2023年7月、アメリカ・コロラド州にて開催されたダブルダッチの世界大会「DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD 2023」。
コロナ禍によって4年ぶりとなった、プレイヤーたちが待ち焦がれた実地での開催。
見事世界一のタイトルを掴み取ったのはガールズチーム「Mrs.DOUBLE DUTCH」(ミセス ダブルダッチ)。
チーム結成は8年前。彼女たちがどのような道のりを辿って“世界一”となったのか。
これまでの歩みと今大会へ懸けた思い、そしてこれからについて訊いた。
ABOUT “Mrs.DOUBLE DUTCH”
10名の女性ダブルダッチプレイヤーで結成されたチーム。各メンバーがプレイヤーのみならず、メディア・モデル活動や、大会でのゲスト・審査員など、多方面で活躍している女性ダブルダッチチームのパイオニア。
今回の世界大会にはこのうち7名が出場。
※以下、記事中ではチーム愛称「ミセス」と表記。
“女性プレイヤーの希望になりたい”
ミセスが結成されたのは2016年。
当時のダブルダッチシーンについてと結成に至った思いについて、リーダーのMISAはこう壊述する。
MISA
「多くのプレイヤーは大学のサークルでダブルダッチに出会うので、卒業というのが一つの分岐点なんですよね。プレイヤーとして続けるか否かという。ですが、当時は女性でプレイヤーとして続けている人が少なかったんです」
「どうにかして女の子たちがプレイヤーとして活躍し続けることができないか。そんな声に触れるたびに考えるようになり、女の子のチームを作ってみることにしました」
そこでMISAを中心に、現メンバー MAYU・MOEMI・HARUNA・SUMIREを含めた7名でMrs.DOUBLE DUTCHが結成された。
MISA
「チームを作ったことに対する責任感はありましたが、私の中ではあくまで実験的な試みでもあったんです。
前例のないチャレンジだったからその先どうなるかも予想できなかったし、当時はプロ以外で同じチームを長く続けている人も多くなかったので。
でも女性のダブルダッチプレイヤーの希望でありたい、可能性を切り拓きたいという思いはありました。そこで『Mrs.DOUBLE DUTCH』と名付けたんです」
確固たる思いを持って走り出したミセス。
結成直後に、彼女たちは国内最大級の大会「DOUBLE DUTCH CONTEST 2016」の国内予選に出場することを決める。
しかし、その結果は17位。本戦出場となる“10位以内”には届かなかった。
MAYU
「“女子だけ”の難しさを感じた部分もありました。今思えば妥当な結果だと思いますが、今にいたるミセスの活動の源流だったというか、そこで私たちに火がついたというか」
HARUNA
「当時、私とSUMIREは大学4年生の卒業間近で忙しい時期だったこともあり、MISAさんがほとんど全ての曲や衣装を準備してくれていたんです」
MISA
「でもミセスを“長く続けていこう”とだけは決めていて、そのためには1人が作った作品でチームを続けていくのは無理だと思ったんです。
チームメイトと関係性を築いて『ここは自分のアイデアなんだ』『この瞬間自分は輝いているんだ』ってことを自覚しながらやらないと長く続けられない」
その後、メンバーそれぞれの活動を経て、2017年の「Double Dutch Delight」では一般部門で優勝を果たすほか、「DOUBLE DUTCH CONTEST」の上海大会に2年連続で出場し、2019年には優勝。
このほか、個々がミュージックビデオの出演やゲストショーケース、アパレル活動や審査員など、多岐にわたって活躍。
“ガールズチーム”としての存在感を確立させていく。
2019年、オリジナルメンバーの一部がプレイヤーとしての活動を終えたこともあり、ミセスとしての活動を継続するべく、AYUKA・KYOKA・REINA・NATSUMI・HARUKAが加入し現体制となる。
国内予選に向けて――「ミセス式」のパフォーマンスメソッド
それからしばらく経ち、2023年。
最大級の大会である「DOUBLE DUTCH CONTEST」に再び出場することを決意する。
世界一のためにまず国内予選を制する必要がある。同部門への参加は約120チーム。その中で、まず上位5チームに残らなければならない。
MISA
「今年は久しぶりとなる実地での開催。しかもフルメンバーで大会に出るチャンスは今回を逃すとしばらくないかもしれないと思い、出ることを提案しました。ただ各々の都合もあるし無理はさせたくないから、イエスかノーで答えて、と」
そうして集まったのが今回のメンバーである7名だ。
MISA
「ただ各々仕事や家庭もあって、社会人チームは予定を合わせるのにも一苦労です。だから最初に集まりやすいメンバーでネタ(動きや技)を作って、そこから音を合わせていきました。
MAYUが音のストックを色々持っているので、MAYUが提案して、それを曲編集をやってくれるRisA(※)に伝えて進んでいきました」
(※)RisA
ミセスのパフォーマンス音源を作成していた人物。これまでのミセスメンバーが出場していた別チームの音源も作成するなど、数多くを手がける名曲編者。
同じチームを継続し続けていくメリットも多いが、その反面、期待値がインフレし高いハードルにもなりうる。そんな彼女たちのパフォーマンス作りは、どのように進められていったのか。
MISA
「『みんなが見たいミセス』『メンバーがやりたいミセス』というのはそれぞれ違うと思ったんです。
だから今回、私が『こうしたい』とは極力言わないようにしていました」
SUMIRE
「逆にMISAさんが委ねてくれたからこそ、話し合いは積極的にありました。新メンバーが入ってできることが増えたのもあって、『こういうネタもできる』『これよりこっちの方が良さそう』という感じで」
MAYU
「“ミセスをどんなカラーにするか”ということを踏まえ、1つ1つ細かいことでもみんなで話し合ったからこそ、みんながやりたいものにまとまっていったんです」
KYOKA
「『これは違うんじゃない?』と言うときも、それを言うからにはしっかり代案がありますし、試す価値があるから試す。逆に『ここは⚫️⚫️が跳んだ方が良さそうだね』ということも話しました」
HARUNA
「各々が自分の出来ることをしっかり自覚しているんだけど、その上でミセスって“他薦”が多いんです。チームメイトのこともよく理解していて、その人の技やスタイルに合いそうなことを判断できる。
だから『自分たちがやりたいミセス』と『みんなが見たいミセス』を両立させることができたと思うんですよね。自分たちでワイワイ盛り上がっているように見えるかも知れませんが、客観視もしています。
パフォーマンスの多くは最後にスピード(駆け足飛び)やアクロバットなど、ダイナミックな大技で締めくくるケースが多いのですが、そのやり方だと他には勝てないなと思ったんです。
勝つための他にない部分、そこがいわゆる『ミセスらしさ』ということなのかなと。
ミセスならではの要素、ミセスならではのパフォーマンス構成に同意してくれることで、それが自信に繋がっていきました」
それぞれが意見を出し合い、自分の理想と他者像を重ね合わせながら進めるのが“ミセス式”のパフォーマンス作りだ。
どうしてもその手法だとなかなか意見がまとまらなかったり、メンバー同士で衝突することも考えられるが、彼女たちにそういったことはなかったようだ。
MAYU
「意見がまとまらない状態で置いておくことはほぼありません。『そこいいね』『そこ微妙だね』を繰り返します。だから喧嘩もないです。当然時間はかかってしまいますけどね。
