今、最も旬なスケートパークは?

「AJSA 2023 JAPAN PRO TOUR MURASAKI PRO」より、池田大亮のスイッチバックサイド180
現在、国内で最もホットなスケートパークといえば何処になるだろうか?
そこに先月東京都立川市にオープンした「ムラサキパーク立川立飛」という答えがあっても、決して大げさな表現ではないだろう。
実際にこけら落としイベントのひとつとして、40年以上の歴史を誇るAJSAのプロサーキットが、コロナ禍を経て4年振りに再開したり、Red Bullチームがデモに訪れたりと、待望だった首都圏の空調付き屋内コンクリートパークは、連日多くのスケーターで賑わっている。

佐々木音憧のバックサイド・ノーズブラントスライド
そんな経緯もあり、今回は「ムラサキパーク東京」という場所の歴史を、自分の写真で振り返っていきたい。
そもそもこの場所は、足立区千住関屋町の施設、アメージングスクエア内にあったものであり、そこが移転リニューアルしたパークである事は、すでに愛好者の皆さんならばご存知だろう。
ただ「ムラサキパーク」という名称が使われるようになったのは2013年からであり、それ以前はMap’s Tokyoと呼ばれていたことを知っている人間となると数は少なくなるだろう。さらに経営母体がムラサキスポーツへと変わったところまで遡るとなると、2009年まで時を戻すことになる。
そこを境に、スケートボードのコンテストがいくつも開催されるようになり、シーンに欠かせない場所へと成長していったので、当時国内最大手の専門誌、トランスワールドにいた自分も現場に足を運ぶようになったわけだ。
新世代の到来を告げるひとつの答え

そこで自分の持っているこの場所の写真を振り返ると、最も古いものが2010年6月に行われた「éS Game of S.K.A.T.E.」になる。
ただこの写真を見ただけでは、「本当にMap’s Tokyoなの⁉︎」と思う方もいるかもしれないので、念のため補足しておくと、正確にはパークの真横にあるミズノフットサルプラザ千住で行われたイベントになる。ただ同じアメージングスクエア内にある施設であり、大きなイベントを開催する時は、合わせて利用されていた場所でもあるので多くの人の認識はMap’s Tokyoで間違いないだろう。
そしてこの時に優勝した人物だが、現April Skateboardsの岸 海になる。弱冠9歳のキッズが並いる大人の猛者達を抑えて優勝した事実は、今思えば新時代の訪れを告げるひとつの前兆であったと思うが、「出る杭は打たれる」という言葉があるように、コンテストよりもストリート全盛の時代(今でもそのような傾向はあるが)にあっては、好意的な言葉はまだ少なかったように記憶している。
それもあってか、この後彼は一旦シーンから姿を消すことになってしまうのだが、見事なカムバックを果たし、現在は日本を代表するテクニカルスケーターのひとりとして活躍しているのは周知の事実。ともすれば、彼が13年前にS.K.A.T.E. Gamesというフラットトリックの猛者が一堂に会したコンテストで優勝したのは、必然だったと言えるのかもしれない。

2011年のバートコンテストのメンツが凄すぎる

次に紹介したい写真が、現在自分もスタッフとして関わらせていただいているAJSAの、2011年7月に開催された一戦なのだが、注目していただきたい部分は、ストリートではなくバートになる。若年層からしたら、バートが競技種目のひとつとして行われていただけでも驚きかもしれないが、優勝したのが世界のバートシーンのトップに立つ芝田モトで、2位がストリートで世界のトップに立った堀米雄斗だということを知ったらどう思うだろうか!?
「ストリートも滑れなきゃパークスタイルは勝てない」これは現在日本の男子パークシーンでトップに立つ永原悠路が、つい最近自分に対して放った言葉なのだが、それ以前にパークスタイルはバートができなければ滑れないと言われている。
いわば種目の壁を超えてオールラウンドに滑れなければ勝てないということの裏返しなのだが、それはアマクラスの顔ぶれを見ても明らかで、なんと池田大亮(優勝)や白井空良(6位)といった、現在はストリートを主戦場とするトップスケーターもバートのコンテスト出ていた事実には、驚きを持つ人もいるはずだ。

3番目が準優勝の堀米雄斗、4番目が3位の佐野誠哉

他にも渡辺雄斗(左から2番目)や本橋暸(左端)らの姿も
今度はストリートに出場!?

GATEのストリートに出場した堀米雄斗(左)

池田大亮(右)と、性別の壁を超えて出場していた西村碧莉(左)
また、当時はAJSA以外にもGATEと呼ばれるコンテストがあったのだが、振り返ると実に面白いデータが浮かび上がってくる。
これは前述のAJSAと同じ2011年7月に開催されたものになるのだが、当時の優勝は圧倒的なハイエアーを武器に活躍していた桑本透伍。彼の実力からしたら、そこには何の驚きもないのだが、注目すべきは堀米雄斗が今度はストリートの方に出ていることではないかと思う。同年同月の、しかも同パークで開催されたコンテストで、全く違う種目に出ているのだ。しかもどちらも入賞を果たしているのだから恐れ入る。
ただこれはアマクラスに出場していた池田大亮にも同じことが言えるし、西村碧莉も性別の壁を作らずに、男子に交じり果敢にチャレンジしていたので、種目や性別が違うからといって無意識に壁を作るのではなく、貪欲にチャレンジすることが、いかに大切であるかがおわかりいただけると思う。後にトップライダーとなる人物の幼少期は、皆がこのような道を通ってきたのだ。

ガールズシーンの底上げに貢献したカラフルプロジェクト

西村碧莉(左)と詞音(右)

