【DRAGON76独占インタビュー】川崎市役所建設現場に全長56mのミューラルアートが誕生

2021.03.04

製作期間約1ヶ月。舞台は工事現場

FINEPLAYでは本プロジェクト中心人物であるDRAGON76にインタビューを決行。当初の予定だった全長55mの作品がなぜ最終的に56mに変更になったのか・・?など、完成直後のリアルな話と自身のキャリアについて語る内容に注目。
神奈川県川崎市は、2019年11月に「若者文化の発信によるまちづくりに向けた環境整備等に関する基本計画」を策定し、ストリートカルチャーを活用したまちづくりを推進。その一環として、2020年11月9日(月)〜12月8日(日)の約1ヶ月間「KAWASAKI MURAL ART PROJECT」と題し、全長56mの“ミューラルアート”を制作した。

「KAWASAKI MURAL ART PROJECT」とは?

ミューラルアートとは、ストリートカルチャーにおいて重要な要素である、グラフィティを起源とした壁画。2019年11月にも、本庁舎整備工事現場の南側仮囲いで制作が行なわれたが、今回は北側仮囲いを舞台に、5名の世界的アーティストが参画した。周囲の街並みと調和させながら、仮囲いを彩ることで、川崎市の文化の発信とイメージアップを図っている。

DRAGON76

本庁舎整備工事現場の北側は、江戸時代、東海道五十三次の宿場町・川崎宿から、総鎮守である稲毛神社に向かう参道だった。このような歴史的背景を受け、「江戸を中心としたアート文化」と「若者文化」を融合させた作品を制作。江戸時代から未来に至るまでの街並みが描かれており、順にたどると時代を変遷するような感覚が味わえる。

このミューラルアートは、新本庁舎竣工予定の令和4年度までで、約2年間残される予定とのこと。現場で見るとよくわかるが、その迫力と何より書き込み量に驚く。工事現場が観光名所になる可能性が大いにあるほどの大作だ。それぞれの担当エリアがセパレートされているのではなく、5人のアーティストがお互いをリスペクトしながら、56mの壁を1枚画として描ききった。
制作過程で、アーティストが筆を進める度に、変更点など追加アイデアが生まれ当初の予定よりパワーアップしたという。まさに”生きるアート”、そしてその過程すらも愉しめることが街中に出現するミューラルアートの面白さだと思う。

これだけの大作が誰しもが無料で観覧できることも嬉しい。アートは誰のものでもなく、わたしたち全員がたのしめるものだ。貧富の差も老若男女も関係ないと思わせてくれる、まさに街をあげてのプロジェクトにはふさわしい内容だ。

DRAGON76独占インタビュー

参加アーティストプロフィール

DRAGON76
1976年滋賀県生まれ。ストリートアートを基本とし、情熱的で生命力溢れるタッチで、見る者の魂に触れるような作品を描く。そのスタイルは常に進化し、過去と未来や、静と動、正義と悪など、相反するものの共存をテーマに作品を生み出している。また、即興で繰り広げられるダイナミックなライブペインティングは、世界中からのオファーも絶えず、多くの観客を魅了する。 2015年に日本で開催された世界的なストリートアートフェス「POW! WOW! JAPAN」への参加をきっかけに、世界中のストリートアートシーンに名が広まり、アメリカ全土での様々なアートフェスから招待される。2016年からは拠点をニューヨークに移し活動中。2017年、世界的なアートバトルイベント「ART BATTLE」のNY大会にて2連覇を果たす。2018年、映画の本場ハリウッドのユニバーサル・ピクチャーズからの依頼で、映画「PACIFIC RIM2」のモーション広告と壁画を製作する。同年、ニューヨークのワールドトレードセンターからの依頼で壁画を製作する。2019年11月には、川崎市の本庁舎整備工事現場の仮囲い(南側)にミューラルアートを製作。

COOK
大阪出身で、ロサンゼルス、日本を活動拠点とするグラフィティ・アーティスト。20歳からグラフィティ・ライタ ーとして活動を開始。当時は、アーティスト人口も少なく、日本でグラフィティに関する情報を入手することが難しかったので、単身ロサンゼルスに渡り腕を磨いた。 以降、グラフィティ・アーティスト活動の傍ら、アパレルブランドへのデザイン提供、国内外ミュージシャンへのアルバムジャケットアートワーク提供、ミュージックビデオへのアートワーク提供を多数手がけてきた。最近では「DREAMS COME TRUE」の舞台セットへのアートワークの提供など、国内外における店舗内外装、ミューラルアートワークなど、話題に事欠かない。

Kensuke Takahashi
横浜出身在住のペインター。たしかな描写力・ 緻密なテクニック・現実を飛び越える自由な発想力で、あえて画風を決めずに描くスタイルで、壁画や飲食店舗内壁面アート、企業や行政へのアートワーク提供やライブペインティングイベント出演など、活動の幅を多岐に広げている。近年では、大型の壁画制作として、JR横浜駅エキナカ・横浜吉田町・横須賀・町田・Pow!Wow!Japan神戸・マカオや、アートワーク提供として神奈川県啓発事業・横浜開港祭、横浜ワールドポーターズなど多数。

Tokio Aoyama
ART INSTITUTE OF SEATTLEでグラフィックデザインを専攻。海外を旅し、各地の風習、神話などを取り入れ、独特な色使いでミステリアスな世界観を表現。主に国内外のアーティストのジャケット制作、個展、 ライブペイント、壁画制作で活動中。

WOOD
大阪生まれ大阪育ち、川崎市在住。幼少期から創作活動に励み、スプレー、マーカー、 インクなどの画材を使用する。自身もBBOYであり、ストリート育ち。 ムーブ、マインドは常に影響を受けている。国内外を旅し、ストリートカルチャーを身をもって感じ続け、感覚を磨き続けている。2018年のNIKE AIR MAX デザインコンテストでは、日本代表に選ばれたほか、adobeからも受賞されるなど、幅広く活動している。

Interview&text&photo(一部)  by Takako Ito・Hiromu Tanaka

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