あと良いものが出来たら自分たちでも盛り上がってしまいますし、自分やお互いをめっちゃ褒めます(笑)」
MISA
「険悪な空気になることもありません。もちろん議論が白熱したり、出来ないことによって落ち込んだりはしますが、それはどのチームにもあるレベルのことで、取り立てて激しいようなものではありません。
メンバーを見ていると、みんな作品を作ることに対する意識が高いんです」
KYOKA
「ミセスは最年長と最年少のメンバーで9つも離れていて、見てきたダブルダッチや影響を受けてきたものなども全然違います。だからこそ色々な意見が出るし、それらを互いにリスペクトできるんです」
MISA
「色々と意見が飛び交うので、“お蔵入り”になった技や音はたくさんあります。ボツのものだけでショーケースが1本できるくらいには(笑)。
当然自分たちが頭を絞って作ったものなので、それらを捨てることに未練が無いと言えば嘘になります。けれど客観視していくなかで、勇気を持ってボツにすることも必要。
『これはKYOKAっぽくないよね』とか『これはミセスらしさじゃないと思う』とか。皆さんが見たいと感じてくれたミセスになっているのだとしたら、そこが理由だと思いますね」
MAYU
「例えば手の開き方1つとっても、指の開き方の間隔から角度まで細かい一つ一つを擦り合わせていきます」
筆者がミセスのパフォーマンスに“女性らしさ”を感じるのは、まさにこうした部分が所以だろう。女性のきめ細やかな感性と丁寧さが、今回の勝利を手繰り寄せていることを感じる。
そうして迎えた、国内予選の当日。
KYOKA
「結果、パフォーマンスはミスが1つ。今回の大会は審査基準的に、ノーミスとミス1つで6点差がついてしまう仕組みなんです。この1つのミスが順位を大きく左右しかねないと思っていたので、終わった直後に『確実に世界大会へ上がれる』という自信はありませんでした。
本来だったら、ノーミスでパフォーマンスを終えて衣装で会場を練り歩いて、『ミセスすげえ』ってチヤホヤされて、これから出番の学生たちに「頑張ってね」なんて声をかけて… とかってこと細かくイメージして臨むんですが(笑)」
そうして迎えた結果発表――。5位、4位とチーム名が呼ばれていくが、ミセスの名前はまだ呼ばれていない。
HARUNA
「会場を沸かせていた他のチーム、ノーミスを出していたチームも色々と見ていて、もうダメかも…と。最初はチームメイトの手を握りながら結果を聞いていたのですが、みんなすーっとその手を離してしまって」
一瞬の静寂を経て、MCが次の結果を読み上げる。
「3位は……… Mrs.DOUBLE DUTCHーー!!」
KYOKA
「結果が出たとき、何より『ミセス』をまだ続けられることが嬉しかったんです。またミセスで練習できる。またこの人らと会える。またこの人らと一緒に帰れる。『コロラド(世界大会の開催地)に行ったらさ』ってことをたくさん話してたから、それもできるなって」
拓かれた世界への道
そうして手にした世界への切符。舞台をアメリカ・コロラド州へと移し、次なる戦いが始まる。
世界大会ではパフォーマンスに加え「フリースタイルバトル」という種目がある。DJが掛ける音楽に合わせムーブを披露し、チーム同士が1vs1で優劣を競うというものだ。
MISA
「国内予選が3月、世界大会が7月なんですが、まず国内予選のパフォーマンスをリメイクするかどうかという話になりました」
REINA
「予選と本戦ではパフォーマンスを少し作り替えるチームが多く、当然私たちもまず作り替えるかどうか、というところから話がスタートしました。ですが結果としてはそのまま持っていきました」
MAYU
「私たちは1つ1つの技や音に対してかなりの時間を費やし議論をしています。ボツになったものは私たちの中の“予選”を通過しなかったからそうなった。また同時に、あのパフォーマンスが国内予選を通過したのにも理由がある。だから変えずにいこうと」
HARUKA
「RisAに音源の編集を頼むときも、パフォーマンスの内容を変えると歌詞を途中でぶった斬ることになって、気持ちが乗っかっていかないんですよね。歌詞で振り付けを決めている部分もありましたから。
でも『こうできる?』と訊いたらすぐ対応してくれて、しかも逆に提案までしてくれて、丁寧で。こうした支えなくしてミセスは無いなと感じますね」
HARUNA
「そうなんです。本当にいろんな人に支えられているんです。世界大会の渡航にはかなりの資金が必要になるので、イベントを開いたりクラウドファンディングなどをやったんです。でもそういったツールを設けたことで、皆さんから応援の声がたくさん届くようになったんです」
SUMIRE
「練習終わりに、皆さんからクラファンに寄せていただいたメッセージを全員で読んだのですが、もうみんなボロ泣きで(笑)」
HARUNA
「ダブルダッチの仲間に限らず、それぞれ自分たちの人生で出会ってきたたくさんの人が支えてくれていることを実感して『世界大会がミセスとしての最終地点ではいけない』とも思いました。
この感謝を体現するため、大会の後まで活動し続けなければならない。だからこそ、世界大会では優勝しなければならないと」
周りの応援を力に決意を新たにしたという彼女たち。いよいよ渡米し、大会直前を迎える。
MAYU
「問題はフリースタイルバトルです。
私たちは他のチームのやり方を真似していては勝てない。決勝まで進むと5ムーブ披露することになるのですが、どのタイミングでどのムーブをぶつけるかによって勝敗が大きく左右される」
HARUKA
「実はコロラドに渡ってから、大会前日の練習で結構議論したんです。初めてくらいですかね?あれだけ熱くなったのは。
バトルムーブをどう組み替えるか、どう構成するべきかということは国内の練習で決めていたんです。でもやっぱり不安になってしまって…。
普通だと大会前日は身体を休ませたり、練習しても控えめに進めることが多いんですが、前日とは思えないくらい練習もかなりやったんです。議論もたくさんして」
応援は間違いなく彼女たちの力になっていた。しかし一方で「勝たなければならない」という思いが、じりじりと焦りを引き起こしていく。
国内予選の比にならないほどのプレッシャーだったと振り返る彼女たちだったが、議論の末になんとか方針もまとまり、練習を終えて会場に足を踏み入れたときのことだった−−。
MISA
「世界大会は何日にもわたって開催されていて、私たちの大会の前日にも競技の種目の大会があったんです。
それで、他国の選手の表彰を見ていたときです。ぼんやりと、私たちもあの表彰台の一番上で表彰されて、君が代が流れて… なんてことを考えていたら、思わず涙が溢れてしまったんです。
これまでの日々が実を結んだイメージが、勝手に湧いてくるようにして出てきて。
でも一番驚いたのは… ふと横を見たらメンバー全員が同じように泣いていたんです(笑)」
HARUNA
「私たちもMISAさんと同じように、優勝した自分たちのイメージを関係のない選手の表彰に重ねて号泣してしまっていたんです」
HARUKA
「この一件を私たちは『ブルートゥース』と呼んでいます(笑)。
でもかなりの衝撃だったと共に、大きな自信にもなりました。それぞれが目指していた先にあるものって、ここまで同じものだったんだなだと」
迎えた本番当日。メンバーのKYOKAが一時期アメリカを拠点にダブルダッチ活動を行っていたことなどもあり、ミセスに対する会場の注目度は最高潮に。
そうして彼女たちは遂に、夢にまで見た世界大会のステージに立つ。
KYOKA
「ステージに出てきただけで本当に盛り上がってくれていたんです。出てきて大盛り上がりした時『あっ、イメージ通りだ』なんて思ったりして(笑)。
