2020年10月、ダブルダッチシーンに新たなプロチームが誕生した。その名も『FLY DIGGERZ (フライ ディガーズ)』。若手6人が肩を並べ華々しくデビューを飾り、2021年3月の DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2021 では見事優勝しチーム日本一を達成。
今回FINEPLAY取材班は、そんな“躍進中”の彼らを独占インタビュー。華々しく見えた彼らだが、その裏には様々な思いがあった。彼らはこれからどこを目指すのか? どう進んでいくのか? 手探りで未来を切り開こうとする彼らの、言葉から零れだす熱意とダブルダッチへの思いを感じて頂きたい。
《 ABOUT “FLY DIGGERZ” 》
最前線で競い合った業界のルーキー達が集結し2021年10月に結成。誰よりも跳び(FLY)、誰よりも探求(DIG)し続け、全世界各地で多くの人に出会い、一緒にダブルダッチを楽しめる空間を作り出したいという思いから名付けられた。
今年3月の国内大会「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2021」では見事優勝し、現在続く世界大会「~CONTEST WORLD 2021」の優勝に向けて奮闘中。その傍らCM・TV番組などメディアへの出演も果たし、ダブルダッチの認知向上に大きく寄与している。

“AROUND THE BASIC”
——まずは DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2021 優勝おめでとうございます。皆さんの今の心境を教えてください。
一同: ありがとうございます!
タカオ: ひとまず、FLY DIGGERZとしてやっと動き出せたな、と思います。今回の優勝もそうですし、メディア露出も増えてきていよいよ本格始動という気がしています。ただ、僕らはCONTEST WORLD* で優勝することが目標なので、次なる目標に切り替えて始動しています。

*:国内大会「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN」の上位数チームが、同世界大会「~WORLD」への出場権を獲得。2021年はFLY DIGGERZを含む3チームがCONTEST WORLDへ進出。
——やはり照準はもうCONTEST WORLDにあるのですね。
ケンゴ: タカオの言った通りですね。僕らは最初から「世界一になる」ことを目標に出場したので、国内予選となるCONTEST JAPANは絶対に優勝しようと思いました。事務所の先輩にも「優勝しないとヤバいでしょ」とプレッシャーを掛けられていたので(笑)。
パフォーマンスを作る過程でも「これで優勝できる?」とメンバー同士が逐一聞き合っていました。そういう意味で、今回はしっかり狙って1位を獲れたことが素直に嬉しいですね。
——“狙っていった”と。これはどういったことをしたのでしょうか。
ケンゴ: それこそ逐一聞いたこともそうですが、僕らはチーム結成前から各々ダブルダッチに対して真剣に取り組んでいたので、それぞれが得意とする分野があって、しかもかなり秀でていたと思うんです。だから、僕らがお互いに得手不得手を補って、最終的に1つのパフォーマンスにまとめれば、自ずと良いものは出来上がってくるだろうと自信を持っていました。
ただそう言いつつも、最初にCONTEST JAPANに臨む上で出来たパフォーマンスは、決して人様にお見せ出来るようなものではなくて…。
カスヤ: とにかくカッコいい!と思うものを組み合わせて作ったところ、結果として歪なものになってしまいました。なのでパフォーマンスの「テーマ」を決めようとなったのですが、まずこれが相当な時間を要しましたね。
——なるほど。その“テーマ”というのは何でしょうか。
カスヤ: 悩みに悩んだ結果、「AROUND THE BASIC」—“原点に立ち返る”というテーマになりました。最初は技術寄りなケンゴ・トーマ・僕と、表現寄りなアユカ・ケイスケ・タカオの3人ずつで行程を分担して作っていたのですが、途中で「そうじゃないな」と思ったんです。FLY DIGGERZは6人で1つだし、と(笑)。
そこから奇をてらうことなく、原点に立ち返って「一番イイよね!」と思うものをみんなで擦り合わせていくよう意識しました。

トーマ: この間CONTEST JAPANのパフォーマンスを見返した時、“6人で闘っている感”が出ていたと感じたんですよね。そういう意味でも、原点に立ち返るテーマを据えたことは間違いではなかったと思います。
カスヤ: 今思うと最初の3人3人の時は寂しかったですね。「どう?」「出来たよ」みたいな(笑)。
六身一体になる瞬間
誇らしげにしながらも、CONTEST WORLDに向けて気を引き締めなければと語ってくれた6人。しかし大きな転機となったCONTEST JAPANも、最初は出場するつもりが無かったのだという。
タカオ: 実はもともと、CONTEST出場は考えていなくて。出場することをチームで決めたのが、昨年末ぐらいだったのです。
——ということは… あの完成度を3カ月ほどで叩き出したことになりますね。
タカオ: そうなります。でも我ながら凄いと思ったのは、制作速度がとてつもなく早い。普通であれば長い時間かかることが一瞬なんですよね。技術もそうですが、決めたことに対する全員のがっつき具合も高くて驚きました。ケンゴさんも仰ってましたが、各々が培ってきたものの強さを感じました。
カスヤ: 最初は少し奇をてらいすぎていたんです(笑)。先輩にあたるチームの「REGSTYLE」が過去に同じ大会で世界三連覇したので、「それなら俺たちが同じことをする必要はないのでは」と思っていたんです。当初は、オンラインのダンスのコンペティションに応募したり、そういうこともしていました。
ケンゴ: でも僕らはダブルダッチのパフォーマンスを生業としていて、活動の軸はダブルダッチ。それならダブルダッチの大会に出て、結果を残さないでどうする? となったわけです。まさに原点に立ち返る、ということですね。そういうことを気づくのが少し遅かったのかも知れないです(笑)。
CONTESTに臨んでから6人がグッとまとまって、嬉しいことに結果も出ました。大会に参加することが絶対に正解だとは思っていませんが、この選択は間違っていなかったと振り返って思います。

カスヤ: 僕らのデビューの場は昨年開催された学生の大会で、その際のゲストショーは6人一人ひとりの自己紹介のようなものでしたが、今回は完全に「闘う」ためのパフォーマンスだったので、いかに6人で強力なものを作れるかを大切にしましたね。
——まさに「六身一体」となったわけですね。
カスヤ: そう、六身一体になれて、6人が1つになって掴みたいものを掴めた経験は自信に繋がりました。
アユカ: 今カスヤさんが言っていた、デビュー時のゲストショーケースを作っている時とは、全く違った楽しさがありましたね。
カスヤ: まあ最初は大変だったな(笑)。
ケンゴ: 少しピリついていたね(笑)。僕は2019年からREGSTYLEというチームで活動をしていたので、みんなより1年早くプロとして活動をスタートしました。なので最初は少し「先輩として」なんて思っていましたが、僕自身もCONTEST JAPANで意識が変わりました。
その大会の日、みんなが今までで一番喋っていたんですよね。その光景が以前シルク・ドゥ・ソレイユのステージに立った時の、ダブルダッチの先輩や周りの演者の方たちがコミュニケーションをとっている様子に重なって見えて。
そこで「あ、こいつらイイ」って思いました(笑)。
——FLY DIGGERZにとって、今回のCONTEST JAPANは大きいきっかけだったんですね。
ケンゴ: あとは練習時間以外も”練習“していましたね。自宅に帰っても練習動画を見返して反省点を洗い出したり、ここを失敗したから明日はこうしてみようとか、そういうことをちゃんと出来るメンバーでした。
タカオ: 先ほども言いましたが、目標が決まった瞬間のがっつき方は凄まじかったです。本当にチームメイトに恵まれたなと。
——みなさんのその“がっつく”力と言いますか、原動力というのはどこに秘密があるのでしょうか。
カスヤ: ダブルダッチが好きだから、という根本的な部分にあると思います。僕らは結成前から、ダブルダッチに触れている時間以外もダブルダッチのことを考えて、ダブルダッチに費やしてきたメンバーなので、目標が決まった時、それに向かうエネルギーはある意味当然と言えば当然かも知れません。
