オリンピックの正式種目にもなりアクションスポーツの中で最近注目が集まっている自転車競技「BMX」。BMXはバイシクルモトクロスの略称で現在ではBMXレーシング種目を皮切りに、フリースタイル種目としても「パーク」「フラットランド」「ストリート」などと様々な競技が広まっている。
そして今回注目するのはBMX最初の種目であり「自転車の格闘技」とも呼ばれる、選手が8人一斉にスタートしゴールまでの順位を競う中でコース上にあるジャンプやコーナーセクションでの攻防が観客の目を惹く「BMXレーシング」。この競技の世界最高峰クラスにて世界一を目指し、世界各国のレースに参戦しながら日々トレーニングに励む日本人選手がいる。
それがプロBMXレーサーの中井飛馬(なかい・あすま=22歳) だ。今回はパリオリンピック出場選考もすでに始まっている一方で、来年3月には日本体育大学を卒業し新生活をスタートする彼に来シーズンに向けての意気込みと今後の活動への想い、そして彼にとっての「BMXレーシングとは何か?」を聞いた。
中井 飛馬(以下:A)
東京オリンピックと2021年U23ワールドカップシリーズを振り返って
東京五輪の出場選考を通して感じたことを聞かせてください。
A:東京五輪の開催が決まった時から、年齢的に出場可能なのが分かっていたのでずっと目標にしてきました。そして15歳の頃に全て逆算して、2020年の時点でどのレベルに達していれば東京五輪に出場できてメダルが取れるのかを細かく自己分析し書き出しました。
当時立てた目標は15歳~18歳くらいまで自分のプラン通りに順調に達成できていましたが、19歳の時に世界最高峰クラスであるエリートカテゴリーで戦うようになってから実力が全く通用しなくなり、東京五輪でメダル獲得を目指していたのに大会への出場すら叶いませんでした。
この現実が自分の中で結構大きな「挫折」になっていて、小さい頃は生意気な性格で「俺が(東京五輪で)勝つから!」みたいなことを言っていましたが、その自分の言葉と現実とのギャップに直面しました。
ただ着実に自分がレベルアップはしている実感はありますし、東京五輪にも補欠選手として選手村に入って大会の雰囲気を感じることが出来たのでこの経験はポジティブに受け止めたいと思っています。
同時期にコロナウイルス大流行によって色んな事があったと思います。その変化の中で自分にどんな影響がありましたか?
A:僕は今まで駆け足で生きているような感じでBMXに全力で打ち込んできました。それがコロナ禍で一旦ストップになり、練習はしっかりできていた一方で大会はかなり減ったので自分のモチベーションが落ちることもありました。
でも逆にそのおかげでBMX以外の事にも時間を割くことができて、今までのトレーニング方法や自分の生活習慣などを見つめ直す良いキッカケになりました。また今までBMXしかしてこなかった人生だったので、「BMX以外にもこんなに素晴らしい世界が広がっているんだ」と確認できてBMXライダー中井飛馬としてだけではなく、一人の人間として大きなステップアップができたかなと思っています。
コロナ禍でもトレーニングを続けた結果が2021年U23ワールドカップシリーズチャンピオンの達成だと思います。どんな努力を積み重ねてきましたか?
A:今まではパワーやスピードが自分の課題でした。そのためトレーニングに関してはコロナ禍で日本にいる間、そういった弱点を重点的に強化することができましたし、コロナウイルスが少し収まった2021年の2~3月頃からアメリカに行き今のコーチに変えて練習環境も大きく変わったことがこの大きなレベルアップに繋がったと思っています。
そして東京五輪でモチベーションを貰って、「この舞台で俺も戦いたい!俺の目指している舞台はここで間違いない!」と再確認できました。過去のオリンピックは全てテレビの画面上で観ていたので、今回生でオリンピックを観れたことが一番モチベーションになりましたし、それからシーズンの残りの大会も集中して臨むことができました。
またアメリカにいる間、リオ五輪金メダリストである元アメリカ代表のカーナー・フィールド(以下: カーナー)と1シーズン通して一緒に練習しながら大会を回る機会があり、彼から練習や大会に対する取り組み方や私生活のオンオフの切り換え方など本当に色々教えてもらいました。彼との出会いは自分の中で大きなターニングポイントになり、今でもお世話になっていますが本当に僕のメンターのような存在です(笑)
U23ワールドカップシリーズチャンピオンになった2021年シーズンがあって、今年の2022年シーズンは振り返るとどんなシーズンでしたか?
A:今シーズンは自分にとって実力的にレベルアップすることができたすごく良い年だったと思っています。ただ結果がついてこなかったのは悔しい部分ではありますが、それ以上に今までのように運が良くて結果が出るのではなく、しっかり実力がついてきたことで自分の中で足りなかったパズルのピースが揃ってきているような感覚があります。
あとは自分の詰めが甘い部分やちょっとした失敗を減らしていけばエリートクラスでも全然通用することを実感できた年だったので、自分としてはすごい実りのある年になったと振り返ってみて感じます。特にアメリカの国内シリーズ戦でエリート選手と戦って表彰台に乗れたことは僕にとって大きなことで自信にも繋がりました。
世界最高峰クラスの日本人選手を生み出したこのBMXレーシングとの出会い
中井選手がBMXレーシングを始めたきっかけを聞かせてください。
A:僕は新潟県の上越市出身なのですが、地元で父親がアパレルのお店をやっています。そのお店のお客さんに「息子さんにBMXレースどうですか?」と紹介して頂いたことがきっかけで、家から車で10分ほどのところに当時日本国内でも珍しい大型のBMXレースコースがあったので少しずつ遊びに行きながらBMXに乗るようになりました。僕が物心ついた頃には既にBMXにハマっていて大会にも出始めていましたね。
また本格的にBMXレースをやるようになったのは全国各地に練習に行くようになってからです。特に冬の時期だと新潟は雪が降ってしまってコースに乗れないので、関東や関西に行って練習するうちに国内の色々な大会にも出るようになりました。そして行く先々でいろんなライダーと繋がりが増えていくうちに上を目指すようになっていきました。
国内から世界を舞台に戦うようになったのはいつからですか?