またムラサキパーク東京(当時は Map’s Tokyo)は、協会の主催するもの以外にも、実に様々なコンテストを開催している。これは2011年11月に行われた「SHOE GOO GIRLS CUP」というイベントになるのだが、キッズクラスの表彰台を見ると、 1位 伊佐風椰、2位 中村貴咲、3位 西村碧莉という、後のX Games日本人初の覇者、日本チャンピオン、オリンピアンが、種目の垣根を越えて並んでいるのだから面白い。
今でこそガールズシーンも確立してきて、ガールズオンリーのイベントも増えたが、当時としては非常に画期的な試みだったのではないかと思う。集合写真には前述の西村碧莉、詞音姉妹や、現日本代表コーチを務める風間美保(現在は宮本)らに加え、ゲスト枠で韓国から参戦したミニなどの姿も見られた。
当時、業界最大の展示会であるインタースタイルで何度もイベントを催したり、海外のコンテストにも積極的に参加するなどして、シーンの底上げをしてきたColorful Projectのこういった活動は、今のガールズシーンを見ると、着実に身を結んでいるのではないかと思う。

景品を受け取る幼い頃の西村碧莉

新世代の540マスターの出現

次は540というトリックに絞って見ていきたい。今やパークスタイルの世界では当たり前になってきたトリックともいえるが、日本でファーストインプレッションを与えたスケーターと言えば、自分は池田大亮だと思っている。
これは2012年11月に開催されたGATEでのひとコマなのだが、彼がメイクしたのは通常の540ではなく、縦回転が入る軸のズレたマックツイストである。しかもセクションがバーチカルや大きなクォーターではなく、R to バンクだったのだから、自分も目の前でシャッターを切りながら度肝を抜かれたことを覚えている。
この日の彼はミドルクラスとエキスパートクラスにWエントリーしており、どちらも優勝しただけでなく、S.S.S.という部門でベストトリック賞も受賞しているので見事に3冠を達成したのだが、このマックツイストがその際たる要因となったのは間違いないだろう。
聞けば、彼は記憶もない2~3歳頃からスノーボードもやっており、固定概念みたいなものがない年齢だったからこそ「スノーボードの延長線上の感覚でやったらできるんじゃないか!?」とトライしたら出来たのだそう。
またそのきっかけは同年6月に新横浜で開催されたElementのMAKE IT COUNT。その時はできなくてめちゃくちゃ悔しい思いをしたことで”絶対に乗ってやる!”と次の日も新横浜に足を運んでトライし続けた末の初メイク。その嬉しさは忘れられないと後に語っていた。

そんなGATEなのだが、特徴のひとつにノービス、ミドル、エキスパートという細かなクラス分けがある。だからこそ選手側からしたら「出やすい」のだろう。今となっては各クラス共にこんなライダーが出てたんだ! という発見もあるだろう。この時は後のオリンピアンであり、TAMPA AMの覇者となる青木勇貴斗がノービス(ビギナーの意味)クラスに出ていたのだから面白い。
今となっては国内有数のスキルを誇る選手たちも、皆が初心者の頃から積極的にコンテストに出場していたことがわかる一枚だ。

ハイエアー賞を受賞した堀米雄斗(中)、ベストトリック賞を受賞した池田大亮(右)
Go Skateboarding Day 2013

ノーリー・バックサイドヒールフリップと、北村 ”ZIZOW” 浩一のトレフリップ
続いてはまたも「本当にMap’s Tokyoなの⁉︎」という写真を紹介しよう。
だが、撮影されたのが2013年の6月21日だと知ったら、勘の鋭い人ならすでにお気付きだろう。
そう、「Go Skateboarding Day」に合わせて行われたイベントでのひとコマだ。
この日は一般社団法人のJASA(JAPAN ACTION SPORTS ASSOCIATION)が音頭を取り、渋谷周辺のデモ行進と共に提携パークの無料開放を行ったのだが、その提携パークのひとつが Map’s Tokyo だったのだ。
だが、あいにくこの時期の日本は梅雨のど真ん中に当たるので、雨天中止となってしまうケースが多い。
この年もその例に漏れず雨天となってしまったので、当然屋外のパークは使えない。
そこで施設内のインドアスペースを活用し、即席のフラットバンクやレール、マニュアルボックスを用いてムラサキスポーツのライダー達とのセッションを楽しんだという、かなり稀なケースの写真であると言えるかと思う。
ところでこのインドアスペース、もしかしたらお気付きの方もいるかもしれないが、後のムラサキスポーツ東京のショップとなる場所で行われている。ちなみにムラサキスポーツ東京という名称に変更されたのはちょうどこの頃で、徐々にその名前が周囲に浸透していくことになるのだが、なぜこの倉庫スペースだったコンテナの中にショップが出来たのだろう!?
それは次の写真を見れば、ごく自然な成り行きであったことがわかる。

左から戸枝 義明、小島 優斗、中島 壮一朗、清水 葵、北村 ”ZIZOW” 浩一、瀬尻 稜
本格的なムラパー時代の幕開け

そう、多くの人の記憶に新しいであろう、2014年10月にオープンした屋内パークだ。
現在のムラサキパーク立川立飛と比べると、木製ではあるのだが、当時としては最先端のプラザ型と呼ばれるストリートライクなパークは大きな話題となり、後の日本のスケートシーンの発展に多大な貢献をしたことは間違いない。
なぜなら、ココで育ったスケーターが堀米雄斗や西村碧莉なのだから、それ以上説得力のある言葉はないだろう。

