日本人選手たちの壮絶な代表権争いの行方は。「オリンピック予選シリーズ(OQS)」ブダペスト大会 女子スケートボードパーク種目

2024.06.25
記事提供:CURRENT、Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

パリオリンピック予選大会最終シリーズとなる「オリンピック予選シリーズ(OQS)」の2戦目であるブダペスト大会のスケートボード・パーク種目が、ハンガリー・ブダペストにて開催され、競技最終日の6月23日(日)に女子決勝が行われた。

今大会はパリオリンピック予選大会の最終戦であり、全体の得点の3割以上のポイントが与えられることで、結果次第ではこの一大会でフェーズ1及び上海大会でのビハインドをひっくり返す逆転が可能になる大きなチャンスであり、現在オリンピック代表枠を獲得している選手たちにとってはミスが許されないシビアな戦いとなった。

そして日本からは、上海大会同様に東京オリンピック銀メダリストである開心那アジアチャンピオンの草木ひなの、そして東京オリンピック金メダリストである四十住さくらをはじめ、「X Games California 2023」の銀メダリストで「WST Dubai」で3位となった期待の新星長谷川瑞穂、そしてアジア大会5位の菅原芽依、国際大会での経験が豊富な中村貴咲の6名が出場した。

海外からは世界ランキングの上位勢が出場者として名を連ね、怪我から復帰した東京オリンピック銅メダリストスカイ・ブラウン (イギリス)や、上海大会で圧倒的な強さを見せたアリサ・テルー (オーストラリア)などパリオリンピックの本戦でもメダル争いに食い込む選手が決勝へ進出する一方で、前大会の決勝進出者たちや、現在オリンピック代表争いの渦中にいる四十住さくらも準決勝9位であと一歩決勝進出に届かないなど、オリンピック出場権争いを揺るがす波乱の展開に。

決勝進出者たち
Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

そんな本決勝は全43名の出場者の中、予選・準決勝を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストはルビー・リリー (アメリカ合衆国)ヘイリ・シルヴィオ (フィンランド)、草木ひなの、長谷川瑞穂、スカイ・ブラウン (イギリス)開心那ライカ・ベンチュラ (ブラジル)、 アリサ・テルー (オーストラリア)の順となった。

大会レポート

【ラン1本目】

おさらいするが、オリンピックルールにて決勝は45秒のラン3本目のうち1本のベストスコアが採用される一方で、一度トリックを失敗した時点でランを続行できなくなる。そのため1本目では後半でより攻めるライディングをするためにもある程度のスコアを残しておくことが定石。そんな中でまず80点台後半の高得点を残したのは草木ひなのだ。

草木ひなののライディング
Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

前回の上海大会で決勝進出を逃し悔しい思いをした草木はパリオリンピック出場枠を確保するために見事なライディングを見せる。「バックサイド360」をボックスジャンプでメイクしたことを皮切りにディープエンドでの「バックサイドスミスグラインド」や「バックサイド540」、最後には「バックサイドロックンロールスライド」をメイクしてパーフェクトランを終えると87.53ptをマークし、笑顔で2本目に繋げた。

そんな草木の後に滑走し、今大会の自身ベストスコアを残したのはブラジルのライカ・ベンチュラ。準決勝を2位で通過する見事なパフォーマンスを見せた彼女は、高いエアーで豪快な「フロントサイドノーズボーンミュートグラブ」をメイクすると、「キックフリップインディーグラブ」やボックスジャンプでの「バックサイド360」など高難度トリックを取り入れたスタイルのあるライディングで85.93ptをマークして幸先良いスタートを切った。この後のランではなかなかトリックを決めきれずスコアを伸ばせなかったが、パリオリンピック代表権を獲得する上では十分な成績だった。

【ラン2本目】

1本目では全体的にランを80点台にまとめてきた選手が多く、各々のベーススコアを確立した中で2本目では勝ちにいくために攻めのライディングをするも、やはりプレッシャーとトリックの難易度からミスをする選手が増えた1本となった。

