2028年ロサンゼルスオリンピックを見据えた国内開幕戦「ワールドスケートジャパン 第4回 スケートボード日本オープン supported by Murasaki Sports」編集部取材手記〜パーク種目編〜

2026.04.12
Photo: ©WSJ

今年、栃木県宇都宮市に新設された「アークタウン宇都宮」内スケートパークで開催されたのが「ワールドスケートジャパン第4回日本OPEN supported by Murasaki Sports」。全国から国内外で大活躍する選手たちが一堂に会した今回の大会。2028年のロサンゼルスオリンピックまで2年半を切った中でいよいよ出場権争いの本格化の始まりを感じさせる一戦となった。

なお今大会は2026、2027年度ワールドスケートジャパン強化指定候補選手の選考対象大会として定められており、今シーズンのみならず来シーズンの強化指定候補選手になる上で重要な大会であり、とりわけ2028年のロサンゼルスオリンピック出場に直接関係するワールドスケートの国際大会に出るためには、ほとんどの選手が今大会で良い結果を残すことが必要となることから、オリンピアンから世界大会表彰台常連まで豪華な面々が揃う形となった。

本記事では最終日に行われた、パーク種目の男女決勝を取材した中で、大会当日の様子を通して編集部目線で今後注目となるオリンピック出場権争いを含めた考察を行った。

パーク女子決勝

準決勝から勝ち上がったのは溝手優月、河合珠佳 、佐竹晃 、小川希花、菅原芽依、貝原あさひ、岡本碧優、長谷川瑞穂の8名。まず今大会の決勝進出者の面々を見て感じたのは、若手の台頭はもちろんのこと、シーンを牽引してきたメンバーがしっかり決勝へ勝ち上がるなど、各種目コンペティションシーンにて若年化が続く中、年齢層の厚みが生まれているのを感じた。

長谷川瑞穂のライディング©WSJ

その中でも特に近年顕著に見られているのが、バーチカル種目の実力者がパーク種目でも強さを見せていること。今回の優勝した長谷川をはじめ、貝原や佐竹そして河合などバーチカルの大会でも国内外で結果を残しており、彼らが今大会でも結果に繋げてきた裏付けとして、今までバーチカルだけでメイクされてきた大技がパークスタイルのルーティン内にしっかり落とし込まれ始めていることが言える。

今では決勝に上がるほとんどの選手がディープエンドで「540」をメイクできていたり、ボルケーノセクションやクオーターでの「キックフリップインディ」などが普通にメイクされ始めていたりなど、特にバーチカルで活躍する彼らにとってはその技術が着実にパークスタイルに活かされ、より高度なルーティンに昇華されていると見てとれた。

一方で、やはりパークを主戦場とする選手たちの強さと感じさせられたのがレールトリックの数々。実際に岡本や菅原、小川と溝手は特にこの辺りのスキルが高いメンバー。グラインドやスライドトリックでのコーピングの流し方はスキルとスタイルが特に各選手見られ、まさにパークならではの技術だ。今回は出場していなかったが開心那もそのレールトリックを常に最高レベルで繰り出せていることでオリンピックでのメダルや世界大会での顕著な成績を生み出していると考える。

貝原あさひのライディング©WSJ

今後のオリンピック出場権争いを含めてこの国内の戦いを勝ち抜くには、回転系の大技とレールトリックをいかにシームレスに組み合わせて終始スピードを保ったまま数多くのトリックを入れ込めるかが、一つ重要な点と考える。

ここまでの話だとお互いがバチバチの空気感の中で研鑽を積んでいるように錯覚するが、大会後の長谷川の取材を通して聞けたのは、当人たちは友達でありライバルである周りの選手たちが練習してきたトリックをフルメイクする姿を見て喜び合ったりモチベーションを与え合ったりしているということ。

岡本碧優のライディング©WSJ

今後もそういう意味ではお互いが各々練習を重ねてメイクするトリックやライディングが他の選手たちに刺激を与えながらシーン全体で競技レベルが上がっていくのかなと感じられた。また個人的には東京オリンピックに出場後、長らくスケートボードシーンを離れていた岡本碧優のカムバックが感慨深く、彼女が若手を引っ張っていく姿にも期待しながら各選手の活躍を見ていきたい。

パーク男子決勝

一方で、今大会で一番編集部が新たな可能性を感じたのがパーク男子種目。今回準決勝から勝ち上がったのは天野太陽、志治群青、永原依弦 、永原悠路、三竹陽大、猪又湊哉、西川有生、乾瑠玖の8名。こちらも決勝進出者の面々を見る中で若手の底上げとバーチカルでも結果を残すメンバーが勝ち上がっているというのは女子種目と同様な点であるが、今回は国内の男子全体の競技レベルの向上について着目していきたい。

