今年の全日本チャンピオンを決める大会「第6回マイナビ日本スケートボード選手権大会 supported by Murasaki Sports」男子ストリート種目が東京都立川市のムラサキパーク立川立飛にて2023年11月17日(金)~18日(土)に渡り開催された。
今大会は国内最高位の大会でありながら、来年度のワールドスケートジャパン強化指定選手及び特定育成選手の選考を兼ねている。そして今大会の上位5名が強化指定選手として2024年1月にUAEのシャルジャにて開催予定のパリオリンピック予選大会に派遣されるのだ。そのため普段、国際大会に出ていない日本人選手の面々にとってもチャンスがある非常に重要な大会。また来月12月には同じく東京の有明でパリオリンピック予選大会でもある「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023」が国内で初開催されるため、直前の実戦感覚を掴むために前哨戦として捉え出場する選手たちも中にはいた。
本カテゴリーには全国から44名の選手が出場。今回は東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗や、現在世界ランキング上位に入っている白井空良や佐々木音憧は不在ではあったものの、最近の国際大会で好成績を残す日本が世界に誇る国内のトップ選手たちが集まり、誰が優勝してもおかしくない熾烈な大会が繰り広げられた。決勝では準決勝を勝ち上がった合計8名で競われ、そのスタートリストは松本浬璃、濱村大征、藪下桃平、渡辺星那、山附明夢、小野寺吟雲、池慧野巨、池田大暉の順となった。
なお決勝は女子同様に一人45秒間のラン2本に加えてベストトリック5本へトライしたのち、ベストスコアとなったラン1本とベストトリック2本の計3本が採用され、順位が決まる形であり国際大会と同じフォーマットの下で競われた。今大会のコースは今年オープンばかりの関東最大級のスケートパークであるムラサキパーク立川立飛。今大会の決勝メンバーは海外でも活躍する国内指折りの選手たちで高難度かつオリジナリティに溢れたトリックを持っているため、いかに自分の手札を適切なタイミングで切れるかが勝敗を分けるポイントになる試合展開となった。
大会レポート
【ラン1本目】
日が暮れ始める夕方の時間から開始となった本決勝では、11月中旬ということもあり寒さで身体が冷えているのか、各選手がなかなか上手くランをまとめられない展開。多くの選手が苦戦を強いられる中で1本目から80点台後半という高得点を残したのが藪下と池。
まずは豪快な回転系のトリックを得意とする藪下桃平。直前の濱村大征が82.22ptという高得点を残す中、ライディングを始めた彼は8段ステアのハンドレールでの「キャバレリアルボードスライド」を皮切りに、その後もダウンレールで「ビガーフリップ・フロントサイドボードスライド」などをメイクし着実にランを進める。最後はハンドレールで「ハードフリップ・バックサイドリップスライド」を決め切りフルメイクで86.12ptをマークした。自分の納得するランができたのか笑顔で喜ぶ姿を見せた。
そんな藪下のスコアを超えるランを見せたのは準決勝2位通過の池慧野巨。準決勝の時点から豊富なバリエーションを活かしスタイリッシュなトリックを安定してメイクしていた池は、決勝でも同じペースで落ち着いたライディングの中に高難度のトリックを入れ込んだ。
8段のステアのハンドレールでは「ノーリーバックサイドクルックドグラインド」、ダウンレールでは「スイッチフロントサイドフィーブルグラインド」をメイクしていく。それ以外もトリッキーなトリックを随所に散りばめ、最後はハンドレールで「スイッチ270・フロントサイドボードスライド」、そしてタイムリミットギリギリにレッジで「ハーフキャブノーズスライド to 270アウト」を決めきると86.60ptをマーク。準決勝後に「最近自分の滑り自体に調子の良さを感じていた」と話してくれた彼だが、その無双状態をそのまま決勝に持ちこめているところはさすがだ。
【ラン2本目】
ラン1本目では寒さの影響で身体が固まっていたこともあってか、大半の選手がミスをするなど、うまくライディングをまとめられないでいたが、ラン2本目ではミスを修正して得点を引き上げる選手が多く出てくる展開となった。その中でも1本目での池と藪下に並ぶ80点台を叩き出したのは松本、濱村、小野寺、池田の4名だ。
1本目ではラストトリックの「キックフリップ・バックサイドテールスライド」に失敗し得点を伸ばせなかった松本浬璃。2本目ではギャップオーバーの「キックフリップ・バックサイドリップスライド」や「バックサイドオーバーノーズグラインド」をメイクし、最後はしっかりで「キックフリップ・バックサイドテールスライド」を決め切り86.30ptまでスコアを引き上げた。1本目で失敗した分しっかり決めきったことに安堵しガッズポーズする姿も見せた。
松本の次のライダーで1本目の82.22ptのランを上回るライディングで得点を伸ばしてきたのは濱村大征。8段のステアのハンドレールでの「ビガーフリップ・フロントサイドボードスライド」を皮切りに、様々なフリップ系のトリックをメイクし、中央のロングレールでは「キャバレリアル・バックサイドテールスライド」をメイク。その後も「キックフリップ・フロントサイドブラントスライド」、そして最後には1本目の藪下と同様に「ハードフリップ・バックサイドリップスライド」を決めフルメイク。84.99ptをマークして良い流れでベストトリックへ繋いだ。
そして1本目のミスのままで終わらなかったのが小野寺吟雲。1本目でミスしたハンドレールでの「キックフリップ・バックサイドテールスライド to フェイキー」をメイクすると、随所で複数コンボの高難度トリックを決めていく。中盤ではギャップオーバーの「フロントサイドブラントスライド to ビックスピンアウト」、「ビックスピンボードスライド to ビックスピンアウト」をメイク。最後はハンドレールで「ビックフリップ・フロントサイドブラントスライド」を決めノーミスでランを終えると87.73ptの暫定1位となった。
さらに、ベストトリックへ移る前にしっかり存在感を見せるライディングを披露したのは準決勝1位通過の池田大暉。大きくコース使って「フロントサイド180・スイッチクルックドグラインド」「バックサイド270ボードスライド」「キックフリップ・バックサイドテールスライド」など様々な高難度トリックをメイクし86.91ptでランを締め括った。
