最終予選にふさわしい白熱した予選〜準決勝を勝ち抜いた「オリンピック予選シリーズ 上海大会」の日本人決勝進出者を紹介

2024.05.19
Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC
Handout image supplied by OIS/IOC. Olympic Information Services OIS./ photograph by haru_graphics

2024年5月16日(木)~5月19日(日)の4日間にわたり、中華人民共和国・上海にて開催中の「スケートボード」、「スポーツクライミング」、「BMXフリースタイル」、「ブレイキン」4競技のパリ2024オリンピック最終予選大会「オリンピック予選シリーズ (OQS)」の第1戦だが、ブレイキンを除く各競技の決勝進出者が確定した。

これまで約2年間の中で行われてきたオリンピック予選大会。その中でも出場枠獲得のために極めて重要な2戦となるのが本シリーズ。競技によってはこの2大会だけで今までの予選大会の成績を覆し、パリオリンピック代表に返り咲くチャンスが十二分にあることから、各国の代表候補選手にとって外せない大会であり、プレッシャーもある中、並々ならぬ思いで挑んでいる様子がうかがえた予選~準決勝となった。

なおそんなプレッシャーもあってか、予選からオリンピック出場有力選手が惜しくも敗退するなど各競技にて波乱の展開となっている。本記事ではそんなハイレベルの戦いを勝ち抜き決勝へ進出した日本人選手たちの一覧と予選~準決勝のハイライトを紹介する。

各競技日本人決勝進出者

(*ブレイキンは19日のも予選あり)

スケートボード・ストリート

赤間凛音のライディング
Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

決勝進出者
・男子ストリート:根附海龍、小野寺吟雲、佐々木音憧
・女子ストリート:赤間凛音、中山楓奈、吉沢恋

大会ハイライト

男子は東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗が17位で予選敗退となる波乱の展開の中、準決勝も厳しい戦いとなった。ベストトリック4本目を失敗した時点で青木勇貴斗の準決勝敗退が決まった一方で、ベストトリックラスト1本を前に根附海龍が決勝進出ラインギリギリの8位、白井空良が13位という展開に。

プレッシャーと会場内の風の影響も相まってか白井がラストトリックを決めきれず決勝進出を逃し、根附もラストトリックを失敗してしまうもなんとか順位をキープして8位通過という形になった。

そしてそんな中で安定したスコアで決勝進出を果たしたのは小野寺吟雲佐々木音憧。この状況から日本人選手内での出場枠争いも決勝の結果次第でさらに激化することが想定される。

女子準決勝は、優勝候補の一角であった織田夢海が惜しくも予選敗退した中で迎えたが、最後までどうなるか分からないハイレベルな戦いに。

東京オリンピック金メダリスト西矢椛はランでミスが目立ち、スコアを伸ばせなかったことが敗因で、攻めのベストトリックでハイスコア叩き出すも、やはりランが足を引っ張り準決勝敗退という展開。同じく伊藤美優もベストトリックでは自分の納得いくトリックを決め切り笑顔を見せていたが全体のスコアで一歩足りず決勝進出とはならなかった。

その一方で周りの選手がミスを重ねる中、赤間凛音は終始冷静に高難度トリックを仕留めていき2位で決勝進出。続いて吉沢恋中山楓奈はランで安定した80ptをマークしたことでベストトリックで多少のミスはあったものしっかりスコアを積み上げ、笑顔で決勝へ駒を進めた。

スケートボード・パーク

長谷川瑞穂のライディング
photograph by haru_graphics

決勝進出者
・女子パーク:開心那、四十住さくら、長谷川瑞穂

大会ハイライト

女子準決勝は現在世界ランキング2位で現アジアチャンピオンの草木ひなのが、9位で通過ライン8位へ僅か及ばず準決勝敗退という展開となる中で、素晴らしいライディングを見せたのが準決勝1位通過を果たした日本人選手最年少の長谷川瑞穂。現時点では世界ランキング17位だが、今大会の結果によっては次回のブダペスト大会でも良い結果を続けて残せれば大逆転して代表枠を獲得する可能性もゼロでは無くなってきた。

そして安定したライディングを3本通してまとめた開心那が2位通過。ライディング的にも決勝で勝ちにいくトリック等を準備しているような様子が伺える。そして同じくこのままで終わるはずがないのが5位通過の四十住さくら。2本目と3本目ではミスがあり、どこかまだ本調子でなさそうな雰囲気もある彼女だが決勝では強さを見せてくれるだろう。

男子準決勝はトップ選手たちでもフルメイクするのに苦戦するほど攻めるライディングを必要とされる展開に。そんな中で永原悠路がフルメイクすれば決勝進出も叶うようなコースを大きく使ったハイスピードの滑りを見せるが惜しくも途中で失敗しスコアを伸ばせず望みをブダぺスト大会に繋げる形となった。

スポーツクライミング

野中生萌のパフォーマンス
Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

決勝進出者
・女子ボルダー&リード:野中生萌、伊藤ふたば

大会ハイライト

女子ボルダー&リード種目にて、女子は東京オリンピックにてスポーツクライミング複合競技で総合2位となった野中生萌が予選を1位通過、念願のオリンピック出場に燃える伊藤ふたばも4位通過と好調の滑り出しを果たす。

続く準決勝では野中が3位、伊藤が5位をマークしボルダーを得意とする日本人2名が決勝進出を果たした。一方の男子は楢崎智亜と安楽宙斗で日本の最大出場人数2枠を満たしているため、本シリーズには出場しない形に。
明日を決勝に控える伊藤、野中の今後の活躍に期待が高まる。

