2020年10月、ダブルダッチシーンに新たなプロチームが誕生した。その名も『FLY DIGGERZ (フライ ディガーズ)』。若手6人が肩を並べ華々しくデビューを飾り、2021年3月の DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2021 では見事優勝しチーム日本一を達成。
今回FINEPLAY取材班は、そんな“躍進中”の彼らを独占インタビュー。華々しく見えた彼らだが、その裏には様々な思いがあった。彼らはこれからどこを目指すのか? どう進んでいくのか? 手探りで未来を切り開こうとする彼らの、言葉から零れだす熱意とダブルダッチへの思いを感じて頂きたい。
《 ABOUT “FLY DIGGERZ” 》
最前線で競い合った業界のルーキー達が集結し2021年10月に結成。誰よりも跳び(FLY)、誰よりも探求(DIG)し続け、全世界各地で多くの人に出会い、一緒にダブルダッチを楽しめる空間を作り出したいという思いから名付けられた。
今年3月の国内大会「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2021」では見事優勝し、現在続く世界大会「~CONTEST WORLD 2021」の優勝に向けて奮闘中。その傍らCM・TV番組などメディアへの出演も果たし、ダブルダッチの認知向上に大きく寄与している。

“AROUND THE BASIC”
——まずは DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2021 優勝おめでとうございます。皆さんの今の心境を教えてください。
一同: ありがとうございます!
タカオ: ひとまず、FLY DIGGERZとしてやっと動き出せたな、と思います。今回の優勝もそうですし、メディア露出も増えてきていよいよ本格始動という気がしています。ただ、僕らはCONTEST WORLD* で優勝することが目標なので、次なる目標に切り替えて始動しています。

*:国内大会「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN」の上位数チームが、同世界大会「~WORLD」への出場権を獲得。2021年はFLY DIGGERZを含む3チームがCONTEST WORLDへ進出。
——やはり照準はもうCONTEST WORLDにあるのですね。
ケンゴ: タカオの言った通りですね。僕らは最初から「世界一になる」ことを目標に出場したので、国内予選となるCONTEST JAPANは絶対に優勝しようと思いました。事務所の先輩にも「優勝しないとヤバいでしょ」とプレッシャーを掛けられていたので(笑)。
パフォーマンスを作る過程でも「これで優勝できる?」とメンバー同士が逐一聞き合っていました。そういう意味で、今回はしっかり狙って1位を獲れたことが素直に嬉しいですね。
——“狙っていった”と。これはどういったことをしたのでしょうか。
ケンゴ: それこそ逐一聞いたこともそうですが、僕らはチーム結成前から各々ダブルダッチに対して真剣に取り組んでいたので、それぞれが得意とする分野があって、しかもかなり秀でていたと思うんです。だから、僕らがお互いに得手不得手を補って、最終的に1つのパフォーマンスにまとめれば、自ずと良いものは出来上がってくるだろうと自信を持っていました。
ただそう言いつつも、最初にCONTEST JAPANに臨む上で出来たパフォーマンスは、決して人様にお見せ出来るようなものではなくて…。
カスヤ: とにかくカッコいい!と思うものを組み合わせて作ったところ、結果として歪なものになってしまいました。なのでパフォーマンスの「テーマ」を決めようとなったのですが、まずこれが相当な時間を要しましたね。
——なるほど。その“テーマ”というのは何でしょうか。
カスヤ: 悩みに悩んだ結果、「AROUND THE BASIC」—“原点に立ち返る”というテーマになりました。最初は技術寄りなケンゴ・トーマ・僕と、表現寄りなアユカ・ケイスケ・タカオの3人ずつで行程を分担して作っていたのですが、途中で「そうじゃないな」と思ったんです。FLY DIGGERZは6人で1つだし、と(笑)。
そこから奇をてらうことなく、原点に立ち返って「一番イイよね!」と思うものをみんなで擦り合わせていくよう意識しました。

トーマ: この間CONTEST JAPANのパフォーマンスを見返した時、“6人で闘っている感”が出ていたと感じたんですよね。そういう意味でも、原点に立ち返るテーマを据えたことは間違いではなかったと思います。
カスヤ: 今思うと最初の3人3人の時は寂しかったですね。「どう?」「出来たよ」みたいな(笑)。
六身一体になる瞬間
誇らしげにしながらも、CONTEST WORLDに向けて気を引き締めなければと語ってくれた6人。しかし大きな転機となったCONTEST JAPANも、最初は出場するつもりが無かったのだという。
タカオ: 実はもともと、CONTEST出場は考えていなくて。出場することをチームで決めたのが、昨年末ぐらいだったのです。
——ということは… あの完成度を3カ月ほどで叩き出したことになりますね。
タカオ: そうなります。でも我ながら凄いと思ったのは、制作速度がとてつもなく早い。普通であれば長い時間かかることが一瞬なんですよね。技術もそうですが、決めたことに対する全員のがっつき具合も高くて驚きました。ケンゴさんも仰ってましたが、各々が培ってきたものの強さを感じました。
カスヤ: 最初は少し奇をてらいすぎていたんです(笑)。先輩にあたるチームの「REGSTYLE」が過去に同じ大会で世界三連覇したので、「それなら俺たちが同じことをする必要はないのでは」と思っていたんです。当初は、オンラインのダンスのコンペティションに応募したり、そういうこともしていました。
ケンゴ: でも僕らはダブルダッチのパフォーマンスを生業としていて、活動の軸はダブルダッチ。それならダブルダッチの大会に出て、結果を残さないでどうする? となったわけです。まさに原点に立ち返る、ということですね。そういうことを気づくのが少し遅かったのかも知れないです(笑)。
CONTESTに臨んでから6人がグッとまとまって、嬉しいことに結果も出ました。大会に参加することが絶対に正解だとは思っていませんが、この選択は間違っていなかったと振り返って思います。

カスヤ: 僕らのデビューの場は昨年開催された学生の大会で、その際のゲストショーは6人一人ひとりの自己紹介のようなものでしたが、今回は完全に「闘う」ためのパフォーマンスだったので、いかに6人で強力なものを作れるかを大切にしましたね。
——まさに「六身一体」となったわけですね。
カスヤ: そう、六身一体になれて、6人が1つになって掴みたいものを掴めた経験は自信に繋がりました。
アユカ: 今カスヤさんが言っていた、デビュー時のゲストショーケースを作っている時とは、全く違った楽しさがありましたね。
カスヤ: まあ最初は大変だったな(笑)。
ケンゴ: 少しピリついていたね(笑)。僕は2019年からREGSTYLEというチームで活動をしていたので、みんなより1年早くプロとして活動をスタートしました。なので最初は少し「先輩として」なんて思っていましたが、僕自身もCONTEST JAPANで意識が変わりました。
その大会の日、みんなが今までで一番喋っていたんですよね。その光景が以前シルク・ドゥ・ソレイユのステージに立った時の、ダブルダッチの先輩や周りの演者の方たちがコミュニケーションをとっている様子に重なって見えて。
そこで「あ、こいつらイイ」って思いました(笑)。
——FLY DIGGERZにとって、今回のCONTEST JAPANは大きいきっかけだったんですね。
ケンゴ: あとは練習時間以外も”練習“していましたね。自宅に帰っても練習動画を見返して反省点を洗い出したり、ここを失敗したから明日はこうしてみようとか、そういうことをちゃんと出来るメンバーでした。
タカオ: 先ほども言いましたが、目標が決まった瞬間のがっつき方は凄まじかったです。本当にチームメイトに恵まれたなと。
——みなさんのその“がっつく”力と言いますか、原動力というのはどこに秘密があるのでしょうか。
カスヤ: ダブルダッチが好きだから、という根本的な部分にあると思います。僕らは結成前から、ダブルダッチに触れている時間以外もダブルダッチのことを考えて、ダブルダッチに費やしてきたメンバーなので、目標が決まった時、それに向かうエネルギーはある意味当然と言えば当然かも知れません。
ケンゴ: それぞれに事情や人生や個性があるけど、「ダブルダッチが好き」「ダブルダッチに懸けている」という共通している部分が重なったと知った瞬間、チームとして強くなったなと思いましたね。

心境の変化
順風満帆に見えて、デビューしてからの半年間に紆余曲折を経験していたという彼ら。目標の一つを達成し、次なるステージに進もうとする彼らに話を訊くと、そこにはデビュー当時から大きな心境の変化があったようだ。
トーマ: 一時期は本当に活動が無く、どうなるのかとフワフワしてしまった時期もあったので、まずはCONTEST JAPANを経てチームは一つ上のレベルへ上がれたことに安堵しています。WORLDもありますし、もちろんそれ以外の活動もあるので、気を引き締めながらも、FLY DIGGERZとして自信を持って取り組むことが出来そうです。
あとは、「プロ」「FLY DIGGERZ」という看板を背負った時、ダブルダッチ以外の方にも目がいくようになりましたね。今までは身内からの見られ方を過剰に気にしていましたが、生業にする上でそれではダメだと。どんどんダブルダッチを通して、ダブルダッチ以外を知っていきたいと感じました。

——そういった心境の変化があったのですね。他の皆さんはいかがでしょうか。
カスヤ: 僕の場合は、関西からプロを目指して上京し4年目になりますが、まずはやっとスタートラインに立てたことが心底嬉しいです。最初は別のプロチームのメンバーとして活動したり、その後は仲の良いメンバーで活動したりしていたのですが、どれも今一つ上手くいかず、スタートに立てている実感すらも湧いてこなくて。ひとまず「プロ」という看板を背負えたことに喜びを感じています。
ただ、個人的には心境の変化はあまりないです。一貫してずっと「ダブルダッチが好き」という気持ちでやってきていましたし、今もそうです。ただこれからはプロとして「ダブルダッチを好きになってもらう」ことが僕らの仕事になってくるので、そのために何が出来るかを模索したいです。
アユカ: 私は10歳のころにダンスに出会って、そこからパフォーマンスをすることがずっと好きでした。だから今の活動に生き甲斐を感じます。ただプロとして、私たちは自分たちのことを好きになってもらわないといけないので、より「チームを」「ダブルダッチを」という意識が強まりました。
