「縄はマイク、跳ぶ人はアーティスト」 独自のスタイルで「表現力」と「生きる力」を引き出すKO-SUKE&KE-KO

2019.04.24
FINEPLAY編集部

昨年の「Double Dutch Delight JAPAN 2018 NOVECE部門」で見事優勝し、NY行きのキップを手に入れた「パキラ」。類を見ないパフォーマンス力を持つチームとしてキッズシーンに新たな風をふきこみました。そんな「パキラ」が育ったのは、愛知県名古屋市で2018年に発足したダブルダッチスクール「DDFAM」。東海地方からDouble Dutch Delight JAPANに出場するキッズチームが現れたのは初めてだそうです。関東・関西に比べてダブルダッチ人口が少ない中、どのようにスクールを運営し、どういったことを子どもたちに伝えているのでしょうか。スクール代表の笑顔が素敵な夫婦、KO-SUKEさんとKE-KOさんにお話を伺ってきました。ダブルダッチ連載企画「ALL STYLE JUMPERS vol.2」始まります。

DDFAM

KO-SUKEとKE-KOが運営する、子どもから大人まで1からダブルダッチを学べるスクール。ダブルダッチやダンスのスキルはもちろん、スクールを通して”生きる力”を育てることをモットーにしている。合言葉は”ニコニコ” “ハキハキ” “ドンドン” “キリカエ”の、楽しく元気いっぱいのスクール。

KO-SUKE

同志社大学のダブルダッチサークル「S’il vous plait!」でダブルダッチを始め、のめりこむ。「Double Dutch Cotest World 2013 第3位」「American Double Dutch League 2013 シングル部門 第3位、ダブルス部門 準優勝」「Double Dutch ONE’S 2013-2014 FINALIST」「THE GOLD ~king of double dutch 2012~バトル部門 優勝」などさまざまな戦績を残し、パフォーマンスの盛り上げ隊長兼スピードスターとして広く活躍する。現在は地元である名古屋でダブルダッチシーンを盛り上げるべく、ダブルダッチスクール「DDFAM」や、月に一度のダブルダッチ交流会「DDPARK」などを運営する。独自の教育スタイルでスクール生「パキラ」を世界大会へ導く。

KE-KO

幼少期からバレエを習い、高校時代にストリートダンスに出会う。名古屋を拠点とするダンサーとして活躍していたときにKO-SUKEに出会い、ダブルダッチを知る。ダンサーのスキルと表現力を掛け合わせたダブルダッチプレイヤーとしての道を歩み始める。人を惹きつけるパフォーマンス力を持ち、ファンは子どもから大人まで幅広い。現在は「DDFAM」でKO-SUKEのサポートのほか、ダンス・リズムクラスのメイン講師やパキラの振付、メイク、衣装を担当する。

一度は辞めたダブルダッチを再開 今度は2人で道を進み始める

KO-SUKEさんはダブルダッチの世界大会で優勝経験を持ち、KE-KOさんは元ダンサーという異色のお2人。まずは、名古屋でダブルダッチスクールを開くことになったきっかけを教えてください。

KO-SUKE:実は、出身が名古屋なんです。地元に戻ってきて、最初は飲食店やライブハウスでアルバイトしていました。ダブルダッチももう辞めようと思って全くしていなかったんですが、大学時代に本当にダブルダッチが好きで、プロを目指していたことが忘れられなくて…。そんな時にテレビのクイズ番組で、名古屋で60年続く縄跳びの製作会社「ベルテック」を知って、「これだ!!」と思って電話し、まずはダブルダッチに関する仕事につくことができました。そして、名古屋ではまだまだ発展途上のダブルダッチをもっと普及させていきたいなと思っていた時に、当時高校生でダブルダッチをしていたコウタに出会いました。一度はダブルダッチを離れましたが、いつも動画を見て曲探しをすることは辞められなかったんですよ(笑)やっぱりパフォーマンスがしたいと思って、メンバーを募ってイベントに出たりすることが増え、だんだんとダブルダッチが自分の中でまた熱を帯びてきました。それが3年ほど前のことです。