A:海外に行くようになったのも父親の影響です。父親のお店ではアメリカンなアパレルを取り扱っているので父親がアメリカ出張の時に僕も一緒に連れて行ってくれて、仕事の後や合間に現地のレースに出たりしていたのでアメリカのレースカルチャーには小さいころから触れていました。
僕は物心ついた頃からBMXをやっているので、そもそもBMX以外の選択肢を考えたことが無かったですし、幼少から海外に行く経験させてもらった上に負けず嫌いな性格も相まって、昔から本格的にやるからには世界の頂点を目指すという感じでした。
幼少から世界選手権へ毎年出場されてきたと思いますが、何歳から世界のトップレベルで戦える自信や実感が生まれましたか?
A:元々生意気な子どもだったので、良い意味で勘違いしていて何の根拠も無く「いけるでしょ!」と思っていました。高校卒業するくらいまでは本気で世界を取れるという自信があったんですが、大人になってエリートクラスで戦ってなかなか通用しなかったり、東京五輪出場を逃した挫折も味わって現実的な難しさを痛感しましたね。今では毎年、少しずつ結果・実力ともに上がってきているのでどんどん自信が付いてきています。
来春、大学を卒業しプロBMXレーサーを本業とする覚悟
来年大学を卒業して今後はBMXレーサーを職業として活動する上で、何が自分を突き動かす原動力になっていますか?
A:僕は幼少からBMXでやっていくと決めていたので、自分がBMXを本業としてやっていけるかどうかを疑問視したことは無いです。また大会で良い結果が出た時はめちゃくちゃ嬉しいですし、日常生活でも絶対に味わう事のない高揚感がなんとも言えないです。負けた時の悔しさもそうですけど、勝つことで得られるこの感覚をまた味わいたいというのが大きな原動力になっています。
またBMXには色んな関わり方があると思っているので、将来的にはライダーとしてだけではなく、BMXができるフィールド作りや、イベントを開催してBMXを広める活動だったり、BMXと他のカルチャーを繋げることなどいろんな事をやっていきたいです。
自分の人生を通して様々な形でBMXに関わっていきたいと思っていますが、今の自分にできる事はまず結果を追い求めることだと思います。そういう意味ではレーサーとしてのキャリアを終えた後に見据えている自分の理想像に辿り着きたいという思いも大きな原動力です。
BMXレーサーを職業にする中で周りからは何が求められると思いますか?
A:やっぱり周りから求められるのは結果ですね。選手であるからには結果が大事だと思います。カルチャーの中にはカッコよければいいみたいな風潮もあったりしますが、スポンサーさんからお金をもらったり協会から強化費等も出してもらっている以上結果は一番求められるべきだと考えています。その上で自分の持ち味やスタイルが評価されると思うので、まず周りからは結果が一番、その次にSNS等での発信が求められてくると思っています。
中井選手はプロBMXレーサーとしてどんなプロ意識を持っていますか?
A:僕の中では「常に一番良いものを追い求める姿勢」を持つことがプロだと思うので、自分がやっているBMXレーシングに関しては世界一を目指して追い続けるのが当然のことだと思っています。
また僕はインタビュー時の振る舞いや大会以外のSNSでの発信についても同様で、一番良いものを追い求めるという意味で何事においてもこだわりを持ってやるようにしています。
プロBMXレーサーとして活動していく中で自身の活動を通してこんなBMX業界にしたいという想いはありますか?
A:サーフィンとかスケボーも同じ類いだと思いますが、BMXもスポーツでありながらライフスタイルそのものなんです。僕自身も小さいころから朝起きて学校行く前に近くのコースでダートジャンプしたり、学校が終わったらレースコースに乗りに行ったり、常に自分の生活の一部にBMXがあってまさにライフスタイルだったのでスポーツとしてだけではなくライフスタイルとして楽しめる環境を作っていきたいですね。
ここで言うライフスタイルはBMXでライディングするだけでも楽しい、でもBMXを通じて人生が形成されていくということです。ただBMXレースって勝負事なのでしっかり勝負する大会もあれば、一方で他の様々なアクションスポーツにも触れられる楽しいイベントもあったりします。
そういったイベントのおかげで僕も他競技のライダーたちとの交流も多いですし、仲間のスケーターやスノーボーダーがイベントに遊びに来たり、逆にBMXライダーたちでスノーボードしに行ったりもします。みんながBMXを人生のライフスタイルの一部として捉えてくれるような業界作りをしていきたいです。
ちなみに他のアクションスポーツの選手たちとの繋がりもあるのでしょうか?
A:そうですね。同世代ですと、スケートボード男子ストリート種目の堀米雄斗はマネジメント事務所が同じという繋がりから、アメリカで一緒にNBA観戦をしたり食事をしたこともあります。また別種目ですがBMXフリースタイル・パークの中村輪夢は仲良いですね。大体みんな同年代なので彼らの活躍している姿にはとても刺激を受けています。みんなカッコいいので自分もそういう風になりたいって目標にもなりますし、このまま負けていられないっていうモチベーションにもなりますね。
BMXを降りた中井飛馬のオフの姿
BMXがライフスタイルである中、中井選手はSNSを活用して私生活の姿を発信されていますが、オフの時は主に何をしていますか?