あと、先日Instagramに投稿したリールの動画で、ダブルダッチを知らない方が「ダンスもダブルダッチも知らないけど楽しめることが凄い」とコメントしてくださったことが嬉しくて。ダブルダッチを知っている方へも、知らない方へも、もっとダブルダッチを好きになってもらえる機会を増やせたらなと思います。

ケイスケ: ダブルダッチを生業にすることへの迷いや不安はあったのですが、教育実習に行ったとき、ダブルダッチがない時間がかなりあって。そこでダブルダッチから離れることを想像出来なかったんです。
今デビューして活動して、大小色々なお仕事をやっていますが、とても楽しいです。プロとしてやっていくのなら、僕はこの人生で良かったと自分でも納得しています。FLY DIGGERZというチームなら、これからの人生も楽しそうだなって(笑)。
カスヤ: …照れますね(笑)。
タカオ: 他の皆さんが言ってくださったことが全てですが、でも本当にCONTESTを経てチームとして一気に固まってきたかなと思っています。なのでこれからが更にワクワクしていますし、楽しみです。
ケンゴ: 悪いことは割って、楽しいことは掛け算していく。FLY DIGGERZは6人なので、不安は「÷6」、ワクワクは「×6」。そう思えるチームになったことは、僕らにとって大きな変化だと思いました。

彼らが見据えるこれから
——FLY DIGGERZの皆さんの、これからの目標があれば教えてください。
ケンゴ: チームとしては、まずはダブルダッチの方々に認められたいです。やはりダブルダッチプレイヤーなので。だからこそCONTEST WORLDは勝たなければいけません。「世界一」という称号を獲って、次があるかなと感じています。
要は、世界一を獲ることは僕らにとってあくまで通過点でしかなくて、その先のために獲るものだと思っています。今はその“先”に何があるかは分かりませんが、逆に言えば世界一を獲れば見えてくるだろうと。
カスヤ: ケンゴの言った通り、CONTEST WORLDを獲って、僕らがやりたいことをようやく出来るようになるかなと思います。あとはチームとして他にどんなことを目指すのかというのは、よくミーティングなどを開いて話し合っていますね。
例えばフレッシュな僕らは学生とも年齢が近いので、もっと接点を作って業界の若い層を刺激したい。他にもやりたいことがあって、そのためのプランもあるのですが… これはまだ秘密です。
ケンゴ: 正確に言うと、ちょっと忙しくて動けていないのですが(笑)。
カスヤ: 言い訳はダメなんですけどね(笑)。
ケイスケ: 最終的には「ダブルダッチといえばFLY DIGGERZ」と、名前が挙がるような存在になりたいです。
——それは今後が楽しみです。個人としては皆さんいかがでしょうか。
ケイスケ: プロとして活動してから“これから”を考えるようになりましたが、正直「これを目指す!」という確固たるものは決まり切っていません。ただ、ショーケースを見せたときにその人に感動してもらえるか、人の心を動かせるか… いちパフォーマーとして原点に返ってそこを突き詰めたいですし、そのための“何か”を迷いながらも模索し続けたいと思います。

アユカ: 私もどういう存在になるかは模索中ですが、ひとつは“人間力”を磨きたいです。パフォーマンスにしてもInstagramの動画にしても、100人のうちの1人でも強く刺さってくれたらいいと思っています。数に目を向けることも大事だけど、一人ひとりの見てくださる方の思いも大切にしたい。そしてそのためのパフォーマンスが出来る人間でありたいし、自分の中から溢れるものをもっと磨いて、外に発信していきたいです。
それこそ「なぜダブルダッチ始めたのか」とか、原点に立ち返って考える機会も増えました。まさにパフォーマンスのテーマにもあった、“AROUND THE BASIC”です。
ケンゴ: 一個人としては、家庭を持って子どもを養っていきたいという目標があって、そこに向かって意識して、どういうことをしないといけないか、どういうJUMPをしないといけないかと考えているのですが、やはり人を幸せにするにはまず自分がある程度満たされている必要があるなと、つくづく思います。自分が満たされていないと、人のことを気に掛ける余裕が出来ないというか。余裕がない状態で人のことを見ても、勝手に見えたつもりになっているだけで、それは“嘘”ではないかと思うんです。
プロとして多くの人に幸せや元気を与える存在として、そこは見誤らないようにしたいと思っています。
カスヤ: 僕は子供たちの“ヒーロー”になりたいですね。レッスンや講習会で子供と接するとき、例えば「昨日先生が出ているあの番組見たよ」って言われたら、子供たちに夢を与えることが出来ると思うんです。彼らがやっているダブルダッチに無限の可能性があることを、背中で伝えたいですね。子供たちが僕らの背中を追いかけてきてくれて、その過程で更なる成長の機会を作れたら最高です。
トーマ: “甲斐性のある人生を送る”ことを意識しています。8歳のころからずっとダブルダッチと一緒に成長してきたのですが、だからこそいつか自分の体が動かなくなる時のことをよく考えてしまうんです。その時に、自分が家族や周囲の人に支えてもらったように、自分も家族や仲間を支えられる存在でありたいです。
そのためにFLY DIGGERZとして、まずはガンガン動こうと思います。
タカオ: とにかく多くの人たちを幸せな気持ちにしたいですね。自分はパフォーマンスやダブルダッチを通して、幸せを提供できる存在でありたいです。「明日死ぬとしたら」とよく考えるのですが、悔いのないよう、まだ見えないこの先のことにもワクワクしながら、プロとして活動していきたいと思います。
ケンゴ: 僕含め、メンバーの中には「想いの“種”」みたいなものを共通して持っていると思っています。誰かに見て欲しい、誰かにダブルダッチを面白いと思って欲しい、とか。その共通したものがどんどん成長して“花”になったとき、どんなことを達成していて、どんな目標を追いかけられているのか…。
一つひとつの小さいことを大切にしていくことで、その先のものを目指していきます。なので僕らは世界一にならなければいけません。引き続き、応援よろしくお願い致します!

“プロ”としての肩書や矜持を背負い、ステージで華々しく躍動する彼らも人間だ。そして人間である以上、等しく迷い、苦しみ、悩むものだ。しかし彼らはそれをエネルギーに変換して進み続けていた。多くの人に愛される彼らの魅力は、そこにあった。
迷いを力に、悩みを武器に。彼らはこれからも臆さず跳び続けることだろう。未来を見据える彼らの目は、これからどんな景色を見ていくのだろうか——。
TEXT & INTAVIEW: YAMADAI
PHOTO: Yassy
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danceFULLCAST RAISERZ|D.LEAGUE 24-25シーズン最下位転落と上昇の決意2025.08.18D.LEAGUE(※)のチームであるFULLCAST RAISERZ(フルキャストレイザーズ)は、これまでD.LEAGUEのチャンピオンシップ出場の常連チームと言われていた。なかでも2021-22シーズンではレギュラーシーズンで総合首位となり、チャンピオンシップでは準優勝を獲得するなど、初期から強豪チームとして存在感を示していた。しかし、D.LEAGUE 24-25シーズンはチームの歯車が狂い最下位に転落するという前代未聞の結果となった。シーズンを終えて率直な感想と今後の決意についてディレクターのKTRに話を訊いた。 過去最低順位を記録した24-25シーズン - 24-25シーズンもお疲れ様でした。初めて成績が振るわないシーズンを迎えたことになりましたが、率直な感想をお聞かせください。 KTR:一言で言えば「悔しい」シーズンでした。過去最低の14位という結果で、今までチャンピオンシップ常連だったレイザーズとしては、勝利した試合が1勝のみという結果は本当に悔しかったです。シーズン中は練習の雰囲気も苦しい時期があり、「なぜ勝てないんだろう」という迷いもありました。新ルールへの対応がうまくできなかったことがひとつの要因にありますが、その他のことについても、今振り返るともっと改善できたことがあったと感じています。その一方で、この悔しさや苦しさがあったからこそ、支えてくれる人たちの存在の大きさにより気付けたシーズンでもありました。ファンミーティングやイベントでファンの方々と会う機会が多く、彼らが常に「レイザーズが勝っているよ!」と信じ、声をかけ続けてくれたことは、決して当たり前ではないと改めて感じました。スポンサー様やスタッフの方々の支えも含め、「経験は宝」という言葉を強く実感したシーズンになりました。 D.LEAGUE 24-25 最終ラウンド ディレクターとしての2年間と覚醒 - ディレクターに就任されて2年が経ちました。以前、前ディレクターのJUNさん以上の成績を残したいとおっしゃっていましたが、ディレクターとしての葛藤はどのようなものがありましたか? KTR:正直なところ、就任当初の1年目はプレッシャーを感じる余裕すらなかったです。何がディレクターの仕事なのかも分からず、とにかく目の前のことを日々乗り越えることに精一杯でした。2年目でようやく仕事の内容や役割が分かり始めましたが、今振り返ると、当時の僕の意識は未熟だったと感じます。今の方がはるかに責任感を強く感じています。この責任感が生まれ始めたのは、24-25シーズンの後半戦でした。チームの雰囲気が悪く、メンバー間で衝突があった時、「この環境を作っているのは自分だ」と強く感じたんです。メンバーの衝突すらディレクターの責任だと。その時、「俺は何をやっているんだろう」と自問自答し、メンバーに心を開いて自分の想いを伝えました。「優しく接することが、もしかしたら皆にとっては甘えになって、仕事ではなく仲間内の感覚になっていたかもしれない。本来のDリーガーとしての練習の質や環境はこれで良いのか?」と。その辺りから練習内容を細かく変え、メンバーもより一層前向きに取り組んでくれるようになりました。その時に初めて、ディレクターの重要性を痛感しましたね。 JUNさんが築き上げてきたレイザーズの凄さを、より深く理解できるようにもなりました。JUNさんのチーム作りや、先頭に立ってチームを引っ張る強い意思は、今の自分に足りないものだと感じました。レイザーズのブランディングにおいても、JUNさんのやり方は間違っていなかった。JUNさんのやり方やチームブランディングを、僕なりにシフトしていこうと考えましたが、今は自分の軸はブレずに、改めてJUNさんが築き上げてきたスタイルの強みを活かし超えていく事が重要と考えています。ディレクターの仕事は、チームプロデュースも担当します。メンバーを頼る部分もあれば、スタッフとの話を全てメンバーに伝えるわけでもない。