【ベストトリック1本目】
ランを終えた時点で8人中6名が80点台を残す接戦の中で迎えた1本目。ラン終了後のインターバルが3分程度だったこともあり、身体が温まった状態だったからか各選手が全体的にしっかりトリックを決めてくる印象。そんな中でも序盤から80点台を超えてきたのは渡辺、小野寺、池田の3名だった。
今大会予選1位通過で、準決勝5位通過と「自分が思っている以上にスコアが出ている」と手応えを感じて決勝に挑んだのが渡辺星那。ランでは2本目で自身が得意とするヒールフリップをベースに、フェイキーとスイッチのスタンスをうまく使いながら複合技を詰め込んだランで79.71ptをマーク。ベストトリック1本目では「バリアルフリップ・バックサイドリップスライド」をハンドレールで綺麗にメイクして81.58ptをマークした。
そしてランでの良い流れをそのまま持ち込み1本目からハイスコアを残したのが小野寺吟雲。ハンドレールで「キックフリップ・フロントサイドブラントスライド to ビックスピンアウト」をメイクして88.86ptをマークし暫定1位の座を固めていく。小野寺本人もこのトリックを決めた瞬間に両手を天に向かって突き上げ喜ぶ様子も見せた。
しかし1本目で唯一90点台という素晴らしいトリックをメイクしたのが準決勝1位通過で優勝候補の池田大暉。ハンドレールで「キャバレリアル・バックサイドテールスライド to ビックスピンアウト」という高難度トリックをメイクするとスコアを90.67ptとした。しかしそんな高得点でも表情一つ変えない様子から、自分の想定内の得点だったことが感じられた。
【ベストトリック2本目】
1本目で小野寺や池田の高難度トリックが飛び出し、他選手たちにプレッシャーがかかる一方で、完全に日が暮れたことから会場内の気温が下がって冷え込み、選手たちのパフォーマンスにも影響が出始めているのがうかがえた2本目。またここではトリックに失敗する選手とメイクできた選手で半々に二分化された。そんな環境下でトリックをメイクしたのは松本、濱村、山附、小野寺の4名だ。
松本浬璃は池田の1本目の直後にトリックにトライしたことで感化されていたのか、1本目でミスをした「ハードフリップ・フロントサイドボードスライド」を平然とメイクし81.54ptをマーク。そんな彼に続いたのは、同じく1本目でミスをしていた濱村大征。松本の1本目と同じトリックである「キックフリップ・バックサイドクルックドグラインド」をメイクして80.11ptをマーク。
そんな中で玄人好みの異質なライディングを見せるのが山附明夢。ランでは2本目でミスがありながらも71.69ptをマークしている彼はまさにクリエイティビティの塊。基本的に彼がトリックを決めるセクションは他選手があまり使用しない切り口。この2本目では今大会でほとんどの選手がギャップオーバーのダウンレールとして使っていたレールを逆方向に使い「フロントフィーブル to ショービットアウト」を決めた。そのスキルの高さが評価されこのトリックは85.62ptの評価を受けた。
そしてラン2本目での87.73pt、ベストトリック1本目での88.86ptに加えて、止まることを知らないのが弱冠13歳の小野寺吟雲。彼はこの2本目でギャップオーバーの「ダブルフリップ・フロントサイドボードスライド to フェイキー」という超高難度トリックをメイクし本決勝最高得点の91.62ptをマーク。絶好調の小野寺はメイクした瞬間に両手を突き上げるなど身体全体で今日一の喜びを表現しており、観客からも会場のボルテージが一気に上がる歓声が上がった。
【ベストトリック3本目】
徐々に選手たちの間に大きなスコアの差が生まれてきた中で迎える3本目。やはり寒さが堪えるのかトリックをメイクできる選手たちが少なくなっており、今回は3名だけがトリックをメイク。他選手が得点を残せておらず苦戦する中で丁寧に2本スコアをまとめてきたのは松本浬璃。「ハードフリップ・バックサイド50-50グラインド」をメイクして52.44ptをマークした。
そこに続いたのは山附明夢。1本目の「フロントサイドテールスライド to ヒールフリップアウト」をメイクしたレッジで「フロントサイドクルックドグラインド」をメイクすると74.41ptをマークしたが、1本目・2本目のスコアを更新できず合計得点を伸ばすことはできなかった。また大会後に聞いた話ではこの時点で彼のトリックの手札はかなり少なくなっていたようだ。
そんな3本目に会場を湧かせるビックなトリックをメイクしたのは池慧野巨。2本目で失敗した「ノーリーフロントサイド180・スイッチフロントサイドフィーブルグラインド」という超高難度トリックをこの場面で決めてくるのは、やはり長年トップ選手として日本のシーンを引っ張ってきた経験から来る強さだろう。このトリックには90.34ptの得点が付き暫定2位まで浮上した。
【ベストトリック4本目】
3本目を終えて驚くほど会場内の気温は下がり、外から時折風が吹き込むなど選手たちにとっては非常に厳しいコンディションで迎えた4本目。各選手がスコアアップに苦しむ中でここでは2名だけがトリックをメイクした。
まずは3本目のトリックを変えて挑んだ藪下桃平。1本目の「ビガーフリップ・フロントサイドボードスライド」のメイク後は2本目・3本目と「ハードフリップ・バックサイドリップスライド to ショービットアウト」で失敗。もちろんメイクすれば高得点となる高難度トリックなのだが、ここでは「キックフリップ・バックサイドスミスグラインド」へ変更。しっかりメイクしてベストスコアを2本残す選択を取った。スコアは72.44ptだったが暫定4位までジャンプアップ。上位5名が強化指定選手として来年1月の世界大会へ派遣されることから、無理をせず堅実にトリック選びをしてきたように思えた。
そして今大会で寒さを物ともせず高難易度トリックを連発したのは小野寺吟雲。3本目でミスしたギャップオーバーの「フロントブラント to キックフリップアウトフェイキー」をメイクしてリベンジ。精密機械のごとく修正してくるところは彼の強さであるのは間違えないだろう。スコアを85.92ptとしベストスコアの塗り替えとはならなかったが暫定1位をキープした。
【ベストトリック5本目】
そして選手の中には合計得点に採用される2本スコアをまとめられていない者や、自分の持ち技をメイクできていない者もいる中でラストチャンスとなった5本目。ラスト1本ではあったが、寒さも相まって疲労が溜まっていたのかほとんどの選手はトリックをメイクできない展開となった。
