日本人選手が大活躍「2021年UCI BMXスーパークロスワールドカップ第5-6戦」第6戦ではU23カテゴリーにて丹野夏波が日本人女子初優勝

2021.10.26
第6戦でアンダー23カテゴリーにて優勝した丹野
photo by Japan Cycling Federation

「2021年UCI BMX スーパークロスワールドカップ第5-6戦」がトルコのサカリアにて、2021年10月23日(土)~24日(日)の2日間に渡り開催された。

今大会には日本代表選手として、女子エリートクラスには東京オリンピックでの怪我から復帰した畠山紗英が、男子アンダー23クラスには中井飛馬増田優一が、そして女子アンダー23クラスには丹野夏波酒井亜樹薮田寿衣西村寧々花野村凪沙が出場。
計8名が出場し、3年後のパリオリンピックやその先の2028年ロスオリンピック出場を目指す日本人選手が多く参加した大会となった。

なお、今シーズンのワールドカップシリーズは前半の4戦が5月の時点で終了しており、この夏開催された東京オリンピックや世界選手権大会を挟んで、後半戦となる第5-8戦がトルコ・サカリアにて2週間に渡り開催される。
今回は1週目に開催された第5-6戦についてのレポートである。今大会参加の日本人選手達は引き続き次週の2021年10月30日(土)~31日(日)に開催される第7-8戦にも参戦予定だ。

今回開催国となったトルコでのBMXレーシング種目の大会は初であり、自国選手の出場はないものの、マウンテンバイク種目の世界選手権大会を誘致するなどといった自転車競技の盛んな都市となっている。

以下は、今大会で注目された日本人選手出場レースのレポート。

今シーズンから新設されたアンダー23クラスで男女共に日本人選手が大活躍。2大会通して3名が表彰台の座を獲得。

第5戦

#650 中井飛馬 photo by Japan Cycling Federation

男子アンダー23クラスでは全17カ国から61名の選手が参加し、今大会ではエリートクラスを上回る参加者数で熾烈を極める大会となった。

前回コロンビアで開催された第3戦・第4戦にて優勝している中井飛馬は、予選ヒートから先頭を走り、準決勝では4位通過となったものの好調な走りで決勝へ進出。
決勝では好スタートを決めて第1コーナーを2位で立ち上がり先頭の選手を追走する展開に。先頭の選手を抜かすチャンスを伺うもゴールラインで0.379 秒届かず準優勝でレースを終えた。

#649 増田優一 photo by Japan Cycling Federation

同クラスに参戦した増田優一は予選ヒートを1位で通過したが、1/8決勝にて前走者のクラッシュに巻き込まれ全体29位で今レースを終えた。

#613 薮田寿衣と #609 西村寧々花
photo by Japan Cycling Federation

女子アンダー23クラスでは日本人選手5名のうち、藪田寿衣丹野夏波の2名が決勝進出。決勝では丹野が全体トップタイムのスタートを決めるも第1コーナーでの先頭争いで他選手と接触。転倒は免れたものの失速し後退。5位という結果でレースを終えた。

一方で籔田は、丹野と他選手の接触をかわして前に抜け出し、2位の位置で第1コーナーを通過。最後まで順位を守りきり自身初のワールドカップ表彰台を準優勝という形で叶えた。

#85 畠山紗英 photo by Japan Cycling Federation

そして、女子エリートクラスでは日本からは唯一の参戦となった畠山紗英。東京オリンピックでの怪我の影響もあり、東京大会後初の参戦であったが予選、準々決勝と勝ち上がり準決勝へ進出。

準決勝はスタートで出遅れるも、得意のジャンプセクションにて順位を上げ5位で最終ストレートに進入。最後のフィニッシュライン上では準決勝通過圏内である前走する4位の選手に追いつき、ほぼ同着で写真判定となった。しかしわずか 0.008 秒届かず5位準決勝敗退となり全体9位で第5戦を終えた。

