中村輪夢が前人未踏の大会5連覇、内藤寧々は2度目のタイトルを獲得「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フリースタイル・パーク種目

2023.09.20
ガッズポーズを掲げる中村
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フリースタイル・パーク種目が岡山県岡山市の岡山市役所前にて2023年9月16日(土)~17日(日)の2日間に渡り開催され、男子エリートでは中村輪夢選手が大会5連覇、女子エリートでは内藤寧々選手が自身2度目の全日本タイトルを獲得した。

今大会には今年の日本一を決める大会ということもあり、子どもから大人まで各カテゴリーのトップライダー合計115名が全国から集まった。出場選手たちは自分たちが日々の練習で磨いてきた、思い思いのベストトリックを入れ込んだライディングを大勢の観客の前で披露しながら、各カテゴリーの全日本タイトルの座を狙い熾烈な戦いを繰り広げた。

今回の大会会場となったのは岡山市役所前。岡山市役所の駐車場に設置された特設パークは大通りに面し十字路の角に位置していることから、一般のお客さんも気軽に立ち寄れ、観戦には好立地の会場での開催となった。実際に会場にはBMX関係者から一般の観客まで大勢の方がコース横へ集まり、大きな拍手と歓声を上げて観戦している様子が見られた。

なお今大会の模様は、昨年に引き続きNTT西日本グループの協賛・技術提供により「双方向ライブ配信」によりリアルタイムで視聴可能となった。本プラットフォーム上ではオンラインでコメントや歓声を送ることができ、その様子は会場の大型モニターとリンクされていて、会場に行けない方でもまるでその場にいるかのように応援ができる。

そしてこのライブ配信では実際に選手たちがジャンプ台で魅せる複雑な大技を連続写真のように映像化する技術が導入され、どのようにそのトリックを繰り出していたのかを一連のモーションで確認でき、逆にオンラインだから可能となる新しい観戦体験を提供した。

以下は、今大会最高峰カテゴリーである男女エリートクラス決勝の大会レポートだ。

圧倒的な大差を見せ付け優勝した絶対王者。男子エリートは中村輪夢が、女子エリートは内藤寧々がタイトルを獲得。

男子エリートクラス決勝

photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

男子エリートクラス決勝は12名の中から予選を勝ち上がった8名で争われた。ここ最近は高い実力を持つ10代の若手選手が増えている日本のBMXフリースタイル・パークシーン。今回も若手選手が多く勝ち上がったが、一方でベテランや長年トップで活躍選手もいるなど選手たちの個性が分かれた見応えのある決勝となった。

中村輪夢のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

今回、他の選手たちを圧倒し大差を広げて優勝したのは中村輪夢。中村はラン1本目から超大技「720・テールウィップ」「フレア・テールウィップ」そして「720・バースピン」をメイクするパーフェクトランディングで早速91.30ptをマークし暫定1位へ。圧倒的なスコアだったからか、その後も中村の1本目のスコアが塗り替えられることはなく、2本目を迎える時点で優勝が確定。

中村輪夢のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

ウィニングランとなった2本目では、プロ野球チームである阪神タイガースの歌「六甲おろし」をバックに更にハイレベルなライディングを魅せる。「バックフリップ・クアッドバースピン」を皮切りにスタートしたランでは、1本目でもメイクした「720・テールウィップ」「720・バースピン」はもちろんのこと、「アリーウープ・フレアテールウィップ」そして「360・ダウンサイドテールウィップ to バースピン」など数々の超大技組み込んだランで94.60ptを叩き出し完全優勝。なお今回の優勝により中村は全日本選手権5連覇を収めた。

溝垣丈司のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

準優勝は今年のアジア選手権でチャンピオンの中村に続き2位入賞を果たした溝垣丈司。世界中からそのスタイルが高評価されている彼は、ラン1本目は「トリプルトラックドライバー」、ジャンプ台逆飛びの「360 to クロスアップ」など回転系のコンボトリックで構成し、かつその中で約5mのほどの距離を跳び切る「ビックトランスファー」を交えたランを魅せるも、最後にジャンプ台に飛び乗る形で見せた「バックフリップ・180」で失敗し、スコアを59.80ptとした。