ケンゴ: それぞれに事情や人生や個性があるけど、「ダブルダッチが好き」「ダブルダッチに懸けている」という共通している部分が重なったと知った瞬間、チームとして強くなったなと思いましたね。

心境の変化
順風満帆に見えて、デビューしてからの半年間に紆余曲折を経験していたという彼ら。目標の一つを達成し、次なるステージに進もうとする彼らに話を訊くと、そこにはデビュー当時から大きな心境の変化があったようだ。
トーマ: 一時期は本当に活動が無く、どうなるのかとフワフワしてしまった時期もあったので、まずはCONTEST JAPANを経てチームは一つ上のレベルへ上がれたことに安堵しています。WORLDもありますし、もちろんそれ以外の活動もあるので、気を引き締めながらも、FLY DIGGERZとして自信を持って取り組むことが出来そうです。
あとは、「プロ」「FLY DIGGERZ」という看板を背負った時、ダブルダッチ以外の方にも目がいくようになりましたね。今までは身内からの見られ方を過剰に気にしていましたが、生業にする上でそれではダメだと。どんどんダブルダッチを通して、ダブルダッチ以外を知っていきたいと感じました。

——そういった心境の変化があったのですね。他の皆さんはいかがでしょうか。
カスヤ: 僕の場合は、関西からプロを目指して上京し4年目になりますが、まずはやっとスタートラインに立てたことが心底嬉しいです。最初は別のプロチームのメンバーとして活動したり、その後は仲の良いメンバーで活動したりしていたのですが、どれも今一つ上手くいかず、スタートに立てている実感すらも湧いてこなくて。ひとまず「プロ」という看板を背負えたことに喜びを感じています。
ただ、個人的には心境の変化はあまりないです。一貫してずっと「ダブルダッチが好き」という気持ちでやってきていましたし、今もそうです。ただこれからはプロとして「ダブルダッチを好きになってもらう」ことが僕らの仕事になってくるので、そのために何が出来るかを模索したいです。
アユカ: 私は10歳のころにダンスに出会って、そこからパフォーマンスをすることがずっと好きでした。だから今の活動に生き甲斐を感じます。ただプロとして、私たちは自分たちのことを好きになってもらわないといけないので、より「チームを」「ダブルダッチを」という意識が強まりました。
あと、先日Instagramに投稿したリールの動画で、ダブルダッチを知らない方が「ダンスもダブルダッチも知らないけど楽しめることが凄い」とコメントしてくださったことが嬉しくて。ダブルダッチを知っている方へも、知らない方へも、もっとダブルダッチを好きになってもらえる機会を増やせたらなと思います。

ケイスケ: ダブルダッチを生業にすることへの迷いや不安はあったのですが、教育実習に行ったとき、ダブルダッチがない時間がかなりあって。そこでダブルダッチから離れることを想像出来なかったんです。
今デビューして活動して、大小色々なお仕事をやっていますが、とても楽しいです。プロとしてやっていくのなら、僕はこの人生で良かったと自分でも納得しています。FLY DIGGERZというチームなら、これからの人生も楽しそうだなって(笑)。
カスヤ: …照れますね(笑)。
タカオ: 他の皆さんが言ってくださったことが全てですが、でも本当にCONTESTを経てチームとして一気に固まってきたかなと思っています。なのでこれからが更にワクワクしていますし、楽しみです。
ケンゴ: 悪いことは割って、楽しいことは掛け算していく。FLY DIGGERZは6人なので、不安は「÷6」、ワクワクは「×6」。そう思えるチームになったことは、僕らにとって大きな変化だと思いました。

彼らが見据えるこれから
——FLY DIGGERZの皆さんの、これからの目標があれば教えてください。
ケンゴ: チームとしては、まずはダブルダッチの方々に認められたいです。やはりダブルダッチプレイヤーなので。だからこそCONTEST WORLDは勝たなければいけません。「世界一」という称号を獲って、次があるかなと感じています。
要は、世界一を獲ることは僕らにとってあくまで通過点でしかなくて、その先のために獲るものだと思っています。今はその“先”に何があるかは分かりませんが、逆に言えば世界一を獲れば見えてくるだろうと。
カスヤ: ケンゴの言った通り、CONTEST WORLDを獲って、僕らがやりたいことをようやく出来るようになるかなと思います。あとはチームとして他にどんなことを目指すのかというのは、よくミーティングなどを開いて話し合っていますね。
例えばフレッシュな僕らは学生とも年齢が近いので、もっと接点を作って業界の若い層を刺激したい。他にもやりたいことがあって、そのためのプランもあるのですが… これはまだ秘密です。
ケンゴ: 正確に言うと、ちょっと忙しくて動けていないのですが(笑)。
カスヤ: 言い訳はダメなんですけどね(笑)。
ケイスケ: 最終的には「ダブルダッチといえばFLY DIGGERZ」と、名前が挙がるような存在になりたいです。
——それは今後が楽しみです。個人としては皆さんいかがでしょうか。
ケイスケ: プロとして活動してから“これから”を考えるようになりましたが、正直「これを目指す!」という確固たるものは決まり切っていません。ただ、ショーケースを見せたときにその人に感動してもらえるか、人の心を動かせるか… いちパフォーマーとして原点に返ってそこを突き詰めたいですし、そのための“何か”を迷いながらも模索し続けたいと思います。

アユカ: 私もどういう存在になるかは模索中ですが、ひとつは“人間力”を磨きたいです。パフォーマンスにしてもInstagramの動画にしても、100人のうちの1人でも強く刺さってくれたらいいと思っています。数に目を向けることも大事だけど、一人ひとりの見てくださる方の思いも大切にしたい。そしてそのためのパフォーマンスが出来る人間でありたいし、自分の中から溢れるものをもっと磨いて、外に発信していきたいです。
それこそ「なぜダブルダッチ始めたのか」とか、原点に立ち返って考える機会も増えました。まさにパフォーマンスのテーマにもあった、“AROUND THE BASIC”です。
ケンゴ: 一個人としては、家庭を持って子どもを養っていきたいという目標があって、そこに向かって意識して、どういうことをしないといけないか、どういうJUMPをしないといけないかと考えているのですが、やはり人を幸せにするにはまず自分がある程度満たされている必要があるなと、つくづく思います。自分が満たされていないと、人のことを気に掛ける余裕が出来ないというか。余裕がない状態で人のことを見ても、勝手に見えたつもりになっているだけで、それは“嘘”ではないかと思うんです。
プロとして多くの人に幸せや元気を与える存在として、そこは見誤らないようにしたいと思っています。
カスヤ: 僕は子供たちの“ヒーロー”になりたいですね。レッスンや講習会で子供と接するとき、例えば「昨日先生が出ているあの番組見たよ」って言われたら、子供たちに夢を与えることが出来ると思うんです。彼らがやっているダブルダッチに無限の可能性があることを、背中で伝えたいですね。子供たちが僕らの背中を追いかけてきてくれて、その過程で更なる成長の機会を作れたら最高です。
トーマ: “甲斐性のある人生を送る”ことを意識しています。8歳のころからずっとダブルダッチと一緒に成長してきたのですが、だからこそいつか自分の体が動かなくなる時のことをよく考えてしまうんです。その時に、自分が家族や周囲の人に支えてもらったように、自分も家族や仲間を支えられる存在でありたいです。
そのためにFLY DIGGERZとして、まずはガンガン動こうと思います。
タカオ: とにかく多くの人たちを幸せな気持ちにしたいですね。自分はパフォーマンスやダブルダッチを通して、幸せを提供できる存在でありたいです。「明日死ぬとしたら」とよく考えるのですが、悔いのないよう、まだ見えないこの先のことにもワクワクしながら、プロとして活動していきたいと思います。
ケンゴ: 僕含め、メンバーの中には「想いの“種”」みたいなものを共通して持っていると思っています。誰かに見て欲しい、誰かにダブルダッチを面白いと思って欲しい、とか。その共通したものがどんどん成長して“花”になったとき、どんなことを達成していて、どんな目標を追いかけられているのか…。
一つひとつの小さいことを大切にしていくことで、その先のものを目指していきます。なので僕らは世界一にならなければいけません。引き続き、応援よろしくお願い致します!