この当初のセクションに懐かしさを覚える人もいるだろう。
同時にこんな素晴らしいパークが出来るのであれば、当然ショップの必要性も出てくる。
前述したようなコンテストだけでなく、当時活況を見せ始めていたスクールや体験会といった日常的なイベントを行うにも重要な存在になるので、パークの価値や意味合いもさらに増すことになり、相乗効果でブランド価値が高まっていくからだ。
こうして「ムラサキパーク東京」は、国内最高峰の新たな屋内パークに加え、充実した品揃えのショップも完備。
そしてこの後は五輪競技への採用と共に、更なる飛躍を遂げていくことになるのだが、その模様は、また次回のコラムでお届けしたいと思う。
吉田佳央 / Yoshio Yoshida(@yoshio_y_)
1982年生まれ。静岡県焼津市出身。
高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。
大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。
2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本の監修や講座講師等も務める。
ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている
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surf歴史あるガールズサーファーのコンテスト“第19回 TAHARA おいでん GIRL’S CUP”が愛知県赤羽根海岸で3年ぶりの開催2023.09.272023年9月24日(日)に愛知県田原市赤羽根海岸ロコポイントにて『第19回 TAHARA おいでん GIRL’S CUP』が開催された。ここロコポイントは遠州灘に面し、広いビーチや広場が併設された珍しい立地で、大会やイベントなどが度々開催されている。浜辺から向かって右奥にある沖へと伸びた長い堤防に沿って砂がつきやすく、ウネリが入ればAフレームのブレイクが現れ、初心者からエキスパートまで楽しめる遠浅で綺麗な砂のビーチである。 『 TAHARA おいでん GIRL’S CUP 』とは2003年に伊良湖を代表するウィメンズプロサーファーの大沢裕子氏・三浦麻美氏・バッカー麻里衣氏の有志3名により、コンペ思考だけでなく、誰でも楽しめるフェスのような大会を目指し立ち上げられた。 長くサーフィンを続けていく上で、女性のライフスタイルの変化と共に進学・就職・結婚・出産それぞれの年代のサーファーが、それぞれのライフスタイルの中でサーフィンを続けていくことを応援することも目的としている。 この歴史ある大会は、現在プロとして世界で活躍をしている選手たちも過去に出場実績がある。ガールズサーファーの登竜門的立ち位置となるこの大会は、東海地方のみならず全国から多くの選手達がエントリーしており、10代から60代と選手層にも幅があることが特徴だ。 今大会は総勢125名の選手がエントリーし、当日はAM6時より開会式とルール説明が始まった。海に向かって西側がAポイント・東側がBポイントと2バンクで1ヒート12分、日本サーフィン連盟(NSA)のジャッジレギュレーションに則り、各クラスの演技レベルにあった採点方法で進行された。 スペシャルクラスを制したのはツインズガールズサーファーの姉、清水ひなた選手 優勝した清水ひなた選手、セミファイナルでのライディング 大会当日の朝は前週までの蒸し暑い夏の日差しとは打って変わり、秋の涼しい風に包まれたが、昼にかけて徐々に気温が上がり東風が強く吹き始めた。昼前まではオフショアで海面もクリーンな状態を保っていたが、各クラスのファイナルが始まる頃には東風のサイドオンショアとなり、沖の強風からの東うねりで波のサイズは上がり1.5m程に。時には2m近い波も見られた。 スペシャルクラスのファイナルリストは、馬場心選手、ハナ・バッカー選手、清水ひなた選手、石井有沙選手の4名が出揃い、風波な上にインサイドのカレント、ワイドでクセのある難しい波に各選手は苦戦するも、清水ひなた選手がクリーンな波をつかみファーストターンで大きく板を返し6.33pt、難しいセクションへ2ターンと安定したライディングで5.50ptとトータル11.83ptで優勝を決めた。 石井有沙選手。ファーストターンで大きくスプレーを飛ばし7.50ptを出すもバックアップが伸ばせず惜しくも2位。 3位の馬場心選手。難しい風波にバックハンドで大きくマニューバーを描く。 ハナ・バッカー選手はフロントサイドで際どいターンで攻め込む。 エキシビジョンはCS・QS・IBCと世界を転戦中のプロサーファーが参加し会場を盛り上げた 左から山下海果、相田桃、都築虹帆、川瀬心那 エキシビジョンに参加した、日本を代表する選手たち。ショートボードからは都築虹帆選手・川瀬心那選手、ボディーボードは相田桃選手・山下海果選手、そしてロングボードは榊原寄子選手、の5名が参加。風波のハードコンディションの中、素晴らしい技で会場を沸かせた。中でも、都築虹帆選手・川瀬心那選手・山下海果選手の3名は世界大会で結果を残すほどのトップコンペティターで認知度も高く、多くの観客から注目を集めた。 CS:Challenger SeriesQS:Qualify SeriesIBC:International Bodyboarding Corporation サーフィン体験会や地元小学生が参加する和太鼓の演奏、子供向けワークショップなども盛り沢山! 地元の子供達や、選手・スタッフもみんなでビーチクリーンタイム 障がい児童を中心としたサーフィン体験の様子 素晴らしい和太鼓演奏を披露してくれた地元和太鼓団体と小学生和太鼓チームの皆さん 子供向けワークショップ 新実行委員長となった、プロボディーボーダー片山綾子氏のコメント 片山綾子氏 今大会より、実行委員長はプロサーファーの金子藍氏からプロボディーボーダーの片山綾子氏へと引き継がれ、閉会式の挨拶では「選手やスタッフの皆さま、今日は遅くまで本当にありがとうございました。