BMX最強決定戦「YBP GAMES 2017」イベントレポート

2017.10.07
photo:May Nagoya

観客からの出資全額がライダーの賞金に!

2017年9月30日、山梨県北杜市BMX・MTBパーク「YBP(Yuta’s Bike Park)」にて、「YBP GAMES 2017」が開催された。
YBPとは、Yuta’s Bike Parkの略だ。Yutaとは「栗瀬裕太」。
日本唯一となる、8メートルのスタートヒルがあるBMXパークを作り上げたプロライダーだ。
彼が一人ショベルカーを動かして作りはじめたYBPは、今はBMXを習いにやってくる子供達が集まる場所となり、オリンピック出場選手の合宿候補地となった。
YBP GAMESは今年で3度目の開催となる。
今回は国内トップレベルのBMXライダーに加え、X-GAMESのメダリストたちも参加し、レース、ダートジャンプコンテストそれぞれ熱い戦いが繰り広げられた。

BMXレース ネクストジェネレーションバトル

本戦を前にして、17-18歳のジュニアクラス、16歳以下のユースクラスの5名の出場者による「ネクストジェネレーションバトル」が行われた。

左から佐宗恭選手、島田遼選手、増田優一選手、庄司侑市選手、池上泰地選手

若い日本代表強化指定選手達の戦いは、すでに本戦が始まっているのではないかと思わせるほどの白熱ぶりを見せた。

時速60kmもの速さで展開されるレースでは、一瞬のミスが命取りとなる。相手のクラッシュに動じない精神力と判断力が求められる。

激戦を制し本戦への出場権を手に入れたのは、島田遼選手。元プロレーサーの島田忠彦さんを父に持つ。会場ではレースについて親子で冷静に話し合う姿が見られた。

BMXレース本戦

BMXレース本戦は2016年全日本BMX選手権の覇者、吉村樹希敢選手を始め、松下巽選手、吉井康平選手、山口大地選手、長谷川湧斗選手、池田大暉選手、中井飛馬選手という国内の強豪に、ネクストジェネレーションバトルを勝ち抜いた島田遼選手の8名で争われた。

スタートの瞬間は、賑やかな会場が一瞬にして静まり返った。選手が合図を聞き漏らさないようにする為だ。大人から子供まで固唾を飲んで8メートルのスタートヒルを見守る。緊張感と興奮が一気に高まる瞬間だ。

通常のBMXレースは8名同時にスタートするが、YBPGAMESでは一対一のマッチメイク方式を採用している。

観客の目の前を選手がトップスピードで駆け抜けていく。

優勝は、今シーズン海外でのレースを転戦し、8メートルのスタートヒルでの経験を積んで挑んだ吉井康平選手(手前中央)。YBP GAMES初優勝となった。

集まった資金を全て選手の賞金にあてるとして、YBP GAMESではクラウドファウンディングを利用してチケットを販売、及び支援を募っていた。当日までに集まった支援は902,688円。さらにそこに来場者のカンパが加わり、支援総額は1,023,231円となった。
BMXレース出場選手全員に出場賞金19,186円が渡され、さらに上位入賞者は賞金を獲得した。

<BMXレース リザルト>

1位 吉井 康平選手(獲得賞金 204,646円)
2位 吉村 樹希敢選手(102,323円)
3位 山口 大地選手(51,162円)

吉村康平選手コメント

スタッフの皆さん、今日ここに足を運んで下さった皆さんのおかげで、今日ここでレースをすることが出来て、優勝することが出来ました。この感謝の気持ちを忘れずに、今後も練習に励んで行きたいと思います。今日はありがとうございました。

ダートジャンプ ワールドチャレンジ

海外招待ライダーを加えて競う本戦の前に、日本人ライダーによる予選が行われた。

左から中村輪夢選手、栗瀬裕太選手、大霜優馬選手、永井秀夫選手、高木聖雄選手、内田TAKA選手、大霜健太選手。7名のライダーから、5名が本戦に進むことが出来る

左からアンソニー・ナポリタン選手、マイク“ハッカー”クラーク選手、ブライデン・バレットヘイ選手、ベン・ウォレス選手、ケビン・ペラザ選手

5名の海外ライダーがジャッジとなり採点した結果に、事前に行われたファン投票の順位を加算して本選への出場選手が決まった。

海外ライダーの採点は満点、ファン投票でも1位を獲得し、本選への出場を決めた中村輪夢選手。
昨年のYBP GAMESダートジャンプ覇者でもある。開場前の練習走行でも海外ライダーに劣らないトリックを見せていただけに、この後の番狂わせは全く予想出来なかった。

納得のいくライドが出来ず、悔しさを隠しきれない大霜健太選手。本選出場となった大霜優馬選手の弟である。
悔いは残ったが、弱冠13歳にして大勢の観客の前で国内トップライダーに挑む姿は見事だった。既に自分のスタイルを身に付けつつあり、今後が楽しみだ。

本戦では、予選を勝ち抜いた5名の日本人ライダーと海外ライダー4名が異次元のトリックを見せた。戦いが終わると選手たちはそのままジャムセッションに突入。レースの選手達も加わり、本場のX-GAMESでも見ることが出来ない豪華なショータイムとなった。

BMX界のレジェンド、マイク“ハッカー”クラーク選手。こうやって見ても、何がどうなっているのか分からない。

タイミングを失いバイクを止める場面も見られたが、XGames 覇者の存在感を見せつけたケビン・ペラザ選手。

本戦の順位は観客の投票によって決められた。

<ダートジャンプワールドチャレンジ リザルド>

1位 マイク“ハッカー”クラーク選手
2位 アンソニー・ナポリタン選手
3位 ケビン・ペラザ選手

休憩時間まで来場者を楽しませてくれ、試合では驚きのトリックを見せてくれた“ハッカー”が優勝。異論のある来場者はー人もいないだろう。
昨年の覇者中村輪夢選手は、大技を決めるも転倒を喫してしまい、表彰台は海外ライダーが独占する結果となった。
続いて「日本人選手」の順位が発表された。
BMXレースと同様にダートジャンプの出場選手全員に出場賞金21,926円が渡され、さらに上位入賞者は賞金を獲得した。

<ダートジャンプ ワールドチャレンジ 日本人順位>

1位 大霜優馬選手(204,646円)
2位 中村輪夢選手(102,323円
3位 栗瀬裕太選手(51,162円)
優勝候補と見られていた中村輪夢選手を押さえ、大霜優馬選手が1位を獲得した。3位には、このYBPを作り上げた栗瀬裕太選手が入賞した。

日本人1位に輝いた大霜優馬選手(後方)と子供達。
YBPはご覧の通り森の中にある。晴天に恵まれた森の中は、子供達にとって格好の遊び場だ。
YBPGAMESに訪れた子供達は、レースやダートジャンプを観戦しながら、森の中で遊んでもいた。それが母親の一声で、コースに釘付けになったのだ。
「ほら、ユーマ先生が走るよ!」

「ユーマ先生」とは、15歳の大霜優馬選手のことだ。
彼は、今春中学校を卒業すると同時に、YBPのライダースタッフとなった。このYBPを作った栗瀬裕太選手のように、自らパークをプロデュースしてBMXの楽しさを伝えられるようになりたい、という夢を実現するためだ。
YBPのキッズスクールに参加している子供たちの応援が、大霜選手の力になったことは間違いないだろう。しかし、それだけではない。
X-GAMESのメダリストや国内コンテストで多数入賞している選手達が転倒し、タイミングを掴めずにコースオフする中、彼だけは安定したライドを見せていた。まだ若い彼が、大勢の観客の前で行われるコンテストの場で平常心を保ち、いつものライディングを披露できるということ。それは、それだけこのパークで乗り込んでいることの証だろう。自らを厳しい環境に置き、鍛錬を始めたからこその結果だ。

大島優馬選手コメント

本当に、応援して下さった皆様、ありがとうございます。ローカルキッズのみんな、ありがとう。ユウタ君(栗瀬裕太選手)、本当にありがとうございます。
こんな泣いちゃってすみません。本当にありがとうございます。これで(この賞金で)色々なところに練習に行くことが出来ます。これからも頑張って行きますので、是非応援お願いします。

《YBP GAMES 2017 開催概要》

開催日時:2017年9月30日 土曜日(雨天時は10月1日に順延)
場所:八ケ岳のBMXパーク「YBP(Yuta’s Bike Park)」
主催:一般社団法人 YBP PROJECT
協力:TSP太陽株式会社/株式会社フジヤエービック
協賛:ベセスダ ソフトワークス/ゼニマックス・アジア株式会社/レッドブル・ジャパン株式会社
株式会社セラヴィリゾート泉郷/株式会社アルプス/金精軒製菓株式会社/株式会社NIPPO
チケットを購入されたパトロンの皆様

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