でも照明が付いて音源が掛かると、余計なことは一切考えないようになって、パフォーマンスに没頭していたというか… いわゆるこれが『ゾーン』ってやつなんですかね。
疲れすらも感じなくて、結果的にノーミスで終えることができたのですが、終わってはける時までそれにすら気付かなかったんです」
MAYU
「変な例えかも知れませんが、“ショーの中に閉じ込められた”ような感じでした。終わってからしばらくして誰かが『ノーミスじゃない?』って言って初めて気付いたくらいです」
その結果、パフォーマンスでは見事1位に。
しかし彼女たちの戦いはこれで終わらない。世界一を決める最後の種目であり、“鬼門”であるフリースタイルバトルが始まる。
MISA
「どのチームと当たっても一筋縄ではいかないでしょうから、とにかくひるまないようにしようと話していました。でもいざ戦っているときは、それよりも『楽しい』という気持ちが勝っていました。
パフォーマンスで勝ち上がったとき、その結果以上に『まだミセスとしてできる!』という方が嬉しくて。
だから決勝まで進んでムーブがどんどん終わっていくと、不思議なことに寂しさも感じました。
私たちが必死になって考え続けたものが徐々に世に放たれていって、何とも言えない気持ちになって…
『この瞬間をしっかり覚えていたい』『目に焼き付けていたい』と強く感じたんです」
KYOKA
「私も勝ちたい思いは強かったのですが、それ以上に楽しくて、なんなら勝ちにいこうとし過ぎると勝てないでしょうから、楽しんで『ミセスらしく』やりたいと思っていました。
私たちが私たちらしく、ミセスがミセスらしくあることを、会場中の人たち、中継を見てくれていた人たち、そして応援してくれた全ての人たちに見ていてほしくて」
最後のムーブを終え、いよいよ結果発表。審査員が両チームの手を握り、勝利したチームの選手の腕を挙げることになっている。
カウントダウンが始まる。
一瞬の静寂。空気が張り詰める。ほどなくして、審査員が片腕を高らかに掲げる。
その腕は… MISAを掴んでいた。
女性のみのチームとして世界を征するのは、10年の歴史の中で初のことだった。
KYOKA
「もちろん嬉しかった。喜びました。ここまでの道のりで心細くなったことはあっても、前日に同じ涙を流してからは、世界一になることを信じて疑わなかった。神様がこっちを向いてくれたように感じました。
大会が終わって会場を後にしようとしたとき、虹が掛かっていたんです。『あ、天気まで私たちの味方してくれてるじゃん』なんて話しながら(笑)」
MISA
「体調を崩してしまうことも多いメンバーが、異国の地でも最終的に誰も体調を崩すことなく、万全の状態で迎えられたんです。
たくさんイメージを重ねてここまでやってきましたが、現実は“ブルートゥース”を上回る光景が待っていました」
「ここでは幸せであること」
偉業を成し遂げはや1ヶ月。最後に、世界一になった彼女たちの“これから”について訊いた。
MISA
「結成当初、8年もチームを続けていることなど想像してもいませんでしたし、こんな幸せな未来も考えられていませんでした。だから正直この先も明確な目標などがあるわけではありません。
けれど1つ、ずっと変わらないビジョンがあります。
それは『ここでは幸せであること』。
私たちはパートナーや家族、友人や職場の方々のご理解など、置かれている環境のおかげでダブルダッチに向き合うことができています。それをすっ飛ばして考えることは違うなと感じていて。
その上で続けることは難しいんです。ぼーっとただ続けることは簡単かも知れないけれど。
私はミセスのメンバーが幸せであり続けてほしい。今回大会に出ていないメンバーも、ダブルダッチから離れてしまったメンバーも。そしてそういう場である『Mrs.DOUBLE DUTCH』がこれからも続いてほしい。
そしてチーム結成当時、出たくても出られなかった子たちに道を作りたい、少しでも希望になれたらという思いがあったけど、こうした私たちの努力が、後ろに道を作れていたら嬉しいと思っています。
先のことは分からないけど、いつかまた新たなメンバーが加わったりして、私たちが『初代』なんて言われちゃったりして(笑)」
MAYU
「そうだね。いつか『もうミセス10代目? 挨拶きてないんだけど』とかって言っていたりしてね(笑)」
初のガールズチームでの世界一を成し遂げた彼女たち。
しかしそのタイトル以上に、8年という長い歳月を重ねてきた中で、彼女たちが創ってきたものの大きさは測り知れない。
そのバイタリティと原動力の源にあったのは、仲間への愛情とダブルダッチへの思い。そして、弾むような彼女たちの楽しげな会話だった。
“突飛な妄想”から夢を描き叶え続けてきたミセス。
次に何を目指し、どこへ向かっていくのだろうか。
ダブルダッチに夢を見る全ての女子たちの思いを乗せて、旅は続いていく。
SPECIAL EDITION
FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
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●今日 ○イベント開催日
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skate小学4年生の天才スケーター河上恵蒔が、3つのギネス世界記録™を樹立!2024.11.21小学4年生ながらスケートボード界で驚異的な実績を積み上げている河上恵蒔(10歳)が、3つのギネス世界記録を達成し、その名を世界に轟かせた。11月21日に発売された『ギネス世界記録2025』(角川アスキー総合研究所)で、若干10歳にして栄光を掴んだその記録が公開され、スケートボード業界のみならず各界から熱い視線が注がれている。 提供:ギネスワールドレコーズ 河上の種目はハーフパイプで技を競う「バーチカル」。今年1月に「JSFバーチカルシリーズ2023」で最年少ながら総合1位タイに輝き、大きな話題を呼んだ。6月15日にはアメリカ・ユタ州ソルトレークシティで行われた「トニー・ホーク・バート・アラート」では、「900(2回転半)」を連続で3回成功させ、世界に衝撃を与えた。同月28日にはカリフォルニア州ベンチュラで開催された「X Games Ventura(エックス ゲームズ ベンチュラ) 」にも最年少で出場し、さらなる快挙を成し遂げた。 提供:ギネスワールドレコーズ 1つ目のギネス世界記録のタイトルは、「Most backside 540 skateboard tricks in one minute(1分間にスケートボードでバックサイド540を行った最多数)」。1分間に13回のバックサイド540(1回転半)を成功させ、驚異的なスピードと精度でギネス世界記録に認定された。 2つ目は、「Most consecutive skateboard '900' in competition (male) / 大会においてスケートボード「900」を連続で行った最多回数(男性)」。伝説的スケーターであるトニー・ホークが1999年に初めて成功させた「900(2回転半)」。その技を6月15日に行われた「Tony Hawk Vert Alert」で3回連続で決めたことで「神の正統後継者」と称され、2つ目のギネス世界記録を樹立した。 3つ目は、「Youngest X Games athlete (male) / エックスゲームズ最年少出場選手(男子)」。6月28日、河上は9歳294日という若さで「X Games Ventura」に最年少で出場し、見事3つ目のギネス世界記録を打ち立てた。 