予測不能な激戦を制したのは!? 学生日本一決定戦 「Double Dutch Delight Japan 2022」Report

2022.10.14
text by 山本 大方 / 写真提供: JJRU

2022年 10月8日(土)、ダブルダッチの学生日本一決定戦であり、国際大会の選考会である『Double Dutch Delight Japan 2022』が、大阪府・東大阪市文化創造館で開催された。

Double Dutch Delight (ダブルダッチデライト) は毎年開催される、ダブルダッチの学生大会。
上位チームは12月にアメリカ・ニューヨークで開催される国際大会『National Double Dutch League Holiday Classic』(以下、NDDL)に進出する権利が与えられる。

大学生のOPEN部門、小学生から中学1年生までのNOVICE部門、中学2年生から高校生までのADVANCED部門、社会人混合の一般部門の4つに分かれる。
(※一般部門は国際大会選考非対象だが、DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2023の出場招待権が与えられる)

 

注目ポイント

例年大盛況となるOPEN部門は、今大会の最注目部門。
東西南北の地区予選を勝ち抜いた12チームと、当日決まる“敗者復活チーム”の合計13チームが、このJapan大会に進出。地区予選を勝ち抜いた猛者達による激戦が繰り広げられる。

前年度 OPEN部門の優勝チームの出身地区で開催されることが慣例となっており、2021の立命館大学 Fusion of Gumbit「Alfred」の優勝にともない、7年ぶりにWest地区で開催された。

どのチームがトロフィーを掲げるのか、そしてこのJapan大会が来年はどの地区で開催されるのか…?
多くの愛好家が固唾を呑んで見守る、戦いの火蓋が切られた。

 

一般部門

最初に行われた一般部門。
各地区から前線を走るプレイヤーが出場し大いに盛り上がった今回、優勝に輝いたのはEast地区の「GENKAI GUMBALL」(ゲンカイ ガンボール)。

GENKAI GUMBALL / 写真提供: JJRU

スピーディーに息つく間もなく展開されたショーには、緩急のある様々なジャンプが凝縮。ダブルダッチのバリエーションの広さを、たった2分という短さを感じさせず限界まで詰め込んだ彼らが、見事に優勝を掴み取った。

 

NOVICE部門

続くNOVICE部門、優勝はWest地区・DDFAM 所属「トンデミーヤ」

トンデミーヤ / 写真提供: JJRU

大人顔負けのパフォーマーとして洗練された振る舞いの中に、かえって年齢を感じさせるような彼らの無邪気な個性が炸裂! レゲエとダブルダッチを融合させた世界観でオーディエンスを唸らせた彼ら。
チーム名通り、見たものを世界観に誘ったトンデミーヤがNDDLへの切符を手にした。

 

ADVANCED部門

ADVANCED部門の優勝に輝いたのは、West地区・MIYAKO JUMP ROPE CLUB 所属「JAMBUDDY」(ジャムバディー)。

JAMBUDDY / 写真提供: JJRU

今回から新メンバーを迎えたという、新生・JAMBUDDY。
これまで惜しくもNDDLまで手の届かなかった彼らだったが、雪辱を果たすように見事優勝!
類まれなる身体能力の高さを活かした彼ら。「まだカマすのか?!」と思わず天を仰いでしまうようなパワフルな技の応酬で念願を叶えた。

 

OPEN部門

そして最注目となるOPEN部門。ミスもあり勝敗の行方が分からないなか、その結果は審査員に委ねられることに——。

見事激戦を潜り抜け3位に躍り出たのは、West地区・京都産業大学 ダッチゃの4年生チーム「八咫烏」(やたがらす)。

八咫烏 / 写真提供: JJRU

地区予選 1位通過の意地と誇りを懸けてステージに立った彼ら。
日本神話において、神武天皇を関西の地に導いた神“ヤタガラス”よろしく、どこか神々しい雰囲気をまといながら、高い技術力で3位に輝いた。
NDDLでは昨年に続き、関西の地に優勝を導けるか。

 

続く2位はEast地区・東京大学 D-actの2年生チーム「Bølge」(ボルグ)。

Bølge / 写真提供: JJRU

彼らのダブルダッチを形容するなら“ロープが生きている”!
無機物のロープは彼らにかかれば生き物のように躍動し、その領域を華麗に跳ぶ6人。圧倒的な発想力と見せ方の巧さで、2年生ながらに入賞を果たした。