A:家でゆっくりするのも好きだし、外に出かけるのも好きです(笑)特に友達とキャンプに行ったりして、自然に触れ合う時間が大好きです。またお酒を飲むことも好きなので休日などは友達と飲んだりもしますし、音楽も好きなのでアーティストのライブに行ったり、、あとは雪国で育ったこともありスノーボードも大好きなので冬の時期には滑りに行ったりしています。
本当に多趣味なんですが、コーヒーも写真も大好きなのでカメラ持って散歩して写真撮ったりと色々楽しんでいますね。
オフの時にリラックスや気分転換のために意識していることはBMXレーシングにどう活かされていますか?
A:オフの過ごし方はカーナーと一緒にいた時に学んだことの一つです。例えば、練習が終わったら気持ちを切り換えてBMXの事を全く考えないとか。カーナーは特に工夫していて自分がゆっくり過ごす家の一階の部屋にはBMXやそのパーツ、ましてやBMXの写真すら置かないように徹底していました。彼からBMXのものが目に入ることで無意識のうちにBMXのことを考えてしまうことを避けるためと聞いてからは僕も空間を分ける技術を得ることができました。
そういう意味では僕は何でも熱中しやすく写真やコーヒーなど全部ハマったらガッツリやるタイプなので、今ではオフの時は時間もBMXも気にせずとことん集中して色々できるようになっていますね。BMXのことを考えすぎるのも自分のパフォーマンスに良くないのでオフの時の切り替えは意識するようにしています。
オフの姿も載せているInstagramは最近グンとフォロワーも増えてきましたが、コンテンツ作りや発信方法で意識していることはありますか?
A:難しい質問ですね(笑) やっぱりBMX関係のフォロワーが多いのでBMXのことを上げた時と、自分自身のことを上げた時とではかなり反応に差があります。だからといってフォロワーのためにBMXのことを上げ続けるのではなくて、BMX以外の自分のことを上げることで人間らしさも見せたいという思いもあります。
先ほどBMXはライフスタイルということを話させてもらいましたが「こうやって俺は人生楽しんでるよ」「俺はこういうことをして普段遊んでるよ」っていうのは伝えたいです。特にキッズライダーたちは練習のことについてたくさん聞いてくれることが多いので「練習だけじゃなくて気持ちを切り替えてたくさん遊んでね」っていうメッセージでもあったりしますね。
そういう意味では中井選手の人間としての魅力もSNS上では意識して発信しているんですね。
A:はい。特に写真の見せ方はこだわりますね。また「自分とBMXがある人生」は意識して見せるようにしています。必ずしもBMXを写したいわけではないのですが、BMXライダーとしての日常。その中で自分の見ている風景だったり、感じた事が自然に伝わればいいなと思っています。
それでもまだまだ理想的な自分の見せ方はできていなくて、他のBMXライダーを始めスノーボーダーやスケーターたちの映像や写真を見てると憧れる部分も多いので、参考にしながらこれからもっと積極的に発信していきたいです。
2年後に迎えるパリオリンピックに向けて
既にパリ五輪の選考は始まっている中、現在力を入れて取り組んでいる事やこれまでのシーズンを踏まえて改善点はありますか?
A:現在は、まだ今シーズン終盤の大会で負ったケガの治療中なので思ったようにトレーニングが出来ておらずムズムズしています。ただ今シーズンの課題は自分の実力が付いてきているのにもかかわらずレースで決めきれないことでした。
例えばスタートが決まってもその後のセクションで失敗してしまったり、予選から準決勝まで完璧だったのに決勝で失敗してしまうといった細かいミスが多かったんです。正直経験不足なだけだと思うのであまり考えすぎずにこのままの調子でやり続けて色んな経験を積みたいと思っています。
あとは海外選手との体格差によるパワー不足も大きな課題ですが今まで3年ほどフォーカスして取り組んできたので少しずつ海外のトップ選手のスピードに近づいてきたかなと肌で感じています。
自分たちでパリ五輪の出場枠を取りに行くために意識していることや準備していることはありますか?
A:自分の環境を整えることですね。ワールドカップや世界選手権に出ている選手って当たり前ですけどみんな並々ならぬ努力をしているので、その中でどうして差がつくのかなって考えた時に、周りのサポートしてくれる人たちや一緒にトレーニングする選手など、どれだけ自分の練習環境が整えられているかが関係してくると思っています。
このような環境面はケガしてる今だからこそ特に整えているところです。資金的な部分を含めてですがしっかり整えて何も心配事が無くただBMXに集中できるようにするため日々頑張っています。
ちなみに来シーズンはどういった目標なのでしょうか?
A:2021年から今までは22歳までが参加可能なカテゴリーのU-23で戦ってきましたが来シーズンから一番上のエリートクラスに上がりカテゴリーが変わります。ただ今シーズンでも既にエリートの選手たちとはレースしているので自分がどれくらいの位置にいるかは分かっています。来年はエリートでもワールドカップで決勝に勝ち上がり表彰台に乗ることが目標です!
中井飛馬にとってのBMXレーシングとは
改めてBMXは中井選手にとってどんな存在ですか?
A:僕の場合は少し特殊だと思いますが、物心付く前からBMXを始めそれからずっとBMXだけをやってきました。そしてBMXを通じて色んな友達ができましたし、BMXを通じて人との関わり方や物事に対する向き合い方を学びました。BMXを通じて海外に行くようになって世界が広がり、色んな文化や街を見るようになって英語も話せるようになりました。
更に悔しい想いや嬉しい想いも全部BMXを通じて経験してきているので本当に僕の人生をリードしてくれているものですし、真剣にBMXと向き合ってきたからこそ色んな大事なことを学べたと思っています。今後は自分で工夫しながらこの経験を色んな事に繋げていけたらベストだなと思います。本当にBMXは僕にとって「人生」です。
中井選手みたいになりたいと思っている子どもたちに向けてアドバイスはありますか?
