「WARPs ROOTS」とは、決められた筋書きでオーディションをするのではなく、365 ⽇間をかけて参加者が仲間を選び、時に審査を⾏う“バトル型オーディション番組”『WARPs DIG』に出演する、デビュー前の次世代の才能のトレーニー集団だ。2022年4⽉25⽇から活動がスタートし、これまでデビューメンバー選出に向けた数々の密着オーディションプログラムが1年間かけて展開されていた。
このプロジェクトにおいて特徴的であるのが「バトル型オーディション」だ。ダンスやラップのバトル形式でオーディションが展開され、バトルのジャッジもWARPs ROOTSのメンバー内で行われる。一般的なオーディション番組ではコレオグラフや歌の発表形式が多いが、『WARPs DIG』ではストリートのカルチャー的な要素も反映されており、様々な視聴者層が楽しめる内容となっている。
また、番組内の特別合宿編では、韓国が誇る世界的ダンススタジオ「1MILLION Dance Studio」とスペシャルコラボレーションも実施している。
グループのパフォーマンスに懸ける本気度、そしてメンバーの個性を活かしたダンススキルやアクロバット、ラップや歌声などを武器に、デビューに向けて戦う姿には是非注目して頂きたい。
長き1年間の集大成。メジャーデビューが決まる「FINAL STAGE」

デビュー組が決まるFINAL STAGEでは最終選考に残った計12名の候補⽣が最後のパフォーマンスを披露し、この中からメジャーデビューするメンバーが『WARPs DIG』内で選抜された。
FINEPLAY編集部でもSEASON 3のFINALにてTAKERUやRYOTAにインタビューを実施するなど、彼らの活動を追ってきた。そして4月25日(火)WARPs ROOTS 公式YouTubeにて公開された、WARPs DIG Season4 「THE FINAL STAGE」にてデビューの座を勝ち取った7名がついに発表。
メンバーに選出されたのは以下7名だ。

最年少マルチタレント “SOUMA IIZUKA”
名前:飯塚 颯真
生年月日:2005年11月10日
出身地:静岡県

全国ツアー経験ダンサー “RYOTA IMAI”
名前:今井 亮太
生年月日:1999年12月18日
出身地:埼玉県

全力バイブスダンサー “TAKERU ITO”
名前:伊藤 彪流
生年月日:2004年12月20日
出身地:埼玉県

180cm 絶対的存在感タレント “REIA OMIYA”
名前:大宮 黎亜
生年月日:2002年1月10日
出身地:愛知県

歌唱力抜群タレント “TSUBASA ISOZAKI“
名前:磯崎 翼
生年月日:2004年9月22日
出身地: 東京都

渋谷兄・関西ストリート “YUGA SHIBUTANI“
名前:渋谷 祐我
生年月日:2003年4月11日
出身地:京都府

ロングヘアスタイルボーイ “MIZUKI KANAI“
名前:金井 水輝
生年月日:1999年8月11日
出身地:神奈川県
FINEPLAYでは今回、特にダンスがバックボーンとしてある3名のメンバーに独占インタビューを実施。ダンサー/アーティストとしての視線からこれまでのこと、そしてこれからの展望を語って貰った。
【独占インタビュー】デビューメンバーの心境に迫る!

TAKERU ITO / 伊藤 彪流
―まずはデビューが決まった率直な気持ちを教えてください
すごく嬉しいです!自分が小さい頃から夢だったアーティスト活動が目の前まで来ているかと思うと、とてもワクワクします!ですがここからがやっと踏み始めた一歩なのでさらに緊張感を持って頑張りたいなと思います。
―ここまでの道のりで、印象に残っていることは何ですか
LIVEの活動です!昔はダンスのイベントで人前に立つ事が多かったのですが、WARPs ROOTSプロジェクトに入ってLIVE活動をすることによって、ダンスだけではないパフォーマンスの仕方や、歌の歌い方、お客さんの楽しませ方やスピーチ力などたくさん学ぶことがあったなと思いました。
―自分の名前が呼ばれた瞬間はどんな気持ちでしたか
ものすごく安心した気持ちが大きかったです。名前が呼ばれるまでは本当にずっと重い空気を感じていて心が苦しかったんですけど、自分のことを信じて待っていたら、名前が呼ばれて本当にホッとした気持ちになりました。
―バトル型のオーディンションを経験してどんな成長を感じましたか
相手のことをたくさん見ることによって、どうやったら相手チームと差別化できるとか、どこで自分の得意なことをしたら盛り上がるか、などを考えることで想像力が鍛えられたなと思います!
―振り返ってみてバトル型のオーディションはどうでしたか
メンバー同士でバトルするのはすごく楽しかったし、面白かったです。作戦を練ることによってメンバー間でコミュニケーションを取ることができたし、何より絆が生まれたと思いました。
―今回のオーディションを通して何を一番大切にしていましたか
「最後まで諦めず、できるまでやる」この言葉です。オーディション中は自分の芯を絶対に折ってはいけないと思っていたし、失敗してもいいから何度もトライし続けようと思っていました。どんな状態でも絶対に良いパフォーマンスをするには日々の積み重ねが大事だと思うので、そんな時にこの言葉を思い出して勇気を貰っていました。
―どんなシーンで自身のダンススキルを活かすことが出来たか、教えてください
LIVEのオープニングダンスであったり、SEASON 1や2のときのダンスが1番自分のスキルを見せることができたのではないかなと思っています!
―世界的ダンススタジオ「1 MILLION」での経験はどうでしたか?
自分にとっては韓国合宿が初めての海外だったし、小さい頃から見ていたスタジオにこの年齢になって行くことができて、とても良い経験になりました。ダンススキルはもちろん体力配分の方法であったり、ダンスの先生たちの魅せ方などを肌で感じることができたし、日本では感じることができない感覚や、海外の方の空気感やハングリー精神なども感じることができて、凄く鍛え上げられたなと感じています。
―ダンスシーンに対してこんな影響を与えたい!という考えがあれば聞かせてください
自分はもともとダンスでたくさん活動してきたので、あのダンサーだった子が世界でも活躍できるんだ!ということを見せたいし、アーティストでも本格的なストリートダンスができるんだと、ダンサーの人たちを刺激をさせるようなパフォーマンスをしていきたいです。
―最後にメッセージをお願いします!
応援してくれてた方々、たくさんの応援をありがとうございました。全力で駆け上がって世界のトップに君臨できるように努力し続けます。これからも引き続き応援よろしくお願いします!

