業界をリードする5名が語る!「スポーツ×メタバース」による新たな熱狂。

2023.02.07
text by 橋田 樹台 / ©一般社団法人Metaverse Japan

2022年2月2日(木)に「Japan Empowerment Summit 2023 presented by Metaverse Japan」が渋谷ストリーム ホールにて開催された。本サミットは日本がデジタル経済圏の新たなフロンティアに乗り出す第1歩として、WEB3時代に向けた「地方創生 × メタバース」の未来と課題を議論し学ぶため、一般社団法人Metaverse Japanによって主催されたサミットである。

特にコロナウィルス感染拡大の影響で大きな打撃を受けてきたスポーツ業界は、オンライン上での新たな体験の提供を可能とするメタバースの活用も注目を集めている。今回は本サミット内にて行われた「スポーツ×メタバースによるスポーツの新たな熱狂」のセッションに関してのレポートをお届け。

このセッションでは、琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社 代表取締役の早川周作さん、「Red Bull Air Race」でもおなじみのエアレース・パイロット 室屋義秀さん、広島テレビ放送株式会社 DX事業推進室 新規事業プロデューサーの佐藤晃司さん、東京大学 生産技術研究所特任教授 建築家の豊田啓介さん、そして一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局長の長田 新子さんの5名が登壇し、「スポーツ×メタバース」によるスポーツの新たな可能性について議論を交わした。
(※早川氏はZoomによるオンライン出席)

スポーツ業界において「メタバース」の活用

早川周作さん(スクリーン上に投影)

現在は琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社という、プロスポーツチーム運営会社の代表取締役を務める早川周作さんは以下のように語った。

早川周作:「今、プロのスポーツリーグで『1部リーグに参加するには 5,000名規模以上の会場(アリーナ)を作らなければいけない』といった規制を始めており、これは時代に逆行していると思っています。今後はお客様がリアルのスポーツの会場にいらっしゃることに加えて、VRやメタバースという媒体で熱狂を伝えられる技術が、これからも益々出てくると思っています。無駄な建物を作らず、そこに対してWEB3やトークン、メタバースを活用するといった形式に変わっていくと思っています。」

佐藤晃司さん

メタバース空間でアバターとなったファン同士がコミュニケーションを取り、広島東洋カープを応援する、カープファン倶楽部会員向けファンコミュニティアプリ「メタカープ」のプロデュースを行う佐藤晃司さんは、

「広島東洋カープは広島県内で熱狂的なファンが多くいます。現地のスタジアムに行って応援することがやはりスポーツの一番の良さだと思いますが、メタバース空間の中でファン同士が交流することで、カープに接する機会が広がっていくとより深いファンが出来たり、違ったコミュニティができることにはこれから期待できると思っています。」と、スポーツ業界においてメタバース技術の可能性を見出した。

豊田啓介さん

東京大学 生産技術研究所特任教授を務める豊田啓介さんは、バーチャルとリアルの体験の差を埋めてくために、下記のように語った。

豊田啓介:「バーチャルとリアルの差を埋めていくためには、現実に存在するものを再現し皆の記憶にある物語を共有することが大切だと思っています。人間の興奮はその場で新しく得た情報ばかりじゃなく、そもそも持っている体験をどう中から呼び出すかだと思っています。なので、リアルで体験した記憶をクリアに生み出す、逆にバーチャルの中で皆が共有している体験もARに呼び出すなど、その世界を越えたことで興奮や『共通の物語』が浸透して引き出せるのではないかと思っています。」

スポーツ×メタバースの相性の良さ

スポーツ業界においてメタバースの技術を活用した取り組みが進む中、スポーツ施設やスポーツチームとメタバースが連動する相性の良さを、豊田啓介さんは下記のように語る。

豊田啓介:「バーチャルの世界って凄く便利でどこにでもアクセスできる利点があります。ですが時間・場所的にいくらでもズレも作れるのでシンクロした瞬間を作りにくいんです。例えば広島の球場はファンの間でもストーリを共有しているので、シンボル性は強いと思っています。スポーツチームやスタジアムなど、シンボルとなるものがあらかじめ存在している事は、リアルでの体験が共有でき、デバイス化ができるため物凄く相性が良いと思っています。」

佐藤晃司さんも続けて、「スポーツ施設・チームがバーチャルと相性が良いという事は理解していて、それが今は上手くいっています。今後バーチャルと連動してリアルの部分でも上手くやっていくには、メタバース空間で応援してくれている人たちが、バルーン風船を飛ばしたらリアルのスタジアムでも風船が飛ぶなど、インタラクティブな動きも取り入れていきたいと思っています。」と、リアルと連動した新たなビジョンも語った。

室屋義秀さん

エアレース・パイロットとして活躍し、アスリート目線としてセッションに参加した室谷義秀さんも、世界各国でパイロットがいる中でバーチャルの技術と融合させ、世界中でお客さんがデジタルの中でミックスされた映像の観戦ができないか考えていました。今はこのような技術が出来てきたことによって、そういったものも可能なんじゃないかなって思っています。パイロットはしっかりとレーニングして準備をしているので、場所の制限がなくなれば非常に面白いなと思いました!」 と、今後のビジョンを語り、このセッションを締めくくった。

開催概要

名称: Japan Empowerment Summit 2023 presented by Metaverse Japan
主催: 一般社団法人Metaverse Japan
特別協力:東急株式会社
会場: 渋谷ストリーム ホール

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