そんなラストトリックで見事メイクして大会を締め括ったのが渡辺星那。1本目でメイクした「バリアルフリップ・バックサイドリップスライド」以降、2本目から4本目までメイクできずに背水の陣で迎えた5本目で「ヒールフリップ・フロントサイドブラントスライド」をハンドレールでメイク。ようやくトリックを決められたことから胸を撫で下ろす様子も見られた。そしてこのトリックは80.82ptの評価となり、合計得点で暫定3位までジャンプアップ。さすがは今大会予選トップ通過の実力と感じるライディングだった。
その後は惜しいトリックも見られるも誰もメイクすることができず、順位に変更がないまま大会を終え、今回結果は1位が小野寺吟雲、2位が池慧野巨、3位が渡辺星那となった。そして今回の優勝により大会2連覇となった小野寺は、優勝者インタビューでなかなか決め切れなかった準決勝からの決勝での復調については「終始自分に勝つことを考えてスケートしていた」と発言。外的要因をも跳ね除ける自分の持っている実力に対しての自信がこの優勝を手繰り寄せたのだろう。また実は準決勝及び決勝の序盤で思うようなライディングができなかったのはスケートボードギアのトラブルだったそうだ。大会中にそういった細かなトラブルに気づき冷静に対処できるところからも、弱冠13歳とは思えぬ落ち着きのようなものを感じた。
【大会結果】
優勝 小野寺 吟雲(オノデラ・ギンウ) / 268.21pt
準優勝 池 慧野巨 (イケ・ケヤキ) / 256.48pt
第3位 渡辺 星那 (ワタナベ・セナ) / 242.11pt
第4位 藪下 桃平 (ヤブシタ・モモヘイ) / 237.66pt
第5位 山附 明夢 (ヤマズキ・アイム) / 237.24pt
第6位 松本 浬璃 (マツモト・カイリ) / 220.28pt
第7位 池田 大暉 (イケダ・ダイキ) / 177.58pt
第8位 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 165.10pt
最後に
今大会を通して印象的だったのは、外的要因である寒さが被った選手たちのパフォーマンスの変化だ。実際にその影響を大きく受けてしまい悔しい結果になったのが準決勝1位通過で決勝を迎えた池田大暉だろう。ランでは86.91pt、ベストトリックでは1本目に90.67ptをマークしていた彼は、もう一本乗れていれば優勝も手にしていただろうと容易に考えられる。実際に本人もベストトリックでは身体が寒さで全然動かなかったと語っており、今回は全体的にプレッシャーに加えてこの寒さが選手たちのパフォーマンスに影響を与えて成績を左右した。
その一方で、中盤まで持ち堪えベストトリックで90点台を叩き出した小野寺と池はしっかり成績に繋げることができていた。なお池に関しては自身が苦手としていた「ラン」のカテゴリーを今大会通じてうまくまとめていた印象。このカテゴリーを安定させられれば世界でも十分に通用する実力の持ち主なので今後の活躍がより楽しみだ。
また今大会の結果から「自分のベストなライディングをする」ということは自分とのメンタル面の向き合い方や技術の向上だけではなく、外的要因をどのように対処するかも大事なことであり、そういった部分も含めて心身ともにマネジメントすることの重要性に気づかさせてもらった。今までもそうだが年中通じて開催されるこのスケートボードの大会は真夏や冬の開催もあるので、今後は選手たちも天候が及ぼすパフォーマンスへの影響にも意識をした対策を取っていくことだろう。
そういう意味では、来月12月に「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023」が開催される有明コロシアムは天井がスライド開閉式屋根となっている全天候型の施設であり、今回のように風が吹き込んだり寒さを感じることはおそらく無いとは思うが、国内初の世界選手権ということから違う意味でのプレッシャーや外的要因も存在するかもしれない。そういう多角的な観点を持ちながら「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023」での日本人選手たちの活躍を楽しみに観てみたいと思う。
大会概要
⼤会名称 : 第6回マイナビ日本スケートボード選手権大会 supported by Murasaki Sports
開催期間 : 2023年11月17日(金)~18日(土)- 2日間 –
大会会場:ムラサキパーク立川立飛 (東京都立川市泉町)
主催:一般社団法人ワールドスケートジャパン(WSJ)
主管:ワールドスケートジャパン スケートボード委員会
特別協賛:株式会社マイナビ
協賛:株式会社ムラサキスポーツ、NIKE SB、株式会社ブルボン、ENEOS株式会社
後援:東京都立川市、一般社団法人日本スケートボード協会(AJSA)、一般社団法人日本スケートボーディング連盟(JSF)、株式会社立飛ホールディングス
SPECIAL EDITION
FINEPLAYはアクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した総合ニュースメディアです。2013年9月より運営を開始し、世界中のサーフィン、ダンス、ウェイクボード、スケートボード、スノーボード、クライミング、パルクール、フリースタイルなどストリート・アクションスポーツを中心としたアスリート・プロダクト・イベント・カルチャー情報を提供しています。