波がハードな中で、初めての大会だった方や、スペシャリストの方などレベルは様々でしたが、皆さんに楽しんで頂けたんじゃないかなと思います。運営面でたくさん反省点はありましたが、皆さんの頑張っている姿がとても印象的でした。私自身コンテストが好きなように皆さんもコンテストを楽しんで、これからも波乗りを楽しんでいってくれたら嬉しいです。今回の経験を活かして来年はもっと良い大会にできるように成長してここに帰ってきますので、皆さんもロコのいい波を堪能できるようにもっと腕を磨いて、楽しんで波乗りをしてください。」と、涙と共に感謝の気持ちを伝えた。 今回は “TAHARA おいでん GIRL’S CUP” 20周年ということで、閉会式には愛知のガールズサーフィン文化を牽引してきた大沢裕子氏・三浦麻美氏・バッカー麻里衣氏に実行委員からサプライズでお祝いが贈られた。 行政との連携や、地元の小学校和太鼓チームや飲食店など地域の協力のもと、伊良湖のプロ・アマガールズサーファーらが中心となり運営されている ”TAHARA おいでん GIRL’S CUP” 。来年の記念すべき第20回大会もとても楽しみである。 大会結果 ショートボード・スペシャルクラス優 勝:清水 ひなた準優勝:石井 有沙第3位:馬場 心第4位:ハナ バッカー ショートボード・オープンクラス優 勝:川瀬 煌渚準優勝:田中 亜矢第3位:前田 はるき第4位:木村 咲葵 ショートボード・ビギナークラス優 勝:福嶋 悠紀準優勝:山中 真穂第3位:天野 にこ第4位:野口 絹子 ショートボード・ママさん&シニアクラス優 勝:中原 由未準優勝:杉浦 知江第3位:神谷 真理子第4位:松浦 優 ロングボード・スペシャルクラス優 勝:川崎 智子準優勝:市川 恵里香第3位:松原 純恵第4位:大塚 海音 ロングボード・オープンクラス優 勝:磯部 有紀準優勝:村松 優第3位:阿隅 香奈第4位:あさ ゆうこ ロングボード・ビギナークラス優 勝:井山 志津恵準優勝:川原 美奈子第3位:川合 真紀第4位:村上 仁美 ボディーボード・スペシャルクラス優 勝:井島 真紀準優勝:瀬田 七海第3位:源馬 鮎海第4位:野村 美也子 ボディーボード・オープンクラス優 勝:山本 孝江準優勝:藤岡 みり第3位:上村 有加第4位:岸川 恵理子 ボディーボード・ビギナークラス優 勝:阿部 みゅう準優勝:松原 磨優美第3位:佐久間 早希子第4位:宮本 麻紀 大会概要 タイトル :第19回TAHARAおいでんGIRLSʼCUP 開催日 :2023年 9月24日(日) 予備日 なし 開催場所 :愛知県田原市赤羽根(ロコポイントまたはロングビーチ) 主催 :おいでんガールズカップ実行委員会 賞典 :各クラス入賞者に景品 後援 :田原市 田原市教育委員会・渥美半島観光ビューロー NSA日本サーフィン連盟愛知支部・ティーズ・ヤシの実FM CBC未来つなぐPROJECT x ダイドー株式会社協力 :一般社団法人スマイルビーチプロジェクト CBC未来つなぐproject・田原市商工会内容 :ウイメンズのみのサーフィンコンテスト 障がいを持つ子供たちのサーフィン体験教室 (一般社団法人スマイルビーチプロジェクト主催コラボイベント) 参加資格 :アマチュアレディース お問合せ先 :〒441-3424 愛知県田原市南神戸町仲北81-1 シーク内 おいでんカップ実行委員会事務局 TEL 0531-27-1334(10:00〜18:00) mail@seeksurfshop.com
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others宇部市が街をアーバンスポーツの舞台に変えた。「UBE URBAN SPORTS FES 2023」イベントレポート2023年9月23日(土)24日(日)に山口県宇部市の国道190号特設会場にて「UBE URBAN SPORTS FES 2023」と「第4回パルクール日本選手権」が同時開催された。 「UBE URBAN SPORTS FES 2023」は都市の風景を舞台に、自分の身体や技術を自由に表現するアーバンスポーツの魅力を身近に感じて楽しむことができるイベントとして、BMX SHOWCASEやBMX体験会、3人制バスケットボール市民大会「3x3 ENJOY II」などが実施された。またパルクール日本一が決まる「第4回パルクール日本選手権」も同時開催され、通行止めとなった国道190号線には多くの観客が来場した。※第4回パルクール日本選手権記事はこちら 本記事では「UBE URBAN SPORTS FES 2023」当日のレポートをお届けする。 BMX SHOWCASE 地元のライダーである中務 泰法 © Jason Halayko 会場内に設置された特設のセクションに6名の国内トップライダーと、MCの米田大輔が集結。ライダーには日本が誇るBMX界のエース 中村 輪夢選手をはじめ、地元・山口県のローカルヒーロー 中務 泰法選手、ジュニア部門の世界チャンピオンである松本 翔海選手、福岡出身でアメリカでも活動の幅を広げる上田 崇人選手、名古屋を拠点に活躍するBMX兄弟 伊藤 大空・伊藤 蒼空 が名を連ね、本イベント限定のスペシャルショーケースを披露した。 多くのスマートフォンやカメラが向けられ大注目のコンテンツとなったBMX SHOWCASE。それぞれのライダーが自身のトリックを惜しげもなく披露し、空中でのアクロバティックな動きに対してはどよめきも起こるほどであった。 宇部市長、山口県知事のはるか上を飛び越える中村 輪夢 © Jason Halayko SHOWCASE 時には宇部市長の篠﨑 圭二氏、山口県知事の村岡 嗣政氏も来場。