山口県宇部市でアーバンスポーツを全身で楽しんだこの夏一番熱い1日「UBE URBAN SPORTS FES 2024」イベントレポート

2024.09.30
text by Daiki Hatakeyama/photograph by Jason Halayko

2024年9月29日(日)に山口県宇部市の常盤通り(国道190号)特設会場にて「UBE URBAN SPORTS FES 2024」が開催された。全長約600mに渡るこの大通りをアーバンスポーツを中心とした様々なコンテンツでジャック。宇部市の中心地がアーバンスポーツの熱気に包まれた。

「UBE URBAN SPORTS FES」は、宇部市の中心市街地である常盤通り(国道190号)のウォーカブル化に合わせて開催し、都市の風景を舞台にアーバンスポーツの魅力を身近に感じて楽しんでもらうことを目的にしており、市民や観戦者にとって新しい休日の楽しみ方や交流の機会を提供し都市の魅力を高めることを目的としたイベントである。

昨年に開催された第1回目も大盛況で幕を閉じた本イベントだが、今回も雲ひとつない晴天に恵まれ夏を感じさせる暑さの中でプログラムは進行された。また特別ゲストとして参加したオリンピック選手であるShigekix(ブレイキン男子日本代表)・中山楓奈(スケートボード・ストリート女子日本代表)の2名が本イベントに花を添え、トップアスリートたちによるトークセッションやデモンストレーション、そして体験会など来場者が全身でアーバンスポーツを楽しめる1日となった。

以下は大盛況により幕を閉じた「UBE URBAN SPORTS FES 2024」当日の様子だ。

オープニングセレモニー

山口県恒例行事である餅まき

本イベントの開催に先立ちMCの山田としあきさんの呼び込みの元、宇部市の篠﨑圭二市長の挨拶、そしてイベントをデモンストレーションや体験会で盛り上げるゲストや選手たちが紹介されてメインステージへ登壇すると、山口県で恒例行事である餅まきが行われ、会場は大盛り上がりの中でイベントがスタートした。

SPECIAL TALK SHOW:中山楓奈

中山楓奈のトークショー

スペシャルゲストとして今回参加した東京オリンピック銅メダリストの中山楓奈によるトークショーでは、スケートボードを始めたきっかけから東京オリンピックを経て迎えたパリオリンピック出場に至るまでのストーリーはもちろんのこと、スケートボード以外で好きなことや大学生として学業との両立など、普段ではあまり聞くことができない等身大の中山楓奈について来場者からの質問を交えながら聞くことができた。

中山楓奈のトークショー

その中で中山が声を大にして伝えたのは「自分がやっていることに対して好きでいること」で「好きであればスポーツも勉学も頑張れるし、好きという思いがあったからここまで来れた。」と話した。その言葉には話を聞いていた子どもたちだけではなく親御さんまで心を打たれている様子だった。

最後にはジャンケン大会が行われ、優勝者には直筆サイン入りのスケートボードデッキが手渡されるなど豪華なプレゼントもある有意義なトークセッションとなった。

SPECIAL TALK SHOW:Shigekix

Shigekixのワンルーティンの披露

同じくスペシャルゲストとして会場を盛り上げたのは、ここ最近テレビで見ない日はないくらい引っ張りだこであるパリオリンピック日本代表のBBOY Shigekix。登場早々サプライズで音楽に合わせたワンルーティンを披露し、会場を歓声の渦を巻き起こしてから始めたトークショーではパリオリンピックでの裏側や最近の活動に迫りながら、彼の思うブレイキンの魅力について聞くと、

「一番の魅力はブレイキンの持つ”自由さ”です。今日僕の披露したムーブも今までのブレイキン人生を通して培ってきたオリジナルのものですし、そこにこのステージに立って感じたことをアドリブでムーブとして加えさせてもらいました。オリンピックでもみんな踊り方のスタイルが違うというのは見て分かったと思いますが、他のスポーツ以上に自由に自分の表現をしながら競いあったり、自分を成長させていける自由さがブレイキンの魅力です。」と語った。