熱の入った指導を行うKO-SUKEさん

KE-KO:私はクラシックバレエからストリートダンスの世界に入ってずっとダンス一本だったので、ダブルダッチはKO-SUKEと出会ってから知りました。あるイベントで、いつも私がトリを飾るイベントなのに、ダブルダッチがトリだったので悔しくて(笑)「なにがすごいか見てやろうじゃないの」って見ていたんですけど…。「ヤバいこれ!!」ってすごく興奮しました。ダブルダッチを見ている人が、スピードが通った時やアクロバットが来た時に反応して笑顔になっているのを見て、「この縄の中でダンスをしたらどうなるんだろう」ってワクワクしてきて。「本気でダブルダッチやってみたい」と相談し、メンバーの一員になりました。もちろん、踊るだけじゃダメなので縄も練習しましたよ。最初は難しくて投げ出したくもなりましたが、KO-SUKEに「ダブルダッチ本気でやるんじゃないのか」と言われて頑張りました(笑)

2人がメインとなり子どもたちを指導します

KO-SUKE:KE-KOは見ている人を惹き込む力があり、これがダブルダッチに入ったらすごいことになるんじゃないかなという確信がありました。メンバーになってくれたのは心強かったですね。

KE-KO:KO-SUKEと出会って付き合いが始まってから、よく話を聞いていたら「ダブルダッチで世界大会に行ったことがある」って聞いてびっくりして。1つのことを突き詰める姿勢に「すごいな」と思うと同時に、そういったことをひけらかさない部分も素敵だなあと感じました。私自身は、ダンスを含め色んなことが中途半端にしてきてしまったという想いがあって。もう20代も半ばだったので、腹をくくってダブルダッチをして、KO-SUKEの挑戦することを支えていこうと決めました。

最初は縄を回せず悩んだというKE-KOさん。今では笑顔で子どもたちに教えます

KO-SUKE:名古屋のダブルダッチを活性化していくために、2年半前に「毎月練習できる場所を作りたい」と思って、毎月第2日曜日にダブルダッチの交流会「DDPARK」を始めました。名古屋だけじゃなく、中部地方でダブルダッチをやっているキッズも遊びに来てくれて、毎月来てくれる子も出てきて、子どもたちから「スクールをしてほしい」という声をもらい、最初は仕事があるので難しいなあと思っていたんですが「KE-KO先生からダンスを教えてもらいたい」という声もあり、思い切って2人でスクールを立ち上げることにしました。職場の「ベルテック」の協力を得て、横にある倉庫を改装して、鏡もつけてダブルダッチもダンスも思いっきり習える場所を作るところから始めました。2017年のことです。

将来的には色んな種類の縄跳びを集めた「PEACE ROPE SHOP」を併設するそうです

子どもたちが安心して遊べるスペースもあります

大切にしているのは「生きる力を育てること」 あえて「教えない」スタイル貫く

2人がスクールを立ち上げてから、瞬く間にヒーローが誕生しましたね。どのようなこと大切にして教えていらっしゃるんでしょうか。

子どもたちも積極的に意見を言います

KO-SUKE:僕たちのスクールの方針は「生きる力を育てる」です。子どもたちが目標を設定し、それを達成する力を育てることを目標にしています。僕たちは基礎的なこと以外は自分たちから教えることをしません。「ここを教えてほしい」という部分を考えさせるんです。今回、パキラが「世界大会に行きたい」という目標を設定しました。ということは、「自分たちの目標を実現させるために、どういったことが足りなくて先生に教えてもらうべきなのか」ということは自分たちで考えさせます。やはり、「やらされている」パフォーマンスでは人の心を動かすことはできないと思うんです。

真剣な話し合いももちろんします

KE-KO:子どもたちには「ダブルダッチはパフォーマンス。縄はマイクで、跳んでいる人はアーティスト。周りの人たちはバックダンサーだ」と伝えています。一瞬跳ぶだけでも、どう跳んだらお客さんの心に残るかということを徹底的に考えさせます。3分間で自分が「パフォーマーだ」という意識は絶対にとぎらすことがあってはダメだと。

KO-SUKE:また、僕たちは「ノーミスのパフォーマンス」を目指していません。引っかかるのはミスじゃないんです。引っかかって、パフォーマンスが途切れてしまうことが大きなミスなんです。引っかかって、あたふたしていたら見ている人は必ず残念な気持ちになりますよね。「パフォーマンス中に素は絶対見せるな」と伝えています。