RYOTA IMAI / 今井 亮太
―まずはデビューが決まった率直な気持ちを教えてください
アーティストにようやく一歩進む事ができて嬉しく思います。ですがまだスタートラインに立てたわけではなく、アーティストとしての道のレーンに入れただけだと思います。スタートラインに立つまでの下積み (練習) が大事になってくると思うし、1人1人がどう変わっていくのか、チーム全体としてどう仕上げるか、これからが本当の勝負だと思ってます。
―ここまでの道のりで印象に残っていることは何ですか
ファイナルに向けて12人の練習で中々意見が一致しなかったり、リハの進み具合が悪かったりして大変だったけど、YUGAが上手くまとめてくれて本番みんなでいい作品が見せられた事です。
―自分の名前が呼ばれた瞬間はどんな気持ちでしたか
「当たり前」って言葉はなく、当日のパフォーマンス的に不安しかなかったので、安心、嬉しさ、悲しさが強かったです。
―バトル型のオーディンションを経験してどんな成長を感じましたか
即興のダンスバトルは経験があるのですが、チームでのバトル経験は無かったので、構成面やどうやって相手チームを潰しにいくか、どのように盛り上げるかなど、見せ方を考える能力がついたかと思います。悔しい思いも多々ありましたが、正直メンバー同士でジャッジをすることに理解ができなかったので、メンタル面はものすごく強化されました。
―今回のオーディションを通して何を一番大切にしていましたか
オーディションなので、仲良しこよしはとても嫌いだったのですが、ファイナルに近づくにつれて、チームワークが必要になってきました。1人でずっと突っ走ってきた中で、仲間を大切にするっていう意識はついてきたし、今でも常に大事にしています。
―世界的ダンススタジオ「1 MILLION」での経験はどうでしたか
いつもYouTubeで動画は見ていたけど、韓国のスタジオは初めてだったのでものすごく盛り上がったし、楽しもあって韓国に住みたくなりました。男性のダンサーの方の見せ方がとてもかっこよくて、奪いどころが山ほどありました。あとはスタジオの床の素材、ロビーの広さも好きでした。
―オーディションを通じて得たスキルや経験を、デビュー後にどのように活かしていきたいですか
自分はマイクパフォーマンスが全然まだまだです。マイクを持ってる時の見せ方のレパートリー、ラップのフローの引き出しの無さを自分自身で痛感したので、自分磨きと研究をして新しい自分のパフォーマンスをしていきます。WARPs ROOTSにしかないパフォーマンス、エンターテインメントを見せていきたいです。
―最後にメッセージをお願いします!
必ず世界の舞台で羽ばたきます。

MIZUKI KANAI / 金井 水輝
―まずはデビューが決まった率直な気持ちを教えてください
素直に嬉しかったのと、これから更に頑張っていかないといけないなという気持ちでした。
―ここまでの道のりで、印象に残っていることは何ですか
僕の中ではやはりWARPs DIGのSEASON 3がとても印象に残ってます。いつも順位がギリギリだったんですが、SEASON 3のタイミングで3位になることができ、自分の練習の成果が見せられた時だったので僕の中で強く印象に残っています。
―振り返ってみて、バトル型オーディションはどうでしたか?
辛いと思う時もありましたし、他のメンバーと自分を比べる時もありましたが、期間が長いということでまだまだ成長できる時間があったのが救いになっていたなと思います。
―今回のオーディションを通して、何を一番大切にしていましたか?
最後まで諦めない気持ちを大事にしていました。僕自身最後の挑戦だったし全てを出し切りたいと思っていたので、諦めない気持ちを大事にしてました。
―どんなシーンで自身のダンススキルを活かすことが出来たか教えてください
WARPs DIGのSEASON 2で振り付けを考える際だったり、LIVEの際にTOMOKIとダンスバトルをするタイミングがあり、その時は自分がやってきたダンスの経験が活かせたのではないかと思います。
―世界的ダンススタジオ「1 MILLION」での経験はどうでしたか?
確実に今の自分にとって成長する良い機会だったなと思いました。短い期間で作品を作ることは今後デビューした後に短い期間で何かを作る時に役立つだろうなと思いました。
―オーディションを通じて得たスキルや経験を、デビュー後にどのように活かしていきたいですか?
WARPs DIGでは短い期間で作品を作ることが多かったので、今後短い期間で何かを作る機会があった際には、DIGを通じて得た「短い期間で何かを作り上げる力」を活かしていきたいと思います。
―最後にメッセージをお願いします!
約1年間僕たちを応援し続けてくださり本当にありがとうございました。僕たちを応援していて良かったと思ってもらえるようなアーティストになるのでこれからも見守っていてほしいです。僕がWARPs DIGを乗り越えることができたのは、皆さんの応援があったからこそだと思います。本当にありがとうございました!
SPECIAL EDITION

FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
アクションスポーツ・ストリートカルチャーの映像コンテンツやニュースを通して、ストリート・アクションスポーツの魅力を沢山の人へ伝えていきます。
●今日 ○イベント開催日
-
dance「ROB JAM 2023」が開催。静岡ローカルからHIPHOPで全国を巻き込む!2023.05.29去る2023年5月6日(土)静岡県静岡市にて、BBOY / BGIRL 3on3 BREAKING BATTLE『ROB JAM 2023』が開催された。「ROB JAM」は昨年も静岡にて開催されたBREAKINGのバトルイベントであり、国内のBREAKING 3on3バトルの中でも有数の盛り上がりを見せている。 本イベントはゴールデンウィーク期間ということもあり、北は北海道、南は九州まで全国各地から多くのBBOY / BGIRLが集結した。そんな静岡が熱く燃えた本イベントのリポート記事を、FINEPLAYからお届けする。 FINAL:NAIL ALE vs WASEDA NINE WASEDA NINE vs NAIL ALE 予選からトーナメントを勝ち上がり「ROB JAM 2023」の決勝に駒を進めたのは、準決勝にてFlip side BRANDSを破ったWASEDA NINE。そして同じく準決勝でstrangersに勝利したNAIL ALEの組み合わせとなった。 WASEDA NINEは九州を中心に活動するNINE STATES B-BOYZのFUMA・RYUTA、そして東京のBOBCHANCHYN(WASEDABREAKERS)の3名。ハイレベルなスキルを持ちながらも、勢いとストリートを感じさせるフレーバーで決勝まで勝ち上がった。対するNAIL ALEもGOOD FOOTのJUN・Reny renに、HEROESのKENTを加えた3名。NAIL ALEは落ち着いたバトル運びの中で、ムーブの決定力や爆発力も見せるオールラウンドなチームだ。 8分間の時間制限で決勝戦がスタートすると、WASEDA NINEのRYUTAが先行でゆっくりと登場する。そこからキレのあるトップロック・フットワークでギアを上げていき、一瞬で決勝戦の熱い雰囲気を作り上げた。 既に予選から多くのムーブ数をこなしている両チームだが、全く疲れを感じさせないムーブのクオリティで、濃密な8分間の攻防が続いていく。 KENT(NAIL ALE) バトル終盤にはJUN(NAIL ALE)のチェアーグライドで大きな歓声が沸くと、すかさず相手のFUMA(WASEDA NINE)も完成度の高いムーブを返していく。一進一退の攻防が続いたが最後はKENT(NAIL ALE)がDJのスクラッチに合わせてフリーズを決め、バトルを締めくくった。 