 

そして栄えある1位に輝いたのは、East地区・日本体育大学 乱縄の4年生チーム「Synappse」(シナップス)。

Synappse / 写真提供: JJRU

「パフォーマー」とは、彼らのためにある言葉だろう。
ディスコ系の曲調で統一されたパフォーマンスに、目を惹くヴィヴィッドな衣装。さながらバブル期のディスコにタイムトリップしたような感覚に陥りながらも、古さを感じさせることのない新鮮なショーを披露。

ショーマンシップに満ち溢れ、指先にまで神経を通わせた彼らのパフォーマンスは、雰囲気に劣らない高い技術と奇想天外な発想力で、その瞬間に観客の心を掴み、最後の1秒まで離さず最高潮にもっていく。

近年目立つ“ディスコ系”のダブルダッチにおける最高傑作の1つを生みだしたSynappseが、学生日本一の称号を鮮やかに獲得し、再びJapan大会をEast地区へ呼び戻した!

優勝に輝いたSynappse / 写真提供: JJRU

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が未だ残る状況だが、今大会では対策を講じ、節度を保ちながらの“歓声あり”で敢行された。その歓声に乗せて響いたのは、ステージに立つ選手たちへの思い。

「頑張れ!」「通せー!」「絶対大丈夫だよ!!」——普段耳にする何気ない言葉が力強い後押しに変わり、会場中にこだまする。

1人ではプレー出来ないダブルダッチ。その競技に携わる愛好家たちの空間は、未曾有の厄災にも負けずに紡いできた、これまでの日々に報いるような感動があった。
全ての選手と関係者に、あの空間を共にした方々へ心からの敬意と感謝を。感動をありがとう。

なお、全パフォーマンスは後日YouTubeチャンネル「DOUBLE DUTCH TV」に掲載される予定ということで、公開を心待ちにしたい。

 

OPEN部門優勝「Synappse」に独占インタビュー!!

優勝直後の「Synappse」にインタビュー!
彼らが口にした言葉は、これまでの悔しさを晴らした喜びと、同期に対する思い、そして周りに対する感謝だった。

左からツバサ・ミヅキ・カズマ・シルバーナ・ヒマリ / Photo by YAMADAI

―まずは優勝おめでとうございます! 今の率直な気持ちを。

ツバサ
本番で出しきれなかった部分があったことは悔しいですが、「日本一」という結果はとても嬉しいです。チームメイトが居たからこそ成し遂げられたことなので、仲間に感謝しています。

ヒマリ
同期たちが次々と結果を残していくなか、私たちは今までずっと悔しい思いを味わってきたので、最後の最後にこの結果を獲得できて本当に嬉しいです。
チームメイトや先輩後輩、周りの人たちに感謝でいっぱいです。

シルバーナ
私は元々別のチームだったのですが解散してしまい、続けることすらかなわないかもしれない、何なら辞めてしまおうかなとも考えていたなかで、Synappseの4人が受け入れてくれました。
受け入れてダブルダッチを続けさせてくれた仲間を筆頭に、支えて頂いた方々に感謝しています。

ミヅキ
ミスもあったので、見せ切れなかったことへの悔しさはありますが、しかし率直に嬉しい気持ちが勝っています。
私は小学生時代からの経験者として、学生の4年間でSynappseを勝つチームにすることが役目だと思っていて、それに対するプレッシャーもありましたし、責任感もありました。

でも、それぞれが考えてチームをより良くするためにしてきた努力のお陰で今の結果があると思うので、この5人でステージに立てたこと、優勝という結果を手に出来たことが嬉しいです。

カズマ
地区予選を優勝した時も感じたのですが、“このチームだから”勝てたのだと振り返って思います。
他のチームを詳しく知っているわけではありませんが、僕らはとっても仲が良くて、練習の雰囲気もよかった。逆に言えば今まで悔しい思いを味わい続けてきた僕らが、自信を持てたのがそこだけで(笑)。

「良いパフォーマンス」ということには自信がありましたが、それが「勝てる自信」に繋がったのはチーム力だと思います。覇気を含め、そのチーム力が出せたことが審査員の方々にも伝わったと感じました。
だから勝てたのかな。とても嬉しいです。

 

―Synappseのみんなは、どんな思いでJapanのステージに立ったのでしょうか。

カズマ
とにかくまず、後輩たちにJapanのステージに立った僕らを見てもらいたかった。
“俺たちの背中は大きいぞ”とか、“乱縄に入ったことは間違ってなかったんだぞ”ということを示したかった。
あとは応援してくださる先輩や家族、関わってくれた人たちに感謝を伝えたかった。その思いに尽きます。

 

―不安などは無かった?