第6戦

当日のコースコンディションは、前日の第 5 戦の晴天のベストコンディションから大きく変わり、終日雨天の中コース上もウェットで滑りやすい路面の中で開催となった。

#612 丹野夏波と#611 酒井亜樹
photo by Japan Cycling Federation

女子アンダー23クラスでは日本人選手全5名が準決勝まで勝ち進み、前日決勝へ進出した丹野夏波籔田寿衣に続いて、今年のジュニア日本チャンピオンである西村寧々花が勝ち上がり、3名が決勝へ進出した。

決勝では丹野と籔田が好スタートを決め、先頭争いで第1コーナーに進入。丹野が先頭で第1コーナーを抜け出して終始トップの座を守り続け、見事日本人女子初となる優勝を獲得した。

籔田は第1コーナーにて他の選手と接触し転倒。そこへ後続の西村を含み3名が絡んでしまう形となった。その後クラッシュから復帰した籔田と西村はそれぞれ4位と5位という結果となった。

#650 中井飛馬 photo by Japan Cycling Federation

男子アンダー23クラスにて、前日の第5戦でも準優勝している中井飛馬は、準決勝を全体の3位で通過し決勝へ進出。
決勝でも前日同様にスタートから先頭争いを繰り広げ、2位の位置からトップに立つチャンスを狙うも、先頭を行くスイスのエーバハードがミスのない走りで逃げ切り優勝。優勝を狙っていた中井は惜しくも2日連続の準優勝となった。

同クラスの増田優一は準決勝まで勝ち進むも5位。決勝進出にはあと1人及ばず全体の10 位で第6戦を終えた。

現在ワールドカップシリーズ 6 大会を終え、中井はU23シリーズランキング1位をキープしている。

 

#85 畠山紗英 photo by Japan Cycling Federation

女子エリートクラスでは前日の第5戦ではあと一歩のところで決勝進出を逃した畠山紗英が第6戦でも順調に準決勝へ進出。 準決勝ではスタートでのミスが響き、6位から追い上げる展開に。第 2 コーナーでは相手選手の内側のラインを狙うも車体同士が接触してしまい失速し惜しくも6位でゴール。決勝進出を逃し全体12位となった。 

以下は今大会出場の日本人選手による代表コメント。

日本人選手コメント

・第5戦

中井 飛馬 選手(男子U23クラス)
前回大会で優勝していたので、今大会でも上位狙う中で緊張感がありました。それに加え、前回のコロンビア大会では南米勢が中心でしたが今回はヨーロッパ勢も多く参戦していたので終始レベルの高いレース展開でした。
結果としては 2 位でしたが、課題としている決勝でのスタートにてトップタイムが出せたことなど、前回から半年間取り組んできた成果が見られたことに安堵の気持ちもあります。明日の第6戦は雨天が予想されるので、また第 5 戦と違った展開でも対応して、表彰台のトップに立つパフォーマンスを出せるように準備します。引き続き応援宜しくお願い致します。

藪田 寿衣 選手(女子U23クラス)
2020年3月以降、海外でのレースに参戦できていなかったので少し不安な気持ちもありましたが、また世界の大会へ戻って来られたことに高いモチベーションと感謝の気持ちでレースに臨みました。
長年目標としていたU23クラスだったので、初戦から表彰台を獲得できたことは素直に嬉しい気持ちでいっぱいです。まだ残り3戦ありますが、今回の結果から自信を持って今日を越える良いレースをしていきます。」

畠山 紗英 選手(女子エリートクラス)
東京オリンピックにて負傷した肩の手術後、短い調整期間ではありましたが今回のトルコ大会への参戦を目標に準備してきました。得意なジャンプセクションも多く自分にとって有利なコースレイアウトでしたが、レースは苦しい展開が続き気持ちの面で勝ちきれなかったと感じています。
明日の第6戦そして来週の今シーズン最終戦では、今大会と東京大会での悔しさを忘れずに決勝での良いライディングを見せたいと思います。 応援ありがとうございました。」

