先日のパリオリンピックでも日本人選手たちが大活躍し、その人気や注目が止まることを知らない「スケートボード・パーク種目」。日本人女子のレベルは東京大会からパリ大会を経て盤石なものになっている一方で、近年急激なレベルアップを遂げているのが日本の男子カテゴリーだ。そんな日本人男子選手の中で世界最高峰の舞台へ挑戦を続けており、弱冠15歳ながら世界大会で銀メダルを獲得した日本人若手スケーターがいる。
それが先日エストニアのタルトゥで行われたヨーロッパ最大級のエクストリームスポーツイベントとも言われる世界大会「Simple Session 24」で銀メダルを獲得した櫻井壱世選手だ。日本国内ではパリオリンピック日本代表である永原悠路などと肩を並べ「番長」の呼び名で認知されている若きトップスケーターの一人。今年から海外の大会に転戦し始めた彼だが、なんと出場2大会目となる今大会での快挙に世界からの注目が集まっている。
今回はそんな大注目の若手スケーターである櫻井選手にインタビュー。「Simple Session 24」でのストーリーはもちろんのこと、彼がスケートボードを始めたきっかけから世界最高峰で戦う上で感じていること、そして「挑戦こそが我が人生」という言葉を胸に挑戦を続けている彼の今後の目標と夢について聞いた。
櫻井壱世(さくらい・いっせい) 以下: I
初出場となった世界大会「Simple Session 24」で銀メダル獲得。世界のトップに肩を並べ始めた今の気持ち

– 先日の「Simple Session 24」で銀メダルを獲得した今の心境を聞かせてください。
I:今年2月のドバイの世界選手権「WST Dubai」では自分の滑りを全然見せられなかったので、この大会では自分のやりたいことを出し切って、やっと自分の滑りを見せることができて良かったなというのが1番の気持ちです。また今回の結果を得てもっと世界で活躍していけるようになりたいと強く思うようになりました。
– その「WST Dubai」の優勝者やオリンピアンなど世界大会での決勝常連のトップ選手たちと一緒に表彰台に乗った今大会ですが、彼らと肩を並べてみてどう感じましたか?
I:それこそ今回は2大会のオリンピアンで「WST Dubai」でも優勝したスペインのダニー・レオンや、東京オリンピックでブラジル代表だったペドロ・キンタスとも実際に一緒に滑って競い合いましたが、大会の時は別にそんなに緊張もせず「楽しい!」って感じでしたし、大会が終わったらもうみんなと仲良くなっていたのですごく楽しい大会でした。また小さい頃からずっと大好きだったベン・レイボーンっていうスケーターがいるんですが、「Simple Session 24」ではその人と会うことができてとても嬉しかったです。

– 実際にそういったレベルの舞台で滑ってみて自分のパフォーマンスはいかがでしたか?
I:正直ドバイの世界選手権の時は全然何も決められなくて悔しい思いをしたのですが、今回は結構決められたので結果的には2位でしたが勝てる自信は結構ありました。あとはスケーター同士みんな仲が良いので、大会中もバチバチになることもなくて、お互いにコミュニケーションを取りながらやっていたので、ライバルみたいな感じもあまりせず滑ることができました。なので目標としていた選手たちと一緒に滑って自分のパフォーマンスを見せることができて嬉しかったし楽しかったです。
– 今回の結果に繋がったライディングやトリックがあれば教えてください。
I:クオーターのオーリーアップの途中でやった「アリーウープバックサイドディザスター」はできて良かったなと思いますし、その後の「ステールフィッシュグラブ」から「フロントサイド360」に繋いで「ボディバリアル540」の3コンボは今回の結果に繋がったライディングだと思います。自分はコンボが得意なので本番でメイクできて良かったです。

– Simple Sessionはパークスタイルだけではなくストリートの選手とも一緒に戦う割と結構珍しい大会だと思うのですが、普段一緒に滑らないジャンルのスケーターと滑るのはどんな感覚でしたか?
I:僕自身、実はAJSAが主催しているストリートの大会にもそこそこ出ているので、このSimple Sessionではそんなに気になったことやいつもと違う感覚は無かったです。
– そうなんですね!ちなみに今はパークスタイルに力を入れて大会に出ていますが、今後はアメリカのジャガー・イートンみたいなストリートとパークスタイルの二刀流も視野に入れていたりするのでしょうか?
I:はい。ジャガー・イートンみたいなストリートとパークのどちらでも世界で活躍できるようなスケーターになりたいです。ロサンゼルスオリンピックの次のオリンピックではパークもストリートも両方で挑戦できれば良いなと思っています。でもまずはパークでオリンピックに出たいです。
スケートボード1つで国境を超えられる力に魅力を感じた。

– スケートボードを始めた経緯を聞かせてください。
I:スケートボードを始めたきっかけは、父がサーフィンをしているのですがそのオフトレでスケートボードを昔からやっていたこともあって小さい頃から滑っているところをよく見ていて、一緒に付いて行った時に父に乗せてもらったのが始まりです。自分の記憶がある頃にはもうスケートボードに乗っていたので始めたのは3歳位の頃だと思います。
– それから何歳ぐらいの頃から大会に出始めたのでしょうか?
I:始めた年と同じ3歳の頃に宮崎のAJSAに出たのが最初だったのですがそこでボロ負けして、それから練習を重ねて8〜9歳から本格的に大会に出始めました。それからはちょっとずつですが難しい技もできるようになって勝てるようになっていき、2018年に出たFLAKE CUPや広島であったFISEのジュニアクラスで優勝したこともきっかけで、より競技としてのめり込んでいって今があるという感じです。

– ちなみにそんな櫻井選手が思うスケートボードの魅力とはなんでしょうか?
I:スケーターひとりひとりがリスペクトし合っていて、スケートボード1つで国境を超える力があるところだと思います。そういった部分はこの前のドバイの世界選手権やSimple Sessionに出て強く感じました。スケートボードのカルチャーの部分でもあると思いますが、本当に国籍関係なくみんなお互いが仲良くて高め合いながら競技ができるところもスケートボードの魅力だと思います。
意識しているのはスタイルと完成度。櫻井壱世の強さの秘訣とは

– 普段はどこでどんな練習をしていますか?
I:普段は「トレジャーアイル」っていう僕の父とか仲間達が集まって作ったスケートパークに、サイズは小さいのですがゴリゴリな「漢前BOWL」があるのでいつもそこで練習しています。基本的には水曜日以外はいつもトレジャーアイルで滑っていて、水曜日はトレーニングをしています。
– そうなんですね。大会遠征の時はもちろんだと思いますが、他のスケートパークに乗りに行く時はどこに行くことが多いですか?
I:九州だったら「アダプト」っていうバートランプや「古賀スケートパーク」によく行きますし、関東に行くことがあれば神奈川県の鵠沼とか茨城県の笠間にある「ムラサキパーク」のようなコンクリートパークに行ったり、この間は有明にある「Livedoor アーバンスポーツパーク」にも行ったのですが、基本的にはコンクリートパークやバートランプに練習しに行くことが多いです。

– 練習や大会で意識していることはありますか?
まず練習の前はいつも必ずストレッチをしっかりしています。あと滑っている時は手の指先まで一つ一つの技の形にこだわっていて、メイクした映像を見返してはどうしたらもっとカッコよくなるかを研究して、少しずつ改善しながら自分の理想の形になるまで何度も練習しています。僕は技の見た目も大事だと思っているので、単純に難しい技をするだけじゃなくて特にスタイルを重視して滑るようにしています。
一方で、大会の時はいつも「絶対表彰台の上に立つ!」という気持ちで挑んでいたり、大会中は「自分のやりたいことは全部やる!」と思いながら滑っています。それでも今まで結構悔いが残る結果になってしまうことも多かったんですが「必ず次に繋げる!」という気持ちでやってきました。大会前はあまり他の人の滑りは見たりせずにストレッチしながら1人の時間を大切にしています。

– 櫻井選手の得意なライティングやトリックについても教えてもらえますか?
I:トリックで言うと「フロントサイドステイルフィッシュグラブ」とか、色々な種類の技で「540」をするのが得意です。ライディングでは色々な技を各セクションで連続で決めていくコンボ系が得意で、あとは誰もしないようなラインで滑るのも得意なところです。
– ちなみにそんなライディングやトリックも含めて、櫻井選手が自分で感じているスケーターとしての強みはどんなところでしょうか?
I: 一つ一つの技のクオリティが他の人よりもちょっと高かったり、ストリートとパークをどっちも滑れるところや、かっこいい滑りをいつも追求してるところだと思います。地元の「トレジャーアイル」でいつも滑っていることも今の自分に必要不可欠な部分なので強みの一つだと思います。
– 地元で練習できているのが強みということですが、地元で応援してくれる人たちはどんな存在になっていますか?
I:トレジャーアイルが製作してくれている大会ウェアで、いつも着ている青シャツのメインロゴの「手羽先番長」は僕が小さい頃からサポートしてくださっている宮崎の会社なので感謝しています。僕の国内大会での呼び名が「番長」と定着したきっかけになったのもこの会社で、スケートボード業界では認知してもらっています。