“プロ”としての肩書や矜持を背負い、ステージで華々しく躍動する彼らも人間だ。そして人間である以上、等しく迷い、苦しみ、悩むものだ。しかし彼らはそれをエネルギーに変換して進み続けていた。多くの人に愛される彼らの魅力は、そこにあった。
迷いを力に、悩みを武器に。彼らはこれからも臆さず跳び続けることだろう。未来を見据える彼らの目は、これからどんな景色を見ていくのだろうか——。
TEXT & INTAVIEW: YAMADAI
PHOTO: Yassy
SPECIAL EDITION

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。
●今日 ○イベント開催日
-
surf【ロングボードで切り拓く新時代】田岡なつみが語る女性アスリートの挑戦2025.02.04サーフィンがオリンピック種目となったことで、ショートボードを中心に注目が集まる中、ロングボードという種目が秘める可能性に光を当てる選手たちがいます。 その1人が、2024年にWorld Surf League Longboard Tourで世界5位の快挙を成し遂げた田岡なつみ選手です。世界の舞台で輝き続ける彼女は、競技だけでなく、サーフィンの魅力を発信や活動をし、多方面でその存在感を示しています。 先日公開された田岡なつみ選手のドキュメンタリーフィルム「MAHOROBA」は、世界11カ国でノミネートされ、サーフシーンで話題になりました。彼女自身のサーフィンへの深い想い、そして日本の素晴らしさが込められている作品として、日本でも上映されました。 今回のインタビューでは、そのMAHOROBAを通じて見えた田岡なつみ選手が描く未来のビジョンやサーフィンへの情熱、競技の舞台裏、女子サーファーが直面する賞金の格差問題についてなど、率直な想いを語っていただきました。世界の波を舞台に挑み続ける彼女自身の言葉で 、その真髄に迫ります。 MAHOROBAを制作した背景とは Photo:ROXY –今回どのような経緯でMAHOROBAを制作したのですか 私はプロサーファーとして、競技を1番の中心に活動を行っている中で、何か作品を残したいという思いはずっとあったのですが、仕事もしていたので、なかなか機会がありませんでした。会社員として仕事をしていた時は、試合の時だけお休みをいただく形だったので、試合以外のクリエイティブな活動をする時間を作ることができませんでした。2年前に会社員を辞め、そのタイミングでROXYに所属することになりました。今回映像を撮影してくれたカメラマンの原直子さん(通称:ナチョス)とも、以前から映像を作りたいと話していて、作りたい映像に対する想いがリンクしたので、ROXYに旅費を全てサポートしてもらって、今回の作品を作ることができました。 –日本を作品の舞台にした理由を教えてください 今までは海外の大きい波で映像を残したいという思いが強かったのですが、コロナウィルス感染が流行したタイミングで2年程日本で過ごすなか、日本の素晴らしさを改めて感じました。ちょうどその時にカメラマンのナチョスも同じように感じていたみたいで。コロナで日本にいたからこそ、日本の波やカルチャー、景色の素晴らしさを改めて再認識することができ、日本の素晴らしさを世界に伝えたいという思いから日本で撮影することになりました。 –北海道での撮影は過酷だったように感じましたが、実際に訪れてみていかがでしたか 初めて北海道、そして雪の中でのサーフィンだったので、北海道仕様にウエットスーツなどサーフギアから揃え直しました。情報も少ないので、北海道に訪れたときに情報を収集していく中で、「雪の中で撮るのであれば利尻島がいいよ。」とおすすめされました。利尻島って島を1時間で回れるくらい小さな島なんです。私は試合の合間で撮影を行っていたので、1週間のトリップを3回北海道に行き撮影をするという流れでした。なので「ここ」とポイントを決めていってしまうと外してしまう場合もあるので、今回は波を1番の優先したいという思いもあり、利尻島だと島なので風の影響も含め、どこかしらサーフィンできるかなという考えもあり利尻島を選びました。実際に行ってみて、撮影の中でも1番印象的なのが利尻島でした。大雪の中、誰もいない海。自分たちでGoogleマップを見て、ここの地形が良さそう。と調べながら行ったりしました。その中で私が嬉しかったのが「ここの海に入ってる人見たことないよ!」って言われて。利尻島にはサーフポイントはいくつかあるのですが、ショートボードの方の方が多いみたいで、私はロングボーダーなので波を見る目線がまた少し違っていて。私が海から上がった時にサーファーの人とすれ違って、「ここで入ってたの!?」と驚かれたりしました。映像だけでは伝えきれない旅ならではの出会いが本当にたくさんありました。 –日本での上映に加え、海外でノミネートをされた今「MAHOROBA」はどのような想いがある作品ですか 以前も自分の映像を作ったことはあるんですけど、海外のフィルムコンテストに出したことはなくて。最初、「映像作品って自己満足で終わってしまうのでは?」と思っていたところが実はありました。でも、自分たちの思い描いた作品を作り、11カ国にノミネートされ全世界の人に見てもらえたことは正直、私もナチョスも驚きました。ノミネートの連絡がスペインのビルバオから始まり、次から次へと私たちの耳に入り、すごく嬉しかったです。他の作品はディレクターがいて、カメラマンも3、4人いて、時間や費用がかかっている作品がノミネートされ賞を取っている中、今回の作品は私とカメラマンのナチョスの2人だけで作り上げた作品です。逆に女の子2人が、過酷な環境で撮ってるというところを称賛してもらうことができ、見た人が日本に行ってみたいって思える作品が出来たことは、作品を作った中での想いの1つでもあったのでゴールを達成することが出来たのではないかなと感じています。 Photo:ROXY 多岐に渡る活動の中のひとつ、インビテーションの試合とは –昨シーズンは公式試合以外に招待制の試合にもかなり出場をされていたようですが、ご自身の中で振り返ってみていかがでしたか 昨年は出れる試合は全部出て自分の経験値を上げたいという思いがありました。以前、デュアルキャリア(※)をしているときは、JPSAやWSLの試合は出ることができても、インビテーションの試合は日本にもあまりないカルチャーなので、その魅力や価値を理解してもらえる場面が少なく、招待されても出場することが出来ませんでした。実際、インビテーションの試合は招待制ではあるんですけど、遠征費が実費で賞金がないこともあるので、名誉と経験のために行くのですが、私はインビテーションの試合に出場することに対して価値を感じているので、昨年はインビテーションの試合にもほとんど行きました。 WSLなどの試合とは違い、フェスティバルみたいな雰囲気で、みんなで波をシェアしたり、みんなで作り上げていくような試合が多かったので、私はそこで英語の上達にもすごく繋がりました。試合の時は集中しているので、自分の視野がすごく狭くなってしまうのですが、インビテーションの試合は、もちろん勝ちに行っていますが、お祭りみたいな雰囲気で、点数だけのライディングではなく、自分のスタイルを魅せる場所となっているのが、いいなと感じました。昨年はインビテーションの試合にも回ることが出来てよかったなと思ってます。 ※デュアルキャリアとは競技を続けながら会社員として勤務したり、現役中から将来を見据えた準備をすること。 –競技と招待制の試合を分けて考える部分はありますか どちらもちゃんとした試合ですね。ただインビテーションとJPSAやWSLの違いはプライオリティがないことです。プライオリティがない中でもフェスの要素もあるからガツガツしづらいところはあります。でも、勝ち上がるにつれて、最初はみんなワイワイしていたのに、勝ちたい欲が出て、そこで改めてコンペテターなんだなって感じました。プライオリティーが無いので、奥取り合戦のような感じになり、昔の試合をやってるみたいな感覚になります。ただ、インビテーションの試合なのでやっぱそこまでガツガツ行きたくないなって思ったりと、そのバランスが難しいです。 様々な経験通じて新たに生まれた挑戦心 –今後試合以外で、チャレンジしてみたいことはありますか 実はずっと思っていて一度も言ったことがなかったんですけど、自分主催の試合をやりたいんですよ。私は試合が大好きで。試合に出たことがない女の子や、上手くても試合にあまり興味がない女の子って居ると思うんですけど、そういう人たちにも出てもらえるような楽しいイベントの要素も含まれた試合を行いたいです。そして、そこで女の子の友達が出来たり、年に1回でも開催出来たら、「なっちゃんのイベントで会おう!」みたいな、繋がりが出来るきっかけになる試合ができたらいいなと思っています。今もリトリートは年に1回やっているんですけど、前回のリトリートに来てくれた子が今回のリトリートにも5人来てくれたんです。みんなが「また、なっちゃんのリトリートで会えた!」って私をきっかけに友達ができて、サーフィンの仲間が増えていくようなコミュニティが出来たらすごくいいなと感じています。私がサーフィンを始めた子供の頃は女の子が居なかったのでずっと女の子の友達が欲しいなって思っていた時期があったんです。年齢も経験も重ねた今、自分で楽しめる試合をいつか作りたいなって思っています。そして自分が試合を行いたいと思うもう1つの理由は、女子の賞金がすごく低いので国内で1番賞金が高い試合を行いたいという気持ちです。