メンバーの意見を聞きすぎると迷いが生じることもあり、一人で抱え込むことが多かったです。プレイヤーとしても活動しているので、思考が追いつかない時もあり、正直投げ出したくなることも多々ありました。ただ、そんな中でディレクターとしてどう進むべきか、新たな気づきを得られたことは間違いありません。 課題と改善点|次シーズンへのコミット ― D.LEAGUE25-26シーズンに向けて具体的な課題感や改善点についてはいかがでしょうか? KTR:一番の課題は、チーム全員が「一つのことに意思を向ける」ということです。これはディレクターが背中で示していかなければならない部分であり、勝利だけでなく、D.LEAGUE全体を盛り上げるという意識も重要です。24-25シーズンは勝てなかった理由としてルール変更に僕たちが最後まで対応できなかったと感じていますが、最も大きな理由はD.LEAGUEにコミットしきれていなかったことだと考えます。KRUMPという自分たちの表現したいものを追求しすぎて、D.LEAGUEのルールや駆け引きに対応しきれていなかったと感じました。例えば、KRUMPの比率を80%ではなく60%に抑え、新たな要素を取り入れてバランスを取るべきでした。試合ごとの作品テーマや戦略も、今思えばもっと工夫できたはずです。 僕たちが表現したいものはステージ上でお見せできたと思いますが、それが“勝つため”に120%活かされていたかと言われると、そうではありませんでした。「自分たちがKRUMPを通じて認められたい」という意地やプライド、迷いがあったように感じています。メンバーのマインドについては、勝ちへの貪欲さは皆持っていたと思いますが、D.LEAGUEにかける熱量のバランスが異なっていたメンバーもいたと感じています。全員が最高の熱量を持っていれば相乗効果が生まれ、「あいつが頑張っているから俺も負けてられない」という意識が生まれます。チーム結成から5年が経ち、その意識がなあなあになってしまっていた部分もあったと感じています。ただその原因は、ディレクターである僕がしっかり示せていなかったことにあると猛省しています。例えば、レイザーズのYouTubeチャンネルでは現在新メンバーオーディションの様子を配信しているのですが、元メンバーであり、オーディションに参加しているTAICHI(Tiny Twiggz)から「正直生ぬるいメンバーもいるように思う。俺は全員本気のメンバーとやりたい。」という言葉を言われて自分の中でも深く考えたんですよね。練習の質や時間の使い方にも問題があったし、今後の具体的な改善点は明確にわかっています。 オーディションの様子 Dリーガーとしての5年間|困難を乗り越える原動力 ― ご自身はDリーガー以外にもアーティスト活動など様々な領域で活動をされ、ダンサーとしてのライフワークバランスも難しいと感じますがDリーガーを続けていられる理由は何だと思いますか? KTR:難しい質問ですね‥。なぜ続けられるかというと、シンプルに「ダンスが好きだから」だと思います。もちろん辛いと思うことはありますが、本当に辞めたいと思ったことは一度もありません。正直、休みたいと思うことはあっても“この環境が当たり前ではない”と常に感じているから、Dリーガーを辞めるという選択肢はこの5年間僕の中では生まれませんでした。とはいえ、自分の人生の5年間をD.LEAGUEに捧げ、24時間をコミットするというのは、簡単なことではありません。それでも僕が続けてこれたのは、まず「TWIGGZ FAM」という昔からの仲間がいる母体があり、KRUMPというジャンルに根ざしているからだと思います。JUNさんに誘われてD.LEAGUEに入ってからも、ずっと一緒に切磋琢磨してきたメンバーがいるからこそ、環境的に居心地が良いというのはあります。 D.LEAGUE開幕当初は勢いしかなかったように感じます。「何だか凄いことが始まった」「このまま D.LEAGUEは盛り上がる」と、シーンのことや自分がダンスで表現することに必死で、スポンサー様からの支援の重要性をあまり考えて来れなかったように思います。しかし、5年が経ち、その「当たり前ではない」という感覚は常に僕の頭にあります。僕自身も活動を通じて、影響が広がっていることを実感することもあります。昨日も僕の地元の愛媛で「KTRさん!」と声をかけてくれる子どもたちがいました。「Dリーガーになりたい」という声を聞くと、それが大きな原動力になります。だからこそ、メンバーの年俸も上げたいし、僕たちが輝いている姿を見せたい。子どもたちがDリーガーになりたいと言ってくれることが、僕の1番のモチベーションです。今は自分たちの意地やプライドを捨てて、“D.LEAGUEで勝つ”ということを最大の優先度にしコミットする決意があります。 初単独パフォーマンスイベント「REAWAKE」に込められた想い ― レイザーズとして初単独パフォーマンスライブが8/27に控えていると思いますが、開催目的について教えていただけますか? KTR:今回のイベントのテーマが「REAWAKE」なのですが、これは「目覚める」「再生する」「覚醒する」という意味合いが込められています。この苦しいシーズンを経て、僕たちが新たな形で目覚めるという思いもありますし、正直「14位は夢だった」という気持ちも乗っています。「俺らがそんなはずないだろう」という良い意味での強気な面も表現していきたいと思っています。 ― 今回のワンマンライブは、次のシーズンに向けて覚醒していくレイザーズの姿を見ることができるということですね。 KTR:そうですね。また、D.LEAGUEのステージではお見せ出来ないパフォーマンスも多く出していきたいと考えています。これまでレイザーズはD.LEAGUEのステージのみでパフォーマンスをし世界観を表現してきました。ファンミーティングを実施したことはありますが、それはどちらかと言うとダンスよりもトークがメインのファンとのコミュニケーションの場でした。今月に開催する初開催のワンマンイベントでは、D.LEAGUEのルール内では表現できなかったレイザーズの魅力を全力で出せる場所を作りたいし、それをファンの方を中心に届けたいという想いから企画した背景があります。また、これまでD.LEAGUEの会場には来たことがないけど、ダンスカルチャーが好きな方にも気軽に遊びに来れる場所も作りたかったです。僕たちは主にKRUMPにリスペクトをしているチームなのですが、その本来のKRUMPカルチャーの魅力も伝えられるイベントにもしたいと思っています。 ― 今回のイベントではD.LEAGUEで披露されたネタがベースになるとのことですが、具体的にどのような見どころがありますか? KTR:新たなKRUMPの魅せ方にもチャレンジしたショーケースを準備しています。これは僕たちにとってとても意義深い挑戦なのですが、それも全て僕たちの表現の幅を広げて、より多くの方々に届いて欲しいという想いから生まれました。それに加えて、僕たちがD.LEAGUEで闘い抜いてきたパフォーマンスを身近で体感いただけることや、レイザーズにゆかりのあるゲストパフォーマーの方々の出演も予定しています。あとは、普段見ることのできないメンバーそれぞれのソロパフォーマンスやコラボレーションや、現在行われている新メンバーオーディションの最終結果発表もイベントの中で行われます。レイザーズのファンの方はもちろん、そうではない方もきっと楽しんでいただけると思います。 -「KRUMP」と聞くと攻撃的な激しいイメージが先行しますが、今回のライブではまた違った側面のKRUMPを見ることができるのでしょうか? KTR:はい、そうですね。レイザーズは、KRUMPをいかに現代に消化するかを常に追求しています。本来KRUMPはバトル文化でありショーケースという文化はあまり浸透していませんでした。それをいかに一般の方にも伝えるかを積み重ねて、今の群舞でのD.LEAGUEのショーになっていると思います。僕たちは、KRUMPというものを現代の方々にどれだけ伝えられるかを深く考えています。KRUMPの可能性を今まで示してきたからこそ、今のショーの質が上がっていると思うんです。そういった一作品一作品が見られるところが見どころだと思いますし、レイザーズの魅力はそこにあります。自分たちが信じてきたKRUMPというものを消化し続け、ひとつ一つ最高の作品を作っているという自信があります。 ― 確かにそうですね。KRUMPで10人以上の群舞かつシンクロを交えたショーが見られるのはかなり珍しいのではないでしょうか? KTR:そうですね。レイザーズのような規模とスキルでパフォーマンスできるチームは、世界初なのではないかと思います。海外でも同じようなパフォーマンスはありますが、ショーの質が違うと思います。KRUMPのショーは日本が最強だと自負しています。そもそも日本人は群舞でのショーケースが強いことで知られていますよね。それはスキルも当然ですが、日本人としての繊細で真面目かつ協調性のある気質が大きく影響していると思います。そう言った意味でも僕たちならではのオリジナリティのあるショーケースをぜひ観にきて欲しいですね。 ― 最後に、読者の方やファンの皆様へメッセージをお願いします。 KTR:24-25シーズンは、レイザーズにとって過去最低の順位となり、悔しい結果に終わりました。ただ、この苦しい経験があったからこそ、僕たちは多くのことに気がつき、成長することができました。特に、ファンの皆様、スポンサーの皆様、そしてスタッフの皆様の支えがどれほど大きいものか、改めて痛感したシーズンでもあります。こんなに負けが続いても、僕たち以上に熱心な言葉をかけ続けてくれました。皆様の応援が、決して当たり前ではないことを胸に刻んでいます。初の単独イベント「REAWAKE」は、このライブを通じて、僕たちがこの苦しいシーズンを乗り越え、D.LEAGUEで「こんなもんじゃないぞ!」という姿を見せるための覚醒の瞬間を、ぜひ観にきていただきたいです。D.LEAGUEの舞台ではもちろん、レイザーズの単独イベントでも、KRUMPの新たな可能性を追求し、最高のパフォーマンスをお届けできるよう、チーム一丸となってこれからも邁進していきます。今後も、子どもたちがDリーガーになりたいと夢を抱いてくれるような、輝く存在であり続けるために、僕たちはD.LEAGUEに全力でコミットしていきます。レイザーズの挑戦はまだまだ続きますので、ここから更にギアを入れて加速する僕たちに期待をして欲しいです。それと、新たな挑戦でもあるワンマンで、気軽に声をかけていただけると嬉しいですね。レイザーズ全員で心よりお待ちしています! ※1)D.LEAGUE(ディーリーグ)株式会社Dリーグが運営する、日本発・世界初のプロダンスリーグ。2020年に設立され翌2021年に第1シーズンを開幕。ダンスをスポーツ競技とエンターテインメントとして融合させ、有名企業がスポンサーとなるチームが全12ラウンドのレギュラーシーズンを戦い、上位6チームがチャンピオンシップ(決勝トーナメント)へ進出して日本一を決定する。ファンによる投票も勝敗に影響する、新しい観戦体験を持ち味としている。 ◼︎KTRプロフィール日本の伝説的KRUMP CREWを継承すべく再始動した新生「RAG POUND」に所属し、Dリーガーとアーティスト活動を兼任する。また、世界最大級のKRUMP FAMILY「Twiggz Fam」の一員でもあり、日本KRUMP界を牽引する次世代の先駆者として、KRUMP界だけではなく多方面から支持を集めている。細やかでクリアな動きとキレのあるスキルフルなパフォーマンスを武器に、様々なコンテストやバトルに出場しては好成績を残し、国内に留まらず海外からの評価も高い。止めどなく繰り広げられる正確で丁寧なコンボやマテリアルに加え、抜群なリズミカリティーと無駄のない動きは圧巻で、見る者を釘づけにする世界レベルのパフォーマンスから、日本No.1 KRUMPERとの呼び声も高い。また、ダンスのみならず、その引き締まった体格とビジュアルを活かし、モデルや舞台役者としても活躍中で、東方神起などを筆頭にアーティストの振付なども担当する。FULLCAST RAISERZのディレクターとして、チームを勝利へ導く。 ◼︎1ST PERFORMANCE LIVE 開催概要開催日時:2025.08.27.Wed OPEN 18:00 / START 19:00会場:WWW X (東京都渋谷区宇田川町13−17 シネマライズビル B1F)チケット情報:*ページ下部の関連リンクよりご確認ください