途中にはMCの米田大輔が、「市長と県知事の上をBMXで飛び越える」という台本なしの“フリースタイル”なパフォーマンスを提案。会場は大盛り上がりの中で見事パフォーマンスは成功し、前代未聞のコラボレーションは大きなインパクトを残した。 ハイタッチの様子 © Jason Halayko 最後にはライダーと観客とのハイタッチ、そして写真撮影やサイン会も行われ、大盛況のうちに幕を閉じた。23日の実施のみとなった本コンテンツだが、BMXの魅力を余すことなく伝えてくれた6名のライダーとMCの米田大輔には観客から惜しみない拍手が送られた。 3x3 ENJOY II エキシビジョンマッチの様子 © Jason Halayko また同日には、3人制バスケットボール市民大会「3x3 ENJOY II」が行われた。イベントのゲストには 3人制バスケットボールのプロチームである、スリストム広島(広島)、SOLVIENTO KAMAKURA ZUSHI.EXE(神奈川)の2チームが参加し、クリニックやエキシビジョンマッチを実施した。 注目の市民大会ではU12部門や女子部門が行われる中、一般部門では地元のチームである「仁」が優勝。イベントの最後には優勝した仁と、プロチームであるスリストム広島・SOLVIENTO KAMAKURA ZUSHI.EXEの連合チームによる10分間のエキシビジョンマッチが行われた。序盤から確実にシュートを決めていく仁に対して、プロ連合チームはスピードやフィジカルで上回ったがボールがリングに嫌われてリードを許していた。 試合終盤ではプロ連合チームもギアを上げて点差を縮めたが、アウトサイドから攻めるプロ連合チームに対して確実にディフェンスリバウンドを押さえ、シュートを決め切った仁が逃げ切って勝利。まさかのプロ連合チームに勝利するというジャイアントキリングを巻き起こした。 エキシビジョンゲームで何本ものシュートを沈めた「仁」の森本選手© Jason Halayko 仁の代表である斎坂 稜選手は優勝コメントにて「普段なかなか外でプレーする機会が少ない中で、初めて組んだチームでしたが凄くフィットして良いゲームになったと思います。まさかエキシビジョンでプロチームに勝てるとは思いませんでしたが、チームメイトの森本選手がたくさんシュートを決めてくれたし、追い付かれても諦めずにチーム一丸となって頑張ったことが勝利に繋がったと思います!」と語ってくれた。 © Jason Halayko イベントを通して © Jason Halayko 初開催となった「UBE URBAN SPORTS FES 2023」は来場者数もさることながら、想像以上の話題性と熱狂を生みだした。BMX SHOWCASEや3x3のほかにもスケートボード体験会や、宇部市のグルメ品が揃ったフードエリアなど、全年齢が楽しめるフェスとしてのコンテンツも充実していた。イベントには子ども連れの家族、学生たちも多く見られ、イベント開催の本来の目的でもある「中心市街の活性化」「若者世代の獲得」に向けて大きな足掛かりとなったことは間違いないだろう。 様々な課題を抱える地方都市が「アーバンスポーツ」の力で活性化を図る―。来年以降も本イベントが開催されること、そして今後の宇部市の更なる発展に期待していきたい。 イベント概要 名称:UBE URBAN SPORTS FES 2023会場:宇部市役所前から松山町一丁目交差点までの国道190号特設会場約600m日程:2023年9月23日(土祝)24日(日)入場料:無料主催:宇部市後援:(一社)日本アーバンスポーツ支援協議会協力:(公財)日本体操協会メディア協力:FINEPLAY主管:UBE URBAN SPORTS FES 2023実行委員会問い合わせ先:宇部市観光スポーツ文化部スポーツ振興課Email:info@ubeusfes.jp
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parkour山口県・宇部市で「第4回パルクール日本選手権」が開催!女子は絶対王者が連覇2023.09.262023年9月23日・24日に山口県 宇部市の国道190号の特設会場にて、パルクールの日本一決定戦である「第4回パルクール日本選手権」が開催された。本大会は宇部市主催の「UBE URBAN SPORTS FES 2023」と同時開催となり、会場には多くの観客が詰めかけた。 23日(土)に実施された「スピード女子」では泉 ひかり(TOKIOインカラミ)が優勝。24日(日)に実施された「スピード男子」は本居 一輝、「フリースタイル女子」では永井 音寧(TOKIOインカラミ)、「フリースタイル男子」では関 雅仁(TOKIOインカラミ)が優勝に輝いた。また、女子の泉ひかりはスピード種目で大会3連覇、永井音寧はフリースタイル種目で大会4連覇を飾った。 第4回パルクール日本選手権 開会式© Jason Halayko 【スピード】女子・泉 ひかりが大会3連覇! 泉 ひかり © Jason Halayko 23日に実施された「スピード女子」では泉 ひかりが優勝に輝き、大会3連覇を飾った。今大会の出場者は泉ひかり・山本 華歩の2名のみであったが、ワールドカップでの優勝経験もある泉 ひかりは38.645秒のタイムで見事、優勝を勝ち取った。 本居 一輝 © Jason Halayko 24日に実施されたスピード男子では20歳の本居 一輝が初優勝となった。タンクトップにバンダナなどウェッサイスタイルで登場した本居 一輝は、予選を5位で通過。決勝には昨年の世界選手権に日本代表として出場した大西 隼人や勝乗 志音が名を連ねる中、本居は予選からタイムを2秒近く縮めてフィニッシュ。大きな歓声と共に大会初優勝を飾った。 【フリースタイル】永井音寧・怪我を押して勝ち取った大会4連覇 永井 音寧 © Jason Halayko 女子フリースタイルでは絶対王者である永井 音寧が圧巻のランで大会4連覇を飾った。