スピード種目にて男子は、予選にて大政涼が14位で予選を通過したものの、安川潤は29位で予選敗退。女子は林かりん24位、竹内亜衣26位、河上史佳28位、林奈津美29位となり、日本人女子は全員予選敗退。予選を勝ち進んだ大政涼も準々決勝でインドネシアのキロマル・カティビンに敗退した。

今大会は日本人選手の決勝進出が見られず厳しい結果となったが、ブダペスト大会での日本人の活躍、逆転劇に期待したい。

BMXフリースタイル

中村輪夢のライディング
Photo: OIS/Bob Martin. Handout image supplied by OIS/IOC

決勝進出者
・男子パーク:中村輪夢 (決勝9位)

大会ハイライト

男女共に各選手にとって難しい戦いが繰り広げられた本大会。予選では2本のランの平均点が最終スコアとして扱われる今までと違うフォーマットになったこともあり、上手くまとめきれなかった溝垣丈司内藤寧々が予選敗退となる中で、中村輪夢が決勝進出。

本日行われた決勝では1本目で中村は「720・ダブルバースピン」や「バックフリップ・ダブルバースピン」などを決めるも84.00ptとスコアを伸ばしきれない中、さらなるスコアアップを目指した2本目ではセカンドトリックである「360・トリプルバースピン」で失敗。惜しくも自分のベストパフォーマンスを出し切ることはできず決勝9位で大会を終えた。

ブレイキン

Bboy Hiro10のパフォーマンス
Photo: OIS/Jon Buckle. Handout image supplied by OIS/IOC

大会出場者
・Bboy:Issin (菱川一心)、Hiro10 (大能寛飛)
・Bgirl:Ayumi (福島あゆみ)、Ami (湯浅亜実)、Riko (津波古梨心)

大会ハイライト

ブレイキンは男女共にOQS上海の結果がパリオリンピック出場に大手をかけるだけあり、予選のラウンドロビーから各国の猛者が集った。総勢男女40名ずつの計80名が出場する中、日本人の出場選手は男子がHiro10、Issinの2名、女子はAyumi、Ami、Rikoの3名が出場した。

Bgirl Amiのパフォーマンス
photograph by haru_graphics

ラウンドロビー形式の予選は全員難なく突破し、続く1on1のバトル形式では、女子が初戦からAmiが勢いをつけFURIA(ESP)相手に2-0で快勝。続く2戦目に現れたAyumiは流れるように続く美しいムーヴを魅せKILLA KIM(UKR)を2-0で下した。間髪入れず3戦目にRikoが登場し日本のBGIRL勢の快進撃は止まらない。力強くキレのあるムーヴは対する韓国のSTARRY(KOR)のオリジナリティ溢れるムーヴに引けを取らず2-0で快勝した。日本女子勢は全3選手共に明日19日(日)に行われるベスト16に出場を決めた。

続いて男子は、1on1バトル形式の予選2戦目にHiro10が登場。回転数が多い見事な技とフリーズが会場を盛り上げ2-0快勝。残る後半戦にISSINが登場しSHEKU(GBR)と対戦。Issinは自身の得意技を温存し2-0で快勝。男子も出場全選手が明日の試合に駒を進めた。全戦を通じ日本勢のレベルの高さを体感することになり、いよいよ明日は世界王者が決まる。明日の試合は決勝戦まで益々目が離せない。

今後の大会スケジュール

現地時間 (日本時間は+1時間)
*なおBMXパーク、スポーツクライミング・スピード競技は18日に全プログラムが終了

スケートボード

-5月19日(日) 
11:00~ スケートボード女子パーク 決勝 (開心那、四十住さくら、長谷川瑞穂)
12:45~ スケートボード男子ストリート 決勝 (根附海龍、小野寺吟雲、佐々木音憧)
16:00~ スケートボード男子パーク 決勝 (日本人出場者無し)
17:30~ スケートボード女子ストリート 決勝 (赤間凛音、中山楓奈、吉沢恋)

スポーツクライミング

-5月19日(日) 
11:00~ スポーツクライミング男子ボルダー&リード ボルダー決勝 (日本人出場者無し)
13:05~ スポーツクライミング男子ボルダー&リード リード決勝 (日本人出場者無し)
16:25~ スポーツクライミング女子ボルダー&リード ボルダー決勝 (野中生萌、伊藤ふたば)
18:30~ スポーツクライミング女子ボルダー&リード リード決勝(野中生萌、伊藤ふたば)

ブレイキン

-5月19日(日) 
11:00~ ブレイキンBgirl ラウンドロビン (グループステージ)
14:45~ ブレイキンBboy ラウンドロビン (グループステージ)
18:30~ ブレイキンBgirl 準々決勝
19:00~ ブレイキンBboy 準々決勝
19:30~ ブレイキンBgirl 準決勝
19:45~ ブレイキンBboy 準決勝
20:00~ ブレイキンBgirl 決勝
20:10~ ブレイキンBboy 決勝

決勝戦はオリンピックチャンネルで視聴しよう

オリンピック予選シリーズ (OQS) 上海大会の戦いの模様はOlympics.comのオリンピックチャンネルで配信中。また随時最新情報も同ウェブサイトから取得可能。なおパリオリンピック公式アプリをダウンロードするとスマホやタブレットでライブ配信と大会速報にアクセスできるので是非チェックして欲しい。

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