その後1本目を上回るべく挑んだラン2本目では見事に修正。同じルーティンを更なる完成度でこなし、1本目で失敗した最後の「バックフリップ・180」をメイクし、そこに「キックフリップ」を加えて会場を沸かした。このランは80.14ptと評価され、見事順いもジャンプアップ。2位入賞という形で全日本選手権を終えた。

小澤楓のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

3位は今シーズンの世界選手権で並いる強豪選手抑えて、自身初の準決勝進出を果たし着実に実力つけている小澤楓。持ち前のコンビネーションの多さとスピード感のあるランで各セクションで細かく様々なトリックを連発。その中でも2本目で見せた「360・ダブルダウンサイドテールウィップ」「360・テールウィップ to バースピン」の完成度の高さと、他選手より多くのトリックをメイクしているにも関わらず、終盤でも疲労を感じさせずに大技をメイクする姿には彼のフィジカルの強さを感じられた。

今回はトップスコアを80.00ptとして溝垣に僅差で2位の座を譲ることとなったが、小澤はエリートカテゴリー昇格後2年連続で全日本選手権の表彰台を獲得した。

女子エリートクラス決勝

女子エリートクラス決勝は5名で争われ、今回は日本代表選手である内藤寧々に加えて今年からエリートクラスに上がってきたスキルフルな若手ライダーにより今年の全日本タイトルの座が争われた。

photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

そんな中、今年見事全日本タイトルを獲得したのは内藤寧々。内藤は今回特にハンマートリックは用意せず、綺麗にトリックをメイクすることとスピード感を意識したライディングで安定したランを魅せる。

ラン1本目では逆飛びで加速しながら、「360・クロスアップ」や「タックノーハンド to クロスアップ」そしてクオーターでの「テールウィップ」を綺麗にメイクし、自身の代名詞でもある「ワンフット・クロスアップ to キャンキャン」を入れ込むランで60.40ptというスコアを収める。ラン2本目では1本目ではメイクしていない「バックフリップ」も入れ込んだライディングをするも1本目ほどスコアは伸ばせず60.20ptをマーク。しかしベストスコアである60.40ptを守りきり、エリートカテゴリーにて自身2度目のタイトルを獲得した。

内藤寧々のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

準優勝は今年からエリートカテゴリーに昇格した山本結花。彼女はラン1本目から攻めのライディングを魅せる。男女ともに新たな歴史が刻まれた一戦「第7回全日本BMXフリースタイル選手権」フラットランド種目クオーターでの「540」をはじめにメイクし、勢いをつけると「キャンキャン・タイヤグラブ」や逆飛びでの「トランスファークロスアップ」を決める。終盤では「360」をメイクするライディングで54.40ptというスコアで暫定2位に位置付けた。

更なるスコアアップをトライした2本目では女子で未だ誰もトライしたことがない「540・バースピン」に挑戦するも失敗。その後はランのスコアは気にせず、制限時間いっぱいを「540・バースピン」のメイクに費やすもランディングに失敗。ベストスコアは1本目の54.40ptとなったが暫定2位を維持し2位入賞を果たした。

杉尾咲空のライディング
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

3位は山本同様に今年エリートクラスへ昇格し、「マイナビ Japan Cup 名古屋大会」では優勝を収めた杉尾咲空。他の選手に比べてストリート系のトリックも得意とする彼女は、完成度の高い「バースピン」を中心したライディングを魅せる。セクションを大きく使いスパインや様々なセクションでトリックを決めながら、中盤には「360」やストリート系のトリックである「スミスストール」をメイク。しかしスコアは思ったほど伸ばすことができず2本目の48.60ptをベストスコアとし、エリートクラス最初の年の全日本選手権を3位入賞で締め括った。

優勝者コメント

優勝した内藤と中村
photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

中村 輪夢 選手(男子エリートクラス)
連覇を重ねることでプレッシャーが増し、本大会でも緊張感を持った中で迎えた決勝となりました。決勝1本目では理想とする走りができなかったので悔しさは残りますが、2 本目のランには満足しています。 先日の世界選手権や今大会を経て、まだ完成度に課題が残っているので、現在一番の目標としている来年のパリオリンピックに向けて練習を重ねていき、東京オリンピックのリベンジを果たしたいです。