優勝後のインタビューでは「両足首を怪我していて心配だった」と語っていたが、怪我を全く感じさせないほどのスピード感とトリックの完成度で、まさに「国内敵なし」といった強さを見せつけた。直近では国際大会での活躍も多く、今後も彼女が世界の舞台で活躍していく姿に目が離せない。 関 雅仁 © Jason Halayko 大会のトリを飾った「フリースタイル男子」では関 雅仁が優勝に輝いた。決勝では大貫海斗や宮崎裕来、前回大会チャンピオンの朝倉 聖などの強豪が決勝に顔を揃える中、得意の鉄棒を使ったトリックなどパワフル且つハードな演技で会場を沸かせた関 雅仁。30点満点中28点という高得点で堂々の初優勝となった。 男子フリースタイル決勝進出者 © Jason Halayko 宇部市で開催された本大会は、未来のメダリストを一目見ようと宇部市内外からも多くの観客や来賓の関係者も詰め掛け、大盛況で幕を閉じた。2024年 パリ五輪の正式種目としては不採用だったパルクールだが、今後のオリンピック種目の候補として大きく注目されている。 オリンピック競技採用に向けて、より「競技」としての見方も強くなるパルクールだが、今回のような公道(国道190号線)で大会が実施されることで「ストリートカルチャー」の面もクローズアップされた形となった。特にスピード男子で優勝した本居 一輝や、フリースタイル男子で決勝に進出した松本 蛍など、競技のスキルだけでなくファッションや普段の活動スタイルからストリート色を感じる、華のあるプレイヤーが活躍していたのも印象的であった。今後も引き続きパルクールのカルチャー面、そして競技としての発展に期待して注目していきたい。 優勝者コメント © Jason Halayko スピード女子 優勝:泉 ひかり(※大会3連覇) 「まずは走り切れてホッとしています。でもプランしていた通りの走りが出来なかったので悔しいです。そして今回もたくさんの方に大会を見に来ていただき、本当にありがとうございました。パルクールは一見難しそうに見えますが、どなたでも何歳でも始められるので、興味を持った方は是非パルクールを体験してみてください!」 © Jason Halayko スピード男子 優勝:本居 一輝「シンプルに優勝できて嬉しいです!僕は競技とストリートの2つの面でパルクールをやっています。街中でのパルクールもとても魅力的でめちゃめちゃ楽しいので、競技だけでなくストリートの面も見てもらえたら嬉しいです!」 © Jason Halayko フリースタイル女子 優勝:永井 音寧(※大会4連覇)「今回は両足首を怪我していて心配だったんですけど、まずは全部やり切れたことに安心しています。パルクールって一つのセットでもみんな使い方が全然違うし、その人オリジナルの技もあるので、そういったところをどんどん注目していただきたいです!」 © Jason Halayko フリースタイル男子 優勝:関 雅仁「自分は12年くらいパルクールをやっていて、日本にパルクールの大会がなかった時からやっていました。その後大きな怪我をし、ブランクの期間に日本にも大会ができてきました。なかなか大会に出れない時期が続きましたが、ちょうどカムバックした2年前の「第2回パルクール日本選手権」では3位、昨年の大会では準優勝、そしてこの4回目の今大会で優勝ができたのでとても嬉しいです!」 大会結果 © Jason Halayko スピード女子1位:泉 ひかり(TOKIO インカラミ) 38.645秒2位:山本 華歩 41.682秒 © Jason Halayko スピード男子1位:本居 一輝 23.636秒2位:勝乗 志音 (MISSION HIROSHIMA) 23.799秒3位:永田 悠真 24.029秒 © Jason Halayko フリースタイル女子1位:永井音寧 (TOKIO インカラミ) 25点2位:山本華歩 24点3位:近藤凪紗 23点 © Jason Halayko フリースタイル男子1位:関 雅仁 (TOKIO インカラミ) 28点2位:大貫 海斗 (TOKIO インカラミ) 27.5点3位:勝乗 志音 (MISSION HIROSHIMA) 26点 大会概要 タイトル :『第4回パルクール日本選手権』会期 : 2023年9月23日(土祝) ~24日(日)会場 : 山口県 宇部市 国道190号 特設会場主催 : (公財)日本体操協会後援 : (一社)日本アーバンスポーツ支援協議会協力 : 宇部市競技種目 : スピード(男子・女子)、フリースタイル(男子・女子)観戦 : 無料参加体験 : パルクール一般参加体験コーナー同時開催 : 「UBE URBAN SPORTS FES 2023」(BMX, 3X3, スケートボード など)
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skateSkateboarding Unveiled vol.6 ~ムラサキパーク東京の軌跡を辿る~「想い出が詰まった場所です」「青春時代を共に過ごしました」「私たちの憩いの場所でした」 無くなってみて、初めて当たり前にあった場所の大切さに気付く人も多い。 “伝説のスケートパーク”と捉えている人もいるだろう。『ムラサキパーク東京』のことだ。 前回のコラムでは2009年にムラサキスポーツに経営権が移り、Map’s Tokyoからムラサキパーク東京へ名称変更、2014年に全天候型の屋内パークが完成したところまでをお届けしたが、今回は今年5月7日の営業終了までに行われたコンテストやイベントの写真から、一時代を築いたスケートパークの軌跡を辿っていきたいと思う。 未来の金メダリストの一日 ムラサキパーク東京をホームとしていた当時16歳の堀米雄斗 といったところで、いきなり変化球から入らせてもらうのだが、まずは「The Days Inn」という、トップスケーターの1日を追う企画から紹介していきたい。 