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CLASSには若手からベテランまで国内のトップライダー18名が参加。なお今回の決勝の競技フォーマットは、本来「60秒間のソロラン2本」+「35秒間でのベストトリック5本」の合計7本のうち、上位スコア3本の合計得点により順位を決める形となる予定だったが、雨天になる可能性を鑑み、16分~20分間のジャムセッションの中で最大35秒間のベストトリックをメイクして時間内に成功した最高スコアの「ベストトリック2本を採用する最高20点満点」でジャッジされた。 今大会の戦いの焦点は高難度トリックを着実に時間内に決めること。ランがなくベストトリックだけであるため、ライディング中の転倒や足をつく動作、時間内にルーティンを終えられないと0点になってしまいスコアが付かない。とはいえ守りのトリックをすればスコアは伸びないという昨今の各大会とは大きく異なる難しさがライダーたちを悩ませた。 実際、ライダーたちは攻めのライディングを余儀なくされた中でのプレッシャーもありミスを連発。最後の最後まで誰が優勝するのか分からない試合展開に選手と観客ともに目が離せない状態が続いた。一方では普段ではなかなか見られない超高難度トリックも飛び出すなど日本のBMXフラットランドのレベルを大きく引き上げる一戦となった。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF そんな緊張感のある戦いを見事制したのは片桐悠。ベストトリックでは1本目から彼のオリジナルでもある「フルバイクフリップ」からの「バイクジャグリング」を決めてまず1本収めてくる。2本目ではバイクをお腹側にしてペダル軸での加速からバイクを半回転させてバイクを切り返していくルーティンをメイク。 片桐悠のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 既に2本を決めている彼は3本目では同じく彼のオリジナルでもある「舞空術」の回転数を増やして逆サイドにスイッチするルーティンにトライするもミス。その後4本目、5本目最後でミスが続くも見事6本目でメイクした。その後はずっとミスが続きラスト1本までバックワーズからバイクを縦に跨ぐルーティンは失敗となった。しかしここまでに決め切った3本から2本が選ばれその高難度トリックの数々が評価を受けて合計18.1ptとし見事優勝を収めて2連覇を達成した。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝はARK LEAGUEのオーガナイザーでもある内野洋平。長年大会を支える一方で、このFLATARKを含め数えきれないほど様々な大会で優勝経験を持つ現役プロライダー。BMXフラットランド界を新たなステージに引き上げ続ける彼は、今大会でも最高難度のトリックにトライ。1本目、2本目ではミスがあった「バックワーズマニュアル to バイクフリップ」からのもう一度バイクフリップで締める彼のオリジナルルーティンをしっかりメイク。 内野洋平のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF その流れのままバイクを背中向きに背負って進む「バックワーズツーフット」からのバイクの切り返しをメイクして2本目のスコアをまとめる。その後は1本失敗するも 「アップサイドのマニュアル to バイクフリップ」を加えたルーティンをメイクした。終盤戦はどのライダーもトリックをメイクできない時間が続く中、残り3分あたりで「バックスピン」からの難しいバイクの切り返すルーティンをメイク。最後は自身の代名詞トリック「ウッチースピン」も加えた長いスピントリックのルーティンにトライするも最後の最後で足をつくミス。しかし結果としてはそこまでの高難度かつオリジナリティのあるベストトリックの数々が評価されて合計17.8ptで2位となった。 田圓尚人のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位は2022年の「FLATARK」in YUSFで王者に輝いた田圓尚人。前半ではなかなか決めきることができず苦戦を強いられたが、残り時間5分の時点でリアトリックの体勢から「バイクフリップ to バックスピン to バイクフリップ」のコンボをメイクしていき気合いの1本目を決めきる。その後、2本目をメイクするのに苦戦を強いられるも残り2分のところではバイクをアップサイドに捉えながら片足をペダル軸に置きバックワーズからの自身のオリジナルトリックであるハンドルを握りながらバイクを足元で回す「気円斬」をメイク。意地の2本目を決めると最終的にこの2本が高評価を受けて合計点を17.0ptとして3位入賞を決めた。 WOMEN’S CLASSはネクストレベルのライディングが披露される接戦に。わずか0.2pt差の厳しい戦いを制したのは昨年大会王者の鈴木仁菜 一方で、唯一の女子カテゴリーとなったWOMEN’S CLASSにも国内外を股にかけて大活躍する女子のトップライダー10名が参加し、決勝1本勝負にて優勝争いが行われた。 なお今回のWOMEN'S CLASS決勝の競技フォーマットは、120秒間のソロラン1本にて最高30点満点でジャッジされた。「FLAT ARK」としては前回の甲子園大会から30秒延長となるこのフォーマットが導入されたのだが、今までに比べるとライディング時間が長くなるため自分の見せたいトリックを多く入れ込むことができる一方で体力勝負にもなることが予想された。 その中でも特に接戦となったのは鈴木仁菜と本村果鈴の戦い。昨年のYUSF’23で優勝した鈴木と前回の甲子園大会の優勝者の本村、どっちが勝つのか気になる今回を制したのは鈴木仁菜。 鈴木仁菜のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 今年のワールドカップでは負けなしの世界的にもその実力が評価されている鈴木は、所々でミスは見られたもののリアトリックの姿勢から、スカッフなしで「ツーフット」に移り「バックスピン」に切り替えたり、手足のポジションを入れ替えたり、難しい姿勢からバイクを回転させて切り返したりと目まぐるしく難しいバランスをとりながら行うトリックルーティンに盛り込んだライディングを見せて24.6ptと最高得点をマークし優勝を収めて2連覇を達成した。 本村果鈴のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 準優勝は鈴木にわずか0.2ptという僅差に迫った本村果鈴。スピン系のトリックを得意とする彼女は、リアトリックからフロントトリックに上手くスイッチしながら手足のポジション入れ替えたりとバリエーションの多いライディングを見せる。その後もルーティンの中にフロントトリックを軸にする中でスピンしながら「ウィップラッシュ」を入れたりハンドルを回したりとスムーズかつハイレベルなトリックを披露していく。終盤では左足をペダルに置いて片足での「ノーズマニュアル」から「ウィップラッシュ」に繋ぎ「バックスピン」という流れでルーティンを続けようとするも最後までメイクできずにランを終えると合計得点を24.4ptとして、惜しくも鈴木には届かず2位となった。 