スカイ・ブラウンのライディング
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多くの選手がミスするランを横目に、1本目の失敗を覆すべく2本目でしっかり決めきったのはスカイ・ブラウンだ。ラン1本目ではボックスジャンプでの「バックフリップ」でミスし得点を伸ばせないでいたが、2本目では同トリックを見事修正しただけではなく、「マドンナエアー」や「アーリーウープバックサイド360」などを決め切りフルメイクで終えるとベストスコアを86.02ptへ引き上げた。

アリサ・テルーのライディング
Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

そしてそんなスカイを超える勢いでベストスコアを伸ばしてきたのはアリサ・テルー。ラン1本目では細かなミスもあり82.60ptを残した彼女は、さらに1本目のトリックの完成度を上げたライディングを2本目で見せる。「バックサイド540」や「マックツイスト」など豪快な高難度トリックをクリーンに決めるのはもちろんのこと、「スイッチバックサイドメロングラブ」や「スイッチフロントサイドエアー」など女子選手ではあまり取り入れられていないスイッチトリックをメイク。そんな高度な技術が詰め込まれたランは93.38ptという今大会最高得点の評価を受け、暫定1位と優勝の大手をかけた。

【ラン3本目】

パリオリンピック行きの切符を決めるラスト1本はドラマチックな展開に。ベストラン採用のためここで決めれば十分巻き返すチャンスがある中、ほとんどの選手が自身のベストスコアを更新し、そのうち3名は90点台を叩き出す最後まで順位が分からない展開にもつれ込んだ。

まず今回このハイレベルな順位争いの中で、難しい戦いを強いられたのはアメリカのルビー・テルーとフィンランドのヘイリ・シルヴィオルビーは1本目で82.00ptと悪くないスコアを残したものその後はミスが続き得点を伸ばせず大会を終えた。またヘイリもスピード感のあるライディングにハイエアーを見せながら、コーナーでの「バックサイドフィーブルグラインド」や「バックサイド540」をメイクするもラストトリックは入れきれず3本目をベストスコアとするも82.68ptと伸び悩んだ。

一方でここから熱いスコアアップ合戦が始まるまずは草木がディープエンドでの「バックサイド540」「フロントサイドフィンガーフリップ・リーントゥテールノーズグラブ」そして最後の「バックサイドロックンロールスライド」をしっかりメイクするとスコアを89.60ptまで伸ばし暫定2位へ。

長谷川瑞穂のライディング
Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

そんな草木を超えた上でパリオリンピック出場権を獲得するにはここでどうしても2位までに入っておきたい長谷川瑞穂は3本目で今大会で一番のパフォーマンスを見せる。「バックサイド360」を皮切りに「キックフリップインディグラブ」「バックサイド540メロングラブ」「フロントサイドリーンエアー to ディザスター」などを決め切り強さを見せると91.58ptと草木を超えて暫定2位に返り咲く。このまま順位を守り切れるのか。

しかしそんなに甘くないのがオリンピック予選大会最終戦。長谷川アリサのスコアを超えて優勝の座を勝ち取るべくラストランに臨んだのはスカイ。まずスカイは3本目の最初のトランスファーに「キックフリップインディーグラブ」を取り入れてランをアップデートすると、その後も「アーリーウープバックサイド360」、「バックフリップ」などを2本目で取り入れたトリックの完成度をあげたランを見せ、91.93ptとスコアを伸ばして僅か長谷川のスコアを上回り暫定2位に。

開心那のライディング
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そして同じくさらなるスコアアップを目指してラストランに挑んだは、「キックフリップインディーグラブ」やディープエンドでの「バックサイドノーズグラインド」、「フロントサイドスミスストール」など得意のグラインド系を中心に次々トリックをメイクするとこれもまたスカイに僅か届かない91.83ptをマークして暫定3位に。