A:振り返ってみると大変なこともいろいろありましたが、どうやって乗り越えたかを考えた時にやっぱり根本にあったのはBMXに夢中になって楽しんできたということだと思います。僕は本当にこの競技を遊びの延長線でやってきたのでBMXを嫌いになったこともないですし。だから本当にみんなにはBMXを純粋に楽しんで欲しいですね。
そういう意味であえてレースコースだけでなくパークに行ってみたり、少し思考を変えてマウンテンバイクに乗ってみたり、駐車場でも工夫して遊んでみたり、サイクリングで遠出してみるとかなんでも良いんですけど自分次第でBMXの楽しみ方ってどこまでも広がるし、それがBMXの良いところだと思います。遊んで楽しんでいった先に気づけば自分の目標が達成していることもあると思うので本当に楽しんでもらいたいです。
BMXレーサー中井飛馬としての最終的なゴールは何ですか?
A:やっぱりオリンピックで金メダルですね!
今後BMXを広めていく存在にもなると思います。どんなスポーツカルチャーにしていきたいですか?
A:BMXレースって他のアクションスポーツと違ってまだまだ一般の人たちと分断されているというか、BMXレースのことは知られていても近所ですぐ体験できるような場所がなかなか無いんです。またレースコースに関しては作るのにお金も土地も必要なので国内のコースの大半が街から離れた郊外ですし。
今後は東京近郊含めて色んな場所にレースコースを始めBMXを体験できる場所ができるように、そしてコミュニティを作っていきながら日本国内のBMXレースのカルチャーを発展させていきたいです。
最後に来シーズンに向けて意気込みを聞かせてください。
A:今シーズンは結果も良かったですし、それ以上に自分のライディングが成長した一年だったので、来年はこれまで以上にレベルアップしていくので結果を楽しみに待っていてください!!
あとはSNSやYouTubeももっと発信していきたいと思っています。BMXレースってライブ配信や大会結果でしか見ることがないと思うので、僕たち選手の活動の裏側みたいなところもみなさんに届けていきたいと思っていますので楽しみにしていて欲しいです。
中井飛馬プロフィール
2000年6月24日生まれ。新潟県上越市出身のプロBMXレーサー。5歳のとき新潟県上越市金谷山にてBMXレースと出会う。11歳の夏、世界選手権で初めて決勝進出を決め念願であったワールドゼッケンを獲得した。その後、12歳で本場アメリカの強豪チームにスカウトされ海外へ転戦を始める。2019年にはエリートクラス1年目ながら全日本選手権で優勝。2021年には日本人で初めてUCIワールドカップシリーズのU23シリーズチャンピオンに輝く。
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FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
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CLASSには若手からベテランまで国内のトップライダー18名が参加。なお今回の決勝の競技フォーマットは、本来「60秒間のソロラン2本」+「35秒間でのベストトリック5本」の合計7本のうち、上位スコア3本の合計得点により順位を決める形となる予定だったが、雨天になる可能性を鑑み、16分~20分間のジャムセッションの中で最大35秒間のベストトリックをメイクして時間内に成功した最高スコアの「ベストトリック2本を採用する最高20点満点」でジャッジされた。 今大会の戦いの焦点は高難度トリックを着実に時間内に決めること。ランがなくベストトリックだけであるため、ライディング中の転倒や足をつく動作、時間内にルーティンを終えられないと0点になってしまいスコアが付かない。とはいえ守りのトリックをすればスコアは伸びないという昨今の各大会とは大きく異なる難しさがライダーたちを悩ませた。 実際、ライダーたちは攻めのライディングを余儀なくされた中でのプレッシャーもありミスを連発。最後の最後まで誰が優勝するのか分からない試合展開に選手と観客ともに目が離せない状態が続いた。一方では普段ではなかなか見られない超高難度トリックも飛び出すなど日本のBMXフラットランドのレベルを大きく引き上げる一戦となった。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF そんな緊張感のある戦いを見事制したのは片桐悠。ベストトリックでは1本目から彼のオリジナルでもある「フルバイクフリップ」からの「バイクジャグリング」を決めてまず1本収めてくる。2本目ではバイクをお腹側にしてペダル軸での加速からバイクを半回転させてバイクを切り返していくルーティンをメイク。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 既に2本を決めている彼は3本目では同じく彼のオリジナルでもある「舞空術」の回転数を増やして逆サイドにスイッチするルーティンにトライするもミス。その後4本目、5本目最後でミスが続くも見事6本目でメイクした。その後はずっとミスが続きラスト1本までバックワーズからバイクを縦に跨ぐルーティンは失敗となった。しかしここまでに決め切った3本から2本が選ばれその高難度トリックの数々が評価を受けて合計18.1ptとし見事優勝を収めて2連覇を達成した。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝はARK LEAGUEのオーガナイザーでもある内野洋平。長年大会を支える一方で、このFLATARKを含め数えきれないほど様々な大会で優勝経験を持つ現役プロライダー。BMXフラットランド界を新たなステージに引き上げ続ける彼は、今大会でも最高難度のトリックにトライ。1本目、2本目ではミスがあった「バックワーズマニュアル to バイクフリップ」からのもう一度バイクフリップで締める彼のオリジナルルーティンをしっかりメイク。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF その流れのままバイクを背中向きに背負って進む「バックワーズツーフット」からのバイクの切り返しをメイクして2本目のスコアをまとめる。その後は1本失敗するも 「アップサイドのマニュアル to バイクフリップ」を加えたルーティンをメイクした。終盤戦はどのライダーもトリックをメイクできない時間が続く中、残り3分あたりで「バックスピン」からの難しいバイクの切り返すルーティンをメイク。最後は自身の代名詞トリック「ウッチースピン」も加えた長いスピントリックのルーティンにトライするも最後の最後で足をつくミス。しかし結果としてはそこまでの高難度かつオリジナリティのあるベストトリックの数々が評価されて合計17.8ptで2位となった。 田圓尚人のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位は2022年の「FLATARK」in YUSFで王者に輝いた田圓尚人。前半ではなかなか決めきることができず苦戦を強いられたが、残り時間5分の時点でリアトリックの体勢から「バイクフリップ to バックスピン to バイクフリップ」のコンボをメイクしていき気合いの1本目を決めきる。