと思います。そして、ジャッジや解説として関わってきた中でも、年々レベルが上がっているのを肌で感じています。B-BoyだけでなくB-Girlの層も厚く、トップ16に残ること自体が至難の業。逆に言えば、日本予選を通らずにワールドへ行けるのは「本当にラッキーなこと」だと思うくらいです。それだけ注目度も高く、今のサイファージャパンは、日本中が“この人こそ日本代表だ”と思える選手を決める舞台になっています。 戦いたい相手は? T:正直特にないですけど、強いて言うならNicolasですね。The Floorriorzの2代目リーダーでもあり、1on1で当たったことがないので、実際に対峙してどうなるのか見てみたい。逆にNoriは…当たりたくないですね(笑)。“鉄人”と言われるような存在ですから。こうやって言っておいて一回戦で当たる可能性もありますけど、その時はその時かなと思います(笑)。 過去にNoriと対戦したRed Bull BC One 2013 Asia Pacific Final Nika Kramer / Red Bull Content Pool 当日に向けた心構えは? T:構えすぎず、楽しむこと。自分らしい踊りが出せるのは、心から楽しんでいるときです。結果はその先についてくる。勝ちにいくことはもちろん大事ですが、「勝たなきゃ」と気負いすぎると自分の持ち味が消えてしまう。根っからのカルチャー気質なので、構えてしまうと合わないんです。だからこそ、まずはこの特別な舞台を全力で楽しみたいと思っています。 日本ブレイキン史に刻まれる夏 8月16日の「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」で優勝したB-Boy/B-Girl各1名は、11月7日(金)に日本で開催される「Red Bull BC One Last Chance Cypher 2025」への出場権を得る。そこで勝ち上がれば、世界中から選ばれたわずか16名だけが立てる「Red Bull BC One World Final」への切符を手にする。今年のWorld Finalには、B-Girl AYUのほか、Red BullダンサーのShigekixとIssinが招待ダンサーとして出場を決めており、日本勢の活躍に期待が高まっている。 世界30カ国以上で予選やプログラムが行われ、20年以上の歴史と伝統を誇るこの世界最高峰の1on1ブレイキンバトル。毎年何千人もの挑戦者の中から選ばれた者だけが、あの舞台に立つことができる。 そして今回、その長い歴史の中でも特別な存在であり、日本のブレイキンシーンを切り開いてきたレジェンド・Taisukeが、約9年ぶりにCypher Japanへ戻ってくる。九州を背負い、再び世界への扉を叩くその姿は、多くのダンサーやファンにとって、大会の行方以上に強く記憶に残る瞬間となるはずだ。彼がこの夏、どんな踊りで何を残すのか。日本中の視線が横浜・大さん橋ホールに注がれる。 The Moments of 「Taisuke × Red Bull BC One」 Red Bull BC One Continent Battle Switzerland 2018 Dean Treml / Red Bull Content Pool Red Bull BC One Cypher in Osaka 2021 Jason Halayko / Red Bull Content Pool Workshop of Taisuke at Sakuragaoka high school in Nagoya 2019 Little Shao / Red Bull Content Pool South Korea 2017 Little Shao / Red Bull Content Pool Red Bull BC One 2016 World Final - Nagoya, Japan Jason Halayko / Red Bull Content Pool Red Bull BC One Cypher France 2025 Little Shao / Red Bull Content Pool Red Bull BC One 2016 World Final - Nagoya, Japan Dean Treml / Red Bull Content Pool Red Bull BC One 2014 World Final - Paris, France Romina Amato / Red Bull Content Pool Mont Saint-Michel France 2017 Little Shao / Red Bull Content Pool
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skate“アーバンスポーツの聖地”福岡県北九州市で、世界最高峰のスケートボードの大会「ワールドスケートボードストリート2025 北九州」がこの秋開催!2025.08.05今年、2025年11月23日(日)〜11月30日(日)の7日間にわたり、福岡県北九州市にて開催される世界最高峰のスケートボード・ストリート種目の大会「ワールドスケートボードストリート2025 北九州」の開催発表会見が、2025年8月5日(火)に北九州市・小倉で開かれ、北九州市長の武内和久氏、大会事務局長の河野眞二氏、そして今大会出場予定選手である2023年度世界チャンピオンの白井空良選手とパリオリンピック金メダリストの吉沢恋選手の4名が登壇した。 今大会が含まれる「ワールドスケートボードツアー」はオリンピック選考大会として認められている唯一のワールドツアー。そのため今大会で良い成績を残しランキング上位にランクインしてシード権を獲得していくことが、3年後のロサンゼルスオリンピックに向けた今後の選考大会に関しても重要となってくる。このことから世界中のトップコンペティターたちが今年重要視しているのがこの北九州大会なのだ。そのような大会ということもあり、世界中45の国と地域から計約200名が出場予定である。 そして今大会の舞台となる福岡県北九州市は過去にブレイキンやパルクールの世界大会を開催しており"アーバンスポーツの聖地"として近年認知を広げている街。