高橋七衣のライディング ©︎Jason Halayko /YUSF 3位はBMXフラットランド強豪である佐賀出身の弱冠13歳の高橋七衣。フロントタイヤを軸にしたトリックを中心にランを展開。1本目、2本目と上手くバランスを取りながらでのフロントトリックの 「ツーフット」からの「トランスファー」など丁寧にトリックを決めていくと、ラスト1本では途中から決められず苦戦していた「サイドヤード」の姿勢からリアへの「トランスファーからのバックスピン」をしっかり決めきった。このルーティンが高評価を受けたか合計点を23.5ptとして3位入賞を収めた。 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <OPEN CLASS >優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 18.1pt準優勝: 内野 洋平 (ウチノ・ヨウヘイ) / 17.8pt第3位: 田圓 尚人 (タマル・ナオト) / 17.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <WOMEN’S CLASS>優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 24.6pt準優勝: 本村 果鈴 (ホンムラ・カリン) / 24.4pt第3位: 高橋 七衣 (タカハシ・ナナエ) / 23.5pt ©︎Jason Halayko /YUSF <EXPERT CLASS>優勝: カナモト コタロウ準優勝: フジイ トハ第3位: イケダ コウタ ©︎Jason Halayko /YUSF <NOVICE CLASS>優勝: サトウ ライ準優勝: カネコ ジロウ第3位: コタベ コウイチ 大会概要 ⼤会名称 : 【FLATARK produced by ARK LEAGUE】イベント名称 : YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 (略称 YUSF ʼ24)会場:横 浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)日程・時間: 2024年11月9 日(土)・11月10日(日) 【YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24】主催: YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL ʼ24 実行委員会 (株式会社横浜赤レンガ / 明治商工株式会社 / 株式会社ローソンエンタテインメント / 株式会社ゼータ) 共催: 横浜市にぎわいスポーツ文化局(予定) / 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 協賛: 三菱商事都市開発株式会社 / 富士フイルム株式会社 / GoPro合同会社 / 第一生命保険株式会社 / 本田技研工業株式会社 / サミー株式会社 / カシオ計算機株式会社 / プレミアムウォーター株式会社 / 日本たばこ産業株式会社 / レッドブル・ジャパン株式会社 / 学校法人岩崎学園協力: 一般社団法人ARK LEAGUE / 有限会社OVER THUMPZ / 株式会社IAM / 株式会社トリデンテ / 公益財団法人日本バレーボール協会 / 株式会社HANDOFFメディア協力:スカイ A / FINEPLAY
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skate世界最高峰レベルの異次元のコンボトリックの数々が披露された熾烈な一戦【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】in YUSF’242024.11.14「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL'24」が横浜赤レンガ倉庫内イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区)にて2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間に渡り開催され、本イベント内でスケート・ボード種目の大会として開催された【SKATE ARK produced by ARK LEAGUE】にてWomen’sクラスでは吉沢恋選手が、Men’s Hiクラスで早川竣乃祐選手が優勝した。 2017年に誕生し、現在では世界で最もレベルの高い“世界大会”として認知される「ARK LEAGUE」の1つであるスケートボード種目の大会がこの「SKATE ARK」。「ライダーが創るライダーの為の大会」を信念に掲げて毎年アップデートされていることから、世界各国のライダーから賞賛される大会となっている。 パークやバーチカルなど様々なスタイルがあるスケートボード競技だが、そのうち日本人選手が世界のトップレベルで活躍している、街中にあるような階段やレールなど障害物のあるコースで競う「ストリート種目」をSKATE ARKでは実施。2022年と2023年に続き、今回も世界で活躍する国内トップスケーターが出場し終始大盛り上がりの大会となった。 ©︎Jason Halayko /YUSF なお、今回の「SKATE ARK」のセクションは本イベントの会場である赤レンガパークの中でも一番手前の大通り寄りに設置され、来場者ではない一般の通行客からもよく見える最高のロケーションの中で、2日間に渡って終始たくさんの観客に見守れながら大会は進行していった。 以下は、今大会最注目となったWomen’sクラスとMen’s Hiクラス決勝戦の大会リポート。 実力者と若手が入り乱れたMen’s Hiクラスは若手に軍配。実力者たちを抑えた早川竣乃祐が優勝を勝ち取った 今大会の男子カテゴリー最上級クラスとなるMen’s Hiクラスには日本国内から幅広い年齢層のトップライダー19名が参加。前日に行われた予選から熾烈な戦いが行われ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。 そして今回の競技フォーマットはコースレイアウトの関係上、前大会とは異なりソロラン無しのベストトリック合戦となった。