– そういえば今回のSimple Sessionでもコメンテーターの方々からそのウェアを見て「Leader of chicken wings!」と何度も呼ばれてましたね。日本だけでなく海外でも認知され始めてますね!
今年から世界へ本格的に挑戦。最高峰を舞台に戦う中で感じることとは

– 改めてこれまで世界のトップ選手と戦ってみて感じたことはありましたか?
I:今年から海外転戦を始めて、2月のドバイの世界選手権が初めての大会で、今回のSimple Sessionが2回目だったのですが、海外の選手たちは練習の時間が限られてる中で、初めて滑るパークに自分を慣らすのがすごく早いなと感じました。
僕自身も普段は国内だと大会練習日が移動日になることが多いので、短い練習時間の中で慣らすという意味では元々早い方と思っていたんですけど、この前のドバイの世界選手権で特設のコースを滑った時は思ったより難しくて苦戦した中で、 海外の選手はすぐ慣らしていたので早くて正直「やべえ。」って思いました。

– 世界で戦ってみた中で櫻井選手の思う日本と世界で違っている部分を聞かせてください。
I:この前のドバイの世界選手権のコースは、日本のコースと比べるとアールが緩くて大きい感じだったのでその違いに苦戦しました。また大会以外で言うと、この前のエストニアの時はデパートの中でスケボー乗ったりしていても普通にオッケーみたいな感じで、日本では全然ダメなことが向こうでは大丈夫だったりしたのでその点は全然違いましたね。
– 今後の世界でもっと戦っていくために自分に必要だと感じていることがあれば教えてください。
I:まず英語をもっと話せるようになりたいですし、今は毎朝走ってるんですけどもっと持久力も付けたいと思っています。また海外の選手たちと比べて大きく違うところは筋力で、筋力があるとないとではライディングのダイナミックさとかスピードも結構変わるのでもっと強化したいです。あとは誰もしないような技をどんどんまた練習して習得していきたいです。
宮崎の若きスケーター番長が目指す今後の目標と夢

– 残りわずかになった今シーズンと、来シーズンについての目標を聞かせてください。
I:今シーズンはまず今月10月の日本選手権で優勝することが目標で、来シーズンはまたオリンピック強化指定選手に入って世界選手権とか色々な世界大会で良い結果を残したいです。
– 4年後のロサンゼルスオリンピックに向けても意気込みがあれば聞かせてもらえますか?
I:まだ具体的にロサンゼルスオリンピックに向けた準備をしているわけではないですが、スケートボードのレベルが上がっている中で世界に置いていかれないように新しい技もできるようになりたいですし、まずは世界でトップになれるように頑張っていきたいです。
あとロサンゼルスオリンピックに向けての思いとしては、男子パーク種目はまだ日本人はメダルを取っていないので日本人初の金メダルを取ることを目標に練習に取り組んでいきたいと思っています。
-ちなみに日本のスケートボードのレベルも最近特に上がっていると思いますが、実際世界で戦っている櫻井選手から見てどうでしょうか?
I:年々どんどん上がっていると思います。世界のトップにもどんどん近づいてると思いますし、この前のパリオリンピックはユウロ(永原悠路)だけが日本代表でしたが、次のロサンゼルスオリンピックでは多分日本人3人くらいいけるんじゃないかなって思います。

– 櫻井選手にとってスケートボードとはどんな存在なのかも聞かせてもらえますか?
I:あまり考えたことはなかったのですが、僕にとってスケートボードは「挑戦」ですかね。好きな言葉が「挑戦こそが我が人生」っていう言葉なんですけど、今はパークスタイルの選手として活動していますが、ゆくゆくはそれ以外のストリートとかバートにも挑戦して三刀流を目指したいと思っているので、僕にとってスケートボードは「挑戦」です。
-ちなみにそのストリートとかバートの大会にも本格的に挑戦するタイミングって具体的な予定はありますか?
I:まずはパークで日本で1位になって、世界選手権でも良い順位に入れるようになったらストリートやバートにも挑戦していきたいなと思っています。

– 将来目指しているスケーター像はありますか?
I:大会ではたくさん結果を残したいし、X Gamesにも毎回招待されるようになりたいです。またZ-FLEXライダーとして映像もたくさん残して、世界の色々なスケーターはもちろんのこと、スケートボードをしてない人たちにも知ってもらいたいと思っています。そしてもっと知名度を上げて、いつか地元宮崎で世界で活躍しているスケーターたちを呼んで世界大会を開催したいです。
でもその前に全国のスケーターや世界のスケーターたちにも地元宮崎の「トレジャーアイル」に来てもらって一緒にセッションしたいですね。たくさんのスケーターが滑りに来てくれることを楽しみにしています。
櫻井壱世プロフィール