その後、2本目をメイクするのに苦戦を強いられるも残り2分のところではバイクをアップサイドに捉えながら片足をペダル軸に置きバックワーズからの自身のオリジナルトリックであるハンドルを握りながらバイクを足元で回す「気円斬」をメイク。意地の2本目を決めると最終的にこの2本が高評価を受けて合計点を17.0ptとして3位入賞を決めた。 WOMEN’S CLASSはネクストレベルのライディングが披露される接戦に。わずか0.2pt差の厳しい戦いを制したのは昨年大会王者の鈴木仁菜 一方で、唯一の女子カテゴリーとなったWOMEN’S CLASSにも国内外を股にかけて大活躍する女子のトップライダー10名が参加し、決勝1本勝負にて優勝争いが行われた。 なお今回のWOMEN'S CLASS決勝の競技フォーマットは、120秒間のソロラン1本にて最高30点満点でジャッジされた。「FLAT ARK」としては前回の甲子園大会から30秒延長となるこのフォーマットが導入されたのだが、今までに比べるとライディング時間が長くなるため自分の見せたいトリックを多く入れ込むことができる一方で体力勝負にもなることが予想された。 その中でも特に接戦となったのは鈴木仁菜と本村果鈴の戦い。昨年のYUSF’23で優勝した鈴木と前回の甲子園大会の優勝者の本村、どっちが勝つのか気になる今回を制したのは鈴木仁菜。 鈴木仁菜のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 今年のワールドカップでは負けなしの世界的にもその実力が評価されている鈴木は、所々でミスは見られたもののリアトリックの姿勢から、スカッフなしで「ツーフット」に移り「バックスピン」に切り替えたり、手足のポジションを入れ替えたり、難しい姿勢からバイクを回転させて切り返したりと目まぐるしく難しいバランスをとりながら行うトリックルーティンに盛り込んだライディングを見せて24.6ptと最高得点をマークし優勝を収めて2連覇を達成した。 本村果鈴のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝は鈴木にわずか0.2ptという僅差に迫った本村果鈴。スピン系のトリックを得意とする彼女は、リアトリックからフロントトリックに上手くスイッチしながら手足のポジション入れ替えたりとバリエーションの多いライディングを見せる。その後もルーティンの中にフロントトリックを軸にする中でスピンしながら「ウィップラッシュ」を入れたりハンドルを回したりとスムーズかつハイレベルなトリックを披露していく。終盤では左足をペダルに置いて片足での「ノーズマニュアル」から「ウィップラッシュ」に繋ぎ「バックスピン」という流れでルーティンを続けようとするも最後までメイクできずにランを終えると合計得点を24.4ptとして、惜しくも鈴木には届かず2位となった。 高橋七衣のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位はBMXフラットランド強豪である佐賀出身の弱冠13歳の高橋七衣。フロントタイヤを軸にしたトリックを中心にランを展開。1本目、2本目と上手くバランスを取りながらでのフロントトリックの 「ツーフット」からの「トランスファー」など丁寧にトリックを決めていくと、ラスト1本では途中から決められず苦戦していた「サイドヤード」の姿勢からリアへの「トランスファーからのバックスピン」をしっかり決めきった。このルーティンが高評価を受けたか合計点を23.5ptとして3位入賞を収めた。 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <OPEN CLASS >優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 18.1pt準優勝: 内野 洋平 (ウチノ・ヨウヘイ) / 17.8pt第3位: 田圓 尚人 (タマル・ナオト) / 17.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <WOMEN’S CLASS>優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 24.6pt準優勝: 本村 果鈴 (ホンムラ・カリン) / 24.4pt第3位: 高橋 七衣 (タカハシ・ナナエ) / 23.5pt ©︎Jason Halayko /YUSF <EXPERT CLASS>優勝: カナモト コタロウ準優勝: フジイ トハ第3位: イケダ コウタ ©︎Jason Halayko /YUSF <NOVICE CLASS>優勝: サトウ ライ準優勝: カネコ ジロウ第3位: コタベ コウイチ 大会概要 ⼤会名称 : 【FLATARK produced by ARK LEAGUE】イベント名称 : YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 (略称 YUSF ʼ24)会場:横 浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)日程・時間: 2024年11月9 日(土)・11月10日(日) 【YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24】主催: YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 実行委員会 (株式会社横浜赤レンガ / 明治商工株式会社 / 株式会社ローソンエンタテインメント / 株式会社ゼータ) 共催: 横浜市にぎわいスポーツ文化局(予定) / 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 協賛: 三菱商事都市開発株式会社 / 富士フイルム株式会社 / GoPro合同会社 / 第一生命保険株式会社 / 本田技研工業株式会社 / サミー株式会社 / カシオ計算機株式会社 / プレミアムウォーター株式会社 / 日本たばこ産業株式会社 / レッドブル・ジャパン株式会社 / 学校法人岩崎学園協力: 一般社団法人ARK LEAGUE / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ / 公益財団法人日本バレーボール協会 / 株式会社HANDOFFメディア協力:スカイ A / FINEPLAY