予選では7分間のジャムセッション、決勝ではベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める形で1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジされた。 今大会にはパリ五輪日本代表の白井空良をはじめ、「2023 UPRISING TOKYO Supported by Rakuten BEST TRICK WINNER」の濱村大征などベストトリックのレベルの高さが世界的にも評価されている選手が多く出場した。ただ今回は白井が惜しくも先日怪我をした膝の調子が奮わず予選敗退となる一方で、決勝は若手も勝ち上がり名を連ねて実力者と対峙する展開に。決勝は5本中2本のスコアが採用されるフォーマットであることから、最後の最後まで各ライダーが自分たちの持つベストトリックにトライする攻めのライディングを終始見せる観客にとっても見応えのある手に汗握る展開になった。 ベストトリック1本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 5本のチャンスがあるものの、2本目以降でより攻めのトリックにトライするためにもしっかり決めておきたい1本目はほとんどのライダーがスコアをマーク。その中でも8点台のスコアを残して弾みを付けたのは実力者の浦野晴と大場蓮。浦野は「スイッチフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をメイクすると8.2ptをマーク、大場は「ポップショービットフロントサイドフィーブルグラインド180アウト」をメイクし8.3ptをマークして強さを見せる。 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 2人に続く形で7点台をマークして2本目に繋げたのは早川竣乃祐、濱村大征、浦野健隼の3名だ。早川は「ノーリフリップバックサイドボードスライド」を決めると7.7pt、濱村は「ハードフリップバックサイドリップスライド」で7.6pt、浦野晴の兄でトリックマスターとして知られる浦野健隼はハバレッジでの「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」で7.3ptをマークし、早くも熾烈なベストトリック合戦の始まりを予感する1本目となった。 ベストトリック2本目 2本目では早速各ライダーがギアを上げてきたのか、なかなかトリックをメイクできない展開に。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは高石颯来と濱村大征の2名。高石は「キックフリップバックサイトテールスライドフェイキー」をメイクし7.6ptをマーク。彼自身も着地が少しスケッチーだったことからトリックメイクに驚いている様子も見せた。濱村は1本目で浦野健隼がハバレッジでメイクした「キックフリップバックサイドクルックドグラインド」をレールで決めると7.0ptをマークした。今回のスコア採用は2本だけのためまだこの段階ではまだまだ勝負の行方は分からない状態。 ベストトリック3本目 大場蓮のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF ほとんどのライダーが1本以上スコアをマークしていることから、まだ残りのチャンスに余裕がある一方で勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目。ただやはりスコアアップするためのトリックメイクには難易度とプレッシャーがあるからか、ここ3本目でも2名を除きほとんどのライダーがミス。一方でしっかり決めて見せたのが、3本連続で着実にメイクしている高石颯来と個性的な渋いトリックをチョイスする大場蓮。高石は「キックフリップバックサイドスミスグラインド」をメイクすると7.4ptをマーク。2本目のスコアを上回ることはできずベストスコアにはならなかったが、1本目の6.4ptを上回りスコアアップには成功。大場は2本目で失敗した「ビックスピンフロントサイドハリケーングラインド」を見事メイクし8.5ptをマーク。自身のスコアを8点台で揃えて暫定1位に躍り出た。 ベストトリック4本目 三星怜生のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 残りトライできる本数が少なくなってきたこの4本目。ここでは実力者も含め多くのライダーが相変わらずトリックメイクに苦戦を強いられている中で、8点台をマークして表彰台の座を大きく引き寄せたのは若手の三星怜生と早川竣乃祐の2名。三星は「フロントサイド360テールスライド」をレールで決めて決勝最高得点の8.9pt、早川は「ノーリーキックフリップバックサイドテールスライド」をハバレッジで決めて8.6ptをマークすると、三星は暫定3位、早川は暫定2位となり残すは自身も含めて各ライダーが5本目でどんなトリックをメイクするのかに委ねられた。 ベストトリック5本目 早川竣乃祐のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF そして迎えたラスト1本。各ライダーがチャレンジし続けてきたベストトリックを決め切る必要があるラストチャンスだったが、惜しくも番狂わせを起こす展開にはならなかった。その中でも終始トリックメイクできず苦しい時間を過ごしていた梅村敏秀が最後に「トレフリップフロントサイド5-0グラインド」をハバレッジでメイク。やっと決め切れたトリックに天を見上げる様子も見せた。 一方で流れを掴んでラストトリックも決めきって見せたのは4本目をメイクした三星と早川。三星は「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」で7.3ptをマークしてスコアアップし暫定3位となった。そして暫定1位の大場を追う展開となった暫定2位の早川はラストトリックとして「ノーリーキックフリップバックサイドリップスライドショービットアウト」を綺麗にレールで決めて8.4ptをマークすると暫定1位に躍り出た。その後の出走となった大場も濱村もトリックを決められなかったことから、最終結果としては早川が優勝。2位に大場、3位に三星となった。