日本のプロの試合に10年以上回っていて、男女の賞金について納得いかないところがあります。10年以上やってるのに賞金に関しては女子は全然上がらず、男子の方が上がってる率が高い。このことは、あんまり知られていなくて「女子ってそんなに賞金低かったの?!」と驚かれることもあります。大会の設営にはお金をかけているのに、選手への還元が少ないことや、女子のエントリー費の割に賞金が低いなど、不満な部分もあるので、それなら自分にも出来ることがあるのではないかなと思っています。そして、女子の賞金の現状を沢山の人に知ってもらうきっかけにも繋がると思うので、「日本で1番高い賞金の試合を開催」することで、興味を持ってくれる人が増えて、S.LEAGUEも盛り上がっていくきっかけにもなるかもしれないですし、サーフィン業界自体を盛り上げるという意味でも、話題作りとして開催できたらと思っています。オリンピックでショートボードが種目になったことで、ロングボードの価値が下がってしまったように感じることが多くなりました。なので、ロングボードの魅力を沢山の人に伝えていきたいなっていう思いが根底にあります。 毎日のルーティン変化がより良い試合結果に繋がり始める –普段はどのような生活リズムで過ごしていますか 朝は早く起きて、毎日2ラウンドか3ラウンド海に入るようにしています。アラームをかけないで朝起きて、22時には寝るような生活をずっと続けています。デュアルキャリアを辞めて時間ができてからは、トレーニングの量を増やし、食事管理を徹底して行っています。試合の前に準備期間を設けられるようになったので、心に余裕ができたことも試合に勝てるようになった1つの理由なのかなと自分で思っています。今までは目の前のことに必死で、仕事が終わったら明日から始まる試合の準備を行ったり、常に自分の目の前には色々とやることが多すぎて1週間先のことを考える余裕さえ無かったのですが、今はちゃんと自分でスケジュールを決めて過ごすことが出来ているので、すごく良いライフスタイルを送ることが出来ています。 –トレーニングや食事管理はトレーナーをつけているのですか トレーニングはピラティスをしに東京へ通っているのと、ヨガはほぼ毎日行っています。あとはサーフィンをすることが1番のトレーニングだと思っているので、毎日同じ海で、波のコンディション関係なく入っています。サーフボードを試したり、フィンを変えたり今まで手が回っていなかった部分を調整しながら練習をしています。サーフボードは去年初めて自分のシグネチャーモデルを出させてもらい、それをメインとし、微調整を行っている形です。シェイパーさんとも親身に話しが出来ているので、自分に1番合ってるサーフボードを作れてることも、試合に勝てるようになった理由の1つかなと思ってます。 Photo:@ryohei.taoka 昨シーズンを振り返ってみて Photo:WSLⒸ/cait miers –昨シーズンWLTの第1戦Bioglan Bells Beach Longboard Classicで2位と自身最高位になりましたが改めて振り返ってみていかがですか Photo:WSLⒸ/cait miers ずっと目標にしていたファイナルに到達することができたことは本当に嬉しかったです。試合は2日間の中でヒートをこなさなくてはならないハードなスケジュールだったので、勝ちあがって、1時間後に次のヒートが始まったり、1つひとつのヒートに必死で、集中していたこともあり、気づいたらファイナルで一瞬で終わってしまった印象でした。第1戦目のオーストラリアベルズは誰よりも早く行って準備しました。今までは他の外国人選手と一緒に試合を転戦していたので、試合の1週間前に会場に向かい、レンタカーを借りて、宿に泊まってみんなで一緒に過ごしていました。でも去年の自分は、勝つ!という想いが例年以上に強かったんです。今までは会社に務めていて時間が無いことを言い訳している弱い自分がいたんですけど、もう会社も辞めて言い訳できることが何もなかったことが、より”勝ちたい”という気持ちを強くしてくれたんだと思います。それもあって、今回は2週間前に現地に入って日本の波と全然違うベルズの波を攻略しようと、毎日2、3ラウンドサーフィンをしていました。全部のタイド(潮の満ち引きなど)でサーフィンをして、「このタイドの時はここで待つ。」など、徹底してノートに書いていてインプットさせたことが、自分にとって本当に良かったなと感じています。実際、試合の時に「このタイドでこの風だから、ここで待とう。」と自信を持って試合に臨めたことが今回初めてファイナル進出することができ、自己最高位の2位に繋がったのかなと思っています。次の第2戦のハンティントンでも現地で沢山練習をして、オーストラリアと同じように臨むことができ、3位になることができました。今まではクォーターファイナルでずっと負けてたので、その壁を越えることができたのは、自分に自信をつけるために早く現地入りして、その波に慣れることが自分にとってフィットしたのかなと思ってます。 –第3戦Abu Dhabi Longboard Classicは今までと違ってウェーブプールでの試合だったので練習も限られていたと思いますが、メンタルで意識した部分はありますか 一昨年の冬にメンタルを鍛えるセミナーをスポンサーの人に紹介してもらって受けたんです。目標設定を行ったり、自分の強み弱みと向き合ったり、自分自身を振り返る時間は今まで無かったので、私にとってとても良いメンタルトレーニングの機会になりました。今まで1番で勝ち上がると自信がついて、勢いに乗れるんですけど、2位を挟んでしまうと自分の中で切り替えができず負けることが多かったのですが、メンタルトレーニングを受けてから切り替え方が以前より出来るようになった気がしています。今回、初めて自分について振り返る時間の中で自信のつけ方を学ぶことが出来て強みになった感じがしています。 –日本人で初めて上位8人しか出場できないSurf City El Salvadorにも出場しましたがいかがでしたか ファイナルシリーズに出場することが1つの目標でもあったので嬉しかったです。ファイナルシリーズに出れた時点で「この試合で優勝したらチャンピオンなんだ!」と思うと、ワクワクして「絶対なるぞ!」っていう意気込みで望みました。結果的には5位と自己ベストですが、今年は初戦から成績が良かったので、このままいけるかもしれないと思っていたので、悔しい気持ちが残りました。昨シーズンは本当に越えられない壁をいくつも越えることができ、自信に繋がりました。ファイナルシリーズは本当に勝ちたかったけど、いつもと違う独特な緊張感とプレッシャーに負けてしまい「ここで歩けば。」というところで足が出なかったりして、後悔が残る試合となりましたが、オフシーズンに全て改善して来期に挑みたいと思います。周りも実力はありますが、波のリズムを合わせることができれば誰でも勝つチャンスがあると思っています。今では自分の中で納得のいくライディングに9点(10点満点中)がついたり、世界の舞台でもハイスコアを出すことが出来るようになりました。試合では今までやってきたことを、試合の中で出せるかが勝負だなと思っています。今は自分の100%の力を出し切る練習をしているので、既に来年が楽しみです。 今だ課題となる賞金問題 –以前から課題としている賞金について、改めて現状はどのような状況ですか S.LEAGUEになって、全戦女子の優勝賞金が15万円に上がりました。ただ、エントリー費と登録費があるので、プロのツアーを回っていても厳しい状況です。そうなると試合に出る選手も少なくなると思います。プロロングボーダーは他の仕事をしながら競技に出ています。賞金の低さはあまり知られていないのですが、プロとしてやって行くんだったら大切な部分だと思います。男子と同じ努力をして、同じ交通費をかけて試合へ行っているのに、男女の賞金の差が開いてしまっているんです。海外の女性サーファーはSNSなどで発信したり、運動をしていたりするアスリートもいます。日本でも発信していかないとずっと変わらないし、誰かが何かアクションを起こさないと変わらないなと思っているので。私もより良い方向に向かうように、発信していきたいです。 Photo:@ryohei.taoka –賞金以外で何か変わったら良いなと思うことはありますか そうですね。海外の試合は観客も沢山居て盛り上がっています。海入る前に全然知らない人から「頑張れ!」とか、現地に住む日本人の方が「サーフィン見たことないけど、日本人が出てるって聞いて来ました!」って応援に来てくれたりして、選手も気持ちよく試合ができてます。一般の人を巻き込むことで、サーフィンの魅力を知ってもらい、選手1人ひとりを見てもらえるチャンスにも繋がると思うので、野球やサッカーのように見てくれる人が増えていくことも大切だなって思います。 2025年目指すのはただ1つ photo:@ryohei.taoka –ロングボードの魅力はどこにありますか ロングボードの魅力は、海の上でダンスをしているイメージなんです。手の動きなど細部まで意識して私は魅せるサーフィンを目指しています。そして、これはサーフィン全部に言えることですが、ゴールがないことがすごく面白いとなと感じています。1番スピードに乗ってるポケットでノーズをした時の浮遊感、ロングボードの良いところは、ノーズ、ハング5、ハング10した時に目の前にボードが見えないことです。波の上を自分が乗ってるみたいな独特の浮遊感とスピード感を味わうために練習をしています。技が決まっても、次はさっきより1秒長くやってみようとか、常に目の前に新しい課題が出来るのです。