大会を各方面から街ぐるみで盛り上げ、アーバンスポーツを「街の日常」として浸透させて、スポーツやカルチャーと融合し「街で未来を作る」ことを目標としている。この秋、そんな"アーバンスポーツの聖地"でロサンゼルスオリンピック選考へ向けたキックオフとなる大会が開催される。是非スケートボードファンの皆さんは会場でその熱い戦いの様子を現地で観戦して欲しい。なおチケット情報に関しては 8月下旬に詳細発表予定だ。 下記は今回の記者会見で語られた各登壇者のコメントをまとめたものである。 北九州市が世界最高峰のスケートボード大会を誘致し目指すのは、アーバンスポーツが日常にある環境 今大会開催における思いを話す武内市長 ©︎WST Japan 北九州市長 武内和久氏のコメント スケートボードをはじめとするアーバンスポーツは、競技の枠を超え、自己表現や創造性、挑戦する心、そして仲間とのつながりを大切にするカルチャーです。これらの価値観はまさにこれからの都市が大切にすべきものであると考えています。 北九州市ではこれまで「日本一、若者を応援する街」を掲げ、ブレイキンの国際大会やパルクールの世界選手権の開催など、若者に人気のあるアーバンスポーツの推進を通じて、まちの魅力と活力を高める取り組みを続けてきました。さらに私たちはアーバンスポーツを限られた施設内だけでなく街の日常に根付かせていくための挑戦も行っています。 そのコンセプトが「パークからストリートへ」で、北九州市が今まさに目指している方向性です。アーバンスポーツを専用施設だけでなく、街中でも楽しめるような環境を整えることで、多くのアーバンスポーツが街中に自然とあふれ、動きのある風景が日常の一部となる。そんな若者や幅広い世代にとっても魅力ある街をつくっていきたいと考えています。 この度、北九州市で開催されるこの大会は、単なる国際大会ではありません。世界最高峰の大会であると同時に、「都市」と「スポーツ」や「カルチャー」とが融合し「まち」で未来を創る。そうした“都市型スポーツイベント”の新たなモデルとなる大会にしたいと考えています。 選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、会場や環境の整備には市をあげて取り組んでいきます。そして、観客の皆さまにもこれまでにない体験を提供し、心を込めた「おもてなし」でお迎えいたします。 スケートボードは都市の風景とカルチャーが混ざり合う中で発展してきたスポーツです。そのスケートボードと個性ある北九州市の街並みを融合させて、世界に一つだけの大会観戦体験を創出いたします。 白井空良・吉沢恋の両名が語る、世界最高峰の戦いが日本で開催される意味と今大会への意気込み 開催発表会見に参加した白井(左)と吉沢(右)©︎WST Japan 白井空良選手のコメント 白井空良のライディングワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京©︎WST Japan ワールドスケートの大会は本当に自分たちが一番大事にしている大会というか、やっぱりオリンピックはみんなの夢で、でもオリンピックに出るためには、この「ワールドスケート」が開催している大会で勝つしか方法がないんです。だからこそ自分たちにとってすごく大事にしている大会です。 そしてその大会が、日本の北九州で開催されるというのは本当に嬉しいことで、「どこで優勝するか」と言われたら、自分はやっぱりここで優勝したいって思っています。 また東京オリンピック・パリオリンピックを経て、スケートボードの存在を知ってくれた人は増えましたが、一方で「どう始めればいいかわからない」とか、「実際の競技を見たことがない」という人もまだ多いと思うので、この大会でスケートボードを始めるきっかけになったり、競技に興味を持ってもらえる機会になってくれたら嬉しいです。 吉沢恋選手のコメント 吉沢恋のライディングワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京©︎WST Japan 私にとってもこのワールドスケートの大会は、オリンピック2連覇を目指す上ですごく大事な大会だと思います。それがこの秋に北九州で開催されるというのはとても特別なことですし、それに加えて海外の大会と比べても、日本国内でスケートボードをまだあまり知らない方々にとっても注目してもらえる大会になると思います。そういった意味でも、自分の名前をもっと多くの人に知ってもらう良い機会になると思っています。 一方でたくさんの方が観てくれる大会だと思うので、少し緊張している部分もありますが、何よりも楽しんでオリンピック出場に向けて良い結果が出せるように、自分の持てる力をすべて出し切って頑張りたいと思います。 またスケートボードの良さとして、一人一人がライバルでありながらも、みんなすごい仲が良くて、本番の滑走中でも笑い合ったり、お互いに励まし合ったりするところはスケートボードならでは良いところだと思います。今大会ではそういうところも含めて、スケートボードの良さを知ってもらえたら嬉しいなと思っています。 大会情報 【大会名称】 英 語:World Skateboarding Tour Street 2025 KITAKYUSHU 日本語:ワールドスケートボードストリート 2025 北九州 【開催概要】開催期間:2025 年 11 月 23 日(日)~11 月 30 日(日)観戦可能日程は、28日(金)準々決勝、29日(土)準決勝、30日(日)決勝の3日間を予定会場:西日本総合展示場新館(北九州市小倉北区浅野 3-8-1) 【競技概要】 出場国 : 45の国と地域 参加数 : 約200名 競技フォーマット ・予選 45秒のランを2本実施し、ベストラン(最高得点)のみを採用。 ・準々決勝(シード選手含む40名) 45秒のランを2本実施し、ベストラン(最高得点)のみを採用。 ・準決勝(16名) 45秒のランを2本とベストトリックを3本実施。 ベストラン1本とベストトリック1本の合計スコアで競います。 ・決勝(8名) 45秒のランを3本とベストトリックを3本実施。 ベストラン1本とベストトリック1本の合計スコアで競います。 【チケット販売】 8月下旬に詳細発表。