【ALL STYLE JUMPERS vol.3 】 ダブルダッチを通して感動を シーンを裏側から支えるKAZMA

2019.05.14

今回ピックアップするのは、関西のダブルダッチシーンを裏側で支え続けるKAZMAさん。学生の頃、立命館大学のダブルダッチチーム「Ballon D’or」に所属し、チームを世界2位まで導きました。その後イベント運営のスタッフに入り、のちに主催側へ。2016年にはダブルダッチシーンを支える有限会社オーバーサンプの関西支社を立ち上げ一年後に支社長に就任され、言わずと知れた縁の下の力持ち的存在です。関西のダブルダッチシーンの未来を見据えるKAZMAさんの想いとは。ALL STYLE JUMPERS vol.3、始まります。

 

<KAZMA>

立命館大学BKCキャンパスのダブルダッチサークル「Fusion of Gambit」所属の時に、「Ballon D’or」としてDOUBLE DUTCH DELIGHT JAPAN準優勝、National Double Dutch Leag準優勝を果たす。その後イベント運営に関わりNPO法人「京都府ダブルダッチ協会」を立ち上げる。のちにダブルダッチの運営会社「有限会社オーバーサンプ」の関西支社を立ち上げ、一年後に支社長に就任。関西ダブルダッチシーンの裏側を支える中心人物。

感謝の気持ちを伝えたい。プレイヤーから運営側へ

ダブルダッチのイベントの裏側を支えるKAZMAさんですが、もともとはダブルダッチの世界大会に出場経験をもつ凄腕プレイヤー。いつからこのような形でダブルダッチに関わるようになったのですか?

大学生からダブルダッチを始めてのめりこみ、3回生の時に「Ballon D’or」というチームで世界大会へ進んで準優勝をいただきました。世界大会はニューヨークのアポロシアターで行うんですが、人生で初めてニューヨークに降り立った時に「世界って広いな~」って感じたんです。シンプルに。

当時は12月くらいから就職活動が始まるときで「大会が終わってからどれだけ早くスーツを着て就職活動に切り替えられるかが重要」という風潮がありました。自分も大会が終わったら就職活動をして、大手企業に就職を決めたいなと思っていたんですが、広い世界を見て「本当にそれは幸せなのかな?」と疑問を感じ始めたんです。もちろん、それが幸せな人もいると思うんですけど、それは一般論であって自分にとっての幸せは違うのではないかと。

(ニューヨークで世界大会が行われた時の写真)

そんなとき、ダブルダッチでアポロシアターの舞台に立ち、自分達が培ってきた3分間のパフォーマンスで多くの人に伝えることができたことに、大きな達成感を感じました。今後はプレイヤーとしてではなく、違う観点でダブルダッチを楽しんでいきたい気持ちが大きくなりました。

まずは、これまで出ていたイベントを支えてくれた皆さんに恩返しをしようと、スタッフ側として入ってみたところ、思った以上のたくさんの人が裏で支えていることにびっくりして。大変な中にも、イベントを回していることの楽しさがあって、どんな小さなイベントでもスタッフとして関わるようになりました。当時は就活かプレイヤーで活躍するOB・OGしかいなかった中、僕の存在は特殊だったのではないかと思います(笑)

こうしてイベント運営が面白い気持ちから、大きい組織の一員になるのではなく自分の考えで動いていける場所で働きたいと思い、卒業後もダブルダッチの道に進むことに決めました。

(当時の想いを話してくださいました)

1人ではできない。支えがあるからこそ成り立つ運営。

今では、KAZMAさんがいるからこそ年間のダブルダッチのイベントは成り立つのではないかと思っています。その裏には、どのような苦労があるのでしょうか。

最初はalttypeのJUNさんがイベント運営を担っており、その下で学ばせてもらいました。それでも、すぐ引き継ぐつもりだったので23歳の時にはすでにイベント運営を任せてもらっていましたね。現在は1~2カ月に1回は何かしらのイベントがあり、それに向けて日々準備をしています。場所の確保のために抽選をしたり、ポジションを決めたり、当日は自分がトップで自由に動けるように工夫しています。