波も毎回違うので、今日はこれを練習してみよう、と構成から自分で考えられることがサーフィンの魅力で、面白いところだなって思います。 –今シーズンの目標を教えてください 世界一です。昨シーズンは手の届く場所にあるっていうのを実感できたので、ここからは相手ではなく自分との勝負だなと思っています。自分ができることを100%練習して、それを試合で100%出せるようにしたいです。そのためにも、体作りもしっかり行って挑みたいです。 田岡なつみプロフィール 1994 年生まれ。小学 6 年時に本格的にサーフィンを始めて、高校 2 年生で JPSA(日本プロサーフィン連盟)ロングボード部門プロ資格を獲得する。2017 年3月に桜美林大学卒業後、株式会社マイナビに新卒入社し5年間勤務。2017 年には JPSA ショートボード部門プロ資格を獲得。2024 年 ISA 世界戦3位。2024 年 WSL 世界ランキング5位。現在は世界一を目指しサーフィンの活動に専念し、海外の試合を中心に参戦している。 MAHOROBA 日本は小さな島国でありながら、未だかつてない魅力が隠されています。パンデミックの影響で自由な移動が制限される中、私たちは生まれ育った地の素晴らしさを再認識しています。この作品は、日々チャレンジに立ち向かう世界チャンピオンを目指すサーファー、田岡なつみと、冒険心溢れるフォトグラファー、ナチョスの2人の旅を追ったものです。彼女らが共鳴し、波に寄り添う旅に出る中で、どんな思いを抱き、どんな発見が待ち受けているのでしょうか。このプロジェクトには、二人だけのクルーが参加しました。舞台は未開拓の日本の北の大地に設定され、そこで繰り広げられる彼女らの冒険が、観る者の心を魅了することでしょう。
-
climb【ボルダージャパンカップ2025】女子は野中生萌、男子は安楽宙斗が優勝!2025.02.022025年2⽉1⽇(⼟)〜 2⽉2⽇(⽇)、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場にてボルダージャパンカップ2025(BJC2025)が開催され、女子は野中生萌が6年ぶり2度目の優勝、男子は安楽宙斗が初優勝を果たした。 今大会は、初めて新ルールが適用された大会となった。より観客にも伝わりやすいようにポイント制で点数を可視化し、またゾーンの点数配分が多くなったことにより完登数だけでなく様々な課題を満遍なくこなすことも重要となった。 男子準決勝 安楽宙斗選手 男子準決勝では99.9点を獲得した安楽宙斗が首位で決勝進出。安楽は安定感のあるクライミングで4つの課題すべてを完登。続く2位は99.8点獲得の山口賢人、3位は99.6点の杉本侑翼となった。上位3名はいずれも準決勝の課題を全て完登し僅か0.3点差の接戦となった。 予選18位通過の佐野大輝は3つの課題を完登し4位で決勝に進出。また、すでにW杯ボルダー日本代表に内定している楢崎智亜は69.5点で5位通過。 女子準決勝 松藤藍夢選手 女子準決勝の首位通過は1課題目以外を完登し84.8点を獲得した松藤藍夢となった。続く2位は84.6点獲得の伊藤ふたば、3位は84.4点の森秋彩、4位は74.7点の野中生萌となり、いずれも3完登で決勝に進出。準決勝では特に後半の2つの課題を登り切れるかどうかが順位に大きく影響する展開となった。 女子決勝 野中⽣萌選手 女子決勝では東京オリンピック王者の野中⽣萌が今大会6年ぶり、2度目の優勝を収めた。野中は全4つのうち3つの課題を完登し、84.8点を獲得。2位は84.6を獲得した関川愛⾳、3位は84.5点を獲得した前回王者の中村真緒となった。 女子決勝では各課題を完登する選手が多く、いかにトライを少なくしてポイントを獲得できるかが勝負のカギとなった。優勝した野中は最終課題以外の3つの課題をすべて完登し、うち2つは最初のトライで完登。84.8点を獲得し、2位と僅か0.2点差で優勝を収めた。 関川愛⾳選手 2位の関川は自身のストロングポイントを生かした登りを見せ、3つの完登で84.6点を獲得。3位の中村真緒も第4課題ではゾーンを獲得し、その他の課題はすべて完登。安定感のある登りを見せた。 中村真緒選手 男子決勝 安楽宙斗選手 男子決勝では、課題の難易度が高くなかなか完登が出ない展開となった。自身のストロングポイントで完登しきる力と、苦手分野でもゾーンまでは獲得できるような対応力が求められた。 そんな中、安楽宙斗は3つの課題を一撃で完登し84点を獲得。最終課題にて、完登しなければ優勝できないという状況だったが見事最初のトライで完登し初優勝。安楽は男子最年少優勝記録(18歳2ヶ月19日)を更新した。 藤脇祐二選手 2位の藤脇祐二はすべての課題でポイントを獲得し安定したクライミングで69.1点を獲得。3位の杉本怜は、今回が最後のボルダージャパンカップと表明していた。気持ちのこもったクライミングに会場は大いに盛り上がった。杉本は2回の完登で59.9点を獲得した。 杉本怜選手 野中⽣萌コメント 野中⽣萌選手 「まず優勝できてすごい嬉しいです。大会を通して予選からいくつか修正点はありましたが、それを最終ラウンドまでに修正して臨めたのが良かったと思います。今年は引き続きやってきたことを継続していくことと、今回完登しきれなかった最終課題のように、時間内に決めきるという部分を修正していきたいと思います。また今シーズンは世界選手権もあるのでそれに向けてもしっかり調子を上げていけるようにしたいです。」 安楽宙斗コメント 安楽宙斗選手 「この8人の中で1位になることに対して、今まで決め切れない場面が多かったので優勝出来てすごく嬉しいです。シーズンオフに取り組んできたメンタル面や思考能力、一度落ちた時の落ち着きなどを色々探ってきて、それが決勝でほぼ出来ていたので何度も一撃で登り切ることができたと思います。今年はメンタル面含めてリードもスタイルを少し変えて強化していますし、全部のジャンルでクライミングが強い選手になりたいです。」 開催概要 名称:ボルダージャパンカップ 2025(BJC2025)主催:公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)後援:スポーツ庁/公益財団法人日本スポーツ協会/公益財団法人日本オリンピック委員会/一般財団法人上月財団主管:公益社団法人東京都山岳連盟企画・運営:BJC2025 実行委員会協賛:三井不動産株式会社/住友商事株式会社/DMG 森精機株式会社/オリエンタルバイオ株式会社/牛乳石鹼共進社株式会社/日新火災海上保険株式会社/東商アソシエート株式会社/⻄尾レントオール株式会社オフィシャルマーケティングパートナー:株式会社博報堂DY メディアパートナーズ期日:2025年2月1日(土)-2月2日(日)会場:駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(東京都世田谷区駒沢公園1-1)
-
dance【EP.2】金メダル獲得だけではない。BREAKING TEAM JAPANが残した功績。 〜 選手からみるBREAKING JAPAN 〜2025.02.01FINEPLAYが全日本ダンススポーツ連盟(以下:JDSF)に独占取材を行い、パリオリンピック2024を振り返る企画の第二弾として、今回は“選手からみるBREAKING JAPAN”についてBEAKING日本代表として出場をしたAYUMI、AMI、Shigekix、HIRO10の4選手に話を訊いた。未知なる領域である五輪競技において、BREAKING JAPANはどのようにして闘ってきたのか。その強さを支えたチーム力に迫る。 選手が感じるBEAKING JAPANについて AYUMI「日本のチームはみんな仲が良かったですね。その点が凄く救われました。五輪関係なく、これまでずっと同じシーンにいたメンバーだし、その延長線上にRoad to Parisがあったという事が大きな理由だと思います。シゲちゃんなんて9歳位から知っているわけですし、他の選手やスタッフたちも、付き合いが長いです。パリ五輪に向けた練習も、私たちがやりたいようにできる環境を整えてくれて、食事面も専任のスタッフさんがいてくださって、とても頼りになりました。私たちの環境面を常に完璧にしてくれようと努力していただいているなと感じました。スタッフも選手もみんな「One Teamで頑張ろう!」という雰囲気があり、お互いに信用しているからこそ、選手は自分に集中することができたんだなと感じます。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 AYUMI「例えば、アドバイスも私たちの性格やスタイルを理解した上で、必要な言葉をかけてくれるんです。「この技を出しているときは負け率が高いから、次は違う技を出してみると良いかも。」など分析も的確です。そのアドバイスが必要な人もいれば、プレッシャーになる人もいるわけで。そういう選手のタイミングも含めて、スタッフ陣は常にケアをしてくれました。体のメンテナンスについても、普段お世話になっている先生に加えて、連盟として付いてくださっている先生にも違う視点でアドバイスをいただき、それも勉強になりました。おかげでパリ五輪は最高のコンディションで挑むことができました。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 AMI「BREAKING JAPANは仲良かったですね。選手たちも含めて。なので、私は凄く行動がしやすかったです。