Shigekixのトークショー

また質問コーナーでは子どもたちや大人からも様々な質問が飛び出し、時折話しながらムーブを披露したり、逆に来場者に対して質問を投げかけるなどインタラクティブなコミュニケーションが取られて来場者もみんな満足そうな様子だった。また最後にはジャンケン大会が行われ、優勝者には直筆サイン入りのTシャツが贈られた。

スケートボード

中山楓奈のライディングデモ
池田幸太のライディングデモ

パリオリンピックでも日本から金メダリストが誕生したことで東京オリンピックに引き続き盛り上がりを見せたスケートボード。各4回の体験会の前にはデモンストレーションとしてプロスケートボーダーの中山楓奈池田幸太の2名と地元から3名のスタイリッシュなスケーターが集まりライディングを披露。そんなトップスケーターの滑りを一目見ようと体験会参加者以外の観戦者も多く、彼らが決めるトリックに大きな歓声を上げて大会さながらの盛り上がりを見せていた。

スケートボード体験の様子

また体験会にも子どもたちを中心に多くの参加者が集まり、実際にボードに乗って体験した。中には初めてのスケートボードにおそるおそるライディングに挑戦する参加者もいたが、池田幸太をはじめとする講師陣が手取り足取りサポートするなど安全にスケートボードにトライしていた。

ブレイキン

九州男児新鮮組によるショーケース

そして今回のスペシャルゲストであるパリオリンピック日本代表Shigekixの来場やトップダンスチーム「九州男児新鮮組」によるショーケースパフォーマンスもあり、会場内で一際大きな盛り上がりを見せたのはブレイキン。会場のメインステージでは「九州男児新鮮組」による2回のパフォーマンスも披露され小学生から大人までそれぞれ違ったスタイルを持つBBOYたちが音楽に合わせて繰り出す豪快なムーブの数々に観戦者は目を奪われた。

ブレイキン体験の様子

また2回に分けて開催された体験会にも多くの来場者が訪れると簡単なフットワークやフリーズなどをレクチャー。名前と動き方を順番に分かりやすく教われることから初めてブレイキンを体験する参加者でも楽しく学ぶことができ、最後には少し学んだことをおさらいするようにムーブを披露するなどブレイキンの世界に入り込んで体験した。

ダブルダッチ

NEWTRADのパフォーマンス

本イベント開催直後のプログラムとして多くの来場者たちの目を引いたのは確実にプロダブルダッチチーム「NEWTRAD」によるパフォーマンスだろう。パフォーマンスではまるでロープの中で行われているとは思えないほどハイレベルで流れるようなダンスやアクロバットが披露され会場を沸かした。

ダブルダッチ体験の様子

中盤ではステージに観戦者を数名招いてダブルダッチにチャレンジする時間を設けられ、体験した人たちは初めてのダブルダッチにもかかわらず多くの人前で披露するということに困惑と緊張の面持ちでトライしながらも上手くいった時に見せた笑顔が印象的だった。

ダブルダッチ体験の様子

またその影響もあってか計2回開催された体験会では多くの子どもたちが集まり、列をなしながらも順番にダブルダッチにチャレンジ。NEWTRADによる見事なロープ回しも相まって、参加者も気楽にロープの中に飛び込んではロープの回転に合わせてジャンプしながらオリジナルなムーブも見せたりとダブルダッチャーとしての一歩目を踏み出す機会になった。

パルクール

パルクール体験の様子

パルクールでは「走る」「跳ねる」「乗り越える」「掴まる」「バランスを取る」という5大基礎能力を伸ばし、イメージした通りに動ける機能的な身体作りを目指すアクティビティということもあって、柔軟性と俊敏性を高い子どもたちにとっては楽しい体験会のひとつであったことは見て取れた。その中でも細い一本橋を反対に進んだり、用意された障害物を飛び越えていく時にはパルクールの技術であるヴォルトなどを交えながら楽しくトライ。