2009年1月20日生まれ。宮崎県宮崎市出身のスケーター。サーフィン愛好家の父の影響で3歳の時にスケートボードを始める。8〜9歳の頃から本格的に大会に出場し始めると、2018年に出場した「FLAKE CUP」や「FISE」でのジュニアカテゴリー優勝を皮切りに国内での主要大会で数々の好成績を残す。2023年の「X Games Chiba 2023」には招待選手として出場するなど海外選手にも認知されるようになると、今年から本格的に海外の大会へ転戦を始める。初めて出場した世界大会の「WST Dubai」で望んだ結果を残せず悔しい思いをした後、先日出場した「SIMPLE SESSION 24」では並いる世界の強豪スケーターを相手に見事銀メダルを獲得。「スケートボードは挑戦」と語る櫻井は2028年ロサンゼルスオリンピックで日本人初の男子パーク種目メダル獲得を目指している。スポンサーは手羽先番長、Treasure Isle、Z-FLEX SKATEBOARDS JAPAN、FarEastSkateNetwork、187killerpads、ASICS SPORTS STYLE、NUANCE.、Green Marine Beach Service.
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●今日 ○イベント開催日
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skateイレギュラーな厳しい条件下で優勝を勝ち取ったのは池田大暉「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート男子決勝2025.04.142025年4月12日(土)に「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート種目 が松阪市総合運動公園スケートパークにて開催された。3年後に開催されるロサンゼルスオリンピックを見据えた新たなシーズンのスタートとなる、2025年シーズン最初の公式開幕戦。今大会は国際大会派遣選手の選出や2025年強化指定選手の選考に関わる重要な大会ということもあり新世代も含めた実力者が全国からエントリー。大会当日は翌日の13日に予定されていた決勝のスケジュールが雨天予想されたことから、本来予定されていた準決勝を取り止め、予選の結果から上位8名が決勝に進出、予選同日の12日中に決勝も実施する展開に。そんな本決勝は全46名の出場者の中、予選を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストは宮本浬央、竹下煌輝、八島璃央、酒井太陽、渡辺星那、安倍来夢、池慧野巨、池田大暉。 ラン1本目 強風や明るさが変化し、見え方が変わっていく変則的な環境の中非常に苦戦することが予想される決勝。最初のフルメイク者となったのが、世界レベルのライダーを輩出し続ける静岡の新世代期待の竹下。スピードに乗ってメインのハンドレールに入っていくと「キックフリップフロントサイドボードスライド」でスタートしていくと、バンクトゥオーバーのダウンレールで「バックサイドテールスライド」、ギャップ状のバンクトゥバンクでの「フロントサイド360」からバンク飛び出しで「ノーリーインワードヒールフリップ」、ラストはメインのハンドレールで「フロントサイドテールスライド」と非常に正確なデッキコントロールを見せフルメイクし最後はジャッジに小さく手を合わせてお辞儀するなどその丁寧さが人柄にも表れており、69.65とまずまずの滑り出しだ。 @WSJ 続いてスコアメイクを見せたのが。昨年の日本選手権3位で福島の雄、八島だ。メインのハンドレールで「キックフリップフロントサイドリップスライド」という高難易度トリックからスタートしていくとギャップ状のバンクトゥバンクでは「ノーリーヒールフリップ」、スロープレールアップを「バックサイドビッグスピンフロントサイドボードスライド」と繋ぎ、ダウンレールで「スイッチフロントサイド270フロントサイドリップスライド」を決め、ラストのダウンレッジでの「バックサイドクルックドグラインドノーリーフリップアウト」をミスするも72.03をマーク。フルメイクとはならなかったがポテンシャルでハイスコアを叩き出したのが優勝候補の池田。バンクトゥのフラットレールで「キャバレリアルインバックサイドテールスライド」でスタートしていくと、返しのダウンレールでは「バックサイド270リップスライド」から「バックサイド270アウト」を完璧に繋いでいき、着地後すぐにボディバリアルし体勢を整えると会場は少しざわつかせ、そのままメインのハンドレールで「フロントサイドノーズブラントスライド」、ギャップ状バンクトゥバンクでは高さのある「360フリップ」、カーブで「バックサイドクルックドグラインド」から掛け替えを狙ったが少し浅かったか、ラストはダウンレッジで「バックサイドノーズスライドノーリーフリップアウト」を決め、そのままボルケーノでスピンするスコアとは関係ないがサービス精神も忘れない池田の真骨頂を見せ、会場を盛り上げ77.69と暫定首位に立った。 @WSJ ラン2本目 中々スコアを伸ばせない中、1本目から修正してきたのが渡辺。メインのハンドレールを「ヒールフリップフロントサイドボードスライド」でスタートすると、アールでは「アーリーウープのバックサイドリップスライド」、バンクトゥのカーブでは「ヒールフリップノーズグラインド」、バンクトゥのフラットレールで「バックサイドビッグスピンフロントサイドブラントスライド」を1本目から見事リカバリー、ラストはステアからフラット面まで全越えの「バックサイドヒールフリップ」を決め74.07と暫定2位に浮上。1本目と同じく1ミスながらスコアを伸ばしてきたのが池だ。ギャップ状のバンクトゥバンクを「スイッチフロントサイド180キックフリップ」で越えていくと、バンクを使った「ノーリーハーフキャブヒールフリップ」、メインのハンドレールで「フロントサイドフィーブルグラインドフロントサイド180アウト」、バンクを使ってステアを「インポッシブル」で登ると真ん中のバンクトゥバンクについたレールで「フロントサイド270リップスライド」から返しのダウンレールで「キャバレリアルバックサイドテールスライド」をミス。このセクションは練習中から各ライダーが「照明の関係で見えづらい」と言っていたがその影響が出たか。フルメイクではないが繰り出していたトリック難易度もあり72.10と暫定3位でトリックセクションに望みを繋いだ。 @WSJ トリック1本目 1本目でまずハイスコアを出したのが優勝候補の一人、八島。メインのハンドレールで正確なデッキコントロールを見せ、「キックフリップフロントサイドスミスグラインド」を1発で仕留め、87.43。これに続いたのが福岡の新鋭、酒井だ。スイッチスタンスでメインのハンドレールへ向かうと、「スイッチフロントサイドスイッチオーバークルックドグラインド」を決め、会場をどよめかせた。スコアも85.31とハイスコアを叩き出した。トリックセクションを得意とする池がこの流れを凌駕する。フェイキースタンスでメインのハンドレールに向かうと「フェイキーキャバレリアルバックサイドテールスライド」を決め、ここまでの最高スコア89.13をマークした。 @WSJ ランを終え暫定首位の池田は1本目を決めきれず、池を追いかける形になった。 トリック2本目 1本目の成功者もここでスコアを揃え勢いに乗りたいところだが誰も決められない流れが続いた。2本目もスコアメイクに各ライダーが苦戦する中、唯一のスコアメイク者となったのが勢いに乗る池のみだった。得意のスイッチスタンスでメインのハンドレールに向かうと、「スイッチフロントサイドフィーブルグラインドスイッチフロントサイド180アウト」をこれまた一発で仕留め、今大会初の90点台となる92.68。 @WSJ 優勝争いにはここで離されたくない「池田も1本目同様、メインのハンドレールでシュガーケーングラインド」を狙うもこれもミスし流れは完全に池に向いているか。 トリック3本目 予選1ヒート目のトップバッターから決勝に残った大阪の新星、宮本がここでようやくスコアをマーク。メインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドキックフリップアウト」を決め87.54とハイスコア。ランセクションで好位置につけた渡辺もようやくスコアメイクする。ロールインから勢いよくスタートするとバンクトゥオーバーのダウンレールで「ヒールフリップバックサイドリップスライド」を着地で少し態勢を崩したがなんとか成功させ、80.82と優勝争いに望みを繋いだ。愛知のテクニカルライダー、安倍もこの流れに続いた。1本目からトライしているメインのハンドレールで「フロントサイド180スイッチバックサイドフィーブルグラインドスイッチフロントサイド180」、通称グレープフルーツグラインドからのリバースアウトという超高難易度を決めここまで3番目のハイスコア88.75とこちらも優勝争いに踏みとどまった。ここまでスコアメイクに苦戦していた池田は何か閃いたようにメインのステアからかなり幅のあるトランスファーでのダウンレッジでフロントサイド50-50にトライするも惜しくもミスとなったが本人は何か手応えを掴んだ様子にも見えた。 トリック4本目 何かを感じ取った不気味な池田を突き放しておきたい池はメインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイドビッグスピンアウト」を狙うも決まらず。 ここで3本目に何かを感じ取った池田がついに目を覚ましたか。3本目同様メインのステアからかなり幅のあるトランスファーでのダウンレッジで「フロントサイド50-50グラインド」を見事2回目の挑戦で成功、これは練習でも一切やっていなかったという圧巻の発想力とスキルで90.64と暫定首位の池を射程距離に捉えた。 @WSJ 暫定首位は唯一スコアをフルマークしている池、2位に池田、3位安倍となり、最終トライまで混戦模様となった。 