【ブレイキン】杭州アジア大会でShigekixがパリ五輪出場権を獲得!歴史的な快挙をプレイバック

2023.10.13
text by 橋田 樹台 / ©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

2023年10月6日(金)、7日(土)に中国・杭州で第19回アジア競技会が開催され、男子はShigekix(半井 重幸)とISSIN(菱川一心)、女子はAMI(湯浅亜実)とAYUMI(福島あゆみ)の計4名が日本代表選手として本大会に出場した。

本大会での優勝者(男女 各1名)は、パリ2024年夏季オリンピックへの出場権利を獲得することになり、パリ五輪出場を狙うアジアのBBOY・BGIRLたちにとっては重要な位置づけの大会となった。結果としては、男子のShigekixが見事金メダルを獲得し、パリオリンピックへの出場権を獲得する快挙を達成した。

また女子もAMIが準優勝で銀メダル獲得、AYUMIも3位決定戦で勝利し銅メダルを獲得した。女子の2名は来年の4月〜6月に開催される、OLYMPIC QUALIFIER SERIES EVENT(OQS)へ出場し、パリオリンピックへの出場権獲得を目指すこととなる。今回4位の結果となったISSINもOQSポイントによる選抜枠を利用し、OQSからのパリオリンピック出場権獲得を目指す形となる。
尚、OQSなどの詳しい出場条件や先行プロセスはこちらの記事をご覧ください。

本記事では男女決勝の内容、そしてShigekixが日本のBBOYとして初めて成し遂げた「パリ五輪出場」の快挙を振り返っていきたい。

Shigekix vs Hong10の決勝戦

Shigekix / ©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

本大会の決勝戦は Shigekix vs Hong10 の決勝戦となった。Hong10は韓国出身の38歳。Shigekixと同じクルーである「Red Bull BC One All Star」にも所属し、過去には2度「Red Bull BC One」の頂点にも輝いている世界的なレジェンドBBOYだ。対するShigekixも全日本ブレイキン選手権では3連覇、先日ベルギーで行われた世界選手権では銅メダルを獲得するなど、輝かしい成績を残している日本のエースだ。

更に両者は、2023年7月1日から2日にかけて中国の杭州で開催された「WDSF Breaking Asian Championship」のTOP8でも対戦しており、その際はHong10が勝利している。Shigekixにとってはリベンジマッチとなった決勝戦。アジアのトップ、そしてパリ五輪の出場権を勝ち取るべく再び相まみえることとなった。

左:Hong10 右:Shigekix
©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

3ラウンド制で行われた決勝戦。先行のShigekixは、自身のスタイルでも常に重要視しているという「ミュージカリティ」を武器にバリエーション豊富なトップロックからムーブを組み立てていく。そこからが更にShigekixの真骨頂であった。スピード感のあるパワームーブや、キレのあるフリーズなども音楽に合わせて展開。高いスキルとマッチした抜群のミュージカリティで、一気に決勝戦の雰囲気を作り上げた。

対するHong10もフットワークやフロアムーブなどを流れるように繋ぎ、確実にパワームーブやフリーズを決めるなど、完成度の高いフローでベテランならではの実力を見せつけた。

互いにスタイルの異なる両者の決勝戦は甲乙つけがたい激闘となったが、結果は Shigekixが1,2ラウンドを取り、2:1の僅差で見事勝利をつかみ取った。
この瞬間にShigekixのパリ五輪出場が決定。Katsu One(石川 勝之)やNARUMI(福島 梨絵)、そしてISSINもShigekixに駆け寄り、日本のBBOYでは初となるパリ五輪出場の快挙を称え合った。

©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟
左:NARUMI 中央:Katsu One 右:ISSIN
©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

予選やラウンドロビンを経て決勝まで勝ち上がってきたShigekixは、相当数のムーブを重ねてきていただろうが、決勝3ラウンドを通しても衰えないムーブの完成度はまさに圧巻であった。

来夏に初の開催となるパリ五輪「ブレイキン種目」において、日本人のBBOYが出場するということは新たな歴史の1ページを刻むこととなるだろう――。

女子は中国・671が自国で優勝に輝く。日本のAMIは準優勝

左:671 右:AMI
©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

女子の決勝は日本のAMIと中国の671の対戦。
両者は過去にも様々な世界大会での決勝で対戦経験があり、まさに因縁の対決となった。さらに両者は現時点の世界ランクが1位(AMI)と2位(671)でもあり、事実上の世界の頂点が決まる対戦となった。

先行のAMIはスピード感のあるフットワークを中心に細かいレッグワークやパワームーブも織り込み、完成度の高いムーブを見せる。特に音楽にフィットしたムーブ全体のフローや、細かい手足の位置まで洗練されたシルエットは言わずもがな圧巻であり、彼女のスタイルとして前面に押し出されていた。

しかし相手の671のBGIRLトップレベルと評されるパワームーブは一段と磨きがかかっており、高い身体能力とパッションで存在感を示した。

AMI / ©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

結果は2:1の僅差で671に軍配が上がった。
惜しくも3ラウンド目はAMIがポイントを獲得したが671の勢いとムーブの完成度も見事であり、アジアの頂点としてパリ五輪出場を自国で決める形となった。

しかしAMIのスキルやスタイル、そして表情やジェスチャーから時折感じさせるBGIRLとしてのバトル運びの上手さは依然として輝いており、変わらぬ存在感を発揮していた。
AMI、そして3位となったAYUMIも今大会でパリ五輪出場は確定とならなかったが、出場権獲得争いは来年の4月〜6月に開催されるOQSへと続いていく。

世界大会では常に表彰台に絡んでくる日本のBGIRLたちの今後の活躍にも引き続き注目していきたい。

大会結果

©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

個人男子
1位:Shigekix(日本)
2位:Hong10(韓国)
3位:Lithe-ing(中国)

©公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

個人女子
1位:671(中国)
2位:AMI(日本)
3位:AYUMI(日本)

Olympic Qualifier Series 2024(OQS)概要

パリ五輪出場を目指すアスリートにとって、史上初の「オリンピック予選シリーズ」が上海とブダペストで開催決定。本大会は、ブレイキン、BMXフリースタイル、スケートボード、スポーツクライミングのトップアスリートたちが都市部に設けられた特設パークに集結し、パリ五輪出場をかけて競い合う。

PART 1
日程:2024年5月16日〜19日
開催地:上海、黄浦(ホアンプー) 

PART 2
日程:2024年6月20日~23日
開催地:ブダペスト、ルドヴィカ・キャンパス

※ブレイキン、BMXフリースタイル、スポーツクライミングはパリ五輪の出場枠が決定し、スケートボードはパリ五輪出場に必要なランキングポイントを獲得することができる。

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