みんな協調性があったのも良かったですね。自分のペースを保ちつつも、集団行動ができるメンバーだったのが居心地良かったです。コーチとギスギスすることも無いというか(笑)。パリでの合宿については、タイミングも私にはちょうど良かったです。場所も最高でした!程よく市街地から離れているのも良かったし、その場にいる人たちもみんな良い人だった。合宿所もAJINOMOTOさんが食事提供をしてくれていましたし、練習スペースも大部屋と小部屋があって、一人で練習したい時に籠ることができるので良かったです。日本にいるんじゃないかと錯覚するくらい、安心感がある中で練習をすることができました。こういった施設ひとつとっても、常に選手のことを考えて選んでくれているんだなと感じました。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 AMI「BREAKING JAPANのみんなは、選手それぞれにアドバイスをしてくれることも助かりました。私は結構緩いので、その感じを知ってくれて言葉をかけてくれます。シゲちゃんは逆に、戦略を練っていたと思うんですよね。それに対して的確にアドバイスをしていたという印象です。それと、自分がケガをした時のストレスも軽減しました。今までだったら、ケガをしてどうしようという不安な気持ちになりましたが、専門の方がいてくれるおかげで、どうしたら良いか聞けば大丈夫という感じで不安になることは無くなりました。また、国内だけじゃなく、国際的にもKATSUさんが連盟と連携をとってくれていたおかげで、情報が降りてくるスピードも他国に比べて早かったと思いますし、それも良かったです。五輪に向けて、事前に韓国やアメリカと対抗戦を行ったことも良い経験になり、良いコンディションで挑むことができました。変にプレッシャーをかけられることも無く(笑)、本当に良いチームに恵まれたなと思います。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 Shigekix「情報戦略的なアドバイスをもらったり、良い環境を与えてもらいました。音楽もKENTARAWさんにみてもらい、かなり役に立ちました。そうした中での、合宿中の実践練習はとても意味がありました。DJやMCを本番環境さながらに立て、ステージサイズも一緒で、実際の尺数でラウンドを回す練習をしたんです。それを行うことで、心身ともにみんな追い込まれて、センシティブになっていた時期もあったと感じましたけどね(笑)。ラウンド数も勝てば勝つほど当然増えるわけで、延長戦があると自分のルーティンや技を出すタイミングなども変わってくるので結構心身ともにすり減ったりします。僕からするとそれも含めて本人の力量なんですが、センシティブな時って、ほっといて欲しいというわけでもないんですよね(笑)。だからと言って、抽象的なことばかり言葉をかけてもらうときは、具体的な言葉も欲しくなるし、具体的な言葉をもらうと、もう少し気を遣ってもらいたかったなと思う時もあるしで、結局無いものねだりなんです。だから接し方が難しくなるんですよね。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 Shigekix「そんな時でも、BERAKING JAPANの皆さんは、本当に選手に対してケースバイケースで接してくれた印象です。欲しい時に欲しい言葉をくれて、そうじゃない時はそっとしておいてくれるというか。情報提供もしっかりとしてくれました。コーチからの指導はとても有り難かったです。五輪に繋がる全日本選手権や国際試合は同じ審査基準で評価を受けるので、その分、情報収集に繋がり、様々な相手と戦う中で“いつもここを落としてる”逆に“獲ってる”という意味でスコアを照合して教えてくれたので、自分のストロングポイントとウィークネスポイントを見直すきっかけにもなりました。パリで行った直前合宿では日本にいる時と変わらない生活環境を整えていただけたので、メンタル面も安定していましたし、ベストコンディションで本番も闘うことができました。帯同してくれた仲間たちの存在も心強かったです。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 HIRO10「パリでの合宿や五輪本番の選手村での生活は、特にストレスなく過ごすことができました。特に合宿所はパリ郊外にあって、広い庭があり洗濯したり瞑想したり良い時間を過ごすことができる場所でした。食事面では、日本の選手村ではAJINOMOTOさんがフード提供をしてくれていたので、炊き立てのご飯や豚汁、ふりかけや納豆などの日本食を食べることができて助かりました。日本食が大事なので。生野菜やフルーツを食べたい時だけ、主催側が用意してくれている大きなダイニングに行って補いました。ダイニングだけの食生活だったら、同じようなパフォーマンスは出なかったと思いますね。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 HIRO10「メンタル面については特にKATSUさんがサポートをしてくれました。朝、太陽の下で瞑想したり。日本の神社に行って昇り龍の置物を買ってくれたんですが、それをパリの部屋に飾ってました。そのほかにも、サポート面ではスポンサーのありがたさというか、五輪がなかったら付いてくれることもなかったと思うので、その点もBREAKINGが五輪競技になって良かった点だなと思いますし、連盟側のサポートがあってのことだと感じています。」 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 連盟の役割とは この4選手を例に挙げても、経験値や能力、個性が様々であり、世界の猛者を相手に何試合も重ねて勝ち上がっていく1on1スタイルはメンタル面の管理も非常に重要である。ある意味、表現スポーツと捉えることもできるダンスだが、対峙するのは常に目の前の相手であり自分でもある。そして、他の表現スポーツと比べ勝負結果が出るのが早い。 カルチャーシーンのバトルは必ずしもメダルを獲ることが全てではない。誰に勝つのか、誰に評価をされるのかも重要である一方で、メダルを獲る戦略に徹する必要があるのが五輪大会なのだと改めて感じた。そして、裏で支えるスタッフ陣は、選手たちが納得できるベストコンディションで挑める環境作りが最大のミッションとも言える。フィジカル面とメンタル面、どちらのサポートも問われる中、これまでのシーンで培ってきたカルチャーが基盤となり、活かされたことによって、必然的にこの役割分担やOne Teamが生まれたのではと感じた。まさにHIPHOPの4要素を体現していたチームだったように思う。 Ⓒ公益社団法⼈⽇本ダンススポーツ連盟 普段から、相手のことを考え、リスペクトをしあうこの文化が、チームビルディングにも大きな役割を果たしたのではないだろうか。大概のことは、初めてのことはうまくいかないことも多い。特にこの大舞台で、選手の力を最大限に引き出し、本人たちが納得のいくように全力を出し切る闘いをさせてあげるという一点に向かってOne Teamとして動けたことは、外側に居る私たちから見ても伝わるものがあった。 さいごに パリでの生活において、選手それぞれが「ノンストレス」だったと言っていた。メディアの報道では選手村の食事や宿泊環境の劣悪さなど、それによって眠れずパフォーマンスが出せないと嘆く選手も散見されてたので、環境面のサポートも非常に気になるポイントだった。 BREAKING JAPANは、国内外のBREAKINGシーンから絶大なる信頼と実績を誇るBBOY・BGIRLのメンバーを中心に組織が形成され、プレイヤー視点のサポートはもちろんのこと、マーケティング戦略やフィジカルサポートもそれぞれのプロフェッショナルたちが行っている。また、その様子を記録することにも重きを置き、常に海外にも撮影班が帯同をし分析面においても大きな役割を果たした。こうしたメンバーたちが、日本代表選手やその候補選手たちの強さを後押ししている。 選手に必要な食事や物品などのサポート面においても、パートナー各社から手厚い支援を受けることができており、一つひとつの物理的なサポートの積み重ねも、選手において最大限のパフォーマンスを発揮することに効いてくる。さらには、選手自身のブランド価値を上げることにも大きく影響し、マーケットが未熟なシーンにおいて、それらを組織としてサポートすることが非常に重要であり、忘れてはいけない側面のひとつである。約8年前、これらの活動を彼らは手探りで始め、並ならぬ努力の上にパリ五輪の結果が結びついたのだと感じた。それはあくまでも「普段通り」に。 ◼︎JDSFブレイキン部 パートナー各社・BAYFM78・KOSÉ・東急不動産ホールディングス・G-SHOCK・みずほ銀行・VISA・NIKE・AIJINOMOTO・nishikawa・KA・RA・DA factory・RIMOWA スペシャルキャンペーン開催中! JDSF 第6回全日本ブレイキン選手権×FINEPLAYSNSコラボキャンペーン開催きたる2/15(土)16(日)に行われる「JDSF 第6回全日本ブレイキン選手権」ジュニア部門からオープン部門まで全国から強豪選手が登場!益々目が離せない日本の猛者たちを一度に観戦できる2日間通し招待券を5組10名様にプレゼント!【応募期間】2025年2月1日(土)〜2月10日(月)詳しくは、FINEPLAYのInstagramをチェック!この機会に、世界最高水準のBBOY、BGIRLたちの闘いを体感してみては?