永原悠路のライディング©WSJ

今大会の決勝でまず大きく展開を変えたのが永原悠路の2本目のラン。彼の強さであるハイスピードかつハイエアーのライディングの中で繰り出される「キックフリップインディ」や「バックサイドロックンロールスライドフェイキー」、そして「ハーフキャブボードスライド」など含めたフルメイクで90.36ptと90点代を叩き出した。過去大会であれば優勝ランとしても遜色ないライディングだっただが、今大会は違った。

今回特に注目したいのは猪又湊哉、西川有生、乾瑠玖といった若手ライダーの3名。このメンバーは言わずもがなバーチカル種目では揺るがなく技術と結果を残している面々だが、彼らを筆頭とした若手ライダーがここ数年で急激に国内のパーク男子種目のレベルを引き上げている。

まず西川有生のライディングで注目したいのはバーチカル仕込みの回転技とボード回しの捌き。今大会でも「キックフリップインディ」や「540」は当然メイクしていたが、特に会場を沸かしたのは「バックサイド540ディザスター」だった。バーチカルでは唯一無二の「オーリー720」をメイクする彼がパークでも着実に強さを見せており今回は4位ではあったものの今後に期待を寄せるライディングだった。

乾瑠玖のライディング©WSJ

次に注目したいのが乾瑠玖のライディング。準決勝首位で決勝進出を決めた乾は弱冠13歳。彼の特徴はSNSでも話題になった「バックフリップ」。今大会でもしっかりルーティンの中に組み込み会場を沸かした。それ以外も「アーリーウープキックフリップインディ」やディープエンドで「バックフリップフェイキー」をメイクし91.44ptで2位になった。正直優勝できるレベルのトリックセレクションとオールドスクールながらオリジナリティを含めた「バックフリップ」を有する彼が日本人初の最年少オリンピアンとなるか今後注目である。

猪又湊哉のライディング©WSJ

そして最後は今大会で一番ドラマを生み出し、背水の陣となった中で強さを見せたのが猪又湊哉。大会前にはコースレイアウトが少しトリッキーと話し、合わせるのに苦戦した様子もあった中、1本目〜2本目と「バリアルキックフリップ540」を失敗し迎えた3本目では、3本目を終えた時点で上位5名に残った選手が進める4本目のゴールデンランに向けてプレッシャーがかかる中でフルメイク。4本目ではディープエンドでの「バリアルキックフリップ540」と「ヒールフリップインディのコンボや、ボルケーノ越えの「バリアルキックフリップ」をメイクし93.97ptをマークするとその間違いない実力と土壇場でのメンタルの強さをフルメイクで示し優勝を勝ち取った。

今回、男女共に言えることではあるのだが、昨年からワールドスケートで導入された新しいフォーマットである「ゴールデンラン」も選手たちの競技レベルの向上の一端を担っていると考えられる。実際に大会後には永原も「ゴールデンランが大会を楽しさを引き出してくれる」と話しており、上位5位という順位が担保された中で、もう一段階自分の限界とさらに高い順位にチャレンジできるフォーマットがはまっているのだと感じた。

大会結果

左から貝原、長谷川、岡本の順 ©WSJ

パーク女子種目
優勝 : 長谷川 瑞穂 88.80pt
2位 : 貝原 あさひ 80.74pt
3位 : 岡本 碧優 80.33pt
4位 : 佐竹 晃 79.76pt
5位 : 菅原 芽依 75.84pt
6位 : 河合 珠佳 74.16pt
7位 : 溝手 優月 71.18pt
8位 : 小川 希花 19.66pt

左から乾、猪又、永原の順 ©WSJ

パーク男子種目
優勝 : 猪又 湊哉 93.97pt
2位 : 乾 瑠玖 91.22pt
3位 : 永原 悠路 90.36pt
4位 : 西川 有生 89.70pt
5位 : 志治 群青 83.47pt
6位 : 永原 依弦 80.18pt
7位 : 三竹 陽大 27.70pt
8位 : 天野 太陽 20.11pt

最後に

©WSJ

改めて今回のパーク種目の取材を通して感じたのは男女ともにオリンピックや世界トップレベルで戦える選手層の厚みがパリオリンピック以降からさらに増しているということだ。特に男子に関してはその成長が顕著であり、前回は永原悠路のみが出場していたが次回のロサンゼルスオリンピックでは参加可能人数の上限である3名の輩出の可能性を大きく感じた一戦だった。いよいよ本格的に始まるロサンゼルスオリンピック出場権争い。今年の選手たちの活躍にも目が離せない。

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