(イベント運営のトップとして活躍するKAZMAさん)

実は最初はなんでも一人でやっていました。というか、一人でやることが良いことだと思っていたんですね。ただ、手が回らなくて装飾とかもできなくなって外から見たら「本当に大会やっているの?」っていうような殺風景な大会になってしまったこともあり…。同じオーバーサンプ関西支社メンバーのSHIMOに「もっと俺らにできることは仕事振ってよ」って言われて、頼っても良かったことに気づきました。

それから、会場の装飾はおしゃれ担当・NEWTRADのUrynaとAIにお願いしたり、SNS担当や物販担当など役割を分けたりして、「そこはその人に完全に任せる」といった形でお願いしてみたんです。そしたら、役割を与えられた人が最大限の力を発揮してくれて、おしゃれなフォトブースができたり、物販も売り上げが上がったり、僕一人の力じゃできなかったことがどんどん実現していきました。

(周りの人に協力を得ることで、大会運営に変化が生まれてきたそう)

そして、忘れてはいけないのがボランティアで参加してくれている多くの皆さん。正直、いつもスタッフ集めが大変で、「どうして大会に出ていたのに手伝ってくれない人がいるんだろう」と思っている時期もありました。でも、そうではないんですよね。手伝いたくなるようなイベントの裏側づくりも僕の仕事の一つです。今までダブルダッチプレイヤーとしてイベントに出ていた皆さんが裏側を知って、プレイヤーを支えることがシーンを支えることに繋がると感じ、「またスタッフしたいな」とか、「楽しいからスタッフしよう」という輪が広がっていけるよう頑張らないといけないです。って頭を切り替えてから、毎回手伝ってくれる子がでてきて、本当に感謝しています。そのうち、僕みたいにイベント運営の中心部にどんどん関わりたい子が将来でてきてくれたらうれしいですね。

5年後にワクワクできるか。ダブルダッチを通して感動を届けることを仕事に

現在、有限会社オーバーサンプの関西支社長のKAZMAさんですが、今後の展望を教えていただけますか。

ダブルダッチの認知度は、僕が1回生の時に比べて各段に変わりました。僕はダブルダッチのこの先5年後がどうなるのか、ワクワクしてこの業界に入りました。もちろん、楽な道ではないですが、こうして好きだと思えるダブルダッチの仕事を通して誰かに感動を与えられたらなと思うんです。その誰かは、いろんな形でダブルダッチに出会った人たちです。自分は人生の多くの選択肢の一つとして、ダブルダッチという好きなことを広めていく仕事にすることを選びました。ダブルダッチのイベントなどで関わった人たちが、「明日も頑張ろう」と思える原動力になる一つになりたい。僕は、有限会社オーバーサンプの関西支社メンバーをそういったことを作り出していくクルーにしていきたいと思っています。

(オーバーサンプ関西支社メンバーの皆さん)

僕が、自分が最初は「普通」という概念にとらわれたからこそ、好きなことをどんどんして周りの人を巻き込んで幸せをつかんでいっていいのではないかと思います。自分達はとくにキッズや学生たちに関わることが多いので、そういう風に自分の将来を考えるきっかけの一つになりたいですね。僕は卒業当初に思い描いていた未来に、やっと近づいてきました。ダブルダッチは「かっこよさ」「すごさ」だけではない、チームのスポーツです。チーム一人ひとりを生かすための組織力が求められる、こんなに面白いスポーツはほかにないのではないでしょうか。まだまだ、ダブルダッチの魅力を多くの人に広めてシーンを大きくしていけたらと思います。これから動きに期待してくださいね。

(KAZMAさん、ありがとうございました!)

文・小田切萌

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