これはかつて自分が在籍していた専門誌、「TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN」の人気コーナーで、2015年2月に撮影したもの。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いで国内シーンのトップに上り詰めていった堀米雄斗に密着させてもらったのだが、後のオリンピック金メダリストを育てたという事実は、ムラサキパーク東京がどれだけシーンに貢献をしてきたのかがわかる重要な証拠となるだろう。 メジャーブランドも次々にコンテストを開催 MAKE IT COUNT 2015で優勝した田中陽 次は同年5月に開催されたElementによる「MAKE IT COUNT」。 もともとElementは、この前年に富山の「NIXSスポーツアカデミー」で同イベントを開催するなど、国内で話題性あるパークがオープンしたら真っ先にコンテストを行ったり、映像作品をリリースしてきた。この年の会場にムラサキパーク東京を選んだのも自然な流れだろう。 当時は並いる若手有望株を抑え田中陽が優勝。瀬尻稜や松尾裕幸といった、同社が抱える様々なブランドに所属する豪華ライダー陣によるデモも行われ、盛大な盛り上がりを見せた。 デモンストレーションで圧倒的な存在感を見せつけた瀬尻稜 そして7月にはVOLCOMが「WILD IN THE PARKS」を開催。これはアメリカ各州や世界各地で行うコンテストの日本ラウンドにあたり、“OPEN”と“14 and UNDER”の2クラスの優勝者にはThe Berricsで行われるチャンピオンシップスへの出場権が与えられ、現地までの航空券と宿泊が用意された。 優勝は堀米雄斗と池田大亮で、彼らが世界へと足を踏み出す最初の一歩となったのだが、この時は10歳以下のLIL’ MONKEYクラスも行われ、見事池田大暉が制覇している。 彼らの今の活躍を見れば、誰もが納得する結果と言えるのではないだろうか。 またこちらは余談になるのだが、このイベントからパーク中央部のセクションがリニューアルされており、以後この三角形型のセクションがパークの定番となっていった。 優勝した堀米雄斗(左)のライディングと、池田大亮(右)。このコンテストは両者の世界進出の足がかりとなった。 LIL’ MONKEYクラスで優勝した池田大暉(右端) 当然海外のプロスケーターも来日 左からユーン・サル、エリック・コストン、ショーン・マルト。彼らからの声掛けでリラックスしたポートレートが撮影できた 続いては海外から来たライダーのデモとスクールイベントを。これは同年12月にSkull Candyクルーとして来日したエリック・コストンとショーン・マルト、さらにフォトグラファーのユーン・サルという面々。 最近ではRed Bullチームの来日が記憶に新しいが、それでもブランド単位のジャパンツアーは以前と比べれば少なくなったように思う。 以前は毎月のように様々なブランドの来日ツアーが行われていた時代もあったし、筆者もその情報に心を躍らせていたひとりだ。 だがそれ以上に、今はX GamesやSLSといった国際大会が日本で開催されるようになり、あらゆるトッププロを一挙に見れるようになったのだから、時代の進歩は凄まじい。 デモでライディングを披露するエリック・コストンとショーン・マルト。写真からも彼らのスタイルが伝わる JSFによるストリートのコンテスト 2016年に入ると、今度はJSF (Japan Skateboarding Federation)がストリートのコンテストを開催している。 今はストリートがAJSA、パークスタイルがJSFというイメージを持つ人が多いと思うので、もしかしたらこの事実には驚きを持つ人もいるかもしれない。 だが優勝は池田大亮、2位に堀米雄斗という顔触れは当時の他のコンテストと変わらない。 彼らがいかに突出していた存在だったかがわかる一枚だ。 優勝した池田大亮(中)のライディングと、2位の堀米雄斗(左)、3位の根岸空。集まっているメンツも今を代表する豪華スケーターばかり。 オリンピック追加種目発表記者会見の場にも選出 そしてこの年で忘れてはいけないのが、オリンピック種目への採用が正式に決定したことだろう。 実はその記者会見場に選ばれたのもムラサキパーク東京だったのだ。これはおそらくではあるが、当時はスケートボードの社会的認知度がまだまだ低かったため、世間一般にどんなものなのかを見てもらおうと。デモンストレーションも兼ねた記者会見となったのでないかと思う。 ただ日本のスケートボードの歴史においては、ものすごく重要な一瞬であったことは間違いのない事実だ。 おそらくこの時がメディアも含め、世間がスケートボードを目にした最初のタイミングではないだろうか。それもあってか、当時はマスメディアも摩訶不思議そうなに見つめていた記憶がある。 東京五輪に向けた国内大会も多数開催 優勝した池 慧野巨と参加選手たちの面々。よく見るとあんな人やこんな人も発見できる その後はオリンピックに向けて、徐々にスケートボードシーン全体が社会からの注目を浴びるようになってくる。これは2018年5月に開催された第2回全日本選手権の写真になるなのだが、第1回と第2回の開催場所に選ばれたのもムラサキパーク東京だったのだ。 ただその後はムラサキパーク笠間や、村上市スケートパークといった、新たにオープンしたコンクリートのスケートパークへ徐々に移行していったので、ビッグコンテストの開催は減っていくのだが、東京五輪に向けた戦いの初期を支えていたのは間違いなくココだった。 当時の優勝は池 慧野巨(左)と伊佐風椰(右)。この優勝をきっかけにちょうど現在開催中のアジア大会への出場権を獲得した。 それでも2019年はまだまだ国内のコンテストシーンのど真ん中に居座っていたことがわかる。 