その中でも特に早川と三星は若手でこれからが楽しみなライダー。今後彼らがどう日本のトップ勢に食い込んでくるのかが楽しみだ。 将来有望な若手ライダーたち ©︎Yoshio Yoshida /YUSF Women’sクラス決勝に名を連ねたのは世界で活躍するトップスケーターたち。そんなハイレベルな戦いを制したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋 今大会のWomen’sクラスには日本国内のトップライダー12名が参加。前日の予選から熾烈な戦いが繰り広げられ、決勝では予選を勝ち上がった8名にて争われた。競技フォーマットはMen’s Hiクラス同様に決勝はベストトリック合計5本のうち、上位スコア2本の合計得点により順位を決める1本あたり最大10点の最高20点満点でジャッジとなった。 そして今大会の決勝には世界大会で活躍するライダーたちが勢揃い。その面々は上村葵、大西七海、石丸葵、丹野莉愛、藤澤虹々可、吉沢恋、織田夢海、松本雪聖といった世界王者経験者から最近急成長の若手まで全日本選手権の決勝ないし世界大会の決勝でも見劣りしないメンバーがここ横浜赤レンガ倉庫の会場で優勝の座を争った。 ベストトリック1本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 男子同様に女子も2本目以降でより攻めのトリックにトライするため、まずしっかり堅実にスコアを残すことを優先するかと思われた1本目だったが、最初から攻める空気感を作り出したのはパリ五輪金メダリストの吉沢恋だった。吉沢は1本目からパリ五輪で金メダルを勝ち取ったハンマートリックの「ビックスピンフリップフロントサイドボードスライド」をメイクすると8.8ptをマークし後続にプレッシャーをかけていく。 織田夢海のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF しかしその流れをしっかり捉えて吉沢のトリックを上回って見せたのは織田夢海。織田は彼女の代名詞的ハンマートリック「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をメイク。今大会唯一の9点台である9.0ptをマークして強さを見せた。 ベストトリック2本目 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 1本目から吉沢と織田が攻めのライディングを見せる中、2本目ではトリックメイクに苦戦するライダーと着実に好スコアを残すライダーが二極化。そんな中で1本目に引き続きスコアをマークしてきたのは丹野莉愛、織田夢海、松本雪聖の3名。織田は1本目で松本が決めた「キックフリップフロントサイドボードスライド」をメイクし7.3ptをマーク。続く松本は「キックフリップバックサイドリップスライド」を決めると7.9ptをマークしスコアアップししっかり2本ともスコアを残した。 一方で2本のスコアメイクと共に8点台のハイスコアをマークしたのは丹野莉愛。丹野は「270フロントサイドボードスライド」をメイクしガッズポーズを見せた。しっかりスコアも評価され8.8ptをマークすると暫定2位に食い込んできた。 ベストトリック3本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 現在トップは織田、丹野、松本という順番で迎えた中盤戦。終盤に向けて勝負を優位に進めるためにもスコアアップしておきたい3本目でプレッシャーをも感じさせずに唯一トリックを決めて見せたのがやはりこのライダー吉沢恋。8.7ptをマークするライディングでセカンドハイエストを更新して一気にスコアアップし、暫定2位の織田に1点以上の差をつけて暫定トップにジャンプアップした。 ベストトリック4本目 ライディング後にボードが折れるアクシデントがあった藤澤虹々可 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 3本目で吉沢にリードを許す一方でしっかりトリックを決めてここで追い上げておきたいと思う4本目。しかしここでも相変わらず多くのライダーがトリックメイクに苦戦を強いられた。一方でこの4本目でなんとかトリックをメイクして見せたのは藤澤虹々可。ずっと失敗していた「ポップショービットフロントサイド50-50グラインド」をメイクして8.6ptという好スコアをマーク。あと一本決め切れば表彰台の座も見えてくる中で藤澤にトラブル。トリックの着地でデッキのテール側が折れてしまうアクシデント。スペアのボードもなく誰かのボードを借りることを余儀なくされた。そんなことも起きた展開の中で、最後5本目を残して現在トップは吉沢、織田、丹野の順に。このままで大会を終えるのか、もしくは最後に番狂わせがあるのか。そんな期待も渦巻く中でラストトリックへ。 ベストトリック5本目 吉沢恋のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF もう後が無いラストトリックとなった5本目。多くのライダーが決め切れず辛酸を舐めたこのラストチャンスだったが、暫定3位の丹野が最後に表彰台の座を盤石にするため滑走するもメイクした「フロントサイドフィーブルグラインド」ではスコアアップできずに少し不安が残る展開に。 一方で最後も高得点で締め括ったのがやはり吉沢。ラストトリックでは「ノーズグラインドビックスピンアウト」でメイクして8.3ptをマークした。そして暫定3位の丹野を追う展開となった暫定4位の松本はラストトリックに「キックフリップフロントサイドボードスライドフェイキー」をレールで決めて7.6ptをマークすると0.2pt差で3位にジャンプアップ。最終結果としては吉沢が優勝。2位に織田、3位に松本となった。 松本雪聖のライディング ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 今回表彰台に上がった3名はベストトリックのレベルの高さに定評があるのはもちろんのことだが、どんな状況でもしっかりスコアを残すことができる実力を持ち合わせているからこそ、世界の大舞台でも結果を残せているということが分かった。また4位となった丹野も松本とはたった0.2pt差。吉沢と織田に比べると若くさらにこれからの成長が楽しみなのがこの丹野と松本だ。日に日に目に見える成長著しいこの女子ストリート種目。