トリック5本目 全ライダーに表彰台のチャンス残った最終トライ。宮本はメインのハンドレールで「バックサイドテールスライドビッグスピンフリップアウト」を狙ったが惜しくもアウトが合わず、6位で終えた。竹下はバンクトゥオーバーの「ダウンレールでキックフリップバックサイドリップスライド」を見事に決め81.77とスコアを揃えることに成功し暫定3位に浮上した。 @WSJ 優勝候補の八島もメインのハンドレールで「キックフリップフロントサイドノーズグラインド」を狙うも決めきれずに5位。酒井もメインのハンドレールで「スイッチオーバークルックドグラインドからビッグスピンショービットアウト」を狙ったが決まらず8位。渡辺はメインのハンドレールで「ヒールフリップフロントサイドブラントスライド」に挑んだがうまくハマらず、7位。逆転表彰台を狙った安倍はバンクトゥバンクで全越えの「バックサイド360」を狙ったが惜しくも決まらず4位で今大会を終えた。猛追を見せる池田を引き離したい池もメインの「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイドビッグスピンアウト」に再度挑むも回転が合わず池田の結果を待つ形に。 @WSJ こうなると流れは完全に池田に傾いたか、メインのステアからかなり幅のあるトランスファーでのダウンレッジで今度は「フロントサイド5-0グラインド」を一発で決め、92.26をマークし逆転優勝となった。 @WSJ 大会結果 優勝 : 池田大暉 260.59pt2位 : 池慧野巨 253.91pt3位 : 竹下煌輝 220.73pt4位 : 安倍来夢 160.29pt5位 : 八島璃央 159.46pt6位 : 宮本浬央 156.55pt7位 : 渡辺星那 154.89pt8位 : 酒井太陽 148.54pt 最後に 天候によるスケジュール変更や、男子の予選の時間に強風や照度の変化など非常に難しい環境の中開催された今大会。優勝した池田大暉は世界レベルのスキルを保持していることは周知の事実だが、それ以上に自分のペースに引き込む上手さは天性のものだと今回改めて確信した。2年前に笠間で開催された第2回大会の同大会でもスコアメイクできるセクションと見るや否や、徹底的にそこを攻め2位になった過去と今大会が非常に重なって感じた。世界で戦う上で、高難易度を実行できるトリックスキルは当然必要だがその場でこういったポイントにアンテナを張り、いち早くキャッチすることも非常に重要な要素だ。池田のもう一つの魅力は、本人が狙ってかどうかはわからないが会場を自分の空気に変えてしまうパーソナリティだ。ただ底抜けに明るい人間性だけでなく、裏付けされた実力と相まってその場のオーディエンスを完全に引き込んでいる。筆者が昔から魅了されてきたスケートボーダーの要素だと感じた。その上でコンテストも勝ち切るあたりスター性としか言いようがない。型にハマらないそのスケートボードスタイルは今後も世界各地を引っ掻きまわすことが楽しみだ。今大会、苦手のランセクションでも強さを見せた池慧野巨。苦手克服と元々の強みであるスイッチスタンスでの高難易度トリックに独特のトリックチョイスとその脱力スタイルから繰り出される確かな技術と内に秘めた力強いライディングスタイルは世界でも評価が高いことをコンテストでも証明しつつある。今後世界トップのコンペディターにどんな戦い方で応戦し、またそれらを優っていく姿を想像するだけで非常にワクワクした気持ちが止まらない。これは初めてSLSに日本人として出場し世界を切り拓いてきたパイオニア、瀬尻稜を初めて見た時の感情に非常に類似している。 これまで日本のトップ争い常連となった八島璃央、安倍来夢、渡辺星那らも今後まだまだ伸びしろしかなく、このまま終わるような実力者たちではない。一方、歴代日本王者である佐々木来夢、海外経験も豊富な松本浬璃、日本のトップ争い常連の甲斐穂積、繁延亜周らが予選で敗退する波乱も起こった。注目はこの常連組に変わって決勝に入った新世代の台頭だ。決勝に残った宮本浬央、酒井太陽、そして見事3位で表彰台に登った竹下煌輝の13歳トリオをはじめとして世代だ。このメンツを見てもストリート日本男子の層の厚さがより一層増したことを意味している。日本が世界に誇る筆頭格、堀米雄斗、白井空良、小野寺吟雲、根附海龍、青木勇貴斗らが頭一つ抜けていることは現時点では変わりはないが間違いなくその距離が少しずつ縮まってきてはいると感じる。女子同様、ワールドスケートの「年齢制限」の規定は非常に気になるが、ロサンゼルスオリンピック2028の戦いは開幕したので今後の代表争いに一戦一戦目が離せなくなりそうだ。最後に、今大会も日本強化指定選手選考会という位置付けの大会であることから、みんな同じ条件とはいえ天候やコースコンディション、明るさなどに左右されない本当にスキル勝負のできる環境での開催を心から望む。実際予選では1ヒート目と5ヒート目ではコースの照度や風の強さ気温などが全く異なる環境となっていたように感じる。さらにはライダーから「このセクション暗くて見えづらい」などの意見も多数聞こえてきた。これでは自然環境に依存することのない競技スケートボードとは違い、ストリートシューティングのような環境に思えてしまう。これだけスケートボードパークが建設され、屋内全天候型のパークも多数出来ているのに、スケジュールを圧縮してまでやらなければならない状況は勿体無いと感じている。やはりスキルを競い合うフォーマットであれば筆者は純粋にスキルや発想で勝負できる環境での戦いを見たいと強く願う。
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skate思い出の地、松阪で悲願の初優勝というドラマが!「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート女子決勝2025.04.132025年4月12日(土)に「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」ストリート種目が松阪市総合運動公園スケートパークにて開催された。3年後に開催されるロサンゼルスオリンピックを見据えた新たなシーズンのスタートとなる、2025年シーズン最初の公式開幕戦。 今大会は国際大会派遣選手の選出や2025年強化指定選手の選考に関わる重要な大会ということもあり新世代も含めた実力者が全国からエントリー。大会当日は翌日の13日に予定されていた決勝のスケジュールが雨天予想されたことから、本来予定されていた準決勝を取り止め、予選の結果から上位8名が決勝に進出、予選同日の12日中に決勝も実施する展開に。そんな本決勝は全22名の出場者の中、予選を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストは綿引愛留、中山楓奈、榎並琴音、福田碧、尾関萌衣、大西七海、伊藤美優、松本雪聖の順となった。 ラン1本目 まずは緊張感のあるトップバッターでスタートした綿引愛留がいきなり先制する。メインのハンドレールを「フロントサイド50-50グラインド」でスタートしていくとギャップ状のバンクトゥバンクで「キックフリップ」、再びハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインド」、ダウンレールで「バックサイドスミスグラインド」とテンポよく繋いでいくと、ラストはバンクからのフラットレールで「キックフリップフロントサイドボードスライド」までフルメイクし62.59といきなり60点台をマーク。13歳とは思えないメンタルの強さを見せ、期待感を持たせると同時に後続へのプレッシャーをかけた。1本目で頭ひとつ抜けたのが、同じく13歳の松本雪聖だ。メインのハンドレールを「バックサイドスミスグラインド」を素晴らしいスピード感でスタートしていくと「キックフリップフロントサイド50-50グラインド」、バンクトゥフラットレールでは「キックフリップバックサイドリップスライド」、ギャップ状のバンクトゥバンクではフラットまで届く飛距離の完璧な「キックフリップ」、再びメインのハンドレールでは「フロントサイドフィーブルグラインド」と回しトリックを複数入れ込んだランをフルメイクし67.08となった。暫定2位の綿引と約4ポイントしか差がつかなかったのは、トリック難易度を考えると疑問に残るが1本目を暫定トップで折り返した。 松本雪聖のライディング@WSJ ラン2本目 ランセクションが1つマスト採用となるルールなので1本目でフルメイクできなかったライダーは巻き返しを図りたいところ。2本目でしっかり修正してきたのは尾関と大西だ。尾関はメインのハンドレールを「バックサイドリップスライド」でスタート、ダウンレールをバンクオーバーで「バックサイドフィーブルグラインド」、ステアを「ヒールフリップ」、1本目でミスしたギャップ状になっている幅の広い方のもしっかりカバーし64.59をマーク。 尾関萌衣のライディング@WSJ 大西もメインのハンドレールを「フロントサイドオーバークルックドグラインド」で飛び出すとダウンレールで「フロントサイドブラントスライド」、メインのハンドレールで「バックサイド50-50グラインド」、ギャップ状の広い方のバンクトゥバンクで「キックフリップ」、ラストはスロープレールで「バックサイド50-50キックフリップアウト」までフルメイクし65.65と暫定2位につけた。 大西七海のライディング@WSJ 世界大会経験豊富な中山と伊藤だが、中山はフルメイクできず、伊藤もランの構成は非常に高得点に期待できたが要所で精細を欠いてしまい、暫定4位でトリックセクションで巻き返しを狙う。 トリック1本目 綿引、榎並らがメインのハンドレールでしっかりスコアをマークする中、1本目でハイスコアを叩き出したのは尾関と松本だ。首位争いでプレッシャーをかけたい大西はメインのハンドレールで「バックサイド5-0グラインド」を成功させ65.73とランに続きハイスコアをマークした尾関は得意のバンクから飛び出しトゥ超えでのダウンレールで「バックサイド5-0グラインド」をハイスピードで成功させ今大会初めての70点台となる70.10のハイスコア。 