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skate世界最高峰レベルの異次元のコンボトリックの数々が披露された熾烈な一戦【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】in YUSF’242024.11.14「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL'24」が横浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)にて2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間に渡り開催され、本イベント内でスケート・ボード種目の大会として開催された【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】にてWomen’sクラスでは吉沢恋選手が、Men’s Hiクラスで早川竣乃祐選手が優勝した。 2017年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARK LEAGUE」の1つであるスケートボード種目の大会がこの「SKATE ARK」。「ライダーが創るライダーの為の大会」を信念に掲げて毎年アップデートされていることから、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。 パークやバーチカルなど様々なスタイルがあるスケートボード競技だが、そのうち日本人選手が世界のトップレベルで活躍している、街中にあるような階段やレールなど障害物のあるコースで競う「ストリート種目」をSKATE ARKでは実施。2022年と2023年に続き、今回も世界で活躍する国内トップスケーターが出場し終始大盛り上がりの大会となった。 ©︎Jason Halayko /YUSF なお、今回の「SKATE ARK」のセクションは本イベントの会場である赤レンガパークの中でも一番手前の大通り寄りに設置され、来場者ではない一般の通行客からもよく見える最高のロケーションの中で、2日間に渡って終始たくさんの観客に見守れながら大会は進行していった。 以下は、今大会最注目となったWomen’sクラスとMen’s Hiクラス決勝戦の大会リポート。 実力者と若手が入り乱れたMen’s Hiクラスは若手に軍配。実力者たちを抑えた早川竣乃祐が優勝を勝ち取った 今大会の男子カテゴリー最上級クラスとなるMen’s Hiクラスには日本国内から幅広い年齢層のトップライダー19名が参加。前日に行われた予選から熾烈な戦いが行われ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。 そして今回の競技フォーマットはコースレイアウトの関係上、前大会とは異なりソロラン無しのベストトリック合戦となった。予選では7分間のジャムセッション、決勝ではベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める形で1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジされた。 今大会にはパリ五輪日本代表の白井空良をはじめ、「2023 UPRISING TOKYO Supported by Rakuten BEST TRICK WINNER」の濱村大征などベストトリックのレベルの高さが世界的にも評価されている選手が多く出場した。ただ今回は白井が惜しくも先日怪我をした膝の調子が奮わず予選敗退となる一方で、決勝は若手も勝ち上がり名を連ねて実力者と対峙する展開に。決勝は5本中2本のスコアが採用されるフォーマットであることから、最後の最後まで各ライダーが自分たちの持つベストトリックにトライする攻めのライディングを終始見せる観客にとっても見応えのある手に汗握る展開になった。 ベストトリック1本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 5本のチャンスがあるものの、2本目以降でより攻めのトリックにトライするためにもしっかり決めておきたい1本目はほとんどのライダーがスコアをマーク。その中でも8点台のスコアを残して弾みを付けたのは実力者の浦野晴と大場蓮。浦野は「スイッチフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をメイクすると8.2ptをマーク、大場は「ポップショービットフロントサイドフィーブルグラインド180アウト」をメイクし8.3ptをマークして強さを見せる。 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 2人に続く形で7点台をマークして2本目に繋げたのは早川竣乃祐、濱村大征、浦野健隼の3名だ。早川は「ノーリフリップバックサイドボードスライド」を決めると7.7pt、濱村は「ハードフリップバックサイドリップスライド」で7.6pt、浦野晴の兄でトリックマスターとして知られる浦野健隼はハバレッジでの「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」で7.3ptをマークし、早くも熾烈なベストトリック合戦の始まりを予感する1本目となった。 ベストトリック2本目 2本目では早速各ライダーがギアを上げてきたのか、なかなかトリックをメイクできない展開に。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは高石颯来と濱村大征の2名。高石は「キックフリップバックサイトテールスライドフェイキー」をメイクし7.6ptをマーク。彼自身も着地が少しスケッチーだったことからトリックメイクに驚いている様子も見せた。濱村は1本目で浦野健隼がハバレッジでメイクした「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」をレールで決めると7.0ptをマークした。今回のスコア採用は2本だけのためまだこの段階ではまだまだ勝負の行方は分からない状態。 ベストトリック3本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF ほとんどのライダーが1本以上スコアをマークしていることから、まだ残りのチャンスに余裕がある一方で勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目。ただやはりスコアアップするためのトリックメイクには難易度とプレッシャーがあるからか、ここ3本目でも2名を除きほとんどのライダーがミス。一方でしっかり決めて見せたのが、3本連続で着実にメイクしている高石颯来と個性的な渋いトリックをチョイスする大場蓮。高石は「キックフリップバックサイドスミスグラインド」をメイクすると7.4ptをマーク。2本目のスコアを上回ることはできずベストスコアにはならなかったが、1本目の6.4ptを上回りスコアアップには成功。大場は2本目で失敗した「ビックスピンフロントサイドハリケーングラインド」を見事メイクし8.5ptをマーク。自身のスコアを8点台で揃えて暫定1位に躍り出た。 ベストトリック4本目 三星怜生のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 残りトライできる本数が少なくなってきたこの4本目。ここでは実力者も含め多くのライダーが相変わらずトリックメイクに苦戦を強いられている中で、8点台をマークして表彰台の座を大きく引き寄せたのは若手の三星怜生と早川竣乃祐の2名。三星は「フロントサイド360テールスライド」をレールで決めて決勝最高得点の8.9pt、早川は「ノーリーキックフリップバックサイドテールスライド」をハバレッジで決めて8.6ptをマークすると、三星は暫定3位、早川は暫定2位となり残すは自身も含めて各ライダーが5本目でどんなトリックをメイクするのかに委ねられた。 