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danceHarutoとCocoaが初優勝「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」日本開催のWorld Final出場を懸けた戦いへ2025.08.17世界への切符を懸けた、日本最高峰の1on1ブレイキンバトル 2025年8月16日(土)、横浜・大さん橋ホールで、日本一を決める1on1ブレイキンバトル「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」が開催された。 優勝したB-Boy、B-Girl各1名は、11月7日(金)に東京・両国国技館で行われる「Red Bull BC One Last Chance Cypher 2025」に出場。ここで勝ち上がった者だけが、世界中から選ばれたわずか16人の舞台「Red Bull BC One World Final Tokyo 2025」への切符を手にすることができる。 「Red Bull BC One」は、今年で22回目を迎える世界最高峰の1on1ブレイキンバトル。20年以上の歴史と伝統を誇り、世界30カ国以上で予選やプログラムが行われ、数多くの才能あるダンサーを輩出してきた。毎年、何千人もの挑戦者の中から、選ばれしB-Boy・B-Girl各16名のみがWorld Finalのステージに立つことを許される。 今年はその世界決戦の地が日本。今回の日本最終予選も、例年以上に国内外から注目が集まり、史上最高レベルの戦いとなった。 Takayoshi Shimoda / Red Bull Content Pool 歴代王者と若手精鋭が集結、豪華すぎるラインナップ 3月から行われた地方予選・学生予選には約990名がエントリー。勝ち抜いたB-Boy7名、B-Girl7名に加え、日本と世界のブレイキンシーンを代表する招待ダンサーが集結した。 B-Boy Taisukeは、世界的クルー「Red Bull BC One All Stars」の初代メンバーとして長年世界の最前線を牽引してきた存在。B-Boy TSUKKIは、国内外の大会で活躍する次世代のホープとして注目を集める。B-Boy NORIは、「Red Bull BC One Cypher Japan」で通算6回の優勝を誇るベテランであり、その実力は折り紙付きだ。 B-Girl YASMINは、2023年日本予選を制し、昨年のWorld Finalでは日本勢トップのベスト8入りを果たした。B-Boy NICOLASも同じく2023年日本予選優勝者、B-Boy Harutoは昨年準優勝の実力者だ。さらに、B-Boy AisatsuとB-Boy Steezyskeeは、独自のスタイルで観客を魅了する若手ダンサーとして存在感を放つ。 ジャッジには、韓国のレジェンドB-Boy Hong10、米国のB-Girl BETA、タイのB-Boy CHENOといった世界的ダンサーが名を連ねる。さらにゲストライブには、日本を代表するヒップホップグループRHYMESTERが登場し、会場の熱気を最高潮に引き上げた。 B-Boy Hong10のジャッジムーブ Jason Halayko / Red Bull Content Pool 新時代の幕開け。王者を倒し、ニューフェイスが切符を掴む 今回のB-Boyサイドは、ただ勝敗を決めるだけでなく、世代や関係性が交錯するストーリー性に満ちたバトルが続いた。 レジェンド・Taisukeは、自身のレッスンにも通った経験を持つ教え子のGEN ROCと対戦。約9年ぶりにCypher Japanへ復活を遂げた偉大な存在に対し、GEN ROCは完璧なムーブを披露し、3-0の完全勝利。敗れたTaisukeにも、会場からは割れんばかりの拍手と声援が送られた。 同じ九州をレペゼンする若手、SO-TAとAisatsuはTOP8で激突。近年、日本ブレイキンシーンで存在感を増している九州勢同士の注目カードは、Aisatsuが制し、次世代の台頭を印象づけた。 決勝カードは、奇しくも昨年と同じ顔合わせ。日本最終予選で通算6回の優勝を誇るNORIと、昨年決勝で敗れ涙を呑んだHarutoのリマッチとなった。世代が交差する対決は、1ムーブ目からNORIが会場を大きく沸かせ、空気を掌握したかに見えた。しかしHarutoは最後まで揺るがぬパフォーマンスを続け、最年長ながら一切衰えを見せないNORIを撃破。幾度となく挑み続けてきた舞台で、ついに悲願の初優勝を飾った。 FinalでのHaruto Jason Halayko / Red Bull Content Pool 一方のB-Girlサイドは、まさに世代交代を象徴するようなトーナメントとなった。YuikaがベテランのERi FeNeSiSを初戦で破り、さらにSHIE-CHANも2回戦でHIYOに敗れるなど、長らくシーンをけん引してきた実力者たちが次々と姿を消した。フレッシュな勢いがトーナメントを席巻した。 決勝は、Cypher Japan優勝やWorld Final出場経験を持つ実績十分のYASMINと、この数年で日本選手権やアジア選手権を経て頭角を現したCocoaが対戦。貫禄あるYASMINに真っ向から挑んだCocoaが勝ち切り、初優勝を果たした。 B-Boy、B-Girlともに、過去に優勝や世界挑戦を経験した実力者が次々と敗れ、新たな挑戦者が切符を手にした今年のCypher Japan。Red Bull BC One Japanの歴史に、新たなページが刻まれた瞬間だった。世界を相手に挑むニューフェイスたちが、どんな戦いを見せるのか。期待は高まるばかりだ。 Jason Halayko / Red Bull Content Pool Harutoコメント「思い入れのある相手とのバトルが多かったです」 Jason Halayko / Red Bull Content Pool 今日の感想を教えてください決勝の相手が去年と同じNORIさんで、去年は負けて本当に悔しくて、そこからめちゃくちゃ練習してきました。ただ今日の決勝では、正直自分を出し切りきれなかった部分もあって、最後の詰めの甘さが課題だと気づけたのは良かったです。 勝てた要因はなんだと思いますか?今日は僕にとって思い入れのある相手とのバトルが多かったです。NICOLASさんは初めてBC Oneに出た時に負けた相手で、TSUKKIは昔からライバルとして戦ってきた存在。思い入れのある相手が多かったからこそ感情が入って、それがうまくダンスにつながったのが勝因だと思います。 ラストチャンスサイファーの意気込みは?個人的な弱点で、決勝になると出し切れなかったり、尻下がりになってしまうことが多いので、ムーブの追い込み練習をして、最後まで諦めずに詰め切れるようにしたいです。ワールドファイナルは、ダンスを始めてからずっと目指してきた「夢の舞台」。師匠のKAZUKIさん、同じチームメイトのISSIN、同じ地元のHIRO10などが先に経験していて、自分もいつか立ちたいと思っていた場所です。今回挑戦するチャンスが巡ってきたので、日本代表として胸を張って戦い抜けるように、さらに準備を重ねていきます。 Cocoaコメント「日本代表として胸を張って、精一杯戦いたい」 Jason Halayko / Red Bull Content Pool 今日の感想を教えてください今日までサポートしてくださった方々のおかげで、最後までベストコンディションで踊ることができました。嬉しい気持ちもありますが、それ以上に感謝の気持ちが強いです。 勝てた要因はなんだと思いますか?日本最終予選という大きな舞台で、正直かなり緊張しました。ですが、落ち着いてこれまでのことや応援してくれた人たちの言葉を思い出し、目の前のバトルに集中できたことが勝因だと思います。 ラストチャンスサイファーの意気込みは?これまで先輩方が築いてきた「日本は強い」という評判を崩さないよう、日本を背負う気持ちで挑戦したいです。ワールドファイナルは、ブレイキンを始めた頃は夢のまた夢でしたが、今日その舞台に挑戦するチャンスを得られました。日本代表として胸を張って、自分をもっと表現し、精一杯戦いたいです。 両国国技館へ、世界の舞台への挑戦 国内予選を勝ち抜いた代表は、11月7日のLast Chance Cypher(世界最終予選)に挑む。ここを突破すれば、同9日、両国国技館でのWorld Finalで世界16人の舞台に立つことになる。今年のWorld Finalには、B-Girl AYUのほか、Red BullダンサーのShigekixとIssinが招待ダンサーとして出場を決めており、日本勢の活躍に期待が高まっている。Cypher Japanで生まれた新たな挑戦者たちが、磨き上げたスタイルで世界にどう挑むのか。その瞬間は、まもなく訪れる。 The Moments Of「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」 Takayoshi Shimoda / Red Bull Content Pool Takayoshi Shimoda / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool Jason Halayko / Red Bull Content Pool