提供:ギネスワールドレコーズ 今回の快挙について河上は「ギネス世界記録は学校の図書室にもあって、それに自分が出ると思うととても嬉しいし、友達に見てもらいたい」と歓びを語り、今年を振り返って「アメリカに行くことと、X GAMESに出場するという夢が叶って最高でした。それに、イタリアやカナダにも行けたし、有名なスケーターと滑れた事も最高でした」と充実感をにじませた。来年の抱負を尋ねられると「来年も海外に行けるように頑張りたいし、とにかくスケボーが上手くなりたいです」と、10歳とは思えない堂々とした姿を見せた。 急速に人気が高まるスケートボード業界で、わずか10歳にして未来を担う存在となった河上恵蒔。彼の次なる挑戦から目が離せない。 【河上恵蒔『ギネス世界記録』タイトル名】 提供:ギネスワールドレコーズ ・Most backside 540 skateboard tricks in one minute1分間にスケートボードでバックサイド540を行った最多数 2024年5月22日 13回 ・Most consecutive skateboard '900' in competition (male)大会においてスケートボードの「900」を連続で行った最多回数(男子)2024年6月15日 3回 ・Youngest X Games athlete(male)エックスゲームズ最年少出場選手(男子)2024年6月28日 9歳 294日 【書籍『ギネス世界記録』について】 世界中の一番を審査・収集しているギネスワールドレコーズは、毎年その記録を一冊にまとめて出版しています。1955年に初めて刊行された書籍『ギネス世界記録』は累計発行数1億5,300万部となり、今まで40の言語に翻訳され、世界100カ国以上で発売されてきました。 【書籍概要】 『ギネス世界記録2025』クレイグ・グレンディ編 ©2024 Guinness World Records Ltd. タイトル:『ギネス世界記録2025』発売日:2024年11月21日定 価:3,960円(本体3,600円+税)発 行:株式会社角川アスキー総合研究所発 売:株式会社KADOKAWA判 型: A4変形判 オールカラー ページ数:264ページ
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bmx新バトルフォーマットの中で、男女共に前回大会王者が2連覇を果たす【FLAT ARK produced by ARK LEAGUE】in YUSF’242024.11.15YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL’24(略称:YUSF’24)」が横浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)にて2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間に渡り開催され、本イベント内でBMXフリースタイル・フラットランド種目の大会として行われた【FLAT ARK produced by ARK LEAGUE】にて、OPEN CLASSにて片桐悠選手が、WOMENS CLASSにて鈴木仁菜選手が大会2連覇を収めた。 2022年、2023年に引き続きARK LEAGUEは、ライダーが作るライダーの為の大会として、BMXフラットランド種目の大会「FLAT ARK」およびスケートボードストリート種目の大会「SKATE ARK」をYUSF’24内で開催。今回の「FLATARK」はレベル別に4カテゴリーが用意される中で各カテゴリーごとに異なるバトルフォーマットの中で争われる形となった。今年も全国から集まった老若男女のトップBMXライダーたちによる熱い戦いが繰り広げられた。 今回は直近の天気予報も考慮して2日目に行われる予定だった豪華アーティストによるスペシャルライブとOPEN CLASSとWOMENS CLASSの予選は中止に。そのためこちらの両カテゴリーに関しては出場者全員による一発勝負という展開となった。大会中、雨もパラつき一時的に中断されたりとライダーたちにとっては難しい環境の中で一戦だったが、連日多くの観客が訪れてはライダーたちが繰り広げるハイレベルなトリックの数々に歓声をあげるなど終始大盛り上がりの中で大会は進行していった。 以下は、今大会の最高カテゴリーであるOPEN CLASSとWOMENS CLASSの決勝でのトップ3選手のライディングを紹介する。 競技フォーマット変更によりベストトリック合戦となった今大会。異次元のトリックを決めて大会2連覇を果たしたのは片桐悠。 OPEN CLASSのTOP3 ©︎Jason Halayko /YUSF 今大会最高レベルとなったOPEN CLASSには若手からベテランまで国内のトップライダー18名が参加。なお今回の決勝の競技フォーマットは、本来「60秒間のソロラン2本」+「35秒間でのベストトリック5本」の合計7本のうち、上位スコア3本の合計得点により順位を決める形となる予定だったが、雨天になる可能性を鑑み、16分~20分間のジャムセッションの中で最大35秒間のベストトリックをメイクして時間内に成功した最高スコアの「ベストトリック2本を採用する最高20点満点」でジャッジされた。 今大会の戦いの焦点は高難度トリックを着実に時間内に決めること。ランがなくベストトリックだけであるため、ライディング中の転倒や足をつく動作、時間内にルーティンを終えられないと0点になってしまいスコアが付かない。とはいえ守りのトリックをすればスコアは伸びないという昨今の各大会とは大きく異なる難しさがライダーたちを悩ませた。 実際、ライダーたちは攻めのライディングを余儀なくされた中でのプレッシャーもありミスを連発。最後の最後まで誰が優勝するのか分からない試合展開に選手と観客ともに目が離せない状態が続いた。一方では普段ではなかなか見られない超高難度トリックも飛び出すなど日本のBMXフラットランドのレベルを大きく引き上げる一戦となった。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF そんな緊張感のある戦いを見事制したのは片桐悠。ベストトリックでは1本目から彼のオリジナルでもある「フルバイクフリップ」からの「バイクジャグリング」を決めてまず1本収めてくる。2本目ではバイクをお腹側にしてペダル軸での加速からバイクを半回転させてバイクを切り返していくルーティンをメイク。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 既に2本を決めている彼は3本目では同じく彼のオリジナルでもある「舞空術」の回転数を増やして逆サイドにスイッチするルーティンにトライするもミス。その後4本目、5本目最後でミスが続くも見事6本目でメイクした。その後はずっとミスが続きラスト1本までバックワーズからバイクを縦に跨ぐルーティンは失敗となった。しかしここまでに決め切った3本から2本が選ばれその高難度トリックの数々が評価を受けて合計18.1ptとし見事優勝を収めて2連覇を達成した。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝はARK LEAGUEのオーガナイザーでもある内野洋平。長年大会を支える一方で、このFLATARKを含め数えきれないほど様々な大会で優勝経験を持つ現役プロライダー。BMXフラットランド界を新たなステージに引き上げ続ける彼は、今大会でも最高難度のトリックにトライ。1本目、2本目ではミスがあった「バックワーズマニュアル to バイクフリップ」からのもう一度バイクフリップで締める彼のオリジナルルーティンをしっかりメイク。