この後に出走したライカもアリサもさらにスコアアップはしなかったことから、表彰台はアリサ、スカイ、開の順となった。上海大会同様に今大会でも優勝したアリサの強さを感じる一方で、ラストランは失敗したものの2本目を上回るような勢いのランを見せていたことから、彼女の底知れぬ力を感じた。きっとパリオリンピック本戦でも金メダル争いを見せる中心人物になることは間違いないだろう。

大会結果

Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC

優勝 アリサ・テルー (オーストラリア) / 93.38pt
2位 スカイ・ ブラウン (イギリス) / 91.93pt
3位 開 心那 (日本) / 91.83pt
4位 長谷川 瑞穂 (日本) 91.58pt
5位 草木 ひなの (日本) / 89.60pt
6位 ライカ・ベンチュラ (ブラジル) / 85.93pt
7位 ヘイリ・シルヴィオ (フィンランド) / 82.68pt
8位 ルビー・リリー (アメリカ合衆国) / 82.00pt

最後に

今大会でオリンピック予選大会が全て終了し、パリオリンピックへ出場する全22名が出揃った。まず日本人選手からは開心那、草木ひなの、四十住さくらのパリオリンピック出場が決まった。

一方で今回惜しくも一歩届かず出場枠を逃したが今大会で大健闘を見せた長谷川瑞穂にも拍手を送りたい。まだまだ弱冠13歳と今回の代表権争いでも最年少だった彼女。次のロスオリンピックでは日本を率いる選手になる可能性を見せるランだった。

そして海外選手においても、上海大会とブダペスト大会の決勝メンバーを中心に代表権を獲得している。その中にはメダル争いにおいて日本人選手たちの最大のライバルとなりうるアリサ・テルースカイ・ ブラウン、そして怪我の影響からあまり目立った成績を残せていないナイア・ラソ(スペイン)もしっかり出場権を獲得している。

長かった2年間のオリンピック予選大会が終わり、出場選手たちを含め全てが整った中でいよいよ約1ヶ月後に迎えるパリオリンピック本戦。さて今年はどんなドラマが待っているのだろうか。前回のオリンピック王者の四十住さくらが2連覇なるか。もしくは他の日本人選手が金メダル獲得するのか。大きな期待を持ちながら夏の本戦を待ちたい。

上海大会に続き、各競技が協力してTEAM JAPANのサポートを実施

【ビクトリープロジェクトが選手サポートの一環として『パワーボール』を提供】

オリンピック予選シリーズ (OQS) ブダペスト大会では日本人選手たちが最高のコンディションで試合に臨めるように、「ビクトリープロジェクト」が帯同・サポートしている。

特に大会期間中は、「補食」を通じて選手のコンディショニングをサポート。サポート活動である「ビクトリープロジェクト」から生まれた栄養プログラムが「勝ち飯」だ。

「勝ち飯」は目的をかなえるカラダづくりに役立つ栄養プログラムで、そこで考え出された「パワーボール」には選手にとって嬉しい2つの特徴がある。

「ほんだし」入りでだしのうま味が効いている為、食欲がアップし、サイズが普通のおにぎりの約半分 で食べやすいというものだ。これによって、食欲がない状況でもエネルギーを確保することが出来る。

【ビクトリープロジェクト サポートディレクター上野祐輝氏のコメント】

パワーボールを摂る目的は、エネルギー補給です。特に試合当日はエネルギーを使う前に溜めておく、使ったらすぐ取り返してエネルギーを切らさないことが重要です。

『パワーボール』は食べやすいので、エネルギーをこまめに補給する「ちょこちょこ食べ」には最適なんです。そんな中で、「いつ、どのくらい」摂るべきかということは、選手と予め試合当日のスケジュールをイメージしながら決めていきます。

栄養補給の大切さはアスリートの方にも伝えたいですし、そのアスリートの姿を通じて一般生活者の方にも良いサイクルを生み出せればと考えています。

「勝ち飯」の栄養摂取の考え方やテクニックなどは、とても簡単で実践しやすいとのばかりです。それをより多くの人に知ってもらい、世の中みんなが健康になる。そんなサイクルが理想ですね。

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