甲乙つけがたいバトル展開となったが、見事勝利を手にしたのはNIAL ALE。高い完成度のムーブと、冷静さの中に感じる熱いパッションで、「ROB JAM 2023」チャンピオンの称号を手にした。 https://youtu.be/HuVGNLOZixg 昨年に続いて2回目の開催となったROB JAM 2023。静岡の地で全国からBBOY / BGIRLが集い、熱い盛り上がりを見せた。オーガナイズの「静岡のHIPHOPシーンに還元したい」という想いが形となり、今年も多くの名場面が生まれたイベントとなった。 カルチャー要素が詰まったコンテンツも https://youtu.be/zDiwudcKkCw 「ROB JAM 2023」ではバトル後に会場を移し、AFTER PARTYも実施された。地元静岡県出身のラッパーによるLIVEやビートメイカーによるBEAT LIVE、そしてRIORA (EDGWCYPHER/FULLOUT) vs T-DAWGS (STONE BRIDGE/FULLOUT) によるExhivition Battleも行われ、静岡のHIPHOPカルチャーがふんだんに詰まったイベント内容となっていた。 Exhivition Battleはヒートアップを極め激しいバトル展開となったが、多くの歓声により最高潮の盛り上がりを見せていた。 FEworksのYouTubeチャンネルから「ROB JAM 2023」の映像がアップされているので、ぜひ一度ご覧になっていただきたい。 「NAIL ALE」優勝コメント 左:Reny ren 中央:KENT 右:JUN JUN久々の優勝だったのでとにかく嬉しいです!メンバーの2人も小さいころから一緒にやっているので優勝できて良かったです。今回は3on3 バトルでしたが、僕個人としては今ソロバトルでなかなか成績を残せていないので、またここからギアを上げて、ソロでも結果を残せたらいいなと思います! Reny ren僕は静岡県自体バトルで初めて来て、正直東京で活動していてあまり静岡のシーンのことも知りませんでした。でも実際に来て、知らないBBOYでもめちゃくちゃ上手い静岡のBBOYもいたので、地元を大事にしているBBOYたちと戦って優勝を勝ち取れたことが何より嬉しかったです。 KENT僕は岐阜県に住んでいて、ちょっと遠いんですけどこのROB JAMが開催されるってことでめちゃくちゃ面白そうだったので参加させてもらいました。観客の反応もすごく良かったし、レベルも高くて、そんな素敵なイベントで優勝できたことが何より嬉しいです! オーガナイザー HIROTO コメント オーガナイザー HIROTO 今年も全国からBBOY / BGIRLが来てくれて本当にありがとうございました。皆さんのおかげで良いジャムができています。静岡の先輩、後輩たちからも『いつも画面で見てる人たちを生で見れて嬉しい!』『刺激になる』といった声をたくさん聞けて、イベントをやってよかったなと思います。今年から会場やシステムの変更、アフターパーティーの追加、僕自身がMCを務めるなど、かなり攻めすぎてしまいましたが家族や仲間たちの愛、多くの企業様サポートのおかげで良い形でイベントが終われたと思っています。個人的にはとにかくアフパが最高でした(笑)これから先も本気で続けていくので、来年も楽しみにして頂ければと思います。 そしてこれは静岡の方へ。いま僕は先輩たちと静岡全体をもっと盛り上げようと、ROB JAMとはまた違ったイベントのを計画しているので、そちらも楽しみにしていて欲しいです!今年も皆様ありがとうございました。また来年も静岡で!愛です。
-
dance高校1年生 “龍”が最年少で東京予選を制覇!『Red Bull Dance Your Style Japan EAST Side』2023.05.282023年5月27日(土) Hareza池袋 中池袋公園にて『Red Bull Dance Your Style Japan EAST Side』が行われた。Red Bull Dance Your Styleとは「真の世界一」を決めるグローバルダンスイベント。日本を含め計20カ国以上で国内予選が行われ、勝者は2023年11月4日にドイツ・フランクフルトにて行われる『Red Bull Dance Your Style World Final』への出場権を獲得する。様々なジャンルのダンサーが招待され、バトルで流れる音楽は誰もが一度は聞いたことのある歴代のヒットソング、そして勝敗を決めるジャッジは観客、といったエンターテイメント性のある内容となっている。 東京と名古屋(5月13日に予選を実施)で予選が行われ、各予選には16名の招待ダンサーが出場。上位4名(計8名) が大阪で行われる国内大会の決勝戦『Japan Final』への出場権を獲得し、日本の最高峰が集う舞台へと駒を進める。 今回もYOASOBIやSEKAI NO OWARI、米津玄師など流行の音楽が流れ、16名のダンサーがそれぞれの個性とスキルを武器にハイレベルなバトルを展開した。 トリッキングの動きをベースに独特な世界観を表現するRikubouzや、高いスキルに加えて幅広い表現力を持つRuna Miura、Waackシーンに留まらずダンスシーンから高い評価を受けるMIKUMIKUなど、知名度・実績ともにトップレベルのダンサーたちがクレジットし、東京予選を盛り上げた。 FINAL:龍 vs 優弥 左:優弥 右:龍 東京予選の決勝に進んだのは、TOP16から自らのスタイルでオーディエンスを湧かせていた優弥(SEPTENI RAPTURES/FORCE ELEMENTS / 心優弥)と龍(REAL AKIBA BOYZ / DESCARADOS / サンセットレーベンズ)の組み合わせ。 優弥はD.LeagueのSEPTENI RAPTURESとして活動し、POPのスタイルをベースにLOCK / HOUSEを組み合わせた表現を武器とする。KIDS時代から国内外のバトルで数々の実績を残している。対する高校1年生の龍は、HIPHOPのスタイルを軸とし、アニソン・ボカロなど様々な音楽を楽しみ枠にとらわれないオリジナリティあふれるスタイルを貫くダンサーだ。 優弥は高いミュージカリティとボディコントロールの能力が光ったが、龍は流れる音楽の歌詞の意味をダンスで表現するなど自身のスタイルを前面に押し出す。多くの歓声が飛び交った決勝戦は龍に軍配が上がり見事優勝。チャンピオンとして、Japan Finalへの出場権を手にした。 またTOP4に残った、優弥、Runa Miura、Aoiの3名もJapan Finalへの出場権を獲得した。昨年のRed Bull Dance Your Style World Finalでは THE D SoraKiが優勝して世界一を獲得している。彼に続く新たなスターがこの大会で新たに生まれることに期待しながら、7月に行われるJapan Finalにも引き続き注目していきたい。 龍 優勝コメント 龍 本日優勝した感想を教えてください! この大会に向けて周りの人たちが応援してくれて、僕だけじゃなく色んな人を巻き込んで掛けてきた想いがあったので、優勝できて良かったです! HIPHOPバトルやALLSTYLEバトル、APOP(アニソンのバトル)など多くのバトルに出ている龍さんにとって「Red Bull Dance Your Style」はどういった印象のバトルでしたか やっぱりダンスって音楽に関係なく、踊っていて嬉しいとか楽しいとか笑えるとか、そういった感情が出てくるのがダンスだと思っています。Red Bull Dance Your Styleは洋楽もアニソンも邦楽も流れるし、そういった意味で「ダンス」の大会の中で一番大きい大会だと僕は思っています! 7月に行われるJapan Finalに向けての意気込みを教えてください! 優勝して世界まで行きます!