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danceRed Bull BC Oneとともに歩んだダンサー人生。初代王者 B-Boy Taisuke が九州を背負い、9年ぶりに挑む舞台。2025.08.142025年、日本のブレイキンシーンにとって特別な夏がやってくる。世界最高峰の1on1ブレイキンバトル「Red Bull BC One World Final」が、11月9日(日)に東京・両国国技館で開催される。その舞台の最終予選「Red Bull BC One Last Chance Cypher」への挑戦権を懸け、日本代表を決定する「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」が、8月16日(土)、横浜・大さん橋ホールで行われる。3月から行われた地方予選・学生予選には約990名がエントリー。勝ち抜いたB-Boy 7名/B-Girl 7名に加え、招待選手たちが日本代表の座を懸けて激突する。ジャッジには韓国のレジェンドB-Boy Hong10、米国のB-Girl BETA、タイのB-Boy CHENOが名を連ね、ゲストライブにはRHYMESTERが登場し、会場の熱気を一層高める。その舞台に、2007年の初代ジャパンサイファー王者であり、日本ブレイキンシーンのパイオニアのひとり、B-Boy Taisukeが約9年ぶりに立つ。彼にとってBC Oneとは何なのか。なぜ今、このタイミングで挑戦するのか。そして、拠点を九州に移した彼が見据える未来とは。 「九州をレペゼンしてもう一度。自分が動くことで道を拓きたい」 Little Shao / Red Bull Content Pool 最近の活動について教えてください。 Taisuke(以下 T):活動自体は大きく変わっていません。地方や海外でのイベントオーガナイズやワークショップを続けています。ただ、国内のワークショップは減らしました。若い子たちがしっかりやってくれているので、自分は別の役割を果たすべきだと感じています。 その“別の役割”とは? T:九州のダンスシーンを再構築することです。九州は、その土地に根ざしていないと本当の意味でシーンを動かせない場所。これまでシーンを支えてきたレジェンドたちが少しずつ表舞台から離れていく中、「Taisuke、九州をもう一度盛り上げてくれ」という声も届いていました。だからこそ、かつての勢いを取り戻すために戻ってきたんです。以前は、多くの才能が地元を離れて東京や大阪へ向かっていましたが、最近は「九州にいながら世界を目指す」という意識を持つ若手も増えてきた。そんな彼らを支え、後押しする存在になりたいと思っています。 九州のダンスシーンの特徴は? T:「踊れるB-Boy」文化ですね。簡単に言えば、オールドスクール全般、どのジャンルでも踊れなければならないという考え方。ブレイキンだけでなく、ロックやハウス、ソウルなどもできて当たり前という価値観が根付いています。自分も若い頃にロックをやっていましたし、先輩たちからも「技だけじゃなく踊れなければ意味がない」と言われてきました。曲がかかれば、そのジャンルに合わせて自然に踊る。それが当たり前の環境で育まれたのが、九州ならではのスタイルです。 なぜそこまで九州にこだわるのですか? T:昔の九州は、完全に“殴り込み”文化でした。東京や大阪に乗り込むと、向こうも構えて迎え撃ってくる。九州の名前を背負って遠征し、勝てばその名を刻んで帰ってくる。そんな熱気と誇りがありました。九州から来るB-Boyは強い、と誰もが思っていた時代です。ところが今は、多くの実力者が地元を離れ、東京や大阪に拠点を移してしまった。だからこそ、もう一度「九州にいても戦える」環境を整えたい。そして、外に出た人も戻って来られる場所を作りたいんです。 注目しているクルーやダンサーは? T:nine states b-boyz です。地元・長崎の後輩もいて、ブレイキンも踊りもできる若手が揃っています。昔の九州らしさを持っているチームです。 Red Bull BC One Kick off Jam Tokyo 2025 Little Shao / Red Bull Content Pool 「BC Oneは、俺自身」―Red Bull BC One All Stars初期メンバーが見てきた“技の時代”から“アイデアの時代”への変化 TaisukeさんにとってBC Oneとは? T:自分自身です。2007年に東京へ拠点を移し、まさに“第二の人生”がスタートしました。その年に初めて開催されたBC One Cypher Japanで初代王者となり、そこからワールドファイナルにも出場。南アフリカや翌年のフランス大会で準優勝を経験し、その後もBC Oneとともに世界を回るようになりました。海外で戦うようになった今の自分を形づくったのは、間違いなくBC Oneの存在です。 Red Bull BC One 2014 World Final - Paris, France Nika Kramer / Red Bull Content Pool BC Oneはどう変わったと思いますか? T:昔はブレイキンを知らない人には届かないイベントでした。でも今は違います。著作権フリー音源の採用、メディアデー(メディア向けの取材日)の導入、ライブ配信の強化などで、ブレイキンを知らない層にも届く大会になりました。世の中の人がBC Oneを知り、ダンサーの背景まで触れられるようになった。ダンサー選考も大きく変わりました。昔は「予選では勝てないけど、この人が出たら面白い」というキャラクター枠もあった。でも今は“勝てるやつしか出られない”厳しい基準になっていると思います。全員が優勝候補であり、特に若い世代を積極的に出す流れが強まっている傾向があります。 Red Bull BC One All Starsの立ち位置は? T:初期メンバーは今年で15周年。それぞれ自分の立場でできることを続けてますね。今は正直、レジェンドが本気で戦う場って減ってきてるんですけど、2024年にやった「Red Bull Lords Of The Floor」は本当に大事な場だったと思います。普段はジャッジとして動いてる世代が、現役のときみたいにフロアに立ってバトルする。その姿って、やっぱりすごく価値があると思うんですよ。レジェンドが勝ち上がるのはもちろんすごいけど、逆に若手がそこで倒して「次の世代は俺たちだ」って証明するのもめちゃくちゃ意味がある。同じフロアでそういう世代が交差するのは、俺的にはすごく面白いし、いいなあって思いましたね。 Red Bull BC One All Stars 2010 Salzburg, Austria Martin Nink / Red Bull Content Pool 求められるスキルも変わりましたか? T:2000年代後半〜2010年代初頭は、基礎能力とオリジナリティが評価される時代でした。その後、構成力・発想力・体力を総合的に備えた者が勝つ時代へ。今は「オリジナリティの時代」から「アイデアの時代」に移ったと感じます。昔は一つ一つの技のクオリティまで厳しく見られていましたが、今はある程度長い構成(ロングムーブ)を踊り切ることが必須。その中で体力、パワー、発想力が問われます。典型的なアスリート型の強さに、芸術家的な(アーティストのような)表現力が加わった者、その両方を兼ね備えていないと勝てない時代です。もはや“一発の大技”だけで勝負できる時代ではありません。 そうなった背景は? T:2010年代までに、ほぼすべての技が出尽くしたからだと思います。オンリーワンだった動きが、今では世界中で何十人もできる。だからこそ、今は発想力で差をつけるしかない。オリジナリティの時代からアイデアの時代への転換ですね。 これからのBC Oneはどうなっていくと思いますか? T:どうなるんでしょうね。将来どうなるかは分からないけれど、自分としてはクオリティはやはり不可欠だと思っています。もっと見せ方のバリエーションが増え、個性と完成度の両方を持つダンサーが評価される流れがまた来てほしいですね。 Red Bull BC One Camp India 2019 Little Shao / Red Bull Content Pool 「Cypher Japanで勝った者こそ、本当の日本代表」 今回の出場の経緯は? T:2月か3月頃にワイルドカード(招待枠)で出てほしいと声をかけられました。九州を変えたいと言っている以上、自分が結果を残さないと説得力がない。だから九州を背負って戦おうと決めました。最初は、いきなりワールドファイナル(の招待枠)を狙うつもりでしたが、年齢的にも無理だよなあと思っていて(笑)、まずはジャパンファイナルからとなりました。今年はワールドファイナルが日本開催という特別な年でもあり、「出るべきタイミングだ」と背中を押された部分もあります。このタイミングでBC Oneにプレイヤーとして戻ることで、また何か“置いてこれるもの”があると思っています。 今回の日本予選の難易度は? T:正直、ワールドファイナルやラストチャンスサイファーよりも、サイファージャパンを勝ち抜く方が難しいと思っています。B-BoyもB-Girlも全員が強く、誰が勝ってもおかしくない。ワイルドカードで選ばれるよりも、この舞台を制する方がはるかに厳しい。本当の意味での日本代表は、このサイファージャパンを勝ち抜いた人間だと思います。そして、ジャッジや解説として関わってきた中でも、年々レベルが上がっているのを肌で感じています。B-BoyだけでなくB-Girlの層も厚く、トップ16に残ること自体が至難の業。逆に言えば、日本予選を通らずにワールドへ行けるのは「本当にラッキーなこと」だと思うくらいです。それだけ注目度も高く、今のサイファージャパンは、日本中が“この人こそ日本代表だ”と思える選手を決める舞台になっています。 戦いたい相手は? T:正直特にないですけど、強いて言うならNicolasですね。The Floorriorzの2代目リーダーでもあり、1on1で当たったことがないので、実際に対峙してどうなるのか見てみたい。逆にNoriは…当たりたくないですね(笑)。“鉄人”と言われるような存在ですから。こうやって言っておいて一回戦で当たる可能性もありますけど、その時はその時かなと思います(笑)。 過去にNoriと対戦したRed Bull BC One 2013 Asia Pacific Final Nika Kramer / Red Bull Content Pool 当日に向けた心構えは? T:構えすぎず、楽しむこと。自分らしい踊りが出せるのは、心から楽しんでいるときです。結果はその先についてくる。勝ちにいくことはもちろん大事ですが、「勝たなきゃ」と気負いすぎると自分の持ち味が消えてしまう。根っからのカルチャー気質なので、構えてしまうと合わないんです。だからこそ、まずはこの特別な舞台を全力で楽しみたいと思っています。 日本ブレイキン史に刻まれる夏 8月16日の「Red Bull BC One Cypher Japan 2025」で優勝したB-Boy/B-Girl各1名は、11月7日(金)に日本で開催される「Red Bull BC One Last Chance Cypher 2025」への出場権を得る。そこで勝ち上がれば、世界中から選ばれたわずか16名だけが立てる「Red Bull BC One World Final」への切符を手にする。今年のWorld Finalには、B-Girl AYUのほか、Red BullダンサーのShigekixとIssinが招待ダンサーとして出場を決めており、日本勢の活躍に期待が高まっている。 世界30カ国以上で予選やプログラムが行われ、20年以上の歴史と伝統を誇るこの世界最高峰の1on1ブレイキンバトル。毎年何千人もの挑戦者の中から選ばれた者だけが、あの舞台に立つことができる。 そして今回、その長い歴史の中でも特別な存在であり、日本のブレイキンシーンを切り開いてきたレジェンド・Taisukeが、約9年ぶりにCypher Japanへ戻ってくる。九州を背負い、再び世界への扉を叩くその姿は、多くのダンサーやファンにとって、大会の行方以上に強く記憶に残る瞬間となるはずだ。彼がこの夏、どんな踊りで何を残すのか。日本中の視線が横浜・大さん橋ホールに注がれる。 The Moments of 「Taisuke × Red Bull BC One」 Red Bull BC One Continent Battle Switzerland 2018 Dean Treml / Red Bull Content Pool Red Bull BC One Cypher in Osaka 2021 Jason Halayko / Red Bull Content Pool Workshop of Taisuke at Sakuragaoka high school in Nagoya 2019 Little Shao / Red Bull Content Pool South Korea 2017 Little Shao / Red Bull Content Pool Red Bull BC One 2016 World Final - Nagoya, Japan Jason Halayko / Red Bull Content Pool Red Bull BC One Cypher France 2025 Little Shao / Red Bull Content Pool Red Bull BC One 2016 World Final - Nagoya, Japan Dean Treml / Red Bull Content Pool Red Bull BC One 2014 World Final - Paris, France Romina Amato / Red Bull Content Pool Mont Saint-Michel France 2017 Little Shao / Red Bull Content Pool
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skate“アーバンスポーツの聖地”福岡県北九州市で、世界最高峰のスケートボードの大会「ワールドスケートボードストリート2025 北九州」がこの秋開催!2025.08.05今年、2025年11月23日(日)〜11月30日(日)の7日間にわたり、福岡県北九州市にて開催される世界最高峰のスケートボード・ストリート種目の大会「ワールドスケートボードストリート2025 北九州」の開催発表会見が、2025年8月5日(火)に北九州市・小倉で開かれ、北九州市長の武内和久氏、大会事務局長の河野眞二氏、そして今大会出場予定選手である2023年度世界チャンピオンの白井空良選手とパリオリンピック金メダリストの吉沢恋選手の4名が登壇した。 今大会が含まれる「ワールドスケートボードツアー」はオリンピック選考大会として認められている唯一のワールドツアー。そのため今大会で良い成績を残しランキング上位にランクインしてシード権を獲得していくことが、3年後のロサンゼルスオリンピックに向けた今後の選考大会に関しても重要となってくる。このことから世界中のトップコンペティターたちが今年重要視しているのがこの北九州大会なのだ。そのような大会ということもあり、世界中45の国と地域から計約200名が出場予定である。 そして今大会の舞台となる福岡県北九州市は過去にブレイキンやパルクールの世界大会を開催しており"アーバンスポーツの聖地"として近年認知を広げている街。大会を各方面から街ぐるみで盛り上げ、アーバンスポーツを「街の日常」として浸透させて、スポーツやカルチャーと融合し「街で未来を作る」ことを目標としている。この秋、そんな"アーバンスポーツの聖地"でロサンゼルスオリンピック選考へ向けたキックオフとなる大会が開催される。是非スケートボードファンの皆さんは会場でその熱い戦いの様子を現地で観戦して欲しい。なおチケット情報に関しては 8月下旬に詳細発表予定だ。 下記は今回の記者会見で語られた各登壇者のコメントをまとめたものである。 北九州市が世界最高峰のスケートボード大会を誘致し目指すのは、アーバンスポーツが日常にある環境 今大会開催における思いを話す武内市長 ©︎WST Japan 北九州市長 武内和久氏のコメント スケートボードをはじめとするアーバンスポーツは、競技の枠を超え、自己表現や創造性、挑戦する心、そして仲間とのつながりを大切にするカルチャーです。これらの価値観はまさにこれからの都市が大切にすべきものであると考えています。 北九州市ではこれまで「日本一、若者を応援する街」を掲げ、ブレイキンの国際大会やパルクールの世界選手権の開催など、若者に人気のあるアーバンスポーツの推進を通じて、まちの魅力と活力を高める取り組みを続けてきました。さらに私たちはアーバンスポーツを限られた施設内だけでなく街の日常に根付かせていくための挑戦も行っています。 そのコンセプトが「パークからストリートへ」で、北九州市が今まさに目指している方向性です。アーバンスポーツを専用施設だけでなく、街中でも楽しめるような環境を整えることで、多くのアーバンスポーツが街中に自然とあふれ、動きのある風景が日常の一部となる。そんな若者や幅広い世代にとっても魅力ある街をつくっていきたいと考えています。 この度、北九州市で開催されるこの大会は、単なる国際大会ではありません。世界最高峰の大会であると同時に、「都市」と「スポーツ」や「カルチャー」とが融合し「まち」で未来を創る。そうした“都市型スポーツイベント”の新たなモデルとなる大会にしたいと考えています。 選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、会場や環境の整備には市をあげて取り組んでいきます。そして、観客の皆さまにもこれまでにない体験を提供し、心を込めた「おもてなし」でお迎えいたします。 スケートボードは都市の風景とカルチャーが混ざり合う中で発展してきたスポーツです。そのスケートボードと個性ある北九州市の街並みを融合させて、世界に一つだけの大会観戦体験を創出いたします。 白井空良・吉沢恋の両名が語る、世界最高峰の戦いが日本で開催される意味と今大会への意気込み 開催発表会見に参加した白井(左)と吉沢(右)©︎WST Japan 白井空良選手のコメント 白井空良のライディングワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京©︎WST Japan ワールドスケートの大会は本当に自分たちが一番大事にしている大会というか、やっぱりオリンピックはみんなの夢で、でもオリンピックに出るためには、この「ワールドスケート」が開催している大会で勝つしか方法がないんです。だからこそ自分たちにとってすごく大事にしている大会です。 そしてその大会が、日本の北九州で開催されるというのは本当に嬉しいことで、「どこで優勝するか」と言われたら、自分はやっぱりここで優勝したいって思っています。 また東京オリンピック・パリオリンピックを経て、スケートボードの存在を知ってくれた人は増えましたが、一方で「どう始めればいいかわからない」とか、「実際の競技を見たことがない」という人もまだ多いと思うので、この大会でスケートボードを始めるきっかけになったり、競技に興味を持ってもらえる機会になってくれたら嬉しいです。 吉沢恋選手のコメント 吉沢恋のライディングワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京©︎WST Japan 私にとってもこのワールドスケートの大会は、オリンピック2連覇を目指す上ですごく大事な大会だと思います。それがこの秋に北九州で開催されるというのはとても特別なことですし、それに加えて海外の大会と比べても、日本国内でスケートボードをまだあまり知らない方々にとっても注目してもらえる大会になると思います。そういった意味でも、自分の名前をもっと多くの人に知ってもらう良い機会になると思っています。 一方でたくさんの方が観てくれる大会だと思うので、少し緊張している部分もありますが、何よりも楽しんでオリンピック出場に向けて良い結果が出せるように、自分の持てる力をすべて出し切って頑張りたいと思います。 またスケートボードの良さとして、一人一人がライバルでありながらも、みんなすごい仲が良くて、本番の滑走中でも笑い合ったり、お互いに励まし合ったりするところはスケートボードならでは良いところだと思います。今大会ではそういうところも含めて、スケートボードの良さを知ってもらえたら嬉しいなと思っています。 大会情報 【大会名称】 英 語:World Skateboarding Tour Street 2025 KITAKYUSHU 日本語:ワールドスケートボードストリート 2025 北九州 【開催概要】開催期間:2025 年 11 月 23 日(日)~11 月 30 日(日)観戦可能日程は、28日(金)準々決勝、29日(土)準決勝、30日(日)決勝の3日間を予定会場:西日本総合展示場新館(北九州市小倉北区浅野 3-8-1) 【競技概要】 出場国 : 45の国と地域 参加数 : 約200名 競技フォーマット ・予選 45秒のランを2本実施し、ベストラン(最高得点)のみを採用。 ・準々決勝(シード選手含む40名) 45秒のランを2本実施し、ベストラン(最高得点)のみを採用。 ・準決勝(16名) 45秒のランを2本とベストトリックを3本実施。 ベストラン1本とベストトリック1本の合計スコアで競います。 ・決勝(8名) 45秒のランを3本とベストトリックを3本実施。 ベストラン1本とベストトリック1本の合計スコアで競います。 【チケット販売】 8月下旬に詳細発表。
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[PR] skate世界最高峰の舞台「X Games」で奇跡の一瞬を切り取る。アクションスポーツフィルマー多治見規人の“覚悟”と“絶対的信頼”2025.07.30世界最大のアクションスポーツの祭典「X Games」。アクションスポーツを生業にするアスリートなら誰もが一度は参加したいと思うほどの歴史のある大会が、先日大阪初上陸にて開催され、また新たな歴史の1ページが刻まれた。今回はその「X Games Osaka 2025」で素晴らしいパフォーマンスを見せるライダーたちの活躍を迫力満点な映像を通して世界中へ発信する陰の立役者、大会オフィシャルフィルマーチームにフォーカス。FINEPLAY編集部は同チームディレクターである多治見規人さんにインタビューを敢行。今回の「X Games Osaka 2025」での撮影業務とここでしか聞けない撮影の裏話、また日々のアクションスポーツ撮影の中でのこだわりや使用機材、そしてフィルマーとしてライダーと向き合う覚悟と、彼が絶対の信頼を置くアイテムについて語ってもらった。下記では、世界男子最年少X Gamesメダリストとなったスケートボーダー河上恵蒔選手とのセッションの写真および映像と共に多治見さんとのインタビューをお届けする。 多治見規人(以下:T) アクションスポーツフィルマーに求められるのは、アスリートの本気を引き出す「信頼関係」とアート要素を映像に入れ込む「真剣勝負」 ― アクションスポーツを撮影する上で意識されていることはありますか?T: 一番大事なのはアスリートとの信頼関係だと思っていて、アクションスポーツのかっこよさを引き出すためには、ライダーたちからも「カッコいいものを撮るだろうな」って思ってもらえないと彼らも良いパフォーマンスを出してくれないのはとても感じています。そのためには現場に通って顔を覚えてもらうことが一番最初に必要なことで、僕のバックグラウンドであるフリースタイルモトクロス(以下:FMX)を撮り始めた時はそのように信頼を得てから良い画が撮れるようになってきたと思います。そういう意味では「こいつ誰やねん」という人だとなかなか良い画は撮れなかったりするので、意識しているのはアスリートとの距離感やコミュニケーションです。あと競技ごとで撮影中に求められる暗黙のルールがあるのも難しい点で常に意識するところですね。例えばスノーボードは飛び出しから着地まで全てを撮らないといけないとか、スケートボードだったら技によってこっち側にボードが回るからこっち方向から撮ってくれみたいなこともあります。なので競技ごとの撮影のルールはちゃんと頭の中に置きながら撮影していますね。 ― 被写体となるアスリートとのコミュニケーションや間合いの取り方について聞かせてください。T:実際に撮ったものをその場でライダーに見せることですかね。「俺が撮った今のシーンめっちゃ良かったからちょっと見て!」という感じで実際に自分が撮った画角も含めて映像をまず見てもらって、ライダーにも「めっちゃ良いやん」って思ってもらい信頼を得てから、その上でライダーとのコミュニケーションをブラッシュアップしていってお互いが求める映像の中間を探るという感じです。 アクションスポーツは他のスポーツに比べて「撮られるスポーツ」だと僕は思っていて、映像を通して表現するスポーツでもあると思うので、カメラマンの自分が思うかっこいい「これや!」という映像とライダーが求めている映像の中間の探り合いというか、真剣勝負だと勝手に思ってます。そういうコミュニケーションを通してアスリートとの距離を近づけていく感じです。 ― それはアスリート側の意見に寄ってしまうと良い画にならないということでしょうか?T: その点の例であげると、スケートボートビデオとかに代表されるのが「フィッシュオンリー(広角の魚眼レンズだけ)」っていう撮影のカルチャーで、スケーターはフィッシュアイレンズだけで頭からつま先まで全身を迫力よく見せたいという感じなんですけど、一般的に見ている側からすると1つの画角だけなので飽きちゃうんですよね。僕はスケーター出身ではないフィルマーなので、フィッシュアイレンズのような広角な画があるなら、一方ですごく寄った画があって細部ではこんなにすごいことをしているという部分を見せる表現の仕方もあると思っています。だからこそのアスリート側との中間の探り合いですかね。 ― それは多治見さんがアスリート出身ではないからこそ、アスリートたちの持つ固定概念を崩すような映像を見せたいという思いもあるのでしょうか?T: アスリートの人たちは技がしっかり決まっていれば、良い作品になると思いがちだったりするので、そこに我々クリエイティブ側がアート要素を加えてあげることを意識しています。例えば背景にこういうものがあるからライダーがより引き立つとか、手前にちょっとこういうボケがあるからその一瞬を切り抜いているような見せ方ができるなど、アート要素を加えてあげて作品としてもカッコよく見えるように意識しています。 ― 競技ごとの暗黙のルールの中で、クリエイティブ的なアート要素を加える感覚は現場の数をこなしていないと難しそうですね。T:そうですね。競技ごとに違う要素を求められますし、例えばFMXもそうなんですけど、撮影できるチャンスはライディング全体で数秒の内の0コンマ何秒の一瞬しかなかったりするんです。特にスチールはジャンプ中の身体が一番伸び切ってる瞬間を撮る必要があるのでそういったニュアンスは理解しておくべきだと思います。アクションスポーツはそういう点が結構難しいですね。パッと来てパッと撮れるスポーツではないので。 X Games Osaka 2025で求められたのは、世界最高峰のパフォーマンスを撮りこぼさないチームワークと迅速な作業 ― 「X Games Osaka 2025」のオフィシャルフィルマーの具体的な仕事内容についてお聞かせください。T:オフィシャルフィルマーは大会期間中、毎日ハイライトを即日納品しないといけないので、撮影した素材を速攻SSDやパソコンに取り込んで編集し、その日中にSNSに投稿して次の日の集客促進に繋げたり、「今大阪でこういうやばい祭典があるよ」という認知を広げることが主な役割でした。大会後は全体のリキャップを作りつつ、CM等に充てて来年の集客を伸ばすための映像素材作りをしています。 とにかく映像を通して、お客さんが盛り上がっている様子や、アクションスポーツファンに会場へ行ってみたいと思ってもらえるような画作りをすることが我々オフィシャルフィルマーの役割になります。 ― ちなみに大会期間中の即日納品業務のスピード感はどのような感じでしたか?T:スピード感でいうと映像もなまもので遅れれば遅れるほど腐っていくので、目標は日が変わるまでに大会公式SNSへ公開することでした。映像を取り込むタイミングもその日のスケジュールにもよりますが、隙間があれば他のカメラマンからデータを受け取り、SSD内で3カメ分を見ながら直接編集をかけながら業務を進めていました。編集担当は僕一人だったので、撮影中もある程度頭の中で編集のことを考えながら素材を撮るためにカメラを回していましたね。 ― 過去の国内のX Gamesも担当されていましたが、今回「X Games Osaka 2025」を撮影してみた所感を聞かせてください。T:会場がドームなので天候に左右されないですし、会場自体もコンパクトになっていて見やすいので、僕らも移動はすごく楽でしたし、大阪という土地も相まってお客さんの盛り上がりやノリも良いなという印象を受けましたね。ただ世界大会ということで世界の名だたるアスリートたちが来るので、こちらにも緊張感はとてもありますし、アクションスポーツの大会は基本的に一発勝負で撮り直しできないので、緊張感を常に持って「最高の一瞬を絶対に逃さない」って思いながら撮影していました。 ― その撮りこぼしを無くすように意識している撮影方法もありますか?T:今回は3カメで回していたので、会場内に自分を含めて3人のフィルマーがいたのですが、それぞれがリアルタイムで会話できるようにインカムをつけていて、今何が起こっているかと自分がどの場所から撮っているかを常に共有しながら同じ画角が発生しないように心がけて撮影していました。そのため、僕がこっち側にいる時には、反対側に違うカメラマンがいて、それを俯瞰で撮るカメラマンがいるような、そういった役割分担をリアルタイムで指示しながら、「あれ絶対撮ってね」とか「今このライダーの技決まりそうだから逆狙って、こっちで俺が技絶対撮るから」というようなコミュニケーションを取っていました。一緒に撮影に入ったメンバーも各々が別々の分野に精通しているフィルマーたちなので最高のチームワークで撮影できたと思います。 「一瞬を逃さないため」に必要とされるのは機動力重視の機材 ― 現在はどんな機材を使っていますか?またその機材を選んだ決め手を聞かせてください。T:「SONY FX3」という一眼レフから派生しているムービーに特化したカメラで、レンズも同じくムービーに特化した「SONY FE 24-70」というものを使っていて、基本的にイベントや大会ではこのズームレンズを24mmから70mmの間でパンパンと画角を変えながら撮影しています。またカメラの機能としては4Kと120FPSのスローが撮れることが最低限ですが、とにかく機動力重視で扱ってます。アクションスポーツは本当に一瞬一瞬、いつ技が決まるか分からない競技なので、その一瞬を逃さない機材を選んでいます。 ― アクションスポーツでも競技によって撮影環境やスタイルが異なると思いますが、どのように機材を扱っていますか?T:競技ごとに変わってくるのはやっぱりレンズですね。先ほど話したスケートボードだとフィッシュアイというレンズで、近くなればなるほど全身が入ったすごい迫力が出る映像になると思いますし、FMXも空中10mとかなので200mmぐらいの長いレンズを使わないといけないです。今回のX Gamesは全競技インドアで行われていますが、バイクのモトクロスであれば屋外のドロドロのコース上で撮らないといけない場面もあるので最低限「防塵・防滴」対応のものを使っています。基本的にはレンズを中心にその環境に応じて合ったものをその場で付け替えて撮影しています。 ― ちなみに実際にそのようなハードな撮影の中で経験したアクシデントはありますか?T:アクシデントでいうと良い画を欲張り近寄りすぎてライダーがレンズに当たってしまったことですかね。例えばモトクロスで土がぶわっとこっちにかかるような迫力があるシーンが欲しくて、近寄りすぎて本当に土が当たってしまってフィルターが割れたことがありました。まあレンズに土がパッと当たる画は迫力がありますし、リスクを取って撮れた素材なので使っちゃいましたけど、その後は怒られましたね。。(笑)GoProも今まで同じように何個潰したことか。(笑) 過酷な現場を支える「絶対的信頼」。超高速ワークフローを叶えるのはSandiskのストレージ ― 先ほどから話に出てくる「SSD」ですが、バッグの中はSandiskのSSDしか入っていないですよね?T:もう気づいた時にはSandisk製品を普通に使っていましたね。カメラの話でも言ったようにこのブランドの持つ「防塵・防滴」仕様は大きな決め手のひとつですし、この「SanDisk Extreme ポータブルSSD」は落下耐性もあるのでありがたいです。特にモトクロス会場とかは砂埃りもすごいですし、このような大会の現場は撮影したものをすぐ取り込む必要があったり、ガチャガチャした環境の中で使用しないといけないので物理的なハードさは必要でSandisk製品は信頼できるので自然と選んでいます。あとどこでも手に入る手軽さも大きいですね。ストレージが足りなくてやばいとなっても近くの家電量販店に行けば製品が手に入るというのは安心です。周りのカメラマンもみんな使っていますし。 ― 今回はメモリーカードもSandiskのCFexpressカードを使われたんですよね?T:はい。今回初めて「SanDisk PRO-CINEMA CFexpress(tm) Type A」を使わせてもらったのですが、良かった点は速度的な部分で、4K120fbsの1番ビットレートが高い設定が使えるところですね。アクションスポーツは本当に一瞬が大事なスポーツなので、決定的なシーンをスローモーションで見せたりもします。スロー再生しても画質が粗くならないように4K120fbs等で撮影を回しているためデータが重くなりがちなので、書き込み速度が遅いメディアでは到底記録が追いつきません。また、メディアには容量も重要で普段使っているものでは120GBのメモリーカードがあるんですけど、4K120で撮っていると容量的に「そろそろ残りあと何分だ」とかを気にしないといけないのですが、今回使ったCFexpressは容量が480GBもあるので、大事な瞬間を撮り逃さないためにも心置きなく撮影を回せて録画を続けられるところが最高でした。 ― ストレージにデータを入れるタイミングやSSDやHDDの使い分けなど、Sandiskの製品の使い方についても教えてください。T:今回のX Gamesもそうなのですが、競技間は本当に時間がないですし、SSDにバックアップを取ったものをその場で編集しないといけないので、このような即日納品系は転送速度が速ければ速いほど良いです。そのため現場では基本的に速度の速いSSDを使用しています。それから3人分の4K撮影データを受け取って、スピード勝負で編集しなければならないため、PCにデータを移すのではなく、基本的にはポータブルSSDを常に差しながら編集作業をしています。 ― それでは最近はSSDを主に使うことが多いのでしょうか? T:そうですね。SSDはサイズがHDDに比べて1/4ぐらいのサイズになるので移動中に持ち歩いて編集もできます。なのでSSDは3〜4つくらい常備していますし、常に何かの案件を抱えながら撮影現場を移動しています。 ― 今までSandiskの製品はどのくらい使っていますか?T:知らないうちに使っている感じで、気づけばもう10年くらいになると思います。カメラマンとしてこの業界に入ったのが約10年目になりますが、カメラマンを始めた頃からSDカードを含めて常にSandiskの製品は身の回りにありましたね。 ― ちなみに普段使っているSSDと比べて、今回使ってみた「SanDisk Extreme PRO with USB4」の違いや感想を聞かせてください。T:書き込みや読み出し速度が「SanDisk Extreme ポータブルSSD」に比べて倍くらいの速度だと思うんですが、それが関係しているのか編集の速度も上がった気がします。今まで以上に素材を確認する時間も短縮できたので編集も早く進められた感じがしますね。いままでのSSDも十分速いと思うんですけど、現場はバタバタして忙しない中で、今回のSSDがいつもよりわずか数分でも早くデータを書き込んでくれるだけで本当に助かりましたし、このSSDの圧倒的な転送速度を感じましたね。 ― そのような現場では今回X Gamesも含めて、SSD内のデータから直接編集するということですが、そこでの編集速度が早くなったのでしょうか?T:そうですね。僕はAdobe Premiere Proという編集ソフトを使っているのですが、そこへSSDから映像素材を全部入れ込んで、プレビューしながらカットを見て編集しています。普段は素材のサムネイルが編集ソフト上に表示されるのに少し待ちがあってパッパッと表示されるのが遅いのですが、今回は一瞬で表示された印象でした。そのため、各素材の確認時間もいつもより早く進められた感覚がありました。きっと秒数レベルの実際の時間としてはそこまで大きな変化はないかと思いますが、今まで少し待ちがあった素材をすぐ見れたのはストレスフリーで作業効率も上がりました。 ― 詳しくお聞きしたいのですが、今回は過去のX Gamesに比べて、SanDisk Extreme PRO with USB4を活用したことでどのくらい作業効率が上がりましたか?T:昨年の幕張メッセで開催された「X Games Chiba 2024」とは、制作物含め作業内容が少し違ったので比べにくいのですが、幕張の時は地獄でしたね。競技が終わり次第、撮った映像を編集して出すというサイクルをずっと続けていたのでほぼ現場で撮影ができませんでした。本当に自分の好きな競技だけなんとか撮影に行かせてもらって、それ以外は他の3人のフィルマーに撮影を頼んで、自分はひたすら競技ごとのハイライトを編集して出すということを大会期間中ずっとしていました。 ― その時もSandiskのSSDを使われていましたが、前回に比べると今回のSanDisk Extreme PRO with USB4は書き込み速度だけではなく読み出し速度も速くなったと思われたのでしょうか?T:はい。読み出し速度も段違いでしたね。前回は「SanDisk Extreme ポータブルSSD」を使って即出しをやっていた中で、今回の取り込みの速さと編集効率の良さは前回と全然違ったので「SanDisk Extreme PRO with USB4」の凄さを体感できました。そのおかげで初日のデイリーハイライトは早く仕上げることができたので、普通に業務を終わらせてから飲みに行く時間もありました(笑)こんなこと、前回大会では考えられなかったです。 アクションスポーツの「競技性」と「カルチャー」の真髄を映したい。フィルマー多治見規人が映像で追求するのは両方のカッコよさ ― 今後自分がどういう風にアクションスポーツに関わっていきたいか、その展望を聞かせてください。T:X Gamesのようなシーンの最前線を撮ることは既にやらせてもらっていますし、アクションスポーツはとてもかっこいいシーンだと常に肌で感じていますが、まだまだマイナーな部分もあるのでもっと世に広まるようにしたいですね。BMXやスケートボードもオリンピックの正式種目になったことで世間にかなり広まっていますが、競技として注目されるようになったことで、本来の音楽やファッションにも通ずるカルチャーの部分が失われているような感覚も正直あります。僕はカルチャーも含めた本当にかっこいいと思うものを映像作品として表現したいです。ただ一方でテレビCMや企業のプロモーションのようなマスメディアにアクションスポーツを落とし込む作業も好きなので、ニッチなこのスポーツがもっと一般の人の目に触れる機会を増やそうと日々企画を考えたりとか作品も作っていきたいと思っています。 ― 最後に、一人のフィルマーとして期待している今後のアクションスポーツシーンの姿について聞かせてください。T: オリンピックの影響だと思いますが、全国でスケートパークがたくさん増えたりとか、子どもたちが始めやすい環境がもうできてきていますし、日本という国が競技としてすごく強くなってきているので既に良い方向には向いていると感じています。その中で本当のルーツや、ファッションや音楽に繋がるカルチャーの部分を「競技」として始めた若いライダーたちにも知ってもらえれば、もっとかっこいいライダーが増えていくと思います。最近はスタイル重視のライダーもいれば競技重視のライダーもいる中で、個人的にはその中間のハイブリットがもうちょっと増えて欲しいなと思っているのですが、もちろんどっちのスタイルも大好きです。アクションスポーツで長年フィルマーとして活動している身としては、両方のカッコいい部分を自分の映像で今後ももっと表現し続けていきたいと思っています。 「Sandisk & X Games Osaka 2025」スペシャルムービー / 河上恵蒔 x 多治見規人 Sandisk「この瞬間を残したい」 ①「SanDisk PRO-CINEMA CFexpress(tm) Type Aカード」◼プロフェッショナルが求めるパフォーマンスPCIe Gen4 対応。最大1,800MB/秒の読み出し速度、最大1,650MB/秒の書き込み速度で4K, 6K,8K映像や写真の撮影が可能◼ 長時間撮影480GBおよび960GB◼ VPG200認定Compact Flash Association VPG200認定カード。高解像度、高フレームレートの動画やRAWファイルをキャプチャ可能◼ 優れた耐久性最大7.5メートルからの落下耐性、最大150ニュートンでの曲げ耐性、IP57の防塵・防滴性能 ②「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」◼USB4®︎ Gen3x2対応(40Gbps)◼最大読み出し速度 3,800MB/秒、最大書き込み速度 3,700MB/秒◼2TBおよび4TBの大容量◼鍛造アルミ筐体とシリコンシェルで優れた堅牢性◼屋外への持ち運びに安心なIP65防塵・防滴性能◼信頼の5年間製品保証◼負荷の重い編集作業に最適な高速ストレージ◼ホスト機器との互換性(Windows®10以降/macOS14以降) 多治見規人プロフィール フュールメディア株式会社 演出部 / X Games Japan オフィシャルフィルマーチームディレクター異色のキャリアをもつ映像ディレクター。芸人で培った表現力と、バイク整備士として磨いた技術や細部へのこだわりを活かし、心を動かす映像を生み出す。企画から編集まで一貫して手がける柔軟性と、現場対応力・熱量ある演出を得意とする。主な代表作品:Honda/HRC「MotoGP™ JapanGP2024 Teaser」FUJIFILM 「X-H2S Promotional Video」New Era 「New Era® Outdoor 【Angler Collection】 | Spring & Summer 2023 | ”CHILD - MIND"