【スポーツクライミング】日本クライミング界、新世代台頭で新たなステージへ突入

2020.02.12
FINEPLAY編集部
伊藤ふたば / photo by HAMASHOW

2020年2月8日、9日の2日間、東京都世田谷区・駒沢オリンピック公園において、スポーツクライミング2020年シーズンの開幕戦にあたる大会「スポーツクライミング第 15 回ボルダリングジャパンカップ」(以下「BJC」)が開催された。

「BJC」は2020年のJMSCA(日本山岳・スポーツクライミング連盟)ボルダリング日本代表選考大会でもあり、IFSC(International Federation of Sport Climbing)クライミングワールドカップ出場を目指す選手たちにとって非常に重要な大会となる。
2020年には東京オリンピックも控えており、日本代表に内定している野口啓代(TEAM au)、楢崎智亜(TEAM au)も出場しているが両選手は惜しくも2位。好成績を残したものの、伊藤ふたば(TEAM au)、原田海(日新火災)という2人の新世代クライマーに王者の座を譲るかたちとなった。

ボルダリングの水準は世界トップレベルと言われる日本。その中でボルダリング日本一を決める「BJC」では、毎年ハイレベルかつ熾烈な争いが行われる。
これまでにも多くの新たなスターを輩出してきた「BJC」だが、オリンピックを目前に控えた今大会においても、準決勝、決勝には新たな顔ぶれが並び、新世代の台頭を予感させる結末となった。

日本代表の安井博志ヘッドコーチは今回の大会を振り返って「どの選手も上向きな調子で今シーズンに入ってきており、全体的な選手たちの動きも良かった。今後が非常に楽しみ」だと言う。

楢崎智亜 / photo by HAMASHOW
野口啓代 / photo by HAMASHOW
原田海 / photo by HAMASHOW
左から楢崎智亜、野口啓代、原田海、伊藤ふたば、井上祐二、野中生萌 / photo by HAMASHOW

女子では未来のスター誕生に期待

女子では、3年ぶり2度目の優勝を飾った伊藤をはじめ、着実に力をつけている森秋彩(茨城県山岳連盟)や谷井菜月(橿原学院高等学校)、そして松藤藍夢(あのん)(神奈川県山岳連盟)といった高校生が決勝に残り活躍。

特に松藤は2019年から開催されている「SPORT CLIMBING JAPAN TOUR」(以下、「ジャパンツアー」)ボルダリングで年間1位となり、今回の「BJC」に参戦。予選を一位で通過しその名をあげた。「苦手なベルトコンベア方式を練習し、結果を残すことができた。スピードジャパンカップ、リードジャパンカップも引き続き頑張りたい」と語る16歳の今後の活躍に期待大だ。

森秋彩 / photo by HAMASHOW
谷井菜月 / photo by HAMASHOW
松藤藍夢 / photo by HAMASHOW

大波乱の男子準決勝

一方男子では、「BJC」の優勝候補であった前大会王者の石松大晟(Base Camp)、オリンピック代表の残りの枠を狙う藤井快(TEAM au)や楢崎明智(TEAM au)といった面々が準決勝で敗退。波乱の結果となる。
準決勝では4課題中3課題の完登で川又玲瑛(栃木県立宇都宮南高等学校)が1位、井上祐二(福井県山岳連盟)が2位通過。原田、楢崎智亜は4課題中2課題の完登で決勝へ進み、残る2名の枠も小西桂(慶応義塾大学)、佐野大輝(ウィルスタッフ)というニューフェイスが進出した。

「(優勝すると)宣言していたし自信もあった、有言実行できて嬉しい」と語る原田が王者の座を勝ち取ったものの、井上が「BJC」で自身初の表彰台に登るなど健闘。16歳の川又は惜しくも4位となったが、こちらも自身初の決勝進出であり、大躍進の結果となった。
安井ヘッドコーチが「握る力の強さが武器。負けん気が強く、登り切ろうというガッツがある」と語る川又。今後の成長が最も楽しみな選手だ。

川又玲瑛 / photo by HAMASHOW
井上祐二 / photo by HAMASHOW
佐野大輝 / photo by HAMASHOW

東京オリンピックのその先へ 新世代の成長に期待がかかる

東京オリンピックでの現役引退を宣言している野口について、「彼女が日本のクライミング界を引っ張ってきたし、誰もが彼女を目指して頑張ってきた」と安井ヘッドコーチは言う。

今回、伊藤が“憧れ”の存在であった野口を抑えて女王の座に輝いた出来事は象徴的だ。「もっと一緒に登りたかった。憧れの啓代ちゃんに勝つことができて嬉しい。」と語る伊藤。彼女は今回の大会を振り返り、「前回の優勝と比べて、実力をつけて、強くなって優勝することができた」と実感しているという。
野口が日本のクライミング界に切り拓いてきた道の上を、多くの後続の選手たちが追走してきた。そして今度は野口の意思を引き継いで、新しい世代の選手たちが、新たな道を切り拓いていこうとしているのだ。
そしてその道は、東京オリンピックの先、2024年のパリオリンピックへと繋がろうとしている。

安井ヘッドコーチは「今年の日本代表の選考基準にも次のパリオリンピックを見据えた基準を盛り込んでいる」と語る。
「2019年からの『ジャパンツアー』の開催もその一つ」であり、「海外に遠征をしている選手たちは経験値が高いが、国内大会を主に活動する選手の経験値がなかなか上がらなかった。下の世代の選手の経験値を上げていくための舞台が必要だった」のだという。今大会での松藤の活躍も、その成果の一つだといえるだろう。
「その枠組みができたことでパリオリンピックに向かっていく体制を作ることができた。今大会はその成果もあり、若い世代の良い循環が見られた」と語る安井ヘッドコーチの目もまた、未来を見据えている。

「BJC」では東京オリンピックで終わらない、パリオリンピック以後の日本クライミング界の未来を垣間見ることができた。

野口啓代 / photo by HAMASHOW

ボルダリングジャパンカップ結果

男子

優勝:原田海
準優勝:楢崎智亜
3位:井上祐二

左から2位楢崎智亜、優勝原田海、3位井上祐二 / photo by HAMASHOW

女子

優勝:伊藤ふたば
準優勝:野口啓代
3位:野中生萌

左から2位野口啓代、優勝伊藤ふたば、3位野中生萌 / photo by HAMASHOW

THE MOMENTS of 「スポーツクライミング第15回ボルダリングジャパンカップ」

野中生萌 / photo by HAMASHOW
photo by HAMASHOW
楢崎智亜 / photo by HAMASHOW
小武芽生 / photo by HAMASHOW
小西桂 / photo by HAMASHOW
伊藤ふたば / photo by HAMASHOW
原田海 / photo by HAMASHOW
野中生萌 / photo by HAMASHOW
井上祐二 / photo by HAMASHOW
中村真緒 / photo by HAMASHOW
原田海 / photo by HAMASHOW
平野夏海 / photo by HAMASHOW
杉本怜 / photo by HAMASHOW
伊藤ふたば / photo by HAMASHOW
土肥圭太 / photo by HAMASHOW
森秋彩 / photo by HAMASHOW
photo by HAMASHOW
photo by HAMASHOW

取材・文:金子修平
写真:HAMASHOW

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