JUNによるデモンストレーション

途中では講師のJUNによる障害物を使った豪快なパフォーマンスも披露され、そのムーブに感化された子どもたちの好奇心を底上げ。中にはハイレベルな動きで障害物を超える子どもたちもおり、まさにバランス感覚や身体能力を目覚めさせる体験会になったことだろう。

パルオニ

パルオニの様子

『鬼ごっこ』×『パルクール』の究極の鬼ごっこスポーツであるこのコンテンツは今回の中では体験会というよりどちらかというと『あそび』としての競い合い。パルクール体験会でも使用した障害物が置かれた指定エリアの中で1対1の「20秒間鬼ごっこ」が繰り広げられ、その組み合わせは親子や兄弟、小学生の友達同士など様々。

どっちが早く捕まえられるかを競うため、自分が早く捕まえられてしまうと、もっと早く捕まえないといけない展開になるハラハラドキドキの手に汗握る戦いだ。そんな場面も多く見られて悔しがる方と喜ぶ方の感情の差も見どころで、そんな環境の中で楽しみながら気づけばパルクールを体験でき、かつ良い運動にもなっているパルオニは終始大盛況だった。

3×3 バスケットボール

バスケットボールクリニックの様子

昨年に引き続きキッズ向けの3×3バスケットボールトーナメントも開催された本イベント。午前中のバスケットボールクリニックを最初のプログラムとして終えると、バスケットボールトーナメントでは未来のスター選手たちになりうるキッズボーラーたちによる熾烈な戦いが繰り広げられた。

スリストム広島とじげんアップデーターズのエキシビジョンマッチ

最終プログラムとして開催されたエキシビジョンマッチではプロチーム「スリストム広島」と「じげんアップデーターズ」のプロ同士によるハイレベルなマッチアップも行われ、見事なボール回しで翻弄し合いツーポイントシュートを量産。特に周りを柵で囲っているわけでもないので、子どもから大人までプロの迫力あるプレイを至近距離で観戦しながら、3×3バスケットボールの奥深さを体感できる贅沢な時間となった。

ピックルボール

プロピックルボールプレーヤーの吉田善選手

近年、アメリカを中心に多くの国々でプレイヤーが増えており人気のあるスポーツとして注目されているのがこのピックルボール。このスポーツの発祥となるアメリカでは300万人近くの人々にプレーされており、日本国内でも全国で体験会が行われている。

誰でも楽しめるピックルボール

そんなスポーツが今回このイベントにやってきて、午前中に行われたエキシビジョンマッチではプロピックルボールプレーヤーの吉田善選手らによる白熱したラリーが繰り広げられ会場を盛り上げる。

体験会では対象年齢が3歳以上と幅広く設定されていることや、比較的難易度が低く身体能力をあまり必要としない為、他の競技に比べて幅広い年代の方に楽しまれる様子が見られ、友達や家族連れなど参加者同士で対決して楽しむ様子が印象的でまさにインクルージブなスポーツと言われる所以がうかがえた。

ストリートサッカー・フットサル

ストリートサッカー体験の様子

ストリートサッカーは8角形のコートで1対1形式で3分間のゴールの点数を競う種目。フィジカルコンタクト禁止や股抜きをしたらその時点で勝利という一般的なサッカーとは違った特別なルールも存在しているところが魅力だ。体験会では円形のサークルで親子や友人同士でこのルールに乗っ取った対決を楽しんだ。やはりサッカーは学校でも人気なスポーツということもあり、子どもたちはどこか手慣れた様子でストリートサッカーを体験していた。

ミネルバ宇部の選手達が参加者にレクチャーする様子

また地元宇部市にて活動する女子フットサルチーム「ミネルバ宇部」の選手達がストリートサッカー対決を見せて会場を盛り上げ、マーカーを使ったフットサルのドリブル、トレーニングを参加者にレクチャーする様子も見られた。