-
freestyle「業界の枠を越えた、フリースタイルフットボールの新たな可能性」Ibukiがデザインするプロキャリア。2023.05.241つのサッカーボールを用いて高度なドリブルやリフティングスキルを全身で表現し、見る者を魅了する「フリースタイルフットボール」。この業界を国内外から次のレベルに引き上げている日本人トッププレイヤーたちの中にプロキャリアを通じて常にこのフリースタイルフットボールの新たな可能性を提示し続けている人物がいる。 それがIbuki(吉田伊吹/よしだ・いぶき)だ。プロフリースタイルフットボーラーでありながら、モデル・クリエイター・ディレクターなど多岐にわたり活躍している彼に今回インタビューを敢行。彼のフリースタイルフットボール人生における競技活動遍歴と切り開いてきたプロキャリア、そして彼の活動の今後の展望などを聞いた。 Ibuki/吉田伊吹 (以下: I ) フリースタイルには正解がない。だから一生追求できる 初めにフリースタイルフットボールを始めたきっかけを聞かせてください。 I : フリースタイルフットボールに出会ったのは2012年の秋で高校一年生の時でした。サッカー自体は中学生になってから始めたのですが、当時僕がいたチームが兵庫県で一番テクニックに特化していることで知られており、そのような異質で尖ったチームにサッカー未経験の状態で入ったことで、自分のサッカーがチームのスタイルであるテクニック特化型に完全に染まったんです。 そのおかげでテクニックやボールタッチの感覚が付いたので、僕がここまでフリースタイルフットボールで活動できるようになった原点はそこからきていると思います。 中学生時代の写真 フリースタイルフットボールのことはいつ知ったのですか? I : 中学生の頃からフリースタイルフットボールの存在や色々な技の名前は知っていました。部活としてのサッカーは高校に入って間もないうちに辞めましたが、サッカー自体が嫌いになったわけではなかったんです。それからストリートサッカーのテクニックに興味を持ち、一人で練習するようになったことがフリースタイルフットボールを始めたきっかけです。 それから一人で練習しながら、YouTubeでフリースタイルフットボールのスキル動画を調べていると、ちょうど同年の秋にレッドブルが主催する世界大会でTokura(徳田耕太郎)さんが優勝したタイミングでもあったので、その大会の動画もたくさん出てきました。当時の僕は「日本人が世界チャンピオンになったんだ!」と思いながらも様々な動画をチェックしては色々な技の真似をするようになりました。 そしてたまたまTokuraさんが大阪でパフォーマンスするという情報を見つけました。またそのイベントでは全国から集まった大勢のフリースタイルフットボーラーによるジャムという練習会が開催されることも知り、Twitter経由で主催者の方に「これって観に行っても大丈夫ですか?」とビビりながら聞いてみると「せっかくだったらボール持ってきて一緒に蹴ろうよ」って言ってくれたので恐る恐る参加しました。 その練習会に参加したことが本格的な活動を始めるきっかけになったのですか? I : はい!この練習会に参加したことがここまでフリースタイルフットボールに熱が入るようになったきっかけで今でもめちゃくちゃ強烈に記憶に残っています。 初めて参加したジャムの様子 この練習会で既に30人くらいのプレイヤーと繋がることができました。また僕自身、過去の経験もありベースのリフティングスキルも高かったことから、先輩プレイヤーの方たちにも気に入ってもらえて色々スキルやコツも教えてもらいました。そのおかげでかなり早い段階で色々なトリックとかコンボをメイクしていけるようになりました。 それからある程度トリックができるようになったタイミングで動画を出してみたら、「めっちゃ始めたてなのに結構上手いやつ出てきたぞ」と国内で話題にしてもらえたこともあり、周りからも早いタイミングで大会も出たほうがいいと言われるようになったので、フリースタイルフットボールを始めて半年経った頃からバトルに出るようになりました。 そんなIbukiさんが思うフリースタイルフットボールの魅力は何でしょうか? I : 僕が一番の魅力と感じているのはフリースタイルフットボールを通して「世界中で出会った人たちと楽しくコミュニケーションが取れるところ」です。本当に国内外に友達がめちゃくちゃ増えました。またフリースタイルフットボールで繋がれるコミュニティは普通に生活していると、中々出会えないタイプのコミュニティなので、スポーツを楽しみながらそういう環境にも触れ合えることは大きな魅力の一つだと思います。 海外で出会ったインフルエンサーたち 魅力のもう一つは「フリースタイルに正解はない」ということです。やっぱりフリースタイルというだけあって終わりもないですし、一生追求できちゃう「沼」のような側面があると思います。なので何かを追求することを楽しめる人はずっとフリースタイルフットボールを楽しめると思います。ちなみに完全は僕はその沼にハマっています(笑) また身体とボール1個あればできるので趣味としても楽しめる生涯スポーツだと思いますし、このカルチャーの中で蹴っているうちに色々な出会いがあるので、人生の一部としてずっと付き合っていける遊びという部分は魅力的だと思います。 Ibukiさんのプレースタイルの特徴についても聞かせてください。 Ibukiが得意とするクリッパーストール I : 自分のスタイルを言語化するのは恥ずかしいのですが、「クリッパーストール」というボールを交差した足のインサイドで止める技を起点とした色々なトリックやコンボを得意としていて、この技に関しては僕が誰よりも上手いと自負しています。 今まではボールの跨ぎ技は体の前でやることが多かったのですが、僕が体の横でやり出したところから注目されて、「クロスボディ」という名前で体の横で跨ぎ技をするジャンルが確立されていったので、そういう意味でもこのスタイルを通じてフリースタイルフットボール界に貢献してきたかなと思います。 現在はその技に身体の柔軟性と色々なトリックを組み合わせて、バトルでは自分にしかできない技や構成だけで戦うことを意識しています。そのため僕のプレースタイルはオールマイティではなく得意なところを急激に特化させた上で派生したトリックを用いてパフォーマンスするところが特徴だと思います。 言わずと知れた世界が認めるその実力 世界大会でのバトルの様子 自分のプレースタイルが実際に大会で評価されるようになった時の感覚を聞かせてください。 I : このプレースタイルが世界で評価されるようになったのは2015年に初めて出場したオープン制の世界大会の時でした。結果としては予選敗退で、まだ力不足ということは分かっていながら挑戦したのですが、現地でのインパクトはかなり強かったみたいで大会のハイライトに色々載せてもらえました。 実際に世界大会で自分の特化した技をメイクしてみた感覚としてはすごいウケたなという印象で、バトル相手と会場も「何だあいつは?」みたいな感じになっていました。 どうして評価してもらえたのかというと「まず今まで見たことがない技でありながら、高い技術が折り込まれていたこと」だと感じています。僕自身もスキルを一番重要視しているので、自分のオリジナル技にもたくさんの技術を詰め込んで戦いたかったという思いは元々ありました。 また世界的にもスキルの部分は大きな評価対象なので、そのスキルに今まで見たことがないというオリジナリティの要素が合わさって高い評価がもらえたんだと個人的に感じています。 バトルを終えて相手とハグを交わす様子 主要大会での過去最高成績とそのベストパフォーマンスを出した時の周りの空気感も気になります。 I : 主要大会の最高成績としては日本選手権やアジア選手権での優勝で、加えて年間の世界ランキングでは2位になったことがあります。