尾関萌衣のライディング@WSJ トリックセクションで逆転を狙う伊藤はメインレールで「フロントサイドブラントスライドショービットアウト」を狙うがミス。これらのプレッシャーをものともしなかったのが松本だ。メインのハンドレールで「キックフリップフロントボードスライド」を寸分のブレもなく完璧に成功させ今大会のハイエストスコアを更新する77.88をマークし暫定首位をキープした。 松本雪聖のライディング@WSJ トリック2本目 パークスタイルとの2刀流に挑戦している福田がバンクトゥレールをフラット部分からダウン部分まで全流しの「バックサイドクルックドグラインド」で57.38をマーク。表彰台争いで優位に立っておきたい尾関はメインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイド180」を狙うもミス。この隙を逃さなかったのがここまで抜群の安定感を見せている大西だ。メインのハンドレールで「フロントサイドブラントスライド」を決めると小さくガッツポーズを見せ、スコアも67.31と揃え暫定2位につけた。 大西七海のライディング@WSJ さらに後続を突き離したい松本は、バンクから飛び出した「キックフリップバックサイドリップスライド」をフラット部分からダウン部分にまで全流しを決め75.76と独走体制に入った。 松本雪聖のライディング@WSJ トリック3本目 3本目を決めたのはここ最近で成長著しい姿を見せる北陸の新鋭、榎並と表彰台圏内につける尾関だ。榎並はメインのハンドレールで「フロントサイドブラントスライド」を成功させ66.21をマークしスコアを揃えた。尾関は2本目でミスしたメインのハンドレールで「バックサイドフィーブルグラインドフロントサイド180アウト」を見事リカバリーし63.42と暫定3位につけた。 尾関萌衣のライディング@WSJ 4本目は全員決められずスコアを出したライダーなしで最終トライへ。ここまで暫定首位は松本、2位に大西、3位尾関と続いた。 トリック5本目 綿引は2トライ目から果敢にトライしていたバンクトゥのフラットレールで「キックフリップフロントサイドブラントスライド」を最後まで決めきれず6位で今大会を終えた。福田と榎並も最後までスコアアップを狙うも惜しくも決めきれなかったがスコアは揃えられ福田が5位、榎並が4位となった。世界王者の経験もある優勝候補の伊藤は1本目からトライしていたメインのハンドレールでの「フロントサイドブラントスライドショービットアウト」を最後まで決めきれず7位。オリンピックメダリストで主要国際大会経験豊富な中山も終始トリックが定まらずトリックセクションでのスコアメイクはなしとなり8位で今大会を終えた。注目の表彰台のプレイス争い。暫定3位につける尾関はバンクトゥオーバーのダウンレールで「バックサイドリップスライド」を決め65.34と大西を上回り暫定2位につけた。 尾関萌衣のライディング@WSJ 大西も逆転優勝を狙い、バンクトゥのフラットレールで「フロントサイドブラントスライドキックフリップフェイキーアウト」を狙うも決めきれず3位となった。ウイニングランとなった松本は3トライ目から挑戦していた「キックフリップフロントサイドノーズグラインド」に挑戦するも決めきれなかったが、ワールドスケートジャパンの大会では初優勝となった。 大会結果 @WSJ 優勝 : 松本雪聖 220.72pt2位 : 尾関萌衣 200.03pt3位 : 大西七海 198.69pt4位 : 榎並琴音 176.18pt5位 : 福田碧 165.76pt6位 : 綿引愛留 121.17pt7位 : 伊藤美優 61.98pt8位 : 中山楓奈 48.47pt 最後に 今大会、終始強さが光った松本雪聖。初めてワールドスケートジャパンの大会に参戦したのが今回の開催地となった松阪総合運動公園スケートパークで、その地で初優勝というなんともドラマチックな展開となった。天候によるスケジュールの変更、強風による砂塵と花粉によって気管支炎を発症し、ここ数日は満足に睡眠が取れなかったという決して盤石ではなかった状態でのこの結果は今後も非常に期待感を抱かずにはいられない。世界王者やオリンピックメダリストのトリックセットと比較しても勝るとも劣らない難易度で、特に回しトリックからのセクショントリックでの安定感は以前にも増して完成度と安定感を感じられた。さらには予選で2回しかトライできない中、1本目をミスし追い込まれた状況にも関わらず、2本目でしっかりリカバリーし首位通過するあたり、メンタル面の成長も見受けられた。今後、世界のトップ争いをする上でどのようなスキルアップ、トリックチョイスをしていくのか非常に楽しみだ。新世代の台頭も目を引いた今大会、3位となった大西七海は安定感という面では今大会の出場全ライダーの中でナンバー1だと感じた。あとは一発の爆発力を磨けば今後世界のトップ争いに十分に加わることが予想される。日本の女子ライダーでは唯一と言っても良いハイスピード、ぶっ飛びスタイルで会場を沸かせた尾関萌衣も今後非常に注目だ。海外ではブラジルのパメラ・ロ-ザ、アメリカのポエ・ピンソンらを彷彿とさせるそのライディングスタイルは世界でも評価されていくことは間違い無いだろう。あとはトリック精度と、難易度をどこまで上げられるかが世界トップレベルで戦う上で重要になってくるのではと考える。新世代の活躍とは対照的に精細を欠いた世界トップ常連勢の伊藤美優と中山楓奈。フィールドやコンディションがフィットしなかったのか、戦略的にも上手く立ち回れていなかったように感じた。とはいえ、実力は誰もが知る世界トップレベルということもありすぐに修正してくると予想する。さらに今回新世代の台頭を象徴したのが、こちらも世界大会経験豊富な上村葵が予選で敗退したことだ。こちらも目まぐるしく変更されるスケジュールやコンディションに泣いた結果となったがこのままで終わる実力ではないので今後の巻き返しに期待したいところ。ここに今大会には出場していないが、歴代オリンピック金メダリストの吉沢恋、西矢椛、世界最高スコアを保持する織田夢海らがいる日本のロサンゼルスオリンピック出場争いはこれまでにない戦国時代を迎える幕開けとなった。ついに始まったRoad to ロサンゼルスオリンピック2028、1大会も目が離せなくなりそうだ。ここでワールドスケートから気になる情報が発表された。「パリオリンピックが終わり、包括的な競技の結果、2028年以降、ワールドスケートボードツアーに参加する選手の最低年齢を14歳とする」旨の内容だ。これにより「2014年1月1日から2014年12月31日の間に生まれた選手は2025年1月1日から12月31日の間に開催されるすべてのイベントで11歳とみなされ、この年齢が2028年ロサンゼルスオリンピックの選考大会に関する最低年齢となり、それ以降に生まれた選手は対象外となります」選考会を実施した後にこの決定発表は非常に混乱、困惑を招きかねる事案と筆者は感じた。こちらの情報は今後も引き続き注視する必要があると同時に、これらを目指して日々努力しているライダーが落胆することのない結果となることを心より願います。
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skate歴代全日本チャンピオンを下した志治群青が初優勝!「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」パーク男子決勝2025.04.112025年4月5日(土)〜4月6日(日)に「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」 が鵠沼海浜公園スケートパークにて開催された。女子同様に昨年パリオリンピックを含む世界的に大きな注目を集めたシーズンが終わり、次は3年後に開催されるロサンゼルスオリンピックを見据える中、新たなスタートが切られた2025年シーズンの公式開幕戦が今大会。 今大会には国際大会派遣選手の選出や2025年強化指定選手の選考に関わる重要な大会ということもあり全国から実力者たちが集まったが、大会当日は雨天が見込まれていたため、本来予定されていた準決勝を取り止め、予選の結果から上位8名が決勝に出場する展開に。その中で迎えた決勝日は女子決勝後に雨天に見舞われ大会は中断。雨雲が去りパーク内の状況が元に戻るまでに4時間を要し、選手たちはコンディションを整えるのに苦戦を強いられたが決勝では見事なライディングを見せていた。 そんな本決勝は全38名の出場者の中、予選を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストは溝手唱太、永原悠路、岡田光瑠、西川有生、徳田凱、櫻井壱世、志治群青、猪又湊哉の順となった。 大会レポート 【ラン1本目】 櫻井壱世のライディング©︎WSJ 女子カテゴリーと同様に今大会の決勝は、45秒のラン3本目のうち1本のベストスコアが採用され、一度ボードからを落ちた時点でランを続行できなくなるフォーマット。一発目から攻めのライディングで後続にプレッシャーをかけるか、後半で攻めのトリックにトライするかなど戦略が分かれる中で、いずれも1本目は走り切ってフルメイクすることでしっかりスコアを残しておきたい。 永原悠路のライディング©︎WSJ まず決勝1本目から好調なライディングを見せたのはパリオリンピック日本代表の永原悠路。過去に日本OPENでは2大会で優勝している永原はハイエアーと回転技そしてグラインドトリックを入れ込んだハイレベルなランを見せる。トランスファーでの長い「フロントサイドノーズスライド」や「キックフリップインディグラブ」、ディープエンドでの「バックサイド540」、そして最後はエクステンションでの「キャバレリアルディザスター」をタイムギリギリで決め切りフルメイクすると68.55ptをマークし幸先の良いランを見せる。 櫻井壱世のライディング©︎WSJ その永原を超える攻めのライディングを見せたのは世界大会のSimple Sessionで2年連続準優勝に輝いた櫻井壱世。