・第6戦

丹野 夏波 選手(女子U23クラス)
前日の決勝ではラインミスもあり勝ちきれなかったので、今日の決勝では攻める気持ちでトップを狙っていきました。ジュニア以降国際大会では初の優勝となり嬉しいです。
昨年の東京オリンピック選考終了後から、気持ちの切り替えに苦戦してBMXに打ち込めない日々が続いていましたが、今大会を目標に再挑戦して結果を出せたので次週の第7-8 戦も含めて自信を持って次に進みたいと思います。サポートして頂いた皆さんに感謝しています。 応援ありがとうございました。

中井 飛馬 選手(男子U23クラス)
決勝では第5戦同様の展開となり、抜かすタイミングを見ていましたが堅いブロックに対応できず悔しいレースとなりました。 しかし悪天候の中でも勝ち進むプロセスを得られことは今回 U23 クラスに参加する目的の 1 番の要素だったので、前日も含めてポジティブに捉えています。
次週の第7-8戦では、現在リードしているシリーズタイトルを勝ち取るプレッシャーの中でもしっかり結果をまとめることを目標に挑みたいと思っています。

畠山 紗英 選手(女子エリートクラス)
午前中に行われた公式練習ではスタートも良い感触でレースに臨めました。しかし準決勝では後方からの展開となってしまって、焦りから仕掛けるポイントも少し早まり思い通りの走りができませんでした。次週には同会場にて残り2戦残っているので、今大会からフィードバックを活かせる形で次戦に挑みます。」

大会結果

第5戦

photo by Japan Cycling Federation

<女子Under23>
優勝: フランチェスカ・シンゴラニ/ アルゼンチン
準優勝: 薮田 寿衣 (ヤブタ・ジュイ)/所属: 大阪体育大学
3位: リア・ブランジョン/ フランス
5位: 丹野 夏波 (タンノ・カナミ) / 所属:早稲田大学
11位: 酒井 亜樹 (サカイ・アキ) / 所属: 桃山学院教育大学
14位: 西村 寧々花 (ニシムラ・ネネカ) / 所属: Gantrigger
15位: 野村 凪沙 (ノムラ・ナギサ) / 所属: Ace Race Australia

photo by Japan Cycling Federation

<男子Under23>
優勝: ピエトロ・ベルタノリ / イタリア
準優勝: 中井 飛馬 (ナカイ・アスマ) / 所属:日本体育大学  
3位: ティム・バイヤスムラー / スイス
29位: 増田 優一 (マスダ・ユウイチ) / 所属: 大阪体育大学

<女子エリート>
優勝: フェリシア・ステンシル / アメリカ
準優勝: エリスカ・バルツンコバ / チェコ
3位: モーリー・シンプソン / カナダ
9位: 畠山 紗英 (ハタケヤマ・サエ) / 所属: 日本体育大学

第6戦

photo by Japan Cycling Federation

<女子Under23>
優勝: 丹野 夏波 (タンノ・カナミ) / 所属:早稲田大学
準優勝: ターリャ・バーフォード / スイス
3位: リア・ブランジョン/ フランス
4位: 薮田 寿衣 (ヤブタ・ジュイ) / 所属: 大阪体育大学
5位: 西村 寧々花 (ニシムラ・ネネカ) / 所属: Gantrigger
9位: 酒井 亜樹 (サカイ・アキ) / 所属: 桃山学院教育大学
11位: 野村 凪沙 (ノムラ・ナギサ) / 所属: Ace Race Australia

photo by Japan Cycling Federation

<男子Under23>
優勝: ロリス・エーバハード / スイス
準優勝: 中井 飛馬 (ナカイ・アスマ) / 所属:日本体育大学  
3位: マテオ・コルスネット / フランス
9位: 増田 優一 (マスダ・ユウイチ) / 所属: 大阪体育大学

<女子エリート>
優勝: ラウラ・スマルダーズ / オランダ
準優勝: フェリシア・ステンシル / アメリカ
3位: ゾエ・クレッセンス / スイス
12位: 畠山 紗英 (ハタケヤマ・サエ) / 所属: 日本体育大学

大会概要

⼤会名称 : 2021年UCI BMX スーパークロス ワールドカップ第5-6戦開催期間 : 第5戦-2021年10月23日(土)、第6戦-2021年10月24日(日)※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:トルコ・サカリア Aycicegi Bisiklet Vadisi

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