このような良い成績を残せた年が2019年~2020年だったのですが、その頃は自分が初めて評価された2015年からしばらく時間が経っていたこともあり、もう世界中のフリースタイルフットボーラーたちに僕のことは大体知ってもらえていました。 そのため、逆に周りから「こんな技を僕にやって欲しい」みたいな期待感も感じる中でバトルに勝った時の会場の雰囲気は、動画で載せていた技も生でやるんだという驚きや盛り上がりもある一方で、全てを決め切れば僕がこのバトルに勝つという絶対的な自信をバトル相手やオーディエンスも空気感として感じ取ってくれたと思います。 この頃の僕はどんな状況でも自分が出したいパフォーマンスが確実に出せるように準備できていましたし、そのまま現場でそのパフォーマンスを出せればどの試合でも勝てる状態までに仕上げていたので、確実にパフォーマンスを出すという自信はありました。 優勝した国際大会「KILL THAT BALL」 世界最高峰で結果を残したことで新たに見えてきたことはありますか? I : 実は主要な世界大会のバトルトーナメントでは勝ったことがないので、まだ世界一は獲れていないんです。もちろん色々な国際大会や日本選手権での優勝経験も嬉しいことですが、僕がフリースタイルフットボールを始めた当初から持ち続けている世界一を獲るという熱い思いは10年経った今も変わっていません。 現在はフリースタイルフットボールでも別の活動に注力しているので、バトルから少し距離を置いていますが1~2年後にはもう一度カムバックしようと思っています。また実際にこの業界で今一番盛り上がっているはバトルのカルチャーでもあるので、その場所で世界一を獲りたいですし、僕もしかりですが常に日本人が世界チャンピオンであって欲しいというマインドも強く持っています。 プロキャリアへの昇華。業界の枠を超えたアーティストとしての一面 ショーケースでのパフォーマンス いつからプロキャリアをスタートしましたか? I : このフリースタイルフットボールでプロキャリアを目指すようになったのは、初めて世界選手権に出場した2015年です。その年はG-SHOCKが主催していた招待制の全国大会で優勝して初めて日本一になった年で、その頃から将来の選択肢を全てフリースタイルフットボールに振り切ることを決めました。当時はまだ大学生でしたが、そう決めてからすぐバイトも辞め、まだ右も左も分からないながらもプロとして食べていくためにひたすら行動しました。 それから1~2年間がむしゃらに動いていく中で色々な支えや協力があり、現場でのパフォーマンスがメインでしたが、もう仕事と言って良いくらいまで確立することができました。その時はアスリートとして大会に出場しながら、イベントでのパフォーマンス、そして若手育成のためのスクール運営という形でまさにアスリートならではのプロキャリアの形を構築しました。 そのプロキャリアを進めていく中で、今に繋がる気持ちの変化が生まれたのでしょうか? バトルの様子 I : はい。しばらくプロとして活動していく中で、一人の選手としてだけではなくフリースタイルフットボールをもっとたくさんの人に知ってもらい、この一般社会の中でこのカルチャーが市民権を得られるようにしたいと思うようになりました。 なぜなら、たくさんの価値を持っているプレイヤーたちがいるにも関わらず、現実的な問題からこの業界から離れないといけない人がいたり、僕自身ももっとこういうことできたらなと悔しい思いをたくさんしてきたからです。 この経験から自分も含めこの業界のプレイヤーたちの活動の幅を広げていくため、20年代前半からはプレイヤーというよりもカルチャーづくりの視点から、イベントを開催したり、映像クリエイターとしての活動にも力を入れるようになっていきました。 数々のハイブランドとのコラボレーションやメディア出演など業界の枠を越えた活動もされていますよね。 TIFFANY&Co.とのコラボレーション I : 実はコロナ禍がこの活動につながる大きな転換期でした。僕自身も必然的に家にいる時間が多くなったことで色々な活動について考えるようになりましたし、オフラインのイベントができなくなりパフォーマンスの機会を失ったので、他の収入源を作っていかないとプロとして生きていけない状況下に置かれました。 そんな中でどんな場所でどういう風にフリースタイルフットボールを届けることが出来たら仕事になったり、おもしろいムーブメントになるのかを調べたり勉強しました。そしてチームメンバーと一緒に片っ端からアイデアを出してはとにかく動き続けました。それが功を奏して色々な出会いやご縁が掛け合わさって、ジャンルの垣根を越えて多種多様なコミュニティや色々なブランド様とお仕事ができるようになりました。 ここにたどり着くまでも険しい道のりでしたが、ずっと動き続けることができたのは自分たちが動いた分だけフリースタイルフットボールを多くの人に知ってもらえるという思いがあったからです。この経験から今でも常にフリースタイルフットボールをプレゼンできるように、たくさんの引き出しを持つことを意識しています。 コラボレーションでは具体的にどういうお仕事をしていますか? チームと一緒にKANGOLとのコラボレーション I : クライアントによって様々なコラボレーションの形があります。自らプレイヤーとしてイベントに出ることはもちろんですが、出演が決まったイベントのプロデュースも担わせてもらったりとか、一緒に出演する他のプレイヤーをキャスティングするディレクターとしての役回りもあります。 これはSNSや映像を活用したブランドとのコラボレーションでも一緒で、僕自身がプレイヤーとして参加することもできれば、僕の所属チームで映像を撮られることも、逆に自分たちで撮ることもできますし、外部からプレイヤーも呼んでくることも可能です。 クライアントが一番欲しい画を提供するためのベストな形で、かつフリースタイルフットボールとしても自分たちが一番おもしろいと思う企画作りができるように包括的な提案をさせていただく事が多いです。 高級ブランドショップとのコラボレーション 一方でモデルやパフォーマーとしてPR案件などを引き受ける場合も、自分のこだわりはしっかり相手に伝えるようにしています。やっぱりフリースタイルフットボールを背負う者としてこだわりを持つことは大事だと思いますし、何より自分たちが一番魅せ方を知っています。またその完成したコンテンツを見るエンドユーザーの方にとっても、おもしろくて魅力的な方が良いと思うので、それを実現させるために自分のこだわりを伝えることを常に意識しています。 これらの活動を通してフリースタイルフットボールのさらなる可能性を感じられましたか? 業界の枠を越えたお仕事の繋がり I : 自分たちの可能性はもちろんですが、フリースタイルフットボール業界全体の可能性も大きく感じています。なぜなら「大会出場・パフォーマンス・スクール運営」というようないわゆるフリースタイルフットボールの活動とは全然違う形で、色々な関わりを通じて業界の枠を越えた仕事ができるようになってきたからです。 僕自身も活動していく中で「やろうと思えばいろんなことができる」という自信が少しずつ付いてきました。もちろんクライアントと企画を一緒に作り上げていく中で、いち演者の枠を越えた関わり方で生まれる責任感やプレッシャーもどんどん強くなっていきますが、そのような壁を一つ一つ乗り越えていくことで生まれる自信が多くあると感じています。 今は僕だけではなくチームのみんなも一緒に活動しながら自信をつけているところなので、この先もっともっと大きなプロジェクトを動かしていけるチームになると思っています。まだ漠然とはしていながらも明確に見えている部分もあるのでこれからもっとおもしろいことをしていくのが楽しみです。 フリースタイルフットボールシーンを牽引する者としての新たな挑戦 MONSTER BALLAZ - モンスターボーラーズ 個人やチームとして今後挑戦していきたいことを聞かせてください。 