ベストトリック5本目 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF そして迎えたラスト1本。各ライダーがチャレンジし続けてきたベストトリックを決め切る必要があるラストチャンスだったが、惜しくも番狂わせを起こす展開にはならなかった。その中でも終始トリックメイクできず苦しい時間を過ごしていた梅村敏秀が最後に「トレフリップフロントサイド5-0グラインド」をハバレッジでメイク。やっと決め切れたトリックに天を見上げる様子も見せた。 一方で流れを掴んでラストトリックも決めきって見せたのは4本目をメイクした三星と早川。三星は「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」で7.3ptをマークしてスコアアップし暫定3位となった。そして暫定1位の大場を追う展開となった暫定2位の早川はラストトリックとして「ノーリーキックフリップバックサイドリップスライドショービットアウト」を綺麗にレールで決めて8.4ptをマークすると暫定1位に躍り出た。その後の出走となった大場も濱村もトリックを決められなかったことから、最終結果としては早川が優勝。2位に大場、3位に三星となった。その中でも特に早川と三星は若手でこれからが楽しみなライダー。今後彼らがどう日本のトップ勢に食い込んでくるのかが楽しみだ。 将来有望な若手ライダーたち ©︎Yoshio Yoshida /YUSF Women’sクラス決勝に名を連ねたのは世界で活躍するトップスケーターたち。そんなハイレベルな戦いを制したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋 今大会のWomen’sクラスには日本国内のトップライダー12名が参加。前日の予選から熾烈な戦いが繰り広げられ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。競技フォーマットはMen’s Hiクラス同様に決勝はベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジとなった。 そして今大会の決勝には世界大会で活躍するライダーたちが勢揃い。その面々は上村葵、大西七海、石丸葵、丹野莉愛、藤澤虹々可、吉沢恋、織田夢海、松本雪聖といった世界王者経験者から最近急成長の若手まで全日本選手権の決勝ないし世界大会の決勝でも見劣りしないメンバーがここ横浜赤レンガ倉庫の会場で優勝の座を争った。 ベストトリック1本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 男子同様に女子も2本目以降でより攻めのトリックにトライするため、まずしっかり堅実にスコアを残すことを優先するかと思われた1本目だったが、最初から攻める空気感を作り出したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋だった。吉沢は1本目からパリ五輪で金メダルを勝ち取ったハンマートリックの「ビックスピンフリップフロントサイドボードスライド」をメイクすると8.8ptをマークし後続にプレッシャーをかけていく。 織田夢海のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF しかしその流れをしっかり捉えて吉沢のトリックを上回って見せたのは織田夢海。織田は彼女の代名詞的ハンマートリック「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をメイク。今大会唯一の9点台である9.0ptをマークして強さを見せた。 ベストトリック2本目 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 1本目から吉沢と織田が攻めのライディングを見せる中、2本目ではトリックメイクに苦戦するライダーと着実に好スコアを残すライダーが二極化。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは丹野莉愛、織田夢海、松本雪聖の3名。織田は1本目で松本が決めた「キックフリップフロントサイドボードスライド」をメイクし7.3ptをマーク。続く松本は「キックフリップバックサイドリップスライド」を決めると7.9ptをマークしスコアアップししっかり2本ともスコアを残した。 一方で2本のスコアメイクと共に8点台のハイスコアをマークしたのは丹野莉愛。丹野は「270フロントサイドボードスライド」をメイクしガッズポーズを見せた。しっかりスコアも評価され8.8ptをマークすると暫定2位に食い込んできた。 ベストトリック3本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 現在トップは織田、丹野、松本という順番で迎えた中盤戦。終盤に向けて勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目でプレッシャーをも感じさせずに唯一トリックを決めて見せたのがやはりこのライダー吉沢恋。8.7ptをマークするライディングでセカンドハイエストを更新して一気にスコアアップし、暫定2位の織田に1点以上の差をつけて暫定トップにジャンプアップした。 ベストトリック4本目 ライディング後にボードが折れるアクシデントがあった藤澤虹々可 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 3本目で吉沢にリードを許す一方でしっかりトリックを決めてここで追い上げておきたいと思う4本目。しかしここでも相変わらず多くのライダーがトリックメイクに苦戦を強いられた。一方でこの4本目でなんとかトリックをメイクして見せたのは藤澤虹々可。ずっと失敗していた「ポップショービットフロントサイド50-50グラインド」をメイクして8.6ptという好スコアをマーク。あと一本決め切れば表彰台の座も見えてくる中で藤澤にトラブル。トリックの着地でデッキのテール側が折れてしまうアクシデント。スペアのボードもなく誰かのボードを借りることを余儀なくされた。そんなことも起きた展開の中で、最後5本目を残して現在トップは吉沢、織田、丹野の順に。このままで大会を終えるのか、もしくは最後に番狂わせがあるのか。そんな期待も渦巻く中でラストトリックへ。 ベストトリック5本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF もう後が無いラストトリックとなった5本目。多くのライダーが決め切れず辛酸を舐めたこのラストチャンスだったが、暫定3位の丹野が最後に表彰台の座を盤石にするため滑走するもメイクした「フロントサイドフィーブルグラインド」ではスコアアップできずに少し不安が残る展開に。 一方で最後も高得点で締め括ったのがやはり吉沢。ラストトリックでは「ノーズグラインドビックスピンアウト」でメイクして8.3ptをマークした。そして暫定3位の丹野を追う展開となった暫定4位の松本はラストトリックに「キックフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をレールで決めて7.6ptをマークすると0.2pt差で3位にジャンプアップ。