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF その流れのままバイクを背中向きに背負って進む「バックワーズツーフット」からのバイクの切り返しをメイクして2本目のスコアをまとめる。その後は1本失敗するも 「アップサイドのマニュアル to バイクフリップ」を加えたルーティンをメイクした。終盤戦はどのライダーもトリックをメイクできない時間が続く中、残り3分あたりで「バックスピン」からの難しいバイクの切り返すルーティンをメイク。最後は自身の代名詞トリック「ウッチースピン」も加えた長いスピントリックのルーティンにトライするも最後の最後で足をつくミス。しかし結果としてはそこまでの高難度かつオリジナリティのあるベストトリックの数々が評価されて合計17.8ptで2位となった。 田圓尚人のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位は2022年の「FLATARK」in YUSFで王者に輝いた田圓尚人。前半ではなかなか決めきることができず苦戦を強いられたが、残り時間5分の時点でリアトリックの体勢から「バイクフリップ to バックスピン to バイクフリップ」のコンボをメイクしていき気合いの1本目を決めきる。その後、2本目をメイクするのに苦戦を強いられるも残り2分のところではバイクをアップサイドに捉えながら片足をペダル軸に置きバックワーズからの自身のオリジナルトリックであるハンドルを握りながらバイクを足元で回す「気円斬」をメイク。意地の2本目を決めると最終的にこの2本が高評価を受けて合計点を17.0ptとして3位入賞を決めた。 WOMEN’S CLASSはネクストレベルのライディングが披露される接戦に。わずか0.2pt差の厳しい戦いを制したのは昨年大会王者の鈴木仁菜 一方で、唯一の女子カテゴリーとなったWOMEN’S CLASSにも国内外を股にかけて大活躍する女子のトップライダー10名が参加し、決勝1本勝負にて優勝争いが行われた。 なお今回のWOMEN'S CLASS決勝の競技フォーマットは、120秒間のソロラン1本にて最高30点満点でジャッジされた。「FLAT ARK」としては前回の甲子園大会から30秒延長となるこのフォーマットが導入されたのだが、今までに比べるとライディング時間が長くなるため自分の見せたいトリックを多く入れ込むことができる一方で体力勝負にもなることが予想された。 その中でも特に接戦となったのは鈴木仁菜と本村果鈴の戦い。昨年のYUSF’23で優勝した鈴木と前回の甲子園大会の優勝者の本村、どっちが勝つのか気になる今回を制したのは鈴木仁菜。 鈴木仁菜のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 今年のワールドカップでは負けなしの世界的にもその実力が評価されている鈴木は、所々でミスは見られたもののリアトリックの姿勢から、スカッフなしで「ツーフット」に移り「バックスピン」に切り替えたり、手足のポジションを入れ替えたり、難しい姿勢からバイクを回転させて切り返したりと目まぐるしく難しいバランスをとりながら行うトリックルーティンに盛り込んだライディングを見せて24.6ptと最高得点をマークし優勝を収めて2連覇を達成した。 本村果鈴のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝は鈴木にわずか0.2ptという僅差に迫った本村果鈴。スピン系のトリックを得意とする彼女は、リアトリックからフロントトリックに上手くスイッチしながら手足のポジション入れ替えたりとバリエーションの多いライディングを見せる。その後もルーティンの中にフロントトリックを軸にする中でスピンしながら「ウィップラッシュ」を入れたりハンドルを回したりとスムーズかつハイレベルなトリックを披露していく。終盤では左足をペダルに置いて片足での「ノーズマニュアル」から「ウィップラッシュ」に繋ぎ「バックスピン」という流れでルーティンを続けようとするも最後までメイクできずにランを終えると合計得点を24.4ptとして、惜しくも鈴木には届かず2位となった。 高橋七衣のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位はBMXフラットランド強豪である佐賀出身の弱冠13歳の高橋七衣。フロントタイヤを軸にしたトリックを中心にランを展開。1本目、2本目と上手くバランスを取りながらでのフロントトリックの 「ツーフット」からの「トランスファー」など丁寧にトリックを決めていくと、ラスト1本では途中から決められず苦戦していた「サイドヤード」の姿勢からリアへの「トランスファーからのバックスピン」をしっかり決めきった。このルーティンが高評価を受けたか合計点を23.5ptとして3位入賞を収めた。 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <OPEN CLASS >優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 18.1pt準優勝: 内野 洋平 (ウチノ・ヨウヘイ) / 17.8pt第3位: 田圓 尚人 (タマル・ナオト) / 17.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <WOMEN’S CLASS>優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 24.6pt準優勝: 本村 果鈴 (ホンムラ・カリン) / 24.4pt第3位: 高橋 七衣 (タカハシ・ナナエ) / 23.5pt ©︎Jason Halayko /YUSF <EXPERT CLASS>優勝: カナモト コタロウ準優勝: フジイ トハ第3位: イケダ コウタ ©︎Jason Halayko /YUSF <NOVICE CLASS>優勝: サトウ ライ準優勝: カネコ ジロウ第3位: コタベ コウイチ 大会概要 ⼤会名称 : 【FLATARK produced by ARK LEAGUE】イベント名称 : YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 (略称 YUSF ʼ24)会場:横 浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)日程・時間: 2024年11月9 日(土)・11月10日(日) 【YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24】主催: YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 実行委員会 (株式会社横浜赤レンガ / 明治商工株式会社 / 株式会社ローソンエンタテインメント / 株式会社ゼータ) 共催: 横浜市にぎわいスポーツ文化局(予定) / 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 協賛: 三菱商事都市開発株式会社 / 富士フイルム株式会社 / GoPro合同会社 / 第一生命保険株式会社 / 本田技研工業株式会社 / サミー株式会社 / カシオ計算機株式会社 / プレミアムウォーター株式会社 / 日本たばこ産業株式会社 / レッドブル・ジャパン株式会社 / 学校法人岩崎学園協力: 一般社団法人ARK LEAGUE / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ / 公益財団法人日本バレーボール協会 / 株式会社HANDOFFメディア協力:スカイ A / FINEPLAY
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skate世界最高峰レベルの異次元のコンボトリックの数々が披露された熾烈な一戦【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】in YUSF’242024.11.14「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL'24」が横浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)にて2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間に渡り開催され、本イベント内でスケート・ボード種目の大会として開催された【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】にてWomen’sクラスでは吉沢恋選手が、Men’s Hiクラスで早川竣乃祐選手が優勝した。 2017年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARK LEAGUE」の1つであるスケートボード種目の大会がこの「SKATE ARK」。「ライダーが創るライダーの為の大会」を信念に掲げて毎年アップデートされていることから、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。 パークやバーチカルなど様々なスタイルがあるスケートボード競技だが、そのうち日本人選手が世界のトップレベルで活躍している、街中にあるような階段やレールなど障害物のあるコースで競う「ストリート種目」をSKATE ARKでは実施。2022年と2023年に続き、今回も世界で活躍する国内トップスケーターが出場し終始大盛り上がりの大会となった。 ©︎Jason Halayko /YUSF なお、今回の「SKATE ARK」のセクションは本イベントの会場である赤レンガパークの中でも一番手前の大通り寄りに設置され、来場者ではない一般の通行客からもよく見える最高のロケーションの中で、2日間に渡って終始たくさんの観客に見守れながら大会は進行していった。 以下は、今大会最注目となったWomen’sクラスとMen’s Hiクラス決勝戦の大会リポート。 実力者と若手が入り乱れたMen’s Hiクラスは若手に軍配。実力者たちを抑えた早川竣乃祐が優勝を勝ち取った 今大会の男子カテゴリー最上級クラスとなるMen’s Hiクラスには日本国内から幅広い年齢層のトップライダー19名が参加。前日に行われた予選から熾烈な戦いが行われ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。 そして今回の競技フォーマットはコースレイアウトの関係上、前大会とは異なりソロラン無しのベストトリック合戦となった。予選では7分間のジャムセッション、決勝ではベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める形で1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジされた。 今大会にはパリ五輪日本代表の白井空良をはじめ、「2023 UPRISING TOKYO Supported by Rakuten BEST TRICK WINNER」の濱村大征などベストトリックのレベルの高さが世界的にも評価されている選手が多く出場した。ただ今回は白井が惜しくも先日怪我をした膝の調子が奮わず予選敗退となる一方で、決勝は若手も勝ち上がり名を連ねて実力者と対峙する展開に。決勝は5本中2本のスコアが採用されるフォーマットであることから、最後の最後まで各ライダーが自分たちの持つベストトリックにトライする攻めのライディングを終始見せる観客にとっても見応えのある手に汗握る展開になった。 ベストトリック1本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 5本のチャンスがあるものの、2本目以降でより攻めのトリックにトライするためにもしっかり決めておきたい1本目はほとんどのライダーがスコアをマーク。その中でも8点台のスコアを残して弾みを付けたのは実力者の浦野晴と大場蓮。浦野は「スイッチフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をメイクすると8.2ptをマーク、大場は「ポップショービットフロントサイドフィーブルグラインド180アウト」をメイクし8.3ptをマークして強さを見せる。 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 2人に続く形で7点台をマークして2本目に繋げたのは早川竣乃祐、濱村大征、浦野健隼の3名だ。早川は「ノーリフリップバックサイドボードスライド」を決めると7.7pt、濱村は「ハードフリップバックサイドリップスライド」で7.6pt、浦野晴の兄でトリックマスターとして知られる浦野健隼はハバレッジでの「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」で7.3ptをマークし、早くも熾烈なベストトリック合戦の始まりを予感する1本目となった。 ベストトリック2本目 2本目では早速各ライダーがギアを上げてきたのか、なかなかトリックをメイクできない展開に。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは高石颯来と濱村大征の2名。高石は「キックフリップバックサイトテールスライドフェイキー」をメイクし7.6ptをマーク。彼自身も着地が少しスケッチーだったことからトリックメイクに驚いている様子も見せた。濱村は1本目で浦野健隼がハバレッジでメイクした「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」をレールで決めると7.0ptをマークした。今回のスコア採用は2本だけのためまだこの段階ではまだまだ勝負の行方は分からない状態。 ベストトリック3本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF ほとんどのライダーが1本以上スコアをマークしていることから、まだ残りのチャンスに余裕がある一方で勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目。ただやはりスコアアップするためのトリックメイクには難易度とプレッシャーがあるからか、ここ3本目でも2名を除きほとんどのライダーがミス。一方でしっかり決めて見せたのが、3本連続で着実にメイクしている高石颯来と個性的な渋いトリックをチョイスする大場蓮。高石は「キックフリップバックサイドスミスグラインド」をメイクすると7.4ptをマーク。2本目のスコアを上回ることはできずベストスコアにはならなかったが、1本目の6.4ptを上回りスコアアップには成功。大場は2本目で失敗した「ビックスピンフロントサイドハリケーングラインド」を見事メイクし8.5ptをマーク。自身のスコアを8点台で揃えて暫定1位に躍り出た。 ベストトリック4本目 三星怜生のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 残りトライできる本数が少なくなってきたこの4本目。ここでは実力者も含め多くのライダーが相変わらずトリックメイクに苦戦を強いられている中で、8点台をマークして表彰台の座を大きく引き寄せたのは若手の三星怜生と早川竣乃祐の2名。三星は「フロントサイド360テールスライド」をレールで決めて決勝最高得点の8.9pt、早川は「ノーリーキックフリップバックサイドテールスライド」をハバレッジで決めて8.6ptをマークすると、三星は暫定3位、早川は暫定2位となり残すは自身も含めて各ライダーが5本目でどんなトリックをメイクするのかに委ねられた。 ベストトリック5本目 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF そして迎えたラスト1本。各ライダーがチャレンジし続けてきたベストトリックを決め切る必要があるラストチャンスだったが、惜しくも番狂わせを起こす展開にはならなかった。その中でも終始トリックメイクできず苦しい時間を過ごしていた梅村敏秀が最後に「トレフリップフロントサイド5-0グラインド」をハバレッジでメイク。やっと決め切れたトリックに天を見上げる様子も見せた。 一方で流れを掴んでラストトリックも決めきって見せたのは4本目をメイクした三星と早川。三星は「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」で7.3ptをマークしてスコアアップし暫定3位となった。そして暫定1位の大場を追う展開となった暫定2位の早川はラストトリックとして「ノーリーキックフリップバックサイドリップスライドショービットアウト」を綺麗にレールで決めて8.4ptをマークすると暫定1位に躍り出た。その後の出走となった大場も濱村もトリックを決められなかったことから、最終結果としては早川が優勝。2位に大場、3位に三星となった。その中でも特に早川と三星は若手でこれからが楽しみなライダー。今後彼らがどう日本のトップ勢に食い込んでくるのかが楽しみだ。 将来有望な若手ライダーたち ©︎Yoshio Yoshida /YUSF Women’sクラス決勝に名を連ねたのは世界で活躍するトップスケーターたち。そんなハイレベルな戦いを制したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋 今大会のWomen’sクラスには日本国内のトップライダー12名が参加。前日の予選から熾烈な戦いが繰り広げられ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。競技フォーマットはMen’s Hiクラス同様に決勝はベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジとなった。 そして今大会の決勝には世界大会で活躍するライダーたちが勢揃い。その面々は上村葵、大西七海、石丸葵、丹野莉愛、藤澤虹々可、吉沢恋、織田夢海、松本雪聖といった世界王者経験者から最近急成長の若手まで全日本選手権の決勝ないし世界大会の決勝でも見劣りしないメンバーがここ横浜赤レンガ倉庫の会場で優勝の座を争った。 ベストトリック1本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 男子同様に女子も2本目以降でより攻めのトリックにトライするため、まずしっかり堅実にスコアを残すことを優先するかと思われた1本目だったが、最初から攻める空気感を作り出したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋だった。吉沢は1本目からパリ五輪で金メダルを勝ち取ったハンマートリックの「ビックスピンフリップフロントサイドボードスライド」をメイクすると8.8ptをマークし後続にプレッシャーをかけていく。 織田夢海のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF しかしその流れをしっかり捉えて吉沢のトリックを上回って見せたのは織田夢海。織田は彼女の代名詞的ハンマートリック「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をメイク。今大会唯一の9点台である9.0ptをマークして強さを見せた。 ベストトリック2本目 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 1本目から吉沢と織田が攻めのライディングを見せる中、2本目ではトリックメイクに苦戦するライダーと着実に好スコアを残すライダーが二極化。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは丹野莉愛、織田夢海、松本雪聖の3名。織田は1本目で松本が決めた「キックフリップフロントサイドボードスライド」をメイクし7.3ptをマーク。続く松本は「キックフリップバックサイドリップスライド」を決めると7.9ptをマークしスコアアップししっかり2本ともスコアを残した。 一方で2本のスコアメイクと共に8点台のハイスコアをマークしたのは丹野莉愛。丹野は「270フロントサイドボードスライド」をメイクしガッズポーズを見せた。しっかりスコアも評価され8.8ptをマークすると暫定2位に食い込んできた。 ベストトリック3本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 現在トップは織田、丹野、松本という順番で迎えた中盤戦。終盤に向けて勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目でプレッシャーをも感じさせずに唯一トリックを決めて見せたのがやはりこのライダー吉沢恋。8.7ptをマークするライディングでセカンドハイエストを更新して一気にスコアアップし、暫定2位の織田に1点以上の差をつけて暫定トップにジャンプアップした。 ベストトリック4本目 ライディング後にボードが折れるアクシデントがあった藤澤虹々可 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 3本目で吉沢にリードを許す一方でしっかりトリックを決めてここで追い上げておきたいと思う4本目。しかしここでも相変わらず多くのライダーがトリックメイクに苦戦を強いられた。一方でこの4本目でなんとかトリックをメイクして見せたのは藤澤虹々可。ずっと失敗していた「ポップショービットフロントサイド50-50グラインド」をメイクして8.6ptという好スコアをマーク。あと一本決め切れば表彰台の座も見えてくる中で藤澤にトラブル。トリックの着地でデッキのテール側が折れてしまうアクシデント。スペアのボードもなく誰かのボードを借りることを余儀なくされた。そんなことも起きた展開の中で、最後5本目を残して現在トップは吉沢、織田、丹野の順に。このままで大会を終えるのか、もしくは最後に番狂わせがあるのか。そんな期待も渦巻く中でラストトリックへ。 ベストトリック5本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF もう後が無いラストトリックとなった5本目。多くのライダーが決め切れず辛酸を舐めたこのラストチャンスだったが、暫定3位の丹野が最後に表彰台の座を盤石にするため滑走するもメイクした「フロントサイドフィーブルグラインド」ではスコアアップできずに少し不安が残る展開に。 一方で最後も高得点で締め括ったのがやはり吉沢。ラストトリックでは「ノーズグラインドビックスピンアウト」でメイクして8.3ptをマークした。そして暫定3位の丹野を追う展開となった暫定4位の松本はラストトリックに「キックフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をレールで決めて7.6ptをマークすると0.2pt差で3位にジャンプアップ。最終結果としては吉沢が優勝。2位に織田、3位に松本となった。 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 今回表彰台に上がった3名はベストトリックのレベルの高さに定評があるのはもちろんのことだが、どんな状況でもしっかりスコアを残すことができる実力を持ち合わせているからこそ、世界の大舞台でも結果を残せているということが分かった。また4位となった丹野も松本とはたった0.2pt差。吉沢と織田に比べると若くさらにこれからの成長が楽しみなのがこの丹野と松本だ。日に日に目に見える成長著しいこの女子ストリート種目。今後はトップ勢はもちろんのこと若手にも注目だ。 今後の成長が期待される松本雪聖と丹野莉愛 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Women's Class /ウィメンズクラス>優勝: 吉沢 恋 (ヨシザワ・ココ) / 17.5pt準優勝: 織田 夢海 (オダ・ユメカ) / 16.3pt第3位: 松本 雪聖 (マツモト・イブキ) / 15.5pt4位: 丹野 莉愛 (タンノ・リア) / 15.3pt5位: 藤澤 虹々可 (フジサワ・ナナカ) / 8.6pt6位: 大西 七海 (オオニシ・ナナミ) / 6.2pt7位: 石丸 葵 (イシマル・アオイ) / 3.8pt8位: 上村 葵 (ウエムラ・アオイ) / 0.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Hi Class /メンズハイクラス>優勝: 早川 竣乃祐 (シュンノスケ・ハヤカワ) / 17.0pt準優勝: 大場 蓮 (オオバ・レン) / 16.8pt第3位: 三星 怜生 (ミツボシ・リオ) / 16.2pt4位: 高石 颯来 (タカイシ・ソラ) / 15.0pt5位: 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 14.6pt6位: 梅村 敏秀 (ウメムラ・トシヒデ) / 8.6pt7位: 浦野 晴 (ウラノ・ハル) / 8.2pt8位: 浦野 健隼 (ウラノ・ケント) / 7.3pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Low Class /メンズロークラス>優勝: カミタニ・ユウセイ準優勝: ナトリ・ヤマト第3位: リョウジ・ワカバヤシ 大会概要 ⼤会名称 : 【SKATEARK produced by ARK LEAGUE】 イベント名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL '24 (略称:YUSF’24)開催期間 : 2024年11月9日(土)~10日(日)- 2日間 -※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:横浜赤レンガ倉庫 イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区新港1-1)主催:一般社団法人 ARK LEAGUE協賛: 第一生命グループ / GoPro / 三菱商事都市開発/ Red Bull / G-SHOCK / ムラサキスポーツ
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dance“AIRHEADZ”が世界への挑戦権を獲得!「Freestyle Session JAPAN 2024」2024.11.1320年以上の歴史があるブレイキンシーンを象徴する大会 都市型スポーツとストリートカルチャーの祭典「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2024(以下、YUSF)」が11月9日、10日に横浜赤レンガ倉庫で初開催された。本イベント内のBREAKINGコンテンツとして【Freestyle Session JAPAN 2024】が行われ、AIRHEADZが優勝を飾った。Freestyle Session は、1997年アメリカで始まった世界一のCREWを決める伝説のブレイキンバトルで、20年以上の歴史を誇り、今でもブレイキンシーンを象徴するイベントの一つである。国内では、Bboy Toshio a.k.a. Machanが2002年に日本にFreestyle Sessionを持ち込んだことで日本大会がスタート。今回と同じ横浜赤レンガ倉庫で開催された2022年のYUSFでは、Freestyle Session JAPANの20周年が祝われ表彰などが行われた。近年のYUSF内で行われたFreestyle Session JAPANには、今年パリオリンピックで活躍した日本代表勢も出場。2022年大会では、パリオリンピックで金メダルを獲得したAMIがGOOD FOOTで出場し優勝。昨年の2023年大会では、オリンピック第4位のShigekixがXII After oursで出場して同じく優勝を成し遂げている。現在、世界の第一線で活躍するBBOY・BGIRLも憧れる舞台に今年も多くの挑戦者たちが集まった。 ©AYATO. /YUSF ヤングガンズが台頭した今年の日本大会 過去の大会と比べると、今回はニューフェイスが多く登場し若手世代の活躍が目立った。決勝まで駒を進めたgunbarawはThe Floorriorzのメンバーで小学生のWatoを中心とするチーム。惜しくも決勝で敗れてしまったが、大人顔負けのパワームーブを展開し会場を沸かせていた。優勝したAIRHEADZも10代と20代で構成されるクルーであり、今大会では大躍進を遂げた。予選を勝ち抜きTOP16のトーナメントに進出したクルーの中には、YELLOW SUNSやFOUND NATIONなど、国内の様々なバトルを制し、名を轟かせるBBOY・BGIRLもいたが、そのような実績のあるクルーを破りAIRHEADZが見事、頂点に輝いた。優勝したAIRHEADZには、11月16日からアメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルTOP16の出場枠が与えられる。 ©AYATO. /YUSF AIRHEADZ 優勝コメント 今日1日を振り返ってみてどうでしたか? DoubleNew(以下D):この人数でバトルに出るのも初めてだったし、セッション(Freestyle Session)は狙いにいきたいと思って準備していました。トーナメントの組み合わせ的にも、毎バトル全力を出すしかない状況だったので、いい動きが出来たし、それがこの結果に繋がったと思います。すごく嬉しいです! AIRHEADZらしさは出せましたか? D:僕たちは本当にチーム愛を大事にしているクルーだし、いつも一緒に過ごしている仲間たちです。そこがバトルにも出ていたと思います。 アメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルに向けての意気込みを教えてください D:Freestyle Sessionのワールドファイナルは、夢に見ていた舞台なので、全力を尽くして勝ちにいきたいです。 ©AYATO. /YUSF