-
snow地球と自然に優しい選択を!「DLC ORIGINALS」が間伐材から作ったエコフレンドリーなスノーボードをリリース2025.01.21「自然を自らの手で守りたい」という思いから環境保全のため「自伐型林業」で持続可能な森づくりに取り組み、「表現者×自伐型林業」というライフスタイルで山を利活用しながら自然と共生した多様な生き方を体現している、スノーボーダーや様々なジャンルの表現者により構成された団体「DIVERSE LINES CLUB」。 DIVERSE LINES CLUBが自分たちの表現をシェアするためのツールとして展開しているブランド「DLC ORIGINALS」でこの度、同団体で間伐した長野県産カラマツ材をコアに使った自然に優しいスノーボード「-NAKAIMA-2025年モデル」を発売する。 このスノーボードはDIVERSE LINES CLUB(林業)×VOLTAGE(ハンドメイドボードメーカー)×MIYON(デザイナー)コラボモデルとして展開され、生粋のスノーボーダーでありながら多方面で活躍している三者が協力し、スノーボードを通じて自然や環境に良い循環を生み出すために製作された。 その製作の背景には彼らが長年このスノーボードシーンで活動してきた中で感じた自然への感謝とその恩返しという、自分たちがいつも使っているフィールドの未来を見据えてその環境でこれからも長く遊び続けられるように、そして次世代のためにも守り続けていくために、地球や環境に良い世界を作りたいという熱い思いがあった。 そして今回このスノーボード発売をきっかけに、製作・販売に込められている思いや、自然の中に生きる者たちとしてそれぞれの思いをシェアするイベント【NAKAIMA RIDE SESSION and 試乗会】を新潟県南魚沼市にて2月1日〜2日の2日間で開催!エコフレンドリーなスノーボードライフに興味がある方には是非参加してみて欲しいイベントになっている。詳細は記事下部に記載しているので要チェックだ。 製作者コメント DIVERSE LINES CLUB 代表:天野紗智 「私にとって、スノーボードは生活の一部であり、私という人間を形成するものの一部です。 そんなスノーボードとDLCの活動の自伐型林業が繋がり、【NAKAIMA】という新しい表現をすることができ、さらにこれからそのスノーボードに乗って表現を続けていけるなんて、林業をやっててよかったと心から思いました。 自伐型林業では環境に配慮した山林管理で、持続可能な森林づくりを実践していますが、活動や思いをシェアするために、これまでイベントをやったり、いろんな人に山林を見てもらったり、映像表現をしてきました。 そんな中で今回、Voltageの永井さんと、Miyonというかっこいい表現者たちと一緒に表現するこのプロジェクトは、これまで以上に多くの人に思いを届けられるはずだと信じています。 表現に対する思い、環境に対する思いに共感してもらい、たくさん協力してくれて、実現できたことに感謝です! 同じ想いを持った仲間と、プロダクトとして、スノーボードに思いを落とし込むことができとても嬉しいです。 このプロジェクトを通して、「かっこいいから」「自分好みの板をハンドメイドしたいから」という理由でスノーボードを選んだら、結果的に「環境に、地球に優しかった」というプロセスが生まれるといいなと思っています。 無理な選択をするのではなく、自分がイケてると思ったものが、たまたま環境に、地球に優しい選択だったら最高ですよね。 もちろんそれをきっかけに環境のこと、地球のことに興味を持つ人が増えればもっといいし、最終的に地球に優しい選択肢しかない、愛に溢れた世界になればいいなと願っています。 これからもスノーボードを通して、できることをやっていきながら、まだ見ぬ世界を探求していきたいです。 もちろん自分が思うかっこいいを突き詰めながら。」 VOLTAGE オーナー:永井 拓三 「ここ10年くらいで気候変動を感じるようになってきました。特に1日あたりで降る雪の量が少なくなり、雨から始まる雪が増えています。私は新潟大学の博士課程で雪の研究をしてきましたが、雨から始まる雪は雪崩を引き起こす要因でもあり、研究していた当時はこのタイプの降雪が13%程度だったのが今や7割くらいになっています。このような地球温暖化からスノーボードを製作する立場としても環境配慮の必要性を感じる一方で、大量生産・大量消費にも疑問を持つようになりました。 その中でスノーボードの芯材に間伐材を使えたら良いなと思って調べているとDIVERSE LINES CLUBに行きつきました。実際に現場を見せてもらい、どんな芯材が手に入るかを聞いてみると、信州はカラマツが手に入るということで地元の南魚沼には生えていない面白い素材だと感じたので譲ってもらいスノーボード を作りました。その製作の中で良い硬さや粘りのあるフレックスを再現できる材料だとわかり、それが間伐材として調達できるため、本来だったら使い道がなかったり別の用途として使われるものがスノーボードに変化していくのはとても面白いなと感じました。 そしてせっかくハンドメイドでスノーボードを作るならオリジナルな形で設計しようということで、元々VOLTAGEにはないラインナップのDLCオリジナルを今回作りました。このプロジェクトを通して伝えたいのは、自分たちのスノーボードをカスタマイズできる時代になってきているということ、そして本来使われることのない環境に優しい間伐材を芯材に使えるということ、またその木をスノーボーダーが伐採しているということ、さらにそのボードのグラフィックにアートを施しているということです。 このようなものづくりを通して、スノーボーダーが一本の板を大事にしながら冬を過ごしていく数年間を感じてもらえたら、その人の冬がとても印象的なものになっていくと思いますし、それを実現できるタフで壊れない板を作ることを自分たちが大切にしているので、そういった環境に配慮した長持ちするスノーボードを今後も作っていきたいと思います。」 プロスノーボーダー兼デザイナー:MIYON 「さっちゃん(天野紗智)とはかなり前から、スノーボードのライダー仲間であり、UFOの話で盛り上がれる友人で。同じく一児のママでもある、そんな彼女が自伐型林業を始めて「すごくカッコいいな」と思って応援してました。 そんな中で今回のプロジェクトではデザイン面をお願いしてくれて、すごく嬉しかったです。彼女の想いと世界観を落とし込むために2人でたくさん話し合って、約1年かけてこのデザインが完成しました! 宇宙や循環、自然に対するリスペクトと、今この瞬間を味わい生きる「中今」をテーマに、縄文時代のテイストを織り交ぜて描きました。 とても難しく、楽しかったです。 このプロジェクトがたくさんのひとの目に留まり、地球のことや自分自身のことを考えるきっかけになれば、嬉しいなぁと思います。」 オリジナルスノーボード「-NAKAIMA-2025年モデル」とは 「“Cycle of Nature”、“Cycle of Life”、“Cycle of Love”」そんな循環を創りたいと追求していく中で、DLC ORIGINALSの表現のひとつとしてスノーボードが生まれました。 コアは持続可能な森づくりを実践するDIVERSE LINES CLUBによって間伐された長野県産カラマツ材。その木材を成形するのはハンドメイドのスノーボードを製作しているVOLTAGE。そして最後そのスノーボードにデザイナーとして命を吹き込むのはスノーボードの日本女子ストリート界を牽引してきたプロスノーボーダーMIYON。 環境に優しく良い選択肢として、-NAKAIMA-に乗って、地球を、自然をいっしょに遊びつくしませんか? -NAKAIMA-製作ムービー View this post on Instagram A post shared by DLC🌼ORIGINALS (@_dlc_originals) 「-NAKAIMA-2025年モデル」製品紹介 【2025model】DLC ORIGINALS -NAKAIMA-"DIVERSE LINES CLUB × VOLTAGE × MIYON collaboration model" Forester/DIVERSE LINES CLUBCraftsman/VOLTAGEDesigner/MIYON Custom Hand Madeサイズ・スタンス幅 カスタム可能※ご注文後にカスタム内容のヒアリングをします。ご不明点等はお気軽にお問い合わせください。 〈DESIGN〉TWINTIP / CAMBER〈SPECIALTY〉オールラウンド〈FLEX〉MEDIUM〈CORE〉長野県産カラマツ材〈COLOR〉Yang(陽) もしくは Ying(陰) 〈DESIGN〉パウダースノーボード / CAMBER〈SPECIALTY〉オールマウンテン〈FLEX〉MEDIUM〈CORE〉長野県産カラマツ材〈COLOR〉Yang(陽) もしくは Ying(陰) NAKAIMA RIDE SESSION and 試乗会 2024年2月1日〜2日の2日間にて開催する、南魚沼を中心にバックカントリーツアーを主宰する日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドによる案内の下で行われるライダーたちとのスノーボードセッション。南魚沼の大自然の中で味わうバックカントリースノーボードを体験しながら-NAKAIMA-に試乗することができます。またスノーボードの製作工房「板蔵」の見学会や交流会の場を通じて、みなさんに製作・販売に込められたそれぞれの思いをシェアします。 〈参加ライダー〉AMANO SACHI/天野紗智(DIVERSE LINES CLUB 代表)MIYON(プロスノーボーダー兼デザイナー) 〈BCガイド・板蔵オーナー〉NAGAI TAKUMI/永井 拓三(VOLTAGE オーナー) 〈開催地〉新潟県南魚沼市(ムイカスノーリゾート予定) 〈参加費〉【2/1-2/2 両日参加】45,000円(税込)内容:試乗、BCガイド代、BCギアレンタル、リフト代、保険代、1泊2食、板蔵見学、交流会【2/1のみ 日帰り参加】20,000円(税込)内容:試乗、BCガイド代、BCギアレンタル、リフト代、保険代【2/2のみ 日帰り参加】20,000円(税込)内容:試乗、BCガイド代、BCギアレンタル、リフト代、保険代 〈申込方法〉記事最下部のリンクより申し込みください。申込締切:2025年1月26日(日)
-
others『KUMAMOTO URBAN SPORTS FES 2025』開催決定!2025.01.20熊本がアーバンスポーツで燃え上がる2日間! 国内トップレベルの選手やパフォーマーを招聘し、生のパフォーマンスに触れるとともに各競技を無料で体験できる体験会も開催。 スペシャルゲストには吉沢恋選手(スケートボード)、中村輪夢選手(BMX)、九州男児新鮮組(ブレイキン)、FLY DIGGERZ(ダブルダッチ)、TAISHI(パルクール)と超豪華な面々が並ぶ。 また、スケートボード ストリートの大会『くまモンカップ』も同時開催! Lowクラス、Womensクラス、Openクラスの3カテゴリーに加え、誰もが参加可能な「自分越え」に挑戦する『くまモンチャレンジ』も実施する。 そしてWomensクラスとOpenクラスでは、招待選手としてパリオリンピック金メダリストの吉沢恋選手や地元熊本の期待の新星、松本雪聖選手が準々決勝から登場!世界トップクラスの選手と一緒に戦えるチャンスも! 大会を盛り上げるMCには寺井裕次郎氏、ジャッジも清水潤氏、池田幸太氏、瀬尻稜氏とこちらにもスケートボード界のレジェンドが集結。是非この機会をお見逃しなく!! コンテンツ KUMAMON CUP また、両日イベント内で開催予定の「くまモンカップ」では、Lowクラスは全員が滑走を終えた後、オールランキング方式で順位を決定。 女子クラスとオープンクラスはランによる予選、準々決勝はオールランキングを用いて実施、準々決勝からは日本が誇る世界トップレベルのライダーが登場する。 一緒に世界のトップ選手と戦える貴重なチャンスとなっている。準決勝からは1対1のバトルフォーマットという独自のルールで競技が進行する。 エントリーはこちらから>> ※スケートボードはくまモンカップ&くまモンチャレンジ開催の特設スケートボードパークとスケートボード体験会コーナー以外でのスケートボードの滑走は一切禁止となります。会場周辺の駅から会場までの間もスケートボードに乗っての来場はお控えください。 GUEST【RIDERS-MC-JUDGE】 吉沢恋 RIDER 吉沢恋 パリオリンピック金メダリスト。その後も世界最高峰の各大会で上位入賞、その実力は止まることを知らない。 松本雪聖 RIDER 松本雪聖日本強化指定選手A。2028年のロサンゼルスオリンピック出場を目標に、更なる飛躍を目指す。熊本出身。 上村葵 RIDER 上村葵小学5年生で全日本アマチュアスケートボード選手権で2位に入り、2023年からはWSJ日本強化指定選手に選ばれ、国際大会にも出場をしている。2023年に開催された「UPRISING TOKYO」では初の世界女王に輝いた。 濱村大征 RIDER 濱村大征持ち前の体幹と非常に高い回しスキルを組み合わせた高難易度のレールトリックを得意とする日本でも屈指の次世代ライダー。 寺井裕次郎 MC 寺井裕次郎 ACT SB STOREのオーナーを務める側、吉沢恋選手を幼少期から指導。解説やMCとしても活動中。 瀬尻稜 JUDGE 瀬尻稜 17歳で日本人初の世界チャンピオンに輝き、その後も長きにわたり日本を世界に押し上げたパイオニア。 清水潤 JUDGE 清水潤 日本強化指定選手選考会審査員のトップとして尽力、自身もキャリアを継続するレジェンドスケートボーダー。 池田幸太 JUDGE 池田幸太 若くして世界からも認められている実力者。日本代表選手を決めるジャッジを務める等、多岐に渡り活躍中。 URBAN SPORTS SKATEBOARDING SKATEBOARDING初心者の方も挑戦できる「くまモンチャレンジ」や3つのクラスで「くまもんカップ」を開催。世界レベルの選手を生で見れる貴重な機会を是非体感してください。実際にスケートボードに乗れる「体験会」も無料で開催こちらも是非。 BREAKING BREAKINGブレイクダンスとも呼ばれ、 パリオリンピックで採用されたブレイキン。体験会では、簡単なフットワークやフリーズなど初めて挑戦する方でも楽しめる技をレクチャー予定!九州男児新鮮組が来場!※23日のみ開催 DOUBLE DUTCH DOUBLE DUTCH2本のロープを使い、ロープ の中でジャンプをしながらダンスやアクロバットをするスポーツ。ジャンプができれば誰でも簡単にできるので、体験会に参加して様々な跳び方にチャレンジしてみよう!FLYDIGGERZが来場! PARKOUR PARKOURフランス軍発祥のトレーニ ングカルチャーのパルクー ル。「走る」「跳ねる」「乗り越える」「掴まる」「バランスを取る」5大基礎能力を目覚めさせる様々なミッションに挑戦しよう!23日はシニアパルクールも開催! PARUONI PARUONI『鬼ごっこ』x『パルクール』究極の鬼ごっこスポーツが、菊陽町に上陸!安全で運動機能を向上させるキッズ用障害物が置かれたエリアの中で行う、1対1の「20秒間鬼ごっこ」。みんなでパルオニを楽しもう! SPECIAL TALKSHOW SPECIAL TALKSHOW22日にはパリオリンピックスケートボード女子ストリートの金メダリスト吉沢恋選手が、23日には日本選手権 6連覇中、世界大会でも活躍するBMXの中村輪夢選手が登場!貴重な機会を是非お見逃しなく!※体験会は当日受付となります。 SPECIAL GUEST 吉沢恋 吉沢恋 【SKATEBOARDING】パリオリンピック金メダリスト。22日トークショー、23日出場! 中村輪夢 中村輪夢 【BMX FREESTYLE】パリオリンピック5位入賞。23日登場! 九州男児新鮮組 九州男児新鮮組 【BREAKING】数々のタイトルを総なめ。23日登場! FLY DIGGERZ FLY DIGGERZ 【DOUBLE DUTCH】国際大会2連覇。両日登場! TAISHI TAISHI 【PARKOUR】世界大会入賞。両日登場! INFORMATION ■日時:2025年2月22日(土)、23日(日)10時~17時■場所:菊陽町総合体育館熊本県菊池郡菊陽町原水5352番地3 ■主催:くまもっと旅スポコミッション(熊本県)■協力:菊陽町■問合せ先:KUMAMOTOURBANSPORTSFES事務局 お電話 / 096-361-3226