I : 挑戦したいことは山盛りですが、身体が思うように動く限りはステージで身体も精神もギリギリのところまで突き詰めるバトルにもっと出ていきたいですし、その舞台で戦える期間ももっと伸ばしていけるように頑張りたいです。 そんな思いもある一方で、今一番自分のコアに置いて取り組んでいることがチームメイトとのパフォーマンスと映像制作になります。バトルは去年の世界選手権まで集中して取り組み自分の現状として一旦ケジメをつけました。そして今は一度バトルから離れてチームメンバーと一緒に個人ではできないチームならではの挑戦を決めて現在活動しています。 実際にチームとしてどんなことに取り組まれていますか? I : その取り組みとして「MONSTER BALLAZ - モンスターボーラーズ」というフリースタイルフットボーラーとフリースタイルバスケットボーラーの混合チームを発足し、自分たちのカルチャーの外に出た場所で戦うという方針の下で活動しています。今はチームメンバー全員がここでの活動に一番時間を割いて全力で動いています。 World of Dance 日本予選で準優勝 そして直近のチームの活動としては「World of Dance」という世界的に有名なダンスコンテストの日本予選に出場しました。もちろんダンスコンテストなので僕たちのチームもダンサーとしてみなされるのですが、ボールを持ってゲリラで殴り込むような形で参加しました。しっかり勝つための準備をしたものの、ダンスという土俵でジャッジがいて得点がつけられるのでシビアな戦いでした。でも結果として準優勝することができて日本の著名なダンスコンテストでも評価してもらえました。 次は8月に同大会の世界大会があるので絶賛練習中ですが、フリースタイルフットボールとフリースタイルバスケットボールのパフォーマーたちで世界を相手にダンスの土俵で本気で戦いに挑んできます。 もちろんチームをまとめることは簡単ではないのですが、全員が同じ方向を向いた時の火力は個人レベルとは比較にならないと思っているので、今はこのチームを通じて誰もが想像できないようなステージで戦って輝いていきたいという思いが一番強いです。 プロキャリアを考えるプレイヤーたちに伝えたいこと イベントでのパフォーマンス 自身の経験から若手のプレイヤーたちへのアドバイスはありますか? I : まずはフリースタイルフットボーラーとして自分がどんな人間で、何がしたくて何ができるのかを自分の中で明確にして、それをきちんと相手にプレゼンできるようになっておくことが大事だと思います。 今の時代は日本中に限らず、世界中に意味が分からないくらいすごい才能がSNSや映像を通じてゴロゴロ現れている中で、自分たちのカルチャーを引き上げていくことや自分個人をさらに高いところへ引き上げていく作業って簡単ではないと思います。 今まではストリートカルチャーのフリースタイルフットボールというだけで差別化できていましたが、今となっては映像クリエイターや凄技ができる人みたいな形でも括られてしまうので、突き抜けて目立つことが難しくなっていると感じます。 でもその中で世間から自分やチームをフリースタイルフットボーラーとして認知してもらい、この業界を使ってもらいたいと強く思うのであれば、必要なスキルを備えた上で自分のことをしっかり伝える力はめちゃくちゃ大事な要素になると思います。 Ibukiが目指す自身の姿とフリースタイルフットボールシーン 今後のフリースタイルフットボールシーンを盛り上げるために求められていることは何でしょうか? 所属チームで企画したイベント I : まず業界外からの見られ方でいえば、厳しめにいうとまだまだ認知度が低い現状です。僕たちはこのような状況が続いてきてしまったことへの逆襲として、個人やチームで「やってやろうぜ!」という思いで動いています。今は僕たちの熱意に触発されて付いてきてくれる人たちや、違うやり方で戦う人たちもこの業界にたくさんいるので、そういう人たちが率先してこのシーンを引っ張って、業界外の人々にその熱を伝えて巻き込んでいくしかないと思います。 また一方でこのシーンを広げていきたいこれからの若手たちは、今後どう勝負を仕掛けていくかが大事だと思います。熱量が高い彼らにはそのエネルギーを絶やさずに自分の殻をどんどん突き破って、常に自分にとって居心地が悪く成長できるところに身を置き続けて欲しいです。 僕やチームもそういう意識は常に高く持っているので、同じように挑戦していきたいと思う若手にはガンガン前進して欲しいです。そして最終的に各々のムーブメントをお互いにリスペクトし合えるカルチャーになったら最高だなと思います。 自分にとってフリースタイルフットボールとは何でしょうか? I : フリースタイルフットボールは自分の全てですね。冗談抜きで自分の人生において四六時中どんな時でもフリースタイルフットボールが関わっています。こういう時間の過ごし方はきっとこれからもずっとそうだと思います。本当にもうフリースタイルフットボールと歩む時間が僕の人生そのものなので、一生フリースタイルフットボールを楽しんでいきながら、一緒に関わってくれている人たちも楽しんでもらえるようにしていきたいです。 最終的にどんなフリースタイルフットボーラーになりたいですか? I : フリースタイルフットボール自体が僕の人生なので、フリースタイルフットボールでめちゃくちゃ満足して死ねたらそれ以上のものはないですね(笑)そのために自分たちがやりたいことや挑戦したいことに対してとにかく行動し続けるだけです。 Ibuki (吉田伊吹/よしだ・いぶき) プロフィール 1996年7月4日生まれ。兵庫県加古川市出身のフリースタイルフットボーラー。2015年にわずか競技歴3年で日本一の座を獲得したことを皮切りに現在に至るまで国内外数多くの大会でタイトルを獲得し世界に名を広げ続けている。現在は東京を拠点に国際大会へ参戦しながら、イベント・メディアへのパフォーマンス出演、スクールや大会の運営など業界内外へ向けた多岐に渡る活動を見せている。近年では写真や映像、XRコンテンツ等クリエイティブの制作にも広く取り組みモデル・クリエイターとしても活躍。フリースタイルフットボールの持つ可能性を世界に提示し続けるアスリートでありアーティストである。
-
bmx雨天に振り回された厳しい戦い。フラットランド種目で荘司ゆうが大会初優勝。パーク種目は中村輪夢が6位【FISE Montpellier】BMXフリースタイルパーク/フラットランド2023.05.23「FISE WORLD SERIES MONTPELLIER 2023(通称 FISE Montpellier)」における「UCI BMX FREESTYLE WORLD CUP」がフランス・モンペリエにて2023年5月17日(水)~21日(日)に開催された。BMXフラットランド種目で男子は荘司ゆう選手が大会初優勝を成し遂げ、荘司に続いた早川起生選手が準優勝。 女子は中川きらら選手が準優勝、そして川口朔来選手が3位入賞を収めた。またBMXフリースタイルパーク種目では中村輪夢選手(所属:ウィングアーク1st)の6位が日本人最高位となった。 大会全体を通して雨天の影響により、度重なるスケジュール変更で厳しい戦いを余儀なくされる中、今回は今大会の1週間前に開催された「X Games Chiba 2023」にも出場した中村輪夢、佐々木元、早川起生をはじめ、ワールドカップ常連選手や強化指定選手など両種目とも世界を舞台に活躍する選りすぐりの日本人選手たちがこの「FISE Montpellier」に出場した。 フリースタイルパーク種目は雨天により大会スケジュールが大きく変更された難しい戦い。そんな中で攻め切った中村輪夢が6位に。 中村輪夢のライディング / ©︎UCI BMXフリースタイル・パーク種目は世界中から男子100名、女子38名のライダーが集まり今シーズン2戦目となるワールドカップシリーズ戦が開催。 