櫻井は多くのトリックバリエーションを豪快なライディング落とし込んだランを見せる。ディープエンドでの「バックサイド540」や、トランスファーでの「バックサイドテールスライド」。コーピングでの長い「フロントサイドフィーブルグラインド」やエクステンションでの「キャバレリアル540」を決め切りフルメイクすると70.02ptをマークし暫定1位に躍り出た。 そして今回は上位には食い込めなかったものの今後の活躍に注目が集まっているのは今大会最年少ファイナリストとなった西川有生。バーチカル仕込みの見事なグラインドトリックとエアーが特徴的な彼は、ディープエンドでの豪快な「キャバレリアル720」をはじめ、トランスファーでの「キックフリップインディグラブ」、エクステンションでの「バックサイド540」、そして最後には「キックフリップ540」をトライするも惜しくも転倒。そんな彼のスコアは転倒したにも関わらず51.47ptをマーク。決めきっていれば上位に食い込むライディングだっただろう。その後は残念ながらスコアアップができなかったが今後が注目のライダーだ。 【ラン2本目】 永原悠路のライディング©︎WSJ 2本目では、櫻井や永原が残したスコアがプレッシャーとなってか、大半のライダーたちがスコアアップに苦戦する展開となり、ラスト1本で確実に高得点を残さないと表彰台争いは難しい状況となった。 そんな中でしっかり1本のミスを修正して、スコアを伸ばしてきたのは溝手唱太。ラン1本目では63.99ptと順調な滑り出しを見せた溝手は、2本目でトランスファーでの「バリアルフリップインディグラブ」、コーナーでの丁寧な「フロントサイドフィーブルグラインド」、そしてトランスファーではギャビン・ボドガーさながらの「アラウンドザワールド」などをメイクし、1本目をアップデートしたライディングでスコアを67.46ptまで引き上げた。 永原悠路のライディング©︎WSJ そしてその溝手の後にライディングし更なるスコアアップを目指したのが永原。1本目をアップデートし、トンネル上のコーナーで飛び切り「キックフリップインディグラブ」や、エクステンションでのハイエアーの「アリーウープ」、そしてディープエンドでは1本目と同様のクリーンな「バックサイド540」、最後は「キックフリップ」からのワントリックにトライするも惜しくも失敗し転倒。それでも65.38ptをマークしラストランに望みを繋いだ。 そしてここで触れておきたいのが徳田凱。独自のスタイルで観客を魅了する彼はコーナーでの「フロントサイドノーズグラインド」、そしてディープエンドでの「バックサイドノーズスライド」などで今回も会場を沸かせた。惜しくも2本目で転倒があり3本目はDNSとなったが、怪我から復帰した若きスタイラー大会再参戦は感慨深いものがあった。今大会は良い結果で終われなかった彼だが今後の活躍に期待したい。なお2本目を終えた時点では暫定1位が櫻井、2位が永原、3位が溝手の順となったが、予選を1位で通過している猪又湊哉と同じく2位通過の志治群青がラスト1本でどのようなライディングを見せてくるかで大きく順位が変わることが想定されたため最後まで分からない試合展開となった。 【ラン3本目】 志治群青のライディング©︎WSJ 最終ランとなった3本目は多くのライダーがミスをしてスコアアップができない状態になる中、表彰台争いには大きな変化が見られた。まずは3本目のランでベストスコアを残したのは岡田光瑠。1本目や2本目でなかなかスコアが伸び悩む中、最終ランではスムーズで完成度高いライディングで繋ぐ。トランスファーでの「ステイルフィッシュグラブ」やディープエンドでは「バックサイド540」「バックサイドテールスライド」、そして永原同様にトンネル上のコーナーで飛び切り「キックフリップインディグラブ」などを綺麗に決めるもラストトリックで失敗。52.36ptとスコアを伸ばしたが惜しくも6位で大会を終えた。 そして3本目で一番で気になるのは猪又と志治がどう表彰台争いに食い込んでくるのかだ。惜しくも暫定トップ3の櫻井、永原、溝手がスコアアップできない中で、順番が回ってきたのは志治群青。 志治群青のライディング©︎WSJ 志治はまずエクステンションの「バリアルフリップディザスター」でライディングを始めると、コーナーで「フロントサイド540」、トランスファーでの「フロントサイド360」と「バックサイドスミスグラインド」。そして彼の特徴的なトリックでもある豪快な「ジュードーエアー」。さらにはギャップ越えの 「バックサイド360」を決め切りフルメイクでランを終えた。自身のパーフェクトランには志治本人も両手を挙げて喜んだ。そんな彼の見事なランには76.26ptがスコアされ、一気に暫定1位に躍り出た。 そして最後に逆転が必要とされたプレッシャーのかかる状況でのランを迎えたのは猪又湊哉。予選では唯一の90点台を叩き出した彼だが、決勝では1本目の66.20ptをトップスコアとして最終ランに挑んだ。自分の持つトリックを出し切ることができれば優勝の可能性もあったが、ランの前半にディープエンドでの「バリアルフリップバックサイド540」に失敗。この瞬間に志治群青の優勝が決まった。昨年の全日本選手権では3位となった彼だが、今大会での優勝は初めて。永原や猪又など歴代全日本チャンピオンがいる中で見事表彰台の頂点の座を獲得した。 大会結果 左から櫻井、志治、永原の順©︎WSJ 1位 志治 群青 / 76.26pt2位 櫻井 壱世 / 70.02pt3位 永原 悠路 / 68.55pt4位 溝手 唱太 / 67.46pt5位 猪又 湊哉 / 66.20pt6位 岡田 光瑠 / 52.36pt7位 西川 有生 / 51.27pt8位 徳田 凱 / 14.55pt 最後に ©︎WSJ 今大会を通して感じられたのは男子パーク種目の急激な成長だ。パリオリンピックには永原悠路だけの出場となったが次回のロサンゼルスオリンピックでは3人出場している未来が想像できるくらい各ライダーのレベルアップが感じられる大会であった。 一方で、今後これらのライダーたちを差別化するのは高難度のトリック習得はもちろんのこと、いかに高い精度で常に披露できるのかなのだと、今までも言及してきたことが再認識させられた大会でもあった。今後彼らが切磋琢磨し合い、自分たちが持つベストトリックを世界最高峰の場で決め切ることで、海外のトップライダーたちの牙城を崩す未来も期待したい。 2025年も早速勢力図に新たな変化も見られたスケートボードの大会シーズン。ここからロサンゼルスオリンピックに向けて歩む3年が、日本の男子パーク種目シーンの新たな進化を生むことを期待しながら今シーズンも彼らの活躍を追っていきたい。
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skate怪我を乗り越えて強さを見せた草木ひなのが優勝!「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」パーク女子決勝2025.04.092025年4月5日(土)〜4月6日(日)に「第3回マイナビスケートボード日本OPEN supported by Murasaki Sports」 が鵠沼海浜公園スケートパークにて開催された。昨年パリオリンピックを含む世界的に大きな注目を集めたシーズンが終わり、次は3年後に開催されるロサンゼルスオリンピックを見据える中、新たなスタートが切られた2025年シーズンの公式開幕戦が今大会。 今大会にはオリンピックメダリストである四十住さくらや開心那が欠場した一方で、国際大会派遣選手の選出や2025年強化指定選手の選考に関わる重要な大会ということもあり全国から実力者たちが集まった。大会当日は決勝日に雨天が予想されたことから、本来予定されていた準決勝を取り止め、予選の結果から上位8名が決勝に出場する展開に。 そんな本決勝は全17名の出場者の中、予選を勝ち上がった合計8名で競われ、スタートリストは福田碧、加藤渚都夏、小川希花、貝原あさひ、鷹野芙由佳、藤井雪凛、能勢想、草木ひなのの順となった。 大会レポート 【ラン1本目】 貝原あさひのライディング ©︎WSJ オリンピックや国際大会と同様に今大会の決勝は45秒のラン3本目のうち1本のベストスコアが採用されるフォーマットで行われた。このフォーマットは一度ボードからを落ちた時点でランを続行できなくなるため、後半で攻めのトリックにトライするためにも1本目は走り切ってフルメイクすることでまずベースとなるスコアを残しておきたいところ。 決勝1本目最初の滑走者となったのは福田碧。福田は様々なグラインドトリックをベースに取り入れた全体的に流れるようなライディングを見せる。エクステンションでの「ブラントtoフェイキー」やコーピングでの「フロントサイドリップスライド」を決め切りフルメイクすると62.85ptをマークし幸先の良いランを見せた。 そんな福田の後に滑走しフルメイクしたのは加藤渚都夏。彼女はトランスファーでの「アリウープ」をメイクすると、エクステンションでの「リーンエアーtoテール」やコーピングでの「バックサイドボードスライド」などスタイルのあるライディングで59.19ptをマークした。 貝原あさひのライディング ©︎WSJ 他のライダーたちがなかなかスコアを伸ばせずにいる中で、彼女たちを上回るスコアをマークしてきたのは貝原あさひ。まずはディープエンドでの豪快な「マドンナ」をはじめ、エクステンションでの「ノーリーバックサイドディザスター」、そして最後には「フェイキーオーリーtoバリアルフリップ」をメイクして66.47ptをマークし次のランへ繋いだ。 草木ひなののライディング ©︎WSJ 今大会予選1位通過で決勝に挑む草木ひなのは、1本目から暫定1位のスコアをマークするライディングを見せる。全体的に余裕を感じさせるスタイルで一つ一つ丁寧にトリックをこなしていく彼女はトランスファーでの「アリーウープサランラップ」や、コーピングでの「バックサイドスミスグラインド」、そして最後はディープエンドで「フロントサイドロックンロールスライド」をメイクしてランを終えると67.88ptをマーク。2本目以降でのライディングでのアップデートを予感させるライディングで1本目を終えた。 