ミヅキ
私は不安はなくて「勝てる!」としか思っていませんでした。
もちろん、練習で上手くいかなくなったことへの不安もありましたし、“沼”にハマったりしたこともありましたが、それを1回ずつ確実に乗り越えてきたことで、本番に対する不安もありませんでした。
ただ、完璧なパフォーマンスを見せられなかったことへの悔しさもあるので、ラスト1回、NDDLまでに完璧に仕上げなければと思っています。

カズマ
いつも通りに過ごさないと緊張してしまうので、きのう宿で乾杯をしたんです。
「会場を一番楽しませるぞ」「俺たちはパフォーマーだ!」「絶対優勝するぞ!」って乾杯したんですけど(笑)。
自分たちが会場を楽しませる。そのために僕たちが一番楽しもう! と思って臨んで、最っ高に楽しませて頂きました。
その楽しんでいた姿を、思いを伝えたかった人たちに見てもらえていたら嬉しいです。

Synappse / 写真提供: JJRU

―NDDL行きが決まって、色々な人の思いを背負ってアポロシアターのステージに立つことになります。最後に、これからのみんなの意気込みを教えてください。

ツバサ
地区予選・Japan大会、そしてNDDLで優勝する“3冠”を果たしたのがほとんど乱縄の先輩なので、その先輩方と肩を並べられるように。そしてNDDLでは、最高に笑って終れるように。
完璧なパフォーマンスを披露するために頑張りたいと思います。後輩たちに「乱縄って強いんだよ」というところを見せたいです。

ヒマリ
乱縄の同期チームである煌華をはじめ、色々な人たちの気持ちを背負わなければという使命感を感じています。
私たちが出来ることは、NDDLではノーミスの演技を披露して勝つこと。頑張ります!

シルバーナ
特に私たちの代は他サークルが強いと言われていて、“常勝”と言われてきた乱縄も弱くなったねと何度も言われてきました。期待すらされて来なかった悔しさや悲しさを直に経験してきました。
だから、これを機にまた乱縄に注目が集まってくれたら嬉しいです。だからこそ3冠は達成したいと思っています。

ミヅキ
シルバーナも話してくれましたが、“私たちって期待されていないんだろうな…”ということは感じていました。直接言われて悔しい思いもしてきたし、でも勝てていなかったから言い返す言葉もなかった。

でも、そんな中でも応援してくださる方々が多かったことを感じていますし、応援して下さった方々があっての結果です。
感謝の気持ちは、次のNDDL優勝を達成して伝えられたらと思っています。

カズマ
振り返ってみると、同期の存在が大きかったですね。
同じ部活である煌華の存在や、今回出場していたram-tam tamMIGHTY90LEVERYなど、挙げたらキリがありません。

仲間でありライバルとして切磋琢磨してきた存在で、「どこに負けたくないか?」と聞かれたら、真っ先に出てくるのはやっぱり同期のチームなんですよね。
自分たちが強くなれたのは、煌華を筆頭に同期の存在だったなと思います。
彼らへの感謝と思いも背負って、4年生の代表としてNDDLの優勝を取っていきたい。
そして3冠を達成して、“ナンバーワン”のパフォーマーになってみせます!

Synappse / 写真提供: JJRU

大会結果

OPEN部門
1位 Synappse(日本体育大学 乱縄)
2位 Bølge(東京大学 D-act)
3位 八咫烏(京都産業大学 ダッチゃ)

NOVICE部門
1位 トンデミーヤ(DDFAM)

ADVANCED部門
1位 JAMBUDDY(MIYAKO JUMP ROPE CLUB)

一般部門
1位 GENKAI GUMBALL

 

大会概要

「Double Dutch Delight Japan 2022」
日時: 2022年 10月8日(土)
会場: 大阪府・東大阪市文化創造館
主催: 一般財団法人 日本ジャンプロープ連合(JJRU)
協賛: カシオ計算機 株式会社(G-SHOCK)
主管: 日本学生ダブルダッチ連盟(JSDDL)/ OVER THUMPZ

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