地元山口を拠点に活動するダンサーたちによるショーケース

長州南蛮連のよさこいのパフォーマンス

お昼の時間帯には「一般社団法人山口県ストリートカルチャー協会」「長州南蛮連」「クランクダンススタジオ」の3団体から各団体を代表するキッズから大人まで数多くのダンサーたちがこの日のために用意してきたパフォーマンスを披露。ブレイキンをはじめ、よさこいやヒップホップなど幅広いジャンルのダンスを通して会場を盛り上げた。

フードフェス

お客さんで賑わったフードフェス

イベント開始後からお昼時をピークに常に大勢のお客さんで賑わっていたのがこのフードフェスで出店されたブースの数々だ。当日は天気も良く暑いくらいの陽気だったこともあり、体験会を終えた子ども連れの家族や隣のエアー遊具等で遊んでお腹を空かした子どもたちが美味しいフードに舌鼓を打ち、キンキンに冷えたドリンクで喉を潤した。

各飲食店のブースは長蛇の列が

また27の飲食店が出店したこともあり、山口県や九州料理などのご当地グルメはもちろんのこと、親子で楽しめるご飯から韓国料理やピザなど海外気分を味わえる食事、お酒に合う食事やスイーツなど幅広いカテゴリーの食事が楽しめる、誰もが満足できるフードブースになっていた。
さらにフードやドリンクを片手にその足でアーバンスポーツの体験会やパフォーマンスの観戦を楽しむ様子も見られるなど来場者は五感でイベントを楽しんだ。

エンディングセレモニー

今後についてもイベント開催意思を見せた篠﨑圭二市長

様々なコンテンツが目白押しだった本イベントはあっという間に時間が過ぎ去るほど、アーバンスポーツの熱に包まれたままエンディングを迎えると、オープニングと同様にMCの山田としあきさんの呼び込みの元、ゲストや選手たちの紹介されてメインステージへ再度登壇。また最後には宇部市の篠﨑圭二市長による挨拶の中で来年での本イベント開催意思も聞かれ、惜しまれつつも既に来年への期待感が高まる中で再度餅まきを行い、会場は最後まで大盛り上がりの中でイベントが締め括られた。

最後に

今回が二度目の開催となった「UBE URBAN SPORTS FES 2024」は前回以上の熱狂を生み出しなんと記録した来場者数は約8,000名。今回はShigekix中山楓奈というオリンピックという世界最高峰の舞台で活躍しているトップアスリートを迎えたこともあり、各競技の体験会とパフォーマンスも何倍もパワーアップして帰ってきたと感じられた。

たくさんの来場者が集まった今回の「UBE URBAN SPORTS FES 2024」

またイベント後にShigekix中山が口を揃えて話していたのが「こんなにもアーバンスポーツが皆さんにとって身近で注目されていて、今回より知ってもらえるきっかけになって嬉しい」ということだった。
実際、その言葉を証明するように本イベントには子ども連れの家族、学生たちも多く見られ、イベント開催の本来の目的でもあるアーバンスポーツを通じた「中心市街の活性化」「若者世代の獲得」に向けてさらにそのムーブメントを飛躍したイベントとなった。

様々な課題を抱える地方都市が「アーバンスポーツ」の力で活性化を図る。その活動の代表として歩みを進めている宇部市の今後の更なる発展に期待していきながら、来年はさらにパワーアップした「UBE URBAN SPORTS FES」が開催されることを既に楽しみに待ちたいと思う。

イベント概要

イベント名:UBE URBAN SPORTS FES 2024
開催期間
:2024年9月29日(日)
会場:宇部市中心市街地エリア内特設会場
入場料:無料
主催:宇部市
企画・運営:株式会社GATHER 
公認:WSL/ASIA(APAC) 
メディアパートナー:FINEPLAY 
問い合わせ先:宇部市観光スポーツ文化部スポーツ振興課
Email:info@ubeusfes.jp

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