選ぶべきは“柔らかめ”!? ベテランスノーボーダーたちに聞いたギア選びのコツ

2021.01.29

サーフィンを楽しむようにゲレンデをクルージングする。年齢とともにガチガチに固めた硬い足回りはしんどくなってくる。そんなニーズを満たす、“柔らかめ”がここ数シーズンのトレンドだ。

そこで長年スノーボードを楽しんできたベテラン選手たちに、ギア選びのポイントを聞いてみた!

ギア選考委員はこのベテランスノーボーダー3名

「バックサイド スノーボーディング」マガジン編集長 野上大介さん Age  46

千葉県出身。スノーボードのメジャー誌を経て独立。自身の雑誌を創刊し、今年で5年目を迎える。自宅が関越自動車道に近く、日帰りなら群馬エリアへ。泊まりなら新潟・妙高方面へ足を延ばす。年間滑走日数は公私を含めて約30日。

illustration by 平沼久幸 

「ディギンマガジン」編集長 小林大吾さん Age  44

愛知県出身。スノーボード歴26年。現在自身が手掛ける雑誌はライフワークでもあり雪山へは公私を兼ねて。ここ2シーズンは福島、宮城、山形を訪れ、ひと冬4カ月のうち関東に戻ったのは4日ほど。年間滑走日数は90日くらい。

illustration by 平沼久幸 

スタイリスト 村上由祐さん Age  40

東京都出身。競技スキー出身ながら1993年頃からスノーボードに目覚める。長野県・野沢温泉スキー場、群馬県・沼田周辺で滑ることが多く、今年の年末は山形県・蔵王へ。ホームはニセコモイワスキー場。年間滑走日数は約20日。

illustration by 平沼久幸 

選考委員3名によるギア対談

ーー既にオープンしたスノーリゾートがあるなか最新ギアも店頭に出揃っていると思います。最近のトレンドや今冬の注目ギアは何かありますか?

小林 ブーツでいうと上質で柔らかいモデルが近年増えてきています。柔らかいブーツ自体は昔からあったんですが多くは低価格帯のモノで、いわば作り込まないことによる柔らかさでした。でも最近のモノは、コンセプト、デザイン、素材とすべてにこだわって作られています。

ーーレスポンスを良くするために足回りは硬くしたほうがいいと思っていました。

小林 柔らかいブーツへのニーズは、年を取ったスノーボーダーが増えたことによるものだと思います。もうそんなにスピードは出さないし飛びもしない。だからシビアなコントロールも、それを可能にするガチガチに固めた足回りも必要ない。

一方で欲しいのは、足元を固めないサーフィンやスケートボードのように、足裏の感覚に敏感になり、足首を柔らかく使って自分でコントロールしていく滑走感。といった人が増えたんでしょうね。

野上 オススメという観点からはバートンのステップオンがあります。ビンディングを踏み込むだけでブーツとセットされるシステムで、いちばんのメリットは着脱がラクなこと。

リフトを降りながらセットできて、そのままスーッと滑っていけるんです。もう、めちゃくちゃ楽です。それにしゃがみ込んだり屈んでつま先とかかとのストラップを締める必要がないから腰への負担も減ります。

小林 子供にもいいですよね。まだビンディングの扱いに慣れていない子供にとっては、リフトを降りてカチャカチャとセットするのは少し手間だと思うので。

野上 それでいて滑走フィーリングもいいんですよ。従来のブーツ&バインディングに近しい独特のフィーリングを実現しているのはすごい技術だと思います。

村上さんのベストセレクト

[スノーボード]サロモンスノーボードの「シックスティック」
浮力を得られやすくパウダー滑走もしやすい。“ゲレンデだけから次へ”をかなえるモデル。8万円/サロモン/アメア スポーツ ジャパン 03-6631-0837

[ブーツ]ディーラックスの「エンパイア」
地形を味わいながら滑るスノーサーフ的にも高速系の滑走スタイルにもいい柔らかめのブーツ。4万7000円/カスタムプロデュース 0800-800-3166

[ビンディング]サロモンスノーボードの「ハイランダー」
ブーツに自然にフィットする作りと反応性の高さが魅力のオールマウンテンモデル。4万円/サロモン/アメア スポーツ ジャパン 03-6631-0837

「以前にスノーボードをしていて、少し離れていたけれどこれから復活しようとする人は、既に経験があるので一度でも雪山に行けば感覚をすぐ取り戻せると思うんです。そのためゲレンデクルージングだけでなく、ゲレンデからアクセスできるサイドカントリーでも使えるセレクトをしてみました」。

photo by 若林武志

ーーファッション目線ではどうですか?