結成して瞬く間に結果を出しました

Dobule Dutch Delight Japan 2018 NOVICE部門で優勝した「パキラ」のパフォーマンス

KE-KO:正直、ダッチャ―の多くがパフォーマンス中、視線が低くて表情が無く、「なんでその動きをしているのか」ということが分からずやっているんだろうなと感じることがありました。私は振り付けを考えるときに、一番は子ども達がやりたいイメージを大事にしています。パキラでは1人1人の特徴を大切にして、それぞれの色と味が出るように考えてます。そして、「絶対下を向かない」ことを徹底させており、できるだけ多くのお客様に子ども達の想いが届くように、視線やあごの位置は細かく指導しています。また、表情も大事にしていて、スクールに来た当初は無表情だった子も「表情があるのと無いのどっちがいい?」って私が大げさにやったら「表情あった方が楽しそう!」って言って、どんどん表現するようになりました。今では、パフォーマンス中はもちろん、写真撮るときに誰よりもキメる子に変身しました。

KO-SUKE:KE−KOは、本当に子どもたちの表現力を引き出す力がすごくて。最初は恥ずかしがっていた子たちも、誰よりも思いっきり笑顔でダンスをするKE-KOにつられて笑顔になっていくんですよ。KE-KOによるダンス・リズムのレッスンがあるのも、うちの強みです。

思いっきり音楽にのってジャンプする子どもたち

名古屋から世界を狙うDDFAMが描く未来像「どんどん仕掛けていきます」

独自のスタイルを貫く2人によるDDFAM。これからどんなスクールへ変化をしていきたいと考えていますか。また、名古屋のダブルダッチシーンをどのように変えていきたいとお考えでしょうか。

取材時はコンテスト前だったので、スピード練に励んでいました

KO-SUKE:僕たちのスクールは、「FAM」という名前からスクール全員が「家族」だということを大切にしています。レッスン時に毎回配るのが「FAM日記」。「どんなことを書いてもいいよ」って言って、日常的にあったことを共有してもらっています。まだ人数が少ないスクールですが、1人ひとりの生徒を大事にし、周りの人を大切にすることを伝えていけたらと思います。

KE-KO:本当に、最近は「FAMは家族だから」と生徒たちも当たり前に言うようになり、本当に愛おしいなあと感じます。何にしろ、ダブルダッチを始めて私も本当に楽しくてしょうがないないですね。1つひとつの目標を有言実行で達成していくKO-SUKEは本当に尊敬しています。私は元ダンサーとして、ダブルダッチを変革させていきたいです。そのためには、表現力をもっと上げていく必要があると思います。ダブルダッチに留まらずもっと色んなものに触れて行って欲しいですね。

KO-SUKE:今後の社会を生き抜いていく上で、「生きる力」はとても大切になってくると思っています。自分またはみんなで描く未来のビジョンに向う際に、自分で課題を見つけ解決する力、自分の考えや想いを伝える表現力やコミュニケーション力、物事を多様な観点から考察し、判断する力が求められます。ダブルダッチを通して、この「生きる力」を育て、これからの人生を生き生きと輝かしく歩んでもらいたいです。
そして、やっとスクールも軌道にのり、ダブルダッチの人生がまた始まったんだなあと感じています。今回の「パキラ」の奮闘で、名古屋にもダブルダッチがあるんだということを知ってもらえたのではないでしょうか。仕事面では縄のモノづくりから、ダブルダッチの指導、そしてプレイヤーとしてどんどん仕掛けていく予定です。名古屋のシーンから目を離さないでくださいね。

お二人とも、ありがとうございました!

いかがでしたか?名古屋でダブルダッチシーンを切り開いていくKO-SUKEさんとKE-KOさんの熱い想いを感じていただけたのではないでしょうか。お2人がダブルダッチを通してであった子どもたちのことを人生単位で大切に考えている様子が感じられました。「DDFAM」から、「パキラ」のような革新的なダブルダッチチームがどんどん出てくるのではないかと期待です。目を離さないでいてくださいね。そして、気になったら名古屋へ訪れてみてください。

文・インタビュー/小田切 萌

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