今後はトップ勢はもちろんのこと若手にも注目だ。 今後の成長が期待される松本雪聖と丹野莉愛 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF 大会結果 ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Women's Class /ウィメンズクラス>優勝: 吉沢 恋 (ヨシザワ・ココ) / 17.5pt準優勝: 織田 夢海 (オダ・ユメカ) / 16.3pt第3位: 松本 雪聖 (マツモト・イブキ) / 15.5pt4位: 丹野 莉愛 (タンノ・リア) / 15.3pt5位: 藤澤 虹々可 (フジサワ・ナナカ) / 8.6pt6位: 大西 七海 (オオニシ・ナナミ) / 6.2pt7位: 石丸 葵 (イシマル・アオイ) / 3.8pt8位: 上村 葵 (ウエムラ・アオイ) / 0.0pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Hi Class /メンズハイクラス>優勝: 早川 竣乃祐 (シュンノスケ・ハヤカワ) / 17.0pt準優勝: 大場 蓮 (オオバ・レン) / 16.8pt第3位: 三星 怜生 (ミツボシ・リオ) / 16.2pt4位: 高石 颯来 (タカイシ・ソラ) / 15.0pt5位: 濱村 大征 (ハマムラ・タイセイ) / 14.6pt6位: 梅村 敏秀 (ウメムラ・トシヒデ) / 8.6pt7位: 浦野 晴 (ウラノ・ハル) / 8.2pt8位: 浦野 健隼 (ウラノ・ケント) / 7.3pt ©︎Yoshio Yoshida /YUSF <Men's Low Class /メンズロークラス>優勝: カミタニ・ユウセイ準優勝: ナトリ・ヤマト第3位: リョウジ・ワカバヤシ 大会概要 ⼤会名称 : 【SKATEARK produced by ARK LEAGUE】 イベント名称:YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL '24 (略称:YUSF’24)開催期間 : 2024年11月9日(土)~10日(日)- 2日間 -※詳細は公式HPをご覧ください。大会会場:横浜赤レンガ倉庫 イベント広場・赤レンガパーク(神奈川県横浜市中区新港1-1)主催:一般社団法人 ARK LEAGUE協賛: 第一生命グループ / GoPro / 三菱商事都市開発/ Red Bull / G-SHOCK / ムラサキスポーツ
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dance“AIRHEADZ”が世界への挑戦権を獲得!「Freestyle Session JAPAN 2024」2024.11.1320年以上の歴史があるブレイキンシーンを象徴する大会 都市型スポーツとストリートカルチャーの祭典「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2024(以下、YUSF)」が11月9日、10日に横浜赤レンガ倉庫で初開催された。本イベント内のBREAKINGコンテンツとして【Freestyle Session JAPAN 2024】が行われ、AIRHEADZが優勝を飾った。Freestyle Session は、1997年アメリカで始まった世界一のCREWを決める伝説のブレイキンバトルで、20年以上の歴史を誇り、今でもブレイキンシーンを象徴するイベントの一つである。国内では、Bboy Toshio a.k.a. Machanが2002年に日本にFreestyle Sessionを持ち込んだことで日本大会がスタート。今回と同じ横浜赤レンガ倉庫で開催された2022年のYUSFでは、Freestyle Session JAPANの20周年が祝われ表彰などが行われた。近年のYUSF内で行われたFreestyle Session JAPANには、今年パリオリンピックで活躍した日本代表勢も出場。2022年大会では、パリオリンピックで金メダルを獲得したAMIがGOOD FOOTで出場し優勝。昨年の2023年大会では、オリンピック第4位のShigekixがXII After oursで出場して同じく優勝を成し遂げている。現在、世界の第一線で活躍するBBOY・BGIRLも憧れる舞台に今年も多くの挑戦者たちが集まった。 ©AYATO. /YUSF ヤングガンズが台頭した今年の日本大会 過去の大会と比べると、今回はニューフェイスが多く登場し若手世代の活躍が目立った。決勝まで駒を進めたgunbarawはThe Floorriorzのメンバーで小学生のWatoを中心とするチーム。惜しくも決勝で敗れてしまったが、大人顔負けのパワームーブを展開し会場を沸かせていた。優勝したAIRHEADZも10代と20代で構成されるクルーであり、今大会では大躍進を遂げた。予選を勝ち抜きTOP16のトーナメントに進出したクルーの中には、YELLOW SUNSやFOUND NATIONなど、国内の様々なバトルを制し、名を轟かせるBBOY・BGIRLもいたが、そのような実績のあるクルーを破りAIRHEADZが見事、頂点に輝いた。優勝したAIRHEADZには、11月16日からアメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルTOP16の出場枠が与えられる。 ©AYATO. /YUSF AIRHEADZ 優勝コメント 今日1日を振り返ってみてどうでしたか? DoubleNew(以下D):この人数でバトルに出るのも初めてだったし、セッション(Freestyle Session)は狙いにいきたいと思って準備していました。トーナメントの組み合わせ的にも、毎バトル全力を出すしかない状況だったので、いい動きが出来たし、それがこの結果に繋がったと思います。すごく嬉しいです! AIRHEADZらしさは出せましたか? D:僕たちは本当にチーム愛を大事にしているクルーだし、いつも一緒に過ごしている仲間たちです。そこがバトルにも出ていたと思います。 アメリカ・ロサンゼルスで行われるワールドファイナルに向けての意気込みを教えてください D:Freestyle Sessionのワールドファイナルは、夢に見ていた舞台なので、全力を尽くして勝ちにいきたいです。 ©AYATO. /YUSF