なぜなら2月にはWORLD SKATE JAPANの全身であるJRSF(Japan Roller Sports Federation)によるJAPAN OPENが初開催されているからだ。 この年はオリンピックを翌年(その後コロナ禍により一年の延期となったのは皆さんが周知の事実)に控え、いよいよ本格的なライダー選考の始まったタイミングであり、強化選手選出を兼ねたコンテストだった。そこでAJSA(日本スケートボード協会)との共催で行われ、5月の村上での第3回日本スケートボード選手権大会と合わせて絞り込まれていった。 2019年の優勝は池田大亮(左)と、藤澤虹々可(右)。 時代には左右されないAJSAのムラサキカップ 2018年のムラサキカップは優勝が池田大亮で2位が白井空良なのだが、実はこの数ヶ月後に行われたJRSF JAPAN OPENも同じ並び。堀米雄斗がアメリカに拠点を移してからは、この2名が国内の覇権を争っていたことがわかる。 ここまでの話を聞くと、ムラサキパーク東京は見事に時代の波に乗り、次々にコンテストを開催、そして成功させていった場所だと思うかもしれない。 だがその一方で、昔から変わらないものもある。AJSAのムラサキカップだ。 これはオリンピック競技の採用が決まる前から開催されているもので、当然2018年も2019年も、もちろん今(今年はムラサキパーク立川立飛のこけら落としイベントの一環で行われた)も開催され続けている。多くの皆さんもご存知だと思うが、AJSAは日本一の、しかもぶっちぎりで長い歴史を持つ団体だ。そこには世の中の流行り廃りに左右されず、しっかりとした基盤とピラミッド型の育成システムを創り上げ、コンテストを通して業界の底上げを図っていくという意思表示の表れでもあると思っている。そんなAJSAを、自分は可能な限りずっと協力していきたいと思っている。 2019年は青木勇貴斗、山下京之助、白井空良による三つ巴の戦い。本当に僅差であったため、まさかの優勝に青木勇貴斗は驚きの表情を見せていた 近年広がりを見せるフォトセッション 撮った写真を即座に編集して当日中に本人へ渡す。撮影後は画面を食い入るように見つめていた参加者たち その後世界がコロナ禍に見舞われたことで、しばらくイベントの開催はなくなり、自分が足を運ぶことも減っていったのだが、久しぶりに訪れたのが、2021年3月に行われたJASA (ジャパン・アクション・スポーツ・アソシエーション)によるフォトセッションになる。 これは現在徐々に広がりを見せている形式のイベントで、撮影した写真データを当日中に編集し、その場でもらえるという試みだ。 というのもプロスケーターにでもならない限り、普段の生活では大判印刷できるようなカメラで、しかもプロカメラマンにライティングまでして撮ってもらう経験は、そうそうあるものではないと思う。現にこの時も多くの人が、「僕も(私も)撮ってくれ! 」声をかけてくれたし、実は今も現在進行形でこういったイベントの企画は進めているので、開催した際はぜひ皆さんにもご参加いただけたら幸いだ。お子さんの成長の記録としてもピッタリではないかと思う。 そしてこの年の7月にあったビッグイベントといえば、まだまだ記憶に新しい東京オリンピックだろう。 本番会場は有明アーバンスポーツパークだったが、これはその直前にボードライダーズ社の主催で、メディア向けの公開練習が行われた時のものだ。 同社に所属する西矢椛、中山楓奈、岡本碧優、青木勇貴斗が華麗なライディングを披露し、マスコミからの質問に答えていたのだが、中には岡本碧優が滑っているのを疑問に思う人もいるだろう。なぜなら彼女は女子パークの選手であり、ムラサキパーク東京はストリートのパークだからだ。 だが、そこにも当然理由はあって、この日は本来ならムラサキパーク笠間で行われる予定だったのだが、降雨により急遽屋内施設であるムラサキパーク東京に会場が変更されたのだ。 だからこそではあるが、ストリートのパークで滑る岡本碧優というレアな一枚を撮影することができた。 クォーターではあるが、岡本碧優(左)がストリートのパークを滑るというレアな一幕。そして西矢椛(右)はご存知の通り、この数週間後に日本史上最年少の金メダリストとなった。 継続は力なり 藤澤虹々可とPOD CorporationによるPOD Games そして次がムラサキパーク東京の営業終了前に、自分が撮影した最後のイベントになる。 POD Coporationと藤澤虹々可によるPOD Gamesだ。 ただ彼女はこのコラムにも載せた2019年のJRSF JAPAN OPENの覇者で、まだまだ現役バリバリのトップガールズスケーターだ。 しかも自分は彼女の10歳にも満たない頃の写真も撮影しているので、まさかこんなに早く彼女と裏方の立場で一緒に仕事することになるとは思っていなかった。 でも今思うと、そんな出来事もお互いスケートボードが好きで続けてきたから実現したのだと思う。 今やその数も増えたガールズイベント。今後もきっと増加の一途を辿っていくことだろう ここまでの流れを辿れば、やはり世の中は「諸行無常」であると思わざるを得ない。だがそれと同時に「継続は力なり」という言葉の意味も、時を重ねることで感じ取れるようになってきた。 残念ながら今はもう「ムラサキパーク東京」は存在しないが、そのレガシーは「ムラサキパーク立川立飛」に立派に受け継げれている。これからも『ムラサキパーク』の名はそのままに、時代の最先端をひた走っていくのだろう。 一個人が撮影した写真だけで、これほどのストーリーが出来上がってしまうのだから。 吉田佳央 / Yoshio Yoshida(@yoshio_y_)1982年生まれ。静岡県焼津市出身。高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本の監修や講座講師等も務める。ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている