多様な未来を考えるトークセッション「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2018 DIVE DIVERSITY SESSION」レポート

2018.09.23
shuhei kaneko

⽇本財団と渋⾕区が連携し、多様な未来を考えるイベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2018(以下SIW)」が9⽉7⽇(⾦)~17⽇(⽉・祝)に行われた。

⻘⼭学院⼤学構内や渋⾕ヒカリエ、表参道ヒルズ、ラフォーレミュージアム等、渋⾕・原宿・表参道エリアの施設やイベントスペースを中心に、6つの多様なプログラムで参加できる80を超える都市回遊型イベントを展開している。

今回は6つのプログラムのうちのひとつ、「DIVE DIVERSITY SESSION(以下DDS)」の注目イベントをレポート。

「DDS」とは、国内外から様々な有識者を迎え、「多様性社会」の可能性を探求するトークセッションだ。トークテーマは「本質」、経営者や研究者、思想家やクリエイターやアーティストまで、様々な専門家の視点で未来へのヒントを考える。

スポーツの本質

「SIW」最終日、9月17日、11:30、表参道ヒルズ本館地下3階のスペース・オーで「DIVE DIVERSITY SESSION」、「スポーツの本質」のトークセッションが行われた。

トークセッションの講師は株式会社スポーツマーケティングラボラトリー執行役員の石井宏司氏、公益財団法人日本スポーツ協会広報専門委員会委員の田中安人氏、株式会社Jリーグマーケティング 専務執行役員山下修作氏の三名。

スポーツを中心として様々な分野で活躍してきた三氏により、「スポーツの本質」についてのトークセッションが交わされた。

それぞれのスポーツとの出会いを顧みながらその魅力や可能性について議論、「スポーツの持つ多様な価値」、「外交交渉や地方創生に役立ったこと」、「スポーツが解決する社会課題」など三氏の経歴の中での例を用いながらスポーツが社会に対してできる多様な可能性を探った。

それまでのトークを総合して「スポーツの本質」についての意見が提出され、「これまでの価値観であった「する」、「見る」スポーツの価値に加え、「使う」スポーツの価値がある」と田中氏は提唱。「スポーツには政治、経済、文化、といった多様な社会課題をこれまでと違った観点から解決する力を持つ」とし、「スポーツの持つ力、その使い方が日常的に議論される社会の枠組みを作っていきたい」と締めくくった。

「スポーツの本質」

日時:9月17日 11:30-12:50 @表参道ヒルズ
登壇者:(株)スポーツマーケティングラボラトリー ⽯井宏司、(公財)⽇本スポーツ協会/(株)グリッド/(株)吉野家 ⽥中安⼈、(株)Jリーグマーケティング ⼭下修作

イノベーションの本質

渋谷区神宮南に所在するイベントスペースEDGEofで「イノベーションの本質」が行われた。

講演者はSocial Innovation StrategistのRaluca Simiuc(ラルカ・シミック)氏と一般社団法人渋谷未来デザイン事務局次長の長田新子氏の2名。

両者ともにレッドブルで勤務していた経験を持ち、今回のトークセッションではレッドブルという企業の成長、その要因となった風土とソーシャルイノベーションの考え方の近似性について語られた。

シミック氏は「オーストリア・ザルツブルクをブランディングが最も成功した例」であるとし、同じく同地から始まった「レッドブルも草の根の活動から始まった会社である」と語る。

「ソーシャルイノベーションはまだ新しい考え方であるものの、世界の問題を解決し、その目的を達成するための方法」であると解説し、「レッドブルに根付く会社の風土、考え方とも共鳴する部分が大いにある」という。

その根底には「Why(なぜ)を常に考え、How(どうやって)を重視する考え方」があるといい、レッドブルが様々なアクションスポーツやストリートスポーツをサポートしてきた実績を例に挙げながら解説した。

そしてソーシャルイノベーションにおいても同様に「WhyとHowを重視し、目的、信念を持ちながら長期的な視点を維持することが重要である」と締めくくった。

会場にはシミック氏の言葉を胸に刻もうと多くの聴衆が詰めかけていた。笑顔を絶やさず、一語一語しっかりと発語するシミック氏の姿が印象的であった。

トークセッション終了後も質問者の受け答えにひとつひとつ丁寧に答える姿は、彼女が語った「イノベーションの本質」そのものであった。

「イノベーションの本質」概要

日時:9月17日  13:20-14:20@EDGEof
登壇者:Social Innovation Strategist ラルカ・シミック、(⼀社)渋⾕未来デザイン ⻑⽥新⼦

元レッドブル・マーケッター2名が語るイノベーションの本質

みえない私の本質~ブラインドスポーツの可能性~

「みえない私の本質~ブラインドスポーツの可能性~」では、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の伊藤亜紗氏、パラリンピックで日本人最多の21個のメダルを獲得し日本人として初めてパラリンピック殿堂入りを果たした一般社団法人日本パラリンピアンズ協会会長の河合純一氏、ブラインドサッカー日本代表の田中章仁氏の3名が登壇。

それぞれの自己紹介をかねて経歴を語りながら、「みえないこと」に関することや携わる競技の魅力について話し、そのほか「自分の種目を再定義」、「どのようにスポーツ観戦を行っているか」、「2020年のパラリンピックに向けて」といった議題が取り上げられ、それぞれの競技や、「みえない」ことによる健常者との感覚の違いや「みえない」人の中での多様性などが話し合われた。

田中氏は、「2020年以降も興味を持ってもらえるようにスポーツの魅力を伝えていきたい」と語り、河合氏は「2020年はそれぞれの長所、個性を発揮して社会に貢献できるチャンス、健常者や障害者関わらずいろんな人が参加することのできる環境づくりをしていきたい」とトークセッションを締めくくった。

「みえない私の本質~ブラインドスポーツの可能性~」

日時:9月17日 15:00-16:20 @表参道ヒルズ
登壇者:東京⼯業⼤学 准教授 伊藤亜紗、(⼀社)⽇本パラリンピアンズ協会 河合純⼀、ブラインドサッカー⽇本代表 ⽥中章仁

アイデアの本質

「アイデアの本質」ではそれぞれ特徴的な3名がトークセッションを行った。

登壇したのは株式会社EVERY DAY IS THE DAYクリエイティブディレクターの佐藤夏生氏、プロデューサーやMC、DJ、クリエイティブディレクターなど多彩な肩書を持つVERBAL氏、株式会社umari代表の古田秘馬氏の3名。

「アイデアはどこからやってくるのか」、「LIFE HACK」、「新しい関係」、「身体感覚」、「グローバルの反対は?」、「インターローカル」、「アイデアの力」など各氏が興味を持つ様々なキーワードをもとにトークセッションが行われ、時には観客の笑いを誘いながら、アイデアが持つ力や可能性を探った。

古田氏は「アイデアの力とはあるものの定義が変わる、それまであったもののすべてを変えることのできる可能性」を秘めているといい、佐藤氏は「同時にアイデアを生み出す作業はものすごく繊細でもろい作業であるが、生み出されたものがものすごく大きな価値を持つ」と付け加えた。

和やかなムードでトークセッションは進んだが、真剣な顔で互いに議論し合うシーンも見られ、「アイデアの本質」について熱く議論が交わされた約1時間20分であった。

「アイデアの本質」

日時:9月17日 15:00-16:20 @表参道ヒルズ
登壇者:(株)EVERY DAY IS THE DAY佐藤夏生、プロデューサー/MC/DJ/AMBUSH®クリエイティブディレクター VERBAL、(株)umari 古田秘馬

SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2018

名称:SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2018
発起⼈:⽇本財団(笹川陽平 ⽇本財団会⻑)、渋⾕区(⻑⾕部健 渋⾕区⻑)
プロデューサー:⾦⼭淳吾(渋⾕区観光協会代表理事)、⻑⽥新⼦(渋⾕未来デザイン事務局次⻑)
主催:SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 実⾏委員会
開催期間:2018年9⽉7⽇(⾦)~9⽉17⽇(⽉・祝)
会場:渋谷駅、原宿駅、表参道駅の周辺エリア、⻘⼭学院⼤学、渋⾕ヒカリエ、表参道ヒルズ、EDGEof、渋⾕キャスト、ラフォーレミュージアム原宿、cafe 1886 at Bosch 他
内容:多様な未来を考える1 週間として、渋⾕・原宿・表参道の商業施設やイベントスペースを拠点に、下記の6つの多様なプログラムで参加できる都市回遊型イベント。

<開催背景>

本プロジェクトは、渋⾕区が2017 年11⽉にはじめて開催したダイバーシティをテーマにした複合カンファレンスイベント「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」と2016 年に⽇本財団主催事業としてスタートした「⽇本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」を、「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」として統合的に開催するものです。

<ビジョン>

『都市の未来、社会の未来とはどうあるべきか』

渋⾕区と⽇本財団がこれからの社会に最も必要な視点「ソーシャルイノベーション」というキーワードでパートナーシッププログラムの⼀環として実⾏される本プロジェクトでは、都市が抱える社会課題領域から可能性創造領域までを集中的に体感し、学べる機会を提供していきます。

また、本イベントを通じ、参画する様々な企業や団体との連携を⽣み出し、都市の未来、社会の未来を渋⾕から創造していきます。

執筆者について
shuhei kaneko
愛知県出身。学生時代、ハードコアパンクにのめり込み、ストリートカルチャーやアクションスポーツに興味を持つ。自動車ディーラー勤務を経て、現在は福祉系の会社に勤務しつつ執筆、編集を行う。全ての人の心を揺さぶる、ストリート・アクションスポーツの素晴らしさやアスリートの魅力を伝えていくために日々研鑽中。
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