村上 スノーサーフというジャンルの確立はウェアのテイストに影響を与えましたよね。ゲレンデ環境で滑る場合と自然地形のなかで滑る場合では、求める機能が異なるのでウェアに違いが生まれます。

それにスノーボードをライフスタイルと捉える人が増え、「パーマネントユニオン」や「ザ・ノース・フェイス」など、街でも着られるウェアをリリースするブランドが多くなりました。ウール素材なのに撥水性が高いウェアだったり、素材の進化も注目すべきポイントと言えます。

小林 ゲレンデユースなら、たとえ北海道で使うにしても、どのブランドのウェアもスペックは申し分ないと思います。

野上 だからウェアはブランドイメージやシルエット、デザインなど好みで選んでいいと思います。

村上 僕は今冬用のボードにサロモンの「シックスティック」を選んだのですが、素材がバンブーなんです。エコにもつながって今の時代にフィットしているし、そういう視点もありかなと。

野上さんのベストセレクト

[スノーボード]バートンの「ホームタウンヒーロー」
クセがなく柔らかさを感じつつも乗り味がしっかりしたオールマウンテンボード。ゲレンデのどんなコンディションでも楽しめる。8万7000円/バートン 050-3196-5300

[ブーツ]バートンの「フォトン ステップオン」
BOAフィットシステムを採用したステップオン用のブーツ。この利便性は一度味わうと手放せなくなる。5万2000円/バートン 050-3196-5300

[ビンディング]バートンの「ステップオンX」
つま先とかかとにある3つのコネクションポイントでブーツをしっかりロック。少し硬めの足回りでレスポンスがクイックに。5万7000円/バートン 050-3196-5300

「カムバック層向けのセレクトです。ボードはバートン本社があるアメリカ・バーモント州の山で楽しめることをコンセプトに掲げ開発された幅広いユーザーに対応するモデル。ステップオンはとにかくブーツとビンディングの着脱が楽です。特に初心者や子供などに教えながら滑る際にはその便利さが気に入るはずです」。

photo by 若林武志

ーー新しいギアはやっぱり気分を高めてくれますよね。

野上 今年はラニーニャ現象の影響で雪が多いという話があります。

小林 さらに今冬が特別なのは海外の観光客が来られないということ。ニセコ、野沢温泉、白馬をはじめとした、いつもなら大混雑しているビッグリゾートは狙い目です。

それこそコロナが明けたら次の100年はないだろうと思える状況。ガッツリ滑りに行きたいですね。どこに行くか悩ましいです(笑)。

村上 “Go To”も利用できますしね。野沢温泉のように、雪質が良くて、風情のある温泉宿があり、託児施設のあるリゾートもありますから、ファミリートリップにも雪山はオススメ。

今の時代ならば、ワーケーション目的で利用する人もいるんじゃないですかね。

小林さんのベストセレクト

[スノーボード]ゲンテンスティックの「スプーンフィッシュ152」
ゲレンデでのカービング性能は随一。久々にスノーボードをする状況でもコントロールしやすいのがいい。9万2000円/玉家プロダクツ 0136-22-5581

[ブーツ]K2スノーボーディングの「タロータマイ スノーサーファー」
高機能だが極限までにシンプルにし、フレックスを最高に柔らかく保ち、快適な履き心地を実現。6万9000円/K2 ジャパン 03-6858-2311

[ビンディング]サロモン スノーボードの「ホログラム」
ヒールカップがグニャっとするほどに柔らかい。その設定により足首や膝のより広い可動域を確保した。3万8000円/サロモン/アメア スポーツ ジャパン 03-6631-0837

「ブーツとビンディングは柔らかめをチョイスし、気持ち良く滑れることを意識しました。ボードは扱いやすく、まずはカービングを楽しみたいというカムバック層にオススメ。ブーツはディーラックスのアース リンも好きなモデル。サポート力がしっかりしていて、そのうえで柔らかい履き心地なんです」。

photo by 若林武志

photo by 若林武志
styling by村上由祐
illustration by 平沼久幸 
text by 小山内 隆

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(この記事はOCEANS:特集 24時間ウェルネス宣言 より転載)
元記事は関連リンクへ↓

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