【ラン2本目】 藤井雪凛のライディング ©︎WSJ 2本目では、1本目でのスコアが伸び悩んだライダーたちが大きく順位を上げる展開に。やはり1本目では少し体が温まっておらず思ったようなライディングをできていないような様子も見受けられたが、この2本目のランではラスト1本の前に高得点を叩き出したいという強い気持ちも感じられた。 まずは1本のミスを修正して、スコアを伸ばしてきたのは小川希花。ラン1本目では終始見事なライディングを見せるもタイムアウトギリギリの最後で転倒し、57.27ptと惜しくもスコアを伸ばしきれなかった。2本目ではミスを修正し、ディープエンドの「バックサイドスミスグラインド」、コーピングでの「フロントサイドスミスグラインド」や「バックサイドフィーブルグラインド」そして「バックサイドブラントスライド」など1本目で見せたハイレベルなトリックをクリーンに決めて最後までフルメイクし、スコアを63.87ptまで引き上げた。 そして小川と同様に1本目のランをアップデートしてきたのは鷹野芙由佳。1本目では惜しくも途中で転倒してしまいスコアを伸ばせなかった彼女だが、2本目ではトランスファーの「フロントサイドリップスライド」を皮切りにディープエンドでの「バックサイドスミスグラインド」、そして「フロントサイドボーンレス」など最後までトリックを決め切りフルメイクで終えるとスコアを64.61ptまで引き上げた。 藤井雪凛のライディング ©︎WSJ さらにその鷹野よりも大きくスコアをアップデートして見せたのが、ここ鵠沼スケートパークをローカルとしている藤井雪凛。1本目では中盤にトランスファーでの「アリーウープノーズグラブ」で転倒してしまったものの2本目では見事に修正。トランスファーでの「キックフリップインディグラブ」をはじめ、「アリーウープノーズグラブ」、そして決勝では彼女だけが見せた中央のスパインからサイドのボウル面へのトランスファーをメイク。トリックだけではなく終始高いエアーとスムーズなライディングでランをまとめて66.93ptまでジャンプアップした。2本目を終えてラスト1本を前に暫定では1位が草木、2位が藤井、3位が貝原の順となり、この時点では上位3名が4点以内でひしめき合っていたことから、ラスト1本でどのようななトリックを見せるかに注目が集まった。 【ラン3本目】 草木ひなののライディング ©︎WSJ 最終ランとなった3本目はほとんどのライダーがベストランにトライするもミスが続きスコアアップができない状態に。そんな3本目のランでベストスコアを残したのは能勢想。予選では70.52ptをマークし草木に続き2位で決勝へ駒を進めた彼女。1本目でのミスから1本ずつスコアアップして見せた中、最終ランでは様々なセクションを見事に使いライディング。特にディープエンドでは「バックサイドテールスライド」「フェイキーキャバレリアル」そして「バックサイドバリアルフリップ」などを綺麗に決めて64.06ptとスコアを伸ばしたが惜しくも5位で大会を終えた。 そして気になるのは貝原、藤井、そして草木によるトップ3争い。まず貝原がさらにスコアを伸ばすべく終盤で「フェイキーバリアルフリップインディグラブ」にトライするも転倒し惜しくもスコアアップならず。続いて藤井は前半で「キックフリップインディグラブ」に失敗し残念ながら草木に迫ることはできなかったが、その後藤井は時間外で本来メイクしたかったディープエンドでの「マックツイスト」をギャラリーに向けてメイクし会場を盛り上げた。 草木ひなののライディング ©︎WSJ そして暫定1位の座を死守しウィニングランとなった草木ひなの。1本目と2本目ではメイクしていなかったディープエンドでの「バックサイド540」をセカンドトリックで綺麗に決め切ると、その後はコーピングでの「バックサイドスミスグラインド」や、ディープエンドの長い「フロントサイドロックンロールスライド」などをメイクしフルメイクでランを終えた。そのスコアはなんと80.11ptと後続を大きく引き離し、見事完全優勝を成し遂げた。 草木はその後自身の決勝ランを振り返り、「(藤井)雪凛ちゃんがマックツイストを決めていたからバックサイド540を決めたいと思った。」と話していたが、草木は現在肩を痛めており今大会には痛み止めを飲みながら挑むほど状態だったという。この背景から改めてライバルたちの存在の大きさや、お互いに高め合うことができるスケートボードの持つカルチャーの素晴らしさを再認識させられた大会だった。 大会結果 左から藤井、草木、貝原の順 ©︎WSJ 1位 草木 ひなの / 80.11pt2位 藤井 雪凛 / 66.93pt3位 貝原 あさひ / 66.47pt4位 鷹野 芙由佳 / 64.51pt5位 能勢 想 / 64.06pt6位 小川 希花 / 63.83pt7位 福田 碧 / 62.85pt8位 加藤 渚都夏 / 59.19pt 最後に ©︎WSJ 今大会を通して感じたのは国内女子カテゴリー全体の競技力の底上げだった。それはトリックレベルのことに限って差しているのではなく、ルーティンの構成からライディング中でのトリック遂行力など包括的に見てライダーたち全体のレベルが上がっていると感じとれた。 その背景を考察すると、このスケートボード・パーク種目が持つお互いを称え合い高め合う点がこの競技レベルの底上げに影響していると筆者は考える。オリンピアンを含め多くのライダーが日本を飛び出し、世界で活躍することで年々レベルアップしていくこの日本のスケートボードシーンだが、そういった世界で活躍するライダーが日本国内で練習したり、大会に出場したりと国内のライダーとの接点が増え、お互いに切磋琢磨していることが日本全体のレベル向上に繋がっているのではないだろうか。 さあ今年も始まったスケートボードの大会シーズン。3年後に控えるロサンゼルスオリンピックに向けてはもちろんのこと、競技レベルが上がっているこの日本でオリンピアンを含めたシーンを牽引するライダーに対して国内のライダーたちがどのように台頭してくるのかにも注目していきたい。
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others世界11カ国・80名の世界トップアスリート出場決定! 世界最高峰のアクションスポーツの国際競技会、関西初上陸「X Games Osaka 2025」2025.04.08アクションスポーツ界で最も注目される国際競技大会「X Games」が、関⻄初上陸。2025年6月20日(金)、21日(土)、22日(日)の3日間、スケートボード、BMX、Moto X(フリースタイルモトクロス競技のモトエックス)の世界トップアスリートたちが「京セラドーム大阪」に集結する。 そして本日「大阪・関⻄万博」会場内で行われた記者発表会では、今大会に出場する世界11カ国・80名のアスリートも発表された。なお本記事ではアスリート一覧と各日の実施競技についてもお知らせする。 そしてなんと今大会では大阪府在住の小中学生を無料招待!大人1名につき、最大3名まで無料で入場が可能となっている。詳しくはオフィシャルサイトをご覧あれ。 世界トップクラスのアスリートたちによる圧巻のパフォーマンスを、間近で体感できる貴重なチャンス。ぜひ会場で、その熱気と興奮を肌で感じて欲しい!「大阪・関⻄万博」で世界が大阪に注目する2025年、アクションスポーツの熱狂が大阪をさらに盛り上げること間違いない! スケートボード、BMX、Moto X 世界の頂点が大阪に集結。 男子 スケートボード ストリート 男子 スケートボード ストリート 白井空良 ©Brett Wilhelm/X Games 「X Games Chiba 2024」で初の金メダルを獲得した白井空良、同じく2024年に銀メダルを獲得し た根附海龍、「X Games Chiba 2023」で初出場にして優勝を果たした小野寺吟雲、「X Games Chiba 2022」で銀メダルの池田大暉、スピード感あふれるランで注目を浴びる佐々木音憧。そし てパリ五輪で銀メダルの二刀流スケーターのジャガー・イートン、ブラジルが誇るスケートボードの王者ケルビン・ホフラー、フランスのオーレリアン・ジローなどが出場。世界のストリートを魅了するライディングに注目。 女子 スケートボード ストリート 女子 スケートボード ストリート ⻄矢椛 ©Trevor Brown, Jr./X Games パリ五輪で金メダルを獲得し一躍注目を集めた吉沢恋、同じくパリで銀メダルを獲得した赤間凛音、東京五輪でスケートボード界に新たな歴史を刻んだ⻄矢椛、「X Games California 2024」で 金メダル獲得の伊藤美優、東京五輪で銅メダルの中山楓奈、2023年のスケートボードストリート世界選手権で優勝を飾った織田夢海、「X Games Chiba 2024」で金メダルのクロエ・コベルなどが出場。日本人選手たちが活躍する女子ストリート、白熱の戦いをお見逃しなく。 男子 スケートボード パーク 男子 スケートボード パーク 永原悠路 ©Brett Wilhelm/X Games パリ五輪で日本人初の「キックフリップボディーバリアル540」の大技を成功させた永原悠路、「 X Games Chiba 2024」で金メダルのトム・シャー、同じく2024年に銀メダルのキーラン・ウリーなどが出場。高さ・スピード・テクニックのすべてを兼ね備えたパークに注目だ。 女子 スケートボード パーク 女子 スケートボード パーク 四十住さくら ©Brett Wilhelm/X Games 力強いエアトリックで「X Games Chiba 2023」金メダルの開心那、「X Games Chiba 2022」で金 メダルの四十住さくら、パリ五輪代表の草木ひなの、イギリスと日本の二重国籍を持ち「X Games Chiba 2024」で銀メダルのスカイ‧ブラウン、日本人の母を持ち「X Games Chiba 2024」とパリ五輪で金メダルのアリサ‧トルーが出場。圧巻のエアパフォーマンスに注目。 