最終結果としては吉沢が優勝。2位に織田、3位に松本となった。 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 今回表彰台に上がった3名はベストトリックのレベルの高さに定評があるのはもちろんのことだが、どんな状況でもしっかりスコアを残すことができる実力を持ち合わせているからこそ、世界の大舞台でも結果を残せているということが分かった。また4位となった丹野も松本とはたった0.2pt差。吉沢と織田に比べると若くさらにこれからの成長が楽しみなのがこの丹野と松本だ。日に日に目に見える成長著しいこの女子ストリート種目。今後はトップ勢はもちろんのこと若手にも注目だ。 今後の成長が期待される松本雪聖と丹野莉愛 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Women's Class /ウィメンズクラス>優勝: 吉沢 恋 (ヨシザワ・ココ) / 17.5pt準優勝: 織田 夢海 (オダ・ユメカ) / 16.3pt第3位: 松本 雪聖 (マツモト・イブキ) / 15.5pt4位: 丹野 莉愛 (タンノ・リア) / 15.3pt5位: 藤澤 虹々可 (フジサワ・ナナカ) / 8.6pt6位: 大西 七海 (オオニシ・ナナミ) / 6.2pt7位: 石丸 葵 (イシマル・アオイ) / 3.8pt8位: 上村 葵 (ウエムラ・アオイ) / 0.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Hi Class /メンズハイクラス>優勝: 早川 竣乃祐 (シュンノスケ・ハヤカワ) / 17.0pt準優勝: 大場 蓮 (オオバ・レン) / 16.8pt第3位: 三星 怜生 (ミツボシ・リオ) / 16.2pt4位: 高石 颯来 (タカイシ・ソラ) / 15.0pt5位: 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 14.6pt6位: 梅村 敏秀 (ウメムラ・トシヒデ) / 8.6pt7位: 浦野 晴 (ウラノ・ハル) / 8.2pt8位: 浦野 健隼 (ウラノ・ケント) / 7.3pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Low Class /メンズロークラス>優勝: カミタニ・ユウセイ準優勝: ナトリ・ヤマト第3位: リョウジ・ワカバヤシ 大会概要 ⼤会名称 : 【SKATEARK produced by ARK LEAGUE】 イベント名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL '24 (略称:YUSF’24)開催期間 : 2024年11月9日(土)~10日(日)- 2日間 -※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:横浜赤レンガ倉庫 イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区新港1-1)主催:一般社団法人 ARK LEAGUE協賛: 第一生命グループ / GoPro / 三菱商事都市開発/ Red Bull / G-SHOCK / ムラサキスポーツ
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dance“AIRHEADZ”が世界への挑戦権を獲得!「Freestyle Session JAPAN 2024」2024.11.1320年以上の歴史があるブレイキンシーンを象徴する大会 都市型スポーツとストリートカルチャーの祭典「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2024(以下、YUSF)」が11月9日、10日に横浜赤レンガ倉庫で初開催された。本イベント内のBREAKINGコンテンツとして【Freestyle Session JAPAN 2024】が行われ、AIRHEADZが優勝を飾った。Freestyle Session は、1997年アメリカで始まった世界一のCREWを決める伝説のブレイキンバトルで、20年以上の歴史を誇り、今でもブレイキンシーンを象徴するイベントの一つである。国内では、Bboy Toshio a.k.a. Machanが2002年に日本にFreestyle Sessionを持ち込んだことで日本大会がスタート。今回と同じ横浜赤レンガ倉庫で開催された2022年のYUSFでは、Freestyle Session JAPANの20周年が祝われ表彰などが行われた。近年のYUSF内で行われたFreestyle Session JAPANには、今年パリオリンピックで活躍した日本代表勢も出場。2022年大会では、パリオリンピックで金メダルを獲得したAMIがGOOD FOOTで出場し優勝。昨年の2023年大会では、オリンピック第4位のShigekixがXII After oursで出場して同じく優勝を成し遂げている。現在、世界の第一線で活躍するBBOY・BGIRLも憧れる舞台に今年も多くの挑戦者たちが集まった。 ©AYATO. /YUSF ヤングガンズが台頭した今年の日本大会 過去の大会と比べると、今回はニューフェイスが多く登場し若手世代の活躍が目立った。決勝まで駒を進めたgunbarawはThe Floorriorzのメンバーで小学生のWatoを中心とするチーム。惜しくも決勝で敗れてしまったが、大人顔負けのパワームーブを展開し会場を沸かせていた。優勝したAIRHEADZも10代と20代で構成されるクルーであり、今大会では大躍進を遂げた。予選を勝ち抜きTOP16のトーナメントに進出したクルーの中には、YELLOW SUNSやFOUND NATIONなど、国内の様々なバトルを制し、名を轟かせるBBOY・BGIRLもいたが、そのような実績のあるクルーを破りAIRHEADZが見事、頂点に輝いた。優勝したAIRHEADZには、11月16日からアメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルTOP16の出場枠が与えられる。 ©AYATO. /YUSF AIRHEADZ 優勝コメント 今日1日を振り返ってみてどうでしたか? DoubleNew(以下D):この人数でバトルに出るのも初めてだったし、セッション(Freestyle Session)は狙いにいきたいと思って準備していました。トーナメントの組み合わせ的にも、毎バトル全力を出すしかない状況だったので、いい動きが出来たし、それがこの結果に繋がったと思います。すごく嬉しいです! AIRHEADZらしさは出せましたか? D:僕たちは本当にチーム愛を大事にしているクルーだし、いつも一緒に過ごしている仲間たちです。そこがバトルにも出ていたと思います。 アメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルに向けての意気込みを教えてください D:Freestyle Sessionのワールドファイナルは、夢に見ていた舞台なので、全力を尽くして勝ちにいきたいです。 ©AYATO. /YUSF