内藤 寧々 選手(女子エリートクラス)
「優勝できて嬉しい気持ちでいっぱいです。今回の練習走行では確認したい項目をまとめられず、少し焦りと不安が残る中での決勝だったのですが、決勝ではスピード感と大ディングの綺麗さを意識したことで自分の予想を上回る得点を出すことができました。 今後も国際大会でのさらなる経験を積み、海外の大きな大会でも表彰台を獲得したいです。」

大会結果

photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

<男子エリート>
優勝: 中村 輪夢 (ナカムラ・リム) / 所属:ウイングアーク 1st 94.60pt
準優勝: 溝垣 丈司 (ミゾガキ・ジョージ) / 所属:湘南工科大学附属高等学校 80.19pt
第3位: 小澤 楓 (オザワ・カエデ) / 所属:岐阜第一高等学校 80.00pt

photograph by Naoki Gaman /Japan Cycling Federation/JFBF

<女子エリート>
優勝: 内藤 寧々 (ナイトウ・ネネ)  / 所属:第一学院高等学校 60.40pt 
準優勝: 山本 結花 (ヤマモト・ユイカ)  / 所属:第一学院高等学校 54.40pt
第3位: 杉尾 咲空 (スギオ・サクラ)  / 所属:細田学園高等学校/AIRWALK 47.00pt

<キッズ4アンダー>
優勝: コジマ・ハル / 62.50pt
準優勝: フカマチ・コウト / 54.75pt

<キッズ5-6>
優勝: ナガゾノ・ジンロウ / 64.25pt
準優勝: ウチヤマ・シキ / 56.88pt
第3位: サカノ・エマ / 55.00pt

<ボーイズ7-8>
優勝: マスイ・チアキ / 80.25pt
準優勝: タカハシ・ヒサシ / 71.25pt
第3位: タナカ・ケンタロウ / 57.50pt

<ボーイズ9-10>
優勝: ニワ・コウキ / 76.75pt
準優勝: オゴケ・ユウト / 75.63pt
第3位: フダモト・ユウマ / 70.13pt

<ガールズ7-9>
優勝: ウメバヤシ・ユマ / 74.75pt
準優勝: ニワ・ココロ / 60.25pt
第3位: アダチ・コノハ / 44.75pt

<ガールズ10-12>
優勝: ホソカワ・イロハ / 76.50pt
準優勝: オクザキ・トモカ / 75.75pt
第3位: タナカ・アヤノ / 67.63pt

<ボーイズ11-12>
優勝: シミズ・ハル / 79.25pt
準優勝: アカツカ・ヒロキグスティ / 77.38pt
第3位: タニモト・リョウガ / 61.50pt

<男子13-15>
優勝: マツモト・ショア / 77.25pt
準優勝: ジンボ・トラノスケ / 69.00pt
第3位: マツウラ・アオウ / 60.00pt

<男子30オーバー>
優勝: コシヤマ・マサヒロ / 66.25pt
準優勝: イシイ・コウスケ / 61.50pt
第3位: シモノ・マサシ / 59.63pt

<女子13-15>
優勝: オザワ・ミハル / 87.75pt
準優勝: ヨシダ・ミオ / 54.75pt
第3位: スギモト・ミク / 38.75pt

大会概要

⼤会名称 :「第7回 全日本BMXフリースタイル選手権」
開催期間:2023年9月16日(土)~17日(日) – 2日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:パーク会場- 岡山市役所 構内駐車場 (岡山市北区大供1丁目 1-1) 
主催:公益財団法人 日本自転車競技連盟 (JCF)
主管:一般社団法人 全日本フリースタイル BMX 連盟(JFBF)
後援:岡山市、岡山商工会議所、公益財団法人 JKA、 一般社団法人日本アーバンスポーツ支援協議会、一般社団法人岡山県アーバンスポーツ協会
特別協賛:ライト電業株式会社
エントリー数:フリースタイル・パーク種目 115名

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