男子 スケートボード バート 男子 スケートボード バート 芝田モト ©Dave Camara/X Games 2024年の「トニー・ホーク・バート・アラート」で「900(2回転半)」を連続3回成功させた河上恵蒔をはじめ、「X Games Chiba 2024」で銀メダルの猪又湊哉、同じく2024年のベストトリッ クで銀メダルの芝田モト、「X Games Ventura 2024」で金メダルのトム・シャー、「X Games Chiba 2024」で金メダルのギー・クーリなどがラインナップ。超人的なエアトリックに圧倒されること間違いなし。 女子 スケートボード バート 女子 スケートボード バート 長谷川瑞穂 ©Trevor Brown, Jr./X Games 「Xゲームズ」日本大会では初開催となる女子バートには、「X Games Ventura 2024」でバートとベストトリックの2種目で銀メダルの⻑谷川瑞穂、同大会で銅メダルの貝原あさひ、今大会のパークにも出場するスカイ・ブラウン、アリサ・トルーらがエントリー。世界トップの女子スケーターが見せる迫力の空中戦をお楽しみに。 BMX ストリート BMX ストリート ギャレット・レイノルズ ©Brett Wilhelm/X Games 「X Games Chiba 2024」で金メダルのギャレット・レイノルズ、銀メダルのデボン・スマイリー、銅メダルのカレッジ・アダムスが揃って出場決定。そのほか「X Games Ventura 2024」で 金メダルのケビン・ペラザなどが登場。テクニックとスタイルがぶつかるBMXストリートの最前線に注目だ。 BMX パーク BMX パーク 中村輪夢 ©Brett Wilhelm/X Games 日本のBMX界をリードする中村輪夢(X Games Chiba 2024 銀メダル)を筆頭に、「X Games Chiba 2024」金メダルのローガン・ーティン、銅メダルのマーカス・クリストファー、パリ五 輪で銀メダルのキーラン・ライリー、銅メダルのアンソニー・ジャンジャンらが出場。スピードと迫力が交差する、世界最高峰の空中戦は必見。 BMX パーク ベストトリック BMX パーク ベストトリック ダニエル・サンドバル ©Brett Wilhelm/X Games 「X Games Chiba 2024」で金メダルのダニエル・サンドバル、銀メダルのジェレミー・マロットらが出場。アイデアとテクニックが勝負のベストトリックは驚きの連続。 BMX フラットランド BMX フラットランド 内野洋平 ©Brett Wilhelm/X Games Ucchie (ウッチー)の愛称で親しまれている日本のレジェンド内野洋平をはじめ、「X Games Chiba 2023」で金メダルの片桐悠、同大会で銀メダルのジーン・ウィリアム・プレボスト、銅メダルのマティアス・ダンドワ、「X Games Chiba 2022」で銅メダルの佐々木元ら世界屈指のテクニシャンが集結。地上で繰り広げられるアートのようなトリックを体感あれ。 Moto X ベストトリック Moto X ベストトリック 東野貴行 ©Brett Wilhelm/X Games 数々の世界大会で優勝を果たしてきた日本のレジェンド東野貴行、同じく日本を代表するフリースタイルモトクロスライダー渡辺元樹、「X Games Chiba 2024」金メダルのロブ・アデルバーグ をはじめ、世界を代表するライダーたちが参戦。会場の熱気は最高潮に達すること間違いない。 X Games Osaka 2025 出場アスリート一覧 男子 スケートボード バート 河上恵蒔 ©Brett Wilhelm/X Games *主要選手のみ掲載。その他出場予定選手はオフィシャルサイトから確認可能 スケートボード・ストリート種目 白井 空良 / 日本 (男子)根附 海龍 / 日本 (男子)小野寺 吟雲 / 日本 (男子)池田 大暉 / 日本 (男子)佐々木音憧 / 日本 (男子)ジャガー‧イートン / アメリカ合衆国 (男子) -東京オリンピック銅メダリストケルビン‧ホフラー / ブラジル (男子) -東京オリンピック銀メダリストクリス‧ジョスリン / アメリカ合衆国 (男子)吉沢 恋 / 日本 (女子)- パリオリンピック金メダリスト西矢 椛 / 日本 (女子)- 東京オリンピック金メダリスト赤間 凛音 / 日本 (女子)- パリオリンピック銀メダリスト中山 楓奈 / 日本 (女子)- 東京オリンピック銅メダリスト伊藤 美優 / 日本 (女子)織田 夢海 / 日本 (女子)クロエ・コベル / オーストラリア (女子) スケートボード・パーク種目 キーガン・パルマー / オーストラリア (男子)- 東京・パリオリンピック金メダリスト開 心那 / 日本 (女子)- 東京・パリオリンピック銀メダリストアリサ・トルー / オーストラリア (女子)- パリオリンピック金メダリスト四十住 さくら / 日本 (女子)- 東京オリンピック金メダリストスカイ・ブラウン / イギリス (女子)- 東京・パリオリンピック銅メダリストトム・シャー / アメリカ合衆国 (男子)- パリオリンピック銀メダリスト永原 悠路 / 日本 (男子)草木ひなの / 日本 (女子) スケートボード・バート種目 トム・シャー / アメリカ合衆国 (男子)ジミー・ウィルキンス / アメリカ合衆国 (男子)ギー・クーリー / ブラジル (男子)エリオット‧スローン / アメリカ合衆国 (男子)芝田 モト / 日本 (男子)河上 恵蒔 / 日本 (男子)猪又 湊哉 / 日本 (男子)⻑谷川 瑞穂 / 日本 (女子)貝原 あさひ / 日本 (女子)ミア‧クレッツァー / オーストラリア (女子)スカイ・ブラウン / イギリス (女子) BMXストリート種目 ジョーダン‧ゴドウィン / イギリスボイド・ヒルダー / オーストラリアデボン・スマイリー / アメリカ合衆国ギャレット・レイノルズ / アメリカ合衆国フェリックス・フランゲンバーグ / ドイツ BMXパーク種目ローガン・マーティン / オーストラリア- 東京オリンピック金メダリストキーラン・ライリー / イギリス- パリオリンピック銀メダリストアンソニー‧ジャンジャン / フランス- パリオリンピック銅メダリストケビン・ペラザ / メキシコ中村 輪夢 / 日本ダニエル‧サンドバル / アメリカライアン・ウィリアムズ / オーストラリア (ベストトリックのみ) BMXフラットランド種目 内野 洋平 / 日本片桐 悠 / 日本佐々木 元 / 日本ジーン‧ウィリアム‧プレボスト / カナダビッキー‧ゴメス / スペインマティアス‧ダンドワ / フランスケビン・ペラザ / メキシコ MOTO X (フリースタイルモトクロス種目) ジャクソン・ストロング / オーストラリアロブ‧アデルバーグ / オーストラリア ジュリアン・ヴァンスティッペン / ベルギー東野 貴行 / 日本渡辺 元樹 / 日本 開催概要 名 称(英 語):X Games Osaka 2025名 称(日本語):Xゲームズ大阪2025名 称(読み方):エックスゲームズ オオサカ ニセンニジュウゴ 日程: 6月20日(金)【公式練習】 6月21日(土)【決勝】開場9:30 / 開演9:45 / 終演20:00 予定 女子 スケートボード ストリート男子 スケートボード バート女子 スケートボード バートBMX パークBMX パーク ベストトリック Moto X ベストトリック 6月22日(日)【決勝】開場9:30 / 開演9:45 / 終演19:15 予定 男子 スケートボード ストリート男子 スケートボード パーク女子 スケートボード パーク男子 スケートボード バート ベストトリック BMX ストリートBMX フラットランドMoto X デモンストレーション※金曜は公式練習日のため関係者‧招待客‧取材媒体のみ。一般入場は土曜と日曜の2日間です。 ※時間は変更となる場合があります。会場: 京セラドーム大阪(KYOCERA DOME OSAKA)主催: X Games Osaka 2025 組織委員会主管: 大阪府、大阪市協賛: ムラサキスポーツ、モスフードサービス、ミツカン NEW酢SHOT 観戦チケットについて VIP 100,000円※優先入場 ※大会特典グッズ付き(スケートデッキ+Tシャツ+キャップ) ※競技コースツアー付き※アスリートハイタッチエリア入場可 ※VIP専用アリーナ立ち見観戦エリア入場可 ※VIP専用スタンド着席エリア入場可 プレミアム 35,000円※優先入場 ※大会特典グッズ付き(Tシャツ+キャップ) ※アスリートハイタッチエリア入場可 ※プレミアム専用アリーナ立ち見観戦エリア入場可 ※プレミアム/SS専用スタンド着席エリア入場可 SS 12,000円※優先入場※大会特典グッズ付き(Tシャツ) ※フードチケット(1,000円分)付き ※ステージ前専用立ち見観覧エリア ※アリーナ一般立ち見観戦 ※プレミアム/SS専用スタンド着席エリア入場可 アリーナ一般 5,800円 ※アリーナ一般立ち見観戦、スタンド一般着席可 アリーナグループ(4名1組) 20,000円 ※アリーナ一般立ち見観戦、スタンド一般着席可 ※2,000円分お得な料金設定 アリーナ高校生 3,000円 ※アリーナ一般立ち見観戦、スタンド一般着席可 ※高校生料金、大学生以上は一般料金 アリーナ小中学生 2,000円 ※アリーナ一般立ち見観戦、スタンド一般着席可 ※小中学生料金 スタンド一般 4,800円 ※スタンド席のみ入場可 ※高校生以上は一般料金 【大阪府⺠限定】スタンド一般+小中学生1名〜3名まで同伴可 4,800円 ※スタンド席のみ入場可 ※一般1名につき、子ども(小中学生)1名〜3名まで同伴いただけます。 ※大阪府⺠限定です。購入時に人数を選択いただき、氏名‧学校名を記入いただきます。 注意事項:いずれのチケットも1日券です。チケット購入時に来場日を選択ください。大阪府⺠限定チケット はスタンド席のみです。アリーナ(グラウンド)をご希望の方は該当チケットをお買い求めください。小学生未満の未就学児は、保護者1名につき1名まで膝上観戦無料です。