日本からは中村輪夢、溝垣丈司、小澤楓、寺林昌輝、内藤寧々の5名が代表選手として派遣された。 大会は生憎の雨天により、度重なるスケジュール変更を行いながらイレギュラーな状況の中で行われた。 溝垣丈司のライディング / ©︎UCI 特に男子は、急遽準決勝が決勝に変更となる中で、中村・溝垣・小澤の3名を含む計24名で競われた。ジャンプランプのない特徴的なパークに苦戦しながらも、決勝では中村輪夢が攻め切り見事6位。一方、女子では内藤寧々が予選で7位と検討したものの、惜しくも準決勝敗退となり全体15位で大会を終えた。 ライディング前の内藤寧々 / ©︎UCI また、強化育成指定選手で、 昨年国際大会ジュニアクラスで優勝経験のある松本翔海と小澤美晴も「FISE Montpellier」に参戦。今回はジュニアよりレベルが高いアマチュアクラスにエントリーしていたが、天候不良のため全日程がキャンセルとなり惜しくも一度もランを魅せることができなかった。 フラットランド種目は世界チャンピオン経験者たちを大きく引き離し、荘司ゆうが堂々の大会初優勝。 一方、BMXフラットランド種目では強化指定選手の佐々木元、早川起生、荘司ゆう、伊藤真人、中川きらら、川口 朔来の6名に加えて、個人参加である伊藤聖真と工藤渓涼が参戦。男女共に予選から全員が活躍を見せる中、男子決勝では荘司ゆうが力を発揮し、大会初優勝を飾った。 大会初優勝を果たした荘司 / ©︎UCI 荘司はフロントタイヤをベースにしたスピンで加速をつけていき、その中にジャンプしながらフロントタイヤとリアタイヤを行き来して軸を変える「トランスファー」をメイク。 ライディング中盤はリアタイヤからルーティンをスタートさせてフロントタイヤにスイッチする逆の「トランスファー」、そして終盤には「ブーメラン」という高難度スピントリックをメイクし、最近のルーティン構成をブラッシュアップしたランを魅せ94.33ptをマークし、大会初優勝を収めた。 喜びが隠しきれない荘司 / ©︎UCI 優勝後にUCIから求められたコメントに、荘司は「(FISE)モンペリエはとても良い大会。また来年この場所に戻って来たいですし、今大会はグラスゴーである世界選手権に向けても良いチャレンジになりました。またチャンピオンの座を取りたいので、ひとまず世界選手権に向けてもっと練習したいと思います。」と英語で答えた。 準優勝した早川起生 / ©︎UCI さらに男子は荘司に続いた早川起生が準優勝。そして女子では中川きららが準優勝、川口 朔来が3位と、4名の日本人選手が表彰台に上がり、改めてフラットランド種目での日本の強さとレベルの高さを示す大会となった。 3位入賞した川口朔来 / ©︎UCI 大会結果 フラットランド種目 【男子】優勝 荘司 ゆう (しょうじ・ゆう) / 日本準優勝 早川 起生 (はやかわ・きお) / 日本3位 ジーン・ウィリアム・プレボースト/ カナダ 5位 佐々木 元 (ささき・もと) / 日本 (所属:鎌ヶ谷巧業)16位 工藤渓涼 (くどう・けいりょう) / 日本 (準決勝時*)18位 伊藤真人 (いとう・まさと) / 日本 (予選時*) 【女子】優勝 オード・カサーニュ / フランス準優勝 中川きらら (なかがわ・きらら) / 日本3位 川口朔来 (かわぐち・さくら)/ 日本7位 伊藤聖真(いとう・せいま)/ 日本 フリースタイルパーク種目 【男子】優勝 ローガン・マーティン / オーストラリア準優勝 アンソニー・ジャンジャン / フランス3位 マーカス・クリストファー / アメリカ合衆国6位 中村 輪夢(なかむら・りむ) / 日本 (所属:ウィングアーク1st)18位 溝垣 丈司(みぞがき・じょうじ) / 日本 (所属:湘南工科大学附属高等学校)20位 小澤 楓(おざわ・かえで) / 日本 (所属:岐阜第一高等学校)プレ予選敗退 寺林 昌輝(てらばやし・まさき) / 日本 (所属:第一学院高等学校) 【女子】優勝 周慧敏 / 中国準優勝 ハンナ・ロバーツ / アメリカ合衆国3位 ローリー・ペレス / フランス 15位 内藤 寧々(ないとう・ねね) / 日本 (所属:第一学院高等学校) 大会概要 大会名称: FISE WORLD SERIES MONTPELLIER 2023(通称 FISE Montpellier)※コンテスト名: UCI BMX FREESTYLE WORLD CUP大会期間: 2023年5月17日(水)~ 5月21日(日)開催場所: フランス・モンペリエ
-
skateSkateboarding Unveiled VOL.2 「街中のスケボーって本当に犯罪?」今までスケートボードと接点はありましたか? 最近都市部では当たり前のように見るスケートボード禁止の看板。 「なんでわざわざ街中で練習するの⁉︎ 全く理解できない!」 「見るからに危険。わざわざ人がいるところでやらないで!!」 ごもっともな意見でしょう。 禁止にしたい気持ちもわかります。 一昨年の東京オリンピックに端を発したブーム、それに伴い飛躍的に増加したスケートパーク。競技としての環境が整ってきた今は、多くの人がこのように考えるのも仕方のないことだと思います。 でも、多くの愛好者が、なぜ街中(ストリート)でスケートボードをするのかを”真剣に”考えたことはありますか? 街中で滑る愛好者の方々と、真面目に”話し合って”解決しようとしたことはありますか? おそらく冒頭のように思う方の大半は、今までスケートボードにほとんど触れたことがなく、イメージや見た目、またはそれに伴ったマスメディアの報道などを通して、自然とマイナスな印象をもっているのではないでしょうか。 確かにまだまだスケートボードはマイノリティな存在かもしれません。興味のない方からすれば理解し難いのもわかります。でも社会的に存在が認知された今だからこそ、多様化の進む現代だからこそ、必要なのは相互理解ではないでしょうか。 愛好者から見た「ストリート観」 昨年講師として登壇させていただいた目黒区教育委員会と行った社会教育講座「スケートボードの魅力と今後どうなっていくのか?」写真提供:ポプラ社 そういった時代背景もあってか、最近は「スケートボードと社会」といったテーマで、有識者の方を招いたトークショーや講演が増えてきました。かくいう筆者自身も、スケートボードのフォトグラファー、ジャーナリストとして登壇させてもらったことがありますし、逆に取材をさせてもらったこともあります。そこではストリートへの否定よりも「そんな目線があったんだ!」という感想が大多数を占めていた印象で、愛好者から見れば当たり前なことでも、立場が変われば、ものすごく新鮮に映ることもあるという事実を知ったのです。それは大きな発見でした。 そこで、今回は自分の立場から見た「ストリート観」をお伝えすることで、新たなモノの見方を、少しでも知るきっかけになってくれたら幸いです。 では本題の「なぜ街中で滑るのか⁉︎」ですが、端的にいうと、自分は「作品」として写真に(人によっては映像に)収めているからです。 というのも、私がスケートボードに出会った20年以上前は、スケートパークの数が今よりも圧倒的に少なかったので、できる場所を探して、もしくは作り出して滑るしかありませんでした。ですので、空き地や公園の一角にこういったお手製のセクション(障害物)を設置して練習するという光景はよく見かけたものです。 街がさらに魅力的な存在になる 以前は高架下や川沿いなど人目につきにくい場所で、このようなお手製のスケートボードセクション(障害物)を置いて練習する姿がよく見られた。 そういった環境で育つと、街の見方が今までとは180度変わってきます。 「僕はこの技が得意だから、あの場所でやってみたいな」 「自分達のチームのTシャツを作ったから、それを着て撮影しよう」 そうやって自分らしいファッションに身を包み、自分らしい技を、自分らしい場所で、映像や写真に収めたくなるのは、ごくごく自然な成長といえます。 