【ALL STYLE JUMPERS vol.9】ウガンダと日本をダブルダッチでつなぐSUZUKA

2020.04.28
FINEPLAY編集部

先日、「アフリカ初!子供たちをダブルダッチ世界大会に連れていきたい!」というクラウドファンディングの投稿が目に入った。急いでURLを開くと、なんとアフリカのウガンダで、ダブルダッチの教室を開校してそこから子供たちを世界大会につれていきたいという夢をもった女性がいたのだ。彼女の名前は、SUZUKA(西村涼花)さん。「孔雀」というチームで世界大会に出場して、ハツラツとした笑顔とパワフルなパフォーマンスで活躍していたのはつい最近のこと。先日まで大学生だった彼女がなぜウガンダに…?彼女の試みを取材した。

※現在、新型コロナウィルスの影響からクラウドファンディングは停止しています。

SUZUKA
千葉県千葉市出身。日本体育大学でダブルダッチに出会い、のめり込む。大学4年生で「孔雀」というチームで国際大会「National Double Dutch League Holiday Classic」出場を果たした。現在はJICA海外協力隊としてウガンダで小学生の教師とダブルダッチスクールの講師として活躍する。

今しかできないことをしたかった

ウガンダにSUZUKAさんがいる理由は、JICA海外協力隊の一員に応募したから。そして、なぜかというと、「今しかできないことをしたかったから」だという。

日本の文化授業を行なうSUZUKAさん

「私は日本体育大学で教員を目指していたんですが、教員の採用試験は7月に始まるんです。大学生活をかけてきた大会『DOUBLE DUTCH DELIGHT JAPAN 』が重なっていて、私はこの舞台に集中したくて諦めることにしました。教員免許は取得したんですが、その後普通に就職活動をしてみたんだけどなんだかピンとこなくて…。でも、ずっと海外に行きたいなという気持ちが心の底にあって、もしかしたらそれは今なんじゃないかなと、思い切って応募しました。英語もしゃべれないのに(笑)。アフリカに興味があったので希望を出したところ、ウガンダに派遣先が決まってやってきました。」

ウガンダの街並み。トタンだらけ
ウガンダの学校の授業

なんと、アフリカにもダブルダッチの文化が、小さいながらもあった。現地では「ジャンプロープ」と呼ばれている。ダブルダッチ協会理事の原竹純さんにアフリカに行くがダブルダッチをできる場所はあるものなのか相談したところ、ウガンダで「スポーツエイドネットワーク」という発展途上国の恵まれない子どもたちの生活を豊かにすることを目的としたNGO団体のディレクターとして活動しているアイザックさんと繋いでもらったことで、アフリカについて1週間でダブルダッチをやってみる環境が実現。1ヶ月後にはダブルダッチ教室が始まった。

なんとアフリカでダブルダッチができた

ウガンダで感じた可能性

「ウガンダの子たちは、もうはちゃめちゃで(笑)。いきなりバク転したりするし、音楽をかけたらダンスをしだすし。下手でも自分を思いっきりだして楽しむ子供たちに、大きな可能性を感じました。平日は小学校の先生をしているので、土日にスクールを開校していました。どんどん周りの子たちが友達を呼んでくるので、いつの間にか15人のクラスに。ウガンダの子たちは面白いほど忍耐力がなくて、練習は大変なのですが(笑)。ただ、色んな子が楽しめるクラスを目指していたので、厳しいことはせず縄で遊んだり好きな曲をかけたり、ということをしていました。」

思いっきり楽しむ子供たち

ただ、ウガンダは貧しい。教師の月給は1万5千円、授業料は公立の小学校で、1学期4千円。一家族当たりの子供の数が多いウガンダでは、学校に通えない子供たちも少なくなく、彼らの中には、学費を払うため親の自営業を手伝わなければいけない子もいる。子どもたちは、夢があっても 「お金がない」という理由で諦める子が多い。スポーツはお金になりづらいという概念からあまり普及しておらず、SUZUKAさんの受け持つ体育のクラスでは、80人のクラスでたった一つのベコベコになったボールを使っているという。体育のクラスも、SUZUKAさんが来なければ無かった授業だ。

体育の授業の様子
水くみは子供たちが行っている

「本当にみんな、ダブルダッチが好きなんですよね。友達が見に来るといいところを魅せたくて頑張ってパフォーマンスして見ようとするところなんか、どの国の子も一緒だなあって思うんです。ただ、私たちが『ダブルダッチが好き』でやっているのとは、彼らが厳しい環境の中ダブルダッチが好きでやっているのとはまた違う気がしていて。貧しかったり、働かなきゃいけない環境でも、私がいなくてもひたすらひたむきに練習している姿に心が打たれました。」

しっかりSUZUKAさんの話を聞く
ウガンダの子たち。ひたすら元気だそう

ダブルダッチを通して、世界を広げて

「私は2018年のNational Double Dutch League Holiday Classicに出場するためにニューヨークに行ったのが、初めての海外経験だったんですが、そこで大きな刺激を受けました。言葉が通じない外国の方々が私たちのダブルダッチを見て足を止めて見てくれたり、動画を取ってくれたり…。世界の人との繋がりがダブルダッチによって、広がった瞬間でした。」

SUZUKAさんのチーム「孔雀」
SUZUKAさんの初海外はニューヨークだった

「ウガンダの人たちは少し閉鎖的で、諦めてしまっている空気感も感じます。でも、心が豊かで素敵な人たちがたくさんいます。色んな人にこうしてアフリカでダブルダッチを頑張っている子がいることを知ってほしいし、この子たちにもっと広い世界を見せてあげたいなと思って、とくにダブルダッチにハマっている5人を選出してチームを組み、ダブルダッチコンテストに挑戦することにしました。」

出場するメンバーとSUZUKAさん

「ただ、出場するにはカナダまで行かなきゃいけないので、1人あたり20万以上が必要です。日々の生活に精一杯な彼らにはどうしても、無理。お金の問題はどうしても解決しなかったので、初めてのクラファンに挑戦してみることにしました。日本でも応援してくれる人がたくさんいて嬉しかったです。」

毎日練習するほどダブルダッチが大好きだそう

クラファンのページには、チームのメンバーが大会に対しての意気込みを語っている。「自分の才能を信じたい」「パフォーマンスを見せたい」と、気合充分だ。しかし、新型コロナウィルスによりSUZUKAさんも強制的に一時帰国することになり、コンテストも中止になったことを受け、クラファンもいったん閉鎖することにした。「今回の挑戦が中止になり、とても悔しいです。帰国したときはやっと日本の便利な生活ができて嬉しい気持ちはあったものの、ウガンダに早く戻りたい気持ちでいっぱい。メンバーも一生懸命練習しているらしいです。今年は諦めますが、またウガンダに戻って挑戦したいと思っています。そのときはぜひ、応援してください。そして、ダブルダッチはアフリカの子たちも時間や状況を忘れて没頭させる力があることを知ってほしいです!」

ぜひ、彼女の取り組みを注目してみて欲しい

新型コロナウィルスの猛威により、今回の挑戦は中止になってしまったが、SUZUKAさんとウガンダのチームをぜひ応援して欲しい。自由にダブルダッチを楽しめる世界に戻ることを祈る。

取材・文:小田切 萌

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