一般の方からすれば想像もつかないことかと思いますが、中にはストリートこそ本番、スケートパークは練習、そのように捉える人もいるくらいです。 そうして撮り溜めた映像を繋いで編集し、音楽を載せてひとつの作品に仕上げる。さらに出来上がったものを皆でシェアして、喜びを分かち合う。スケートボードはそうしたストリート文化の中で発展してきました。 今はオリンピック種目の一つになりましたが、ルーツはここにあるのです。 ではそんな文化において、フォトグラファー的観点でストリートを見るとどう映るのでしょうか?これからいくつかのサンプルを紹介していきましょう。 自然現象が上げてくれる芸術価値 満開の桜の下で撮ると、不思議とアート性が増す。 まず紹介するのはこの写真。 もうおわかりですね。桜が満開のタイミングを狙って撮り下ろした1枚です。 桜はわずかな期間しか咲かない、儚なく美しいものです。多くの人が撮影した経験をお持ちではないでしょうか。ではスケートボードのトリックというアクションが加わるとどうなるでしょうか。風景写真やポートレートももの凄く魅力的に写ることと同じように、与える印象はより強烈なものになり、さらに作品性が増すと私は思っています。 噴水にキレイに浮かび上がった虹。偶然発見して思わず撮影した1枚。 同じように自然現象という意味ではコレも良いサンプルです。 とある公園(もちろん撮影時スケートボード禁止看板はありませんでした)の噴水に現れた虹です。もちろんいつも見れるものではありません。そんな条件が目の前にあれば、カメラマンなら撮りたくなりますよね⁉︎ そこに一捻り加えて作品性をプラスするなら、スケートボードはものすごく相性が良いと思います。 水面反射もさる事ながら、万が一落下した時のリスクも考えるとトリックとしての見栄えも一級品だ さらにこんな条件の場所があれば、より面白い画が撮れると思いませんか⁉︎ そう、水面反射です。 これもスケートボードに芸術性をもたらしてくれるひとつの要素だと思いますし、いつも同じ環境で、練習しやすいように造られたスケートパークでは、決して撮ることのできない画でしょう。 しかもこれらはスケートボードが滑走できる路面と、特定の自然条件があれば、ある程度どの地域でも撮影することができるので、探してみるのも面白いかもしれません。単純に夕暮れやマジックアワーのタイミングを狙うだけでも、印象はガラッと変わりますよ。 風景写真の要素も取り込める 右奥に見える富士山。しかもこの形状だと、どの県から撮影したのかもわかる。この場所だからこそ撮れる一枚といえる 次に、より作品性を上げてくれる他の条件を挙げてみましょう。それは「地域性」です。 この写真に写り込んでいるのは、もちろん富士山。それだけで風景写真の要素も足されますし、特定の地域でしか撮影できないものになります。 スケートボードの世界では、よくブランドやチームで各国、各地域を巡る撮影ツアーが行われているのですが、そこで訪れた地の特性が現れた写真や映像が撮影され、後日ビデオ作品や広告として世に出ることは、実は長年行われている当たり前のことなのです。 すると、その映像や写真を見た人が、今度は「自分もここでスケボーしたい!」となり、撮影に訪れるようになるのです。そんな形で地域の活性化に役立っているという事は、愛好者でなければ知る由もないでしょう。 国や気候で、乗りこなす街並みは変わる 年季の入った重厚感ある骨組みや、レンガ造りのレトロ感ある建物は、いかにもNYらしい街並み では今度はそれを世界に広げてみます。 この写真にチラッと写り込んだイエローキャブや、趣ある建築を見れば、アメリカ東海岸、しかもNYであることがおわかりいただけるのではないでしょうか。 当然日本とは雰囲気がガラッと変わりますし、都市構造も気候も別物です。すると、乗りこなさなければいけない街の障害物も、全然違うものになってきます。 LAはNYと比べても広大で開放的な街並みが広がっている 対してこちらは西海岸のLAの写真。燦々と照りつける太陽と広大な空、道路沿いに並ぶヤシの木が、いかにもカルフォルニアっぽいなと思った方も多いのではないでしょうか。 こちらはより開放的な雰囲気になっていますが、そういう条件なら、当然日本ともNYとも乗りこなす障害物(街並み)が違ってきます。 ではこれらから何がいえるでしょうか⁉︎ 各地域で違う建築を乗りこなしているだけだと思うかもしれませんが、見方を変えると、生まれ育った地域の街並みが、スケートボーダーのスタイルに大きな影響を与えることになると捉えることもできると思いませんか。 地元で育まれたスキルが自らの個性となり、その個性を集約した映像作品を皆で讃えあう。そんな文化が昔から成り立っているのです。 ですので、東京五輪で話題になった岡本碧優選手の滑走後に抱き抱えられたあの一幕などは、根本にそんな文化があるからで、愛好者からみればごく自然、当たり前な行動でもあったのです。 そう考えると、街とスケートボードはとても密接な関係にあるといえるのではないでしょうか。 普段は撮影できない有名な場所だから良い 横浜の赤レンガ倉庫にて。奥の建物で雰囲気がガラッと変わる 普段から多くの人が行き交う新宿のコマ劇場前の広場。明らかにスケートパークとは異なる雰囲気だ。 ただ現在の日本は、多くの人が行き交う公共の場でのスケートボードは大半が禁止されています。 だからこそカメラマンとしては、多くの人が知る場所で、許可を得て行うイベントが、より特別感のある画になって好きなのです。 これは新宿のコマ劇場前の広場と、横浜の赤レンガ倉庫で行われたイベントになりますが、背景に特徴ある街並みや建物が写り込むだけで、与える印象はガラッと変わりますし、私はそれだけで写真に惹き込まれてしまいます。その度に、やっぱりストリートは最高に魅力的だなと思ってしまうのです。 以上がスケートボードを専門的に撮ってきた自分からみた「ストリート感」になります。もちろんストリートで滑走する全ての人が作品作りをしているわけではないですし、いくら魅力的だからといって、どこでも自由に撮影していいだろうというつもりもありません。 ストリートだから起こった心温まる話 隣で真剣にスケートボードを見つめる子供たち。その後どうなったのかというと……。 でも、最後にストリートだからこそ起こった心温まる話をして締めたいと思います。 とある住宅地の公園の滑り台で撮影したライディングカットになるのですが、隣の子供達の真剣な眼差しを見てほしいです。この時、突如現れたスケートボーダーのお兄さんに興味津々になった子供たちは、トライする姿を目を丸くして見学。そして成功した瞬間に大興奮! 皆で一斉にサインを求め始め、記念撮影もお願いし、即興のスクールまで行うことに。 その時の「俺、絶対お母さんにスケボー買ってもらおー!」と興奮しながら嬉しそうに話していた子供の顔は、10年以上経った今でも忘れられません。 サインを求め、スケートボードに乗せてもらい、笑顔でピース! スケートボードには人を笑顔にする力がある 現在はスケートボードをすることで、公共物に傷がつくことが問題視されているが、市民が平等に使うために造られたものが多少傷つくという理由で禁止にするよりも、こうした子供の笑顔がたくさん見れることの方が、よっぽど大切なのではないかと思うことがある。規則に縛られすぎたら、子供本来の自由な発想にまで影響を与えることにならないだろうか。 「スケートボードを前提にした街づくりが出来れば良いのにな」次回はそんな未来について、もう少し深く切り込んでいきたいと思っている。 吉田佳央 / Yoshio Yoshida(@yoshio_y_)1982年生まれ。静岡県焼津市出身。高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本の監修や講座講師等も務める。ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている